2014年6月13日金曜日

非効率な後期教育と人手不足ー社会の慣習から変えるべきー

 無駄な大学教育を行ないながら、建設業や介護分野の仕事を外国人に奪われるのは愚かなことである。
 大学進学者は既に50%を越えた。おそらく、半分以上の大学生は、ほとんど将来の仕事に役立たない学問について、動機も明確でなく、且つ、熱意のあまり湧かないままに、授業にでているのだろうと想像する。その様な学生の比率は、授業料や生活費を親からの仕送りに頼っている学生ほど、高いのではないかと思う。勉強において早熟な一部の高校生以外は、一度就職して社会に出るべきだろう。そして、もし実社会での経験から、学問に興味が出れば大学に入学するという様に、後期教育(大学と大学院)のスタイルを変えた方が時間及び経済的効率が高くなるだろうと考える。一方、この変化には、社会の制度や文化に大きな変革が必要である。
 米国のような個人主義(注1)の国では、高校までの学費や生活費は親が持つが、大学以降は奨学金やアルバイトなどで自分自身が調達する。親が大学や大学院の学費を支払うのは、家族制度が核家族的に変化した現在、親側の世代に不利である。つまり、世代間の相互扶助があれば、その経済的負担に親の世代は耐えられるであろうが、それが無ければ、より不自由な老後になる可能性が高い。そして、その親の過重な負担でなされた後期高等教育が必ずしも子供の為になると限らないのなら、尚更悲惨である。(注2)経済がグローバル化した現在、先進国において今後の経済停滞は必然であり、日本における年金の破綻も時間の問題であるから、これは多くの家庭において深刻な問題だろう。
 一般に、経済界は多様な人材を必要とする。技能職などへの適応には、例えば金型加工や伝統技能などは特に、成人するまでに基礎的訓練を行なうべきである。殆どが大学までストレートに進学する現行制度では、高度な技能者を得るのは困難になるだろう。(注3)また、建築業や介護職などの分野では、現在人手不足で外国人労働者の受け入れが考えられている。(注4)一方、大学や大学院を出て就職するべき、研究教育職、企画経営職、医者や弁護士など専門職は、社会全体としての必要数が大学進学率のようには増加しない。更に、様々な事務職などは、電子化に伴って省力化が進んだ結果、必要数はむしろ減少するだろう。つまり、国内の仕事は少なくなる傾向にあるので、若者の労働における嗜好が偏ったままにして、経済界からの外国人労働者の受け入れに対する圧力に政府は屈するべきではない。
 以上の様々な問題の解決は、部分的なものを場当たり的に行なうことでは不可能である。つまり、労働力の流動性を高めることと同時に、就学形態の自由度を高めること、若者の自立年齢を下げること、労働の意味を若者に再確認させること、などを同時進行的に行なうべきである。また、日本の儒教的な風習、年功序列や企業や官庁における、役立たない老年者の厚遇などは徐々に廃止して、労働者一般にその資源を開放すべきである。
 社会全体が価値観や制度を変えるには、労働者と経営者双方が一定の苦しみに耐えて困難を乗り越えるしかないのである。外国人労働者受け入れ解禁などの、経済界のみを対症療法的に厚遇するのは、禍根を未来にのこすだけである。(注5)

注釈:
1)個人主義というと日本では誤解による負のイメージが強い。個人が他人の意見に付和雷同することなく、自分で考えて自分で行動するというあり方を言う。日本の様に、“社会全体の空気や、インチキ権威”に人が支配されることが比較的すくない。また、民主主義の成立要件である。
2)大学や大学院卒業まで、親が面倒を見るのが当たり前のような空気が現在の日本にはある。しかし、その結果として、実力がないにも拘らず、「3K仕事は嫌だ」とか、「自分らしい仕事がしたい」などという、仕事の意味を理解しない若者を産むことになったのである。
3)スポーツ選手が儲かる仕事になって以来、早期教育が行なわれている。その結果のレベル向上は言うまでもない。成人してからでは、現在の一流選手を基準にすれば、同じ才能をもってしても初心者レベルにしか上達しないだろう。
4)外国人は当然、発展途上国から受け入れることになる。そこのモラルの基準は当然のことながら、日本と異なる。フランスなど西欧諸国での治安低下などに学ぶべきである。政府は、信用と安全は重要な社会にインフラであることを再確認すべきである。これは人種における偏見ではない。国が違えば、文明発展の段階もことなることを言っているに過ぎない。仮に、現在の日本に江戸時代の日本人を受け入れることが出来たとしても、同様に社会にはマイナスだろう。
5)グローバル経済ではあるが、国内企業の資本は国内で70%程度抑えている。日本の経常収支が黒字なのは外国で日本由来の資本に金を稼がせているからである。これを維持することは生命線であるから、ジャパンプレミアム付きの天然ガスで発電する情況から早急に抜け出すべきである。原発(加圧水型)など、まともに使えば、安全である。放射能など20mシーベルト/年以下なら、害がないことはデータが示している。元総理2人は、米国か何処かの回し者である可能性が高い。(因に、筆者は元総理と違って、第一種の放射線管理主任者免状所持者、且つ、元放射線化学研究者です。)(2014/6/14一部改訂)

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