2014年11月23日日曜日

国連の北朝鮮非難決議を提案した日本の不思議

 今月18日の国連総会第3委員会(人権)は、北朝鮮の人権侵害(他国民の拉致など)を非難する決議案を賛成多数で採択した。第3委員会の北朝鮮代表は、採決を非難し、さらなる核実験を実施する可能性を示唆して警告した。
http://jp.reuters.com/article/JPNKorea/idJPKCN0J22QC20141119
決議案は安全保障理事会に対し、人権侵害について国際刑事裁判所(ICC)に付託することを検討するよう促している。中国は、安保理は人権問題を討議する場ではないとの立場で、常任事理国として拒否権を行使し、ICCへの付託を阻止するだろうと、上記サイトは書いている。

その決議に反発した北朝鮮は、日本やアメリカに対し、「超強硬対応戦に突入する」との声明を発表した。23日朝の朝鮮中央テレビで、「今のような状態が続いた場合、日本は、近くて遠い国程度ではなく、わが方の目の前から、永遠になくなる存在となる」と伝えた。http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00281341.html

 上記ロイターの記事に明確には書かれていないが、北朝鮮の声明を聞いた限りでは、提案国として日本が中心的役割を果たしたと思われる。  私は、このような意味の無い国連決議をして、何になるのか疑問に思う。ましてや、北朝鮮と拉致被害者の返還交渉をしているのなら、尚更である。

 国連安保理においては議論されても、常任理事国の中国の反対で、上記ICCへの付託案の門前払いが見えているのなら、国連人権委員会での決議などあまり現実的な力にならない。北朝鮮という国家による拉致行為を、元々個人的犯罪を裁くICCはどう対応出来るのだろうか?
また、自国民が拉致されたと言って、国連に訴えて解決を図るのは、日本国が国家の体をなしていないことを宣伝しているようなものではないのか。更に、国連は常任理事国全体で行動出来るときは(つまり弱小国を咎めたり虐めたりするときは)、現実的な力になり得ても、それ以外のケースでは国家間の社交場のような機能しかない。それゆえ、今回の北朝鮮による日本国民拉致は、それを解決して被害者を取り戻すのが目的なら、国連は役に立たず、二国間交渉で行なうしかないと思う。今回のように交渉相手に喧嘩を売って、交渉がこれ以上進む筈がない。

 北朝鮮の人権問題に関する報告は、既に国連の調査委員会でなされている。http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page18_000274.html それに加えて、この議案は何時国連の委員会に提案されたのだろうか。これ以上の議論や決議は、拉致問題の解決には役立たないだろう。これは、1)米国による日本と北朝鮮との拉致問題交渉を止めさせる工作、或いは、2)元々解決不可能な拉致問題交渉を初めてしまった安倍内閣が、交渉の切り上げ宣言が出来ず、この様な形で北朝鮮側から交渉打ち切りをさせるために米国と伴に一芝居した、のどちらかではないだろうか。

 北朝鮮はロシアから援助を手に入れているようで、当分は崩壊しないだろう。http://www.fsight.jp/27498 しかし、崩壊するときには、相当無茶なことを金ジョンウンはする可能性がある。その標的に日本がわざわざ名乗りをあげるのは、馬鹿げた行為だと思う。北朝鮮は出来れば、ソフトランディングさせるべきだと思う(7/06;7/31;11/3投稿記事参照)。

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