2015年2月14日土曜日

スタップ捏造:理研幹部が責任を執らない異常な幕引き

今朝のウエークでの放送を観て、一寸書く気になった。コメント歓迎します

スタップ細胞捏造の件、理研を特定研究法人の指定を得るための宣伝材料にするため、野依理事長らが旗を振ったことが発生原因の一つである。

つまり、論文として仕上げるために理研幹部の仲介で笹井氏を共著者に加え、ゴリ押しでNatureの審査を通し(注釈1)、華々しくマスコミ発表したのは、理研が特定研究法人に指定されるために行なった理研全体の宣伝作戦の一部だったと考えられている。そのように考えると、ひっそりと目立たないように幕引きしたい理研幹部の利己的な気持ちは理解出来るが、許されるものではない。

先に静かに小保方氏を退職させて処分を後で発表するなど、下らないシナリオを考えたものである。それは、理事長以下幹部には処分が及ばない様に、必死に画策した結果なのだろう。国民の関心がいろんな角度から重なって、責任追及の嵐が津波の様に理研幹部に襲いかかることを避ける魂胆が見え見えだ。

そもそも、特定研究法人という発想は、基礎研究でも中央集権的に管理すれば、成果が出る筈だという、素人の考えから生じたものである(注釈2)。基礎研究は研究者の情熱の産物であり、工場で設備投資をし、カネをつぎ込めばできるというものではない。底辺を広く、夫々の現場で優秀なものを引き上げるという文化を育てるのが大切である。

華々しい捏造会見よりも、この幕引きこそ国際的に笑いものになるだろう。なぜなら、科学者個人の狂った情熱や思惑などで捏造された論文は過去たくさんあり、それらは学会での議論や別の研究者による新たな研究などで、浄化されるように科学会から消えた。捏造が明らかになった段階で、研究費の不正利用などで、関係した研究者個人を処分することのみが、研究機関を管理するものの仕事である。

しかし、今回の件は研究機関全体の意志が捏造を産んだ原因の一つである点が従来の捏造とは異質であるうえ、捏造が明らかになってから不要な追試実験を研究機関として行ない、更に、幕引きを研究機関としての責任を誤摩化した形で行なうと言う、前代未聞のものである。日本の組織の異常な体質を世界に宣伝するようなものである。

今回のスタップ論文、ノーベル賞の平均レベルを大きく越える研究成果として捏造されたのだから、ノーベル賞受賞者が首になければ、日本の研究文化の恥辱がかなり雪がれることになる。野依さんが理事長であって良かったということになるのだ。

注釈: 1)ゴリ押しでNatureの審査を通り抜けたというのは、笹井氏が群を抜いて優秀且つ実績のある研究者だったことを示している。この研究者を失ったことの責任を、スタップ論文の共著者に加えた理研幹部はどうとるのか。 2)研究者を退いて、名誉職的な地位についた者(つまり幹部)には有り難い制度だろう。看板が金張りだからと言っても、中身が一流品だとは限らないのが世間の常識である。研究は建物(組織)が行なうのではない。研究者一人一人が行なうものであり、研究チームも研究者が必要に応じて組むものであり、研究機関が組むものではない。

1 件のコメント:

  1. 今世紀三大捏造事件の一つとまで言われた事件で有ってみれば、幕引きも、それなりであるべき。当然、小保方氏の懲戒免職、共著の上司や理事長の辞任(解任?)は有ると、私も思っていました。
    結局、笹井氏を失ったことの責任を取るのでは無く、彼の死を以て贖罪をしてしまった。

    特定研究法人計画頓挫は、せめてもの結果でしょう。

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