2015年2月14日土曜日

小学校3年生からの英語早期教育は必要か?

テレビ番組“激論”で、小学校3年生位から英語の教育を開始する必要性について議論されていた。ただ、何を目的として早期の英語教育を考るのか、それを先ず明確にしてからでないと議論が噛み合なくなってしまう。また、乏しい国家予算の中から早期英語教育に資金を割当てるには、相当の益が見込まれなければならない。

英語教育の充実で解消すべき問題点として考えられるのは、以下の3つだろう。
1)外国からの観光客が多く日本を訪れる様になって、いろんな場面で簡単な英会話ぐらいできなければ不便である。 2)今後、企業がグローバルな活動をするようになるので、英語で交渉や契約が出来なければ、日本の発展がおぼつかない。 3)移民受け入れやグローバル企業内での人事交流などで、日常的に英語が必要になる場合が多くなると考えられる。そのような場合に備えて、英語での会話能力がある程度以上なければ、将来日本を中間層が不便を感じる。(注1)

1)の問題を解決するには、特別な早期教育は必要なく、現在の中学や高校での英語教育を工夫するだけでよい。2)の場合であるが、ネイティブスピーカーレベルの英語力がなければ、契約を前提としての交渉は困難である。トラブルを避ける意味で、通訳を介すべきである。
従って、国民一般を対象に英語の早期教育を考える場合に想定するのは、3)の様な問題を解決することだろう。ここからスタートすれば、もっと意味のある議論が放送できたのにと、残念に思う。

一流のグローバル企業やそれに類するレベルでの国際交流に必要な英語能力は、恐らく相当の努力を必要とし、小学校3年から始めるとかどうかはたいして問題ではないと思う。各個人が必要性に迫られて、強い意志を以て勉強しなければ無理だと思う。小学校教育全体を考えた場合、大学生でも二次方程式から教えなければ工学部の講義が成立しないとケースがかなりあるという現状を考えれば、“楽しく踊って英会話”レベルのことをやるより、算数や国語の授業をしっかりやることの方が大切だろう。

そこそこの英会話の習得なら、NHKの(実践)ビジネス英会話で放送されている文章の何年間分を、丸記憶して口から出せる様にすれば可能だと思う(注2)。後はそのような場面に追い込まれた時に実地に訓練すれば良いと思う。

日本人の英語能力がアジア諸国に比較して低いのは、経済力をつけようと必死に勉強する開発途上国の人々と比較して、豊かな経済環境にいるためか、日本の学生は必死になって勉強するという意思がないからだと思う。やる気の無い人は、何をやっても習得は不可能である。

注釈:
1)例えば楽天やファーストリテイリング(ユニクロ)などでは、英語が公用語になっている。 2)ポスドク経験者の私だが、この程度でも結構難しい。

1 件のコメント:

  1. 英語どころか、まともな日本語を話せない若者が多いことをどう考えているのでしょう。
    英語が話せないより話すべき内容を持っていない。

    少なくとも小学校では(中学においてすら)、日本語の読む、書く、話す能力の養成に全力を挙げるべきと想います。

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