2015年9月20日日曜日

若者の反安保関連法反対運動:ある女性研究者の誤解?

1)中日新聞の視座というカラム(2015/9/20)に女性社会学者のKさんが、”「戦争反対」が意味するもの”と題して、SEELDSなどの若者の政治活動について書いている。要約すれば、経済的な構造変化により、貧困化と差別化が進む社会になり、そのような環境に育った「若者たちが反対している「戦争」は、安保法制が示唆する海外での武力行使の可能性にとどまらない。背景にあるのは今ここにある「生存」を、軽視する社会に対する強い抗議ではないか」(「 」内は原文のまま)ということになる。

中日新聞の視座というカラム(2015/9/20)に女性社会学者のKさんが、”「戦争反対」が意味するもの”と題して、SEELDSなどの若者の政治活動について書いている。要約すれば、経済的な構造変化により、貧困化と差別化が進む社会になり、そのような環境に育った「若者たちが反対している「戦争」は、安保法制が示唆する海外での武力行使の可能性にとどまらない。背景にあるのは今ここにある「生存」を、軽視する社会に対する強い抗議ではないか」(「 」内は原文のまま)ということになる。

この文章を観て、SEELDSの若者はなんと言うだろうか。恐らく、自分たちの政治的活動に対する侮辱であると言うだろう。なぜなら、自分たちや親たちの生存に対する“社会の軽視”を、安保関連法反対という形で社会の代表たる政府に反発しているのだと、筆者は書いているからである。

おそらくこの考えはSEELDSなどの若者から聞いたのではなく、自分の持論を展開しただけだろう。SEELDSの安保法制反対のデモは、主張の是非はともかく、純粋に政治的運動だろう。その真面目な運動が理解出来ないために、自分の得意な社会学の分野に無理矢理引き込んだような文章だと思う。そして、SEELDSのデモは、電気店に行っておもちゃがないと文句を言っているようなレベルのものだと決めつけているのだろう。新聞社はもっとまともなものを載せたらどうかと、言いたい。

2)Kさんはウィキペディアに掲載されている関西学院大学准教授の40歳に未だ数年ある女性研究者である。経歴の割に相当なスピード出世である。社会学が専攻だということだから、政治や経済には一定の知識があるはずの方である。それにも拘らず、このような文章を新聞に載せられたことは、非常に残念である。

女性の地位向上と女性の社会進出はこれからの日本の発展には、大事なプロセスである。そのために、現在の社会は安易に女性を登用するのではなく、男性の壁を自力で打ち破る位の女性を育てることが最も大切であると思う。

男性社会とはいっても、昔から、能力のある女性を歓迎してきたと思う。結婚による家事の負担増や育児の時間などのハンディをなくすように社会がなれば、あとは女性が活躍するうえで現状何の障害もないと思う。むしろ、男性よりも能力的に劣る女性が男性に代わって地位を得ることで、社会の活動度が減少する傾向に既にあるのではないかと思う(補足1)。

3)ところで、わが国における経済構造の変化について若干考える。経済のグローバル化により、製造業は海外流出するか、国内に残る場合はコストを削減するかの選択を迫られている。その結果、平均の労働賃金は低下する。平均としての賃金低下は、中流層と下流層という形で労働階級を相分離させるように働いたのである。つまり、国家の労働階級全体が貧しくなったのが、第一の原因であり、それを政治が完全に埋め合わせることは不可能である。

それを埋め合わせるのは労働の質の向上である。つまり、新商品を開発する発想力や新技術の研究開発能力、新しくGDPに寄与する分野を創造する発想力(補足2)などを、社会が獲得することにかかっている。つまり、教育制度の改善(補足3)と人的資源開発、更には、年齢差別や形式的な身分や地位の廃止(フラットな人事構成)などに向けて努力すること、また同時に、能力を正当に評価する文化の醸成などにかかっている。

すべての不満を政治にぶつけるのは根本的に間違っている。

補足:

1)日本の理化学分野を例にとると、経験から、学会や周囲を見渡して、男性研究者の平均的業績よりも女性研究者のそれが勝っているとは決して言えない状況だった。つまり、登用において女性を優遇すれば、研究者の質が低下することになる。

2)地方創生を中央で考えていては新しい発想は生まれない。GDPは北海道から沖縄までの国内生産の総和であるから、それぞれの地方の特徴を生かした産業創生が肝心である。それには、道州制が最もふさわしい。多くは東大の勉強家たちが出身の中央官僚の発想では、たかが知れているのだ。

3)貧しい家庭の出身で優秀なものには、枠を決めて大学院までの学費を無料にするなどの工夫。大学の質の向上と多様な人材交流のために、同一大学からの教員採用を禁止するなどの措置が望まれる。

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