2015年9月21日月曜日

世論調査に関するいくつかの疑問

安全保障関連法案が通り、それに対する賛否や、参議院等で審議が十分だったかどうか等についての世論調査(共同通信社)が新聞等に掲載されている。今朝の中日新聞一面にも世論調査の結果が掲載されており、その結果、審議が不足だったというのが79%であり、圧倒的だった。

更に、安保関連法案成立(注1)で、自衛隊が戦争に巻き込まれるリスクが「高くなる」は68%、変わらないは27.1%;安保関連法案に賛成は、34.1%で反対は、53%である。一面記事は調査結果のみであるが、2面で調査の詳細と野党の意見などを紹介している。

ところで、この種の世論調査にどの程度の意味があるのだろうか? 

我々が以下の冷厳なる事実を考えなければならない。先ず、政治特に昨今の国際政治は、情報量もインテリジェンスに属する部分を含めて多く、そのダイナミックスは複雑であり、それを材料に国家の方向を決めるのはまさに専門家の仕事であるということである。

その専門家の仕事に対して、全くの素人が準備不十分のままに、 “感じ”でアンケートに答えて、それが実際の政治に反映されることは良いことか?全く疑問である。世論を沸き立たせて政治の主導権をとろうとしたのが、ドイツのヒトラーなど全体主義者たちである。従って、世論調査を繰り返し、世論を誘導するような行為は厳しく慎まなければならない。

間接民主制における世論調査は、政権に対する信任か不信任かの調査で十分である。具体的政策に対する世論調査は、本来不要な筈である。行うのなら、政治家が参考にするためだけに行い、結果は国民に知らせるべきではないのではないか。

具体的な政策に対する世論調査を行い、それを公表し、政権与党を批判する材料にするのは、政治を国民が直接動かすことにつながり、間接民主主義の原則に違反すると思う。法令にも憲法にも反対なら、次回選挙で多数を獲得して、改訂すれば良い。それが民主主義というものだ。

過半数の議員が法令を改訂しようとしているのに、物理的に妨害するという今回の野党の行動は、間違っている。国会の衛士たちが、あのような事態を力で防止する様に、もっとしっかり教育すべきである。

しっかりと説得すべきというが、説得されたという感覚は主観的なものである。今回のケースでは、民主党などはいくら説明を繰り返しても、説明不十分だというに決まっている。代案がないのだから。

補足:

1)中日新聞では、安保法案と書いている。これは誤解をまねく。正しく安全保障関連法案というべきである。

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