2017年5月26日金曜日

韓国出身旧慰安婦の対日請求権

1)ある米国在住と思われる方のブログ記事を読み、加瀬英明氏が代表となっている「慰安婦の真実」国民運動というグループが日本にあることを知った。https://blogs.yahoo.co.jp/kiko10da/folder/519863.html このグループの活動を非難する記事の中で、ブログの主は「真の国益という立場に立てば、日本政府に韓国政府との慰安婦補償問題の解決交渉に応じるように運動することであろう。」と書いている。私には、韓国政府が直接補償を要求する法的根拠がわからない。

勿論、「日韓両国が協力してその事実を解明すべきである」と言うのならわかる。歴史学あるいは社会学の一つとして、戦争と性の問題を研究するのは一つの学問分野になり得ると思う。東西冷戦時(補足1)やイスラム圏での内戦(補足2)などでも、多くの悲惨なケースがあったし現在も存在する。しかし、大戦前の韓国人慰安婦への補償を日本政府に要求する法的根拠は、韓国政府にはない。また、事実関係を実証しうる場合を除き、韓国の元慰安婦の方々にもないと思う。しかし、戦後に生きる我々と関係国政府は、戦争で悲惨な経験をしたその他の人たちを含め、謝罪(道義上)と補償をできるだけ行うべきであると思う。以下にそれについて私の意見を書く。素人なので、文章の内容に間違いがあれば指摘してもらいたい。

2)日韓基本条約とそれに付随する日韓請求権並びに経済協力協定で、ほとんどの両国間の補償問題は解決済みの筈である。勿論、後者の第3条には協定の執行時における紛争には、仲裁委員をたててその決定に委ねると書かれている。しかし、元慰安婦の方々がその条文の規定により補償を要求するには、慰安婦となった経緯と慰安婦としての日常において、日本軍兵士及び当時の大日本帝国政府による違法行為の立証がなければならない。

その場合立証が比較的簡単な不法行為は、官憲による強制連行ということになる。これは明確な法律違反である。また、逃亡の力による防止や行為の強制であるが、これが慰安所経営の業者によるものなら、不法性と責任(大日本帝国の)の立証はより困難な作業となる。従って、一般的な謝罪と慰安婦の方の特定以外の事実究明を必要としない形での補償を行う方が、より双方に受け入れ安い(つまり法的な複雑性がなくなる)だろう。

日本、朝鮮、台湾など多くの国から慰安婦として参加せざるを得ない情況に追い込まれ、その結果として人生を台無しにされた慰安婦の方々に対して、関係諸国がヒューマニズムの観点からお詫びの気持ちを表明し、基金を設立して道義的責任に基づく補償金を手渡すのは必要なことだろう。勿論、韓国が独自にそれらの方々に年金などを支給するのは、好ましいことだと思う。

日本政府は、韓国政府や韓国世論の意向を受けて、独自の判断でアジア女性基金を設立した。アジア女性基金は、韓国女性の他に、インドネシアでのオランダ女性を日本軍兵士が拉致し暴行したケースが戦後の軍事裁判で明らかになっているので、その被害者にも補償を行なっている。同基金は、必要と思われる補償をすませとして、2007年に解散している。

以上のように人道的見地から慰安婦に対して補償を行うのは、戦後に生きる人間としての義務だろう。そして、戦争行為以外において(戦争との関連で)悲惨な境遇に追い込まれた人たち一般にも、同じ根拠で補償を行うことが必要だろう。しかし、残念ながら、このような補償ができるほどどこも余裕がないようである。

3)戦後補償には慰安婦関連の他にも色々あると思うが、それらのケースを政治的に利用することは厳に慎むべきであると思う。慰安婦問題に関連して一部の人間が、慰安婦像と称するモニュメントを米国など外国にまで建てていることは、日本人として非常に腹立たしく思う。我々日本人には、日本国と日本国民とを侮辱するネットワークの国際的構築を目的にしている様にも感じる。何にしても、その動機は明らかに政治目的である。(補足3)

この件、米国の一部の思惑と一致する様である。つまり、米国は2000年12月にナチスの戦争犯罪資料省庁連携ワーキンググループを改組し、ナチス戦争犯罪及び日本帝国記録省庁連携グループを作った。これはナチスのホロコーストと日本の慰安婦を同列に扱いたいという思惑が、米国の政治勢力の中にあることを示している。

慰安婦問題の本来の当事者は、元慰安婦の方々と大日本帝国の軍人と彼らが所属する大日本帝国である。しかし、大日本帝国は無くなったので、現在の当事者は元慰安婦の方々とこの問題を継承した日本国政府である。韓国政府は1945年以前には存在しなかったのだから、元慰安婦の方々の現在の所属国として元慰安婦の方々の代理で権利を主張すると言う限定的な意味でのみ当事国であり得る。

つまり、韓国国民は慰安婦とその親族以外は直接の当事者ではない。従って、韓国人一般の心情は理解できるが、慰安婦問題で日本国を非難する権利(法的な)はない。 一方日本国民は、日本政府が一定の責任を持つ以上、この問題の当事者である。それ以外の第三者(例えば米国人など)などには、このケースで政治的活動をする法的根拠はないし、補償を主張する場合にも、言論の自由以外の根拠はない。(15:35; 21:25編集)

補足:
1)ベトナム戦争のとき、韓国軍がベトナム人女性を強制連行し性奴隷にした犯罪についてはよく知られている。そのほか、ウィキペディアの記事に詳しい記述がある。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%93%E5%9B%BD%E8%BB%8D%E6%85%B0%E5%AE%89%E5%A9%A6
2)このケースは我々部外者には更に異常かつ悲惨に見える。詳しくは例えば、http://tocana.jp/2014/01/post_3563_3.html
3)昨年韓国の挺対協は、旧慰安婦に日本からの補償金を受け取らない様に圧力をかけた。

0 件のコメント:

コメントを投稿