1)現在の政府が推進する愛国教育についての朝日新聞社説批判の動画を視聴した。批判しているのは有本香さんで、話し相手として同席しているのは竹田恒泰氏である。https://www.youtube.com/watch?v=SWIYJ2t1b68これはネット番組かラジオ番組をyoutube動画に再構成したものらしい。
政府が推し進める愛国教育に対する朝日新聞の意見に対して、有本さんは酷く立腹されている。コメント欄を見て更に驚いた。全コメントが朝日批判で染まっている。その中身の詳細を聞いて、さらに検索でその朝日社説で確認してまたびっくり。それは全くまともな主張であったからである。私は反日だったのだろうか?
この動画で朗読された、2月15日(2018年)の朝日新聞社説の一部を聞き取り、書き起こした。それをそのまま(補足1)に書く。有本氏は、朝日新聞社説の中の「学習指導要領の改訂案において“多角的・多面的な考察が全体の基調”なのに、特に“自国を愛しその平和と繁栄を図る大切さについて自覚を図る”を強調するのは、木に竹を継いでいる」という部分を取り上げ、「近隣諸国だけでなく米国ヨーロッパなど愛国教育をたっぷりされた諸外国の人間は、多角的・多面的な考察が欠けるというのか」という反問の形で、噛み付いている。
しかし、それが正当な批判となるには、いろんな検証が必要である。我々聞き手の多くは、欧州をはじめ諸外国の愛国教育の実態を知らないし、諸外国の人たちが多角的・多面的な考察力があるかどうかもわからないのである。それを周知のことのように前提において、反論として聞かせるのはおかしい。有本氏はこの点について示さなければ、上記はまともな反論にならない。
また、「尖閣諸島がわが国固有の領土である」は真実であり、それを朝日新聞は「政府見解」としてしか認めていない(補足2)ことを、非常にけしからんと怒っておられる。しかし、尖閣諸島の領有権を中国だけでなく、米国も認めてはいない(日本の実効支配は認めている)し、台湾も認めていない。更に、日本の学者の中にも、意見は種々存在する。
有本氏の反論に同調する竹田氏は、その論調なら「“人を殺しては行けない”と教えると、多角的・多面的な教育ができないことになる」とか、「“人を殺してはいけない”という教育は、一緒に“人を殺しても良いという理由”も教育しなければいけないことになる」と言って、援護しているつもりでいる。しかし、竹田氏は、戦争において或いは刑罰として、我々の祖先や我々は人を殺すことを正当な行為と認めていることなど、念頭にないのだろうか。彼らの主張はめちゃくちゃである。びっくりするくらいの不見識に怒り心頭に発したと語る、有本氏の心や頭には何が入っているのだろうか?
コメント欄は全てその有本氏や竹田氏の意見に同調するものばかりである。また、その社説を教えてくれたのが百田尚樹さんだと紹介していた。百田さんもそのような意見なのだろうか?それで日本の保守を名乗る連中は大丈夫なのだろうか。「右の売国、左の亡国」という佐藤健志氏の本の題目が思い出される。そこで、コメントを書いた。そのコメントに少し手を加えて、彼らの意見にたいする反論とする。
2)コメントをされている方々は有本氏に調教されている。逆説的だが、とんでもないことでも、教育により人は調教できるようで恐ろしい。先ず私の政治的意見は、朝日新聞のそれらとは、ほとんどの場合、全く反対であることを明確にしておく。私は、日本は出来れば自主独立を達成し、戦術核を保持すべきだと考えている人間である。そして、日本政治のあり方を考える際に意見を聞くべき論客は、故西部邁氏や伊藤貫氏だと思っている。
上記、有本氏の考えには全く反対である。有本氏は、政府案に100%賛成のようであり、それに異を唱える朝日新聞の社説に論理的反論ではなく、単に立腹しているようだ。しかし、現政権の殊更に愛国精神の大切さを強調する教育は、教育というより人間の調教だと思う。
子々孫々のためになる愛国心を国民の間に育てるには、「我々国民は、国家のおかげでこの豊かで安全な生活を維持できている」ことを、歴史などの科目の中で論理的に教えるべきであると思う。つまり、「日本国を維持発展させること」と、「自分たち日本人とその子孫の将来」との関係を、歴史と論理を用いて考えさせることが、真の教育である。取り立てて「我々は日本国を愛する」と合唱する類の愛国教育など不要であるし、ましてや現政権「日本国政府」を盲目的に愛する教育は将来に憂いを残すだろう。
有本氏の主張する愛国教育の不健全さは、隣人愛教育に例えて考えるとわかりやすいかもしれない。つまり、有本氏の主張する教育は「汝の隣人を愛せよ」と聖書のセリフを信じこませることと同じである。それは、調教である。(補足3)本当の隣人愛の教育には、将来何かの時に隣人との間で協力することの必要性を、具体的論理的に学ぶことが第一に必要である。それを学べば隣人愛は、自発的に生じるだろう。愛国心教育もそのようでなくてはならないと思う。
安倍総理には良い政策も多いが、米国金融資本などが牛耳る米国政府に完全に服従している。70年談話と日韓慰安婦問題合意がそれを明確に示している。日本が抱える領土問題の原点には、戦後米国の日本統治政策が存在する。つまり、米国は日本が近隣と問題を抱えて、東アジアから浮き上がるように設定したのである。
北朝鮮問題も、米国がトラブルを半島に残し、それを理由に日韓に米軍を置く理由として作ったのである。朝鮮戦争の休戦協定や1975国連総会決議では、和平を進言している。しかし、それを受け入れなかったのは米国である。このような路線を米国の支持通りに信じることを愛国教育として教えるのは、日本民族にとって非常に危険である。尖閣諸島問題や北方4島問題も、昭和史をしっかり勉強することが何よりも大事である。「戦前日本人が住んでいたから、現在も日本固有の領土である」と云う論理は一般には通らない。
(尚、上記感想などは、引用したyoutube動画の最初の5分間の内容にたいするものである。それ以降を聞く興味は私にはないので、その点お断りしておきたい。)
補足:
1)朝日社説として朗読された内容: “多面的多角的な考察が全体の基調なのに、こと愛国心や領土問題になると政府の立場を強く押し出す 2022年度から実施される高校の学習指導要領の改訂案は木に竹を継いだような内容だ。 これまでの現代社会を再編した新科目公共は目標に自国を愛しその平和と繁栄を図る大切さについて自覚を図る。地理歴史の目標にも日本国民としての自覚、我が国の国土や歴史にたいする愛情を深めると明記された。 国際協調の重要さについても言及している。しかし、いまの指導要領の「良識ある公民として必要な能力や態度を育てる」といった記述に比べると、かなり踏み込んだ表現である。
教科を学ぶうえで大切なのは、学問的・客観的な事柄について理解を深め、追求する姿勢を養うことだ。そこに人の内面に関わる問題を紛れ込ませるべきではない。再考を求める。
領土問題に関する書きぶりを見ても、たとえば「尖閣諸島は我が国の固有の領土であり、領土問題は存在しないことも扱うこと」などとなっている。
政府見解を知識として生徒に伝えることは大切だ。だが「これを正解として教え込め」という趣旨なら賛成できない。相手の主張やその根拠を知らなければ、対話も論争も成り立たない。他者と対話・協働して課題を解決する。それが新指導要領の理念ではなかったか。
いま、政権批判や在日外国人の存在そのものを「反日」と決めつける風潮がはびこる。それだけに、日本の立場をひたすら強調する方向での記述の変更には、危うさを覚える。”
(より正確には朝日新聞のサイト参照:https://www.asahi.com/articles/DA3S13359788.html?iref=pc_ss_date)
2)日本政府の主張は、唯一の正式な日本国の主張である。それ以外の主張は、「言論の自由」を根拠に許されるが、日本国の主張ではない。朝日新聞がどう主張しようが勝手であり、何故有本氏が怒り心頭に発するのかわからない。国民の間での結束が弱いのなら、出来れば結束を強めるべきだと思う。しかし、国際社会という半ば野生のルールが支配する世界の中で、日本が生き残る手法を単に「愛国心」を育てるだけで乗り切るのには無理がある。日本の無残な敗戦の一因は、その時代の無能な指導者が、天皇陛下万歳的な愛国教育で国民の命の値段を安くして利用したことだろう。
3)調教と言ったのは、そのまま信じ込ませることを言っている。世界的な宗教における知恵は、ほとんどの場合、論理的な説明が可能だと思う。
2018年2月27日火曜日
2018年2月25日日曜日
中国政治における客家(ハッカ)の重要性
1)「憎まれっ子世に憚る」と言うことわざがある。「他人から憎まれるような者ほど人間世界で幅をきかせる」という意味である。それが事実である場合、そのように事が進むプロセスを描くのは簡単である。つまり、憎まれる原因とその対策を日々考えることが、その人の思考力と世界で生きる知恵を育て、やがてその人をそこで幅を利かせる人物に“成長”させるのである。
よくあるのは、「憎まれっ子」とは少数派であり、彼等を憎む行為はその対象である個人や少数派に原因があるわけではないというケースである。つまり、単に多数派が団結のために少数派を排除するのである。(補足1)それは、多数派個人の主体性のない行動の産物に過ぎない。
その立場があるマイノリティーの人々に対して運命的なものとして子々孫々受け継がれるとした場合、その集団の運命はどうなるだろうか。もし数世代或いは十数世代、その立場で生き残った場合、その集団の人達は「適者生存の原則」により全体として非常に優秀な頭脳や処世術を身につけているだろう。それがグローバル化の世界を席巻するユダヤ民族だけでなく、中国の客家にも共通しているのではないだろうか。
客家とは、中国漢民族の一派と考えられるが、中国人一般が理解できない客家語を話す人たちのことである。東北部や中原から戦乱を逃れて南下し、移住と定住を繰り返し、福建省、江西省、広東省、海南島、台湾などの南部に現在多い。また、諸外国に分散した華僑の三分の一を占めると言われる。客家を含む華僑はユダヤ人・アルメニア人・印僑と共に四大移民集団の一つと言われる。
2)私がこの客家の重要性を知ったのは、ノンフィクション作家で中国に詳しい河添恵子氏の動画(26分)をみたからである。 https://www.youtube.com/watch?v=iwTwszbR9Gg&t=3414s 客家に中国や東南アジアの政治家として重要な位置を占める人が非常に多い。河添恵子氏は、中国の政治家として出世する重要なファクターとして、能力や外見とともに客家であることや客家との人脈をあげる。(補足2)
孫文や蒋介石は外見に優れていたことと伴に、夫人が宋慶齢と宋美齢という客家であったことを指摘している。その他に客家として、朱徳、鄧小平、李鵬、李登輝、蔡英文、アキノ(フィリピン)、リークワンユー(シンガポール)などがいる。
習近平を裸の王様という人がいるが、実際は華僑の強い人脈を持っている。習近平は福建省時代(2002年まで福建省トップ)に東南アジア(特にインドネシア)の客家人を多く含む華僑のネットワークとその資金で出世した。(補足3)現在のインドネシア大統領も客家人華僑の強い支援を受けている。習近平の裏に華僑人脈があることは、昨日(2018/2/24)の日経新聞も報じている。 https://www.nikkei.com/article/DGXDZO48039730T01C12A1TY9000/
習近平の出世の鍵となる出来事は、天安門事件(1989)であった。改革解放と言っていた鄧小平(客家)の大失態であり、その結果日本など西欧社会から金が全く入らなくなった。その際、資金に窮した中国は客家が多くを占める東南アジアや台湾の華僑を利用し、外資特に台湾から金を調達して中国の立ち直りに努力したと言う。(補足4)習近平は、90年代(福建省時代)に鄧小平の下でその策に功績を残し、鄧小平に認められた。その時のことを、習近平は論文にしており、それを河添氏は読んだという。その人脈が、現在の習近平を支えているのだろう。(補足5)
華僑の協力を得ることは、1990年代前半までは華僑は反共であったので簡単ではなかった。そこで、協力を得るために中国は反日組織の再構築を行ったという。その際、米国での拠点が中国人が多く棲むサンフランシスコであった。最近その活動はバージョンアップされ、2015年外国初の抗日勝利記念館をサンフランシスコに開館した。(補足6)
3)客家人は隣人と同じ言葉を使わないので、世界に散らばり人的ナットワークを重要な武器として生きている。米国に移住した客家人は、英語をマスターしてそこでのネットワーク構築を重要な生存手段とした。その国際的な人間関係構築とその利用は、ユダヤ人にも共通している。
戦前、米国の対日戦争に大きく関与したのが、客家である蒋介石夫人の宋美齢であった。宋はフランクリン・ルーズベルトに深く取り入り、米国議会で中国に対する日本の行いを宣伝し、米国を対日参戦に導く努力をした。河添氏は、蒋介石が日本の敗戦後に米国に見捨てられたのは、ルーズベルトの死が原因であると断言する。(補足7)
大統領の職を引き継いだトルーマンは、宋美齢を売女とよんで遠ざけたというから、ルーズベルトとの深い関係が理解できる。宋美齢の兄の宋子文はハーバード大やコロンビア大に学び、アメリカ系フリーメイソンリーと関係の深い「イースタン・スター」フラタニティの会員であった。米国も政治には個人的ネットワークが重要であり、その人脈は中国にも及ぶ。クリントンやキッシンジャーが中国に密な人脈を持っていると考える人が多い。
故郷のない流浪の民である客家は、世界の中に自分の棲家を求めて能力を最大限に磨く。英語を話し、キリスト教徒となったとしても、それは金と人脈のための道具なのだろう。それに比べて、故郷にぬくぬくと暮らす人間は、自分たちの未来を食いつぶしていることに気がつかないのである。(補足8)日本でも、経済界で目に見える活躍をしている人に流浪の民に近い人達(在日韓国人など)が多いのは、自然な現象である。彼等は幼少期に例外なくいじめられっ子であった。
補足:
1)塩と微量の砂糖の水溶液から水を蒸発すれば、塩は砂糖を排除して互いに結びついて結晶化する。つまり、水の蒸発は塩イオンが水の中で居心地を悪くし、互いに結びついて砂糖分子を排除するのである。少数派のイジメも本質はこれと同じであり、非常に原始的(原子や分子のレベル)な現象である。
2)河添氏によると、チャイナセブンの身長はほぼ全員身長180cm近い。例えば米国大統領と並んだ場面において、体格で見劣りしないことが中国の政治家として大事な一要素だという。例えば、蒋介石は外見に優れたが、能力は無く英語も全く喋れなかった。後述するが、彼の米国に対する働きかけは客家である妻、宋美齢によると云う。
3)ここで大事なのは、客家人の人脈と資金で出世した場合、支援をした客家人は習近平が出世した後にその恩恵を受ける。それは、近代民主主義政治では腐敗と呼ぶ。つまり、中国から腐敗をなくすることは不可能だということである。腐敗追放を叫んで習近平との競争で一発逆転を狙った薄煕来が、その腐敗で摘発されたのは象徴的である。
4)「台湾から金を持ってくるのに、東南アジアの華僑が大事な役割をする」という話は日本人には分かりにくいかもしれない。しかし、利用できる人的ネットワークとは、正にそのような密な人間関係でなくてはならないのだろう。例えば、エジプトのスエズ運河の経営権を英国が手に入れる際、その可能性はフランスのロスチャイルド家からイギリスのロスチャイルド家を経由して当時の首相であったユダヤ人ディレディ(Disraeli)に伝達された。そして首相Disraeliは、英国ロスチャイルドの金でスエズの株をエジプト国王から買収した。それが、英国の栄華にどれだけ寄与したか計り知れない。
5)沖縄の翁長知事は、その後福州市から名誉市民の称号を得た。それと翁長氏の沖縄辺野古基地反対の姿勢とは密接に関係しているだろう。それを日本人は知るべきである。
6)従軍慰安婦の問題も中国は利用し始めている。それは反日が金になることを知ったからである。今後、益々その工作が日本から金をむしり取るために用いられるだろうと河添氏は語る。その当たりの詳細は、河添氏が別の講演で語っている。その要旨のサイトを示す:http://www.kokuminkaikan.jp/chair/detail20160604.html 尚、客家女性の陳紅梅は、ケネディーからクリントンまでの米国大統領8代の顧問であったことを日本人は知るべきである。
7)この問題の解釈は、人により異なる。ルーズベルトの側近に共産主義者がいた事は有名であり、更に、ロシアの共産革命にユダヤ人資本(米国の金融或いは米国そのものを牛耳る)が寄与したと考える人は多い。蒋介石は所詮使い捨てにされる運命だったのかもしれない。そのように考えると、宋美齢はルーズベルトに利用されたことになる。湾岸戦争の前に米国議会で証言した少女のように。https://www.youtube.com/watch?v=LmfVs3WaE9Y
8)栄華を極めたスペイン、ポルトガル、オランダ、イギリスの凋落を西欧のマイノリティーであるユダヤ人との関係で捉えることも可能だろう。流浪の民であるユダヤ人の一団は、この順番で移動した。そして、いじめられっ子の知恵を総動員して生き残り、世界の金融を支配するようになったと考えられるだろう。
よくあるのは、「憎まれっ子」とは少数派であり、彼等を憎む行為はその対象である個人や少数派に原因があるわけではないというケースである。つまり、単に多数派が団結のために少数派を排除するのである。(補足1)それは、多数派個人の主体性のない行動の産物に過ぎない。
その立場があるマイノリティーの人々に対して運命的なものとして子々孫々受け継がれるとした場合、その集団の運命はどうなるだろうか。もし数世代或いは十数世代、その立場で生き残った場合、その集団の人達は「適者生存の原則」により全体として非常に優秀な頭脳や処世術を身につけているだろう。それがグローバル化の世界を席巻するユダヤ民族だけでなく、中国の客家にも共通しているのではないだろうか。
客家とは、中国漢民族の一派と考えられるが、中国人一般が理解できない客家語を話す人たちのことである。東北部や中原から戦乱を逃れて南下し、移住と定住を繰り返し、福建省、江西省、広東省、海南島、台湾などの南部に現在多い。また、諸外国に分散した華僑の三分の一を占めると言われる。客家を含む華僑はユダヤ人・アルメニア人・印僑と共に四大移民集団の一つと言われる。
2)私がこの客家の重要性を知ったのは、ノンフィクション作家で中国に詳しい河添恵子氏の動画(26分)をみたからである。 https://www.youtube.com/watch?v=iwTwszbR9Gg&t=3414s 客家に中国や東南アジアの政治家として重要な位置を占める人が非常に多い。河添恵子氏は、中国の政治家として出世する重要なファクターとして、能力や外見とともに客家であることや客家との人脈をあげる。(補足2)
孫文や蒋介石は外見に優れていたことと伴に、夫人が宋慶齢と宋美齢という客家であったことを指摘している。その他に客家として、朱徳、鄧小平、李鵬、李登輝、蔡英文、アキノ(フィリピン)、リークワンユー(シンガポール)などがいる。
習近平を裸の王様という人がいるが、実際は華僑の強い人脈を持っている。習近平は福建省時代(2002年まで福建省トップ)に東南アジア(特にインドネシア)の客家人を多く含む華僑のネットワークとその資金で出世した。(補足3)現在のインドネシア大統領も客家人華僑の強い支援を受けている。習近平の裏に華僑人脈があることは、昨日(2018/2/24)の日経新聞も報じている。 https://www.nikkei.com/article/DGXDZO48039730T01C12A1TY9000/
習近平の出世の鍵となる出来事は、天安門事件(1989)であった。改革解放と言っていた鄧小平(客家)の大失態であり、その結果日本など西欧社会から金が全く入らなくなった。その際、資金に窮した中国は客家が多くを占める東南アジアや台湾の華僑を利用し、外資特に台湾から金を調達して中国の立ち直りに努力したと言う。(補足4)習近平は、90年代(福建省時代)に鄧小平の下でその策に功績を残し、鄧小平に認められた。その時のことを、習近平は論文にしており、それを河添氏は読んだという。その人脈が、現在の習近平を支えているのだろう。(補足5)
華僑の協力を得ることは、1990年代前半までは華僑は反共であったので簡単ではなかった。そこで、協力を得るために中国は反日組織の再構築を行ったという。その際、米国での拠点が中国人が多く棲むサンフランシスコであった。最近その活動はバージョンアップされ、2015年外国初の抗日勝利記念館をサンフランシスコに開館した。(補足6)
3)客家人は隣人と同じ言葉を使わないので、世界に散らばり人的ナットワークを重要な武器として生きている。米国に移住した客家人は、英語をマスターしてそこでのネットワーク構築を重要な生存手段とした。その国際的な人間関係構築とその利用は、ユダヤ人にも共通している。
戦前、米国の対日戦争に大きく関与したのが、客家である蒋介石夫人の宋美齢であった。宋はフランクリン・ルーズベルトに深く取り入り、米国議会で中国に対する日本の行いを宣伝し、米国を対日参戦に導く努力をした。河添氏は、蒋介石が日本の敗戦後に米国に見捨てられたのは、ルーズベルトの死が原因であると断言する。(補足7)
大統領の職を引き継いだトルーマンは、宋美齢を売女とよんで遠ざけたというから、ルーズベルトとの深い関係が理解できる。宋美齢の兄の宋子文はハーバード大やコロンビア大に学び、アメリカ系フリーメイソンリーと関係の深い「イースタン・スター」フラタニティの会員であった。米国も政治には個人的ネットワークが重要であり、その人脈は中国にも及ぶ。クリントンやキッシンジャーが中国に密な人脈を持っていると考える人が多い。
故郷のない流浪の民である客家は、世界の中に自分の棲家を求めて能力を最大限に磨く。英語を話し、キリスト教徒となったとしても、それは金と人脈のための道具なのだろう。それに比べて、故郷にぬくぬくと暮らす人間は、自分たちの未来を食いつぶしていることに気がつかないのである。(補足8)日本でも、経済界で目に見える活躍をしている人に流浪の民に近い人達(在日韓国人など)が多いのは、自然な現象である。彼等は幼少期に例外なくいじめられっ子であった。
補足:
1)塩と微量の砂糖の水溶液から水を蒸発すれば、塩は砂糖を排除して互いに結びついて結晶化する。つまり、水の蒸発は塩イオンが水の中で居心地を悪くし、互いに結びついて砂糖分子を排除するのである。少数派のイジメも本質はこれと同じであり、非常に原始的(原子や分子のレベル)な現象である。
2)河添氏によると、チャイナセブンの身長はほぼ全員身長180cm近い。例えば米国大統領と並んだ場面において、体格で見劣りしないことが中国の政治家として大事な一要素だという。例えば、蒋介石は外見に優れたが、能力は無く英語も全く喋れなかった。後述するが、彼の米国に対する働きかけは客家である妻、宋美齢によると云う。
3)ここで大事なのは、客家人の人脈と資金で出世した場合、支援をした客家人は習近平が出世した後にその恩恵を受ける。それは、近代民主主義政治では腐敗と呼ぶ。つまり、中国から腐敗をなくすることは不可能だということである。腐敗追放を叫んで習近平との競争で一発逆転を狙った薄煕来が、その腐敗で摘発されたのは象徴的である。
4)「台湾から金を持ってくるのに、東南アジアの華僑が大事な役割をする」という話は日本人には分かりにくいかもしれない。しかし、利用できる人的ネットワークとは、正にそのような密な人間関係でなくてはならないのだろう。例えば、エジプトのスエズ運河の経営権を英国が手に入れる際、その可能性はフランスのロスチャイルド家からイギリスのロスチャイルド家を経由して当時の首相であったユダヤ人ディレディ(Disraeli)に伝達された。そして首相Disraeliは、英国ロスチャイルドの金でスエズの株をエジプト国王から買収した。それが、英国の栄華にどれだけ寄与したか計り知れない。
5)沖縄の翁長知事は、その後福州市から名誉市民の称号を得た。それと翁長氏の沖縄辺野古基地反対の姿勢とは密接に関係しているだろう。それを日本人は知るべきである。
6)従軍慰安婦の問題も中国は利用し始めている。それは反日が金になることを知ったからである。今後、益々その工作が日本から金をむしり取るために用いられるだろうと河添氏は語る。その当たりの詳細は、河添氏が別の講演で語っている。その要旨のサイトを示す:http://www.kokuminkaikan.jp/chair/detail20160604.html 尚、客家女性の陳紅梅は、ケネディーからクリントンまでの米国大統領8代の顧問であったことを日本人は知るべきである。
7)この問題の解釈は、人により異なる。ルーズベルトの側近に共産主義者がいた事は有名であり、更に、ロシアの共産革命にユダヤ人資本(米国の金融或いは米国そのものを牛耳る)が寄与したと考える人は多い。蒋介石は所詮使い捨てにされる運命だったのかもしれない。そのように考えると、宋美齢はルーズベルトに利用されたことになる。湾岸戦争の前に米国議会で証言した少女のように。https://www.youtube.com/watch?v=LmfVs3WaE9Y
8)栄華を極めたスペイン、ポルトガル、オランダ、イギリスの凋落を西欧のマイノリティーであるユダヤ人との関係で捉えることも可能だろう。流浪の民であるユダヤ人の一団は、この順番で移動した。そして、いじめられっ子の知恵を総動員して生き残り、世界の金融を支配するようになったと考えられるだろう。
2018年2月23日金曜日
幻の米朝会談について
1)北朝鮮の申出により、オリンピック開会式に出席していた米国ペンス副大統領と北朝鮮首脳との間で米朝会談が予定されていたが、北朝鮮が2時間前に断ったと米国マスコミが報じた。(2月20日ワシントン・ポスト)のこの件、米国の対話姿勢の確認のために、北朝鮮が最初から断ることを前提に申し込んだものらしい。この分析は、評論家の佐藤優氏により為されたもので、私は今回の佐藤氏の分析を流石だと思った。
日本は米国の犬であるから圧力一辺倒だが、その飼主はもっと自分に損害が及ばない方向でこの問題の解決を考えているのである。https://www.youtube.com/watch?v=ub_aAOpFn5s
この件当初佐藤氏は、韓国がオリンピックを利用して、北朝鮮問題の平和的解決の糸口を両国に見つけさせようとアレンジしたと考えていた。日本政府を始め多くの評論家が解釈を間違ったことは、日本がこの問題を全く理解していないこと、そして、日本政府も秘密裏にことが進むようになれば所詮蚊帳の外であることを証明したことになる。
会談の約束をキャンセルすることが北朝鮮のシナリオ通りだと佐藤氏が考える根拠は、金正恩の妹である金与正氏との会談が失敗した場合、金王朝に対する威厳が傷つけられ、それがやがて金正恩の立場を悪くする可能性が高いからである。(補足1)参照。 最初から米朝和平という向こう岸に渡る為の“瀬踏み”だったというのだ。米国に平和的解決の意志があるという確認が出来たので、北朝鮮は次に米韓軍事演習を韓国側からの拒絶するように要請するだろう。そして、文在寅大統領はそれに合意するだろう。
2)この外交的秘密がワシントン・ポストにより明らかにされた背景を佐藤優氏は、“深読み”と断わりながら語っている。「トランプ政権は、ICBMは許さないが中距離核までの保持を許すかも知れない。そう危惧する人たち(補足2)が、まさに今回そのような交渉をする可能性があったのだと言うために上記の話をリークしたのだろう」と分析した。そして、佐藤氏は「日本側にはそのような米国の姿勢に全く気付いていないし、考慮していない」と続けた。
実際、官房長官はテレビで米国の姿勢は、これまで通り強い圧力をかけ続けるという話に終始しているし、新聞は上記佐藤氏のような分析を掲載していない。産経新聞によると: 菅義偉官房長官は21日の記者会見で、米朝会談を北朝鮮側が拒否したことについて、「対話のための対話は全く意味がない。北朝鮮に政策を変えさせるためにはあらゆる手段を通じて圧力を最大限にし、北朝鮮から対話を求めてくる状況を作る必要がある」と述べた。
また、「安倍晋三首相とペンス副大統領は十分な時間をかけて、訪韓する北朝鮮代表団への対応などについて綿密にすりあわせを行い、必要な情報共有はしている」と強調し、事前に米国から情報がもたらされていたことを示唆した。
引用文の前半は意味不明の文章になっている。茶飲み友達でもない間柄で「対話の為の対話」などであるはずがない。また今回、北朝鮮から話し合いを求めてきたのだから、(補足3)これまでの圧力が効いたという評価しているようでもない。日本側はそのような事態を理解していないと佐藤氏が言う通り、首相や官房長官などは当惑している様である。
圧力を強めれば北朝鮮の非核化が実現するとは、いくら目出度い日本政府でも考えてはいないだろう。日本政府が考えているのは、圧力で経済的にも困窮した北朝鮮に内乱が起こり、臨時政府を相手になら北朝鮮の非核化ができるという筋書きだろう。それは余りにも運任せである。
その姿勢を貫いた末に最悪の戦争になれば、日本に何万—何百万人という死者を出すだろう。その可能性を排除して北朝鮮問題を解決する方法は、北朝鮮に核兵器保持を認めて米朝和平を行うことのみである。日本は差し当たり解決する当事者ではない(被害を受けると言う意味の当事者ではある)ので、その筋書きも考えて、日本は独自の核戦略と外交を並行した筋書きとして考えるべきだと18日のブログに書いた。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43573275.html
トランプ大統領が北朝鮮問題を直接軍事攻撃で解決することなど考えていないだろう(補足4)し、その考えが万が一あったとしても韓国はそれに従わないだろう。韓国が同意しないで、第二次朝鮮戦争を始めることは、米国でも出来ない。韓国が向こう岸に行けば、覇権の谷間に日本がなり、それは悲劇的シナリオである。
補足:
1)ペンス副大統領と会談が行われたとしても、おそらく殆ど何の進展も無いように見えるだろう。それが北朝鮮にとって、中距離核兵器まで保持した形の決着への大事な一歩となる会談であっても、これまで国内に行ってきた金正恩の「米国など蹴散らしてやる」レベルのアナウンスを基準にした場合、100%失敗に終わった印象を国内に与え、政権崩壊の一歩になり得る。
Kim Yong Namとの会談として申し込んでいたのなら、会談できただろう。それが出来なかったのは「金正恩でないと会談できない」という米側の返答を恐れたのだろう。
http://pqasb.pqarchiver.com/washingtonpost/doc/2006669603.html?FMT=FT&FMTS=CITE:FT&date=Feb+21%2C+2018&author=Parker%2C+Ashley&desc=N.+Koreans%2C+Pence+were+to+have+met+in+S.+Korea&free=1
2)何が何でも北朝鮮を非核化したいと思う人たちである。この好戦的な人たちは、強力残虐な高度軍事技術の国際的デモンストレーションをしたいのかもしれない。多数の死者がアジア人に出ても、「自国の防衛の為だろう」と何食わぬ顔で言える人達かもしれない。
3)ワシントン・ポストの記事によると、“It(会議)began to take shape when the CIA gotword that the North Koreans wanted to meet with Pence when he was on the KoreanPeninsula, according to a senior White House official.”ホワイトハウスの高官によると、CIAが北朝鮮側の訪韓中にペンス副大統領と会談したいという言葉を得て話が具体化した。つまり、北朝鮮の意志により会談の設定が為されたのである。10日土曜日の午後早く青瓦台(South Korea's Blue House)で、会談は予定されていたとある。
4)大きい声で軍事的オプションの可能性を言っているのは、米国の犬を買って出た人だろう。
日本は米国の犬であるから圧力一辺倒だが、その飼主はもっと自分に損害が及ばない方向でこの問題の解決を考えているのである。https://www.youtube.com/watch?v=ub_aAOpFn5s
この件当初佐藤氏は、韓国がオリンピックを利用して、北朝鮮問題の平和的解決の糸口を両国に見つけさせようとアレンジしたと考えていた。日本政府を始め多くの評論家が解釈を間違ったことは、日本がこの問題を全く理解していないこと、そして、日本政府も秘密裏にことが進むようになれば所詮蚊帳の外であることを証明したことになる。
会談の約束をキャンセルすることが北朝鮮のシナリオ通りだと佐藤氏が考える根拠は、金正恩の妹である金与正氏との会談が失敗した場合、金王朝に対する威厳が傷つけられ、それがやがて金正恩の立場を悪くする可能性が高いからである。(補足1)参照。 最初から米朝和平という向こう岸に渡る為の“瀬踏み”だったというのだ。米国に平和的解決の意志があるという確認が出来たので、北朝鮮は次に米韓軍事演習を韓国側からの拒絶するように要請するだろう。そして、文在寅大統領はそれに合意するだろう。
2)この外交的秘密がワシントン・ポストにより明らかにされた背景を佐藤優氏は、“深読み”と断わりながら語っている。「トランプ政権は、ICBMは許さないが中距離核までの保持を許すかも知れない。そう危惧する人たち(補足2)が、まさに今回そのような交渉をする可能性があったのだと言うために上記の話をリークしたのだろう」と分析した。そして、佐藤氏は「日本側にはそのような米国の姿勢に全く気付いていないし、考慮していない」と続けた。
実際、官房長官はテレビで米国の姿勢は、これまで通り強い圧力をかけ続けるという話に終始しているし、新聞は上記佐藤氏のような分析を掲載していない。産経新聞によると: 菅義偉官房長官は21日の記者会見で、米朝会談を北朝鮮側が拒否したことについて、「対話のための対話は全く意味がない。北朝鮮に政策を変えさせるためにはあらゆる手段を通じて圧力を最大限にし、北朝鮮から対話を求めてくる状況を作る必要がある」と述べた。
また、「安倍晋三首相とペンス副大統領は十分な時間をかけて、訪韓する北朝鮮代表団への対応などについて綿密にすりあわせを行い、必要な情報共有はしている」と強調し、事前に米国から情報がもたらされていたことを示唆した。
引用文の前半は意味不明の文章になっている。茶飲み友達でもない間柄で「対話の為の対話」などであるはずがない。また今回、北朝鮮から話し合いを求めてきたのだから、(補足3)これまでの圧力が効いたという評価しているようでもない。日本側はそのような事態を理解していないと佐藤氏が言う通り、首相や官房長官などは当惑している様である。
圧力を強めれば北朝鮮の非核化が実現するとは、いくら目出度い日本政府でも考えてはいないだろう。日本政府が考えているのは、圧力で経済的にも困窮した北朝鮮に内乱が起こり、臨時政府を相手になら北朝鮮の非核化ができるという筋書きだろう。それは余りにも運任せである。
その姿勢を貫いた末に最悪の戦争になれば、日本に何万—何百万人という死者を出すだろう。その可能性を排除して北朝鮮問題を解決する方法は、北朝鮮に核兵器保持を認めて米朝和平を行うことのみである。日本は差し当たり解決する当事者ではない(被害を受けると言う意味の当事者ではある)ので、その筋書きも考えて、日本は独自の核戦略と外交を並行した筋書きとして考えるべきだと18日のブログに書いた。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43573275.html
トランプ大統領が北朝鮮問題を直接軍事攻撃で解決することなど考えていないだろう(補足4)し、その考えが万が一あったとしても韓国はそれに従わないだろう。韓国が同意しないで、第二次朝鮮戦争を始めることは、米国でも出来ない。韓国が向こう岸に行けば、覇権の谷間に日本がなり、それは悲劇的シナリオである。
補足:
1)ペンス副大統領と会談が行われたとしても、おそらく殆ど何の進展も無いように見えるだろう。それが北朝鮮にとって、中距離核兵器まで保持した形の決着への大事な一歩となる会談であっても、これまで国内に行ってきた金正恩の「米国など蹴散らしてやる」レベルのアナウンスを基準にした場合、100%失敗に終わった印象を国内に与え、政権崩壊の一歩になり得る。
Kim Yong Namとの会談として申し込んでいたのなら、会談できただろう。それが出来なかったのは「金正恩でないと会談できない」という米側の返答を恐れたのだろう。
http://pqasb.pqarchiver.com/washingtonpost/doc/2006669603.html?FMT=FT&FMTS=CITE:FT&date=Feb+21%2C+2018&author=Parker%2C+Ashley&desc=N.+Koreans%2C+Pence+were+to+have+met+in+S.+Korea&free=1
2)何が何でも北朝鮮を非核化したいと思う人たちである。この好戦的な人たちは、強力残虐な高度軍事技術の国際的デモンストレーションをしたいのかもしれない。多数の死者がアジア人に出ても、「自国の防衛の為だろう」と何食わぬ顔で言える人達かもしれない。
3)ワシントン・ポストの記事によると、“It(会議)began to take shape when the CIA gotword that the North Koreans wanted to meet with Pence when he was on the KoreanPeninsula, according to a senior White House official.”ホワイトハウスの高官によると、CIAが北朝鮮側の訪韓中にペンス副大統領と会談したいという言葉を得て話が具体化した。つまり、北朝鮮の意志により会談の設定が為されたのである。10日土曜日の午後早く青瓦台(South Korea's Blue House)で、会談は予定されていたとある。
4)大きい声で軍事的オプションの可能性を言っているのは、米国の犬を買って出た人だろう。
2018年2月20日火曜日
オリンピックと愚民化政策
1)大衆に対する警句として屡々用いられることばに、「パンとサーカス」がある。大衆が愚民化すれば、政治も文化も退廃し国家も危うくなる。この言葉の原典は、古代ローマのユウェナリス(西暦60−130)が古代ローマ社会の世相を揶揄して書いた詩篇である。権力者から無償で与えられるパン(食料)とサーカス(見世物)によって、ローマ市民が政治的盲目に置かれていることを指摘した。
市民とは市民階級の人たちであり、その下で働いていたのが奴隷である。奴隷といっても知的に優れたものは医師や会計士となって働いたというから、市民権を得ていない外国人(ギリシャ人)だったらしい。(以上、ウィキペディアによる。)その市民ですら、或いは、そのような市民だからこそ、差し当たり平穏なら頭を使わず単なる動物としての本能しか働かせないのである。
奴隷として外国人を働かせていた以上、外国人の反乱は十分考えられる。また、外国からの侵略があれば、自分たちも奴隷のような身分になる可能性もあり得る。また、ローマ内部の政治的混乱などもあり得る。ユウェナリスの生きた時代、ローマは現在のイスラエルまでも支配していた時代であるが、この詩人には尚その国の危うさが見えていたのだろう。
2)ここ数日、オリンピック報道がテレビのバラエティー番組を占領している。日本人による金メダル等獲得のニュースは素晴らしい。その演技や記録(タイム)は人間業とは思えないレベルなのは、彼等、例えばフィギュアスケートで金メダルをとった羽生さんや銀メダルの宇野さん、ハーフパイプで銀メダルを取った平野さんらすべてが、幼少期より練習に励んでいるからである。
詳細は分からないが、その影でオリンピック出場資格を目指しながら得られず、オリンピック開催前30歳の若さで、自室で死亡した人の話も聞く。かれらの競技に挑む姿勢からみて、それらはスポーツというよりも仕事或いは人生そのものである。それら競技が仕事や人生そのものとなり得るのは、テレビ等の宣伝媒体と一体となることで、高い経済価値を生むからである。つまり、これらの競技はまさに「パンとサーカス」のサーカスである。日本人のメダル獲得を素直に喜ぶだけでは、済まされないように思う。
スポーツの英語訳であるSport(s)を再び英和辞書で見ると、スポーツ、娯楽、楽しみ、冗談のような日本語訳が書かれている。更にスポーツ(sport)の語源を調べると、disport(=遊び興じる)である。(補足1)そのスポーツを一部の人たちの仕事或いは人生にしてしまう現在社会は、正常なのだろうか。或いは、オリンピックの競技をスポーツと呼ぶのは正しい言葉の使用法なのだろうか。
スポーツがテレビなどと結びついて資本主義経済の宣伝媒体となって久しい。そのスポーツにたいして高い権威付けをしているのがオリンピックであり、その権威付がオリンピック選手達の演技に高い価値を与え、選手たちの社会的地位を上げる根拠となっている。
オリンピックが平和の祭典というのは、古代ギリシャの話に過ぎない。現在、オリンピックは資本主義経済&政治の祭典である。オリンピック競技に高い経済的利用価値を付与すると同時に、選手を国籍分けにして競争させ、世界の人々の心のなかにナショナリズムを高揚させるという大きな政治的役割を果たしているからである。
3)今回のオリンピックの特徴は、北朝鮮問題に関する国際政治の緊張が、ピークに達している時期に開催されたことである。この問題に最も深刻に係るのは北朝鮮、韓国、そして日本の三カ国である。その深刻な時期にも拘らず、日本のマスコミは国民にその問題の議論よりも、オリンピックの熱狂を煽っている。
グローバル資本主義世界の意図は、国民の関心をそらして政治的白痴化の世界に持ち込み、自分たちの政治目的を達成することである。それは、政治と経済における世界支配である。明らかに、オリンピックは資本主義経済、更に、世界政治において人々の愚民化政策の道具になっている。マスコミもその戦略に協力している。https://www.youtube.com/watch?v=Gc9rsvBIh9U (政治に目覚める大衆をおそれる、ブレジンスキー米国元米国大統領補佐官の言葉)
氷の上の宙返りや踊り、そして、昔は刑罰であったと言われるスキージャンプ(補足2)などのサーカスを見て興じる人々の姿は、やがて氷山にぶつかるタイタニックの上での華やかなレセプションに興じる姿に重なる。タイタニック乗組員は、その華やかな初航海の雰囲気の中で、氷山群が近づいているという無線連絡を聴き逃したか無視したのである。
人の一生は短い。従って、人類が高度な文明を築くためには、知性ある人々は専門家として各専門を受け持ち、それを正常に総合的につなぐ必要がある。そのつなぎ目を受け持つのが、やはり専門家としての政治家とその下の官吏であり、その経緯を検証するのが歴史家の役割である。その政治と歴史検証を、自分たちの望む方向に導いているのが、一部の巨大利益と人類支配を目論む人たちではないだろうか。(補足3)その道具として、オリンピックが少なくとも結果として利用されている。
多くの知性ある人々の力は、専門家としての地位を維持するために消費され、更に、愚民化された一般大衆の中に希釈されて、政治的な力が消されている。そして、政治と歴史を自分たちの望む方向に導く一部の支配層のシナリオを容易にしている。(補足3)その道具として、オリンピックが(少なくとも結果として)利用されている。
元々スポーツは実践するためのものである。それを教える為の教員は必要だろうが、見世物としてのスポーツはローカルなものに留めておくべきだと思う。それを華やかな国際社会の主舞台に持ち込んで、ナショナリズムを高揚させるために用いたりするのは邪道であり、止めるべきである。
今回の第二次大戦以後最大の危機と言われる中、華やかに開催されたオリンピックを観ての感想である。
(以上の考えは、随分と僻んだ見方だと思われることは覚悟の上である。ただ、スポーツの世界がなんとなく異常に見えてきたので、それを指摘する方向に論点を決めて書いた。オリンピック賛美論のアンチテーゼである。)
補足:
1)disportはdis + portであり、disは除く、離れるなどを意味する接頭語で、portは港、或いは基点である。つまり、仕事等の正規の場所や行為から一時的に離れることを意味する。
2)この説は広く伝わっていたが、現在では否定する話も多い。ただ、昔刑罰は見世物になったという歴史は、三条河原の死刑だけでなく、世界に広く存在する。そう考えると、スキー・ジャンプは人類の考えそうな刑罰ではないだろうか。人類の歴史のうち汚い部分に蓋をしようとする勢力が力を増している現在、それを隠そうとするのも自然な成り行きである。http://www.sankei.com/west/news/140126/wst1401260080-n1.html https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9A%AE%E5%89%A5%E3%81%8E%E3%81%AE%E5%88%91
3)政治支配と歴史の捏造は密接に関連している。それを指摘する意見は方方に有る。
https://www.youtube.com/watch?v=Dy5rpz2hu4k&t=387s https://www.youtube.com/watch?v=LEqCjvTvutc&t=795s 4)北朝鮮問題が第二次朝鮮戦争に繋がり、東アジアに大量の死者を出す可能性が危惧されている。http://webronza.asahi.com/politics/articles/2017090800003.html
市民とは市民階級の人たちであり、その下で働いていたのが奴隷である。奴隷といっても知的に優れたものは医師や会計士となって働いたというから、市民権を得ていない外国人(ギリシャ人)だったらしい。(以上、ウィキペディアによる。)その市民ですら、或いは、そのような市民だからこそ、差し当たり平穏なら頭を使わず単なる動物としての本能しか働かせないのである。
奴隷として外国人を働かせていた以上、外国人の反乱は十分考えられる。また、外国からの侵略があれば、自分たちも奴隷のような身分になる可能性もあり得る。また、ローマ内部の政治的混乱などもあり得る。ユウェナリスの生きた時代、ローマは現在のイスラエルまでも支配していた時代であるが、この詩人には尚その国の危うさが見えていたのだろう。
2)ここ数日、オリンピック報道がテレビのバラエティー番組を占領している。日本人による金メダル等獲得のニュースは素晴らしい。その演技や記録(タイム)は人間業とは思えないレベルなのは、彼等、例えばフィギュアスケートで金メダルをとった羽生さんや銀メダルの宇野さん、ハーフパイプで銀メダルを取った平野さんらすべてが、幼少期より練習に励んでいるからである。
詳細は分からないが、その影でオリンピック出場資格を目指しながら得られず、オリンピック開催前30歳の若さで、自室で死亡した人の話も聞く。かれらの競技に挑む姿勢からみて、それらはスポーツというよりも仕事或いは人生そのものである。それら競技が仕事や人生そのものとなり得るのは、テレビ等の宣伝媒体と一体となることで、高い経済価値を生むからである。つまり、これらの競技はまさに「パンとサーカス」のサーカスである。日本人のメダル獲得を素直に喜ぶだけでは、済まされないように思う。
スポーツの英語訳であるSport(s)を再び英和辞書で見ると、スポーツ、娯楽、楽しみ、冗談のような日本語訳が書かれている。更にスポーツ(sport)の語源を調べると、disport(=遊び興じる)である。(補足1)そのスポーツを一部の人たちの仕事或いは人生にしてしまう現在社会は、正常なのだろうか。或いは、オリンピックの競技をスポーツと呼ぶのは正しい言葉の使用法なのだろうか。
スポーツがテレビなどと結びついて資本主義経済の宣伝媒体となって久しい。そのスポーツにたいして高い権威付けをしているのがオリンピックであり、その権威付がオリンピック選手達の演技に高い価値を与え、選手たちの社会的地位を上げる根拠となっている。
オリンピックが平和の祭典というのは、古代ギリシャの話に過ぎない。現在、オリンピックは資本主義経済&政治の祭典である。オリンピック競技に高い経済的利用価値を付与すると同時に、選手を国籍分けにして競争させ、世界の人々の心のなかにナショナリズムを高揚させるという大きな政治的役割を果たしているからである。
3)今回のオリンピックの特徴は、北朝鮮問題に関する国際政治の緊張が、ピークに達している時期に開催されたことである。この問題に最も深刻に係るのは北朝鮮、韓国、そして日本の三カ国である。その深刻な時期にも拘らず、日本のマスコミは国民にその問題の議論よりも、オリンピックの熱狂を煽っている。
グローバル資本主義世界の意図は、国民の関心をそらして政治的白痴化の世界に持ち込み、自分たちの政治目的を達成することである。それは、政治と経済における世界支配である。明らかに、オリンピックは資本主義経済、更に、世界政治において人々の愚民化政策の道具になっている。マスコミもその戦略に協力している。https://www.youtube.com/watch?v=Gc9rsvBIh9U (政治に目覚める大衆をおそれる、ブレジンスキー米国元米国大統領補佐官の言葉)
氷の上の宙返りや踊り、そして、昔は刑罰であったと言われるスキージャンプ(補足2)などのサーカスを見て興じる人々の姿は、やがて氷山にぶつかるタイタニックの上での華やかなレセプションに興じる姿に重なる。タイタニック乗組員は、その華やかな初航海の雰囲気の中で、氷山群が近づいているという無線連絡を聴き逃したか無視したのである。
人の一生は短い。従って、人類が高度な文明を築くためには、知性ある人々は専門家として各専門を受け持ち、それを正常に総合的につなぐ必要がある。そのつなぎ目を受け持つのが、やはり専門家としての政治家とその下の官吏であり、その経緯を検証するのが歴史家の役割である。その政治と歴史検証を、自分たちの望む方向に導いているのが、一部の巨大利益と人類支配を目論む人たちではないだろうか。(補足3)その道具として、オリンピックが少なくとも結果として利用されている。
多くの知性ある人々の力は、専門家としての地位を維持するために消費され、更に、愚民化された一般大衆の中に希釈されて、政治的な力が消されている。そして、政治と歴史を自分たちの望む方向に導く一部の支配層のシナリオを容易にしている。(補足3)その道具として、オリンピックが(少なくとも結果として)利用されている。
元々スポーツは実践するためのものである。それを教える為の教員は必要だろうが、見世物としてのスポーツはローカルなものに留めておくべきだと思う。それを華やかな国際社会の主舞台に持ち込んで、ナショナリズムを高揚させるために用いたりするのは邪道であり、止めるべきである。
今回の第二次大戦以後最大の危機と言われる中、華やかに開催されたオリンピックを観ての感想である。
(以上の考えは、随分と僻んだ見方だと思われることは覚悟の上である。ただ、スポーツの世界がなんとなく異常に見えてきたので、それを指摘する方向に論点を決めて書いた。オリンピック賛美論のアンチテーゼである。)
補足:
1)disportはdis + portであり、disは除く、離れるなどを意味する接頭語で、portは港、或いは基点である。つまり、仕事等の正規の場所や行為から一時的に離れることを意味する。
2)この説は広く伝わっていたが、現在では否定する話も多い。ただ、昔刑罰は見世物になったという歴史は、三条河原の死刑だけでなく、世界に広く存在する。そう考えると、スキー・ジャンプは人類の考えそうな刑罰ではないだろうか。人類の歴史のうち汚い部分に蓋をしようとする勢力が力を増している現在、それを隠そうとするのも自然な成り行きである。http://www.sankei.com/west/news/140126/wst1401260080-n1.html https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9A%AE%E5%89%A5%E3%81%8E%E3%81%AE%E5%88%91
3)政治支配と歴史の捏造は密接に関連している。それを指摘する意見は方方に有る。
https://www.youtube.com/watch?v=Dy5rpz2hu4k&t=387s https://www.youtube.com/watch?v=LEqCjvTvutc&t=795s 4)北朝鮮問題が第二次朝鮮戦争に繋がり、東アジアに大量の死者を出す可能性が危惧されている。http://webronza.asahi.com/politics/articles/2017090800003.html
2018年2月18日日曜日
北朝鮮問題を議論するなら、日本の将来の核戦略も一緒に議論すべきである
NHK日曜討論を、事情があって最後の数分だけ視聴した。北朝鮮の核問題についての考えを一人30秒で最後に喋って番組が終わった。そのなかで、本来肝心な日本の対応として、何も具体的なものは無かった。それが本当に意外でありそのまま見過ごせないと思ったので、一言ここに書く。彼等は本当に、この種の番組に出る資格があるのだろうか。(補足1)
つまり、日本が議論すべきは、米国と北朝鮮の関係の詮索、韓国と北朝鮮の関係の観測などではない。北朝鮮の核問題は、日本にとっては核戦略の問題であり、日本の独自核武装論を除いて議論しても仕方ないのである。昨年秋のBSフジのプライムニュースで石破氏による4つ日本の核戦略が紹介されていた。https://www.youtube.com/watch?v=xCEOu6epepY
中国も米国もロシアも、北朝鮮の核武装をどう解除するかを考えながら、日本の核戦略に対する動きに注目していると思うのである。つまり、日本の政府や国会において将来の核戦略の話が全く生じないのであれば、そしてただ米韓朝の動きを観測しているだけなら、時間はかかるが核武装した統一朝鮮ができるだろう。それはコンドリーサ・ライスが昨年示唆したシナリオである。http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2018/01/blog-post_6.html
それにもかかわらず、日本政府はそしてそのまわりに居る人達、例えば今日のNHKの日曜討論の出席者達は、米国と北朝鮮、韓国と北朝鮮、韓国と米国の関係ばかり議論している。ひどい外交音痴が外交評論家を名乗っているのではないだろうか。
拉致問題を出しているピンぼけ評論家もいたが、外交で解決できる問題であったのは、小泉内閣の時が最後である。今の時点でそれを解決する手段は、原則論としては北朝鮮との軍事衝突を覚悟の折衝以外にないと思う。そのためには、日本の核戦略の議論をまずすべきであり、それ以前に何を議論しても意味がない。(補足2)
日本が現時点ですべきことは、核武装した統一朝鮮が出来上がることを前提に、独自の核戦略をたてるべく、周囲の大国と話し合いを持つことであり、安倍内閣にそれが出来ないのなら、例えば石破内閣と交代すべきであると思う。
補足:
1)最後の30秒のまとめの話は、それまでの議論のエッセンスである。したがって、そこからそれまで話し合われた内容が大凡わかるとの前提で本文を書いた。
2)自国民を拉致されても、それに防衛力を使わないのでは、国家としての体を為さない。憲法前文および憲法9条を全面改訂に反対する人たちには、「拉致被害者は見捨てることになるが、それが正当だと考えるのですね」と念を押すべき。
(13:20編集&補足2追加)
つまり、日本が議論すべきは、米国と北朝鮮の関係の詮索、韓国と北朝鮮の関係の観測などではない。北朝鮮の核問題は、日本にとっては核戦略の問題であり、日本の独自核武装論を除いて議論しても仕方ないのである。昨年秋のBSフジのプライムニュースで石破氏による4つ日本の核戦略が紹介されていた。https://www.youtube.com/watch?v=xCEOu6epepY
中国も米国もロシアも、北朝鮮の核武装をどう解除するかを考えながら、日本の核戦略に対する動きに注目していると思うのである。つまり、日本の政府や国会において将来の核戦略の話が全く生じないのであれば、そしてただ米韓朝の動きを観測しているだけなら、時間はかかるが核武装した統一朝鮮ができるだろう。それはコンドリーサ・ライスが昨年示唆したシナリオである。http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2018/01/blog-post_6.html
それにもかかわらず、日本政府はそしてそのまわりに居る人達、例えば今日のNHKの日曜討論の出席者達は、米国と北朝鮮、韓国と北朝鮮、韓国と米国の関係ばかり議論している。ひどい外交音痴が外交評論家を名乗っているのではないだろうか。
拉致問題を出しているピンぼけ評論家もいたが、外交で解決できる問題であったのは、小泉内閣の時が最後である。今の時点でそれを解決する手段は、原則論としては北朝鮮との軍事衝突を覚悟の折衝以外にないと思う。そのためには、日本の核戦略の議論をまずすべきであり、それ以前に何を議論しても意味がない。(補足2)
日本が現時点ですべきことは、核武装した統一朝鮮が出来上がることを前提に、独自の核戦略をたてるべく、周囲の大国と話し合いを持つことであり、安倍内閣にそれが出来ないのなら、例えば石破内閣と交代すべきであると思う。
補足:
1)最後の30秒のまとめの話は、それまでの議論のエッセンスである。したがって、そこからそれまで話し合われた内容が大凡わかるとの前提で本文を書いた。
2)自国民を拉致されても、それに防衛力を使わないのでは、国家としての体を為さない。憲法前文および憲法9条を全面改訂に反対する人たちには、「拉致被害者は見捨てることになるが、それが正当だと考えるのですね」と念を押すべき。
(13:20編集&補足2追加)
2018年2月17日土曜日
人間世界は歴史のゴミ山に築いた都市である :ライダイハン(韓国ベトナム混血児)像建立計画について
東京に夢の島という区域がある。東京湾岸で都市ゴミの最終処分場として利用された区域であり、その埋立地には公園(夢の島公園)など公共施設が建設されている。現在ゴミ処分場の面影はないが、掘り返せば多量のゴミが出てくるだろう。そして、その地域の歴史に夢の島という名前で封印することに、非常に複雑な説明しきれないものを感じる。
ライダイハンを報じる記事を読んだとき、人間の歴史とその結果である現代の世界は、「夢の島」に似ていると思った。そして、ベトナム人混血児(Lai Dai Han)の苦しみを考慮することなく歴史の中にゴミとして捨てながら、慰安婦問題を掘り出し腐臭を付けて世界に宣伝することで日本攻撃する韓国の姿に、世界標準の人類の姿を見た思いである。なぜなら、一つには世界中がこの“夢の島”のような歴史を持ち、この種の問題は山のように存在するからであるし、更に、米国は手元に温存しておいた李承晩を戦後韓国の大統領とし、そのような反日政権を韓国に期待したからである。
ライダイハン(Rai Dan Han)とは、韓国(Dan Han)との混血(Rai)を指す言葉で、ベトナム戦争のとき、韓国軍によりレイプされ続けたベトナム人性奴隷に生まれた子どもたちのことである。子どもたちは、南ベトナムが存在する間は韓国軍の存在もあり差別は無かったが、北ベトナムがベトナム全土を統治するようになり、「犬の子」と呼ばれ差別されたという。
英国のインデペンデント紙がその時の様子を以下のように記述している。http://www.independent.co.uk/news/world/asia/vietnam-war-women-seek-justice-mothers-raped-south-korean-soldiers-war-untold-stories-a7940846.html
For many Vietnamese, 30 April 1975 marked a joyous day after 20 years of death and destruction at the hands of both indigenous and foreign fighters. But for a significant number of children fathered as a result of rape by South Korean soldiers, it was the start of a living hell.
(多くのベトナム人にとって1975年4月30日は、国内の兵や外国兵による死と破壊の20年の後の喜びの一日となった。しかしその日は、韓国軍兵士によるレイプの結果として生まれたかなりの数の子どもたちにとっては、生き地獄の始まりであった。)
性奴隷として扱われたベトナム人女性とその子どもたちに賠償要求されながら、韓国はそれを無視し続けてきた。その事実を知ったイギリスの市民活動家ピーター・キャロル氏の呼びかけで昨年9月、ロンドンで民間団体「ライダイハンのための正義」が設立された。そして、ベトナムの韓国大使館前に「ライダイハン母子像」の建立を計画しているという。
同団体メンバーのシャロン・ヘンドリー氏は、レイプ被害者やライダイハンの子供たちへの聞き取り調査を英国Independent紙(上に引用した記事)に寄稿した。そこでは、調査で現れた事実を具体的にレポートしている。ヘンドリー氏は、「韓国政府は決して韓国兵が行なった行為を認めず、調査すらしない」と、韓国政府の姿勢を批判している。(補足1) http://www.news-postseven.com/archives/20170926_615821.html
韓国は、歴史の中のゴミを漁ることで、自分たちの腐臭に満ちたゴミに掘り出してしまったのである。権力、性奴隷、戦争などのキーワードで語られる歴史上の話は山ほどあるが、それを知らない韓国人は居ないだろう。韓国の歴史にも、未だに生々しく残っているからである。https://www.youtube.com/watch?v=YBYETIqyQ08&app=desktop
最初に引用したINDEPENDENT紙の2017/9/11のネット記事には、興味深い内容を含んだコメント欄が付属している。そのなかで、secularhuman(俗人の意味だろう)を名乗る人物が、以下のコメントを書いている。
Horrific.You must admit, the world we have inherited is an awful place. I don't know how we could make it better, but returning to the past is surely only a way to make it worse.
恐ろしい話だ。我々が引き継いでいる世界は(実は)恐ろしいところなのだ。どうすれば良くなるのか私は知らない。ただ、過去に戻ることは現在の世界をより悪くすることだけは確かだ。
歴史を掘り返して、現在の政治に利用することは、まさに過去に戻ることだろう。韓国がまともな政権を持ち、過去を精算する方向に向かうことに期待したい。
補足:
1)米国兵によるレイプや性奴隷の被害にあったベトナム人女性も多くいたのは事実である。米国はそれを認め、1987年にアジアと米国の混血児の帰国に関する法律を制定した。その結果、21000人の混血児51000人以上の家族らが、米国に移った。(上記INDEPENDENT 紙の記事)米国は、やはり現実主義に徹した大人の国家である。
ライダイハンを報じる記事を読んだとき、人間の歴史とその結果である現代の世界は、「夢の島」に似ていると思った。そして、ベトナム人混血児(Lai Dai Han)の苦しみを考慮することなく歴史の中にゴミとして捨てながら、慰安婦問題を掘り出し腐臭を付けて世界に宣伝することで日本攻撃する韓国の姿に、世界標準の人類の姿を見た思いである。なぜなら、一つには世界中がこの“夢の島”のような歴史を持ち、この種の問題は山のように存在するからであるし、更に、米国は手元に温存しておいた李承晩を戦後韓国の大統領とし、そのような反日政権を韓国に期待したからである。
ライダイハン(Rai Dan Han)とは、韓国(Dan Han)との混血(Rai)を指す言葉で、ベトナム戦争のとき、韓国軍によりレイプされ続けたベトナム人性奴隷に生まれた子どもたちのことである。子どもたちは、南ベトナムが存在する間は韓国軍の存在もあり差別は無かったが、北ベトナムがベトナム全土を統治するようになり、「犬の子」と呼ばれ差別されたという。
英国のインデペンデント紙がその時の様子を以下のように記述している。http://www.independent.co.uk/news/world/asia/vietnam-war-women-seek-justice-mothers-raped-south-korean-soldiers-war-untold-stories-a7940846.html
For many Vietnamese, 30 April 1975 marked a joyous day after 20 years of death and destruction at the hands of both indigenous and foreign fighters. But for a significant number of children fathered as a result of rape by South Korean soldiers, it was the start of a living hell.
(多くのベトナム人にとって1975年4月30日は、国内の兵や外国兵による死と破壊の20年の後の喜びの一日となった。しかしその日は、韓国軍兵士によるレイプの結果として生まれたかなりの数の子どもたちにとっては、生き地獄の始まりであった。)
性奴隷として扱われたベトナム人女性とその子どもたちに賠償要求されながら、韓国はそれを無視し続けてきた。その事実を知ったイギリスの市民活動家ピーター・キャロル氏の呼びかけで昨年9月、ロンドンで民間団体「ライダイハンのための正義」が設立された。そして、ベトナムの韓国大使館前に「ライダイハン母子像」の建立を計画しているという。
同団体メンバーのシャロン・ヘンドリー氏は、レイプ被害者やライダイハンの子供たちへの聞き取り調査を英国Independent紙(上に引用した記事)に寄稿した。そこでは、調査で現れた事実を具体的にレポートしている。ヘンドリー氏は、「韓国政府は決して韓国兵が行なった行為を認めず、調査すらしない」と、韓国政府の姿勢を批判している。(補足1) http://www.news-postseven.com/archives/20170926_615821.html
韓国は、歴史の中のゴミを漁ることで、自分たちの腐臭に満ちたゴミに掘り出してしまったのである。権力、性奴隷、戦争などのキーワードで語られる歴史上の話は山ほどあるが、それを知らない韓国人は居ないだろう。韓国の歴史にも、未だに生々しく残っているからである。https://www.youtube.com/watch?v=YBYETIqyQ08&app=desktop
最初に引用したINDEPENDENT紙の2017/9/11のネット記事には、興味深い内容を含んだコメント欄が付属している。そのなかで、secularhuman(俗人の意味だろう)を名乗る人物が、以下のコメントを書いている。
Horrific.You must admit, the world we have inherited is an awful place. I don't know how we could make it better, but returning to the past is surely only a way to make it worse.
恐ろしい話だ。我々が引き継いでいる世界は(実は)恐ろしいところなのだ。どうすれば良くなるのか私は知らない。ただ、過去に戻ることは現在の世界をより悪くすることだけは確かだ。
歴史を掘り返して、現在の政治に利用することは、まさに過去に戻ることだろう。韓国がまともな政権を持ち、過去を精算する方向に向かうことに期待したい。
補足:
1)米国兵によるレイプや性奴隷の被害にあったベトナム人女性も多くいたのは事実である。米国はそれを認め、1987年にアジアと米国の混血児の帰国に関する法律を制定した。その結果、21000人の混血児51000人以上の家族らが、米国に移った。(上記INDEPENDENT 紙の記事)米国は、やはり現実主義に徹した大人の国家である。
2018年2月13日火曜日
ビットコインというインチキ(2):不換紙幣は紙幣の進化であり堕落ではない(補足0)
1)堀江貴文「みんなビットコインの仕組みを知らなさすぎる」という動画がyoutubeにアップロードされている。https://www.youtube.com/watch?v=wi2CKOerY1Q
しかし、堀江氏が本当に仮想通貨を分かっていっているのか怪しいと思う。つまり、もし仮想通貨に希少性があるのなら、これまでの金本位制、つまりゴールドが貨幣となる通貨制度、と似た通貨制度として世界での普及は可能である。しかし、仮想通貨はいくらでも作れる。2月中に数十の仮想通貨のICO(initial coin offering)が行われることを、彼は知らないのだろうか。https://jp.cointelegraph.com/ico-calendar(アクセス出来なければ、cointelegraph ico-calendarで検索すれば出てくる。)
つまり、仮想通貨を合法とするのは、通貨偽造を認めるようなものである。勿論、偽物でも本物らしく見えるものは一定の評価を得て、値崩れの前には流通するかもしれない。しかし、何れ価値は0になるだろう。この場合は紙くずも残らない。
この人達は、電子マネーと仮想通貨とブロックチェイン技術の区別が出来ていないのではないだろうか。ブロックチェイン技術を用いた、ディジタル円とか、ディジタルドルとか、ディジタルSDRを用いれば良い。しかし、それは仮想通貨ではなく、ディジタル通貨である。ブロックチェイン技術については、IMFの総裁も興味を示している。
仮想通貨を擁護する人たちに共通しているのは、現在の不換紙幣に対する不審感である。そして、兌換紙幣から不換紙幣への変化を通貨の堕落と考えていることである。しかし、私は素人ながら、金本位制は時代に合わないので、貨幣制度を国家の信用とリンクさせる制度に進化させたと見るべきだと思う。勿論、それが成立するためには、その国家が節度ある金融政策をするという前提がある。
それは、中世の都市国家から領域を定めた主権国家への歴史の変化と同様であると思う。以下は耳学問ではあるが、30年戦争後に定まったウエストファリア体制が現在まで続いている。この主権国家体制と調和する貨幣制度は、金本位制ではなく現在の国家の信用とリンクする貨幣制度だと思う。
この現在の国家体制と調和する貨幣制度への移行は、ニクソンにより兌換紙幣としての米ドルの廃止により始まったのだと思う。もし、金本位制に戻すことが必要なら、何時でもできる。ただし、その時、金の値段は1グラム数十万円というとんでもない値になるかもしれない。(補足1)それでも、何の本来価値(intrinsic value)もないbitcoinよりもしっかりとした制度になるだろう。
2)金本位制は、物々交換の延長であり、金(ゴールド)の価値は物としての価値から貨幣としての価値に変化した。それでも、金の価値は、いまでも貴金属中最高の価値を持つロジウム(金より高価)や同じく触媒として使われるパラジウムなどとたいして変わらない。つまり、金の物としての価値と貨幣としての価値に大差ない。つまり、金本位制は原始時代の物々交換の時の貨幣制度と本質的に同じである。(追加2/13/18:30 この部分で、現在でも金を一定の範囲で通貨として観ているのは、西欧諸国などが、外貨準備として金を保持しているからです。)
勿論、金の預り証から紙幣ができた時に、一定の進化があっただろう。しかし、英国ロスチャイルド家のネイサン・ロスチャイルドが英国での貨幣発行権を独占することで、近代の銀行制度の大きな変化があった。紙幣は金と交換可能だが、何時でも金と交換できるという信用が兌換紙幣の価値を決めるようになった。つまり、金の総量が紙幣の金額の総量よりも少なくても、その比が一定値以下なら、必要な時には金に交換できるという信用で貨幣制度は維持されたのである。
20世紀後半になって世界経済が大きくなり、世界の基軸通貨であった米ドルの発行量と連銀(FRB)の倉庫の中の金の総量(約8000トン)との比が一定上になってしまったので、米ドルの金への交換を止めることになった。それがニクソンショックである。その原因として、連銀の倉庫にが本当は空っぽになったという説を唱える人もいるが、そうではないだろう。しかし、もしその時代にある国が、その国が持つ米国債を全てドルに換えて金と交換するように依頼すれば、直ちに連銀倉庫は空になり米ドルは紙くずになった筈である。(補足2)ニクソンの決断は当然だったと思うし、世界の貨幣制度も既にそれを織り込んでいなかった筈はない。
世界経済の拡大は、より多くの基軸通貨を必要としたのである。その要求には、米国が紙にドル札のデザインを印刷し、それを世界の欲しいものと交換すれば対応できる。それは差し当たり米国にとって嬉しいことだが、それは後々米国の経済感覚を不健全にしたのだと思う。現在、米国連銀は不健全な債券を資産から無くす苦労をしている。
3)国家の信用とリンクする貨幣は、国家のあり方と調和する。
金を貨幣として用いる場合には、金の偏在があれば経済活動は円滑にはいかない。しかし、金の預かり証になれば、紙と証明印があれば何時でも発行できるので、経済活動をより円滑に行える。更に現在、クレジットカード、プリペイドカード、電子マネー、更にアップルペイなどの技術で、支払う際の手続きの簡素化が進んだ。
しかし、その支払いは全て政府保証の通貨である。行政機関と金融を分離するのは、放漫財政に陥るのを防止するためであり、中央銀行は私企業というより政府の一部門と考えるべきである。実際、米国FRBでも日本銀行でも、そのトップは政府が承認(あるいは任命)し、剰余金は政府に譲渡される。日本銀行では、株式は公開されているがその99%は財務大臣が保有している。
ここで、全くの素人だが、個人周辺のお金の流れについて少し考えてみた。次の図は、それを図示したものである。法人の間の取引などを省いているので、GDPなどの統計とは無関係である。国民一般(政府や法人の構成員も含む)は、仕事に対して給与をもらう。それを使って、法人から財やサービスを購入し(①)、政府等から行政サービス(②)をうける。余ったお金は貯金という形で、法人である銀行に渡し、その代わり通帳に預金額をプラスしてもらう(③)。
ここで、図中の式:給与=企業に支払う物やサービスの代金(①)+税金(②)+預金等(③)となる。
この図に無いのは、労働とそれに対する賃金という往復の矢印である。その矢印の太さが、国民が支払う代金の総和の矢印(①+②)より少し太くなるように、国の内部で決めているということである。(補足3)この部分が預貯金の部分(青い線)であり、ちょっと異質に見える理由である。
この20年間日本国民は金融資産として1700兆円も持っていると言われている。会社も債務超過を避ける意味で、利益剰余金などを溜め込んでいる。一体、そのお金とはどういう意味があるのだろうか。
金融資産は単に預金通帳の上の数字であったり、株券や債券という紙切れであったりする。株券や債券は企業の債務であり、貯金は銀行の債務であり、現金は国家の債務である。つまり、金融資産は企業とか政府の債務であり、それは将来それらが提供する財やサービスの購入に用いることができるという法的権利を示したものである。その権利獲得の具体的な意味は、それまでに会社が行なった設備投資や国家が行なったインフラ整備や施設の建設などへの貢献である。
従って、それらは全てその義務を負うものが明確に存在することが必須である。それを欠いているデジタル仮想通貨の発行が、詐欺的行為でなくて何なのか。つまり、預金額として1700兆円あると言っても、そのお金に相当する工事や工作機械など物品の購入は全て既に行われているのである。マネーストックと言っても、それに相当する物としてのストックなど殆ど0に近いのだ。(補足4) なお、一部は外国に対する債券として存在するが、それはこの議論の補正項であり別途いつかその意味は考えることにする。
健全な家計や健全な企業は、債務超過ではない。従って家庭や銀行を含めた企業の正味の預金&現金の合計は、近似的に日銀を含めた日本国の債務である。そうであるのなら、お金が国家の保証する法定通貨、つまり国家の債務を切り分けたものであるべきだというのは、必然ではないのか。そして時々日本国の債務残高が非常に大きいことを問題視する発言が政治的意味をもって発せられるが、それは国民が異常に多くの貯蓄を持つことが問題であると言うことと等価だということである。
国家の純債務が0に近く、国民が多額の貯蓄を持つのが正しい国家のあり方だというのは、エゴイズムである。何処かに借金大国がなければ成立しない論理だからである。そのような世界のエゴイズムを引き受けてきた国があったとしたら(事実米国はそれに近い)、その国はちゃぶ台返しの様に一旦財政破綻をして、新ドルを発行すると言っても非難できないことになる。
以上は理系人間の素人考えであり、社会科学系の方の反論等期待します。
補足:
0)前回の記事に書いたように、ビットコインは金ににている。それらを貨幣に用いるのは、最新技術を用いているものの、貨幣制度の退化である。
1)連銀の倉庫に8000トンの金があるのなら、そしてマネタリーベースに相当する金を保有するとした場合、1g = 500ドルの金価格でドルは兌換紙幣になり得る。
2)8000トンの金は、約2.6億オンスであり、それを当時のレート35ドル/onceで計算すると、わずか91億ドルとなる。これは少なくとも2年後の日本の外貨準備より少ない額である。現在の金の市販価格は、1オンス(約31.1g)あたり1300ドルである。
3)労働と賃金の具体的な形と量は社会全体で決める。労働に客観的な本来価値があるわけではない。我々人間が一人一生かかっても、テレビ一台作る能力などない。我々はスイッチを推したり、ツマミを回したりするだけの行為を仕事と呼び、それにより過去の人類が築いた社会によって養われているのである。その自覚が現代人には欠けている様に、私には見える。
4)物品としての在庫は多少ある。しかし、それはここで本質的な意味を持つものではなく、企業の投資の一形態として存在する。
しかし、堀江氏が本当に仮想通貨を分かっていっているのか怪しいと思う。つまり、もし仮想通貨に希少性があるのなら、これまでの金本位制、つまりゴールドが貨幣となる通貨制度、と似た通貨制度として世界での普及は可能である。しかし、仮想通貨はいくらでも作れる。2月中に数十の仮想通貨のICO(initial coin offering)が行われることを、彼は知らないのだろうか。https://jp.cointelegraph.com/ico-calendar(アクセス出来なければ、cointelegraph ico-calendarで検索すれば出てくる。)
つまり、仮想通貨を合法とするのは、通貨偽造を認めるようなものである。勿論、偽物でも本物らしく見えるものは一定の評価を得て、値崩れの前には流通するかもしれない。しかし、何れ価値は0になるだろう。この場合は紙くずも残らない。
この人達は、電子マネーと仮想通貨とブロックチェイン技術の区別が出来ていないのではないだろうか。ブロックチェイン技術を用いた、ディジタル円とか、ディジタルドルとか、ディジタルSDRを用いれば良い。しかし、それは仮想通貨ではなく、ディジタル通貨である。ブロックチェイン技術については、IMFの総裁も興味を示している。
仮想通貨を擁護する人たちに共通しているのは、現在の不換紙幣に対する不審感である。そして、兌換紙幣から不換紙幣への変化を通貨の堕落と考えていることである。しかし、私は素人ながら、金本位制は時代に合わないので、貨幣制度を国家の信用とリンクさせる制度に進化させたと見るべきだと思う。勿論、それが成立するためには、その国家が節度ある金融政策をするという前提がある。
それは、中世の都市国家から領域を定めた主権国家への歴史の変化と同様であると思う。以下は耳学問ではあるが、30年戦争後に定まったウエストファリア体制が現在まで続いている。この主権国家体制と調和する貨幣制度は、金本位制ではなく現在の国家の信用とリンクする貨幣制度だと思う。
この現在の国家体制と調和する貨幣制度への移行は、ニクソンにより兌換紙幣としての米ドルの廃止により始まったのだと思う。もし、金本位制に戻すことが必要なら、何時でもできる。ただし、その時、金の値段は1グラム数十万円というとんでもない値になるかもしれない。(補足1)それでも、何の本来価値(intrinsic value)もないbitcoinよりもしっかりとした制度になるだろう。
2)金本位制は、物々交換の延長であり、金(ゴールド)の価値は物としての価値から貨幣としての価値に変化した。それでも、金の価値は、いまでも貴金属中最高の価値を持つロジウム(金より高価)や同じく触媒として使われるパラジウムなどとたいして変わらない。つまり、金の物としての価値と貨幣としての価値に大差ない。つまり、金本位制は原始時代の物々交換の時の貨幣制度と本質的に同じである。(追加2/13/18:30 この部分で、現在でも金を一定の範囲で通貨として観ているのは、西欧諸国などが、外貨準備として金を保持しているからです。)
勿論、金の預り証から紙幣ができた時に、一定の進化があっただろう。しかし、英国ロスチャイルド家のネイサン・ロスチャイルドが英国での貨幣発行権を独占することで、近代の銀行制度の大きな変化があった。紙幣は金と交換可能だが、何時でも金と交換できるという信用が兌換紙幣の価値を決めるようになった。つまり、金の総量が紙幣の金額の総量よりも少なくても、その比が一定値以下なら、必要な時には金に交換できるという信用で貨幣制度は維持されたのである。
20世紀後半になって世界経済が大きくなり、世界の基軸通貨であった米ドルの発行量と連銀(FRB)の倉庫の中の金の総量(約8000トン)との比が一定上になってしまったので、米ドルの金への交換を止めることになった。それがニクソンショックである。その原因として、連銀の倉庫にが本当は空っぽになったという説を唱える人もいるが、そうではないだろう。しかし、もしその時代にある国が、その国が持つ米国債を全てドルに換えて金と交換するように依頼すれば、直ちに連銀倉庫は空になり米ドルは紙くずになった筈である。(補足2)ニクソンの決断は当然だったと思うし、世界の貨幣制度も既にそれを織り込んでいなかった筈はない。
世界経済の拡大は、より多くの基軸通貨を必要としたのである。その要求には、米国が紙にドル札のデザインを印刷し、それを世界の欲しいものと交換すれば対応できる。それは差し当たり米国にとって嬉しいことだが、それは後々米国の経済感覚を不健全にしたのだと思う。現在、米国連銀は不健全な債券を資産から無くす苦労をしている。
3)国家の信用とリンクする貨幣は、国家のあり方と調和する。
金を貨幣として用いる場合には、金の偏在があれば経済活動は円滑にはいかない。しかし、金の預かり証になれば、紙と証明印があれば何時でも発行できるので、経済活動をより円滑に行える。更に現在、クレジットカード、プリペイドカード、電子マネー、更にアップルペイなどの技術で、支払う際の手続きの簡素化が進んだ。
しかし、その支払いは全て政府保証の通貨である。行政機関と金融を分離するのは、放漫財政に陥るのを防止するためであり、中央銀行は私企業というより政府の一部門と考えるべきである。実際、米国FRBでも日本銀行でも、そのトップは政府が承認(あるいは任命)し、剰余金は政府に譲渡される。日本銀行では、株式は公開されているがその99%は財務大臣が保有している。
ここで、全くの素人だが、個人周辺のお金の流れについて少し考えてみた。次の図は、それを図示したものである。法人の間の取引などを省いているので、GDPなどの統計とは無関係である。国民一般(政府や法人の構成員も含む)は、仕事に対して給与をもらう。それを使って、法人から財やサービスを購入し(①)、政府等から行政サービス(②)をうける。余ったお金は貯金という形で、法人である銀行に渡し、その代わり通帳に預金額をプラスしてもらう(③)。
ここで、図中の式:給与=企業に支払う物やサービスの代金(①)+税金(②)+預金等(③)となる。
この図に無いのは、労働とそれに対する賃金という往復の矢印である。その矢印の太さが、国民が支払う代金の総和の矢印(①+②)より少し太くなるように、国の内部で決めているということである。(補足3)この部分が預貯金の部分(青い線)であり、ちょっと異質に見える理由である。
この20年間日本国民は金融資産として1700兆円も持っていると言われている。会社も債務超過を避ける意味で、利益剰余金などを溜め込んでいる。一体、そのお金とはどういう意味があるのだろうか。
金融資産は単に預金通帳の上の数字であったり、株券や債券という紙切れであったりする。株券や債券は企業の債務であり、貯金は銀行の債務であり、現金は国家の債務である。つまり、金融資産は企業とか政府の債務であり、それは将来それらが提供する財やサービスの購入に用いることができるという法的権利を示したものである。その権利獲得の具体的な意味は、それまでに会社が行なった設備投資や国家が行なったインフラ整備や施設の建設などへの貢献である。
従って、それらは全てその義務を負うものが明確に存在することが必須である。それを欠いているデジタル仮想通貨の発行が、詐欺的行為でなくて何なのか。つまり、預金額として1700兆円あると言っても、そのお金に相当する工事や工作機械など物品の購入は全て既に行われているのである。マネーストックと言っても、それに相当する物としてのストックなど殆ど0に近いのだ。(補足4) なお、一部は外国に対する債券として存在するが、それはこの議論の補正項であり別途いつかその意味は考えることにする。
健全な家計や健全な企業は、債務超過ではない。従って家庭や銀行を含めた企業の正味の預金&現金の合計は、近似的に日銀を含めた日本国の債務である。そうであるのなら、お金が国家の保証する法定通貨、つまり国家の債務を切り分けたものであるべきだというのは、必然ではないのか。そして時々日本国の債務残高が非常に大きいことを問題視する発言が政治的意味をもって発せられるが、それは国民が異常に多くの貯蓄を持つことが問題であると言うことと等価だということである。
国家の純債務が0に近く、国民が多額の貯蓄を持つのが正しい国家のあり方だというのは、エゴイズムである。何処かに借金大国がなければ成立しない論理だからである。そのような世界のエゴイズムを引き受けてきた国があったとしたら(事実米国はそれに近い)、その国はちゃぶ台返しの様に一旦財政破綻をして、新ドルを発行すると言っても非難できないことになる。
以上は理系人間の素人考えであり、社会科学系の方の反論等期待します。
補足:
0)前回の記事に書いたように、ビットコインは金ににている。それらを貨幣に用いるのは、最新技術を用いているものの、貨幣制度の退化である。
1)連銀の倉庫に8000トンの金があるのなら、そしてマネタリーベースに相当する金を保有するとした場合、1g = 500ドルの金価格でドルは兌換紙幣になり得る。
2)8000トンの金は、約2.6億オンスであり、それを当時のレート35ドル/onceで計算すると、わずか91億ドルとなる。これは少なくとも2年後の日本の外貨準備より少ない額である。現在の金の市販価格は、1オンス(約31.1g)あたり1300ドルである。
3)労働と賃金の具体的な形と量は社会全体で決める。労働に客観的な本来価値があるわけではない。我々人間が一人一生かかっても、テレビ一台作る能力などない。我々はスイッチを推したり、ツマミを回したりするだけの行為を仕事と呼び、それにより過去の人類が築いた社会によって養われているのである。その自覚が現代人には欠けている様に、私には見える。
4)物品としての在庫は多少ある。しかし、それはここで本質的な意味を持つものではなく、企業の投資の一形態として存在する。
2018年2月10日土曜日
デジタル仮想通貨はグローバリストの新兵器か?
1)昨年秋、竹中平蔵氏が仮想通貨を推奨する発言を、Coin Choise というサイトでしている。「通貨決済の手段として、国の権威などのお墨付きがなければ安心できなかったのだけれども、新しい技術を駆使することによって、そうじゃなくできる様になった。」ただ、「今後発展し続けるためには、やはり決済に使えるしっかりした基盤が必要です。」とも述べている。
https://coinchoice.net/takenaka_heizo_bitcoin1/(竹中平蔵、仮想通貨をキーワードに検索すれば出てくる)
竹中平蔵氏は、ビットコインなど仮想通貨が今後広く決済に使われる基盤を、国家のお墨付き以外に手に入れることが可能だと言っているのである。この意見に対して、内閣参与の藤井聡京大教授は、竹中氏の仮想通貨擁護論を詐欺的行為に近いと批判している。https://www.youtube.com/watch?v=145_psmN2C4
藤井氏は、ビットコインが通貨として相応しくない点として、①他者(国家や店舗など)に通貨として受け取りを要請する権威はない、②金融政策が効かない点(価値の変動が大きい)、③ハッキングなどに弱い、などの点を挙げている。通貨としての権威が本来ビットコイン等に無いのか、それとも現状無いだけなのかについては、藤井氏は明言していない。それ以外の点では藤井氏の意見が正しく、竹中氏の発言は経済学者として異常だと思う。
竹中氏の頭脳は優秀である。小泉政権の時に経済財政政策担当大臣や金融担当大臣を歴任している。竹中、小泉という二人は、忠実な米国追従派であり、所謂グローバリストたちのエージェント的人物であると私は思う。竹中氏のこの記事を読み、私は仮想通貨とはグローバリストたちが繰り出した、新しい国境を破壊するための武器なのかもしれないと思った。
最初は共産主義を用い、次に経済障壁の撤廃という方法で、国境をなくす努力をしているグローバリストたち。しかし、共産主義政治は政治的不安定を世界にもたらし、膨大な犠牲者をだしている。次の経済障壁の撤廃は、貧富の差の拡大を世界にもたらした。仮想通貨も彼ら金融を支配する人たちの企みだと思う。それは、世界経済を大混乱に導く罪深い行為のような気がする。
2)ネット上でビットコインを擁護するのは、竹中氏だけではなかった。MAG2NEWSというネットマガジンで、「なぜ仮想通貨まで叩かれる? 新しい技術の登場を拒絶する日本」と題して、冷泉彰彦という人が日本での仮想通貨批判を批判している。http://www.mag2.com/p/news/348415?l=qux0596bfd ただ、この冷泉を名乗る人物の批判はナイーブなものではある。
これら仮想通貨擁護派の人たちの共通認識は、「貨幣としての信用は皆がそう信じることで生じ、貨幣となるものの本質的属性によるわけではない」という思想である。その思想については、数日前にビットコイン研究所を名乗る機関の記事を当ブログでも紹介した。http://doublehash.me/bitcoin-enten/
ビットコインの推薦者は、これら仮想通貨が金つまりゴールドのように皆がその価値を幻想すれば、世界通貨となり得ると考えている。つまり、金に本来値打ちなどないのだから、ビットコインも現代版の金通貨となり得るという意見である。しかし、現代の通貨は金と同じではない。
ニクソンショックの時に、通貨は金の裏付けを無くした。しかしそれは通貨の質的低下というよりも、「国家が保証する通貨」という通貨の新しい時代が始まったと考えるべきだろう。通貨が原始的な金の質札から、国家の下部組織である“中央銀行の債務を切り分けたものとしての紙幣”になったと見るべきだと思う。
もし金が普遍の貨幣たり得るのなら、兌換紙幣に戻せば良いだけである。金が幾ら高価になろうとも、数百も出来ていて、もはや希少性があるとは言えない仮想通貨の価値を信じるよりは、1gで10万円の金の価値を信じる方が世界の人々にとって容易である。
3)しかし、法定通貨に問題がないわけではない。基軸通貨である米ドルの信用が、米国の節度のない経済的姿勢により、低下している点である。それを指摘した記事が米国の仮想通貨応援サイト(cointelegraph.com)に出され、日本語に訳されている。記事の題名は、「もしも米ドルが仮想通貨だったら?」である。
https://jp.cointelegraph.com/explained/what-if-us-dollar-was-just-another-cryptocurrency-expert-blog-jpより引用
上図は最近の米国のマネーストック統計である。15年ほどの間に2.6倍ほどになっている。つまり、お金(ドル)をドンドン使って、その借金を貨幣としてバラまき、それが米国に還流する際には、ドル立ての資産(外貨準備や債券など)となり肥満児の脂肪のように全世界に溜まり、また一部は基軸通貨として流通し続けているのである。(補足1)
上図は対外純資産を主要国について示した図である。2016年末に1000兆円近い対外債務を米国は持っている。つまり、これ以上の対外債務を蓄積することができないので、新たに仮想通貨の発行で、米ドルの回収をやっているのではないのか。
重要な点は、米国が世界の基軸通貨を発行して巨万の利益を得ている以上、それを正しく運営する責任を果たすべきであるということだと思う。しかし、放漫な経済感覚により、更に赤字を垂れ流す体質に悪知恵がプラスされたのが、今回の仮想通貨だろう。
その米国経済を牛耳る人たちの節度のなさは、数多くの新しい仮想通貨の発行が予定されていることでもわかる。2月10日以降でも30近くの仮想通貨の発行が予定されているが、推測だが、多くは米国での発行だろう。https://jp.cointelegraph.com/ico-calendar
仮想通貨については、3月のG20で何らかの規制がかかる可能性が高い。しかし、G20の中で圧倒的力を持つ米国は、その規制をなるべく弱くする方向で諸国に圧力をかけるだろう。
補足:
1)この脂肪分を完全に取り去ることが、強大な軍事力を持つ米国ならできる。その方法は、財政破綻とドルの紙くず化である。どこかでトランプは、破産も米国の選択肢だと言ったような気がする。
https://coinchoice.net/takenaka_heizo_bitcoin1/(竹中平蔵、仮想通貨をキーワードに検索すれば出てくる)
竹中平蔵氏は、ビットコインなど仮想通貨が今後広く決済に使われる基盤を、国家のお墨付き以外に手に入れることが可能だと言っているのである。この意見に対して、内閣参与の藤井聡京大教授は、竹中氏の仮想通貨擁護論を詐欺的行為に近いと批判している。https://www.youtube.com/watch?v=145_psmN2C4
藤井氏は、ビットコインが通貨として相応しくない点として、①他者(国家や店舗など)に通貨として受け取りを要請する権威はない、②金融政策が効かない点(価値の変動が大きい)、③ハッキングなどに弱い、などの点を挙げている。通貨としての権威が本来ビットコイン等に無いのか、それとも現状無いだけなのかについては、藤井氏は明言していない。それ以外の点では藤井氏の意見が正しく、竹中氏の発言は経済学者として異常だと思う。
竹中氏の頭脳は優秀である。小泉政権の時に経済財政政策担当大臣や金融担当大臣を歴任している。竹中、小泉という二人は、忠実な米国追従派であり、所謂グローバリストたちのエージェント的人物であると私は思う。竹中氏のこの記事を読み、私は仮想通貨とはグローバリストたちが繰り出した、新しい国境を破壊するための武器なのかもしれないと思った。
最初は共産主義を用い、次に経済障壁の撤廃という方法で、国境をなくす努力をしているグローバリストたち。しかし、共産主義政治は政治的不安定を世界にもたらし、膨大な犠牲者をだしている。次の経済障壁の撤廃は、貧富の差の拡大を世界にもたらした。仮想通貨も彼ら金融を支配する人たちの企みだと思う。それは、世界経済を大混乱に導く罪深い行為のような気がする。
2)ネット上でビットコインを擁護するのは、竹中氏だけではなかった。MAG2NEWSというネットマガジンで、「なぜ仮想通貨まで叩かれる? 新しい技術の登場を拒絶する日本」と題して、冷泉彰彦という人が日本での仮想通貨批判を批判している。http://www.mag2.com/p/news/348415?l=qux0596bfd ただ、この冷泉を名乗る人物の批判はナイーブなものではある。
これら仮想通貨擁護派の人たちの共通認識は、「貨幣としての信用は皆がそう信じることで生じ、貨幣となるものの本質的属性によるわけではない」という思想である。その思想については、数日前にビットコイン研究所を名乗る機関の記事を当ブログでも紹介した。http://doublehash.me/bitcoin-enten/
ビットコインの推薦者は、これら仮想通貨が金つまりゴールドのように皆がその価値を幻想すれば、世界通貨となり得ると考えている。つまり、金に本来値打ちなどないのだから、ビットコインも現代版の金通貨となり得るという意見である。しかし、現代の通貨は金と同じではない。
ニクソンショックの時に、通貨は金の裏付けを無くした。しかしそれは通貨の質的低下というよりも、「国家が保証する通貨」という通貨の新しい時代が始まったと考えるべきだろう。通貨が原始的な金の質札から、国家の下部組織である“中央銀行の債務を切り分けたものとしての紙幣”になったと見るべきだと思う。
もし金が普遍の貨幣たり得るのなら、兌換紙幣に戻せば良いだけである。金が幾ら高価になろうとも、数百も出来ていて、もはや希少性があるとは言えない仮想通貨の価値を信じるよりは、1gで10万円の金の価値を信じる方が世界の人々にとって容易である。
3)しかし、法定通貨に問題がないわけではない。基軸通貨である米ドルの信用が、米国の節度のない経済的姿勢により、低下している点である。それを指摘した記事が米国の仮想通貨応援サイト(cointelegraph.com)に出され、日本語に訳されている。記事の題名は、「もしも米ドルが仮想通貨だったら?」である。
https://jp.cointelegraph.com/explained/what-if-us-dollar-was-just-another-cryptocurrency-expert-blog-jpより引用
上図は最近の米国のマネーストック統計である。15年ほどの間に2.6倍ほどになっている。つまり、お金(ドル)をドンドン使って、その借金を貨幣としてバラまき、それが米国に還流する際には、ドル立ての資産(外貨準備や債券など)となり肥満児の脂肪のように全世界に溜まり、また一部は基軸通貨として流通し続けているのである。(補足1)
上図は対外純資産を主要国について示した図である。2016年末に1000兆円近い対外債務を米国は持っている。つまり、これ以上の対外債務を蓄積することができないので、新たに仮想通貨の発行で、米ドルの回収をやっているのではないのか。
重要な点は、米国が世界の基軸通貨を発行して巨万の利益を得ている以上、それを正しく運営する責任を果たすべきであるということだと思う。しかし、放漫な経済感覚により、更に赤字を垂れ流す体質に悪知恵がプラスされたのが、今回の仮想通貨だろう。
その米国経済を牛耳る人たちの節度のなさは、数多くの新しい仮想通貨の発行が予定されていることでもわかる。2月10日以降でも30近くの仮想通貨の発行が予定されているが、推測だが、多くは米国での発行だろう。https://jp.cointelegraph.com/ico-calendar
仮想通貨については、3月のG20で何らかの規制がかかる可能性が高い。しかし、G20の中で圧倒的力を持つ米国は、その規制をなるべく弱くする方向で諸国に圧力をかけるだろう。
補足:
1)この脂肪分を完全に取り去ることが、強大な軍事力を持つ米国ならできる。その方法は、財政破綻とドルの紙くず化である。どこかでトランプは、破産も米国の選択肢だと言ったような気がする。
2018年2月9日金曜日
歴代自民党政権の朝鮮半島に対する無策
平昌五輪が始まり、北朝鮮の対韓国&対米外交攻勢が始まった。金正恩の妹はなかなか知性に優れているようで、韓国の世論を味方につけるべく微笑外交を開始した。単純な米国民も安倍総理のしかめっ面よりも金与正の笑顔を歓迎するだろう。大衆の知性とはその程度であり、特に誤った情報で洗脳された米国の大衆なら尚更である。
マティス副大統領は言葉を選んで喋るだろうが、安倍総理は北朝鮮に圧力をかけるべきだとか、北朝鮮は核廃絶すべきだとか吠えて、米国の犬の役を果たすだろう。マティス副大統領はその犬をあやして、まあまあここは抑えてとか何とか言って、最終的には何も重要な発言なしに帰るだろう。
トランプ大統領はもともと米兵の犠牲を払ってまで、北朝鮮を攻撃する気持ちなど毛頭ないだろう。ただ、産軍共同体への発注額の増加に役立ち、かつ被害の少ない方向、つまり日本や韓国が被害の大半と相当の軍備増強を受け持つのなら考えるだろう。韓国の文在寅政権は必死にそのシナリオを避けようとしているが、日本の政権は何も考えていない。
日本は朝鮮戦争に直接関係ないのだから、まともな独立国なら、米国に朝鮮戦争の終結と和平の提案を1975年の国連総会での決議の繰り返しでも良いから、主張すべきだった。自民党の政治屋連中は対米従属路線に安住して、日本国民から将来の安定を奪った犯人である。池田勇人、佐藤栄作、中曽根康弘、小泉純一郎など長期政権を担当できたのは、単に米国の犬だったからだ。
今回の北朝鮮問題では、最後に日本ははしごを外されて、米国と中国の二大派遣国の谷間の緩衝国になるだろう。両方から利益を吸い取られるための国となり、日本民族消滅の危機がおとづれるような気がする。
米国が恐れるのは、ロシアと中国であり、北朝鮮ではない。北朝鮮の核兵器は、金正恩が言っているとおり、対米抑止のためであり対米攻撃の為では無い。もちろん、対日脅しの役割は十分果たすので、北朝鮮との基本条約のときにはたんまりむしり取るための道具になるだろう。
米国支配層が憎いのは日本であり、北朝鮮ではない。第二次大戦では米国は勝ったものの予想外の被害を被った。広島と長崎に原爆を投下したが、それは米国にとっては忘れたい過去の悪行である。そのトラウマは、日本憎しの大合唱を東アジアで起こすことで多少とも薄めることが可能である。
そのために、朝鮮半島に慰安婦問題など反日感情を醸成し、中国には南京大逆殺の捏造を進言した。李承晩はそれを忠実に実行したし、アイリス・チャンはベストセラーとなる本を書いた。彼女がその後直ぐ死んだのは、証拠隠滅だろうという噂もある。長期政権を誇った自民党議員たちは、そのような話をしらないのなら馬鹿だし、承知していながら対米従属路線を撮り続けたのなら国賊である。
明治維新いらいの薩長土肥の者たちは、日本を二度潰すのだろう。一度目は何の戦略もなく、満州から中国侵略に移行して、虎の尾を踏んだ第二次大戦であり、二度目はこれからの米国による日本封じ込め戦略の完成だろう。
以上内容の多くは、元外交官の馬渕睦夫氏や孫崎享氏、米国在住の伊藤貫氏らの受け売りかもしれないが、そして、これまでのブログに何か新しい内容を加えたわけでもないが、世界の政治が動く時期かもしれないので敢えて書いた。
マティス副大統領は言葉を選んで喋るだろうが、安倍総理は北朝鮮に圧力をかけるべきだとか、北朝鮮は核廃絶すべきだとか吠えて、米国の犬の役を果たすだろう。マティス副大統領はその犬をあやして、まあまあここは抑えてとか何とか言って、最終的には何も重要な発言なしに帰るだろう。
トランプ大統領はもともと米兵の犠牲を払ってまで、北朝鮮を攻撃する気持ちなど毛頭ないだろう。ただ、産軍共同体への発注額の増加に役立ち、かつ被害の少ない方向、つまり日本や韓国が被害の大半と相当の軍備増強を受け持つのなら考えるだろう。韓国の文在寅政権は必死にそのシナリオを避けようとしているが、日本の政権は何も考えていない。
日本は朝鮮戦争に直接関係ないのだから、まともな独立国なら、米国に朝鮮戦争の終結と和平の提案を1975年の国連総会での決議の繰り返しでも良いから、主張すべきだった。自民党の政治屋連中は対米従属路線に安住して、日本国民から将来の安定を奪った犯人である。池田勇人、佐藤栄作、中曽根康弘、小泉純一郎など長期政権を担当できたのは、単に米国の犬だったからだ。
今回の北朝鮮問題では、最後に日本ははしごを外されて、米国と中国の二大派遣国の谷間の緩衝国になるだろう。両方から利益を吸い取られるための国となり、日本民族消滅の危機がおとづれるような気がする。
米国が恐れるのは、ロシアと中国であり、北朝鮮ではない。北朝鮮の核兵器は、金正恩が言っているとおり、対米抑止のためであり対米攻撃の為では無い。もちろん、対日脅しの役割は十分果たすので、北朝鮮との基本条約のときにはたんまりむしり取るための道具になるだろう。
米国支配層が憎いのは日本であり、北朝鮮ではない。第二次大戦では米国は勝ったものの予想外の被害を被った。広島と長崎に原爆を投下したが、それは米国にとっては忘れたい過去の悪行である。そのトラウマは、日本憎しの大合唱を東アジアで起こすことで多少とも薄めることが可能である。
そのために、朝鮮半島に慰安婦問題など反日感情を醸成し、中国には南京大逆殺の捏造を進言した。李承晩はそれを忠実に実行したし、アイリス・チャンはベストセラーとなる本を書いた。彼女がその後直ぐ死んだのは、証拠隠滅だろうという噂もある。長期政権を誇った自民党議員たちは、そのような話をしらないのなら馬鹿だし、承知していながら対米従属路線を撮り続けたのなら国賊である。
明治維新いらいの薩長土肥の者たちは、日本を二度潰すのだろう。一度目は何の戦略もなく、満州から中国侵略に移行して、虎の尾を踏んだ第二次大戦であり、二度目はこれからの米国による日本封じ込め戦略の完成だろう。
以上内容の多くは、元外交官の馬渕睦夫氏や孫崎享氏、米国在住の伊藤貫氏らの受け売りかもしれないが、そして、これまでのブログに何か新しい内容を加えたわけでもないが、世界の政治が動く時期かもしれないので敢えて書いた。
2018年2月6日火曜日
西部邁氏の自死の意味
西部邁氏(補足1)が多摩川に身を投げてから、2週間経った。そして、自分で自分の命を閉じる「自裁死」という言葉が日本中に投げかけられた。佐伯啓思という方が追悼文を書いている。それによると、 佐伯氏が東大大学院時代、赴任した西部教授が学生たちとの議論のなかで絶えず問いかけた言葉は、「お前は何を信条に生きているか、それを実践しているか」であったという。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13328671.html?_requesturl=articles%2FDA3S13328671.html&rm=150
恐らく、それは西部氏が自分自身へ日々問いかける言葉でもあったのだろう。その問いかけの答を実践するかのように、西部氏は先月21日(2018/1/21)自分で自分の命を閉じた。つまり、その日西部氏が自問し出した答えが、最後の仕事として「その問いかけ」を日本中に投げかけることだったのだろう。一人の生と死のストーリーとして、見事という他ない。以下、西部氏の言葉を反芻したい。
西部氏の言葉は聞く人により意味が異なるだろう。しかし、最も重要な対象は、日本国の大衆だったと思う。そしてその問いの意味は、「人間にとって死は相対的で、選択肢の中にある筈でしょう?」ということになると思う。(補足2)つまり西部さんの自裁死は、自分のそして家族の安全とか健康とかに無限の価値をおく現在の日本社会の風潮と、それがもたらす日本の将来を危惧した警鐘だと思う。
民主政治が純粋過ぎる形で存在する日本(補足3)では、大衆の考えは日本政界における思考方向を支配する。日本には40年前にも、「人の命は地球より重い」という言葉で、憲法も法律も論理も無視するような決断をした総理大臣がいた。そして現在、健康や医療が大衆の視野の大半を占め、将来の国家を危うくするような事態の兆しなど、視野の片隅にもない状況を生み出している。
昔、武士は死ぬべき時と場所を考えた。自分の命を民族の繁栄など「義」のために使うという発想で、死を乗り越えた人たち。その死は、武士という誇りと表裏をなすと考えられる。誇り高い人がほとんど居なくなり、且つ、そのような人はむしろ嫌われる今日である。
大衆の「人(つまり自分)の命は地球より重い。健康(自分の)こそ最優先課題」という“傲慢”は、イナゴの大群が米を食い荒らす様に、日本の将来をも食い荒らしているのではないか? それが西部氏の遺言の様な気がする。
補足:
1)西部邁氏は東大経済学部卒の経済学者で評論家。代表的著作に「大衆への反逆」がある。(なお、「大衆の反逆」は西部氏がよく引用するオルテガの著作題名である。)最近では、伊藤貫氏との討論が印象に残った。https://www.youtube.com/watch?v=t63ddMF5BSs
2)人間以外の動物は自分が死ぬ存在であることを自覚していない。従って、動物にとって自分の命は絶対的である。しかし、人間は唯一自分が死ぬことを知る存在である。それは、非常に小さい確率かもしれないが、死が人間個人の選択肢の中にあることを意味している。
小説の中で先ず思い出すのは、①深澤七郎の小説「楢山節考」である。 http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2015/09/blog-post_4.html そして私は、②山崎豊子作「大地の子」の中で、主人公の陸一心が養父母とともにチャーズ(それは生死を別ける関門だった)をくぐり抜ける時の様子を思い出す。陸一心が残留日本人孤児であると疑った監視兵の尋問に対して、養父が「自分はここに残るので、この子を母と共にくぐり抜けさせてくれ」と言って、誤魔化したのである。いずれも、自分の命を相対化することで、人の義を示したのだと思う。
3)これについては何度か書いた。例えば“政治大国は民主政治を採用しない :民主主義はモルヒネである”: http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2017/09/blog-post_9.html
恐らく、それは西部氏が自分自身へ日々問いかける言葉でもあったのだろう。その問いかけの答を実践するかのように、西部氏は先月21日(2018/1/21)自分で自分の命を閉じた。つまり、その日西部氏が自問し出した答えが、最後の仕事として「その問いかけ」を日本中に投げかけることだったのだろう。一人の生と死のストーリーとして、見事という他ない。以下、西部氏の言葉を反芻したい。
西部氏の言葉は聞く人により意味が異なるだろう。しかし、最も重要な対象は、日本国の大衆だったと思う。そしてその問いの意味は、「人間にとって死は相対的で、選択肢の中にある筈でしょう?」ということになると思う。(補足2)つまり西部さんの自裁死は、自分のそして家族の安全とか健康とかに無限の価値をおく現在の日本社会の風潮と、それがもたらす日本の将来を危惧した警鐘だと思う。
民主政治が純粋過ぎる形で存在する日本(補足3)では、大衆の考えは日本政界における思考方向を支配する。日本には40年前にも、「人の命は地球より重い」という言葉で、憲法も法律も論理も無視するような決断をした総理大臣がいた。そして現在、健康や医療が大衆の視野の大半を占め、将来の国家を危うくするような事態の兆しなど、視野の片隅にもない状況を生み出している。
昔、武士は死ぬべき時と場所を考えた。自分の命を民族の繁栄など「義」のために使うという発想で、死を乗り越えた人たち。その死は、武士という誇りと表裏をなすと考えられる。誇り高い人がほとんど居なくなり、且つ、そのような人はむしろ嫌われる今日である。
大衆の「人(つまり自分)の命は地球より重い。健康(自分の)こそ最優先課題」という“傲慢”は、イナゴの大群が米を食い荒らす様に、日本の将来をも食い荒らしているのではないか? それが西部氏の遺言の様な気がする。
補足:
1)西部邁氏は東大経済学部卒の経済学者で評論家。代表的著作に「大衆への反逆」がある。(なお、「大衆の反逆」は西部氏がよく引用するオルテガの著作題名である。)最近では、伊藤貫氏との討論が印象に残った。https://www.youtube.com/watch?v=t63ddMF5BSs
2)人間以外の動物は自分が死ぬ存在であることを自覚していない。従って、動物にとって自分の命は絶対的である。しかし、人間は唯一自分が死ぬことを知る存在である。それは、非常に小さい確率かもしれないが、死が人間個人の選択肢の中にあることを意味している。
小説の中で先ず思い出すのは、①深澤七郎の小説「楢山節考」である。 http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2015/09/blog-post_4.html そして私は、②山崎豊子作「大地の子」の中で、主人公の陸一心が養父母とともにチャーズ(それは生死を別ける関門だった)をくぐり抜ける時の様子を思い出す。陸一心が残留日本人孤児であると疑った監視兵の尋問に対して、養父が「自分はここに残るので、この子を母と共にくぐり抜けさせてくれ」と言って、誤魔化したのである。いずれも、自分の命を相対化することで、人の義を示したのだと思う。
3)これについては何度か書いた。例えば“政治大国は民主政治を採用しない :民主主義はモルヒネである”: http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2017/09/blog-post_9.html
2018年2月3日土曜日
被爆者だからと言って、核軍縮を論じる特別な権威がある訳ではない
毎日新聞配信のヤフーニュースは、最近トランプ米政権が公表した「核態勢見直し(NPR)」について報じている。それによるとトランプ政権は、小型核兵器の新規開発など、戦術核の整備拡充案を取り入れるという。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180203-00000047-mai-soci
そこでいつもながら、「広島や長崎の被爆者からは、核廃絶の流れが後退することへの懸念や落胆の声が上がった。」と報じている。その次の文章を引用する。
8歳の時に被爆した岡田恵美子さん(81)=広島市=は「これまでもトランプ大統領は核戦力の増強をちらつかせる発言をしてきたが、パフォーマンスだと思っていた。『核兵器なき世界』を掲げたオバマ前大統領とは真反対の方向に進んでいる」と肩を落とし、「オバマ氏の広島訪問や核兵器禁止条約の採択など核廃絶へ向かう機運に水を差すもので、絶対反対だし、考えられない」と語気を強めた。
この被爆者は何も判っていない。戦術核は、限定的核攻撃に対する抑止力として日本も持つべきである。もちろん、米国や中国は連携してそれを阻止するだろう。オバマは単にパーフォーマンスで核廃絶を言っただけで、現状ではできないことが判っていた筈であるし、本気でそれに着手しなかった。何故なら、核兵器は拡散しても廃絶はされないからである。
オバマは、「米国や国連常任理事国は大人の国家であり、核兵器を管理できるが、それ以外の国には十分管理できない」という自分勝手な論理で、これらの国々で核兵器の独占を考えているだけだ。そんなことは被爆者の岡田さんにはわからないだろう。被爆者だと言っても、核兵器を論じる特別な権威などない。
そこでいつもながら、「広島や長崎の被爆者からは、核廃絶の流れが後退することへの懸念や落胆の声が上がった。」と報じている。その次の文章を引用する。
8歳の時に被爆した岡田恵美子さん(81)=広島市=は「これまでもトランプ大統領は核戦力の増強をちらつかせる発言をしてきたが、パフォーマンスだと思っていた。『核兵器なき世界』を掲げたオバマ前大統領とは真反対の方向に進んでいる」と肩を落とし、「オバマ氏の広島訪問や核兵器禁止条約の採択など核廃絶へ向かう機運に水を差すもので、絶対反対だし、考えられない」と語気を強めた。
この被爆者は何も判っていない。戦術核は、限定的核攻撃に対する抑止力として日本も持つべきである。もちろん、米国や中国は連携してそれを阻止するだろう。オバマは単にパーフォーマンスで核廃絶を言っただけで、現状ではできないことが判っていた筈であるし、本気でそれに着手しなかった。何故なら、核兵器は拡散しても廃絶はされないからである。
オバマは、「米国や国連常任理事国は大人の国家であり、核兵器を管理できるが、それ以外の国には十分管理できない」という自分勝手な論理で、これらの国々で核兵器の独占を考えているだけだ。そんなことは被爆者の岡田さんにはわからないだろう。被爆者だと言っても、核兵器を論じる特別な権威などない。
2018年2月2日金曜日
デジタル通貨とデジタル仮想通貨を峻別すべき & デジタル通貨のICO(最初の発行)は詐欺である
1)ビットコインなどデジタル仮想通貨は、ネット空間のみに存在する通貨に似た存在である。その基本的な特徴などについては、昨年秋のブログに書いた通りである。
http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2017/10/blog-post_29.html
ビットコインは送金や決済の手段として一部に使われているが、価値の変化が緩やかであるという通貨の基本的要請を欠いている。それは、その価値が発行元の信用とリンクしていないことが原因である。
発行時から現在までの1000倍ほどの価格変化はバブル的であり、今後その価値は相当下がるだろう。(補足1)外国ではビットコインに対するストレートな批判も多い。例えば、JPモルガンチェイスのCEO Jamie Dimon が、デジタル仮想通貨を詐欺だと発言している。(下のcnbc.comの記事参照)
ビットコインなどの仮想通貨は、最新技術を”目くらまし”に用いた、責任ある発行元も国境も存在しない“私設通貨”(補足2)であり、多くの国家や国際社会がそのままに放置しているのが不思議である。例外的に中国は、それが外貨流出の原因となったという事情もあり、規制を強化した。https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-01-11/P2DJF76JIK0001
現在ビットコインの総価値がIMFの特別引き出し権(SDR)の額を超えていて、それを含めてデジタル仮想通貨の影響で、世界の金融が大混乱に陥る可能性が出ているという。IMFのRagarde総裁も、その危険性を指摘している。その一方、Ragarde総裁はビットコインに用いられたブロックチェイン技術は評価しており、SDRに導入することを考えているようである。https://www.cnbc.com/2017/10/13/bitcoin-get-serious-about-digital-currency-imf-christine-lagarde-says.html
2)紙幣はもともと金(ゴールド)の預かり証であり、金の希少価値と紙幣発行元の信用で、その価値が保証されていた。その後不換紙幣の時代になって、中央銀行の資産に対応する負債を分割したものとしての意味に代わった。中央銀行例えば日銀の資産のほとんどが日本国債であることを考えると、その信用と価値には一定の確かさがある。それらが一切存在しないデジタル仮想通貨に投資対象としての将来性がある筈がない。
日本の情けないところは、新聞報道でもTVの政治経済バラエティでも、その類の真面目な議論があまりされていないことである。最近のニュースバラエティは、ほとんど相撲協会の理事選挙とか小泉今日子の不倫騒動など下らない話題で独占されている。
経済に関するネット記事や解説、あるいは日経新聞などではもちろん議論されているが、その頻度や分かりやすさなどが十分では無いと思う。例えば、日経新聞は「デジタル通貨、世界の中銀で待望論」という類の見出しで、記事をかいている。その記事はビットコインなどの仮想通貨を宣伝しているようにも読める。 https://www.nikkei.com/article/DGXLASDC05H0M_V00C17A9MM8000/
その記事の一節を引用する:
世界の中央銀行が、法的な裏付けを持つデジタル通貨の発行を相次ぎ検討し始めている。今の驚異的な速さでビットコインなどの仮想通貨が普及し続けると、資金決済サービスなどで自国通貨の存在感が低下し、いずれ金融政策にも影響を及ぼしかねないとの危機感からだ。
デジタル通貨の発行を検討する理由が、その資金移動の追跡が可能なことや送金手続きが安全且つ簡単なことなどなら、そのような書き方はおかしい。仮想通貨が普及して自国通貨の存在感が低下するのなら、仮想通貨取引を禁止すれば済むことだと思う。上記のような書き方だと、時代の変化に付いて行くべく、ビットコイン購入を考える人が増加するのではないだろうか。
日経新聞の読者が皆、デジタル通貨とデジタル仮想通貨の区別を理解しているのなら良いが、一部でも理解していないのなら、トラブルを誘引しかねない。もう少し慎重に書くべきだと思う。つまり、上記文章で述べている中央銀行の例えばデジタル円は、IMFのデジタルSDRと同様、発行元も法的裏付けも存在するデジタル通貨であり、それはビットコインなど仮想通貨とは本質的に異なる。
評価するべき部分と批判する部分を明確にして議論してもらいたいと思う。
3)ネット上の通貨としては、詐欺事件で使われた「円天」が有名である。この円天とビットコインの違いを書いた文章が、ビットコイン研究所を名乗るサイトに掲載された。おそらくビットコインを宣伝したい意図で書かれたのだろう。http://doublehash.me/bitcoin-enten/ それを注意深く読めば、ビットコイン応援席側の本音がわかる。
ビットコインについていうと、仕組み的には、金(ゴールド)に近い。ゴールドは、発行体があるわけではなく、自然のなかに埋まっているものである。そして、ゴールドの価値を保証している政府や団体がいるわけではなく、ゴールドの価値はなにか?といわれても、人々がそれを価値があると古来信じてきて、価値の保存に使ってきた、という歴史であるとしか言いようがない。金属そのものの利用価値が反映されているわけではないからだ。https://bitcoinlab.jp/articles/134
上記ビットコインとゴールド(通貨としての)との類似性の記述は、もし金に希少性や金属自体の価値がないとすれば正しいと思う。ビットコインの数は2100万コインと限られているからといって希少性由来の価値があるとは言えない。何故なら、イーサリアムやリップルなど他のデジタル仮想通貨が次々と出るようになった現在、ビットコインの希少性は価値の根拠にならないからである。
金について、「金属そのものの利用価値が反映されているわけではない」とあるが、これは意図的にビットコインの性格を金並に持ち上げるための記述だろう。元々何の価値も根拠もないビットコインに比較して、金には有史以来「希少性と装飾能」により高い価値をもつという人類共通の認識があった。また仏像などの偶像や宗教的建造物が金でコーティングされてきた事実は、金の価値を象徴している。
上記ビットコインラボの文章は2015/8/03に書かれたのだが、おそらくその時には数千円程度だった1ビットコインは、その後咋年末には220万円という値をつけた。文章の最後でビットコインの解釈は自己責任でやるようにと言っているが、誤った情報を与えてビットコインへの投資を呼びかけたのだから、わずかだろうがデジタル仮想通貨に関する混乱の責任がある。
4)大きな問題点は、デジタル通貨の発行の時点にある。ビットコインが作られた時にはあまり世間の注目がなかったので、出発点については注目されなかった。発行元は無いかのようにいっている人が多いが、最初に誰かがビットコインを一定数配布したはずである。その誰かが発行元である。 ビットコインが高値をつけたため、新たに仮想通貨を発行すれば巨万の資金を調達できることに注目し、それを利用して会社を設立した人までいる。 https://ferret-plus.com/824やhttp://www.kigyosodan.com/blog/ico/
その最初のコイン発行をICO(initial coin offering) という。(補足3)最初の価格上昇を狙って購入するひとも多いだろうから、高値で発行してぼろ儲けする手段となり得る。そんなやり方で資金が集まるのなら、配当や株主総会などで後々厄介な株を発行するよりも遥かに得である。しかし、最後は値下がりして無になるだろうから、円天の詐欺と同じだと思う。
デジタル仮想通貨に関しては法的規制を早急にする必要があるのではないだろうか。
5)私設電子貨幣について:円天とアマゾンコインやヤフーマネー
円天を発行していたL&Gは、健康食品や布団を販売している会社でもあった。資金繰りがつかなくなり創設者は出資法違反容疑で逮捕された。円天は、最初出資者多数に高利を宣伝して買い込ませ、それをL&Gが取り扱う商品を買う際に用いることが出来ると宣伝した。そこで出た利益の一部を配当として、最初は円で最終的には円天で出資者に還元した。 高利を約束して買い込ませる部分を無くせば、そのやり方は、アマゾンコインやヤフーマネーとよく似ている(補足4)。つまり最大の違いは、最初に年利36%という高利を約束して出資金をネズミ講的に大量に集めた点だろう。 その会社(L&G)が、資金繰りができなくなったのは、①元々ネズミ講的な詐欺行為だったからなのか、②予測が甘く品物の売り上げが予想通り行かなかったのか? 破綻の原因は直感的に①であるが、演繹的論理で②ではないと断言するのは困難だと思う。つまり、アマゾンコインやヤフーマネーとの峻別は困難ではないだろうか。
アマゾンコインは体験していないのでわからないが、ヤフーマネーに関して言えば、一般客が品物を買うだけでなくヤフー市場内で物を売り、その対価を受け取る際にも用いることが多い。ヤフー市場内では完全に貨幣としての機能を果たす。つまり、市中銀行への金の流れが無い状態で、売り買いを継続することが可能である。 したがってこれらは、取引空間を限定された貨幣である。この種の私設マネーはどこまで法的に許されるのかは、法律の素人である私にはわからない。
補足:
1)咋年12月17日に最高値223万円を付けたビットコインは、今朝午前一時からは100万円を切っている。
2)ここでは、発行元が国家の中央銀行か政府の貨幣を公的貨幣、それ以外を私設貨幣と呼ぶことにする。ヤフーマネーやアマゾンコインなども私設貨幣の範疇に入るのだろう。企業のポイントもその中に入るかもしれない。
3)新規株式上場(IPO; InitialPublic Offering)と似ている。その資格を与えられた企業は、その際に多額の資金を得る。しかし、その後は株主に配当をだすこと、経営権の部分的付与などの義務が生じる。ICOにはどちらも無い。
4)100円は100アマゾンコインに相当する。また、100円はヤフーマネーの100円である。ヤフーマネーの場合、オークションやマーケットで品物を売ると、それをヤフーマネーで自分の口座に保管することができる。何かをオークションで買った時に、それを用いることで期間限定だがヤフーのTポイントをもらうことができる。このTポイントは円天の配当に相当する。つまり、それらは限られたマーケット内の“私設”通貨である。
発行時から現在までの1000倍ほどの価格変化はバブル的であり、今後その価値は相当下がるだろう。(補足1)外国ではビットコインに対するストレートな批判も多い。例えば、JPモルガンチェイスのCEO Jamie Dimon が、デジタル仮想通貨を詐欺だと発言している。(下のcnbc.comの記事参照)
ビットコインなどの仮想通貨は、最新技術を”目くらまし”に用いた、責任ある発行元も国境も存在しない“私設通貨”(補足2)であり、多くの国家や国際社会がそのままに放置しているのが不思議である。例外的に中国は、それが外貨流出の原因となったという事情もあり、規制を強化した。https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-01-11/P2DJF76JIK0001
現在ビットコインの総価値がIMFの特別引き出し権(SDR)の額を超えていて、それを含めてデジタル仮想通貨の影響で、世界の金融が大混乱に陥る可能性が出ているという。IMFのRagarde総裁も、その危険性を指摘している。その一方、Ragarde総裁はビットコインに用いられたブロックチェイン技術は評価しており、SDRに導入することを考えているようである。https://www.cnbc.com/2017/10/13/bitcoin-get-serious-about-digital-currency-imf-christine-lagarde-says.html
2)紙幣はもともと金(ゴールド)の預かり証であり、金の希少価値と紙幣発行元の信用で、その価値が保証されていた。その後不換紙幣の時代になって、中央銀行の資産に対応する負債を分割したものとしての意味に代わった。中央銀行例えば日銀の資産のほとんどが日本国債であることを考えると、その信用と価値には一定の確かさがある。それらが一切存在しないデジタル仮想通貨に投資対象としての将来性がある筈がない。
日本の情けないところは、新聞報道でもTVの政治経済バラエティでも、その類の真面目な議論があまりされていないことである。最近のニュースバラエティは、ほとんど相撲協会の理事選挙とか小泉今日子の不倫騒動など下らない話題で独占されている。
経済に関するネット記事や解説、あるいは日経新聞などではもちろん議論されているが、その頻度や分かりやすさなどが十分では無いと思う。例えば、日経新聞は「デジタル通貨、世界の中銀で待望論」という類の見出しで、記事をかいている。その記事はビットコインなどの仮想通貨を宣伝しているようにも読める。 https://www.nikkei.com/article/DGXLASDC05H0M_V00C17A9MM8000/
その記事の一節を引用する:
世界の中央銀行が、法的な裏付けを持つデジタル通貨の発行を相次ぎ検討し始めている。今の驚異的な速さでビットコインなどの仮想通貨が普及し続けると、資金決済サービスなどで自国通貨の存在感が低下し、いずれ金融政策にも影響を及ぼしかねないとの危機感からだ。
デジタル通貨の発行を検討する理由が、その資金移動の追跡が可能なことや送金手続きが安全且つ簡単なことなどなら、そのような書き方はおかしい。仮想通貨が普及して自国通貨の存在感が低下するのなら、仮想通貨取引を禁止すれば済むことだと思う。上記のような書き方だと、時代の変化に付いて行くべく、ビットコイン購入を考える人が増加するのではないだろうか。
日経新聞の読者が皆、デジタル通貨とデジタル仮想通貨の区別を理解しているのなら良いが、一部でも理解していないのなら、トラブルを誘引しかねない。もう少し慎重に書くべきだと思う。つまり、上記文章で述べている中央銀行の例えばデジタル円は、IMFのデジタルSDRと同様、発行元も法的裏付けも存在するデジタル通貨であり、それはビットコインなど仮想通貨とは本質的に異なる。
評価するべき部分と批判する部分を明確にして議論してもらいたいと思う。
3)ネット上の通貨としては、詐欺事件で使われた「円天」が有名である。この円天とビットコインの違いを書いた文章が、ビットコイン研究所を名乗るサイトに掲載された。おそらくビットコインを宣伝したい意図で書かれたのだろう。http://doublehash.me/bitcoin-enten/ それを注意深く読めば、ビットコイン応援席側の本音がわかる。
ビットコインについていうと、仕組み的には、金(ゴールド)に近い。ゴールドは、発行体があるわけではなく、自然のなかに埋まっているものである。そして、ゴールドの価値を保証している政府や団体がいるわけではなく、ゴールドの価値はなにか?といわれても、人々がそれを価値があると古来信じてきて、価値の保存に使ってきた、という歴史であるとしか言いようがない。金属そのものの利用価値が反映されているわけではないからだ。https://bitcoinlab.jp/articles/134
上記ビットコインとゴールド(通貨としての)との類似性の記述は、もし金に希少性や金属自体の価値がないとすれば正しいと思う。ビットコインの数は2100万コインと限られているからといって希少性由来の価値があるとは言えない。何故なら、イーサリアムやリップルなど他のデジタル仮想通貨が次々と出るようになった現在、ビットコインの希少性は価値の根拠にならないからである。
金について、「金属そのものの利用価値が反映されているわけではない」とあるが、これは意図的にビットコインの性格を金並に持ち上げるための記述だろう。元々何の価値も根拠もないビットコインに比較して、金には有史以来「希少性と装飾能」により高い価値をもつという人類共通の認識があった。また仏像などの偶像や宗教的建造物が金でコーティングされてきた事実は、金の価値を象徴している。
上記ビットコインラボの文章は2015/8/03に書かれたのだが、おそらくその時には数千円程度だった1ビットコインは、その後咋年末には220万円という値をつけた。文章の最後でビットコインの解釈は自己責任でやるようにと言っているが、誤った情報を与えてビットコインへの投資を呼びかけたのだから、わずかだろうがデジタル仮想通貨に関する混乱の責任がある。
4)大きな問題点は、デジタル通貨の発行の時点にある。ビットコインが作られた時にはあまり世間の注目がなかったので、出発点については注目されなかった。発行元は無いかのようにいっている人が多いが、最初に誰かがビットコインを一定数配布したはずである。その誰かが発行元である。 ビットコインが高値をつけたため、新たに仮想通貨を発行すれば巨万の資金を調達できることに注目し、それを利用して会社を設立した人までいる。 https://ferret-plus.com/824やhttp://www.kigyosodan.com/blog/ico/
その最初のコイン発行をICO(initial coin offering) という。(補足3)最初の価格上昇を狙って購入するひとも多いだろうから、高値で発行してぼろ儲けする手段となり得る。そんなやり方で資金が集まるのなら、配当や株主総会などで後々厄介な株を発行するよりも遥かに得である。しかし、最後は値下がりして無になるだろうから、円天の詐欺と同じだと思う。
デジタル仮想通貨に関しては法的規制を早急にする必要があるのではないだろうか。
5)私設電子貨幣について:円天とアマゾンコインやヤフーマネー
円天を発行していたL&Gは、健康食品や布団を販売している会社でもあった。資金繰りがつかなくなり創設者は出資法違反容疑で逮捕された。円天は、最初出資者多数に高利を宣伝して買い込ませ、それをL&Gが取り扱う商品を買う際に用いることが出来ると宣伝した。そこで出た利益の一部を配当として、最初は円で最終的には円天で出資者に還元した。 高利を約束して買い込ませる部分を無くせば、そのやり方は、アマゾンコインやヤフーマネーとよく似ている(補足4)。つまり最大の違いは、最初に年利36%という高利を約束して出資金をネズミ講的に大量に集めた点だろう。 その会社(L&G)が、資金繰りができなくなったのは、①元々ネズミ講的な詐欺行為だったからなのか、②予測が甘く品物の売り上げが予想通り行かなかったのか? 破綻の原因は直感的に①であるが、演繹的論理で②ではないと断言するのは困難だと思う。つまり、アマゾンコインやヤフーマネーとの峻別は困難ではないだろうか。
アマゾンコインは体験していないのでわからないが、ヤフーマネーに関して言えば、一般客が品物を買うだけでなくヤフー市場内で物を売り、その対価を受け取る際にも用いることが多い。ヤフー市場内では完全に貨幣としての機能を果たす。つまり、市中銀行への金の流れが無い状態で、売り買いを継続することが可能である。 したがってこれらは、取引空間を限定された貨幣である。この種の私設マネーはどこまで法的に許されるのかは、法律の素人である私にはわからない。
補足:
1)咋年12月17日に最高値223万円を付けたビットコインは、今朝午前一時からは100万円を切っている。
2)ここでは、発行元が国家の中央銀行か政府の貨幣を公的貨幣、それ以外を私設貨幣と呼ぶことにする。ヤフーマネーやアマゾンコインなども私設貨幣の範疇に入るのだろう。企業のポイントもその中に入るかもしれない。
3)新規株式上場(IPO; InitialPublic Offering)と似ている。その資格を与えられた企業は、その際に多額の資金を得る。しかし、その後は株主に配当をだすこと、経営権の部分的付与などの義務が生じる。ICOにはどちらも無い。
4)100円は100アマゾンコインに相当する。また、100円はヤフーマネーの100円である。ヤフーマネーの場合、オークションやマーケットで品物を売ると、それをヤフーマネーで自分の口座に保管することができる。何かをオークションで買った時に、それを用いることで期間限定だがヤフーのTポイントをもらうことができる。このTポイントは円天の配当に相当する。つまり、それらは限られたマーケット内の“私設”通貨である。