2018年6月12日火曜日

北朝鮮問題=拉致問題ではない:日本の指導者はそして日本国民は金正恩に学ぶべき

1)本日の米朝会談の結果について午後6時前に安倍総理からコメントがあった。https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20180612-00000079-nnn-pol

それは、北朝鮮の朝鮮半島の非核化についての決断が文章になったことを評価することと、拉致問題をトランプ大統領が取り上げたことを評価する旨の発言であった。しかし、首相は本当に北朝鮮が朝鮮半島の非核化を望んでいると思っているのだろうか?また、北朝鮮問題といえば拉致問題という風な言及の仕方で、日本は良いのだろうか。

確かに、ナイーブな多数派の日本国民に対しては、とにかく拉致被害者を取り戻すことが北朝鮮問題の主なる課題であるように言っておれば、真面目に対応している印象を与えるだろう。しかし、それでは多くの知的な国民は納得しないだろう。何故なら、統一朝鮮や中国との関係、それに核武装の問題は、将来の日本民族の運命にかかわる重要な問題だからである。(補足1)

北朝鮮の核問題は、東アジアの平和と安定の問題であり、日本の安全の問題である。つまり、一億三千万人の安全の問題であり、拉致被害者数十人の問題に矮小化されては困る。それに、拉致問題は40年前の日本政府の失政の問題であり、現在の政府がその失点を回復することは出来ない。第一、拉致が実行されたとき、日本海に投げ捨てられた人間も多数いると聞く。その人たちの被害に対して、現在の政府が何か出来るのか?

政府は、北朝鮮問題については単に拉致被害者を取り戻すという観点からではなく、日本と北朝鮮との間の和平の問題として、また東アジアだけでなく世界の中での日本の国防の問題として捉えるべきである。

2)北朝鮮が核兵器を開発したのは、朝鮮戦争で世界一の核大国である米国と対峙してきたからである。そして、北朝鮮が核兵器を完全廃棄(& 放棄)することはないだろう。米国も、北朝鮮の核の設計図はすべて廃棄できないだろうし、技術者の頭の中にある技術やノーハウも消し去ることはできないだろう。

現在は諦める振りをしても、決して北朝鮮は核兵器を諦めないだろう。何故なら、普通に知的なリーダーにとって、国民国家が構成する世界が続く限り、現在のところ核武装は国防の要諦であることは明白だからである。そんなことは、エマヌエル・トッドに言われなくても、分かる人には分かっている。(補足2)今、北朝鮮が朝鮮半島の非核化に言及するのは、差し当たって国民が生き残る最重要問題は経済問題だからである。今後、日本などの経済援助で豊かになれば、イスラエルのような隠れた核武装国になるだろう。

その頃、敵国であった米国はもはや敵国ではなくなっているだろう。その十年か二十年後の敵国として最有力候補は日本である。現在首相の地位にあるものは、その二十年後の日本と統一朝鮮とのそのような関係を一つの可能性として考え、戦略を練る必要がある。トランプの作戦にそのまま乗ることは、亡国のシナリオに従ってしまうことである。

日本は、米国の核とは対峙していないとしても、ロシアや中国の核兵器の照準上にある。何処かを起点に、貿易問題や領土問題などがきっかけとなって、第三次大戦のような事態になったとき、或いは、将来例えば氷河期に入るなど、何かカタストロフィックな事態がこの地球上で生じたとき、その犠牲になる可能性が大きい。その様な兵器が実際に使われるのは、限られたパイを分ける人数を減らすためである。

重ねて言うが、国民国家に分離されたこの地球上において、現在のところ核ミサイルが国防の中心に存在する。それ故、米国も多くの周辺諸国も日本の核武装を許そうとしなかった。何故なら、日本の核武装が米国や周辺諸国の国防に抵触するからである。またそれは、インドやパキスタンなどが核武装した理由でもある。カダフィが核武装を目指したのも、何時かあるかも知れないイスラエルなどの核攻撃から国家を護るためである。

その昔、優秀な現実主義的政治家であった安倍総理の祖父である岸信介元総理は、核武装の必要性を考えていた。http://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2015/08/blog-post_6.html また、米国は北朝鮮のICBM核を恐れているかのうように思う人が大半かもしれないが、そうではない。米国が恐れているのは、北朝鮮の核を廃棄させられない場合に、日本が核武装する可能性があることである。

有権者なら、そして、子孫の未来に責任を感じる者なら、朝鮮半島や中国に乗っ取られているマスコミの網目を潜って、それを知る義務がある。

日本の政治家は、そして、日本国民はキム王朝三代に学ぶべきである。金正恩は見事に核兵器を完成して、その技術を持つに至った。今後はそれを一時放棄する振りをして、経済援助を取り付け、国民を養うとともに、将来のカタストロフィックな事態が起こった時にも朝鮮民族の生き残りを達成するだろう。

補足:

1)前の記事の引用記事をここでも引用する。拉致問題は日本政府の大きな失策であるとの議論:https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43635118.html https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43631245.html

2)文藝春秋の最新号で、世界的に有名なフランスの社会学者エマヌエル・トッド氏が「日本も核武装すれば良い」という趣旨の記事を書いている。

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