2018年11月16日金曜日

日露平和条約に米国の協力は得られる筈:新冷戦の中での露日米の融和関係樹立の主張

1)日本は西欧的近代文化の中にある国であることを明確に表明すべきである。その論理を交渉の枠組として、日露平和条約にトランプ・米国の協力は得られる筈である。

昨夜の産経新聞配信のネット記事は、日露の領土交渉についてまとめている。その日露交渉史は、ロシアの返還可能な線と日本の要求する線が、位相を異にして、歯舞色丹両島返還を中心に南北に動いていることを端的に記述している。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181115-00000615-san-pol

ロシアの姿勢が強硬になる原因は、常に日米安全保障条約である。それは、北方領土が東西冷戦の現場であったことを示している。現在、東西冷戦は殆ど消滅して新冷戦の時代であると考えれば、ロシアは少なくとも現在その中心には無く、米国の協力とロシアの理解は、得られる可能性がかなりある。安保条約の役割も変化している筈だからである。

何れにしても、日本や朝鮮半島は冷戦での対立の境界線上にあり、従って、日露平和条約は考え方によれば新冷戦を緩和する役割を持つ。安倍内閣がこれ迄のように、東西冷戦の谷間で他動的に揺れるのではなく、自発的に新冷戦の緩和と解消に貢献出来るチャンスでもある。

新冷戦において、米国の相手の中心に現在存在するのは言うまでもなく中国である(追補2)。その中国との間では、日本は自由と開かれた貿易体制を築くというスタンスで関係改善を探っている。その両方(対中関係と対露関係)を上手く組み合わせることで、日本が新冷戦の解消に寄与出来る可能性があり、安倍総理はそのように動いていると思う。

トランプ・米国は、既に多極化の方向に動いている。しかし、中国が世界を中華秩序の中に飲み込んでしまうのではないかという懸念が、新冷戦の心理である。そして、ロシアをその中華新秩序のパートナーにするとすれば、米国の非常に愚かな選択となるだろう。

従って、日露平和条約締結への協力を切っ掛けにして、米国はロシアを一歩、新冷戦の中心から遠ざける事ができるのである。米国の協力とは、「今後(21世紀以降でも良い)新たなに日本領となった地域は、日米安全保障条約の第6条の適用外とする」の一文を日米地位協定に入れることへ同意するだけである。(最下段の追補参照)

2)紳士的敵対と野獣的敵対

これら一連の新冷戦を小さく砕き、解消させる方向に努力する日本外交の基本的論理は、日本は西欧近代文明の枠組の国であり、新興巨大勢力となった中国もその枠組の中に迎え歓迎する手引き役となり得ると主張することである。既に中国は、自由で開かれた貿易体制という、西欧の論理が中国の利益とも一致するとして受け入れているので、全く不可能な話ではないだろう。

中国がその発展のペースを緩め、一帯一路構想も自由と公正の西欧論理の枠組みで展開すれば良い。岩礁を元に埋立地をつくり、それを新しい領土とするような(西欧文化の中心的論理と矛盾する)姿勢を今後はとらないという意味の声明を、中国が得意のレトリックを用いて言明すれば良い。その中に、「中国は借金外交(China debt diplomacyの訳)など、元々意図しなかったのだ」も折り込めばもっと良いだろう。(補足1)

国家の間であれ、個人間であれ、敵対関係は当然ありえる。しかし、その敵対関係が紳士的或いは文明的なものか、それとも野獣的或いは異星人的であるのかは、大問題である。中国には少なくとも文化的で紳士的な敵対関係を、米国側(日本もその一員である)と取ってもらいたい。そのように中国と交渉できたら、日本の初めての主導的で自発的な国際貢献となるだろう。

その西欧文化圏の中に、ロシアは存在する筈である。米国のトランプ大統領には、新冷戦の拡大を防止するという観点から、日露平和条約の締結に理解と協力をしてもらうことは、可能だろうと考える。

補足:

1)韓国は、日本と同様に東西冷戦の谷間に浮遊する木の葉のような存在であった。日本と異なるのは、この数百年同じような情況だったことである。そのため、彼の国(かのくに)は、西欧近代文化を全く吸収していない。それが、日韓対立の根本原因である。韓国は、親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法(ウイキペディアの同項目参照)などを持つ国であることを、世界に宣伝すべきである。徴用工問題も、法治主義という西欧近代文明を受け入れていない為に生じた話である。

追補:(16日21:00)日米安保があっても、日本の意思で色丹歯舞への米軍の展開は無いようにできる。佐藤優氏の解説参照: https://www.youtube.com/watch?v=uSzA57m0fag 追補2(17日午後2時半):新冷戦についての私の理解は間違っているかもしれません。現在でもシリアなど中東での対立が主なら、ロシアが新冷戦の中心だということになります。しかし、対中国の方が現在は大きな対立に見えます。

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