2018年11月15日木曜日

日露平和条約を二島返還を大きな成果と考えて結ぶべきである。また、統一朝鮮の成立前に日朝基本条約の締結と拉致被害者の救出を同時に達成すべきと考える

以下は、政治の素人の夢想を書いただけのものです。予めお断りしておきます。

1)安倍総理とプーチンロシア大統領がシンガポールで会談した。安倍総理は歯舞色丹の平和条約後の返還を約束した日ソ共同宣言をベースに、今後平和条約締結交渉をする意向らしい。中日新聞一面及びNHKニュースではそのように報じている。

中日新聞の朝刊三面の記事では、あくまでも4島返還が日本政府の方針であるとしており、平和条約と領土問題解決に際して日露両国の間には依然として深い溝が存在すると書いている。その一つとして、仮に二島返還で話をまとめるにも「これらの北方4島が第二次大戦の結果、合法的にソ連領と認めることが必要条件となる」とロシア側外交筋の考えとして書いている。

ただ、中日新聞等ではこの平和条約交渉の経緯についてあまり詳細には書いていない。(補足1)また、上記ロシア外交筋が用いたという「合法的」という言葉は、国内法の「合法的」とは意味がことなるが、その使用に何の配慮もない。

サンフランシスコ条約の際、千島列島の放棄に同意したのだから、そして、ソ連は戦勝国連合の同意を得て千島を取った。それを合法的というのなら、合法的であることは明白である。国後と択捉は放棄した千島に入るのは、吉田茂首相と西村条約局長の国会答弁でも明らかにされている。

更に、日露関係の改善を現在の国際情況全体の中で考えるという視点が全く欠けている。日本国民に日露平和条約締結に反対するように仕向けているのは、中日新聞、恐らく関係の深い東京新聞や朝日新聞が、反日新聞であることの結果だろう。

この件については、9月21日のブログ記事に書いたように、早期の平和条約締結が日本にとって大きな利益となる。是非、年内或いは出来るだけ早期に、日露平和条約を実現してもらいたい。何故なら、日本に時間はそれほどないからである。(9月21日の記事参照)

2)米国は北朝鮮との交渉での着地点をどのように設定するかは、中国と北朝鮮の関係次第だろう。北朝鮮が中国の属国ではなく、まともな独立国としての地位を得られるのなら、核兵器を隠して持つことを米国は許容するだろう。それは将来の、核を持った統一朝鮮の誕生に繋がる可能性を大きくする。

日本が何も手を打たなければ、中国、ロシア、朝鮮、米国の4つの核保持国の谷間で、孤児のようになり、経済と政治の両面で消滅の危機に晒されることになると思う。将来的には、米国はグアム以東に退き、日本との関係も緊密でなくなる可能性が高い。

最近の国際情勢では、米中新冷戦は今後数十年に亘って続く可能性が強いと見えるが、それは全く予測不可能である。米国にそれだけの体力があるかどうか分からないからである。

従って、日本はロシアとの関係改善、中国との関係改善などをオプションとして持つべきだろう。何方が簡単かと言えば、現在はロシアとの関係改善である。何故なら、米国と中国の覇権争いが差し当たり現在の国際環境の主なる潮流だからである。ロシアとの関係改善と極東での経済発展は、中国とロシアの間に一枚岩的な反日の動きを封じることに繋がるだろう。

韓国の徴用工裁判を見れば判るように、国際社会は準野生の世界である。法も正義も国際会議の中の話であり、二国間の外交や交渉の現場は、法と正義の支配から戦争までの間の連続した空間を作っており、「合法と非合法」などという言葉で仕分けができる空間ではない。

日露が接近できたとしても、更に、北朝鮮、韓国、中国の間に一枚岩的な反日同盟関係を築かせないためにはどうすべきかを考えるべきだと思う。場合によっては、北朝鮮といち早く日朝基本条約を締結し、拉致問題と一緒に片付けることも考えるべきだと思う。

韓国の反日は、北朝鮮が韓国で展開したオルグ活動の結果の可能性が高い。それは日韓の関係に楔を打ち込み、日米韓連携を崩す為だろう。現在、日韓関係は破壊に向けて進んでいるので、日本は北朝鮮との基本条約を、韓国による日本の負担額の吊り上げ工作(補足2)の前に、結んでしまうことが良いと思う。それは、反日統一朝鮮の誕生と成長を遅らせることにも繋がる。

元々、民主国家を経験した韓国と中世的共産党の名を冠した王朝との統一は、相当に難しいのだから、北朝鮮による韓国の吸収合併以外にその道はないだろう。文在寅韓国大統領の考えていることと、韓国一般の考えていることは大きく異なる可能性が高いと思う。

補足:

1)日ソ共同宣言は、米国の傀儡政権である吉田内閣ではなく、鳩山一郎内閣のときに締結されたことに注目すべきである。この二島返還で日ソ平和条約を結びたいとの鳩山内閣の意向を拒絶したのが時の米国国務長官ダレスであり、そのときに4島返還論が出来たという。(9月21日の記事参照)

2)徴用工問題は、北朝鮮と日本の基本条約締結に関する日本側の敷居を高くするためなのかもしれない。この効果自体については4日のブログ記事で書いた。
トランプ大統領は、金正恩を高く評価する発言を何度もしている。その意味は、もし米国が北朝鮮を承認し、その経済復興を日本にやらせれば、中国から独立した国家に育つ可能性があるからだろう。

1 件のコメント:

  1. 北海道民です。
    様々な報道のされ方をする日露平和条約交渉ですが、良識ある方がいらっしゃるということに安心感を覚えます。

    元島民の多くは、平和条約の締結を望んでいます。
    ご存知の通り、4島一括返還はサンフランシスコ講和条約や56年宣言に基づいて日本に分はないという認識があるため、元島民も私も2島返還+αという現実的な内容を期待していますし、政府もその方向性で進めている状況を冷静に受け止めています。

    むしろ慰安婦問題や徴用工裁判を巡る日韓関係の冷え込みや、今後力を拡大していく可能性がある北朝鮮、中国の脅威に備え、ロシアとの関係強化は必須であろうと思います。

    佐藤優氏が指摘しているように、今般の韓国での裁判結果は国際法という論理に照らせば明らかに韓国側がおかしいけれども、日韓の対立があった場合、利害関係が無い第三国は論理よりも感情によって双方の良し悪しを決めることがあります。情緒面での宣伝活動が得意なのは韓国で、日本は対策が十分とは言えません。

    仮に日本が態度を硬化させても、日本側は戦時中の非人道的な行いを公言されることで国際的に見て立場が弱くなるリスクもありますし、また日韓関係が悪化することで北朝鮮を利することにもなります。
    ということは日本にとっては朝鮮半島との歩み寄りを模索するのが最も現実的になろうかと思います。

    米国は北朝鮮非核化の費用を日本が負担するよう発言をしており、今後の経済再建にも日本が資金援助をする外堀を固めてくる可能性は高いのでしょう。
    その場合、日米は朝鮮半島全体の資本主義化を推進しようとするでしょうが、隣り合う中国は北朝鮮というバッファー失うわけですから脅威を覚えるはずです。

    そのような複雑なゲームの中で影響力を発揮するためにも、日露平和条約交渉の意味は大きいと思います。

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