2019年1月31日木曜日

日本の政治は外国の支配下にあるのか?(II)

1)現在、日本のテレビ番組で最も頻繁に放送されるのは、健康問題や芸能人のゴシップなどを扱うバラエティーとクイズ番組である。知的でも実用的でもない番組をひたすら流すのは、韓国資本や在日韓国人に牛耳られたテレビ局の日本人愚民化の企みなのかもしれない。

今朝もテレビでは、インフルエンザの問題や老化の問題について、専門家と言われる医者を登場させ解説させている。しかし、統計誤差を無視した数値で権威付けをして、長く健康に生きることが最重要であると教える、製薬会社には協力的だが国民にとっては無益な内容である。

夜は、多分クイズ番組や健康に関する番組のオンパレードだろう。世界遺産がどうだとか、漢字がどうだとかいう下らない問題を出し、タレントたちに競わせるのである。テレビ局は、東アジアの政治において日本が危機的な方向に進んでいる状況など、意識的に無視している様に感じる。

テレビなどマスコミは、政治プロパガンダの道具であることは今や常識である。米国の大資本は、テレビや新聞を支配下に置くことで、政治を支配してきたと考えられている。朝日放送の本田勝一が、吉田清治の慰安婦狩りを捏造した著作をしつこく取り上げることで、慰安婦問題を大きくしたのが、その日本での代表例である。そして、マスコミと朝鮮半島との関係は、一般人の我々が想像するよりも深いことに注意すべきである。

日本のテレビや新聞などと朝鮮半島のマスコミが深く関係しているのは、その住所から見ても明らかである。例えば、韓国放送公社の日本拠点の住所は、NHKと同じ建物である(ウィキペディア参照)。東亜日報の東京支社が朝日新聞東京本社と同じ住所であり(電話番号検索)、朝鮮日報の駐日特派員室は毎日新聞東京本社と同じ住所であることなど、多くのケースが確認できる。(補足1)http://www.asyura2.com/11/hihyo12/msg/867.html

もちろん、情報を得る利便性故の同居であると考えることは可能である。しかし、日韓の長い慰安婦問題などでの対立、法の非遡及の原則を無視し「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法」を制定してまで、親日的な人を排除することなど、韓国政府の反日的&民族主義的姿勢を擁護するマスコミと同居することなど、家主も反日マスコミでなければ不可能な筈である。

更に、韓国や朝鮮系の人が、パチンコ業界(補足2)、暴力団、芸能界に多く、それら業界は互いに密接に関係している。また、日本の暴力団は裏社会を牛耳る存在であり、政治や企業活動における汚れ役をこなしてきた。(補足3)芸能界がマスコミと関係が深いことを考えれば、政治の表裏で関係が深いこれらの業界が、ほとんど圧倒的に半島由来の人の支配下にある。

以上、マスコミ支配だけでなく、社会の表裏両面からの朝鮮半島人による政治歪曲が強く疑われる。現在に至るまで、政治の世界で危機意識を持たなかったのは、おそらく敗戦の痛手とそれが自分たちの所為だという自虐的史観をマスコミ等により植え込まれたからだろう。

2)日本の危機の主なる原因は共産党独裁の中国の国際政治であるが、その動きの第一波として、韓国或いは統一朝鮮が敵国として出てくるだろう。第二回米朝会談に進展がないと、北朝鮮や韓国の今後は非常に不透明となり、そのしわ寄せとして日本へ韓国らの矛先が向かうだろう。その結果は、おそらく韓国と国交断絶ということになる可能性が高いと思う。更に、米国の韓国からの撤退は、文在寅政権の方針が放棄されない限り、1-2年以内に起こるだろう。

拉致問題など朝鮮問題に詳しい西岡力氏は、昨年末のネット動画において、「現在日本国民の間に危機感がないのが危機である」と言っている。危機感を国民が取り戻せなければ、朝鮮情勢が悪化した場合、10年後の日本国民に大きな困難を強いることになる可能性が高いと思う。現在、日本国にとって最重要なのは西岡氏が言うように「富国強兵政策と米国との協力体制」であり、その方向に国民を説得誘導することが不可能だからである。

「富国強兵策」と聞いただけで、ほとんどの国民はその言葉にアレルギー反応を起こすだろう。長年のマスコミの洗脳により、この段階でも日本国民は立ち上がれないのである。国際環境は70年位の間に一度の頻度で激変するが、その可能性と対策について一顧だにしなかった、池田内閣以降の自民党内閣長期政権の罪は大きい。

西岡氏は最も半島問題に詳しい評論家であり、拉致被害者救出の前面にたつ当事者でもある。西岡氏は「国際政治の専門家は、まるで天気予報みたいにこれを論じている」と嘆いている。(下記動画45分ころ)日本に外交のセンスがないのは、国境を意識せずに60年経過し、国家の危機という感覚を失っているからである。それが、国際政治の専門家と言われる人たちの姿勢にまで表れている。 https://www.youtube.com/watch?v=kYVuIDVMENA&t=2725s

3)その危機感の喪失は、原因か結果か分からないが政界の無能化と相関的である。昨日の結論を、再度簡単に掲載する。この国が破滅の危機に陥れるかもしれない直近の政界における出来事は、①小選挙区制の導入、②選挙資金規制法改訂と政党助成金の創生、③内閣人事局の創生、とそれによる政界人の無能化と結論されるだろう。(昨日の記事参照)

北アフリカや中東で行った米国による「形だけの民主化」、つまり国民意識や経済構造などその国の政治文化を一切無視した民主化は、その国の政治を混乱から新たな独裁に導いたのは周知である。それを自分でやったのが日本である。そのアウトプットは、従来政治の無能力化と独裁化である。日本において、その非現実的な民主化の絵を描いたのが、親中&親韓派の小沢一郎である。https://www.youtube.com/watch?v=uX7xFMvCly8&feature=player_embedded

つまり、日本が官僚独裁と言われた時の方が、まだまともな政治だった。自民党政治家のかなりの部分は官僚出身であったし、それ以外の政治家でも、官僚の書いた脚本の通りに演じるくらいの能力はあった。それは、シンクタンクやそれを支援する資本家、更に、そこからホワイトハウスに入り込む補佐官などが、実際の舵取りをする米国型民主政治に似ている。日本では、霞が関がシンクタンクであり、事務次官や審議官が実質的に内閣補佐官だったのだろう。(補足4)

その日本型民主政治を破壊したのが、小沢一郎の小選挙区制導入を始めとする上記3つの政策であった。戦後まともな政治家がことごとく消された日本では、小沢氏がその著書に論じた絵に描いた民主主義(民主主義)では、無能な政治家による混乱の政治となるだけだった。その混乱に乗じて、独裁制度の外国に支配の得るチャンスを与えることになるのだろう。(補足5)

これら日本の政治における症状を元に戻すことは至難である。国民に歴史や政治に関する知識と感覚を取り戻させることができれば、それは可能だろう。しかし、テレビの放送内容を放送法第一条を翳して改させるのは至難だろう。仮にできるとしたら、インターネットなどを通した逆洗脳だと思う。

補足:

1)その他のマスコミ連携は以下のサイトに詳しく書かれている。この密接な関係は、日本のマスコミが韓国などの半島支配であることを強く暗示している。 http://www.asyura2.com/11/hihyo12/msg/867.html

2)東大大学院ものづくり経営研究センターの韓載香氏の論文に書かれている。http://merc.e.u-tokyo.ac.jp/mmrc/dp/pdf/MMRC167_2007.pdf

3)元公安調査庁の菅沼光弘氏は、日本では暴力団が一定の社会的役割をこなしてきたと言っている。https://www.youtube.com/watch?v=kr1rvu5vR40

4)上記3つの改革は、政治家が高い能力を持つ場合、理想的な民主政治に近くだろう。つまり、無能政治家による政治主導(官僚主導の逆)は国を滅ぼす。聖書のぶどう酒と皮革袋の話を思い出す。

5)ニーチェは言った「有害な人間が指導者となり、有能な人間は野に埋もれる」。トーマスマンは言った「政治を軽蔑する国民には、軽蔑に値する政治しか付与されない」。昨日の記事で引用したチャネル桜の番組の中で、宮崎正弘氏が紹介した言葉である。(引用のチャネル桜の動画、12分過ぎ)

2019年1月29日火曜日

日本の与野党は外国勢力の支配下にあるのか?

1)日曜朝NHKの日曜討論を少しだけ見た。日露平和条約交渉について議論らしきことをやって居たが、その貧弱なことに唖然とした。自民党からは萩生田 光一官房副長官が出て居たが、野党側から出る質問は、四島は日本の領土なのにしっかり主張していないという類のものであった。

社民党や民進党などの日本の固有領土論は、国会議員の意見ならレベルが低いとして片付けられるが、中国からの指示によるプロパガンダとすればまともである。共産党に至っては全千島が日本領であるとして、 “浮き上がる”ことが党是であると考えているとしか思えない意見を述べている。

官房副長官は、それにまともに反論するのではなく、外交交渉故逐一報告できないが、日本の立場を主張していくと言う類にものであった。非常に貧弱且つ重大な誤りを含む内容であり、参加の国会議員たちのレベルの低さ、放送しているNHKという放送局の国民の利益を無視する姿勢に怒りでいっぱいである。

一点だけ、もう少し詳しく説明する。それは、放送の中で、日ソ共同宣言の文言などについての議論が一切なかったことである。既に最近のブログに書いたように、共同宣言中の以下の文言は、日本語の普通の解釈によれば、これまでの自民党らの「4島は日本固有の領土である」という主張と完全に矛盾する。

つまり、項目9に「ソヴィエト社会主義共和国連邦は,日本国の要請にこたえかつ日本国の利益を考慮して,歯舞諸島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。」と書かれている。この共同宣言に署名したことは、現況はソ連領土であることを日本が認めていることになる。

勿論、返還でもその最後のステップだけをとれば、「引き渡す」の範疇に入るだろう。しかし、ソ連が「日本の支配権を認めて引き渡す」という解釈を排除すべく、引き渡すソ連側の動機を「日本国の要請にこたえ、かつ、日本国の利益を考慮して」と書いているのである。それに日本政府は同意しているのである。

つまり、彼らは日本国の国会議員でありながら、日ソ共同宣言を読んだことがないのか、或いは、自民党と猿芝居を演じているかのどちらかということになる。また、彼ら野党議員らが日本国の為に働いていると仮定した場合、サンフランシスコ講和条約すら読んでいないことになる。何故なら、そこには北方領土問題を解決しないような仕掛け(講和条約第26条)がしてあったからである。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43861210.html

逆に、彼らが日ソ共同宣言やサンフランシスコ講和条約を読んで居たとするのなら、彼ら野党議員たちは、外国の為に働くエージェント的存在だということになる。また、そうなら彼らは沖縄の領有権すら、日本に放棄させようとするだろう。(補足1)その根拠は、既に記事として書いた。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42925514.html

兎に角日本の政治は、GHQによる公職追放などの占領政策により破壊されたままである。そして、野党議員だけではなく、与党自民党にも広い範囲で他国の利益のために動くエージェント的人物が数多くいるようだ。(補足2)

2)昨日、「自民党とは何だったのか」と題するチャネル桜の議論(先週火曜日に収録)を見た。そこでは、戦後の自民党政治の前半部分、つまり冷戦構造にあった時代の自民党に関して、一定の評価をしているようだった。(馬渕睦夫氏、荒木和博氏、篠原常一郎氏;以後カッコ内は主な発言者)冷戦構造が崩れたあと、政治座標として新しくグローバリズムとナショナリズムという軸が現れ、自民党も野党も左右の差はあるが、グローバリズムを推進する政党となったという話になった。つまり、日本のナショナリズムは崩壊の方向にある、つまり健全な保守が無いという、好ましくない方向にある。(馬渕睦夫氏、三橋貴明氏)

一通り概説を述べる段階で最後になった岩田温氏は、戦後の経済成長路線を評価する一方、現在では憲法改正などの党是も忘れた腐敗した政党であると、自民党を評価した。日本の憲法改正が自民党党結成の中心的目的であり、鳩山一郎や岸信介の政権時まではそれを実際に目指していた。しかし、1960年ころから、吉田ドクトリンに基づく政治に安住するようになったと指摘する。

つまり、自民党は憲法改正に触れないこと、社会党は憲法改正に触れさせないことという暗黙の了解の下に、自民党と社会党とが表面上対立することで、安定した政界を作ったという指摘であった。概説の中では、一番まともな自民党のレビューだと思った。

岩田氏は続けて、湾岸戦争などが始まった時以降(1990年代初頭)に自民党はその時代の流れに追随できなくなったという。その時、自民党から小沢一郎らが飛び出し、新生党を羽田孜とともにつくり、細川連立内閣を実現した。そして、その唯一と言って良い実績が小選挙区制導入であったが、それが政治腐敗の主なる原因となった。この点では全員全員一致していた。https://www.youtube.com/watch?v=9riaNTp11So&t=4593s

その後の議論で、加藤清隆氏が自民党政治の変質について、小選挙区制のあと政治資金規制法と政党助成金制度の創成による党の中央集権化が、派閥政治の機能(補足3)を崩したと指摘した。また、小選挙区制により議員になるには党の公認権を得る必要があり、それを握る党の幹事長の力が大きくなった。更に、官僚の人事権を内閣が握るために内閣人事局が創設され、その実務を担当するトップの官房長官の権力が大きくなったという指摘があった。

3)そのような議論の後、現在の安倍内閣では、党の公認権を握る二階俊博幹事長と内閣の人事権を握る菅義偉内閣官房長官が大きな力を持っている。その結果、日本の最近の政策は非常にチグハグであり、それは上記政府の権力の分散と関係が深いという話になった。ある自民党の人物が、現在は菅政権だと言っていたという話が水島社長より紹介された。

中国政策では、米国が国家あげて中国と戦いを始めているにも拘らず、安倍政権はそれに非協力的な日米通貨スワップ協定の締結(3兆円規模だと言われる)を結び、同時に中国への融和姿勢をとりだした。更に、西欧先進国世界が移民問題で揺れている時に、それを促進するような入国管理法の改訂、つまり移民促進政策、を行ったことなどである。最近の安倍政権は、理解不能な内政及び外交であり、末期的である。

その原因に関して、参加者はほとんどわかっていたのだと思うが、はっきり口にだしたのが、司会役のチャネル桜の水島社長と馬渕睦夫元ウクライナ大使だった。それは、自民党議員のかなりの人数は中国トラップに掛かっているということ、更に、官房長官はディープ・ステート(米国のユダヤ資本家たち)の意向で動いているという疑いが濃いということである。

つまり、最初の各人の概説段階で、岩田氏が「自民党は現在腐敗しているので、革命までは行かなくても改革が必要だ」と言ったが、その腐敗の中身が、幹事長が中国のエージェントであるらしいとか(補足4)、官房長官が米国のジャパンハンドラー(つまり、ウォール街)の手の内にあるらしいということである。

このような話なら、自民党は腐敗しているというより、国家に背く犯罪者たちが牛耳っているらしいということになる。その後、民主主義でやれるのかとか、話がすすむが、この重要な点をそのままに置く神経がわからない。もし、自民党幹事長が中国エージェントなら、官房長官がディープ・ステートのエージェントなら、その問題をどう解決するかが主要課題にならなくてはいけない。ここの出席者たちは言ったことに責任をとるのだろうか?

週刊誌的に意見を垂れ流すだけの番組なのか? そこでそのサイトに投稿したコメントを再掲して、文章を終わる。

自民党幹事長が中国のエージェントで、内閣官房長官が米国のジャパンハンドラーズの手先なら、その問題の解決が先決ではないのか。安倍内閣の政策がチグハグだとか、入管法反対だとか言っていないで、その国家に叛逆する人間の処分が大事ではないのか?なぜ、米国の赤狩り旋風のような社会運動が起きないのか?問題は、利用され最後は屠殺される羊の群のように、大人しく殺される国民にあるのではないのか?何故、日本人は怒りを忘れたのか? その議論をしないで、だらだらとあと2時間井戸端会議をする神経は、この怒りを忘れた典型的日本人ではないのか。

補足:

1)ダレスの恫喝は、サンフランシスコ講和条約に根拠がある。それを知っているのなら、四島は日本の領土だという従来の自民党政権を引用などしないだろう。もし知っていてあのような議論をするのなら、彼ら野党議員らは、日本以外の国の利益を代表している他国のエージェントなのだろう。
更に深刻な事態は中国との関係において、沖縄領有権問題として生じるだろう。講和条約には沖縄は日本の領土であるとは明確には書かれて居ないし、将来日本に返還されるべきであるとも書かれて居ない。返還は日米だけで決定されたのである。 https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42925514.html

2)戦後日本の長い期間にわたって第一野党であった日本社会党が、ソ連と深い関係にあったことはレフチェンコ証言などで知られている。社会党委員長勝間田清一はソ連KGBのエージェントだった。そのほか、自民党に米国CIAの金が流れて居たという指摘もある。

3)派閥の機能として、派閥間の競争で政権の中心が決定されるという自民党内での政権の動きがあり、停滞と腐敗を防ぐ効果があった。更に、その派閥闘争の中で、若い政治家は政治議論などで訓練されることになった。尚、加藤氏があげた派閥の機能とは、政治資金、政府ポスト、選挙協力の三つである。

4)水島社長によると、自民党総裁選挙の時幹事長の安倍支持の条件が、日中首脳会談をすることだったという。つまり、安倍氏が総裁の椅子を日中首脳会談とバーターで手に入れたという。

(1月30日早朝、一部小編集あり)

2019年1月24日木曜日

韓国と中国とは、連携して対日平和条約の破棄を含む新華夷秩序に向けて動いている可能性があるかも知れない

最近の文在寅政権の反日の姿勢を甘くみてはいけないと思う。その背後に中国がいる可能性があると思う。つまり、21世紀中期の極東における諸国家間の関係の再調整、つまり、新華夷秩序にむけた動きの可能性があると思う。記事後半の2)は昨日の記事から一部を抜粋して追加した。(補足1)

1)戦後の日韓および日中の関係の基礎となる日韓基本条約と日中平和条約は、全て極東における米国の存在下に作られた。もし、米国という存在がなければ、全く異なった条約になっていただろう。それは、極東から米国および米軍が消えれば、そしてそれを埋め合わせるような新しい力が成長しないとするのなら、昔の大日本帝国の領域のほとんどの国家とその周囲の国々の間に、大きな歪みエネルギーが生じるだろう。

そのような地殻変動的な力関係の変化が生じた場合、新たに政変や戦争などが勃発するのが、歴史が教えることだろう。例えば、ソ連崩壊後に起こった、中央アジアや東ヨーロッパなどでの政変は、その歪みエネルギーの解消プロセスと考えられる。

文在寅政権の誕生とその政策は、その新しい極東に向けた地殻変動の始まりであると考えられないだろうか。現在の日本国は、韓国をそのような視点でみないで、法治国家としての体裁さえ整えていない文化的に遅れた国として、幾分優越感をもってながめ、警戒心を無くしてはいないだろうか。

つまり、文在寅と習近平が連携し、これまでの対日条約を全て破棄し、更に金正恩がそこに加わり、新しい華夷秩序的な国家間の関係へ移行するプロセスが始まっていると感じるのは、筆者だけだろうか。彼ら指導者たちが実際にそのように考えていようが居まいが、歪みエネルギーの解消の方向は、自然現象のように決まっているだろう。

(文在寅とその背後にいる習近平が考えている可能性がある)その第一歩は、今後統一国家となる連合国朝鮮と日本との間の基本条約締結である。そこで取り上げるのは、徴用工問題、慰安婦問題などの見直しと、賠償要求である。更に、国境線を対馬の西にするか東にするか、などの問題もあるだろう。

その問題提起を日韓基本条約の破棄の前にするのが、文在寅の巧みな戦略なのかもしれない。それが今回の徴用工裁判である。そのように考えて、日本は対策を真剣に行わなければならないと筆者は考える。

それが一段落すれば、真打としての中国が新しい日中関係の構築を求めてくるだろう。そこでは、当然南京大虐殺や重慶爆撃など中国侵略の問題、満州支配の問題、更に、慰安婦問題などもデッチ上げることができる。文在寅の日本軽視は、彼らには、日本は単に太った豚に見えていることを示している。

2)戦後条約の破棄と、ロシア、中国、韓国による反日統一共同戦線の創設の危険性:

これは既に昨日の記事の最後に書いた。閲覧はあまりないので、繰り返しになるが編集して短くここに書く。

中国外務省の国際問題研究所のゴ・シャンガン副所長が、2012年に露中韓の三国による国際会議「東アジアにおける安全保障と協力」で演説した内容を記したブログを、モスクワ在住の北野幸伯氏がメルマガで広めている。(補足2)

そこでゴ・シャンガンは、ロシア、中国、韓国が反日統一共同戦線を創設し、第二次大戦後の対日講和条約を破棄して、新しく講和条約を結び直そうと発言したと言うのである。その条約で、日本から、南クリル諸島、竹島、尖閣諸島だけでなく沖縄も放棄させようと主張したのである。http://rpejournal.com/rosianokoe.pdf

この記事が切掛となり、本ブログ記事を書いた。つまり、文在寅の対日外交が、上記反日統一共同戦線に先鞭をつける行為だと考えれば、一見無茶苦茶に見える文在寅政権の対日外交がもう少し理解できるのではないだろうか。

つまり文在寅は、日韓基本条約の破棄と新しい基本条約の締結を目指しているのである。それを諦めさせるのは、本質的に野生の関係である国家間では、戦争以外に手段がないことを日本は知るべきである。

戦争を放棄し、核戦力を持たない日本にたいしては、本来野生の国際社会においては、その他の損が生じなければ、上記企みは可能であり自然でさえある。つまり、外交は事実や論理でするものではなく、力と損得でするものだということである。

補足:

1)素人の一国民の文章であることを承知の上でお読みください。日本の専門家の人たちは、非常に単純な思考に基づき、文在寅大統領を無能呼ばわりするだけである。このような文章を素人が書くことは非常に不謹慎だろうがあえて書いた。

2)このような記事の予約購読者への紹介は、日露平和条約の交渉をドライブしたいという北野氏の考えからでたものかもしれない。動機は、日本とロシアの協力が、日本を救うことになるという考えだろう。

2019年1月23日水曜日

北方4島領有権についての日本政府の不毛なプロパガンダ

北方4島の帰属について原点から考察してみた。以下に目次を書く:
1.3つの重要関連資料
2.北方4島の帰属に関する国会での議論
3.原点から考えた北方4島領有権
4.付録:徴用工問題と、ロシア、中国、韓国による反日統一共同戦線の創設の危険性:日ソ中立条約の破棄と関連して

1)3つの重要関連資料の提示と説明: 資料1:サンフランシスコ講和条約(以下サ条約)において、日本は千島と南樺太の領有権を放棄している。その部分の講和条約を抜粋する。

サ条約第二条の(c): Japan renounces all right, title and claim to the Kurile Islands, and to that portion of Sakhalin and the islands adjacent to it over which Japan acquired sovereignty as a consequence of the Treaty of Portsmouth of 5 September 1905.

翻訳:日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。http://www.chukai.ne.jp/~masago/sanfran.html

資料2 日ソ共同宣言の第9項:

1956年の日ソ共同宣言の第9項には、以下のように書かれている。http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/docs/19561019.D1J.html

日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は,両国間に正常な外交関係が回復された後,平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。 ソヴィエト社会主義共和国連邦は,日本国の要請にこたえかつ日本国の利益を考慮して,歯舞諸島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし,これらの諸島は,日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。

資料3:ダレスの恫喝について:

この後、4島返還での日ソ平和条約締結に反対したのは米国のダレス国務長官であった。この件については、佐藤優氏の解説があるので、引用しておく。そこに書かれたことは、日ソ国交回復交渉の際の日本側共同全権を務めた松本俊一氏が、1966年に上梓した当事者手記『モスクワにかける虹』に記述があるということである。(第一版のみ発行されて絶版になったという) https://gendai.ismedia.jp/articles/-/50688?page=2

重要なことは、
1.サ条約にソ連は署名していないこと。
2.そして、日本が千島を放棄するとあるが、ソ連に帰属するとは書かれていないこと、更にそれらを根拠にして、
3.同条約26条を根拠に恫喝したのである。

この条約26条を簡単に書くと、1.日本はこの条約が効力発生したのち3年間は、条約に署名していない戦争当事国と、この条約と同条件で平和条約を締結する用意がなければならない。2.日本が、それ以上の条件でそれらの国と平和条約を締結すれば、同様の利益を署名国にも与えなければならない。

国務長官のジョン・フォスター・ダレスは:
サ条約にはソ連が千島を得るとは書かれていないのだから、ソ連が国後と択捉を得れば、サ条約に記載以上の利益を得ることになる。その場合、上記26条の規定により米国は沖縄を自国領とし、将来返還しないことになると訪問した重光葵外務大臣を脅したという。

しかし、日ソ共同宣言はサ条約から3年以上経過した1956年10月19日に署名された。批准書の交換により12月12日に有効となった条約である。その時、既に講和条約26条の前半記載の日本の義務は、既に消滅している。この場合、後半だけ生き残ると考えるのだろうか?

そして、もしそれが理由なら、残りの千島や南樺太もソ連に与えるとは書いていないのだから、未来永劫ソ連とは平和条約締結できないことになる。従って、ダレスの干渉は、米国は日ソが近づくことを警戒した為と考えられる。

2)北方4島の帰属に関する国会での議論:

○国後と択捉島について:
講和条約締結直後に、国後と択捉が千島に入るかどうかの議論が国会でもなされた。その時の政府見解は、国後と択捉はサ条約で放棄した千島に入るということである。ウィキペディアの「北方領土問題」の一部を補足に引用する(引用16-19参照)(補足1)

○ 歯舞色丹について:
その時の政府見解を証言した西村条約局長らも、歯舞、色丹の2島は北海道に付属する島であり、千島には含まれないとしている。一方、ソ連の見解は、歯舞や色丹も日本がサ条約で放棄したクリル諸島の中に入るとしている。

それを間接的に示しているのが、日ソ共同宣言での歯舞と色丹を日本側に引き渡すという部分である。そこでは「日本国の要請にこたえかつ日本国の利益を考慮して,歯舞諸島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する」と書かれている。つまり、日本の領有権を認めるとは書かれていない。

従って、日ソ共同宣言に署名し国会で批准した1956年12月の段階で、日本は歯舞と色丹の領有権を保持していたという主張は不可能になったと言える。しかし、非常に不可解なのは、その頃から政府による「北方領土(歯舞、色丹、国後、択捉)は日本固有の領土であるので、日本が放棄した千島には含まれていない」という宣伝がなされ始めたことである。これがダレスの恫喝の効果であると考えれば、説明可能である。それは、同時に平和条約締結を諦めたことを示している。

3)原点から考えた北方4島領有権:

原点から私風にこの問題を考えてみる。明確なことは、ソ連が第二次大戦で日本に宣戦布告し勝利したこと、その結果として北方4島を占領し、現在もロシア共和国が占有していることである。

非現実的なのは、ソ連の宣戦布告が日ソ中立条約の有効期間内になされたとして、その違法性を根拠に、ソ連の戦争により取得した領地は、日本に返還されるべきであるという主張である。

ソ連は、日ソ中立条約は宣戦布告前に破棄したと言っており、通常のように通告後一年を経て無事終了するという話ではないとしている。破棄条項は条約にはないが、国家と国家の間には、突き詰めれば野生の関係しかなく、破棄は“野生の世界における個の自由”と言える。国際法は、その権威を担保する国際権力が無い限り「法」ではなく、単なる申し合わせである。

従って、敗戦の結果として占領された土地に対し、領有権があるとか無いとかの話は、第三国と国内に向けた政治的プロパガンダでしかない。

以下に、北方4島は日本の領土であるという主張は、そのような政治的プロパガンダとしても説得力がないことを示す。この1956年ころからの日本の主張は、厳密には以下のように言えるだろう。

戦争により勝者が北海道の東北部からカムチャッカ半島方向に向けて並ぶ島々を占領支配し、それらをクリル諸島と呼んでいる。そのクリル諸島の日本語訳は千島列島である。ところが日本の定義では、勝者が支配している島々の内、択捉、国後、歯舞、色丹の4島は、千島列島には入らない。従って、国際的な条約であるサ条約において日本が放棄したと勝者が主張し占領しているこれら四島は、それ以前の帰属の通り日本領である。

本来、この様な主張が敗者によりなされたのなら、勝者側は「その翻訳が間違っているのだから、正本(資料1)のThe Kurile Islandsを“千島列島及び択捉、国後、歯舞、色丹の4島”と訳してくれ」と言うだけである。島の呼び名よりも、戦争における勝者と敗者の関係は遥かに重いのだ。

4)戦後条約の破棄と、ロシア、中国、韓国による反日統一共同戦線の創設の危険性:

最後に条約の廃棄に関連して、一言重要なことを書いておきたい。それはある中国要人の恐ろしい意見である。それは中国外務省の国際問題研究所のゴ・シャンガン副所長が2012年に露中韓の三国による国際会議「東アジアにおける安全保障と協力」で演説した内容である。

ロシア、中国、韓国が反日統一共同戦線を創設し、第二次大戦後の対日講和条約を破棄して、新しく講和条約を結び直そうという発言である。その条約で、日本から、南クリル諸島、竹島、尖閣諸島だけでなく沖縄も放棄させようという主張である。http://rpejournal.com/rosianokoe.pdf

徴用工問題をデッチ上げ、日本企業の財産を差し押さえるのは、日韓基本条約と付属の請求権協定に違反しているのは明白である。それを日本は話が通じない野蛮な国の行為だと決めつけて、優越感に浸っているバカも多い。

しかし、それが上記反日統一共同戦線に先鞭をつける行為だと考えれば、文在寅の行為が理解できるのではないだろうか。つまり、文在寅日韓基本条約の破棄と、新しい基本条約の締結を目指しているのである。それを諦めさせるのは、本質的に野生の関係である国家間では、戦争以外に手段がない。

戦争を放棄し、核戦力を持たない日本にたいしては、本来野生の国際社会においては、その他の損が生じなければ、上記企みは可能である。つまり、外交は事実や論理でするものではなく、力と損得でするものだということである。

補足:

1)ウィキペディアから抜粋:
同条約締結直後の1951年10月19日の衆院特別委員会にて西村熊雄条約局長が[18]、同年11月6日の参院特別委員会に草葉隆圓外務政務次官が[17]、それぞれ「南千島は千島に含まれている」と答弁している(但し、西村・草葉は歯舞・色丹に関しては千島列島ではないと答弁した)。この答弁がされていた当時は条約を成立させて主権を回復することが最優先課題であり、占領下にあって実際上政府に答弁の自由が制限されていた[48]。この説明は国内的に1956年2月に森下國雄外務政務次官によって正式に取り消され[19]、その後、日本は「北方領土は日本固有の領土であるので、日本が放棄した千島には含まれていない」としており、1956年頃から国後・択捉を指すものとして使われてきた「南千島」という用語が使われなくなり、その代わりに「北方領土」という用語が使われ始めた。

日露平和条約は原点に戻って次以降の政権が締結すべき

1)NHKテレビで今日午前7時、昨日の日露首脳会談についてのニュース報道があり、会談後の記者会見におけるプーチン大統領の話が、抜粋の形で放送されていた。それを聞いた限りでは、1956年の日ソ共同宣言の様に、二島を日本に引き渡す約束を記した平和条約締結の話は、幻であると強く感じた。

先日の外相会談で明らかになった日露間の大きな隔たりと、しかも25回目で3時間という長時間の首脳会談のあとの具体性のない記者会見の内容から考えて、未だに峠の3合目位のところで改めて高い頂上を眺めることになったのは間違いない。厄介なのは、日本とロシアの両首脳が異なった頂上を眺めているらしいことである。

以上は、極普通の印象であることが、今朝の「おはよう寺ちゃん」での評論家佐藤健志氏の解説でも確認できる。その中で佐藤氏は、“プーチン大統領は歯舞や色丹を引き渡さないで、経済協力を引き出す”ことに目標を設定していると明言している。

その証拠の一つとして、交渉前日の21日、ペスコフ大統領報道官は、「交渉は未だ初期段階である。条約締結の難しさについて皆が現実的になろう」と言う一方、「日本もロシアも国益を手放す可能性はない」とも言ったことを紹介している。https://www.youtube.com/watch?v=i2Fz_Vl6_4Q

安倍総理の対露外交は、日本の国益を優先する方向よりも、平和条約を締結したとして歴史に名を残す方向で、行われているという見方もある。つまり、安倍外交はプーチンに金だけ取られるスタンプラリー外交だという嶌信彦氏の見方が、より現実的である。https://blogos.com/article/350249/ 

もし二島さえも日本に譲渡されないのなら、経済協力に話を限って別政権で条約交渉をゼロから始めた方が良いだろう。(補足1)

2)バラバラの日本側報道について:

この日露平和条約交渉に関しては、数日前に二度書いている。1月18日に書いた文章の通り、余程のことがない限り歯舞色丹両島返還を伴う日露平和条約締結は難しいだろう。佐藤健志氏が上記動画で発言しているように、「条約締結をするのなら、日本は譲歩すべきだ」というのがロシア側の本音だろう。日本政府は、最近のロシア側の発言等全てからこの本音をしっかりと抽出し、反芻すべきだろう。

一方、今日の日経新聞によるネット記事には、“日露平和条約「更に前進」、首相、プーチン氏と会談”という標題で書いている。その中に:

プーチン氏は記者発表で、平和条約の締結後に歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すことを明記した日ソ共同宣言に基づき、「平和条約締結を目指す」と明言した。

という文章がある。

日経の記者は、普通の感覚を持ち合わせていないのかもしれない。もし、それが本当にプーチンの口から出た言葉なら、その前後に大きな別の言葉があった筈である。つまり、それに相当するレベル以上の強力な経済協力が不可欠だというセリフである。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40346220T20C19A1000000/?n_cid=NMAIL007

  中日新聞朝刊一面でも、表題は「日ロ首脳 領土問題で一致」だから驚く。その三面には主権に関する主張における両者の隔たりを書いている。そして、日本側が、北方4島の主権を第二次大戦後も放棄していないと書いている。つまり、中日新聞には日露平和条約締結を妨害する意図があるように見える。(補足2)

18日の記事の追補として、同じ佐藤姓でもう一人の有名な評論家、佐藤優氏の意見を掲載した。その時引用した動画(https://www.youtube.com/watch?v=VD9E8sLNzK0)において佐藤優氏は、「交渉は上手く行っている」と何時もの楽観論を披露した。

安倍総理は、予断をもたないために、鈴木宗男氏や佐藤優氏の意見はあまり聞かない方が良かったようである。兎に角、報道機関も評論家も、視聴者や読者ではなく何かもっと巨大な組織の利益を考えて話をしていると考えられる。記事や話には、スポンサーの併記をお願いしたいくらいだ。

補足:

1)本音で感想を述べれば、プーチン大統領によるルアー・フィッシングのように見える。河野外相にルアーであることを暴露したラブロフ外相は、正直者だったということかもしれない。
http://omohituki.blogspot.com/2009/02/blog-post_19.htmlより借用

2)何度も同じことを書くのだが、サンフランシスコ講和条約締結後の国会審議で、国後と択捉を日本側は放棄しているという答弁が政府によりなされている。 ウィキペディアの「北方領土問題」の引用16-19参照 四島返還論を言う人たちの本音は、「日露平和条約を妨害したい」である。 歯舞、色丹の領有権の主張も無理があると、最近考えている。それについては、別に短い文を書く予定である。

2019年1月21日月曜日

韓国軍艦による自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射の問題について:再評価

1月5日の本ブログ記事で、韓国軍艦による火器管制レーダー照射問題について、佐藤優氏の「同盟国では事実を争う外交をやらない」という言葉を紹介した。その後の情報から考えて、佐藤氏は、このケースをあまりよく知らないで、一般論を根拠に日本側の姿勢を間接的に批判したようである。その佐藤氏の言葉を支持するような文章を書いたので、その訂正の意味も込め、その後ほぼ定着したこの件の解釈(日本側)を紹介しておく。https://www.youtube.com/watch?v=Ur0F4YPnFOw

結論として、韓国軍艦による自衛隊管制機へのレーダー照射は、韓国が北朝鮮船への物資援助の現場(瀬取りの現場)を見せたくなかったからと推測される。日本側の発表を根拠にすれば、そのように結論せざるをえない。その情況証拠を交えた説明(①—③)及びそれを正当なもの英国やフランスは評価していることを示す関連項目(④)を以下に示す。これらは、以下の渡邊哲也氏の解説による。 https://www.youtube.com/watch?v=JJ0lC3kbBf0

①仮に韓国側が主張するように、かなり低空飛行したとしても、同盟国側であり日本機が攻撃する可能性はない。また、日本側EEZ(排他的経済水域)内であるから、日本側に何か不明な動きがあれば、詳細に調査するのが当然である。それにも拘らず火器管制レーダーを照射した韓国艦船の意図は、自衛隊哨戒機を追い払いたかったということになる。

②韓国軍側は北朝鮮漁船から遭難の信号を受けて、その救助のために日本側EEZ(排他的経済水域)内で作業していたと証言したが、日本側海上保安庁は韓国漁船の救助依頼信号を受けていない。(自民党国防安全保障合同会議の記録) 日本のEEZ内なので、日本側が先ず信号を受けて先に救助のために出動するのが普通である。韓国側だけが救助信号を受けたということはあり得ない。

③嘗てから、韓国北朝鮮間での瀬取り行為による国連決議違反の可能性が噂されており、日本側哨戒機がその現場を抑えようとしていたようである。(日本側当局が、正式にはそのようにコメント出来ないのは、当然外交上の配慮である)

④英国の軍艦やフランスの軍艦が2019年の早い時期に日本海に派遣されることになった。その目的は、韓国と北朝鮮間の国連制裁違反行為を監視することである。このことは、日本側の上記主張を根拠あるものとして、両国が評価していることを示している。(渡邊哲也の上記動画での解説の5-6分位からこの話は始まる)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000436675.pdf(英国の軍艦派遣は7番目の項目に書かれている) 日露外相会談においてロシアのラブロフ外相による「北朝鮮問題での姿勢も日本側はロシア側と対立している」という発言があった。従って、この件日露の平和条約交渉とも間接的に関係があるので、急いでアップロードした。

2019年1月20日日曜日

日露平和条約交渉における着地点について

昨日、日本側の足元を見るロシアと書いた。今日は、そうではなく、全く事務方での交渉がなされていなかったのが、条約交渉の最重要課題である領土問題が行き詰まっている理由であると仮定して、以下の記事を書いた。(補足1)

1)前回の記事で、河野—ラブロフ外相会談での、ラブロフ外相の強硬な発言について考えてみた。最後は首脳会談で決着を図るのだが、ロシア側の基本的な考え方について再確認を日本側に求めた形である。その重要なポイントは、第二次大戦後に北方4島の主権が、ロシア側に移ったという原点を、日本側も再度確認する必要があるという指摘である。(補足2)

ただ、歯舞色丹の両島におけるロシア側の主権獲得は、国後択捉とは異なった経緯でなされたと考えられる。それは、地理的にも千島列島に含まれないからである。日ソ共同宣言でも、平和条約締結後に「日本国の要請にこたえかつ日本国の利益を考慮して,歯舞諸島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する」と書かれている。(補足3)

日ソ共同宣言の時点で、日本側も北方4島におけるロシア(ソ連)側の主権を確認している筈である。

日ソ共同宣言は、鳩山一郎内閣のときに締結され、その後この二島返還で日ソ平和条約を結びたいとの鳩山内閣の意向を拒絶したのが、時の米国国務長官ダレスであり、4島返還論はその時に出された。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43760689.html

その後、日本は米国盲従派の官僚上がりの政治家が、4島は日本の固有の領土であるというインチキ説を、マスコミを使って広めたのである。従って安倍総理は、早い時期に国民に向けて、過去のこの偽りのプロパガンダを正直に認め、国民の理解を得るべきであった。

歯舞色丹の返還(=元の持ち主への譲渡)が、現状では日ソ共同宣言当時より困難なのは、その時から既に60年あまり経過しており、随分状況が変化していることが一つの大きな理由である。

例えば、歯舞色丹にはロシア人が5000人ほど住んでいる。そのロシア人たちの生活の基盤を保障なしに奪う形での返還は無理である。その問題の解消には、事務レベルでの詳細な交渉が必要であり、それがこれまで全くなされていなかったのではないだろうか。

それを指摘したのが、昨日引用したロシア科学アカデミー極東研究所のクジミンコフ日本センター上級研究員の「事務レベルで事前の調整が行われなかったという印象だ。」という言葉なのだろう。つまり、20数回の首脳会談で、事務方の出番がほとんどなかったのは、素人ながら異常に思う。

2)歯舞色丹返還時の事務的問題

私は、全くの素人であり、何の根拠もなく以下に考えを述べるが、それは一国民としてのものと解釈していただきたい。

現在、歯舞色丹に住むロシア人が合法的(ロシアの法令に基づく)に持つ経済的権利は、全て保証或いは保障されるべきである。つまり、ロシア側において法的に確認される財産権および日本において合法的且つ健全と見做しうる経済的活動などの保証または保障である。

仮に島の主権および施政権が日本側に移ったとしても、両島住民のうち生活基盤が明確に出来上がっているロシア人の希望者には、日本での永住権を付与し在日ロシア人として住むことが可能なように配慮する。ロシアに退去する人には、保障が必要である。その負担割合(100%日本側が持つのか、半分づつなのか)は交渉次第で決定されるだろう。

ここで浮上するのが、旧島民の権利復活の問題である。これについては、旧島民には諦めてもらうしかない。何故なら、両島は戦争の結果一旦ロシア側の領土となったのであり、戦争によって受けた不利益は、一般に保障の対象とはなっていないからである。

それは、空襲で死亡した多くの日本人に対して、民事保障はなされていないことと等価である。また、満州などから財産を全て放棄し、引き上げた日本人にも保障などされていないだろう。従って、旧島民が過去に保有していた土地等の権利を回復と云う形で獲得することは、平等の原理に反すると考える。

もちろん、日本側はできるだけ多くの土地を民間ロシア人からも引き渡しを受けるべく努力すべきである。そのうち、旧島民が希望するものについて、有利な条件で新たにそれを獲得することには、ほとんど全ての日本人有権者は同意すると考える。

これらは、事務方がするべきことだと思う。それが障害になって、2島返還が出来ないとしたら、それは日露両国にとって大きな損害となる。

補足:

1)もし、「日本がシリア問題や北朝鮮問題について、ロシアと共同歩調をとっていないではないか」というラブロフ外相の言葉が、日露平和条約締結の障害なら、現状では平和条約交渉の継続は不可能だろう。日本が現在、その防衛に関して米国との安保条約に依存している限り、北朝鮮問題について米国と共同歩調をとるのは当然である。それにもかかわらず、この問題でロシアと共同歩調取っていないと非難するとしたら、難癖の類である。それが昨日の記事の趣旨である。

2)日ソ共同宣言の時代以降、日本は北方四島を固有の領土と言い出したことと関連がある。「固有の領土だから、無条件で返して当然だ」という話になるだろうが、そんな話ならロシア側としてはお断りしますということだろう。そのロシア側の主張はその通りだろう。

3)日本側の権利を認め、返還するとは書かれていない。それに日本側が署名していることを再度国民は知るべきである。

2019年1月18日金曜日

安倍政権の日露平和条約締結は無理かもしれない:日本の足元を見るロシア

1)ロシアとの平和条約締結はスンナリとは行きそうにない。ロシアは1956年の日ソ共同宣言を基礎とするとは言いながら、二島返還には応じないようだ。そして、日本国民が通常考えるような日露間の平和条約締結交渉の進展は、本当は何も無かったのかもしれない。安倍外交とはそもそも何なのかという疑問さえ生じる。以下、中日新聞の16日朝刊12版3面トップの記事を中心にして考える。

河野外相との会談でロシアのラブロフ外相は、日本は第二次大戦の結果を受け入れるべきだと発言している。そして、北方4島を北方領土と呼ぶことにクレイムをつけている。(補足1)それらの発言は、日ソ共同宣言(補足2)を基礎にして、平和条約交渉を行うという話は無かった、或いは取り消す、という発言に等しい。

勿論、「北方4島は日本固有の領土である」という表現は、日本側も日ソ共同宣言後は慎むべきであったと思う。それは、サンフランシスコ講和条約で、日本は国後と択捉を放棄しており、それを議会で質問された吉田総理と当時の西村条約局長が確認しているからである。https://toyokeizai.net/articles/-/145689?page=2 

しかし、それは千島の話であり、歯舞や色丹は、日本が講和条約で放棄した島には入らない。それ故、当時のソ連は二島返還を平和条約締結後に実施すると約束したのである。(あの時、平和条約交渉が潰れたのは、米国の干渉によると既にブログにも紹介した。)

ソ連から問題を継承したロシアは、現在の境界線が正しいと思っても、日本が歯舞と色丹は返還されてしかるべきだと考えるのは日ソ共同宣言を基礎に交渉するのなら当然である。そして、領土確定以外の部分については、日ソ共同宣言にも書かれているように、両国は第二次大戦の結果を受け入れ、将来に向けて善隣友好の関係に既にある筈である。

日露間で平和条約交渉をその日ソ共同宣言を継承しそれをベースにして開始するというのなら、殊更「日本側は第二次大戦の結果を受け入れるべきだ」などと言うのはおかしい。それでは、日ソ共同宣言以前に逆戻りするということになるのではないか。(補足3)ラブロフという典型的ロシア人の難癖である。

2)ロシアは平和条約締結を先延ばしにしたいようだ:

このようなロシア側の発言は、ロシアは日本との平和条約交渉を急ぎたくないという意思表明だろう。上記中日新聞の記事によると、ロシア科学アカデミー極東研究所のクジミンコフ日本センター上級研究員は、「事務レベルで事前の調整が行われなかったという印象だ。ロシアが平和条約締結を急いでいないという表れだといえる」と話しているという。

また、モスクワ国際関係大のストレリツォフ教授は、「ロシア側はもう少し妥協的かと思ったが意外だった。交渉を本気で壊そうとしているのか、意図が見えない」と言っているという。それらを総合して、ロシアは、近い将来もっと有利に平和条約交渉が可能だと考えて、方針を変更したのだろう。

つまり、ロシアは日本の足元を見ているのである。ラブロフ外相は、更に、日本が米国のミサイル防衛システムの導入することに対して懸念を表明し、北朝鮮の核・ミサイル問題やシリア内戦などの問題への対応でも、国連でのロシアの提案に日本が賛成していないことを批判している。

プーチン大統領も、昨年11月15日に、前日の日露首脳会談を行ったにも係わらず、日ソ共同宣言に言及して、歯舞色丹両島の引き渡しを行うとしても、主権のことは共同声明には記載されていないという訳の分からないことを言っている。https://special.sankei.com/f/international/article/20181115/0001.html

恐らくロシア政府は、ロシアよりも日本の方が日露平和条約の締結を必要としているという考えに至ったのだろう。それは言うまでもなく、現在の東アジアの国際環境が日本にとって非常に不利になりつつあるということである。

一旦は平和条約交渉を継続するという程度の合意をして、安倍政権はこの件を諦めることになり、退陣するだろうと私は思う。ロシア科学アカデミー極東研究所のクジミンコフ日本センター上級研究員の「事務レベルで事前の調整が行われなかったという印象だ」という指摘は、安倍外交を完全否定する指摘だからである。

再度、本格的に交渉するときには、日本は基本的な戦略を練り直して臨むべきだろう。そこでは、日中の友好関係加速も当然もう一度考える必要がある。

3)上に書いたように、今後日本は国際的に非常に不利な情況に追い込まれるだろう。米国は世界の一強ではなくなり、その相対的国力低下により東アジアから米軍は撤退するだろう。更に、トランプ大統領は北朝鮮の非核化に最後までこだわる事ができず、半島に核保持の統一朝鮮が出来るだろう。

その近未来の東アジアで、日本が中国と朝鮮による歴史問題を掲げたイジメに苦しむ時がくる。プーチン大統領は、このように歴史が動いている現在、ロシア国内での批判を覚悟してまで、損な条件で日露平和条約を急ぐ必要などないと考えているのだろう。

国際問題分析家の田中宇氏は、朝鮮問題を以下のように議論している。
先進国となった韓国と最貧国の北朝鮮の統一の過程の中で、南北で様々な問題が出てくる筈である。直ちに米軍が半島から撤退すれば、北朝鮮が軍事的に韓国を飲み込むことになる。従って、最終的に南北朝鮮が統一するまで、米軍の駐留は韓国にとって欠かせない。

この統一のプロセスで色んな問題が生じたとき、南北両政府が統一の意思を再確認するために共通の敵が必要である。その矛先として、米国は利用できないので、日本が利用されるだろう。(以上は、本ブログ筆者による解釈ですので、詳しくは原文をご覧頂きたい。http://tanakanews.com/190116korea.htm)

そして既に、韓国は徴用工問題などで国民の敵意に満ちた視線を作り上げ、日本に向けている。そしてそのような日本イジメが中国も参加する形で本格的になったとき、ロシアに有利な形で日露平和条約が締結できる。そのように、ロシアは考えているのではないだろうか。

日本はそのような事態にならないように、別の政権で外交を再構築すべきである。

追補(午前9:40):深読みをすれば、ロシアの以上の平和条約交渉は、巧妙な安倍降ろしの可能性もある。これ迄20回以上重ねた首脳会談の内容がわからなけれ判断できないが、安倍内閣にとっては深刻な事態であると思う。

(以上は以上は素人のメモですので、そのつもりでお読み下さい。)

追補2(午後6:40)佐藤優氏の解説があります。このプロの方は、日露の交渉はうまく言っているとおっしゃっています。読売新聞にはより細かい情報が出ているようです。https://www.youtube.com/watch?v=VD9E8sLNzK0
この動画に、mohkorigoriのハンドルネームで私のコメントを投稿しています。(午後10:25追記)

補足:
1)竹島を独島と呼び、日本海を東海と呼ぶ韓国を思い出す。日本はロシアと交渉中の現在、北方4島を固有の領土とは呼んでいない。

2)http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/docs/19561019.D1J.htmlに全文が掲載されている。第9項に平和条約締結後に「日本国の要求に答え且つ日本国の利益を考慮して、歯舞諸島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する」と書かれている。

3)最初から、歴史認識問題を議論するのなら、日ソ中立条約の有効期間内にソ連は日本を、しかも、連合国に降伏の意思を伝達したのちも、その攻撃を止めなかったことなどの話、シベリア抑留というハーグ陸戦条約に反した行為、満州で大量の日本人を殺害し婦女を陵辱した問題なども議論しなければならない。

2019年1月16日水曜日

新たにホンジュラスから米国に向けて出発した移民キャラバンは日本に無関係か?

1)ホンジュラスを新たに出発した難民の列:
最新のBBCネットニュースでは、米国へ向かう難民のキャラバンが再びホンジュラスを出発したと報じている。昨秋同様に米国とメキシコ国境まで到達するのだろうか。子供を連れた軽装の人たちの群れに、違和感を持つのは私だけか? https://www.bbc.com/news/world-latin-america-46876317

ところで、既に昨年の秋に米国国境に到着した難民はその後どうなったのか? 現在ではこの件について、日本でも恐らく世界でもほとんど報道されていないようだ。まるで(或いは本当に)、報道規制が敷かれているみたいである。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43809950.html

一方、米国ピッツバーグのユダヤ教礼拝所で銃乱射事件が起こったのは、昨年の10月27日である。11人が殺されたが、その際日本のマスコミで主に議論されたのは、米国での銃規制問題だった。しかし、この事件の原因は明らかに、ホンジュラスを出発した移民キャラバンをユダヤの人道団体が組織し支援したことだろう。この最後の部分の詳細については日本ではほとんど報道されていない。

NHKのクローズアップ現代の11月21日のネット記事でも、移民キャラバンに参加した人たちの悲惨な情況や、トランプ政権の冷たい対応などについて触れているものの、何故、彼らが多くの国境を軽装で移動することが出来たのか? 或いは、どのように組織されたのか?については何も報道していない。報道の20日以上も前に、その件と関連して上記無差別銃撃事件の犯人が出しているにもかかわらずにである。何故なのか? https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4213/index.html

この銃撃事件を報じた「朝日」の記事には: 土曜日にピッツバーグにあるシナゴーグで11人を殺害したロバート・バワーズ容疑者(46)が、大量射撃で発砲する前に「すべてのユダヤ人が死ぬ必要がある」と叫んだ(目撃者の話)。また、SNSへ「ユダヤ人の難民支援グループは、我々の仲間を殺す侵略者を(米国に)連れてくることが好きだ。私の人々(マイ・ピープル)が虐殺されるのを傍観はできない」と書き込んだ。 と書かれている(記事の後半は有料なので見ていない。)https://www.asahi.com/articles/ASLBX5DJLLBXUHBI01B.html

BBCのネット記事も、銃撃犯が犯行数分前にSNSに犯行声明的文章を投稿していたことを報じている。アメリカに難民を再定住させるユダヤ人の非営利の難民支援団体「HIAS」を激しく非難し、「自分の同胞が殺戮(さつりく)されるのをただ見ているわけにはいかない」と書いていたのである。この銃撃犯の言葉で、我々は初めてHIASという団体の関与を知ることになる。https://www.bbc.com/japanese/46014139

AP通信の記者にバワーズ容疑者について語ったという言葉「何が一番恐ろしいかって、あまりに普通の人の見えたことだ」の引用は、この事件が狂人の犯行であると断定している。しかし、情報を熱心に探す人間でないと、ホンジュラスの移民キャラバンやそれらへ支援する団体の特定など、口から出ない筈である。それが狂人に出来るだろうか。

ハイアス(HIAS)は英語版グーグルには出てくるが、日本語版には無い。「グーグル ハイアス」で検索しても何も出てこない。これも不思議である。ハイアスで出てくるのは、犬や猫を販売する会社の名前だけである。http://hias.co.jp/kiyaku.html 

2)この件、安倍内閣が唐突に制定した新しい移民法と関連がないだろうか?

新移民法は人で不足の解消のためだけだろうか? あの唐突な提案から、何の議論もせずに制定された新移民法(新入国管理法)は、制定までの時間の短さだけを考えても異常である。人手不足は後付の理由だと思う。 http://agora-web.jp/archives/2035627.html

私は、上記入管法の改定は、移民希望者達を支援するユダヤの人たちの運動と何らかの関係があると思う。(補足1)勿論、中米の難民を受け入れる訳ではないだろうが、世界が反移民の嵐となっては、ユダヤ支配層も運動を続けられなくなるからである。

オバマ政権時、安倍総理が米国議会でした演説は、リビジョニスト安倍から米国と日本との同盟を一層深くする有能な日本の総理へと、その米国での安倍像を一変させた。しかし、その後の訳の分からない行政を見ると、あの演説は米国支配層の走狗となった安倍総理の宣誓的演説だったのかもしれない。

米国支配層とは、グローバル化を推進する人たちのことである。馬渕元ウクライナ大使はディープ・ステートという言葉で言及している人たちのことである。移民や難民の支援は、グローバル化の象徴である。日本以外の先進国では揃って移民の増加で悩んでいるときに、移民を推進する入管法改正を強引に行うのは、非常に不思議である。(補足2)

それらと関連して不思議なのは、これだけの切迫した情況にありながら、メキシコ国境に壁を築くという予算案を米国議会が否決し、政府の一部が閉鎖されていることである。10年間に2兆円の予算がかかるそうだが、それは年間予算凡そ500兆円の予算の0.04%程度にすぎない。日本の予算に換算すると、10年間で2000億円程度の話である。https://www.sankei.com/world/news/180106/wor1801060014-n1.html

補足:
1)1)二つの異常なことの一ヶ月間に出現する確率が、夫々1000月(8年半)に一回とする。それらが同月に揃って起こる確率は、それらが無関係な出来事なら、更にその1000分の1となる。或いは、100万月に一回程度、つまり8500年に一回の出来事となる。しかし、それが独立でないのなら、つまり強く関連して起こるのなら、その確率は8年半に一回と考えても良いことになる。

2)その後、馬渕大使と水島チャネル桜社長の討論で、これがグローバリストらの工作だろうという話がなされていたことを知った。https://www.youtube.com/watch?v=5JZanPoyv-g&t=251s

2019年1月14日月曜日

戦後日本の民主主義政治について:原点からの考察

1)国政の役割:国民が主人公の政治
国家の政治の重要な役割は、すべての国民に対し平等に自由と福祉を提供することだろう。そのために、国民や法人(会社等人の集まり)が出来るだけ健全且つ自由に活動できるよう、法的及び物理的システム、外交等国際的インフラなどを整備し提供することである。

その一方、それらの能力等個別の原因での幸不幸や栄枯盛衰は、原則としては自己の責任で解決されるべきである。しかし、国民全体が適切と考える様な場合、支援を行う法的システムが必要である。この場合、現在及び将来における国民全体の利益を視野におき、平等原則を維持する法的担保がなければならない。(補足1)

それらの目的のために、日本国民以外の住民や法人にも、一定の配慮がなされるべきである。しかし、あくまでも自然人である日本国民の安全と福祉が政治の目的であるので、本末転倒があってはならない。しかし、日本の戦後政治を見ると、本末転倒的な政治が横行している。つまり、訳の分からない法人や外国人への配慮が、国民の現在及び将来の福祉を害する可能性に対して無配慮&無関係になされている。

たとえば、報道等によると日本国内で日本国政府の私学助成金を受けながら、反日教育が行われている。http://www.afpbb.com/articles/-/3150103 また、日本国民でも無い人に、日本の生活保護制度が適用されている。日本国民は、生活保護の受給を恥として避ける傾向が強いが、外国人はその様な考えを持たないので、生活保護制度では外国人を優先しているのが実態だろう。 https://www.sankei.com/affairs/news/140718/afr1407180003-n1.html

このようなことが何故起こりえるのか?
それは日本にはまともな政治が無いからである。その原因は、日本には市民革命もなく、本物の民主主義も成立したことが無いからだと思う。その点では、法治の原則が分かっていない隣国とほとんど変わらない。西欧製の市民革命や民主主義を、英国や米国の指導で演じたものの、その意味を未だに理解していないのだと思う。

2)明治維新は日本の市民革命ではない:
明治維新は、市民革命的であるが、その真実は英国の対日工作であった可能性が高い。このことは既に何度か書いたが一つだけ下に引用する。原田伊織著「明治維新という過ち」などを材料に書いた記事である。 https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42160759.html

日本の歴史教科書は、坂本龍馬という人物を薩長同盟の立役者のように描く。そして、薩長同盟が日本の明治史の重大事のように書かれている。しかし、香港の英国商社の代理人だった坂本龍馬が、英国本国からの司令により動いただけかもしれないのだ。つまり、日本の市民革命的な出来事は英国からの輸入品である可能性がたかい。

昨日の記事で、以下のように書いた:

「中世の専制主義国家から共和制的国家が生じたとしても、人々の政治姿勢が個人主義にまで成長しなければ、それは本物の民主主義国家でも共和制国家でもない。その上、それは常に全体主義的色彩を帯びる危険性がある。」

明治の政変は、薩摩と長州が彼らの下級武士と京都の下級貴族を使って、更に、天皇という権威を捏造して、江戸の徳川幕府を倒したと解釈できる。そして、その際利用した天皇を重視する姿勢から逃れられなくなって、明治憲法に「天皇は陸海軍を統帥する」や、「内閣は天皇を輔弼するという」という条文を書き込むことになったのである。

それらの条文が、何百万人という自国民を死に追い込むことになる昭和の大戦に繋がったのである。陸軍の暴走とかいわれている事態は、まさに天皇の統帥権により生じたというのが定説である。日本政府が学校教育から近代史を排除しているのは、そして、あの戦争が総括できないでいるのは、未だに明治の倒幕勢力が日本政府を牛耳っているからである。

3)戦後政治は本物の民主政治ではない:
日本では、本物の民主主義など成立したことがない。戦後政治における日本の民主主義は、米国製の日本国憲法の制定から始まる。それは、国連憲章(前文)やパリ不戦条約(9条)から抜き出した理想主義の憲法だといわれる。例えば:http://peace.arrow.jp/tsc/131027/wake.pdf 占領政策、つまり日本の骨抜き遂行のための憲法である。

その理想主義憲法は、本物の民主主義の成立を妨害する野党勢力の誕生と、彼らの国会進出を助けた。更に占領軍は、現実的視点で将来の日本のリーダーとなりそうな人物を公職追放した。また、米国政界も赤色に汚染していたことが原因なのかもしれないが、占領軍は日本において社会主義政党を育成したのである。 https://www.sankei.com/politics/news/151223/plt1512230014-n1.html

その占領軍の政策のために成長した日本社会党に、政権を乗っ取られることを恐れた日本の現実主義政党の自由党(吉田茂、緒方竹虎;官僚派)と日本民主党(鳩山一郎、三木武吉、河野一郎、岸信介;党人派)が、保守合同で自由主義経済体制を守った。(55年体制)

この様な背景で、本来議論すべき二つの現実的政党である日本民主党と自由党が合併したため、まともな論争が国会から消えたのではないだろうか。日本国の政党であるものの、社会主義国からの司令で動く日本社会党と、現実主義政党とでは議論など成立する筈が無い。(補足2)それにより、議論のない政治が日本に定着し、無能な田舎者議員が永田町に多くなった。現在でも、USBという基本単語すら知らない大臣がいるというから驚きである。https://dot.asahi.com/wa/2018112400007.html

米国の赤狩りが一段落したのち、本来なら日本でもそれが行われ、自由民主党が本来の保守党と日本民主党に分裂し、議論する政治に回帰すべきであったと筆者は思う。

その後自民党の主力は、上記官僚派の吉田学校の卒業生が担う。そして、官僚的政治、つまり自己保身を優先して厳しい道を選択しない政治に終始することになった。その結果が、最初に紹介した様に、金日成や金正日の額を教室の前面に掲げ、生徒達を反日教育する学校に対して、私学助成金を与える日本の姿である。

4)日本政治の幼児性:
岸信介の不平等条約の改定後、官僚派の池田勇人や佐藤栄作が日本の政治を担当した。池田内閣は新生日本が幼児少年の段階から青年の段階に至るべきときに、米国依存のエコノミック・アニマルを目指した。それ以来、日本がまともな国に成長することが不可能となったのかもしれない。(池田内閣、1960年7月—1964年7月)

片岡哲哉という人が核武装なき憲法改正は日本を滅ぼすという本を書いた。その中に、キューバ危機などを経由して冷戦の中にあったとき、米国のニクソン大統領が佐藤栄作首相に日本の独自核武装を勧めたという記述がある。 https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43129251.html

上記ブログ記事から一節を抜粋する。
1972年1月、訪米した佐藤総理に対して、ニクソンはアジアでの日本の軍事的役割の拡大を主張したが、佐藤総理は「日本の国会と国民の圧倒的多数は、核兵器に反対している」と反論した。これは、ソ連と中国の脅威に対して、日本はアメリカと共に戦う意思はないと表明したことになる。しかし、日本は日米安保条約をあてにしないわけではない。日本は、この子供の論理から戦後四半世紀経っても抜けていないし、抜ける努力もなされていないと最高指導者は言ったのである。

この閉塞状況から抜け出す事を目指したのが、自民党元幹事長の小沢一郎である。小沢一郎は「日本改造計画」という本を出版し、そこで民主主義において個人主義的文化の定着する必要性を強調した。(補足3)更に、政権交代が可能な選挙制度として、小選挙区制を導入することになった。しかし、政治改革につながっていないのは、上記民族主義的全体主義の亜型である衆愚的地域主義が明治以降の日本政治に巣食っていることである。

以上、この数年に学んだ知識から、日本の政治の姿を書いた。玄人の方のコメントをいただければと思う。尚、筆者は国民の一人として、現在の安倍政権を今までの政権と違って一定の評価をしている。ただし、新移民法には反対である。

補足:

1)日航機ハイジャック事件のとき、時の福田赳夫首相は「(人質の)人命は地球よりも重い」と訳の分からないことを理由に、テロリストに巨額の活動資金と引き換えに人質解放を行った。これが大蔵事務次官上がりの政治家の典型だろう。外国人に国民栄誉賞を与えたり、隣国の宗教家を何も知らないくせに賛美したりで、人格下劣を極めても、大勲位菊花大綬章をこの国は授与したというから、「日本死ね」という言葉が庶民から出ても全く不思議ではない。https://yoshinori-kobayashi.com/9631/ 因みに群馬から総理大臣が4人も出たことと、長州の吉田松陰の義理の弟が初代県令になったこととは無縁ではないだろう。なお、長州(山口県)出身の総理大臣は8人である。https://honkawa2.sakura.ne.jp/5237.html https://www.sankei.com/region/news/150101/rgn1501010014-n1.html

2)社会党委員長の勝間田清一は、レフチェンコの証言などからソ連共産党のスパイであることが明らかになっている。また、社会党はソ連から政治資金を受けていたことが明らかになっている。(レフチェンコ文章、55年体制など参照)

3)2014年になって、政治学者の御厨貴が明らかにしたところによると、本書の執筆(協力)者は、「国内政治」は御厨(東京都立大学教授)と飯尾潤(埼玉大学講師)、「経済」は伊藤元重(東京大学助教授)と竹中平蔵(慶応大学助教授)、「外交・安全保障」は北岡伸一(立教大学教授)であったという。しかし、それを暴露した当人のTV番組での発言(昨年秋に終了)は、この本の中身とは比べ物にならないくらい退屈なものだった。

2019年1月13日日曜日

民主主義、自由主義、保守主義、個人主義とはなにか:自分なりに言葉の定義のそれら用語の相互関連について考えてみた

今日の中日新聞日曜版に民主化から見た政治という全面2ページの特集が掲載され、世界銀行の調査による各国の民主化度を色で示した世界地図が掲載されている。国民の言論や表現の自由、政治参加の自由などから民主化度を算出し、図示したのである。

その高い方から、北欧や英連邦諸国、日本、台湾、米国、フランスなど先進国が続く。インド、韓国、南ア、ブラジル、アルゼンチン、ポーランドなどがそれに続く。そして、低い方には、ロシア、アラブ・アフリカ諸国、フィリピン、中国があり、最低は北朝鮮となっている。

国民のための政治がこの指標だけで判断できるのなら話は簡単であるが、そうではない。最近の保護主義の動きなど過激思想が広がり、それが民主主義への幻滅ではないかと、その解説図に書かれている。民主化度を示す世界地図を掲げたものの、それが世界政治にどれだけ、且つ、どの様に意味がある図なのか?新聞編集者も分からないのだろう。(補足1)

そこで、自分なりに原点から、国政における民主主義という考え方の発生のモデルを立てて、考えてみた。尚、以下国政に関する議論であり、政治用語もすべて国政に限定して用いる。(筆者は政治学の素人なので、以下私的メモですので注意して下さい。)

1)近代国家の代表的な政治思想に、自由主義(リベラリズム)、民主主義(デモクラシー)、保守主義などがある。それらは数学のX, Y, Z座標軸のような明確且つ独立した座標ではなく、十分には定義も理解もされていないので、どうしても議論が混乱する傾向にある。

先ず、民主主義という言葉を考える。ここでは、「国民一般の合意が国政で決定権を持つという思想」と国政を念頭に定義する。歴史的には、専制主義政治からの脱却を意味するので、対立概念は専制主義である。(補足2)

次に、自由主義だが、それはLiberalismの訳であり、言葉の上での訳は「解放主義」となる。その歴史的な意味を考えると、中世の封建主義や帝国主義の時代から脱却して、それらの権威による束縛から人間を解放すべきだという政治思想だろう。(補足3)

国王などの権威の下の政治(権威主義的政治)から、大衆が個人として解放されるには、何らかの団結が必要だろう。その団結により解放を暴力的に進めたのが市民革命であり、出来た国家は共和国に分類されている。この辺りまでは、異論が出ないだろう。つまり、自由主義の対立概念は権威主義である。

自由主義は、権威からの自由を追求する姿勢であり、それは形態というよりも運動の方向を示す。一方、共和制を実現し、一般民の意見で政治を行う制度を民主政治という。これは政治形態を意味する。つまり、一般市民による自由主義運動により民主的政治が獲得された時、その国家を共和制国家と呼ぶ。

因みに、戦後の日本は象徴天皇制の国家であり、実質的な国家元首は天皇ではなく内閣総理大臣なので、共和制国家である。これには異論のある人が多いだろう。自民党の憲法改正案では、天皇を国家元首としている。私は、大日本帝国時代の訳のわからない憲法に一部でも逆戻りするのは反対である。

2)自由を目指して団結した場合でも、その団結とその方法や組織が別種の束縛となる筈である。(補足4)人間が社会を作って生きる以上、完全な個人にはなり得ない。そこで保存すべき社会的束縛とこれまでの権威主義的束縛に付随した因習的束縛の区分けをして、後者を廃して理想的な社会を目指すのが、民主主義国家における自由主義の立場だろう。

これまでの慣習や政治システムには意味のあるものも多い。それらを考慮無く廃止することで、次の世代の社会に悪影響が出ることも多いだろう。そこで、それらの意味を重視し温存する方向で、安全な将来を目指すのが保守主義だろう。従って、ここでは自由主義の対立概念は保守主義になる。民主政治を獲得した国家の政治において、自由主義政党と保守主義政党の対立は、従って、自然である。(補足5)

現在民主主義国と見なされている多くの国において、国民はこの別種の束縛の下にあると考えている。その見えにくい束縛に敏感(或いは過敏)に反応するのが、そのしわ寄せが集まるマイノリティーの人たちなのだろう。

兎に角、それらすべての個人が政治的に独立した意思で国政に参加するとき、本物の民主主義国家となる。民主主義政治が正常に機能するには、国民の意思が、平等且つ独立的に示され、それを行政機構が正しく吸い上げ、行政に反映される必要がある。つまり、民主主義が正常に機能するためには、その基礎に個人主義がなければならない。

現在、社会は民主主義を標榜するものの、個人の意思を集団の意思として纏め上げ、それを再度集計する形で政治が動いている。それは、直接民主制が現実的に不可能なので仕方のないことだが、専制政治或いは全体主義政治に堕する可能性がある。正常な民主主義政治とは、恐らく、主権者たる国民が上記堕落の危険性を常に意識する準安定な政治形態なのだろう。

3)この共和制的国家の全体主義化には、これまで左右二通りあった。その左側の一つは、共産主義運動により生じた労働党独裁である。そして、右側の全体主義は、高揚した民族主義と国民国家体制の連結により生じた。これらは市民一般の団結を強め、一枚岩的政治組織を作り上げる点で共通する。実際は、一人または少数のリーダーによる専制政治であるが、民衆全体が組織化されている点が、中世的専制国家と異なる。

労働組合運動は、労働党独裁の前駆体となり得るので、廃止を目指すべきである。それは、近代的経済活動において必須である資本提供する階層を、敵対する搾取階級と位置づけ、その経済活動に於ける権威を政治活動に於ける権威にすり替える手法で、集団化した組織である。

労働力の市場化を完全にすれば、労働組合は不要となる。労働の完全な市場化は、雇用に於ける差別の完全撤廃、賃金を完全に労働の対価とすること、オープンな労働市場を作ることで可能となる。ただ、賃金つまり収入に大差が出るので、富の再配分制度の充実が大切である。これらの法整備を含む改革により、適材適所の原則も自動的に実現されるだろう。

アジアの超大国中国や最近核兵器開発により国際的にデビューを果たした金正恩の北朝鮮の独裁政党は、巨大な労働組合の形をとるものの、中世の帝国に似た全体主義組織である。その専制君主的なトップが「同志」と呼ばれるという事実(これは中国も同じ)で、その制度の“里が知れる”だろう。

つまり、中世の専制主義国家から共和制的国家(補足6)が生じたとしても、人々の政治姿勢が個人主義にまで成長しなければ、それは本物の民主主義国家でも共和制国家でもない。その上、それは常に全体主義的色彩を帯びる危険性がある。

従って、個人主義の対立概念は、集団主義や全体主義である。政党という存在も、集団で勉強したり、議論したりする範囲なら民主主義と対立しないが、自民党などが良くやるように、議会の決議において党議拘束をかけるのは、集団主義であり、民主主義思想の根本に反する。

補足:

1)世界銀行のThe Worldwide Governance Indicatorsの「Voice and Accountability」という指標で、国民の声がどの程度政治に反映するかを数値化氏ランク付けしたものである。同様の情報が世銀からエクセルファイルで提供されている。

2)ウィキペディアには、「国家など集団の支配者が、その構成員(人民、民衆、国民など)である政体、制度、または思想や運動」と書かれている。しかし、構成員が支配者というが、国家の構成員のなかには様々な組織や法人などが含まれるとすれば、それが国民と同等の権利を有する筈がない。この定義はわかりにくい。

3)ウィキペディアでは、「国家や集団や権威などによる統制に対し、個人などが自由に判断し決定する事が可能であり自己決定権を持つとする思想・体制・傾向などを指す用語」とある。この定義は、同じくウィキペディアの個人主義の定義、「国家や社会の権威に対して個人の権利と自由を尊重することを主張する立場」と非常に紛らわしく、本質を指摘しているようには思えない。

4)ナポレオンが皇帝になったことでも、それは分かる。

5)普通、保守主義に対立する用語は革新主義(Progressivism)と思われるだろうが、そうではないだろう。つまり、ウィキペディアには計画経済などを主張する左翼思想とかかれている。日本の所謂「革新」は、Liberalismの意味で用いられているようだ。共産党や社民党がProgressivismの範疇に入るのだろう。兎に角、日本では政治用語を理解せずに使っている風に見える。

6)共和国はrepublicの訳語である。英語の辞書には、Republic: state in which supremepower rests in the people via elected representatives," from Middle Frenchrépublique (15c.). (https://www.etymonline.com/word/republic#etymonline_v_12865) と書かれている。翻訳すれば、「共和国とは、選挙により選ばれた代表を介して市民(people:市民、国民)に権力が存在する国家」である。

2019年1月5日土曜日

「友好国間で事実を争う外交はやらない」のは何故か:事実は一つとは限らない

1)火器管制レーダーを照射したとか、していないとかで、日韓が争っている。しかし、元外交官の佐藤優氏は、その解説動画で以下のように言った。「こう云う話になった時には、基本的には友好国間では事実関係を争わないのです」 https://www.youtube.com/watch?v=Ur0F4YPnFOw

この言葉は最初理解できなかったが、昨日紹介した伊藤貫氏の動画の内容を考える途中でその深い意味が理解できたと思った。専門家には、長い間に蓄積したその“専門としての知恵”があると思う。佐藤氏はそれをサラッと言っただけだろうが、一般にはわかりにくい。

佐藤氏は更にその理由として、友好国間で事実関係を争わないのは、国家と国家の上にその争いを決着させる権威などないからと言う。ここで、「友好国間では」は、「その争いの後も友好国関係を継続する合意が両国間に存在する二つの国の間では」という意味である。

これらの言葉にも拘らず、実際はその事実を争っている。従って、①日韓は果たして友好国なのか、そして、②米国は日韓の上の権威ではないのか、などという疑問を持つことになるだろう。(補足1)

ここで友好国とは、今後も国際政治においてひと塊となって、共同歩調をとる関係、或いは、仮想敵を共有する関係である。現在日韓は、米国とともに東アジアでの民主国家の連合を形成する友好国の関係にある筈である。

昨日の記事で紹介した伊藤貫氏の話の中で、アイデンティティー・ポリティックス(以下、IPと省略)に言及した際、伊藤氏はそのIPの行き着く先として、「あなた達にはあなた達の真実があり、私達には私達の真実がある」ということになるという話をした。つまり、日韓の間で問題が生じたとして、事実を争う時の問題は、「日韓は一つの民主国家連合として、真実を共有できる関係にあるか」という問題に帰着するのである。

この段階では、佐藤氏の最初の言葉「友好国間ではこのような場合事実関係を争わないのです」の意味がわかるだろう。つまり、アイデンティティーと呼ぶほどの統合的な関係ではない友好国間では、仮想敵に関する真実ならともかく、両国間に生じた問題においてそのような問い詰め方をすると、つまり共通の真実を追い求めると、統合関係が崩壊する可能性があるのだ。

日本には日本の事実があると言えば、それに韓国には韓国の事実があると答えることになる可能性が高いからである。実際、そのようになっている。その延長上には、友好国関係の崩壊が待っているのである。トランプ政権は、歯止め措置を施さないだろう。

この話がわかる人は日本には少ないかもしれない。何故なら普通、事実は一つであるという宗教に我々は囚われているからである。(補足2)それは日本人に特に顕著である。しかし、我々が事実と言うのは、「言葉にした事実」に過ぎない。「事実を争う」という文章を、これまで「言葉で事実を争う」の意味で使ってきた筈である。言葉が違えば、その争いを続けても、泥沼化してしまうだけである。

例えばソシュールの言語学の入門書には、『言葉の体系は、カオスのような連続体である“世界”に、人間が働きかける活動を通じて産み出され、それと同時にその連続体であった“世界”もその関係が反映されて不連続化し、概念化するという“相互異化活動”が言葉の働きである』と書かれている。 つまり、アイデンティティーの異なるグループでは、その人間としての活動も異なり、従ってその相互異化活動も異なるだろうから、言語(ソシュールの用語でラング)が異なることになる。 このアイデンティティーを、例えば日本国民或いは韓国民と考えれば、それぞれの国の中では事実に容易に到達する筈である。しかし、国を跨いで共通の事実に到達するかどうかはわからない。そこで、互いに友好国であり続けるという意思があれば、事実関係を争わないということになるのである。

2)本音と建前について再考

「本音と建前」の一対は、それは単に異なるアイデンティティーの間の異なる事実を棚上げして不完全な統合をするとともに、その関係の補修と将来のより完全な統合のための言葉かもしれない。

つまり、純粋に一つのアイデンティティーの中では、そのような言葉は不要であり、他のアイデンティティーに属する者から建前に過ぎないと言われた言葉も本物の本音であり、そのような分裂は真面目な話の中にはない。

そして、「本音と建前」の分裂を互いに無くするように努力し、そのような人を多数派とする努力は、一応統合できている不完全なアイデンティティー(補足3)の保護や、完全な統合に向けた行為なのだろう。

例えば、昨日の記事で、独立宣言で「人は生まれながらに自由で平等である」と謳ったジェファーソン大統領が、黒人奴隷をたくさん抱えていたという事実を、本音と建前の違う嫌な人間と考えてきた。しかし、ジェファーソンらのアイデンティティーの言葉では、黒人は人ではなかったのなら、独立宣言の言葉と黒人を奴隷として抱えたことになんの矛盾もない。

この例は非常にわかりやすい例であるが、そうとは気づかなかった多くの疑いも同様に考えると消えるだろう。つまり、本音と建前を使い分ける嫌な奴という感覚は、実は厳密に言えばアイデンティティーが異なり、自分とは言葉の違う世界に彼らが住んでいると考えられる可能性が高い。

後の世になって、ほとんどの人がジェファーソンの「本音と建前」を批判し、そのような使い分けをしなくなった時、黒人たちも米国の市民として統合されたと考えられる。また、ウィルソン大統領が、本音と建前を使う嫌な言動や行為の人だったと定着した時、日本人も同じ人間と認識されるようになったと考えられる。その段階では、人間という統合的アイデンティティーが構築されたことになる。(補足4)

しかし、本音と建前の使い分けの攻撃は、双刃の剣である。本質として融合可能なアイデンティティーの間なら、その攻撃から上記のようにアイデンティティーの融合に向かう可能性がある。しかし、どうしても本音と建前の使い分けに我慢がならないということになると、不完全ながら統合されていたアイデンティティーが破壊されることになる。(捕捉5)ポストモダンの風潮とは、そのような傲慢な人たちが多くなった現代の別角度からの形容なのだと思う。

つまり、ポストモダンの風潮の中で明確になったアイデンティティー・ポリティックスは、「本音と建前」に許容的でなくなった時代の必然であると言える。近代からポストモダンへの移行は、社会の発展により経済的な自由度が増した個人、そして異なるアイデンティティーの人たちが、文明がなし得たことを自分たちの能力だと誤解して許容の精神を失った結果である。それは、これまで人類が構築した大きな社会を崩壊させることである。

人は動物として独立していた時には持っていた自然の権利(自然権)である生存権や所有権など様々な権利の一部を返上して、群に管理部門を作りそれを引き渡すことで、社会ができる。ここで権利は、この社会の管理部門(公空間と公機関)に自分の何かを引き渡す際に考え出された概念なのだろう。

人間解放とは、その引き渡した権利の一部を返還する運動だと考えられる。その際、限度を設けなければ、社会が崩壊する。その部分的に崩壊した社会が、現代でありアイデンティティー・ポリティックスであり、ポストモダンの動きなのだろう。
(学術的権威など期待しない私的メモです。批判等歓迎します。)

補足:

1)オバマ政権のときに、日韓で「慰安婦問題での最終合意」を行なった。その時まで事実関係を争っていたが、上の権威である米国の指示で、両国は事実関係を争うことを止め(棚上げして)最終合意をした筈である。日本国内では、保守系で特に反対意見が多かったが、それが外交だという諦めがあった。トランプ政権はそのような権威ではなく、日韓両国の関係は、現在もっとも独立国間の関係に近いということだろう。

2)”北方4島は日本固有の領土であるの”と云う言葉は、事実はひとつであるから、ロシアはそれらを返還すべきであるという、強い信仰の表現である。ロシアは、ロシアには別の真実があると応じることになるだけであり、外交などそこには存在しない。

3)アイデンティティーは同一性の意味。不完全なアイデンティティーとは意見の相違を乗り越えて同一のグループを一応作っている状態と定義する。

4)これは楽観的な考えかもしれない。留学中などの際、嫌な思い出を持つ人は多いだろう。夏目漱石の時ほどでないにしても。

5)これが今回の日韓の情況だろう。日本と韓国では、感情のものさしも約束や法という言葉の意味(役割など)もすべて違うし、その差は時間とともに拡大している。そもそも米国という圧力がなければ友好国の仮面をかぶることさえ、無理なのだろう。(捕捉5は、1月7日早朝追加)

2019年1月4日金曜日

ポストモダンの政治について:伊藤貫氏の話から学んだこと

チャンネル桜の水島聡氏が伊藤貫氏を招待し、伊藤氏の世界情勢と日本についての解説を聴く番組を作った。https://www.youtube.com/watch?v=0bwlpoETjxQ&t=5069s 伊藤氏の分析には非常に説得力があり、多くの方に推薦したいと思う。ただ、時間が1時間少しであり、現代文明論から世界政治への話の転換が、完全に理解できたと言い切る自信はない。

そこで、前半部分に限って自分自身の考えをまとめ、伊藤貫氏の話を引用しながら書き進める。話の後半部分については、後日別の記事にする予定である。

1)近代までの歴史:
現在、世界は冷戦後米国一極体制から多極化或いは米中の二極化の世界に移行しつつある。その移行がスムースに行く筈はなく、混乱の始まりのような昨今である。この歴史的な大転換の時代を一言で形容すれば、20世紀に最高潮となった「近代」が終わり、政治も所謂ポストモダンの時代になったということになる。番組では、そこまでの経緯が簡単に紹介されている。

中世の束縛の時代から、ルネッサンス、18世紀の啓蒙主義、19世紀の産業革命からベンサムの功利主義、そして、科学技術の進歩と物質的利益を追求する時代になる。そして政治的には、市民革命から主権国家体制が出来上がる。それが、近代の始まりと成立である。近代の成熟と共産主義運動などが近代の崩壊が世界で不均一に進んだのが20世紀後半である。

近代の成熟と崩壊は、アメリカが中心舞台である。その中心を成すアメリカ主義とは、物質主義、マテリアリズム崇拝が中心である。そこでは、自然科学、技術、金が中心価値を持ち、その追求競争に勝ったアメリカは世界一強力な国となり、経済、軍事、技術で世界を制覇するようになる。(補足1)

その物質主義の風潮の中で、19世紀の中頃から庶民レベルでも神を信じなくなる。人類は、神聖なものや崇高なものを失い、マテリアリズムに対抗するものがなくなった。神や崇高なものがなくなった時、自分自身の利益を最大化するのが賢明だという風に、経済モデルで合理化される。ネオクラシカルエコノミーである。(日本語サイトには無いが、英語には説明があったので一応示しておく。https://en.wikipedia.org/wiki/Neoclassical_economics)

その近代主義下での経済発展は、米国の世界支配で最高潮に達した。自分自身の利益を優先するのが合理的なら、そして経済発展でマスコミやインターネットなどで発言の方法と声の大きさが大きくなったなら、多くの“自分自身”が別々に利益を追い求めて衝突するのは自然である。それと同時に、神や崇高な思想が根底にある理想論が力を失うことで、ポストモダンの主張が出現した。

2)ポストモダンの始まり:
支配層の本音と建前の乖離が明らかになった時、 その修正圧力として個々の事情に配慮すべきだというマイノリティーの主張が強くなる。そして、アイデンティティー・ポリティックスの時代に入る。その結果、 “人類の価値”は共通の基準を持たなくなり、多くのマイノリティーの価値に分断されることになる。

世界はマジョリティーを失い、異なるマイノリティーの集合となる。マイノリティーの内部では言葉は通じるものの、異なったマイノリティーの間では言葉が通じなくなる。それはポストモダンへの入り口であるが、混乱した世界の始まりとも言える。(補足2)

現在、世界は様々な発展段階にある国々で構成されている。ポストモダンの入り口に入った欧米民主主義国家と、中世への逆戻りのようなアジアの強国、更には未だに中世のような他の国もある。

経済の発展は、文明の進展をもたらした様にも見えるが、人は文化を失いかけている。伊藤氏は、「文化は三代かけないと本物とならない」というT。S。エリオットの言葉を紹介して、現代が文化的に非常に貧しくなっていると指摘する。その原因を指摘したのはドイツ文学を大学で専攻した司会役の水島総氏である。世界経済の変遷(進歩)のスピードが速く、そして人の移動も大きく速くなり、「現代」は文化が本物となる時間的余裕を無くしたからである。

経済学には、その人間の文化に対する配慮は全くなく、世界的経済競争の中に追い落とされた現代人から文化的側面をそぎ取ることになった。経済学とは恐ろしい学問だと伊藤氏は最後の部分で言う。(補足3)

3)米国の近代からポストモダンへの移行:
伊藤貫氏によると、近代の二枚舌政治を象徴するのが、第三代米国大統領のジェファーソンの政治である。人は生まれながらに平等で自由であると謳うアメリカ独立宣言を起草する一方、彼は多くの奴隷を持ち、性奴隷とした黒人女性に新たに奴隷となる子供を産ませた。

つまり、近代は、理想主義を掲げる一方で、現実主義の実践によって可能になったのであり、それは欺瞞の産物である。伊藤氏は更に、同様の政治家であると第28代ウィルソン大統領を紹介した。偉大な米国覇権は、その二枚舌により作られ維持されてきたのだ。

しかし、それが行き詰まって来たのが現代であり、それにより始まったのが、アイデンティティー・ポリティックスという分裂混乱の政治である。社会的弱者が、自分の立場(アイデンティティー)を明らかにし、その少数者の利益を政治に反映しようという活動として始まった。

伊藤氏の話には無かったが、その多くのアイデンティティーを主張するなかで、巨大な力を持ったマイノリティーが存在する。それがユダヤ民族を中心とした米国経済の支配層である。

マイノリティーの権利を主張する方法で、世界を牛耳ったと豪語したのが、あのブレジンスキー元補佐官(カーター政権)である。(補足4)マイノリティーが成長して、マジョリティーになることを目指したが、それは成功しそうにないというのが、昨今の混乱が示している。ポストモダンから、新しい高性能な近代に戻ることを目指したともとれるが、そうではないだろう。

単なるエゴイスティックな支配を目論んだと思う。それも、上述のようにこれ迄さんざん利用したマスコミに代わって、インターネットの時代には、二枚舌もブレジンスキーらの目指した世界支配も暴露されるからである。それをブレジンスキーはカナダでの講演で嘆いている。「昨今、政治を知る大衆が増加した。その百万人を説得するよりも、殺す方がはるかに簡単である」と言ったのである。http://threechords.blog134.fc2.com/blog-entry-1705.html

この一連の企みは、人権思想とマイノリティーの権利保護を連結した主張を武器に、グローバル経済から政治のグローバル化を目指し、最終的に世界平和とグローバル社会の構築を目指したと主張されるだろう。しかしそれは理想論であり二枚舌のうち、前にでている部分である。現実論としては、グローバル経済とその支配による自己の利益の最大化を目指したに過ぎない。上記のブレジンスキーの言葉は、その利己主義を証明したのである。

別の表現で同じ内容を繰り返す。それは上記崇高な理想論にしては、十分に緻密な論理で組み立てられた戦略ではなかった。米国の力を利用した、国際共産主義革命や政治経済のグローバル化は、単に国際資本に利益を流し込む壮大な利己主義に過ぎなかったのだろう。

そして、世界は混乱の時代に入る。それを議論すると、終末論になるかもしれない。既に紹介した伊藤貫氏と水島聡氏との会談の最後近くで伊藤貫氏が言った言葉、「経済は恐ろしい学問です」に対する以下のようなコメントを投稿した。それをそのままここに再録する。

「経済学は恐ろしい学問です。その同じ論理で、自然科学や医学、工学も同じように、恐ろしい学問です。要するに、一定の優秀な知能をもっていても専門家にしかなれないほどに、専門的学問が進んでしまうと、人間文明におけるバベルの塔の話の再現になります。それが文明の崩壊という現象でしょう。

「言葉が通じなくなった」と伊藤さんがおっしゃるポストモダンも同じ現象でしょう。つまり、人間には一定のローソクしか与えられて居ないのだが、それを使い切ってしまえば、暗闇の中に投げ込まれるのだと思います。ある意味で終末論はただしいのでしょう。」

(以上は、私的メモとしてアップロードします。批判等歓迎します。)

補足:

1)纏まった歴史と呼べるほどの独自の歴史を持たない米国が、近代の舞台になったことが人類の不幸だった可能性が高い。米国は、伊藤貫氏が言うように、「文化に貧しい現代」を作り上げた主役である。その米国を牛耳ったのが、国家をもたないユダヤ民族だったとすれば、この記事の後半にあるブレジンスキー氏(カーター政権時の安全保障担当補佐官)の言葉が理解できるだろう。

2)移民を入れて、日本をアメリカ化する企みは、日本を混乱に導く陰謀である。チャネル桜の水島社長には、もっと早くその運動を開始してほしかった。

3)人間の限られた能力は、学問を細分化する道を強要する。それは、「人類を群盲象を撫でる」状態に導くことになる。伊藤貫氏は「経済学は恐ろしい学問です」と言ったが、全ての学問は恐ろしいのだ。医学も恐ろしい学問であることが、最近明らかになりつつある。物理学が恐ろしい学問であることは既にほとんどが理解しているはずだが、「基礎学問支援が大事だ」と繰り返すのが、恐ろしい学問の信奉者たちの筆頭に位置する愚かなN賞受賞者たちである。

4)馬渕睦夫氏がこのことを自身のブログ的動画で明らかにした。https://www.youtube.com/watch?v=Z85BnnOPmZ4&t=412s なお、上記馬渕氏の動画を紹介した記事もできれば参照してほしい。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43792629.html

2019年1月2日水曜日

ラインでの通信と韓国国情院との関係

若い人には無料通信ソフトであるラインを使っている人が多いと聞く。ラインは、映像付きの通信アプリであるスカイプの後に現れた。インド、ヨーロッパ、ロシア、北米で広く使われている、一歩先に出現したViber(https://ja.wikipedia.org/wiki/Viber)のパクリだという指摘もある。

ライン社は、韓国のインターネット通信会社であるNaver社(1999年に設立)の100%子会社として2000年に日本で設立された。現在でも73%ほどの株をNaver社が保有しており、完全に韓国の会社である。(ヤフーの株式欄参照)

無料で気軽に使えるためか、日本でのI.D.数は7800万あり、しかもいまだに増加傾向にある。ここで取り上げるのは、その私的通信の全てを韓国政府機関(国情院)が傍受可能であるという動画が、youtube上に現れたからである。https://www.youtube.com/watch?v=YCT3e7dwjdg 

この話が新鮮に思えたのだが、実は2014年に指摘されたいた。ラインが日本で上場すると発表された時、その予定日時の直前にその疑惑が出現した。その結果、当時の社長が辞任している。従って記憶にあって良いのだが、老害なのか全く関心がなかったのか、私の記憶にはない。

韓国国情院が傍受可能なのは、韓国に私的通信を守るという法律がないからだと上記動画の主が言っている。それを支持している他のサイトもある。https://iphoneteq.net/news/line-korean-spy そう言えば、ラインはロシアでは禁止されたという話を思い出した。米国など諸外国ではほとんど使っている人は居ないのは、その疑惑の所為かもしれない。(補足1)

LINEの使用者は韓国にいないが、親会社のNaver社により同様の通信アプリ、カカオトークが配布されている。そして、その通信は韓国国情院により傍受されているという。(補足2)現在、韓国と日本は敵対国と言って良い位の関係であり、日本でもっと心配の声が上がっても良い筈だ。

日本は、文化の細部では意識から抜けている部分はあるものの、形式としては西欧的な意味での法治国家であることは確かであり、国民もそれを疑ってはいない。しかし、東アジアでは、そうでない国の方が多いようだ。隣国(補足3)とその隣の大国(補足4)は、形式的にも西欧的法治国家とは言えない。

因みに、一旦取りやめになったラインの上場は、2016年7月15日、東証一部(3938)で実現し、千億円以上の金を調達したようだ。 https://orekabu.jp/line/ 

日本国内でのラインによる通信が、傍受されていることを否定する記事もネット上には出てくる。https://blogos.com/article/88971/ しかし、上記記事は2014の騒ぎの直後に出されており、信憑性が薄い。高度な暗号技術により保護されていると言っても、一般の信用は得られないだろう。

その疑惑を支持するかのように、ロシアでの禁止の他、インドネシアでも登録数が激減している。2018年第三期のラインの株主情報によれば、昨年3500万だった登録数が2200万になっているのだ。https://scdn.line-apps.com/stf/linecorp/ja/ir/all/FY18Q3_Presentation.pdf

これらの疑惑が晴れたとしても、韓国で私的通信を保護する法律が整備されていないということと、ラインが完全に韓国企業であることが問題である。

(午前9:30編集あり)

補足:

1)ライン社の株主総会資料によれば、ライン登録者数は合計約1兆6000億である。各国の登録数(百万単位)は、日本(78)、台湾(21)、タイ(44)、インドネシア(22)である。

2)2017年にも次の記事が出ており、そこでは韓国にそのような法令がないということを、2014年の記事の引用により主張している。https://iphoneteq.net/faq/post-1762)

3)この件だけではない。隣国では、親日だった人を炙り出して、その財産を没収するという事後法が適用されている。

4)中国では、全国民の国家への貢献度を数値化して、国家による待遇を差別化する制度が発足している。https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/14-8.php