2019年6月23日日曜日

諸国の北朝鮮に対する姿勢から、日本の将来を考える

日本の将来を北朝鮮問題を出発点にして考えてみた。結論は、米国が東アジアに覇権を維持している間に、安定した日中関係と日露関係を築かなければならないということである。つまり、最初は日露平和条約締結だろう。

1)朝鮮は、有史以来の中国の支配下の構図に嫌気がさしているだろう。更に、ロシアに対する脅威も常にあった。実際、李氏朝鮮時代にロシアの支配されたこともある。北朝鮮の核開発はそれら周辺からの完全独立を目指しておこなわれたのだろう。

しかし、中国とロシアという大国に挟まれた小国は、どちらかの支配下に入るしかない。歴史から考えても、現在の国力から考えても、北朝鮮を支配下におく筆頭の候補は中国である。プーチンがウラジオストクで金正恩を冷たくあしらったのは、北朝鮮との関係に野心を持つと思われては迷惑だという気持ちがあったからだろう。

つまり、中露関係の悪化を招いてまで、北朝鮮と親密に関係を結ぶメリットなど、ロシアにない。同じ理屈は日本にも当てはまる。(補足1)更に、核兵器をもった北朝鮮が経済的に豊かになれば、強烈な反日国が増えるだけである。もともと、韓国に反日行動を取らせたのは北朝鮮であることを忘れてはならない。佐藤優の"安倍総理は早期に訪朝すべき”というのは全く愚論である。https://www.youtube.com/watch?v=zQwyzRb8LE8

米国にとっても、北朝鮮と仲良くするメリットなどない。また、北朝鮮の核など米国の脅威ではない。あたかも米国の脅威だというのは、一つには米国にとっても北朝鮮の核廃絶は大問題だということで、日本に安心感を与えるためである。そして、米国が北朝鮮の完全な非核化が出来ると思っている筈はない。

北朝鮮の核の脅威を大げさに米国が言う二つ目の理由は、北朝鮮に経済制裁をするための口実作りである。それは、中国の方向に北朝鮮を押し付けるためだろう。もちろん、金正恩が完全に米国の配下になるのなら、統一朝鮮は対中国の盾になるが、そこまで育て上げる力も、それを維持するエネルギーも米国にはない。

元々、核兵器開発は対中国防衛、韓国併合、対日本攻撃を念頭においたものだっただろう。核保持を部分的にでも認めてもらって、アメリカとうまくやれるならやりたいだろうが、結局そんなことは許さないというのが、アメリカの一貫した態度である。その後、ウラジオストクでのロシアとの会談で、結局北朝鮮は中国の配下になるしかないと覚悟を新たにしただろう。

そのように考えると、「安倍さんが急いで北朝鮮を訪問すべきだ」なんて、バカみたいな考えだ。北の経済発展に協力すれば、トランプは東アジアの政治的安定を達成したと自分の成果にするだろう。そして、結局米国はアジアから去る。アジアに残らざるを得ない日本は、第二の強烈反日国を育て、それはその後に生来の反日国韓国と統一するだろう。その後、隣の反日大国とも協調して、日本を崩壊させる可能性が高い。

トランプは金正恩とうまくやりたいと思っている筈がない。トランプは一貫して、半島全てを中国に面倒見させるつもりだったと思う。日本は最悪の方向に向かうが、それは米国の知ったことではないと最後は言うだろう。

2)日本にとって、国家存亡の鍵となるのは、おそらくロシアである。中国と長い国境線をもち、最後まで中国と仲良くなれないロシアと日本は組むしか妙案はないだろう。最後に残された無策の結末は、中国の属国という立場である。それが最も可能性が高い日本の将来だろう。なぜなら、日本にはまともな政治がないからである。

そこまで考えれば、今ロシアからの北方領土返還が日露間の主要課題だなんて、言っておれない状況だろう。つまり、プーチンの一本勝ちのシナリオ以外に、日露平和条約はないように思う。(補足2)ひょっとして、国後で口を滑らせた人は、それを言いたかったのかもしれない。https://www.jiji.com/jc/v4?id=foresight_00243_201810300001&utm_source=yahoo&utm_medium=referral&utm_campaign=link_back_edit_vb

プーチンも中国とロシアは世界一長い国境線をもち、最後は緊張した関係に戻る可能性を恐れているだろう。そこで、経済力をつけてシベリアに経済力と人口を増やしたい。中国と組めば、それは可能かもしれないが、中国もそれで豊かになり、益々尊大な態度で隣国に圧力を加えることになるだろう。

プーチンは自分の地位保全のためにロシア国民の世論に気を配っている。しかし最近ロシア政府は、北方4島がロシア領だという法的根拠はないと、サンフランシスコ条約の持つ問題点に言及・公表している。それが、日本とロシアが硬い袋を開ける結び目であることを、日本に示した信号だっただろう。

外交は、長い寿命を持つ民族(国家)と民族の関係だが、それを動かすのは国家首脳と官僚という有限な能力と寿命を持った人間である。プーチンも宇宙人ではないので、有限の地位を気にしつつ外交しなければならない。もっと、その現実的側面に気をつけるべきだろうと思う。

また、外交は今後の利益を最優先し、感情を抑えて行うべきだろう。それは知恵と知識を高めることによってのみ可能となると思う。日露平和条約交渉を北方領土問題に等しく考える今の日本人の貧弱な知恵では、日本にはロシアと平和条約のない形で、中国に飲み込まれることになる可能性が高い。(補足3)

この件で詳しいのは、プーチンと非常に親しいかもしれない北野幸伯さんである。彼のメルマガで、2012年11月に、中国が、ロシア、韓国に「反日統一共同戦線戦略」を提案したことを何度も日本の読者に注意喚起している。

時間はない。安倍総理が”身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ”と、自分の名声を犠牲にする気があるのなら別だが、そうでなければ早々に引退して、次のリーダーにこの件は任すべきだろう。 (これは政治に関心があるものの、所詮素人のメモです。)

上記は差し当たり日米同盟が最も大事であることを否定したものではありません。念のため。(23日夜追加)

補足:

1)日本の場合、米国の走狗となって北朝鮮を米国側に軟着陸させるということだろう。トランプも日本が金を出すと言っている。そのような損な役回りを真面目に考えるのは、偏に拉致被害者をお返し願いたいからなのだろう。この件、5月28日のブログ記事を参照してほしい。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2019/05/blog-post_28.html

2)ロシアは56年宣言に基づいて、歯舞と色丹は日本に返還すべきである。しかし、それに拘っていては、日本の将来に大きなマイナスとなると気付けば、今最低2島返還の希望を優先するのは本末転倒である。

3)この一連のことを総合的に考えて、対北朝鮮、対ロシア、対中国、対米国、そして対韓国の外交全てを考えなければならない。日本人は、その中で対北朝鮮外交=拉致問題、対ロシア外交=北方領土問題、対韓国問題=徴用工&慰安婦問題と、それぞれ独立に考えている。とんでもない間違いである。拉致問題など小さい問題である。拉致問題に拉致されては、日本人一億3千万人の将来はない。(拉致問題は日本の国内問題であるとの指摘はすでに何度もしている。)

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