2019年8月20日火曜日

米国の対中国覇権戦争と金正恩帝国に対する期待

1)対中国貿易戦争:

米国の対中国の貿易戦争は、覇権戦争であるとの理解が定説である。その大きな鍵を握るのが、香港の騒動だろう。香港の若者は恐らく米国など自由主義経済圏の支援を受けているだろう。長引けば、彼らとて食っていけないのでつづかない。中国の習近平政権にとっても、香港問題が正念場となりつつあると思う。

政敵が多い習近平だが、香港問題は他のお偉方や長老にとっても大問題であり、この件での強硬姿勢は支持されるだろう。習近平は、考え方によっては、中国共産党の長老や現在の非主流派などほぼ全員と、米国の間に挟まれていると見ることもできるのかもしれない。

中国と米国の経済戦争の出発点には、米国などから見て、中国の経済における不正な構造と運営にある。それらとしては、著作権や工業所有権の無視などもあるが、恐らく最大のものは中国の戸籍制度のような内部の身分制度だろう。極論すれば、特許もノウハウもタダで手に入れて、国内に低賃金労働者を大量に抱えて安く品物を製造し、それを世界に売りまくっている。

その上、儲けた金で世界中に軍事基地を設置して軍事力を強化し、世界の政治と経済を支配しようとしている。さし当り、一帯一路の方向でそれを実践しつつある。AIIBは中国元を世界の基軸通貨として散蒔く為の機関である。中国の田舎戸籍の若者は、現在はネズミ族(補足1)と呼ばれる奴隷的状態であっても、時間がたてば解決すると聞かされて居るだろう。

世界支配の中で、低賃金労働者は山ほど出来る筈だ。一帯一路とは、その経路で味方となって参加する者は、低賃金労働者として中国支配圏に入門する制度だろう。そこから平民レベルに這い上がるには、中国支配の方向を地方を拡大し、新たな低賃金労働者を作れば良い。ネズミ族は、2015年頃には大きな報道のテーマだったが、2019年の現在、それについての報道はあまり聞かなくなった。

因みに、日本はこの経済戦争の本質に気づいて居るのか明確ではない。トヨタは大規模投資を中国で計画している。安倍政権は、親中政策を表に出してきた。米国嫌いのようだ。祖父の岸信介元総理から米国の話を聞いた筈だが、多分岸元総理は孫の知的レベルに合わせて話さなかったのだろう。トヨタ社長同様、現状ではわけがわからない。(補足2)

勿論、次に述べる北朝鮮に対する米国の企みが本当なら、中国と日本の利益は一致する。それを考えているのかもしれない。

2)米国支配層は理想論を武器に世界を牛耳ってきた

中国を巨大に育てたのは、米国資本家とその配下の国々の経済支援だろう。日本のODAなども大きな効果があった筈。山崎豊子の「大地の子」(補足3)は、その初期段階の対中国技術支援が背景だった。

世界の経済を支配しようと考えるほどに巨大化した中国だが、その稼いだ富は、米国などに移住した共産党幹部の親族に送られて居る。(補足4)また、中国を大きな市場にして、個人的に金儲けした人たちは、米国などの恐らく国籍を意識しない人たちだろう。

つまり、世界に二つの国籍を意識しない人たちがいる。一つは中国系華僑である。もう一つは世界の金融を支配する人たちである。両者はともにグローバリストである。後者が、世界の平和と繁栄を目指すのは、単に理想論を翳して行う表向きの姿勢であり、本質は単なる利己主義である。

彼らは以下のように考えている。中国が巨大化して世界支配するようになって、自由に振る舞える人が少なくなったとしても、中国人の支配層と仲良くなれば支障はない。ネットなどで勉強をして政治に詳しくなった素人たちは、厄介であり殺す方が楽だろう。(補足5)

彼らは、本音と建前である理想論との乖離(補足6)が最も大きい人たちである。その理想論とは、自由と民主主義政治を世界に広める。貧しい者たち、マイノリティーの自由と権利の保障を前面に押し出して、前近代的な独裁国家を追い詰める。その思想は、世界に貧しい人たちがいる限り、錆びることはない。実際に、中米の暴力と貧困に苦しむ人たちが米国に向かうのを助けようとした。

歴史の発展段階によっては、独裁がふさわしい政体である国も存在するなどとは考えない。自分たちの入り込む余地がなくなるからである。そのように考えて、リビア、エジプト、イランなどアラブ圏の独裁国を壊してきた。個人の利益を最優先する本心を保ちながら、それをこの種の建前の理想論で塗り固めた鎧を着て、国際社会を支配する。カラー革命などでも、強引に自分たちの民主主義を押し付けた。相当の知性と力がなければ、立ち向かったもその鎧に跳ね除けられるのがオチである。

トランプはこれまでの大統領と違ってどういうわけか民族主義者(パトリオット)である。そして、米国の覇権と米国を建国し支配した最初の白人たち(多くはワスプ; White Anglo-Saxon Protestant)の利益を優先する大統領である。デトロイトなど錆びた地方で困窮するワスプらを緊急課題として優先支援するだろうが、民主党支持者の非白人の国民も、トランプは次の段階で大事にするだろう。Americans First, The rest the lastなのだろうから。

3)北朝鮮に朝鮮半島を統一させ、中国モデルで運営させる夢を持つ人たち:

トランプはワスプ第一主義だとか、世界経済を破壊するとかいう理由で反感を持っている米国人は多い。しかし、中国支配層と仲良くなれる昔の大統領一家などは別にして、それ以外の大多数はトランプの路線を支持した方が最終的に得だろう。しかし、少数の大金持ちと彼らとタイアップした知識層に騙されているからなのか、そうは思っていない人も多いようだ。(補足7)

つまり、中国のモデルでもう一儲けできる国を作ろうと考えている人たちがいる。その中国モデル適用国とは、上記共産党独裁の統一朝鮮である。その意思が通じたのか、最近の将軍様は威勢が良い。文在寅なんか、短距離ミサイルでぶっ飛ばせば良いとかんがえているようだ。https://kaikai.ch/board/79457/

北朝鮮には豊富な地下資源と安い優秀な労働力がたくさんある。毛沢東一派よりも扱いやすいキム一家が牛耳っているので、ターゲットとして申し分ないのだろう。https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56870 https://www.nknews.org/2019/03/why-jim-rogers-wants-to-invest-in-north-korea-nknews-podcast-ep-62/

https://kaikai.ch/board/79457/ 韓国が北朝鮮を統一したのでは、サムソン、LG、現代などの現在の財閥が大儲けするだけである。当然、北朝鮮の首領様に統一してもらわないといけないのだ。そうすれば、日韓基本条約は実質的に無意味になる。日本は、再び日朝基本条約を締結しなくてはならなくなる。(補足8)

そして、日本に北朝鮮のインフラ整備などに二兆円レベルの金を出させることが可能となる。日本政府は、国民に拉致被害者の奪回という理由を与えれば良いだろう。金正恩はその日のために大事に温存している筈である。更に、慰安婦問題や徴用工問題も、大きく宣伝してあるので、そのあとの打出の小槌に使えるだろう。

この北朝鮮で一儲けしようという考えを持つ者は、ジム・ロジャーズ一人ではない筈である。なぜなら、極簡単な中国のコピーを考えるだけのモデルだからだ。優秀な低賃金労働者がたくさんいるし、地下資源も豊富にある。北朝鮮に投資して、利益をあげようと考えるのは、そんなに独創的ではない。

中国で大儲けができた人たちが考えない筈はない。そうなれば、日本潰しも一緒に可能であり、鬱陶しい国が一つ消えるだろう。そのために必要なら、当然核兵器は隠しもっても良いだろう。隠す? それは簡単だ。米国が探さなければ、平壌に置いても隠せるのだ。

そんな声が聞こえてきそうな気がする。彼らは国家を背負う訳ではないので、結構口が軽いのだ。

(21日6:00編集あり。以上は国際政治には素人のメモです。米国支配層の考え、ジム・ロジャーズら投資家の考え、トランプ大統領の考えを勝手に推測しています。従って、適当に読み飛ばしてください)

補足:

1)ネズミ族については例えば:https://www.cnn.co.jp/world/35061229.html

2)北野幸伯さんの意見を引用します。メルマガにあったのですが、さし当りみつからないので、以下を孫引きですが引用します。https://kaikai.ch/board/79457/

3)https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2016/01/blog-post_5.html

4)彼らが米国で手にしたのは米ドルの筈である。中国企業の株などが換金され、最終的に米ドルの形で米国在住中国人や永住資格のある中国人が持つ。その送金にはビットコインなどの仮想通貨が使われて居るのだろう。上記のような形での米ドル増加は、元安米ドル高になりドル不足からFRBは多額のドルを発行することになる。もし、その資金逃避がなくなれば、ドル安になる。トランプの利下げ要求は、ドル安容認策であるが、それは世界の通貨安競争に拍車をかけるだろう。

2019年の2月8日に37万円くらいだったビットコインは二度目もピークである140万円を6月の27日につけた。2017年12月に157万円をつけたのが一度目のピークであった。その時から14ヶ月で4分の1になり、再度140万円になったのだ。これが最後なのかどうかわからない。再度資金逃避が大規模におこれば、ビットコインは値上がりするだろう。

5)政治に詳しくなった素人は、殺す方が早いとブレジンスキー(2017年5月死去)は言った。引用のサイトは、二人の戦略家について書いています。日本にとっては最悪な人たちですが、トランプ政権では力を失っていると思う。しかし、同じ考えの人が民主党の背後に大勢いるだろう。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2017/12/blog-post.html

6)この本音と建前の乖離を知る事は、人間社会を考える上で、つまり政治を考える上で必須である。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2019/07/dna.html

7)この地球上に生き残るのは誰か? そんなレベルでの損得である。一部の人たちは世界が大混乱の時代を迎えるのが、預言書の通りであると考えている。そして彼らは、個人の利益を最優先しながら、それを福祉に役立てるという自分でも気づかない理想論の建前の鎧を着ている。ニーチェが考えたように、宗教書に書かれている世界感は間違っている。それは何時か人間社会を破壊するだろう。https://www.blogger.com/blogger.g?blogID=5815810827144513211#editor/target=post;postID=348163859666550571;onPublishedMenu=allposts;onClosedMenu=allposts;postNum=12;src=link

8)日韓基本条約には、韓国は朝鮮半島唯一の日本が承認する国家であると書かれている。その前提で、韓国への経済協力金(国家予算の2倍近く)が支払われ、その後の円借款もなされた。その結果、漢江の奇跡と言われる経済発展に結びついた。
韓国が潰れれば、統一朝鮮とはゼロからの講和条約交渉が始まる。それは多額の経済協力金と円借款を要するだろう。それで潤うのは、北朝鮮で利益を得る日本嫌いの米国資本家たちである。その米国は、中国共産党のWatch towerとして、金正恩の北朝鮮を使うつもりだろう。

中国が民主化すれば、ウイグル、内モンゴル、チベットは独立し、もっと小柄の資本主義中国ができるだろう。ひょっとして、米国にとって最も仲の良い満州国が、独立国としてできるかもしれない。米国の大資本家たちはハリマンの考えを継いで、大友好国を作り上げる可能性もある。敵意としてのこるのは最後の対戦国で、米国が原爆投下という大罪を犯してしまった国、日本だけである。それが統一朝鮮や中国の影で、ひっそりとした弱小国になれば申し分ない。 何れにしても、日本には将来はない。それとも、最後にロシアの手を取ろうとするだろうが、所詮第二次大戦の再演になるだけだろう。どうする? 日本は、まともな外交のできる能力本位の国になるしかない。そのためには、一票の格差全廃と国政選挙の道州制選挙区の導入だろう。外国人の流入拡大もその一つのセラピーかもしれない。右翼たちの安易な復古主義は、日本滅亡に協力するだけだろう。

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