2019年8月21日水曜日

企業や国家が衰退する理由:機能組織を採用できない日本社会

今日のMAG2NEWSの記事として、中島聡と言う米国で起業されている方の記事「日本企業が潰れていく理由が自分自身にあると気づかない日本人」が掲載された。 https://www.mag2.com/p/news/410507?utm_medium=email&utm_source=mag_news_9999&utm_campaign=mag_news_0821

内容は、要するに現場から上層まで、それぞれの仕事に関する情報が、既存の殻を超えて伝達できないことに主な原因があるというもの。情報の伝達が上司と部下の間で、双方向に等しくされない日本の企業文化に原因がある。その結果、会社全体として、環境の変化に応じて学習し進化するメカニズムを持てないのである。

これを別の表現で言って見る。「愛国心:パトリオティズムとナショナリズム」で書いたように、社会の組織には機能組織と共同体組織がある。これは高校レベルの授業で習うことだろう。

会社は、外部社会に対して品物やサービスを提供するなどして、利益をあげる機能組織である。そこでは、円滑な人間関係は重要だが、血縁や地縁などの共同体的意識は邪魔になる。

それにも関わらず、日本の会社は共同体的組織を採用しているのが、衰退の根本的原因である。そして、終身雇用制を主な採用形態とし、それは労働力の流動制を著しく妨げている。上司と部下の関係は、(ヤクザの上下関係と似て)擬似的な血縁関係のように存在し、情報の双方向伝達という組織の進化には欠かせない機能を、最初から放棄することに繋がっている。

実は、日本全体が、組織とは共同体的組織であるという考えで縛られている。その結果、政界、官僚機構、会社などほとんど全ての組織は、共同体組織的人間関係で作られている。共同体組織の特徴は、構成員になることで全ては決まることである。即ち、日本の部分社会のほとんど全てが入り口社会である。

政界も同じであり、何期とか何代目とかいう言葉で、相対的地位が語られている。政党や派閥の組織は、当に、ヤクザの人間関係と同様である。それでどうして、適材適所の人事ができるだろうか? 能力本位の人事ができるだろうか?

そもそも、能力のある人が政治家の道を志すこと、政界での地位を守ることなども、日本では簡単ではない。政界入りの入り口に恵まれる人のみが、政界での椅子が与えられる。票田を相続することが、知識、能力、思想などよりも大事である。日本の衰退は当然である。

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