2019年8月22日木曜日

動物愛護と人の安全とを同じ秤の上に載せる愚かさ

1)北海道のヒグマ問題:

以下は、ヤフーニュースで読んだ北海道新聞の記事の要約である。

札幌市(南区)の住宅街に出没するヒグマが射殺されてから一週間になる。その措置に対して20日までに530件の意見がメイルやハガキで寄せられた。その中の半分以上は、その駆除に反対や抗議するものであった。北海道外からの意見は反対や抗議が大半で、道内は賛成が多いと言う。

ヒグマが住宅街に居座るようになった要因の一つに、家庭菜園の農作物が指摘されている。専門家は有効な対策として電気柵を推奨するが、昨年からクマの出没が増えていたにもかかわらず、備える世帯はわずかだった。

市は「追い払いは、職員だけではできない」と警察と連携し、車で森に追い返していたが、クマは餌を求めて何度も住宅街に戻ってきた。北大大学院獣医学研究院の坪田敏男教授(野生動物学)は「専門的な判断ができ、技術もある人を市が常時抱えておく必要がある」と話す。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190821-00010000-doshin-hok

50年前なら簡単に処理していた問題にこれほど悩む日本人の知性劣化に驚く。本当に情けない気持ちになるニュースである。

問題の場所の一つが、札幌市南区の東北角部分の住宅密集地に近い場所である。例えば8月19日に出没した場所(南区白川1814番地25付近)は、川を挟んでいるとはいえ、住宅密集地から数百メートルの地点である。 http://www.city.sapporo.jp/kurashi/animal/choju/kuma/syutsubotsu/index.html

電気柵を設けて果樹園を保護するとしても、今度は人間が電柵に引っかかれば重大な事故になりかねない。当然射殺して、クマが近づかないようにするのが最善の方法である。道外の動物愛護とか馬鹿な事を言う連中の意見など無視して、市民の安全確保するのが市役所の役割であり、警察に前面からの支援を依頼する必要など全くない。猟友会と市役所の連携で十分な筈だ。

2)山口県周南市の野良犬問題:

山口県周南市内で大量の野犬が、公園や通学路にいるという報告がネット上にあがった。https://www.j-cast.com/2019/07/02361538.html?p=all

動物愛護家の山路徹氏は次の様な考えをツイッターで訴えた。

【拡散希望】山口周南野犬問題
明日はゴゴスマ(平日午後のテレビ番組)。山口周南の野犬問題も扱う予定ですが、私としては最大の被害者は犬だと思っています。皆さんのご意見も反映させて頂きたいと思うのでコメント投稿をお願いします! https://twitter.com/yamajitoru/status/1146736303897075719

このツイッターへの書き込みも、野犬の保護を第一に考える意見が多い。餌やりが横行していて、罠で捉えられる犬の数は少ない様だ。この問題、長期に飼えなくなった犬をここに捨てるのが問題で、更に、それに餌をやる人が現れ問題を大きくしている。

山口県のケースでは、一斉捕獲を行い、必要とあれば麻酔銃などを用いてでも完全捕獲すべきである。もし狂犬病に感染している犬に噛まれ、発病すれば100%死に至ることを、もっと真剣に考えるべきである。日本では少ないが、近年外国から輸入される犬もあり、いつ復活するかわからない。

3)このような問題が今後起こらない様にするには、犬や猫などのペットの飼育を厳格な登録制にし、ペット税を徴収することである。もし、管理を怠って野良犬にした場合は、相応の罰金を元飼い主から取る。また、公共の場所でのペットへの餌やりを禁止し、違反者は罰金の対象にする。それらのお金は、ペット管理の資金として行政が用いる。

動物愛護というが、動物の前に人間を愛護すべきである。その当然の論理が一般市民に通じないこの国は、異常に思える。動物の命も大切にすることは、もちろん大事な人の道徳である。何故なら、それは人の命を大事にすることと、感覚的に平行しているからである。動物の命を大事に思わない人は、人の命も大事に思わないだろう。

しかし、同時に人の命を動物の命に優先させるのは、議論以前のことである。上記ゴゴスマはたまたま私も視聴した。自分が犬をいくら好きであっても、野良犬の自由を、社会の他のメンバーの安全や自由と同じ基準で考えるような言動は、慎むべきである。更に驚いたのは、野犬を「この子らは」と呼び、人間の方を非難する意見を公共の電波に乗せるY氏の態度である。

彼は知性ある人には、私には思えない。更に、その意見に対して、「幾ら何でも、野犬を「あの子ら」と呼び、迅速な対応を躊躇うべきだと言うような意見は、まともじゃないですよ」くらい言えない他のコメンテーターや司会者のぶざまな様子には、うんざりした。

市街地を我がもの顔で歩くヒグマや、公園を占拠する野犬の対策すら、まともにできない市役所は、国家の安全保障が独力で十分にできない日本政府の模型のように見える。戦後74年、ひ弱な国になったものである。

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