2019年12月22日日曜日

米国による韓国と日本への中距離核ミサイル配備計画?

1)再韓米軍の駐留経費負担額大幅増の話し合いは12月18日から米韓で行われたが、その結果について及川幸久氏の動画が紹介している。非常に重要な話なので紹介したい。本文では、一部本ブログ筆者の考えも加えている。及川氏のブログを視聴されれば、以下の文章を読む必要はないかもしれない。https://www.youtube.com/watch?v=oOUyCeBh5Oc

 

この米軍駐留経費の大幅増額要求は、実は米国の対中国防衛計画と絡んでいることが明らかになった。むしろ、米国の考えの中心にあったのは自国防衛計画であり、その交渉戦術として、駐留経費5倍増の要求が最初韓国に突きつけられたようだ。

 

今回の米韓の交渉は、合意には至らなかった。そして、来年1月に再度交渉されることになった。今回の会議後、米国の担当官により以下のような話がなされた。「当初の要求には拘らない。最終合意においては駐留経費の韓国負担額は、これまで言及していた額から変わるだろう。その代わりに、韓国が米国から武器を買うことが重要な交渉のポイントになってきた。」

 

韓国に対して、米軍駐留経費5倍増の代わりに、本来の要求を持ち出してきた様なのである。その解釈の為に及川氏が言及したのは、先月(11月)に韓国を訪問したエスパー国防長官の韓国に対する要求内容である。エスパー長官が要求したのは、日韓でのGSOMIA維持だけではなかった。米軍の韓国駐留経費の大幅増と、対中国の中距離ミサイルを韓国配備を承認することである。韓国はそれら米側の要求全てを拒否した。

 

エスパー長官の訪韓後直ぐに、中国の王毅外相が5年ぶりに韓国を訪問した。そして、中距離ミサイル配備の交渉が本格的に開始されていないにも拘らず、米国によるその配備を許さないと警告した。中国がこの件に非常に神経質になっていることを示しているが、それは逆に、米国が対韓国の交渉において中距離ミサイル配備を非常に重要だと考えていることを表している。

 

エスパー長官の訪問後に、駐留経費5倍増の話が米国によって持ち込まれた。そして、その交渉は短時間に、米側担当官は怒って椅子を蹴る形で終了している。このパーフォーマンスは、今回の12月18日からの米韓交渉の布石だったのである。

 

 

2)中距離ミサイルの日本配備計画について:

 

及川氏の解説によれば、この米国による中距離ミサイルの東アジア領域への配備計画は、日本も対象にするとして、既に今年10月末ロシアに通告されているという。日本での候補地は北海道と沖縄である。日本では殆ど報道されていないが、沖縄では報道されたようである。(補足1)

 

今年8月に米露間の中距離核ミサイル制限条約が失効したことを受けて、米国は戦略構想を新しくしたのだろう。その一環としての、中距離ミサイルの東アジアへの新規配備だと考えられる。オーストラリアにも配備されるようである。それらは、中国を念頭においているし、中国は上記のように相当神経質になっている。(補足2)

 

及川氏は、この中距離ミサイルの配備を、ここ2,3年に尖閣などで予想される限定的な軍事衝突に備えた計画だろうと推理している。そして、トランプは、それらは日本や韓国を防衛するために配備するのだから、日本や韓国がその費用を負担するのは当然であるというだろうとしている。

 

この話は非常に重要である。これまで日本の核抑止力に関して、米国の核の傘という表現が用いられて来た。そして、それは純粋に日本の防衛のためというのなら、破れ傘だろうと考えてきた。しかし、今回の米国の対韓国の要求として予想される中距離ミサイルの配備は、米国の核抑止のドームの端を韓国に置くという話のように聞こえる。

 

つまり、米国の「日本や韓国の防衛の為におくミサイルだから、日本や韓国が経費を出すのは当然だ」という及川氏が予想するトランプの言葉とは裏腹に、それらは第一に米国の防衛の為だと考えられる。そして、韓国及び日本における米軍の存在は、今後、両国の防衛だけでなく米国本土の防衛のためという意味を一層明白にもつことになる。

 

その理由だが、中国の軍事力増強が進み、西太平洋においては、米国よりも中国の方が有利な情況にあることが考えられる。これは、チャネル桜の「日本核武装論」という番組での矢野元陸将補の発言である。(https://www.youtube.com/watch?v=l3WVHGBNC68 13分あたりから)そのアンバランスにより、中国による南シナ海での国際法を無視した基地建設が可能になったと、矢野氏は語っている。

 

更に、矢野氏は同番組で、中露のミサイルの質量ともに近年格段に上がっていることに言及している。元々、多弾頭の大陸間弾道弾は、多弾頭が攻撃目標に鉛直上方から落下するので、迎撃は困難である。そして、最近開発された極超音速ミサイルが米国本土に発射された場合には、迎撃は不可能である。従って、中国に対して抑止力を十分に維持するには、その近くに相応の抑止戦力を配備する必要があるという。https://www.fnn.jp/posts/00406810HDK (補足3)

 

そのため、米国は今後同盟国である韓国、日本、オーストラリアなどに広く中距離ミサイルを配備する計画のようであり、それにより西太平洋において中国との軍事バランスを釣り合いの取れた形にすることを、米国は第一の目標と考えているのだろう。

 

トランプ大統領は、今後米軍駐留費として、80億ドル要求する話がくるだろう。その後の話の展開で、上記中距離ミサイルの北海道と沖縄への配備の話が出てくるだろう。もし、安倍総理の訳のわからない親中姿勢が、韓国の文在寅大統領と同じ方向の姿勢なら、日本は将来既に述べたようにウイグルのようになる。つまり、最大のピンチと自主独立の最大のチャンスが同時に訪れる様に見える。もしその件で解散総選挙になるようなら、日本国民は亡国の選択をする可能性がたかい。

 

 

補足:

 

1)このような話し合いは、おそらく日本政府との間でなされていただろう。そして、その内容が沖縄で新聞報道されたのだから、国会議員は当然知っていなければならない。それにも拘らず、日本の国家では質問にも登らなかったようである。何故なら、桜を見る会で忙しかったからである。何という異常な国だろうか。

 

2)韓国と中国の間がギクシャクしだしたのは、高高度迎撃ミサイルシステムTHAAD   の韓国への配備だった。米国の中距離ミサイルを配備すれば、中国は当時以上の反応を示すので、韓国は拒否するだろう。その後、米軍は韓国を撤退することになると思う。その布石として、11月18日韓国の国防長官は、中韓両国の国防長官の間で軍事ホットラインの数を増加するなどの協定に合意したと発表している。

 

3)素人の予想だが、国境付近への配備が可能になれば、ICBMなどでも発射直後の破壊なら可能ではにだろうか。更に、相手国の軍事情報収集や、敵基地攻撃を効率よく行うことが出来るのではないだろうか。

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