2020年2月3日月曜日

国の崩壊は歴史の嘘から始まる

1)池上彰スペシャルに出演の李英薫元ソウル大教授

 

昨夜(2月2日、午後8時)の「池上彰スペシャル:日曜THEリアル」という番組は、冷静に日韓関係をみてみましょう」“歴史のウソ”指摘の韓国人編集者を直撃というサブタイトルで放送され、その一部を見た。番組では、「反日種族主義」という本の著者で編者でもある、元ソウル大学教授で現在李承晩学堂校長の李英薫氏にインタビューを行っていた。

 

その本は、李教授ら元研究者達が韓国が、まともな国に脱皮するために命の危険を感じながら書いた。李教授は、その延長上の活動として、youtube動画「李承晩TV」で、韓国近代史について放送している。その紹介を昨年10月4日の記事に書いた。日本語字幕を付けてアップロードしたのは、チャンネル桜である。

第一回:https://www.youtube.com/watch?v=WCxIQCBdj34

第二回:https://www.youtube.com/watch?v=wkDmu22L-NU

 

民族の歴史は、事実の集積ではなく、民族にとって大事な事実を、つなぎ合わせた物語である。(補足1)その中に、多くの辻褄合わせ的な嘘を含むことが多い。しかし、嘘が主題になっては、その民族自身の将来を危うくするのである。李教授達の視点は、日本人の知識人たちにも要求される視点である。最近の二つのブログ記事にも書いたように、日本人も嘘で歴史を塗り替えてきたことに変わりはないからである。

 

国家崩壊の危機が、日本の場合は静かに、韓国の場合は急激に進行していると思う。韓国は反日を基礎にして国家を作ってしまったこと、一方の日本は、基礎のない“国家とは呼べないレベルの国家”を作ってしまったことが、それぞれの原因である。

 

李元ソウル大教授達は、事実から目を背けた歴史教育は、その国を滅ぼすという危機意識により「反日種族主義」なる本を、韓国人の為に書いたのである。昨日放送の番組では、その李教授に対して知的でない対応をしていた。日本の戦争責任についての発言を期待して、インタビュアーがマイクを向けたのである。そのとき、李元教授は毅然と「日本の戦争責任については、日本人が考えるべきである」と返答した。

 

2)嘘は国を滅ぼす

 

嘘の歴史は国を滅ぼす。つまり、嘘が国家の基礎となっていては、世界の歴史が大きな地殻変動的時代を迎えた時、その国は滅びる可能性が大きい。国が滅びるということは、民は国家の保護を受けられず、命の危険にさらされるということである。それは、先の戦争末期の満州や樺太南部、朝鮮北部などでの日本人入植者の辛苦でも証明されている。(補足2)

 

日本は1945年に完全に滅んだ。それは、明治の時代の歴史を嘘で塗り込めたからである。(補足3)ただ、民は戦後命の危険にさらされなかった。それは、米国という先進国に支配されたこと、更に、「国が滅んだ後の民の命の危険」を、既に米国に”前払い”していたからである。大都市空襲と二発の原爆投下である。

 

民の犠牲としては十分だと見た米国は、残りの民には融和政策を、国家機構は換骨奪胎を行い属国化した。そして、1952年のサンフランシスコ講和条約後、日本は独立を許された。しかし、日本は独自に属国から普通の国になれなかった。

 

このことは、明治の国造りが独自のものでなかったことを証明している。いわゆる明治維新が、司馬遼太郎の「坂の上の雲」にかかれたような、独自の国造りであったのなら、そのプロセスを記憶した日本民族の遺伝子が、普通の国造りの為に直ぐに働いた筈である。

 

日本国民に危機が迫っていることは、右派も左派も理解している。しかし、左派は右派の攻撃に終始し、右派は「先の戦争はルーズベルトが戦争したかったからである」というところで歴史を遡ることを止め、鬼の首をとったかのように自慢している。愚かである。(誰が対米戦争を始めさせたのか?:https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2017/08/blog-post_14.html

 

日本に嘘の歴史を植え付けたのは言うまでもなく、薩長の倒幕勢力である。その末裔が、いま尚政権の中枢にある。韓国には、歴史捏造を自省する李教授たちが現れた。しかし、日本には同程度にインパクトのある知識人はあらわれていない。

 

補足:

 

1)岡田英弘著「歴史とは何か」(文春新書)参照。故岡田英弘先生の歴史観は、奥さんの宮脇淳子氏により受け継がれている。偉大な岡田博士は、宮脇淳子の夫ということで知られていたというから、日本という国は救いがたい。https://togetter.com/li/1115877

 

2)ウズベキスタンにあるナヴォイ劇場が、日本人捕虜により作られたという放送を最近のテレビ(2月1日そこまで言って委員会)で見た。そこでは、日本人の名誉にかけて、立派に仕上げるのだという捕虜の中心人物の言葉や、地震で周囲の建造物が殆ど瓦礫になったときにも全く破壊されなかったことなどから、「流石に日本人の技術は素晴らしい」と賛美する方向で番組が進行していた。ネット記事でもその類の記事が多い。(例:http://everfree01.com/archives/2097https://www.youtube.com/watch?v=g9IuY4h0kdQ

しかし、日本人捕虜が参加したときには建物本体はほとんど出来ていて、主な仕事は大理石による床貼り、外壁工事、電気工事など「仕上げ」であり、基礎や本体工事を行ったわけでな無いとウィキペディアにかかれている。民族の辛苦を学ぶべき事例も、日本人賛美の材料になっている。最近のテレビ番組には、日本に技術を学びに来る外国人などを題材にしたものが多い。それらは、行き詰まった国に棲む民の見る幻影なのだろう。記憶の塗替えは、韓国の元慰安婦の人たちだけでなく、日本人の問題でもある。

 

3)これについては、2015年の記事に書いた。
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466514404.html

明治の倒幕劇の背後に英国があることについても若干触れた。
https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2019/08/blog-post.html

 

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