2020年3月11日水曜日

新型コロナ肺炎:パニックになるべきではない

 

新型コロナ肺炎COVID-19で世界中がパニックになっている。人々がパニックになれば、それは政治や経済での利用を考える人たちも多くなる。新型肺炎が収束の方向に進むのには恐らく1ヶ月程度の時間が必要だろうが、結局治まるだろう。ここでは、気温上昇に期待出来る理由と、湿度維持と換気の重要性について少し書く。

 

1)初夏になれば治まる可能性が高いと思う:

 

温度の効果については、John Hopkins 大のデータを見ればわかるように、東南アジアで大きく流行していないことで分かる。一つの指標として、回復者の感染者に対する比率がある。勿論、感染が始まった日時に依存するのだが、それが同じ程度である数カ国を比較すると上記温度影響が理解できる。

上の図で、日本、韓国、台湾、タイ、マレーシア、シンガポールなどは、中国との関係や距離などから、流行の始まりが殆ど同じだとして良いだろう。日本や韓国は比較的寒冷であり、その回復率は15%程度とそれほど高くない。しかし、それ以外の台湾や東南アジア諸国では、発症率が低く、しかも回復率が相当高い。 医療技術などの差も比較的小さいと思われるので、これらの差は有意と考えられる。つまり、春から初夏になり、高温になれば病院に居る人の数よりも回復した人の数が、日本でも多くなると思う。

 

同様の差は、同時期に発病者数が大きく増加したイランとイタリアを比較した場合にも見られる。イランでは回復率は33%以上である一方、特に北部で感染が広がっているイタリアでは8%にも満たない。(ここで、中国河北省と香港の治癒率が高いが、発生時期にかなりの差があることと、データに政治的歪みがあり得ると考え、比較の対象にしなかった。)

 

2)換気の重要性

 

新型コロナ肺炎COVID-19が閉鎖空間での感染率が高く予後が悪いことは、武漢やダイヤモンド・プリンセス号での経緯から明らかである。温度が低いところで、感染率が高いのは、暖房により湿度が低くなることと、どうしても換気の頻度が低くなることが原因だろう。

 

ウイルスは自分で動く事が出来ないので、粘液で覆われた箇所では、なかなか細胞内に入り込めないだろう。しかし、乾燥した喉などでは、簡単に細胞に近づくことが出来、その特有のACE2受容体という蛋白を標的にして、そこから細胞内に入る。(補足1)

 

最初、鼻や喉でウイルスが増殖する段階では症状が軽いが、肺に至ると症状が急に重くなるようである。つまり、喉などで増殖したウイルスが、咳などで吐き出された後の深い呼吸により肺に吸い込まれることで、病気が重くなるのだろう。咳の働きは外に異物を出すことであるから、多くの場合、ウイルスも外気中に唾液や痰などの微粒子とともに排出されるだろう。

 

換気がない空間では、それが長期間空気中に漂う間に、呼吸で肺に吸い込まれる危険性が高い。乾燥した空気中では、上記ウイルスを含んだ微粒子から水分の多くが蒸発し、軽くなって空中に浮遊する時間が長くなる。乾燥は、上気道の乾燥と、ウイルスを含んだ微粒子の空中滞在時間を長くする効果、の二つで感染と伝染の確率を高めるだろう。(補足2)

 

以上から、感染や伝染防止には、部屋の湿度を維持することで、喉や鼻の乾燥を防ぐことが大事だろう。そして、暖房代金が多少かかっても、換気を頻繁にすること。更に、呼吸を激しくするようなことは、人が多い場所でしないこと、などが大事だろう。スポーツクラブや何かと熱狂する場所は、禁忌とすべきだと思う。

 

(補足2追加:3月11日午前6時)

 

補足:

 

1)このACE-2受容体へのアクセスを妨害するという方法で、病気の治療をする方法が議論されているようだ。https://note.com/sato_agg/n/nf53d50a9a960 (日本語)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32142651 (英語)

 

2)この空中を漂う微粒子(サブミクロンサイズ)の効果は、殆どこれまで考えられていなかった。しかし、接触感染だけでは説明できないので、中国で最初この効果がエアロゾル感染という言葉で提案された。

 

 

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