2020年3月27日金曜日

新型コロナ肺炎:死亡率の定義とデータ捏造

1)死亡率の定義について:

 

先ず、本ブログで既に定義した死亡率は、以下の式で表される。

死亡率(1)= 死亡者数/(死亡者数+回復者数      (EQ1)

死亡率(2)=死亡者数/発病者数                         (EQ2)

 

これら2つは発病を前提としているが、このほかに、今回新たに死亡率(3)を定義する。

死亡率(3)= 死亡者数/感染者数                          (EQ3)

この場合は、感染者の中には発病しない人も含まれる。

 

ここではデータとして、John Hopkins 大の特設ページの数値を用いる。ここでは、(Confirmed, Deaths, Recovered. Active)の数値がセットであたえられている。今回の様な場合、通常、体の調子が悪いので検査を受けるだろう。その結果、感染が確認された場合をConfirmedと呼んでいる。しかし、クルーズ船での場合のように、一群の人に感染が疑われる場合、体調とは関係なく検査する場合もある。その場合でも、感染が確認された場合、上記Confirmedの中に数えられるだろう。

 

つまり、John Hopkins 大のデータも、性格の違う数字が混ざっているので、注意が必要である。例えば、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは23日、中国政府が新型コロナウイルス検査で陽性反応の出た感染者4万3000人以上(2月末時点)を、発熱やせきなど肺炎でみられる症状を示さなかったことを理由に統計から除外していたと報じた。中国政府の内部資料から判明したという。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20200323-OYT1T50195/

 

更に話が複雑になるのだが、これらの定義は「疫学」という専門分野で定義されている死亡率とも異なる。疫学では一定期間を考え、その間に死亡する人の割合を計算する。分母には観測対象とする総人数が入る。以下の疫学用語の解説が正しいのなら、疫学での死亡率は、時間あたりの死亡比であり、単位は%ではない。

https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=58299?site=nli

(補足1)

 

 

2)新型コロナ肺炎でのデータ捏造:

 

新型コロナ肺炎の疫学データ捏造には二種類ある。虚偽のデータを作り上げての捏造と対象者全員を検査しないタイプの捏造である。前者は、私が推定する中国の捏造であり、後者は日本の捏造である。どちらも同程度に悪質である。

 

日本の捏造はこれまで詳細に書いてきた。クラスターという言葉を用いて、感染者クラスターを13程決めて、それと何らかの関係のある対象者を重点的に検査することで、検査をなるべくしない方法で、日本はCOVID-19肺炎に侵されていない安全な国だという印象を作り上げてきた。これが①オリンピック開催中止を防止するためと、②習近平の中国に対して“武漢肺炎”で迷惑を被っているという印象を与えないためであった。

 

②の動機から、上記のデータ捏造を行っているのが、フィリピンやエジプト、それにWHOのヘッドを輩出しているエチオピアなどだろう。発展途上国の大抵は、PCR検査の能力においても劣っているだろう。

 

中国の三箇所の怪しげなデータを示す。今日早朝のJohn Hopkins大の特設ページ記載のデータから、北京、広東、重慶の其々死亡率を計算してみた。

これらの低い死亡率は、武漢での高い死亡率が4.9% 及び4.7%が医療崩壊によるものであることを強調するために作られたものだろう。尚、上記無症状の感染者4万3000人をJohn Hopkins 大のconfirmedの人数に加算すれば、上記死亡率は更に2/3に減少する。中国の主張は、死亡率(3)を採用すれば、この病気の死亡率はもっと低いという主張か、あるいは、中国でも本当は12万人以上感染していたのだという主張のどちらかである。

 

中国以外で最も国際的に評判の高い形でCovid-19対策を行ったのが、韓国だろう。韓国の死亡率(1)及び死亡率(2)は其々、3.06% と1.42%であり、感染が終息したとき、これら2つの定義による死亡率は近づいて2%程度の値になるだろう。その数値より遥かに小さい上記中国の湖北省以外での死亡率は、信じられない数値である。

 

追補: 更に、Covid-19肺炎の脅威を過少に誤魔化す理屈に、死亡したのは持病が悪化したためであり、健康体であったなら死亡しなかった筈だという考え方がある。この考え方を延長すると、老齢の人間は、既に死にかかっていたのだから、その死亡の原因としてCovid-19肺炎が負うべき割合は100%ではないという理屈もありうる。それは一つの指数(指標)で現象を把握するという行為そのものを否定していることになる。

 

(一部編集と追補は、午前10:40)

 

補足:

1)これまでテレビ等を見ていて、死亡率の定義について聞いたことがない。恐らく、Covid-19肺炎を扱ったブログでも、明確に定義とともに用いた例はほとんどないだろう。テレビで解説する政府寄りの医学関係者は、人々を安心させる数字を言うために、そして真実が明らかになったときの護身のために、死亡率(3)つまり分母に発病しない感染者も入れている人がいるかもしれない。

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