2020年3月27日金曜日

新型コロナ肺炎に苦しむ米国経済とトランプ大統領

1)トランプのイースターに経済再開するという宣言:

 

米国では、新型コロナ肺炎の感染者数が急増し、特に酷いニューヨーク州やカリフォルニア州などでは都市封鎖を行っているようである。パリやローマも、このCOVID-19(肺炎)の脅威に殆ど死の街の様相である。それは、ウイルスの蔓延を防ぐには大きな効果があるかもしれないが、経済活動も殆ど完全に止まる。

 

その経済活動低下分は、差し当たり大型の財政出動で補うことは出来る。しかし、国家の体力が減退していくので、都市封鎖に効果が十分なければ、その後の感染拡大を承知の上で、封鎖を解く必要がある。(補足1)

 

3月24日のFOX ニュースで、4月のイースターの時に経済再開を行うとトランプ大統領が宣言したという。この呼びかけは、命令の形をとるのか、単なる呼びかけなのかはわからない。

 

トランプ大統領は、「COVID-19(肺炎)で助かっても、不況の中で大量の自殺者が出るようになっては、何のための都市封鎖なのかわからない。」という趣旨の言葉で国民や各州の知事を説得したという。https://www.youtube.com/watch?v=n9VJeg7N98k 

 

強力な対策を必要とする恐ろしい伝染病の対策と、それにより破綻しそうな経済の立て直しは、独立した問題への対策ではない。一つで満足ある結果を出せば、必ずもう一つが破滅的な結果になる、2つの問題は従属した問題(複数)である。従って、両方において不満足だが、その不満足の合計を最小にしなければならない。

 

トランプが4月12日に経済活動を再開すると宣言したのは、そのような難しいバランス点について、リーダーとして明確に答えを出したと見える。その明確さと、責任を引き受ける姿勢は、日本のリーダーには欠けている。

 

2)ミサイルの飛び交わない戦争:ウイルスとの戦争と国家間の戦争

 

この問題は、既に10日ほど前に一度ブログ記事とした。そこでは世界経済を念頭において書いたので、問題提起の部分は書き換えなければならない。勿論、議論は殆ど同じだが、結論は多少違うだろう。つまり、国際協力の部分が今回の米国の議論では欠けている可能性がある。そこでの問題提起は、次のような文章である。

 

人の移動が禁止されれば、人は消費しない。その消費物資は、従って、生産されない。生産されないのなら、工場は休業であり、小売店もほぼ閉店状態。石油も消費されないから、原油価格は下落する。中国で始まった経済縮小により、産油国の経済はガタガタになるだろう。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12582949871.html

 

ここで、国内経済だけに話しを限れば、もっとシンプルになる。つまり、日常生活の必需品以外の小売店の閉店と、それ以外の生産に携わる工場閉鎖により、更に、旅行業やホテル業、外食産業から各種サービス業などで客が無くなることにより、これら全ての業種が致命的な影響を受ける。

 

イースターまでの経済停滞とそのあと尾を引く後遺症でも、政府ができる手当としてGDPの10%くらいの財政出動が必要だろう。それが2兆ドルの財政増加である。その後、更に経済をストップすれば、例えば1ヶ月毎に2兆ドルが必要だろう。(これは単に筆者の直感により言っているのであり、定量性はありません。)

 

このようなCOVID-19に対する戦争を中心にして戦えば、それは確実に国家破綻への道となる。米国のドルの信用は失われ、元がその代わりの地位を獲得すべく名乗りをあげるだろう。(補足2)

 

中国は、既に経済再開を多くの省で再開しており、一党独裁の強みで多少の人命の犠牲など問題視しないで済む。(補足3)そのようになれば、多くの国は、今回のウイルスは米軍が中国に持ち込んだというプロパガンダに同意し、競ってその宣伝を請け負うだろう。その歴史的敗戦と、覇権の移動という結果になるだろう。

 

トランプの上記政策は正しいと思う。これは戦争である。国民全員が無傷と言うわけにはいかない。日本も米国の同盟国として、この戦争を共に戦うだろう。

 

3)米国の基軸通貨発行国としての地位

 

米国民一般は、自国が基軸通貨の発行国であることを十分自覚すべきだろう。世界で流通する米ドルは、米国の債務としてばら撒かれている。つまり、米国は世界一の借金国である。それでも尚、米ドルは世界一強い通貨である。それが基軸通貨としての地位である。

 

Covid-19との戦い方を間違えば、経済が破綻し、米国債の信用はなくなる。米ドルは、基本的に米国債の切り売りである。その結果、米ドルの信用失墜と世界の基軸通貨としての地位は失われる。

https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20190106-00110053/

 

その米ドルの強さの恩恵を、米国及び米国民は受けている。勿論、世界一の創造性のある産業、世界一の軍事力、世界一の科学力は、世界を睥睨するに十分だろう。しかし、それを可能にしているのは、米ドルの地位であると私は思う。

 

上の図は、世界の対外純資産のランキングである。この傾向は、毎年の経常収支の傾向と殆どかわらない。2019年の経常収支の世界トップはドイツで、2位は日本である。最下位は米国のマイナス490B$(B$は10億ドル)である。

 

基軸通貨の地位を失うことは、この経常赤字が許されないことと等価である。そうなれば、世界の覇権は当然、一党独裁の国に移動するだろう。はっきり言う。それは世界の民主主義国にとっての悪夢である。

 

そのような情況になれば、中国共産党政権は、全世界の中国人に国防動員法を適用し、世界の主な国で傀儡政権樹立のためのクーデターを起こす可能性があると思う。米国も例外ではない。

 

補足:

1)一回の都市封鎖で事態が好転する程、このコロナウイルス肺炎甘くないだろう。多くの首長がそれでも都市封鎖するのは、実効性に期待しているが、それとともに、国民に危機感を持たせるためだと私は思う。その目的を知って、国民は一丸となり協力すべきである。これは戦争なのだから。

 

2)一帯一路構想とアジアインフラ投資銀行(AIIB)構想は、元を国際基軸通過とする構想でもある。

 

3)中国は大躍進運動や文化大革命で其々千万人レベルの死者を出していると言われている。一党独裁の国の非共産党員の命の値段は非常に安い。それに比べて、民主主義の先進国での命の値段は非常に高い。人命が消耗する戦いでは、中国は圧倒的に強いだろう。

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