2020年4月9日木曜日

中国による武漢ウイルス米国起源説流布

中国による「武漢ウイルス」(補足1)米国起源説流布の作戦:「敵を欺くには先ず味方から」の戦術

 

最近、ケイさんというハンドルネームのYoutubeサイトを見つけた。そこで語られる内容は、中国人でないと知り得ない中国の真実を語っているように聞こえる。そして、ときとして、ハッとすることも多い。つまり、疑問に思っていたことが一瞬にして氷解するのである。

 

その一つが、中国趙報道官による「新型コロナ肺炎を米国が持ち込んだ」という発言と、それをあっさりと在米中国大使が否定したことの謎である。それを、大紀元という在外中国人によるメディアは、「駐米中国大使、“米軍ウイルス拡散説”を否定 内部で意見対立か」という表題で解説している。

https://translate.google.co.jp/translate?hl=en&sl=ja&u=https://www.epochtimes.jp/2020/03/53593.html&prev=search

 

しかし、中国政府の報道官は、政権の中枢に位置し、中国外交部の傘下にある。駐米中国大使も同様である。しかし、大使が「馬鹿げている」と発言したことで、米国は表立って、趙報道官の発言を、中国政府の発言として批判できなくなった。政府専門家チームリーダーの鍾南山氏も感染源は中国とは限らないと発言していることと合わせれば、この米軍起源説は、中国政府の正規なプロパガンダの筈である。

 

この謎は、ケイさんにより明確に解説されている。趙報道官のツイーター上の書き込みも、在米中国大使の米国マスコミでのその完全否定も、全て中国政府の戦術の一環だとして理解すべきだというのである。つまり、敵を欺くために、内部が混乱しているかのように見せるというのである。https://www.youtube.com/watch?v=71Do2kEnHQk

 

米国トランプ大統領のマッドマン理論と似ているが、一人で演じるとバレやすい。しかし、それを政府全体で演じると、非常に分かり難くなる。西欧でも、個人のレベルではマッドマンを演じることはあっても、政府のレベルになればあり得ないし、想像すら出来ないのである。

 

中国政府は、独裁であることを知っていても、独裁政府の本質について肌感覚で理解する人は少ないだろう。私が、この問題がケイさんの動画を視聴して、氷解するように理解できたと感じたのは、情報についてはかなり閉鎖的な日本社会に住むからかもしれない。

 

その様に考えると、上記大紀元の報道及び大紀元というメディアの性質も、注意して再考する必要がある。つまり、大紀元が、中国政府ができれば隠したいことでも報道して来たとしても、尚、完全に信用することはやめた方が良い。ウイグルなどでの人権侵害を、初めて暴いたのなら信用に値するが、中国が隠しきれなくなった時以降に中国を攻撃するトーンで報道しているのなら、それは上記駐米中国大使と同じかもしれない。その評価には、長期的な観測とプロフェッショナルな解析が必要だろう。

 

つまり、反中国政府の報道姿勢を見せながら、肝腎なところで、米国など欧米社会の考え方を誤った方向に導くのである。時として、味方の一部にも「裏切り者」という烙印を押される位でないと、この種の戦術には役立たない。つまり、「敵を欺くには先ず味方から」という中国三国志の時代の戦術である。

 

「長期観察とプロフェッショナルな解析」こそ、インテリジェンスの基本だろう。それに何よりも大事なことは、自分の頭でゼロから考えることである。この後の方が、伊藤貫氏が指摘したように、日本の優秀な(つまり東大卒というだけのこと)官僚たちに根本的に欠けている。(編集、20時)

 

 

補足:

 

1)表題の「武漢ウイルス」は、医学的に問題を語るときにはふさわしくない。新型コロナ肺炎の正式名称はCOVID-19であり、その原因ウイルスにはSARS-CoV-2という名称が与えられているからである。しかし、ここでは中国武漢で発生したウイルス性肺炎の原因ということを明示する必要性から、この名を用いた。

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