2020年6月9日火曜日

徴用工問題は日韓関係を破壊し、日米関係も破壊する

1)韓国徴用工への保障金支払を日本法人の資産売却をして実行する韓国と日本の報復

 

今朝の及川幸彦氏の動画において、徴用工問題で韓国政府が、新日鉄保有の株(差し押さえ中?)を一部売却して、判決に従ってこの8月に支払うという話があった。その結果、日本側からの報復措置が予想され、それでは大変なことになるという話が、おそらく一部に韓国保守派の嘆きも混じる形で出ているようだ。https://www.youtube.com/watch?v=W6X19rx3wds

 

 

これは日本にとっても大変なことである。報復合戦となっては、日韓関係は終焉する。それは日米韓軍事同盟の終焉ということになる。今日まで日韓関係が維持されてきたのは、米国の歴代大統領の強い関与があったからだが、トランプが大統領なら、そのような介入はしないだろう。関心があるのはアメリカ第一であり、日韓関係などにあまり関心がないからだ。

 

日米韓の軍事同盟関係が無くなったとき、米国が東アジアから撤退することになる。その地域の覇権を埋めるのは、習近平中国であり、日本は日中友好の姿勢を取るしかないことになる。中国も韓国も、反日が国是の国であるので、伊藤貫氏が予想したように日本は近い将来、東海の孤児となるだろう。

 

米国にとっては、東アジアの日本、韓国、北朝鮮、中国の4カ国全部と、関係を大きく希薄化し、インド、インドシナ、豪州のインド太平洋ベルトを覇権域として、世界シェアを縮小して負担と利益のバランスを取る。しかし、日本人は東のウイグル人のような立場となり、言論の自由があった時代の話はおとぎ話になるだろう。

 

それで良いのか? 

 

2)徴用工問題の責任は日本に70%ある。

 

この問題は昨年9月に一度復習した。そのアドレスを以下に示す。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12528702028.html

 

1991年8月27日、柳井俊二条約局長は参議院予算委員会で、『(日韓請求権並びに経済協力協定は)いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではない。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることができないという意味だ』と答弁した。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a197049.htm

 

これは、1990年代の戦時被害に関する個人請求権を認めた日本政府の発表である。それは、日本の戦争被害者の国家賠償要求から逃げるための仕掛けとしてなされた。

 

日本政府の論理は以下のようである。

日本に原爆を落とした責任は米国にあり、日本人被害者は、米国にその賠償請求をすることは可能である。しかし、日本政府を通じては出来ない。何故なら日本政府は講和条約でその権利=被害者の賠償要求をする権利=を放棄したからである。(これを外交保護権の放棄という)

 

都市空襲や原爆投下は国際条約違反であり、それによる日本国民の被害には日本政府の責任はない。もしサンフランシスコ講和条約で、その民間人被害者の請求権を纏めて放棄したのなら、講和条約後に日本は米国に代わって国家賠償をしなければならない。戦争に関する国家賠償が出てくれば、日本政府は財政上も大変である上、戦争の評価を国内でしなければならない。

 

日本政府が明治以来、近代史の総括をすることはタブーであった。(補足1)それを誤魔化すために、国民に請求権を認め、米国を相手に裁判をやってくれと居直ったのである。この政府の考えは最高裁判所で判示された。

 

そのルールは日米間だけでなく、日韓の間でも同様に適用しなくてはならない。つまり、日韓基本条約及び請求権協定で放棄したのは、外交保護権であり、新しく発見された被害については、その被害者が外交ルートを利用することなしに賠償を請求することは可能であるということになる。

 

実際、賠償の対象になるような件が発生した。それは、韓国徴用工の酷使が軍艦島であったという韓国の言い分を、日本政府は認めたことで、請求権が新たに生じたのである。(補足2)これは基本条約締結時に韓国政府が纏めて受け取った3億円の中には入っていない。従って、その賠償要求は日本企業、今回は新日鉄に請求可能である。

 

3)そんな馬鹿な!!

 

日本政府と日本国民の間に大きな隙間を置くこの日本政府の姿勢は一貫している。そして、日本国民も現在の日本政府は自分たちの味方であるとの感覚をもっていない。その原因は、過去の戦争である。

 

日本国民300万人余を、ゴミのように捨て去った大日本帝国は、その責任を明らかにしていない。一銭五厘で命を南海に散らした、若者や一家の主の命に対して、同じ国家が続いているのなら、正当な賠償が必要だろう。明治維新から東アジアへの武力侵攻、日中戦争と日米戦争、など全ての近代史を総括して、責任を明らかにし、取りうる措置を全てとって再出発したのなら、日本国民はその国家の中に自分をおく気持ちになるだろう。

 

しかし、日本国が行ったのは、戦争被害者と対峙するのではなく、何時のまにか同じ側にたって戦争を忌み嫌うことで、日本国民から近代史を総括する権利を奪いとり、憲法前文と憲法9条の理想論の中に隠れているのである。(補足3)

 

敗戦間際の沖縄戦、その後の大都市空襲での非戦闘員の被害は甚大である。その責任は今まで議論されたのか? 国家としては、一切されていない。繰り返すが、現在の日本国政府は、あの戦争時の日本国政府の延長上にある。従って、戦争時の責任も引き継いでいる筈である。あの大きな被害の総括もしないで、同じ政権担当者とその後継者が何の反省も謝罪もなく、現在まで政権を担当しているのだ。

 

日韓基本条約及び請求権協定では、一応戦争被害の賠償を行っている。戦後、外国人となった人たちには賠償をしていることにも、触れたくないのだろう。それには、日本と韓国の間に超えられない憎しみの溝がある方が、日本政府には都合良いのだ。

 

そして、たまたま生じた徴用工問題だったが、上記のような誤魔化しの法解釈で乗り切るのである。世界遺産指定というどうでも良いことのために、韓国が創り上げた嘘のストーリーに裏書きをして、それを反日の材料として提供したのである。

 

(以上、前面的に書き換えました。21時30分)

 

補足:

 

1)近代史を総括すれば、大日本帝国の正統性に疑いが出る。その詳細は、成書にふれられている。

明治維新という過ち:原田伊織著、明治維新というクーデター:星亮一著など。勿論、クーデターで生じた国家だからと言って、統治権がないわけではないだろう。しかし、正統性は嘘の上には生じない。

 

2)軍艦島を世界遺産に申請するにあたり、韓国の同意を得る必要があった。

 

3)日本政府の与党自民党は、憲法改正できないことを嘆いているが、それは欺瞞に満ちている。憲法9条を変更することは、戦争できる国家になることである。それは必然的に、国民は過去の戦争にもう一度向かい合うことになる。それを恐れて、平和憲法に身を隠しているのが政府自民党の本質なのだ。

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