2020年7月19日日曜日

COVID-19: アジアの国々の隠蔽体質と中国に対する忖度

COVID-19(新型コロナ;補足1)に対する知識も大凡出来たので、その死者数も通常の死者数との相対的な数値として捉える必要がある。一般に、人口100万人あたりの通常の死者数は、平均寿命から考えて1000人/月(年間約12000人)位だろう。その数字と、新型コロナによる死者数を比較すれば、夫々の国での新型コロナの深刻さが把握できる。

 

ただ、新型コロナでの死亡数としてカウントする基準が各国毎に異なることに注意する必要がある。何故なら、高齢者が一人で自宅で死亡していたとき、持病でなくなったと処理される可能性がたかいことなどを考えると、新型コロナの本当の死者数は、実はわかりにくい。

 

その一方、一部例外を除いてほとんどの国で、死者数の統計に誤魔化しはないだろうと考えられる。そこで、特殊な事情(戦争、飢饉、別の疫病など)が無ければ、その国でのその期間の超過死者数で、新型コロナの死者数を推定することが可能である。尚、「超過死亡」とは、統計学的に予想される死亡者数を実際の死亡者数がどれだけ上回ったかを調べる方法である。

 

この統計的に予想される死亡者数として、例えば5年ほどの平均死者数を用いることは可能だろう。但し、その期間内に特別に考慮すべき死亡原因があった場合、その死者数をカウントしないなどの調整が必要だろう。そこに新たな問題点が生じることも事実である。(補足2)

 

ともかく、新型コロナの陽性診断を受けて、悲観して交通事故を起こしたとか、自殺した様な場合も広い意味で新型コロナの被害者である。それらを特別に統計に入れないなどの操作をしなければ、その超過死亡数での算定には、新型コロナの死者など例外的な死亡者を全て含むことになる。

 

下に示した図は、BBCが6月18日に発表したデータを、テーブルに加工したものである。そこには、上記目的以外の面白い情報も含まれている。

 

2)解釈

 

繰り返すが、統計学的に予想される死亡者数を超えた数字が超過死亡である。この平均的な死亡者数の統計誤差が、超過死亡数の誤差となる。(補足3)ザックリ言って、100万あたり、月に5人程度の超過死亡の原因を深刻に考えるのは愚かだろう。

 

その上で、上の表を見ると、英国、イタリア、スペインの悲惨な情況が分かる。恐らく、医療崩壊や院内感染などが地理的時間敵に頻繁にあったのではないだろうか。それに比較して、ドイツの超過死亡数は一桁小さい。ドイツの経済力とそれによる医療の充実が想像される。

 

データが古いので、米国の5月はじめの人口100万あたりの死者数は295人(以下295人/Mと記す)にすぎない。7月18日現在、この倍程度433人/Mになっている。日本と韓国の新型コロナによる死者数は夫々、7.8人/M と5.8人/Mである。

 

上表で一番おどろいたのは、韓国の超過死亡数である。2月1日から3月30日の二ヶ月の死者数が、新型コロナで163人だが、その他の超過死亡数が2215名と非常に多い。そこで、他のアジア諸国を見ると、新型コロナ以外の超過死亡の割合が軒並み高い。100万人当りの超過死亡数(新型コロナでの死者も含む)は、韓国46.6、タイ 33.9、インドネシア 17.5、日本 2.8である。日本だけ期間が1ヶ月と短いので、この数値は倍にする必要がある。

 

韓国は多いPCR検査数と少ない死者数で、新型コロナ対策の優等生とみなされてきたが、それは嘘の可能性が高い。つまり、文在寅政権は、中国に忖度して、初期の大流行による死者数を誤魔化してきた可能性が高いということになる。(11:30追補:尚、日本の4月30日までの超過死亡数がBBCにより計算されている。それによると、5001(39.4人/M) だそうである。それによると、5001人だそうである。それと4月30日の東洋経済ONLINEでの新型コロナでの死者数は415人である。日本もオリンピックからみの隠蔽か中国に対する忖度か分からないが、相当の後進国度である。救いがたい。https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-53295929

 

アジア圏でCOVID-19以外の超過死亡数の割合が大きいのは、検査数が十分ではないことと、国の隠蔽体質が関係しているだろう。シンガポール、韓国、マレーシア以外では、欧米に比べて検査数が圧倒的に少ない。(補足4)

 

3)追加

 

尚、東京での超過死亡数は以前の記事で月ごとにしか行われていないと書いたが、インフルエンザいの死者数推定のためには週毎の統計が行われていた。国立感染症研究所の行ったその結果が、下図である。

この図では、今年の3月まで、東京での超過死亡は発生していない。このシステムでは3月末までを想定しており、数値の確定は5月だという。従って、新型コロナの死亡者統計には用いられないという。ただ、上図で注目されるのは、今年の2−3月に限れば、新型コロナでの死者が東京で殆ど出ていないことが明白であるということである。

 

補足

 

1)これまで新型コロナ肺炎(COVID-19)としてきたが、COVID-19を用いると、本文を書く時一々活字の変換をしなければならない。そこで、今後はCOVID-19(新型コロナ)で文章を書くことにした。

 

2)平均死者数はおよそ、100万人あたり、平均寿命で割り算をすれば、一日30人位である。そして、冬は夏よりも死亡数が2割ほど多い。それらは全て、「統計的に予測される死亡者数」に含まれる。日本ではインフルエンザで超過死亡を調べるシステムを持っていたという。国立感染症研究所では検査が行われずに見逃されてしまう新型コロナウイルスの死亡者数を推計できるよう、東京大学と共同で新たな調査システムの開発を進めているようだ。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200630/k10012489821000.html?utm_int=news_contents_news-main_006

この程度のことは、人口統計と出入国管理を、デジタル的に一元管理すれば可能である。コレが難しいというのは、日本は途上国並の非独立国だということになる。

3)超過死亡数を出す際、その基準となる死亡者数の算定がある統計誤差を含む。その誤差が、そのまま超過死亡数の誤差となるだろう。通常は標準偏差(平均からのズレの二乗平均値をデータ数で割った値の平方根)を超えた場合しか、意味のある数値とみなさない。兎も角、統計的に意味のある数字を出すには、やはりその国の人口統計がしっかりしていないと難しい。データを一元管理し、且つデジタル的にアクセス可能にすれば、この種の統計は簡単に出来そうだが、何がネックになっているのか分からない。

 

4)7月18日現在のWorldmetersのデータによると、人口百万あたりの検査数は、アジアの各国で、以下のようになっている。シンガポール172494、韓国28480、マレーシア 26815、タイ8647、日本 4952、インドネシア 4389である。

https://www.worldometers.info/coronavirus/#countries

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