2020年8月21日金曜日

橋下徹と甘利明の対中国発言(ニュースの覚書)

副題:新チャイナ・シンドロームに気づかない橋下徹と気づいている甘利明(補足1)

 

1)橋下徹氏の二階支持発言:(8月16日のテレビ番組「ザ、プライム」で、この発言を聞いたが、下の動画は別の機会になされたものだろう)

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=JUWzPGdE4mU

 

二階俊博氏(補足2)の「今後とも、日本は中国との(経済的)繋がりを強化すべき」という対中路線を支持するという、橋下徹氏の発言には本当に驚いた。橋下氏は、「地政学的に考えて、中国と繋がるところは繋がり、断ち切るところは断ち切って、そして西側諸国の価値観を守る事が大事。今の議員は、二階氏のこの姿勢を誤解している。若い世代に二階氏のような人が複数現れないとダメだ」と発言している。

 

しかしである、西欧の価値観と中国共産党政権の政治は真っ向から矛盾する。ウイグルやチベットでの統治のあり方、法輪功の弾圧、香港に関する英国との約束違反、知的所有権無視など、多くの事実がそれを証明している。それでも尚、橋下氏は、西側諸国の価値観と中国共産党の価値観に、平和的共存が可能な程度に大きな開きがないと考えているのだろう。

 

これが、橋本氏が十分に考えた後の発言であるとするなら、彼は中国共産党と何らかの繋がりがあると考えるべきだろう。更に、現在の巨大な中国共産党政権を相手に、日本の政府が「繋がるところは繋がり、断ち切るところは断ち切る」ことが出来ると思っていたとすれば、地政学どころか国際政治にも彼は無知である。

 

敵攻撃能力をもたない日本政府は、他の国家との外交など、米国の庇護下でなければ出来ない。日本は、実質的に米国の一つの州であり、自衛隊は米軍に組み込まれている。それが冷戦構造の中でしか許されない準安定な政治形態なのだろう。冷戦或いは新冷戦などの無い世界では、日本は16−17世紀ごろのアメリカ大陸のような他国の草刈場となるだろう。

 

つまり、もし二極構造の世界或いは中国の単一覇権の世界が実現すれば、日本は解体され、東海自治区などと呼ばれる様になり、国民は分別され、中には臓器提供者となる人も出るだろう。この4つの島国は「日本」という言葉の利用も許されない、ウイグルのような“自治権を失った自治区”となるだろう。橋下氏はその未来が本当に見えていないのだろうか?(補足3)

 

 

2)甘利明氏の発言:

 

甘利元経産大臣は、中国企業と取引すると米国中心の経済から締め出される危険性があると、同じく8月16日のテレビ番組「ザ、プライム」で発言した。

 

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=CCrRtqjkrnI

 

甘利氏の発言は、だいたい以下のようにまとめられる:

 

米国のクリーンネットワーク政策は、先進インターネットから中国を締め出す構想である。米国の信頼を完全に失った形の中国と中国企業は、世界のサプライチェーンから締め出される可能性が高くなってきた。

 

中国企業のアプリをスマホなどで用いると、顧客データがそのまま中国政府に流れる危険性を、米国だけでなく、英国やインドなどの各国も気づき始めている。今後、中国企業と組んで企業活動をすれば、データが抜かれるという前提でビジネスしなければならない。

 

中国企業の幹部は、その可能性を否定しても、中国共産党政権が国家情報法をたてにして要求すれば、断ることは企業の消滅を意味するので不可能である。機械技術が漏洩する可能性があれば、日本の企業は米国を中心としたサプライチェーンから外される危険性がある。

 

日本の与党にも、しかもその中心部分に、このような発言が出来る人が居るのだが、マスコミは安倍総理の健康問題だけをこのときの甘利氏の発言のなかから取り出して報道していると、渡辺哲也氏は語っている。

 

(8月21日午前12時 補足2の追加、補足の位置の移動、サブタイトルの明確化など編集)

 

補足:

 

1)新チャイナ・シンドロームは昨年12月17日の記事の題名である。副題の意味は、国家資本主義により中国は世界を支配する計画である。その具体的な表現は、習近平国家主席による一帯一路構想、AIIBによる元の国際通貨化である。

 

2)二階俊博氏と今井尚哉(たかや)首相補佐官が、米国戦略国際問題研究所(CSIS)の報告書において、日本の媚中政策の中心的人物だと批判された。それは、おそらくホワイトハウスからの警告の表明を、CSISの誰かが間接的に書いたものだろう。https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-94075.php

 

3)これはずっと以前のブログに書いたことだが、在米の評論家伊藤貫氏が予測していたことである。

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