2020年8月3日月曜日

日本は生贄の羊か: インド太平洋連合という誘惑(II)

何時も貴重な中国の情報を発信しておられる、妙佛DEEP MAXさんの最新動画も、最近話題のニクソン図書館でのポンペオ演説である。その内容は、これから米国は中国を徐々に締め上げるだろうという、よくわかるパターンの話である。

 

https://www.youtube.com/watch?v=ow9moG60tdg

 

ネットでは、中国共産党政権が1991年のソ連崩壊のときに、それに続いて崩壊すべきだったという人もいる。その時、ソ連と米国の関係は今の中国と米国の関係とは随分違う。対立して相手が滅べば、自分は利益となる関係だった。しかし、今、中国に与えた一撃が、米国自身にも痛みを与える関係である。

 

新型コロナで失業者が溢れ、失業保険も7月いっぱいで途切れた米国である。先ず、その経済的困難にも関わらず、ポンペオの言ったような把握を米国民はできるだろうか?そもそも、「豊かになれば民主化の方向に進むとおもっていた」とは良く言ったものだ(シャーシャーと)。それは究極の建前論ではないのか?そんな建前論に賛同して、「バスに乗り遅れるな」なんて、ちょっと軽薄ではありませんか? 

 

米国支配層の本当の腹の中は、「中国の巨大な良質な労働者を支配する共産党政府と結託して、大儲けしようではないか。それをグローバリズムという名前で呼ぶとカッコ良い。そのモデルが使える国が他にあれば、それをその国にも適用できるので、その命名はまんざら当たっていない訳ではない」ということだった筈。

 

中国を民主化するというような話が仮にあったとしても、その民主化とはカラー革命と同レベルの形式論だろう。つまり、何事でも利益にならないことを米国はやる筈はない。きれいな建前論でことが進む時、裏に利益を産む構造がなければならない。それは、ウイグル人の救出でも、香港の民主化運動支持でも、同様だろう。

 

米中の或いは、米国を中心とする民主国と中国とのデカップリングだが、容易ではないだろう。中国共産党内部での政権移譲がなされ、例えば一帯一路を放棄したと宣言した時、米国はどう反応するのか?借金漬け外交はやらないと宣言すればどうか? 今、一番話しを聞きたい人は、米国にいる伊藤貫さんである。日本の政治家の誰かが伊藤貫氏と約束をとって、ニューヨークに出かけるべきだ。

 

中国共産党の本質は知りながらでも、「新型コロナによる経済の疲弊もあるので、デカップリングという概念は残して、この辺りで世界経済の立て直しにこそ、向かうべきだろう」という話になったとき、再び太平洋の米中二分論という話が蘇るだろう。

 

現在、最も大事な分析は、経済の低迷がどの程度のものなのかである。そこで、デカップリングができる可能性があるのか? 新型コロナの被害はどの程度続くのか、米国の政治がそれに耐えられるのか? 米国の労働者のかなりの部分から失業と貧困による悲鳴が聞こえたとき、政権交代と政治姿勢の変換が予想される。

 

ポンペオの原則論で政治が決まるわけではない。バスに乗り遅れるな論は、非常に危険である。

(以上)

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