2021年1月18日月曜日

新型コロナ危機を政治改革のチャンスに変えるべき

累積死者数4000人程度の新型コロナに対して日本は怖がり過ぎなのか?

 

1)「新型コロナに怖がり過ぎなのはフレーミング効果による」という意見

 

プレジデントオンラインに、新型コロナとその政府の対策に関して、精神科医の和田秀樹氏の意見が掲載された。

 

 

簡単に要約すると、①「わが国の新型コロナの累計感染者数が30万人超、死者が4000人超となったが、その数字は年間肺炎死10万、年間インフルエンザ死者数のおよそ1万と、比較すべきである」;

②「死者数を思考の枠として考えた場合、現在の国家や国民の新型コロナに対する反応は、いささか怖がり過ぎである。政府は新型コロナ対策を打つ際、思考の枠を感染者数から死者数に替えて、判断してもいいのではないか」、という意見である。

 

上記①と②は、「例年、インフルエンザで3000人から1万人(持病の悪化も含む)亡くなることを知っている人であれば、もしくは、通常の肺炎で毎年10万人の命が奪われると知っている人であれば、新型コロナ(以下Covid-19)をここまで怖い病気と思わなかったかもしれない」という単純な思いつきを、これまでの死者数を用いて、Covid-19の恐ろしさを定量化できるという主張にしたものである

 

ただ、それだけでは”有り難みに欠ける”ので、思考の枠組み(思考フレーム)のとり方で、人々の考え方や対策などに影響が出る(フレーミング効果)というダニエル・カーネマン(経済学者)の考え方を引用して権威付けをしたのが、上記引用の文章である。

 

フレーミング効果とは、「問題の提示の仕方が考えや選好に不合理な影響を及ぼす現象」である。

 

つまり和田氏の主張は”これまで新型コロナ対策の「思考の枠」として感染者数を用い、日本中が大騒ぎしてきたが、それは死者数4000名位のインフルエンザ程度の病気に対する不合理な反応である。” 従って、「ここで死者数を思考に枠組みとすれば、もう少し落ち着いた対策が可能となる」と言い換えられる。

 

2)和田氏の主張は粗雑である

 

私は、上記和田氏の文章は、非常に粗雑に組み上げられていると思う。和田氏の論理組み上げで欠けている論点を以下に列挙する。

 

①インフルエンザや肺炎は既知の病気であり、Covid-19は依然、未知な病気である。

累積死者4000名は、この一年間国政の最優先課題として抑え込んだ結果であり、インフルエンザの数千人とは直接比較できない。

 

以上2点が本質的な二つの論点だが、その具体的な展開として、以下の数点が指摘できる。

 

欧米(英、米、仏、伊、西)では、全人口の0.1%以上が既に死亡している。例えば、英国では、日本の人口に換算すれば死者数は160000人である。変異株の流行もあり(これは世界共通の脅威)英国の文化の下でのジョンソン政権の対策では、この程度の被害が出るということになる。

 

この病気との戦いは、未だ進行形であり、ワクチンが効くかどうかもわからない。(補足1)

発病者で死亡か回復かの結論が出た人だけで、統計をとると、フランスでは死亡率は25%、イタリアでは4.6%となる。日本ではその姿を見せていないが、Covid-19の非常に恐ろしい側面である。 ③〜⑤のデータは以下から借用した。https://www.worldometers.info/coronavirus/country/us/

 

日本の男性高齢者に話を限れば、⑤と同じ統計で、80代以上では18%、70代で5.8%の死亡率である。https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/ つまり、高齢者には極めて危険な伝染病である。更に、男性だけにかぎれば、その数字はもっと大きくなる。(補足2)

 

日本では、発病して治療が必要となっても、ベッド数がたらないで、自宅療養中に死亡するなどのケースも多く出ている。東京では現在要治療者が20000名ほどであるが、確保された病院内ベッド数は4000に過ぎない。(117日)医療崩壊直前の情況である。https://www.stopcovid19.jp/

 

確かに感染者の80%は無症状或いは軽症であり将来死者にカウントされないが、ウイルスのバラマキには関係する。感染者は指数関数的に増加するので、現在少ない感染者数でも、油断すれば、欧米並の被害を出す可能性がたかい。和田氏は、これらの世界と日本におけるCovid-19の現状を全く考察の中にいれていない。

 

コロナ対策案と日本の政治改革

 

政府の対策はGOTO EAT等でCovid-19への警戒心を無くし、感染を広げる結果になった。冬になり感染者数が増加したと見るや、今度は営業自粛である。このちぐはぐな対応は非難されて然るべき。その一方で私は、今回のCovid-19との戦いは、日本の行政のあり方を考える機会にすべきだと思う。

 

例えば、日本の政治を、現在の何でも中央集権的に処理するスタイルから、多くは地方自治体で処理するスタイルに改革するチャンスである。中央政府は、防衛、外交、司法(治安)、教育、通貨金融、などの限られた分野で構成し、小さい政府を目指す。今回の感染症対策も、ローカルな事情に詳しい地方自治体主導で行うべきである。

 

地方自治体が必至に知恵を出せば、かなりの成果を出す自治体も出てくる筈である。優秀な対策は、全国の自治体で共有すべく、国も参加して自治体間の連絡会議を定期的におこなう。国は、必要となった法整備や補助金の支給で自治体に協力する。

 

具体的な課題としては、例えば病床確保がある。現在Covid-19患者を受け入れるのはほとんどが公立病院である。日本の病床数は世界一とも言われていながら、そして空きベッドを多数抱えながら、Covid-19患者用ベッドが足らないという矛盾に各自治体は苦しんでいる。(15日の『 大前研一 ニュースの視点 』2021/1/15 #863に書かれている。)

 

国は、今後できるだけ権利委譲をして、地方自治体にCovid-19対策を任せれば、現在のベッド不足は解消される筈。それができない自治体では、住民が政治的圧力を用いるよう指導する。住民と政治との距離を縮めるチャンスである。

 

感染者が日本中に分布している現在、県境を挟んだ人の出入りに制限を設けるのは、経済への悪影響等もあり、あまり賢明ではない。また、感染者のほとんどが感染経路未知か未知の感染者からの感染などであり、クラスターを追いかけるエネルギーは、他の方に使うのが良いと思う。

 

Covid−19対策だけでなく、教育やインフラ整備、産業振興など多くの部分で、各都道府県に成績を競ってもらうのが良い。各地方での政治家としての評価を引っさげて、中央政界に出るよう、日本の政治を変えるべきだと思う。地方自治体を、発想とやる気に欠ける官僚の天下り先としてはならない。

 

例えば:

 

店舗の換気や消毒システムのモデルをつくり、その方向で改造を行う様に補助金を付けて指導し、実施を条件に規制を緩和する。各自治体は、必要なら新型コロナ用の病院を建設し、担当医や看護師の給与を高給化させて、人手不足を補う。

 

現在の疾病克服には役立たないが、今後のことも考えて、店舗や住宅の改善をすべきである。壁の断熱化による冷暖房効率を高めること、換気扇設置や換気の方向を飛沫感染を最小化するように設計すること、店舗ではそれらと整合的な座席の配置など、各地方で案を練るべきである。建築基準などに地域性をもたせるべきである。

 

老年の繰り言になるが:中央集権的な体制では、現在の政治家の無能さもあって、対策はちぐはぐになる。この疫病の対策を契機に、日本の政治を地方分権型にすべきである。中央政府は外交、防衛、金融などの基本的分野に特化すべきである。更に言えば、政治家はもっと頭を使って仕事をすべきである。

 

補足:

 

1)スウェーデンは、老年者と基礎疾患を持つ者以外には、ほとんど規制をしなかった。その結果、100万人あたりの累積死者数は、隣国ノルウェーの10倍以上となった。スウェーデンは昨年6月頃、ほぼ集団免疫を達成するという声明を出していた。そして、8月の第二波ではほとんど感染者が出なかった。しかし、今回の第三波には第一波の免疫はほとんど効かなかったようである。つまり、今回摂取予定のワクチンの効果に疑問が残る。

 

2)Covid-19は生物兵器として開発された可能性が大きい。4箇所にエイズウイルスと同じ遺伝子配列があり、自然にできたとは考えにくいという意見がある。この考えは、中国だけでなく米国にとっても不利益であるので、何れ抹殺されるだろう。なぜなら、米国国立アレルギー感染症研究所長のファウチ氏が、この種のウイルス研究のため、中国の武漢P4研究所にウイルス試料(Covid-19の母体となったウイルス?)と研究資金を送ったという話があるからである。

超限戦を考える中国や米国左派の人達には、「現在、70歳以上の高齢者は、福祉介護予算を食い荒らす有り難くない存在である。その年齢層を、感染症で選択的に消す事が出来れば、多くの国の財政健全化のために良いと考えられる」レベルのことを考えても不思議ではない。

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