2021年6月7日月曜日

竹中平蔵はIOCを主権国家「日本国」の上に置いているのか?

竹中平蔵氏は昨日放送の「そこまで言って委員会」で、日本でのオリンピック開催に反対する意見にたいして、強く批判し次のように語った。「オリンピックというのは世界のイベントなんですよ。世界のイベントをたまたま日本でやることになっているわけで、①日本の国内事情で世界のイベントを『やめます』と言うことはあってはいけないと思いますよ。②世界に対してやるっていう風に言った限りはやるべき責任がある」」と語った。

https://news.yahoo.co.jp/articles/aae83467e85028e27799db3ad2ad5ff00af4c5e0

 

また、 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が、「今の状況で(大会開催を)やるのは普通はないわけだ。パンデミック(世界的大流行)の状況でやるのであれば、開催規模をできるだけ小さくして管理体制をできるだけ強化するのは主催者の義務だ」と述べたことについても、「③こないだの座長の発言なんかひどいじゃないですか。だって分科会がオリンピックのことを決めるわけじゃないのに、明らかに越権でね」と批判した。https://news.yahoo.co.jp/articles/595bb89c33d91a993c8be50234239477132e6f31

 

この場面を見ていて、「馬鹿な発言をする人だ」と思った。ただ、話題になるとは思わなかったので、ブログに書く気などなかった。しかし、今ネットでは話題になっていることを知り、また竹中氏はグローバリストの中心とも思われるWEF(世界エコノミックフォーラム)の日本からの唯一の中心メンバー(評議員)でもあるので、一言書くことにした。

 

まずオリンピックを主催するIOCという組織を明確にする必要がある。ウィキペディアによれば、IOCはスイスのローザンヌに本部を置く非政府のスポーツ組織である。竹中氏が上記①と②の発言で、「世界」と言っているのは、実はスイスに根拠を置く非政府組織である。

 

オリンピックを東京で開催するという契約の日本側当事者は、東京都と日本オリンピック委員会(JOC)である。(補足1)従って、竹中氏が「日本と世界の約束」と大きく言ったのは、スイスの非政府組織であるIOCを一方の当事者、東京都とJOCをもう一方の当事者とする約束(契約)である。

 

勿論、IOCのこれまで築き上げた権威は、相当高い。しかし、決して国家主権を超える存在ではない。従って、日本政府が疫病対策上問題だとして、中止勧告しても何の不思議もない。この場合も、上記オリンピック開催当事者に中止を勧告するという形をとり、決して当事者としての宣言などをしない筈である。

 

それでもIOCJOCがオリンピックを開催すると日本政府に通告することはあり得る。その場合は、新型コロナの特措法か何かの出番になるだろう。

 

竹中氏は、オリンピックを日本政府が直接関与する外交のように考えているのだろうか?それとも、(a) 日本国民をそのように思わせて騙そうとしているのだろうか?

 

発言③だが、分科会がオリンピックのことを決めるわけでないのは当たり前である。従って、「この状況でオリンピックをやるのは普通ではない」と話しても、何の越権行為でもない。越権行為には二通りのケースがある。一つは、仮に“オリンピック禁止のスイッチ”があったとして、分科会座長の分際でスイッチを押して、オリンピックを中止にしてしまったというような場面である。

 

もう一つは、新型コロナ対策の分科会(正式名称は調べていない)で、感染症の状況とオリンピック開催の是非に関して議論があり、その議論での結論と異なる発言を尾身会長が政府委員会で行った場合である。それ以外の場合、尾身会長にも当然言論の自由があり、あのような発言をしても何ら問題ではない。

 

更に竹中氏は、上記テレビ番組において、立川志らく氏が「世論の6~7割が中止・延期と言ってる」との指摘に対しても、「世論が間違ってますよ。世論はしょっちゅう間違いますよ」と明言した。この発言と上記(a)の発言は、竹中氏が日本国民を主権者としてではなく、非支配者として愚弄するつもりで成された発言だろう。

 

竹中氏及び菅内閣の周囲の声を無視してオリンピック開催を目指す姿勢をみて、米国を相手に戦争を始める方向に日本国を導いた共産主義者が疑われる近衛文麿や、戦争末期において援蒋ルートを叩くと称してインパール作戦を進めた東条英機の決断などを思い出すと書く人が居るのは当然だろう。

 

 

話をあまり広げないでおく。

 

以上の竹中発言を考えると、竹中平蔵氏は日本という主権国家の権限や個人の言論の自由などの権利を軽視する、グローバル全体主義を是とする思想の持ち主なのだろう。それは中国共産党政権や米国の支配層が目指した方向である。竹中氏は、日本を離れてスイスのダボスにでも永住すれば、日本人のかなりの人達は清々しい気持ちになるだろう。

 

補足:

 

1)オリンピックの開催都市の契約は、国際オリンピック委員会を一方当事者とし、東京都(以下、「開催都市」という)、ならびに日本オリンピック委員会を他方当事者として締結された。

https://gtimg.tokyo2020.org/image/upload/production/tzzaloxopk1ohgcqg5uy.pdf

 

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