2022年3月13日日曜日

ウクライナとロシアの戦争は一般の日本人が考えるより遥かに複雑である

1)ロシアは、赤ちゃんや妊婦が実際に入院している小児病院を爆撃したのか?

 

ロシアとウクライナの戦争は既に二週間以上続いている。その中で、学校、病院、住宅などが攻撃されているようだ。中でも、ドネツク州の街マリウポリの小児科病院が攻撃されたことが、残虐な空爆として世界中に報道されている。この小児科病院の爆撃に対して、ゼレンスキー大統領はロシアによるジェノサイドの証明であると攻撃している。https://www.youtube.com/watch?v=0wzS6C_ARZM

 

その一方、ロシアのラザロフ外相は、「爆撃の3日前、ロシアは国連理事会にくだんの病院がウクライナのネオナチ部隊に占拠されていると報告済みだった」と語っている。我々にはどちらが真実かわからない。https://mainichi.jp/articles/20220311/k00/00m/030/007000c

 

ただ、この爆撃が実際に患者がいる小児科病院に対するもので、何人もの子供や妊婦が被害にあったとするなら、恐ろしいことだ。しかし若干の疑問が残る。それは、ウクライナの軍事施設や軍隊に使うべき武器弾薬を使って、市民を直接攻撃するのだろうか? ロシア側の指揮する人物は態々国際的孤立を目指しているのだろうか? という疑問である。

 

もし、ロシアのラブロフ外相が主張するように、ネオナチ集団、つまりオデッサでビルに逃げ込んだ50人ほどの親露デモ隊を焼き殺したアゾフ連隊(現在ウクライナ政府内の組織)などの集団、が占拠しているのなら、現状から考えて、ロシア軍にも十分に爆撃する動機が存在する。(補足1)

 

オデッサ事件と今回の戦争の背景についての解説動画を以下に引用する。

 

(補足2)

 

また、もしこれがロシア側の主張のようにフェイクニュースでないのなら、ロシアとウクライナの間の憎悪感情は恐ろしく増幅されており、戦術核が用いられるのも時間の問題かもしれない。我々日本人が真に考えるべきは、その事態を如何に避けるかということである。

 

このような人類の終末論的な危機を考えるべきとき、今朝のTV放送「ザ・プライム」は、「何らかの形で、NATOがウクライナに直接的にウクライナとロシアの戦い渦中に入るべきだ」と議論している。恐ろしく幼稚であると思う。

 

今は、ゼレンスキー大統領に、一旦は白旗をあげること、或いは、米国が2月中に打診したように、ウクライナを離れることを進言すべきだろう。(補足3)今、ロシアに軍を引かせることは至難だが、それに比べて(ウクライナが一旦親露政権になったとしても)戦後例えば数年後ウクライナに民主的な選挙が挙行されるように応援することの方が遥かに容易である。

 

今は、姑息だと思われるかもしれないが、全人類のことも考えて、ウクライナの人的被害を最小限に抑えるべきだと思う。

 

 

2)ウクライナのゼレンスキー政権とネオナチ集団との関わり:

 

ゼレンスキー大統領は、これまで汚職の温床のように言われてきたウクライナの新興財閥(オリガルヒ)の一人コロモイスキー氏の応援で大統領になった。彼は、コロモイスキー氏所有のテレビ局が放映した「国民のしもべ」で有名になった元コメディアンである。

 

因みに、ゼレンスキー氏が大統領となり、ウクライナは、大統領と首相の両方がユダヤ人である世界で二番目の国となった。https://www.huffingtonpost.jp/entry/who-is-zelenskiy_jp_621da790e4b06e1cc59413f9

 

爆撃されたという小児科病院は、ドネツク自治州の黒海沿岸の街マリウポリにある。ドネツクと言えば、2014年から始まる政変の主要舞台の一つである。この2014年のクーデターで欧米諸国(つまりNATOを構成する国々)は、暴力デモ集団の要求を受け入れるよう当時のヤヌコビッチ政権を制裁で脅している。その暴力デモ集団の一つがアゾフ大隊である。米国CIAがブラックウォーター(傭兵の派遣会社)の私兵集団をこの暴力デモに派遣した疑いもある。

 

アゾフ大隊がどのような組織かは、ウィキペディアにも書かれている。それは、上述のようにゼリンスキー大統領を応援したオリガルヒのコロモイスキーが所有した私兵部隊であった。しかし現在では、ウクライナ内務省管轄の国家親衛隊の中に組織されている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4435d40d5ece106952c0216b84c3ce42a0cd82c7

 

この組織については、以下のような報道もある。

ロシア系の人々を相手に暴力的な衝動を発散させたいアゾフ連隊と、ロシアに支援されたウクライナ東部を攻撃したい新ウクライナ政府の利害は合致し、アゾフ連隊はウクライナ国家親衛隊に組み入れられたのであるhttps://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/21097

 

この事実を先ほどのテレビ番組にでている櫻井よしこ、橋下徹、佐藤正久、渡辺周などの人たちは知っているのだろうか?

 

更に、アメリカの現国務次官のビクトリア・ヌーランド氏が2014年の政変時(マイダン革命と呼ぶ場合もある)に、ウクライナ新政権の人選について話し合っている音声がYoutubeに暴露されているという。つまり、ウクライナとロシアの戦いは、米国(非トランプの伝統的政権;NATOのトップ)とロシアの戦いという大きな構図で捉える必要がある。

 

実際、米国で物を言う投資家として有名なジムロジャーズが、今回のロシアによるウクライナ侵略は、米国国務省がキエフでクーデターを引き起こした2014年に起因していると主張している。https://moneycentral.com.ng/markets/article/jim-rogers-none-of-this-should-be-happening-its-absolute-madness/

 

その様に考えたら、今「ザプラム」で行っている、2014年のクーデターには一切触れないで、ウクライア善でロシア悪というナイーブな議論を垂れ流す TV放送は、電波空間と日本人の頭の中を汚すだけだと思う。

(11:30 小編集;17:45最初のセクションの最後の文章を多少変更)

 

 

補足:

 

1)このセクションの太字部分は、双方が虐殺の責任を互いに追求されるべきことを示している。ゼレンスキーのウクライナのみがロシアに対して攻撃できる立場ではない。

 

2)この動画で、主権国家への侵略は言語道断だと話している。それは、国家間の関係に「法による正義の実現」という国内での犯罪行為の善悪論を適用できるのなら正しい。この場合の法とは国際法である。しかし、その枠内で事が治るのなら、全ての戦争は起こらない。ある国の他国への行いが国家の命運を左右するのなら、戦争は国際法の禁じるところではない。つまり、問題はロシアの侵略行為が防衛戦争なのかどうかということとなる。米国やNATOがロシアの発祥の地である隣国に、深刻な政治介入を行っているとした場合、そしてロシア国籍の人たちが虐殺の危険に晒されているとするのなら、ロシア側にも一定の理由があることを認めなければならない。

そうでないと、北朝鮮から軍事力で拉致被害者を取り戻すという選択肢が、もし独自軍を持つまともな国であったとしても、日本に無いことになる。

 

3)穿った見方をすれば、ロシアがウクライナを侵略した段階で、「悪者ロシア」の証明ができたので、ゼレンスキーさんの役割は終わったというのが、米国の考えなのかもしれない。

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