1)そこまで言って委員会のインチキ解説:
昨日のTV番組「そこまで言って委員会」で、ゲストに小川泰平氏を招き安倍氏暗殺について解説を聞くコーナーがあった。そこで、小川氏は安倍氏暗殺の山上単独犯行説を、嘘?をまじえて披露していた。坂東忠信氏など警察関係者は警察という組織を守るためか、この件に関して非常に不自然な推論を主張している。(補足1)
安倍氏暗殺で最も信頼の出来る資料は、救急搬送先である奈良県立医大の福島教授の説明である。その記者会見における説明によれば、体にあった銃弾によると思われる傷は、右(鎖骨上)頸部二か所と左肩である。福島教授は、銃弾の入口は傷が小さく、出口が大きいとの理解の基に、左肩は射出孔だと思うと明確に答えておられる。https://www.youtube.com/watch?v=kbjp3F0eA38
それにも拘わらず、小川泰平氏は、山上容疑者が後方から撃ったという前提を置いて、左肩から弾が入り、致命傷を安倍さんに与えたと思うと解説していた。更に、右頸部の二か所の傷の一つを勝手に左に移動して、左頸部から弾が入り、5㎝位離れた右頸部から弾が出たと解説していた。(補足2)
かなり有名な警察関係者を雇い、このようなインチキ解説をする放送局の意図は、政治的なものであり、これこそ陰謀論中の陰謀論である。テレビ局と小川氏は恥を知るべきだ。
2)銃撃による反動の大きさについて:
最近、安倍元首相の暗殺に関連して、山上の射撃は空砲だったのではないかという高田純という方のツウィートが話題になっている。その根拠は、山上が射撃の瞬間に後ろ方向に力をうけたようには見えないということのようだ。
追補(9/13/18:00):高田氏が見たと思われる動画が発見できた。
http://hima-kami.blog.jp/archives/15749141.html
私も最初からその可能性を考えて居たのだが、銃撃の瞬間を撮影した動画が無いので、何とも言えなかった。ここで、高田純氏の見た動画を信じて、それについて今出来る話をする。
山上は直径約1センチの銃弾(ベアリングの鉄球?)を6発つめて発射したという。直径1cmのスチールボール一個の重さは約4gだそうで、それを6個詰めると合計の主さは24gとなる。(補足3)流れ弾が、90m前方の駐車場の壁に深く入り込んだことから、普通の銃のように飛距離があったと考えられる。http://www.pluto.dti.ne.jp/~funabe/weight.html
銃弾の初速はネットで検索可能である。https://hb-plaza.com/ballistic/
ハンドガンの場合、上記の表で最低の初速は750フィート/秒程度(約230m/秒)である。
24gを230 m/sで発射するとき、その反動の大きさは、普通の力学の計算法では:
FxΔt=230 m/s X 0.024 kg =5.52 kgm/s ①式
となる。発射したときの衝撃を仮に0.01秒で受け止めるとした場合、平均55.2 kg重の力を後方に受けることになる。その衝撃は相当大きい筈であり、その場面の動画があれば後方にドスンと押される様子が見えるだろう。
高田純氏は、計算抜きで、ツイッターでそのような発言をされたようである。この件は、加藤清隆氏と山口敬之氏らが出席するウイークエンドライブというyoutube番組でとりあげられていた。
https://www.youtube.com/watch?v=6-o0RmTeUco (空砲説:13:00~)
その中で山口氏は銃口が上に跳ね上がると言っているが、それは通常のハンドガンのハンドル部分を持って撃った場合である。銃身の鉄パイプ全体を抑えている場合は、山上の体全体が後ろに押される筈である。
この点をもう少し考察する。
火薬が爆発して、そのエネルギーが銃弾を加速する間、銃全体は後方に力を受ける。銃弾が加速される時間を見積もる意味で、簡単な計算をしてみる。以下は、爆発現象の専門家から見れば、とんでもない計算だろうが、おおよその見積にはなる。
弾丸が一定時間(例えば長さLの薬莢部分から出る時間)一定の加速を受けるとする仮定を用いると、230 m/s まで加速される時間はL/115(秒) となる。この計算ではワッズ(補足4)の重さは無視している)Lを5 cmと仮定すると、加速時間は0.35ミリ秒となる。その時の力は①式を用いると上記数値の3倍にもなる。その大きな反動を普通は、受け止められない.
そこで、もう少しネットで調べると、普通にはリコイルバッファを取り付けるという記述を見つけた。https://blog.evolutor.net/2017/05/13/m4-mws-recoil-up/
リコイルバッファが取り付けられていたとして、上記時間を10倍に出来たとしよう。それでも、18㎏重 の力で後方に押されるのである。もし山上の撃った銃が空砲でなかったなら、腰を落とし構えてショックを受け止める姿が見られた筈である。 (以上)
(14:00,編集あり)
補足:
1)坂東氏も弾丸は考えられないような複雑な動きをするとして、その弾丸が右鎖骨上から入射したのではなくそこから出て行ったのだと話している。私にはごまかしとしか聞こえない。何故なら、救急医として治療に当たった福島教授は、右鎖骨上の傷は二つとも小さいので、入射痕とし、左肩の傷は非定型だったので、出射痕とした。それを勝手に変えるには相応の論理が必要。複雑な動きは、体内の傷に対する説明になっても、入射痕と出射痕の推定の理由にはならない。
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12756554709.html
2)こんな弾道なら、のどぼとけが吹っ飛んでいる筈である。そんな印象的なことを福島教授は見逃すはずはない。それに、青山繁晴氏が警察で聞いた司法解剖の結果に基づいた話ともことなる。
3)青山繁晴氏が警察から聞いた話で、8月28日の記事に書いた。材質は分からないが通常のベアリング球(SUJ2) なら鉄より少し比重が小さく、重さは約4グラムである。
4)散弾の場合、薬莢の中で火薬の次にワッズという詰め物を置いて、その上に散弾を詰める。ワッズが機密性を保つて、爆発で生じたガスが効率よく弾丸を加速するようにしている。
https://knowledge.nilay.jp/articles/1414035778/
図は上記文献から写させてもらいました。
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