2013年11月18日月曜日

株式についての一考察

 数年前までの私の株式に対する理解は、「株主総会に出て発言する権利と配当を受ける権利を示した証書」という程度であった。そして、配当の株価に対する割合や優待券が気になった。しかし、株価が高くなれば売って利益を得られる位のことは解るが、有名な米国アップル社や日本のガンホーエンターテインメントのように配当を出さない会社の株価が、何によって決定されるか今一つ理解出来なかった。その後、ある会社のある時点での相対的株価は、株価利益率(PER)、株価純資本比率(PBR)そして、総資本における純資産の比率、事業の将来性などにより、決まることまで理解が進んだ。そして、最近になって漸く、国全体の財政や金融政策を含む経済(マクロ経済)において、株式市場はお金のプールのような役割を果たしていること、そしてそれが重要な株価決定因子であることが解った。同様の役割をするものに金や不動産などがある。(注1)
 以上のような理解で株式に対する投資を考えてみると、現在の様に株式が高値を付けているのは、各国の中央銀行がお金の発行額を増やしていることが原因であることが解る。例えば米国は2008年のリーマンショック以来、通貨量を約4倍に増やしており、現在株価は史上最高値である。そして、経済指標が良くなると連銀(FRB)が量的緩和(QE)を早期に止めるのではないかという思惑から、株価が下がるという事態になっている。景気が良くなりそうだから株価が騰がる通常の法則が成り立たないという、異常な状態になっているのである。一方、日本は昨年までは殆ど通貨量を増加させていないが、昨年10月からの1年間に約40%増やしたので、株価は約2倍程度に増加した。しかし、未だに2007年の高値には達していない。前日銀総裁の時に、米国の様に量的緩和が出来なかったのは、既にゼロ金利であり、紙幣への需要がなかったためである。つまり、金を出しても日銀の当座預金が増加するだけで、企業への貸し出し=>企業の投資=>経済成長のサイクルが回らないと考えたからである。そしてこの考え方をとる人(例えば野口悠紀雄氏など(注2)、大勢いる)はアベノミクスには批判的である。この場合、余分なお金は株や不動産に流れて、所謂バブル状態になる。
 我々一般人はこのような情況下で今から株式市場に参加することには、かなりの危険が伴うことを承知しておかないといけない。株価は来年には日経平均で2万円になるかもしれないが、外国のファンドの空売りによる株価暴落の事態も覚悟しなければならない。(注3)バブル崩壊の時には、機関投資家はいち早く市場から逃げ、一般投資家が取り残される場合が殆どである。そして、機関投資家が外国人ならば、資金は外国に移動し(つまり日本の富が流出し)、日本人ならば銀行を通して最終的には日銀の当座預金として積み上がる筈である。最近NISAというのが話題になっている。これは一定額の株取引を無税にするという特別な証券会社の口座であり、一人一口座開設できる。政府は、株式譲渡や配当に関する所得税(分離課税)をこれまでの10%から20%にするのと同時にこのNISAを始めるのは、明らかに、株式市場に我々の少ない預金を吸い上げようとする企みである。

注釈:
1) もちろん何となくそのような役割があることを感じては居たが、理解というレベルではなかった。因に、株や不動産特に人の住まない都心のマンションなどに、お金のプールとしての役割を持たせ、且つ、それらがお金の受け皿となっていると知りつつ中央銀行が莫大な量的緩和を行なうことは、金融を不安定な状態にすると思う。紙幣は需要に従って発行し、その量は金利などによって調節するのが本来の姿だと思う。ゼロ金利でも金が出て行かないのは、経済界に活気が無い為で、それには別の薬が必要だと思う。尚、円高は政治に信頼がなく国民が貯金に励み、その金が国内に滞留して海外へ流れないことが原因で、これも量的緩和でなくて別の薬が必要だと思う。11/28に追加:安倍=黒田金融政策が成功したように見えているのは、円安になって輸出企業の賃金などの国内コストが、低下した為である。
2) 例えば:http://astore.amazon.co.jp/noguchionline-22
3) 日本の株への外国人の投資額は40%近い。過去、グリーという会社の株が2800円近いとき(H24/1)から、モルガンスタンレーやドイツ銀行などの外資系ファンドは空売りを始めた。その結果株価は暴落し、現在は当時の株価の1/3以下になった。これらのファンドが、グリーの将来に暗雲をいち早く観測して空売りのチャンスをつかんだのである。その当時、日本のアナリストのグリー評価は依然高かった。現在、グリーの株価は業績低迷に拘らず徐々に上昇しているのは、ファンドの空売り解消の買いが一因である。これらのファンドは大もうけした筈であるし、私を含め情況に詳しくない(同社のPERやPBRを知っていても)一般人は大損をすることになったのである。それに、インサイダー取引、株価操作など、法の網にひっかからないだけで、日常茶飯事であると感じている。
ーー 最近、大学時代の同窓会に参加し、そこで株が話題になった。そこで、ちょっと私の考えなどを書きました。(11/25修正)ーー

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