2020年5月25日月曜日

オバマゲート(II) FBIと癒着して出来たチームオバマ

1)ロシアゲートの復習:

 

今日の及川幸久氏による言論チャンネルでのオバマゲートの解説は非常にわかり易い。https://www.youtube.com/embed/UwGdGSXuWjY

しかし、尚分かりにくい部分や疑問が残るので、自分なりに及川氏の解説を整理して理解の助けとしたい。

 

2016年12月29日に次期トランプ政権の安全保障担当補佐官に決まっていたマイケル・フリンが、ロシア大使と電話で話をした。内容はオバマ政権がロシアに課した経済制裁の解除についてであった。FBIがこの電話を盗聴することは、外国諜報活動偵察法(FISA: The Foreign Intelligennce Surveillance Act) により合法的である。

 

その内容を政府高官に示す場合、FBIは外国の諜報活動を対象にするので、米国民や米国の機関の名前が会話に含まれていれば、そこを黒塗り(マスキング)にして見せることになる。それは、米国市民のプライバシーを捜査関係者以外に漏らすことになるからである。

 

ただ、政府高官などから正当な理由とともに開示要求がなされたなら、その黒塗りを外して(アンマスキング)情報を提示することになる。(このアンマスキングは後の主題)その要求を当時のオバマ政権の誰かがして、ロシア大使と話した相手の名前が、大統領選挙の時にトランプに協力していたマイケル・フリンであることを知った。(補足1)

 

オバマは、トランプにヒラリーが負けたことに腹立たしく思い、トランプが違法にロシアの協力を得て大統領になったというストーリーにとり憑かれた。そして、ホワイトハウスから去る直前に、その物語を完成させるべく会議を開いた。

 

そこに参加していたのが、オバマの他に、バイデン副大統領、コミーFBI長官、スーザン・ライス安全保障担当補佐官、そして司法副長官だった。

 

このオバマらのやり方は、国家の行政のトップが警察や検察を政治に用いてはならないという三権分立の原則に反する。オバマとバイデンらのこの会議と、その後のFBIのフリン捜査が民主主義の原則に抵触するのである。マイケル・フリンとロシア大使の話が、犯罪(国家に対する反逆)の可能性があると考えられるものなら、それはFBIが独自に捜査を続行すれば良いことである。

 

2)マイケル・フリンの取り調べ;

 

上記原則論は、当然上記の人たち全てが最初から承知していることである。従って、FBIは捜査ではない振りをして、大統領補佐官になったフリンから、ホワイトハウスの然るべきルートを通さずに話を聞いた。それが不当な捜査の類に分類される。トランプがその直後に「FBIに嵌められた」と言ったのは、そのような理由があったからである。

 

正当な捜査なら、米国でも容疑者に取り調べの主旨と、「嘘をついたなら偽証罪に問われます。弁護士の同席が可能です」などと告げた後に、聴取されるだろう。しかし、FBIは「小さいことです」と言って、私的会話のようにフリンから話を聞いたのである。

 

マイケル・フリンが行ったことの罪を問うとしたら、差し当たり適用可能な法律は、ローガン法だった。ローガン法は、「私人が外国政府関係者と話をしてはならない」という古い法律であるが、言論や報道の自由を記した憲法に違反する可能性が大きい。従って、それを表に出して、捜査の告知はなかなかできないので、「ちいさいことです」という言葉になったのだろう。

 

FBIの本当の目的は、オバマが指示した捜査、「ロシアとトランプ陣営が協力して、ヒラリーとの大統領戦に臨んだ」という物語の実現であった。無理に作り出そうと努力すれば、FBIの捜査もかなり違法性が濃くなってくるのは当然だろう。

 

そして、「自白したら罪を軽くしてやる」という、日本の警察が良く行う悪党の取り調べ風になったのだろう。あとで冤罪となるケースが多いのは、自白を強要した後に、それに合致する証拠を捏造するタイプの“犯罪捜査”である。

 

FBIは、「あなたが有罪を認めないのなら、あなたの息子をロシア疑惑で取り調べることになる」と言ったという。つまり、この話の筋では、FBIは司法取引の形で、嘘の証言としてロシア疑惑の一部を認めさせる方針だったことになる。

 

ここまでフリンの弁護を担当していた事務所は、FBIと繋がっていたと言う。その司法取引に異議を申し出たのが、シドニー・パウエル弁護士であった。(補足2)

 

司法取引という形で、ロシア疑惑の物語を創り上げ、それを根拠にムラー特別検察官にトランプの弾劾裁判をさせたのである。上院で否決されたのだが、それも予想の範囲だっただろう。要するに、大衆は弾劾裁判までことが進んだことで、トランプに悪い印象を持つ筈だからである。

 

以上が及川幸久氏の動画の内容に私の推測も加えたフリンの捜査である。

 

3)オバマゲート:

 

オバマゲートは、以上のFBIの違法な捜査とそれによるトランプ追い落としが、オバマ前大統領らによる指示だったという疑惑である。トランプのロシアゲートとは独立に、オバマゲートがあり得る。オバマ元大統領が先頭にたって、政敵の周辺捜査を行った疑惑である。それはニクソンのWatergateと酷似している。そして、それは独裁者の習近平が王岐山にやらせた政敵追放の方法と似ている。(補足3)

 

その検索をしてたら、ニューヨーク・ポストという歴史ある新聞の記事が検索に引っかかった。そこには次にようにかかれている:

 

With the release of the names of more than a dozen officials who asked to have Gen. Michael Flynn’s identity “unmasked,” the apparent effort to take down President Trump — before he even took office — is starting to look like a broader Team Obama scheme than first thought.

意訳:大勢がマイケル・フリンの正体をアンマスクする要求をしたことが明らかになり、最初考えられたよりも大きなチームオバマによる、広範なトランプ追い落とし作戦の図式が明らかになった。

 

The disclosed names include those of ex-Vice President Joe Biden, Obama Chief of Staff Denis McDonough, FBI boss James Comey and intel chiefs John Brennan and James Clapper. Acting Director of National Intelligence Richard Grenell sent the list of names to Congress on Wednesday after they were declassified.

意訳:情報開示要求をした人物は、前副大統領のバイデン、ホワイトハウススタッフD. McDnough、コミーFBI長官、等。機密を外した書類として、このリストを水曜日に議会に提出した。

 

この件がオバマゲートと呼ばれるようになったのは、フリンとロシア大使の電話の盗聴記録で黒塗されていた部分のアンマスキングを要求した人物として、バイデンらの名前を、国家情報局長官代理のリチャード・グレネル(Richard Grenell )が議会に送ったからである。(補足4)

 

国家情報長官(DNI)とは、米国のFBIやCIAなど17の情報及び諜報機関を取りまとめるキャビネットのメンバー(国務長官とか商務長官などと並ぶ職)である。

 

トランプが心の中で密かに目指すのは、次期大統領選の競争相手であるバイデンを不利にすることである。それは公然の秘密である。しかし、トランプはあくまでも密かに目指さなければならないと思って居る筈である。トランプが目的が明らかになる形で公然と捜査等の指示を出したなら、オバマゲートが今度はトランプゲートになるからである。

 

トランプはウクライナとバイデンのケースでは、薄氷を踏むおもいだっただろう。兎に角、10月に行われる米国大統領選は、新型コロナ肺炎とそれによる大不況の中で苦しむ国民を巻き込んだ泥試合になるだろう。

 

検察と行政トップの癒着は日本の安倍総理にも向けられた批判である。最近の政治の劣化は、真実と言葉を大切にする心得と、そして遵法の精神の両方を失った人間に与えられた神の罰のように思える。その中心に中国共産党政権とそれを利用して金儲けに走るグローバリストの集団(ディープ・ステートと呼べるだろう)があると私は思う。

 

以上、素人の推測も混ぜて、及川幸久氏の動画の解釈でした。

 

補足:

1)最近、最初からマスキングされていなかったという話がワシントン・ポストよりだされた。この件についての解説が以下のサイトにあるようだ。直ちに理解出来る話ではないので後回しにする。https://www.nationalreview.com/2020/05/michael-flynn-was-not-masked-because-fbi-framed-him-as-a-clandestine-agent-of-russia/

 

2)このパウエル弁護士の講演は、以下の動画にある。その中で、この件についても話している。

https://www.youtube.com/watch?v=LTV1Y_QuZOM

パウエルは、「Licensed to Lie: Exposing Corruption in the Department of Justice」という本を2018年に出版している。多分、この本にはマイケル・フリンの弁護士事務所とFBIの関係が書かれているだろう。

 

3)中国では、共産党幹部が袖の下を受け取るのは、中国文化とでも言えるほどである。(柯隆氏が富士通総研時代に言っていた)つまり、日本のパチンコという賭博、あるいは低いレートでの掛け麻雀の類である。行政トップが司法と癒着すれば、その政権は全ての政敵を失脚させることが可能である。

 

4)補足1と関連して一言追加。「 who asked to have Gen. Michael Flynn’s identity “unmasked”」と書かれて居るが、 フリンの名前がマスキングされていたかどうかに関係なく、この盗聴記録全体の開示要求を誰がしたかということが問題である。日本では、マスキングばかり話題になって居るが、書類全体が機密であることを忘れてはいけない。

 

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