2020年8月15日土曜日

日本やドイツなどとの同盟解消を主張する米国シンクタンクの論文について(II)

今朝の文章の主題を別の方向、特に歴史的背景から素人的に考察した文章です。そのため、多少重なる部分があります。

 

1)新冷戦と日米同盟

 

日本と米国は現在非常に大事な同盟関係にある。新冷戦2.0の最中にある米国は、日本の命運を握る同盟国であると同時に、日本は、米国の安全にとっても不可欠な同盟国である。トランプ大統領は、中国共産党政権と現体制の米国が将来に亘って共存関係にあり得ないと言っており、その見方は米国議会においても強くなっている。それは先日行われたニクソン記念図書館でのポンペイオ国務長官のスピーチで明らかにされている。

 

「私の今日のスピーチは、アメリカの人々のためにすべてをまとめ、中国の脅威が私たちの経済、私たちの自由、そして世界中の自由民主主義の将来にとって何を意味するかを詳しく説明することです」と話す。

 

ポンペイオ国務長官の話は、以下のように続く。

「来年キッシンジャー博士の極秘訪問から50年になり、そして再来年はニクソン大統領訪中から50年である。自由と民主主義への中国の進化を提案した私たちの指導者の理論は真実だと判明したのか? この現在の関係が、中国が定義するWin-Winの関係なのか? 中国の支配者の究極の野心は、米国との貿易ではありません、米国を襲撃することです。」

 

ニクソン大統領は今日の中国を予想しなかった訳ではない。その証拠に、嘗て「共産党に世界を開放することにより、フランケンシュタインを創造することになるかもしれない」と語ったという。ニクソンが中国に自由主義世界に招き入れた目的には二つあり、国務長官が話さなかった方「冷戦においてソ連に勝利するために中ソの間を明確に裂くこと」が、恐らく主目的だったのだろう。

 

このポンペイオ長官の言う中国との戦いにおいて、考えられる戦場は南シナ海かもしれないという人が多い。しかし、実際の戦闘にはならないだろう。それは双方伴にあまりにも損害が大きく、更に終点の見えない破壊の連鎖となる可能性すらあるからである。

 

しかし、勝敗は何らかの形で付くだろう。米国が勝つ重要なポイントは、台湾を中国共産党政権と分断することであり、そして日本と中国との分断を完全にすることである。台湾が中国共産党に飲み込まれれば、日本も同じ運命を辿る筈である。つまり、米国が中国と対峙するとした場合、その最前線が台湾であり日本である。(藤井厳喜、林建良著、「台湾を知ると世界が見えてくる」)

 

先日、CSISという最も著名なシンクタンクが、安倍首相の対中姿勢に大きな影響を与えてきた人物として、自民党の二階俊博幹事長、そして首相補佐官の今井尚哉(たかや)氏をあげた。つまり、日本と中国の関係に米国は苛ついているのである。日本は未だに曖昧の国である。https://news.yahoo.co.jp/articles/b0645ea1504bd58db63e8502cda3577fb17ad6f7

 

2)尖閣が危ない

 

中国は、一番弱いところから攻撃するだろう。恐らく、台湾海峡や南シナ海で戦闘を開かないだろう。実際、中央から「中国側から一切攻撃しては成らない」という司令がでているようだ。https://www.youtube.com/watch?v=swxgiRZE2Mc

 

超限戦の国が、日本の真珠湾攻撃のように直接的な戦いで、負ける戦争はしないだろう。最初の争いは尖閣で起こると私は予想する。最初は漁民が尖閣に上陸する形を取り、その中で何らかの異常事態を演出して、軍が上陸する。既に多くの方が尖閣問題を主題にした文章で書いてきたシナリオである。

 

そこで、日本の自衛隊がなんの有効な手段をとれない場合、米軍も動かない。自衛隊が動かないのは、日本政府のトップから明確な司令が出ていないからだろうし、日本のトップは米軍が動かない可能性を考えるから明確な司令が出せないのだろう。安倍総理の健康状態が悪いのは、この所為だろう。日本だけが生贄の羊になって、新冷戦2.0が中断する可能性が総理大臣の頭を支配している可能性がある。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12615278651.html

 

安倍総理は、独ソ不可侵条約を知って「複雑怪奇」と言った平沼騏一郎の二の舞をして、世紀の愚将の名を歴史に残す可能性を恐れるだろう。中国は、対策が出来ない情況を作り、日本側に強い落胆の気持ちを起こさせる。つまり、日本人の心理を利用して、日米同盟にヒビを入れるのである。その後、米国はあてにならないという日本世論が大きくなれば、先の記事に書いた「米国は日本との同盟関係を解消すべきだ」と言うプロパガンダが、鮮やかな輝きを見せる。

 

香港は既に中国共産党政権に飲み込まれている。勿論、香港を吐き出したときは、中国共産党政権の終焉が近いことになる。しかし、日本が中国の衛星国に一歩傾けば、米国の言う民主国の連合とは極めて剥離しやすい安っぽい作りであることが暴露されるだろう。つまり、米国ポンペイオの作戦の重要な鍵は尖閣にあり、日本にあると思う。

 

日本と米国の不許和音は、台湾にどれだけ影響するかわからない。香港もどれだけ落胆するかわからない。何故、周庭さんが香港警察に逮捕されたときと保釈されたとき、その気持を日本語で述べたのか? それは、香港の自由と日本の自由が台湾を挟んで、結ばれているという理解があるからである。

 

3)日本と米国の不幸な関係

 

台湾は先日亡くなった李登輝さんにより民主主義国となった。それ以来、日本を友人として考えて下さった。不幸なことは、田中角栄の時代に日本は台湾との関係を切り、共産党支配の中国と国交を結んだ。その時の考えは、恐らく田中角栄は米中の間で消滅する可能性を考え、その危機的情況を乗り切るには、日中国交回復以外にないと考えたのだろう。

 

毛沢東は、田中角栄に言った。日本は4つの敵に囲まれている。その全てを相手にしては、消滅するだけだ。我が中国と組まないかと、田中を誘った。4つの敵とは、米国、ロシア、(毛沢東の)中国、欧州である。

 

その20年前から今日まで、日米は安全保障条約を結んだ同盟国である。つまり、日米安全保障条約は米国の安全保障のために作られ、且つ、今まで存在した。最初はソ連と中国との冷戦の基地を置くために出来た。それが、中曽根総理(レーガン政権当時)に日本列島は不沈空母だという発言の理由である。その米国の安全保障のための同盟は、中国と対立する今、益々重要となっている。

 

日本の平和憲法、日本の占領終了、平和条約、日米安保条約は、日本を将来に亘って武装解除の状態に置くことと対ソ冷戦に対応する為の1セットである。つまり元々米国の安全保障のための米国の政策であった。更に、マッカーサー自身による議会証言や、フーバー回顧録によって、日本との戦争は米国フランクリンルーズベルトの事情と計画によって作り上げられたシステムであり、そのスイッチを山本五十六が押したという事実が米国でも徐々に理解されつつある。

 

先に紹介した文章でBandow氏は、平和憲法に日本は隠れているというが、それは完全な間違いである。繰り返すが、平和憲法と安保保障条約はセットで、日本の本格的な軍保持を抑えるためであり、それは瓶の蓋論として知られている。その上で、WGIP(War Guilt Information Program;東京裁判史観での洗脳のプログラム)で日本国民を徹底的に洗脳し、それに錠をかけたのである。そして鍵をドブに捨てて米国は帰ったのである。

 

その米占領軍の主の召使いが、70年後になって、平和憲法に隠れていると非難する身勝手な話は、米国自身が攻撃すべきである。それに、日本のまともな政治家を潰してきた経緯、そして、他国との平和条約の締結を妨害してきたことなどを考えると、Bandow論文ほど腹立たしい文章はない。(おわり)

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