2021年4月12日月曜日

客のマスク拒否が騒動に発展する原因:日本社会に欠けた法の理解

1)再びマスク拒否事件:

 

今朝のTVニュース(朝日系)で、千葉県のある食堂でのマスク拒否騒動が放送されていた。30代の男性が店員の要請にもかかわらずマスクを拒否して、トラブルになったのである。マスクをしてくださいという「お願い」が掲示されていたが、客のOさんは拒否したのである。

 

多分、店員のOさんへの要求は、他の客の要請に基づいて行われたのかもしれない。店員との口論の末、どちらからともなく暴力行為の応酬となり、警察が呼ばれることになったのである。

 

驚くことに、このOさんは、以前ピーチ航空機内でマスク着用を拒否してトラブルになった事件の当事者であった。その飛行機は、航路途中で着陸してOさんを下ろし、結局2時間ほど遅れて目的地に到着した。昨年9月のこの事件は、結局業務妨害か何かでOさんが起訴されたようだ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/97284

 

この男性が関与したネット掲載のマスク騒動は、合計4回ほどあるというのも驚きだが、更に驚くのは、Oさんは、大阪の裕福な家庭の出身で、京都の名門私立の洛星高校から東大法学部に入学した“エリート”だったということである。https://newsmatomedia.com/okuno-junya

 

Oさんのマスク拒否の理由は、「マスク着用は店側の依願であり、自分には拒否する権利がある」である。その他に健康上の理由に言及したりしているが、それはどうも怪しいようだ。https://www.fnn.jp/articles/-/168006

 

このOさんが引き起こしたピーチ航空内での事件については、既に一度ブログに書いている。根本的な問題点はそこで書いている。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12624090435.html

 

新たに一文書くことにしたのは、店側が簡単にこのような客を撃退する方法を示す為である。それは、店の前に「マスク着用に関しては、店員の指示に従うことを条件に、入店してください」との文章を掲示することである。

 

Oさんにマスクをしてもらいたいと店員が思ったときには、この掲示をOさんに思い出して貰えば良い。その指示に従わなければ、契約違反にあたると言えば、すぐに退去するだろう。この男は、論理を翳してマスク拒否をしているのだから、撃退も論理的に行えば良い。

 

2)日本の病根との関連:

 

日本の社会に欠けているのは、「日本は法治国家であり、社会のルールは法と論理に基づいて作られている」という認識であり、その教育である。つまり、個人が社会に出て(家庭外で)行う全ての行為は、法により裏付けられているのだ。

 

買物も、食事も、法的には契約行為である。契約書はいちいち交換していないが、ラーメンを店で食べる行為、お金を支払う行為は、食物の売買やサービスの提供に関する契約行為である。そのことを学校で教育していない。

 

契約には条件があるのが常である。つまり、(繰り返しになるが)飲食店は、マスク着用をお願いとしてではなく、契約の条件として店の前に掲示すれば、このようなトラブルを防ぐ事が可能である。Oさんは東大法学部を出ているのだから、このようなトラブルの際にその契約の事実を指摘すれば、すぐに退散する筈である。

 

因みに、私はこのブログ・サイトで、日本社会のいい加減さについてはいろいろ書いてきた。「日本の病根」の項目中の記事をご覧いただきたい。

 

その第一が、国家の基本法の体をなしていない憲法である。第9条の2も大問題だが、その他にも、非常事態宣言の項目がないことも欠陥の一つである。(補足1)そのため、新型コロナの強力な防疫体制が、個人の権利侵害を含むかたちでなかなかとれない。(補足2)https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12587503729.html

 

日本は明治以来、西欧のマネをして、社会を構築してきた。出来るだけ多くの個人が、社会(国家)のモデルを原点から論理的に構成し持つことが、日本の近代文明を西欧の猿真似に終わらさないためには必要だろう。

 

因みに中国は、西欧文化を無視している。オリジナルな論理で脱西欧歴史&文化を主張している。(補足3)その恐ろしさに気づかず、憲法9条第二項をありがたがっているのは、日本人のほとんどが、原点から国家とその役割を考えていないからである。

 

終わりに: 私は、法律は素人である。何故、このような文章を書くことになるのか、自分でも非常に不可解に思う。

 

補足:

 

1)非常事態宣言が出来ないことの背景に、日本は国軍を持たないことがある。非常事態宣言の次にあるのは、戦時体制やその他の理由による軍政への移行である。

 

2)勿論、法律を制定して、マスク着用を義務化することは可能である。しかし、その憲法上の根拠は、「個人の自由は、公共の福祉の妨げにならない範囲で主張できる」(正確な文章ではありません)という部分であり、非常事態宣言の下での強制のような、国家による強い権力行使は出来ない。つまり、マスク着用を強要する場合、国家権力側が「感染もしていないひとでも、マスク着用を拒否することが、公共の福祉に反する」という根拠を示す必要がある。

 

3)この中国の姿勢と米国の「キャンセルカルチャー」の動きに連携があるかもしれない。これは近代西欧文明の危機である。

 

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