2021年10月28日木曜日

プーチンは自由主義世界の灯台なのか?

ロシアのプーチン大統領は、1021日ソチで開催された毎年恒例のヴァルダイ・ディスカッション・クラブでの演説で、“西洋の価値観(勢力を増している左翼の価値観)”を猛烈に批判しました。(以下、括弧内は本ブログ筆者の補足)

 

プーチンは、西欧(米国)左翼のキャンセルカルチャー、人種逆差別、性転換を正当なものとする教育の子供たちへの強制を、ロシアの考え方の対極的なものとして概説しました。

 

1)The Moscow Timesによる報道:

 

The Moscow Timesが報じたプーチン大統領による演説の内、米国を席巻しつつある左翼の活動を批判した部分を翻訳をしてみました。

The Moscow Timeshttps://www.themoscowtimes.com/2021/10/22/putin-rails-against-monstrous-west-in-valdai-speech-a75373

 

 

怪獣的「西欧」:

 

自分たちを進歩の旗頭と自負している国々で起こっていることに私達は驚いています。(欧米での)平等と反差別を求めている筈の闘争(或いは藻掻き;struggle)は、攻撃的でほとんど馬鹿げたと言える程の教条主義に変化しています。

 

人種差別に反対することは必要で高貴なことですが、(欧米での)新しい「廃止の文化(culture of abolition)」は「逆差別」に変化しています。(そんな運動などやらなくても)ここロシアでは、市民の大多数が人の肌の色なんか気にしません。

 

男性と女性が生物学的事実として存在していると敢えて言う人々は、ほとんど追放されています。今日の子供たちが幼い頃から、男の子は簡単に女の子になることができ、その逆もできると、教えられていることの恐ろしさは言うまでもありません。これは、ほとんど進歩の旗印の下で人道に対する罪です。

 

納得できる保守主義:

 

私たちは、健全な保守主義により導かれます。

 

世界的な“再調整の時代”(補足1)は非常に長く続く可能性があり、しかも最終的な見通しが不明です。そんな時代には、穏やかな保守主義が最も合理的な行動方針です。私たちの(ロシアの)社会は、社会的および政治的崩壊につながる過激主義に対する「集団的免疫」を発達させてきました。(補足2)

 

私たちの保守主義は楽観主義者の保守主義です…そしてもちろん、私たちは共通の高貴な目標のためにパートナーと協力する準備ができています。(補足3)

 

 

2)紀元頭條(Epoch Headlines)の記事からの抜粋

 

この同じ演説を香港のEPOCH HEADLINES(中国の反共的メディア)は、youtube の動画で、以下のように解説しています。https://www.youtube.com/watch?v=ZAN9A8GzbGk440710

 

 

中共が常にロシアを戦略的パートナーと主張してきたのは、実はロシア共産党が中国の共産主義を育成したから、マルクス・レーニン主義勢力のエージェントだからです。しかし、プーチン氏は中共の祖先とも言うべきマルクスレーニンと共産主義の思想を完全に否定しています。

 

1021日ロシアのソチで第18回バルダイ・クラブ討論会の年次総会が開催されました。

会議のテーマは「21世紀のグローバル・ショック」です。会議に出席したプーチン大統領は、

スピーチの中で「西欧社会は極左の社会主義イデオロギーに侵食されている」と指摘しました。これでは1917年のレーニン革命時のロシアで起きたことと大差はないと、警鐘を鳴らしました。

 

欧米の一部の国では、社会的・文化的ショックが起きている。自分達の歴史を積極的に消し去りマイノリティーのための“格差是正措置(アファーマティブ・アクション)”を進め、更には母性、父性、家族、男女の区別といった基本的価値観、伝統的価値観を捨てようと呼びかけているとプーチン氏は語りました。

 

その一例としてプーチン氏は「ハリウッドの制作条件では役者の性別や肌の色など映画の中にバランスがあるべきだと念を押され、時にはソ連共産党の中央宣伝部よりも厳しく言われれることもあります、と語り、”これはかつてロシアで見られた光景だった。

 

1917年の革命(レーニン)以来、ボリシェビキ(補足4)はマルクス・エンゲルスの教えを信じてきた。彼らはまた、伝統的な生活様式、政治経済的な生活様式、道徳を変えると宣言したが、これらは健全な社会の礎となるものであると語りました。

 

プーチン氏は西側諸国には、西側諸国がやりたいことをやる権利がありますが、ロシア社会の大多数は左翼のイデオロギーを拒否していると強調しました。

 

また、中共の下で横行している「密告」や「相互監視」に関し、プーチン氏は演説の中でその成り立ちについて、ボリシェビキ党は自分と異なる他の意見を決して容認することは出来なかったと語りました。

 

彼らは、時代の価値観を破壊しようとし、親戚や家族の内部告発を奨励した。当時これは進歩の現れと評価された。このようなことが今日起こっていることに気づいたと語りました。  

 

 

尚、プーチンの演説はHaranotimesさんによって、より詳細に紹介されています。その動画サイトは次の通りです。https://www.youtube.com/watch?v=Sv2gidGM-Qk

これら全ては共通した内容がほとんどなので、信ぴょう性が高いと思います。

 

終わりに:

 

プーチンの話は説得力がある。この考え方から考えて、一年前までのトランプ米国大統領と意見が合ったことが良く理解できる。この種の考えをロシアとプーチンがもっていることは、以前から馬渕睦夫氏(元ウクライナ大使)が動画等で話していた。

 

米国左翼がプーチン嫌いなのも、彼らが目指すところを明確に否定するからだろう。中国も米国左翼も、この演説には失望していることは明白である。ジョージ・ソロスが習近平を批判しているのは、習近平が彼ら米国左翼の路線から離れて、勝手に独自の動きを始めたからだろう。

 

日本が中国からの独立を22世紀以降も維持する上で、ロシアが重要な役割をする可能性がある。また、そのような道を封じたのが、米国DS(ユダヤ資本などを中心とした米国の影の支配層)による対日封じ込めである。具体的には、瓶の蓋の日米安全保障条約、自民党55年体制(米国と吉田茂)、北方領土問題などだろう。

 

特に、領土問題は日本をロシア、韓国、中国の3国から排除されるように、米国のDSが仕掛けた罠である。日本を孤立化させ、二度とまともな国として独り歩きすることが出来ないようにするためである。自民党は、その米国の対日支配組織として存在してきた。それを隠す人たちは、与野党を問わず全て反日勢力である。

 

トランプは孤立的で国際協力消極派だったが、共通の利益があれば日本の安倍政権とも協力できる関係にあった。もし、共和党ポンペオ氏らが新しい米国の政治のリーダーになれば、穏やかなロシアとの協力関係の樹立もあり得るので、日本も韓国も、米国が重視するインド・太平洋地域の中に戻ることが出来るだろう。現在の体制では、台湾以北の自由主義圏は、中国の支配下に入るだろう。

 

ただ、その流れを防ぐため、米国民主党とDSは再びあのインチキ選挙をやるだろう。それをHaranoTimesは警戒すべきだと指摘している。

 

 

 

 

補足

 

1)行き過ぎたグローバリゼーションによるバブル経済と富の偏在、何を考えているのか分からない左翼思想の担い手、仮想通貨など訳のわからない資産を含めて、実体経済と比較して膨大な資産(貸借対照表の大きさ)など、世界の経済や政治は極めて不安定な状態にある。更に、新型コロナなどのパンデミックで疑われる、倫理、道徳、科学までもが崩壊の危機にある。

 

2)「集団的免疫」とは、マルクス・レーニン主義の暗黒のソ連時代を経験しているという意味でしょう。それは異なる角度から切り取った次のEpoch Headlinesyoutube動画の内容から明らかです。

 

3)このパートナーとは、現在欧米を席巻している左翼と戦う人々を指し、トランプやその他の西側保守主義の人々、それらの人々が政権を持つ国々の意味だと解釈できます。この部分が、以下のEpoch Headlines HaranoTimesでは触れられていないのは、プーチンに対する警戒があるからだと思われる。

 

4)ボリシェビキはロシア語で多数派の意味。ロシア革命のとき、空理空論と暴力の両方からの勢力争いで、勝利した方がボリシェビキである。トロツキーも最初レーニンから信頼の厚いボリシェビキだったが、レーニン死後トロツキストとして排斥された。

2021年10月26日火曜日

日本人が気付かない最大の歴史問題

日本が抱える歴史(外交)問題の相手国といえば、誰もが韓国や中国を思い出す。執拗に従軍慰安婦像を世界に建設する韓国にウンザリし、南京での日本軍による30万人虐殺説を捏造して世界に宣伝する中国に恐怖を覚える。

 

しかし、もう一つの歴史問題、しかも最大のものがあることに気づかない。それは、現在の“友好国”と日本との間の歴史問題である。“友好国”としたのは、最大で最強の敵対国だったし、今後、そのような姿を日本に見せる可能性があるかもしれないと思うからである。それは米国である。

 

高市早苗氏が自民党総裁選に出た時、靖国神社に首相として参拝すると言った。それを私は、高市氏は総理の器ではないと批判した。(https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12701861331.htmlとそこで引用の記事

 

総理大臣の靖国参拝は、日本の近代史の中で大東亜共栄圏構想を未だに正統なものとして、今尚日本国が主張することになるからである。戦後、サンフランシスコ講和条約で、米国中心の戦後処理を正当なものとして受け入れることに日本は同意した。日本国首相の靖国参拝は、その約束に対する違反或いは約束破棄ということになる。

 

対米戦争とその惨敗の原因は、大東亜共栄圏構想という大風呂敷を広げて、日本の満州利権の独占を正当化したことにある。それは米国との約束違反から始まる。つまり、首相の靖国参拝は、二度目の対米約束違反になるのである。それを問題視しない人は米国に多いだろう。しかし、それを問題視する人たちが、米国政治の背後に強力な壁を作っている。(補足1)

 

戦争指導者たちは戦死者ではない。靖国神社は、アーリントン墓地とは全くことなることを高市氏は誤魔化している。馬鹿なのか無知なのかわからないが。それを“私の参拝は、戦死者達の英霊に尊崇の念を顕すためのものである”という言い訳は、大東亜共栄圏構想と同様、誤魔化しに見えるのだ。勿論見る人によるが、日本の味方になってほしい相手には、その方向から見ないように手を打つのが総理大臣である。李下に冠を正さずである。

 

2)日米戦争を30年前に予言した安河貫一

 

昨日の北野幸伯さんのメルマガは、この日米戦争の原因を正しく見抜き、日米戦争を30年前に予言した、アメリカに住みイェール大学に居た朝河貫一という方の話であった。その方は、以下のように予言している。北野氏の解説を転載します。(北野さん、許して下さい。)

(アマゾンのこの本の広告から拝借)

 

朝河さんによると、日本とアメリカは、日露戦争前の半世紀間、「兄弟のごとく親交」していたそうです。そんなアメリカは、なぜ「反日」に転じたのでしょうか? 朝河さんによると、日本が日露戦争時の大義、約束を破ったことにある。

 

それは、なんでしょうか? 世界一の陸軍国ロシアと戦う日本。一国では勝てないので、仲間が必要です。日本の仲間は、日英同盟のイギリスと、満洲利権に入りこみたいアメリカでした。中国(当時は清)への進出が遅れたアメリカは当時、中国について、「門戸開放」「機会均等」「領土保全」を訴えていました。

 

日本は日露戦争を戦うにあたって、「アメリカの主張を無視しているのがロシア帝国です。

日本が勝てば、満洲の門戸開放、機会均等を実現します!」と約束しました。

 

この約束をもって、アメリカから巨額の財政支援をとりつけた。しかし、日本は戦勝後、満洲利権の独占に動き、アメリカを排除しました。これで「兄弟のごとし」だったアメリカの対日感情は大いに悪化。朝河さんは、「日本は今後孤立し、中国、アメリカと戦うことになるだろう」と予想するに至ったのです。

 

アメリカとの約束とは、桂ハリマン協定である。日露戦争終結が190594日のポーツマス条約で、桂ハリマン協定は19051012日である。条約締結後に帰国した小村寿太郎は猛烈に反対する。条約締結後に帰国した小村寿太郎は猛烈に反対する。それは自分のポーツマス条約締結に於ける努力にも拘らず、満鉄経営を米国に獲られる(盗られる)ことに“頭に来た”のだろう。小村は名前の通り、小さな人物だったようだ。

 

この話は何回か本ブログでも書いてきた。ただ、それはあくまで歴史家による事後の解析を拝借しただけであった。しかし、その時代に予測した人が居たのである。

 

政治家にはもっと歴史を勉強してもらいたい。国政を担う議員には、公務員一種試験合格者以上の知識を、立候補の前提条件してほしい。(補足2)その上で、国会を霞が関の上級公務員の方々を超える想像力と直感力に優れた方のみの場としてほしい。どぶ板選挙を政治家の心得のように言う連中を排除してほしいものだ。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516222.html

 

 

補足:

 

1)元大統領補佐官のキッシンジャーは同僚の大学教授に次のように言ったという。
「日本人は論理的でなく、長期的視野もなく、彼らと関係を持つのは難しい。日本人は単調で、頭が鈍く、自分が関心を払うに値する連中ではない」と。さらに、彼は中国人と比較して「彼らは世界的視野を持つが、日本人は部族的だ」と。

 


この悪意を含む発言は、日本人として腹立たしい限りであるが、残念だが正鵠を得ている。日本人は、島国の中のローカルなことしか関心がない。グローバルな政治経済の中で生きてこそ、今日の豊かな日本の生活が可能となる。世界の動きとその中で日本がとるべき方向を、日常的に国民レベルで考える様にならなければ、21世紀末まで日本国が残るのは無理だろう。
現在の自由民主党に日本の将来を預けられる人などいない。しかしそれは、日本国民全ての責任である。靖国参拝の問題ですら、日本国民は正しく理解していない。

 

2)民主主義の枠内で、政治家のレベルを上げるには、立候補資格試験を設けるのが良い。其れには、一定数以上の優秀な政治家が偶然に国会の半数以上の定員を占める時が来ないといけない。この矛盾が解ける瞬間は、多くの場合、大きな災害とか国難に続いて来るだろう。そのチャンスが、敗戦であった。それを失うことになったのは。。。。ここで心に浮かんだことを書くと、殺されるかもしれないので、止めておく。

 

2021年10月25日月曜日

韓国で高まる核武装論議

伊藤貫さんは米国在住の国際政治アナリストである。今日彼の“真面目な雑談”を聞いた。それによると、米国のワシントン・ポストが、韓国の核武装を米国は許すべきだという記事を掲載したという。

そのアドレスを示しておく。

 

Should South Korea build its own nuclear bomb?

By Jennifer Lind and Daryl G. Press, October 7, 2021 at 1:45 p.m. EDT

https://www.washingtonpost.com/outlook/should-south-korea-go-nuclear/2021/10/07/a40bb400-2628-11ec-8d53-67cfb452aa60_story.html

 

伊藤貫さんによると、最近北朝鮮は米国に届く水爆を手に入れたという。そして、中国と同様に、もうすぐ極超音速ミサイルを完成するだろう。そうなると、米国は朝鮮半島の軍事衝突に介入できなくなる。北朝鮮から核ミサイル攻撃を受けて、数百万人の自国民の命を犠牲にする可能性が出てくるからである。

 

北朝鮮は、SLBM (潜水艦発射型弾道ミサイル)を手に入れると尚厄介だ。そのような危機に備えて、韓国は既に核軍備の必要性を議論しているし、国民の70%が核武装に賛成しているという。韓国は既にSLBM技術を保持している。そのうち韓国が核武装すれば、数年後には北朝鮮とともに原子力潜水艦を持ち、そこに核搭載のSLBMを備え付けるだろう。そうすれば、周辺国と対等な外交が可能となる。

 

 

韓国もNATO加盟国のドイツと米国のように、核兵器のシェアを行えば良いという意見があるが、核の発射の権限を米国が持つ限り、自国への水爆攻撃も覚悟しなければ、発射の許可が出せない。ミサイル迎撃システムは、実際上役立たない。通常の弾道ミサイルでも高い高度から落とされれば迎撃不可能だし、極超音速ミサイルが実用化されれば、100%役立たない。大金を支払って役立たずを購入するのは馬鹿げている。

 

全く同じ論理が日本にも当てはまる。日本が核武装を2030年ころまでにしなければ、核武装すると決断しても(その時点では米国は軍事的にも中国に追いつかれており)、中国の介入でそれが不可能になる。そして、中国の属国としての運命が決まる。(補足1)

 

韓国政府は、この件を真面目に議論しているようだが、日本はほとんど議論していないと伊藤氏は嘆く。同じ様な核武装論議が2017年ころにも起こったが、今や北朝鮮の核にも、日本は不感症となっている。愚かな国民だ。

 

ついでに、以下の記事も出てきたので引用しておく。

北朝鮮の暴走を止めるには、日本と韓国が核武装すべき

Opinion by Bilahari Kausikan

October 10, 2017

https://www.washingtonpost.com/news/theworldpost/wp/2017/10/10/to-deter-north-korea-japan-and-south-korea-should-go-nuclear/

 

補足:

1)ここで以前書いたように、米国の日本不信が気になる。これは日本不信というより、日本嫌いと言った方が良いだろう。例えば民主党政権に隠然たる影響力を持つキッシンジャーは、大学の同僚に日本について以下のように言っている。

「日本人は論理的でなく、長期的視野もなく、彼らと関係を持つのは難しい。日本人は単調で、頭が鈍く、自分が関心を払うに値する連中ではない」。さらに、彼は中国人と比較して「彼らは世界的視野を持つが、日本人は部族的だ」と。

ユダヤ系の大投資家達も日本が嫌いである。例えばジム・ロジャーズは中国を有望な活躍の舞台と考え既にシンガポールに移住している。そして、何時も日本については非常に辛辣なコメントをする。

 

(4節目の文章を一部変更、10/25/am8時)

 

 

 

2021年10月17日日曜日

【複製+追補】櫻井よしこさんの靖国参拝に関するコラムを読んで解った事

2013年8月に書いた上記表題の記事が昨日読まれていた。靖国参拝の議論には、重要な点を追補する必要を感じたので、細かい点の編集を加え追補とともに再録する。

 

ーーーーーーー

週刊新潮8月15・22日号の連載コラム「日本ルネッサンス」(172頁)に掲載された櫻井よしこさんの文章を読んで、所謂右寄りの人たちが靖国に参拝する理由について、私は重要な誤解をしていることに気づいた。櫻井さんを始め多くの自民党議員たちは、単に戦死した多くの兵士達の慰霊だけではなく、戦争主導者達(所謂A級戦犯を含む)を含め全戦犯の慰霊も、重要な参拝理由であることが解ったのである。つまり、彼らは戦争責任者などいないという考えを持っているのである。

 

櫻井さんは書いている、「独立を回復したとき、全国で戦犯の赦免及び保釈の運動が湧き起こった。赦免を求めて署名した総数は4739万人だった。A級戦犯注1)をはじめとする全ての戦犯の赦免こそ、国民とほぼ全ての政党の切なる願いだった。」更に、「A級戦犯を含めた全ての戦犯は、日本国内外の合意と承認を得て赦されたのであり、合祀の時点ではもはやどの人も戦犯ではなかったのである。」と。


この文章において、櫻井さんは明解に、私にとってはとんでもない主張をされている。櫻井さんは、歴史的データを自分に都合の良い方向に解釈されていると思う:

 

1)4739万人の署名は、全ての戦犯の赦免を要求するものだったのか?

戦犯のほとんどはB・C級戦犯であり、極限情況での捕虜虐待などの犯罪行為を裁かれ投獄中の人たちである。国民のほとんどが、東京にいて戦争を指揮し、既に絞首刑になったA級戦犯たちを念頭において署名しただろうか? しかし、櫻井さんは強引に、「A級戦犯を始め全ての戦犯の赦免こそ、殆ど全ての国民の願いだった」としている。

 

追補1:戦争指導者達を国民が処罰する気持ちがなかったのなら、あの時点でも尚、あの戦争の遂行を支持していたということになる。更に、櫻井さんは上記論理を根拠に、現時点でも首相の靖国参拝を要求しているのだから、現在でも国民はあの戦争を支持する当時の人たちの思いを共有していると考えていることになる。2021/10/17) 

 

 

2)「全ての戦犯が赦免されたのだから、靖国に合祀された段階では戦犯では無かったのである」と勝手に解釈している。赦されたのだからその人達は戦犯ではなかったという、とんでもない理屈である。注2) ボケた頭のせいなら兎も角、全体的に練られた文章の中に、このようなとんでもない理屈を入れるという手口は悪質としか言い様が無い。

 

追補2:赦免とは「罪を許し、刑罰を免除すること」であり、罪がなかったことではない。強盗犯が赦免されても、強盗犯ではなかったことを意味しない。2021/10/17)


また、絞首刑にされたA級戦犯の多くは、終戦時内閣を組織し、原爆や空襲で数十万人の民間人に死者を出しながら、尚、自分達ではポツダム宣言受諾を決められなかった指導者である。注3) 急激に大きくなる黄色人種の国に、脅威を抱く西欧諸国側(西欧のエゴであったとしても)の見地に立つ想像力の欠片もない彼らは、破竹の勢いでアジアに侵攻するか、或は西欧諸国に戦争を挑み国家の存立さえ危うくするかの選択という愚かな賭けをしたのである。

 

国民の平穏な生活を守るというような視点はなく、国民全てを自分達の危険な賭けのチップとしたのである。そのような人たちを英霊として何故拝まなければならないのか? 戦争は、ましてや一億玉砕や神風特攻隊は日本国民全員の本来の意志ではない筈である。そのように国民を煽動した者達の霊を拝む必要はない。

 

それに、神社ではなく何故墓地に戦没者を埋葬し、墓参しないのだ? 靖国神社は、戦死したら神になるというごまかしを用い、兵を消耗品の如く戦場に送り込むために用いられた独裁国家の施設なのである。


注釈:


1)日米開戦には慎重派の閣僚でも、開戦時内閣の構成員だったという理由でA級戦犯となった人もおり、一括りにして論じるのは不適切であると思う。櫻井さんは全ての戦犯を同等に考えておられるから、文字通りで良いが、私は、A級戦犯を以下戦争指導者の意味で用いる。


2)A級戦犯合祀が1979年4月に毎日新聞のスクープ記事となった直後、靖国へ参拝した大平首相は、6月の参議院内閣委員会での質問には、「(A級戦犯についての)審判は歴史が下すであろうとかんがえています」と答えた。その後12月には中国を訪問した際、多いに歓迎された。中国の姿勢が変化したのは、中曽根首相が85年8月15日に10回目の参拝をした後の9月20日である。明らかに政治的な理由がある」と書いておられる。中曽根首相の終戦記念日での参拝に対する批判までに、6年近く経っていることから、中国は政治的に利用していると結論している。明確に先の大戦と関係つけて参拝したのが終戦記念日に参拝した中曽根首相であるのなら、中国の批判は瞬時ということになるが、その点には何もふれていない。


3)ポツダム宣言は前の米国の駐日大使であった、グルーの努力により日本を救う為に出されたということである。厳しい内容の中に、そのような意図が汲み取れない指導者は、一国の指導者たる資格はないと思う。
 

追補3.ここで最初に書いた重要な点にふれる。それは最近何度か書いた講和条約で遵守を約束した点と靖国参拝は調和的でないということである。 国家と国家の基本的な関係は条約という約束により成立する。戦争後のサンフランシスコ講和条約では、日本が東京裁判の結果を受け入れるという条件で講和した。それは、現在の日本国の国際的立場の基本である。

 

 

在米の伊藤貫さんは、「米国国務省の意向は、韓国など日本の近隣国が全て核武装しても、日本だけにはそれを許さないことだ」と直接聞き取っていると言う。その理由は、日本国に対する根深い不信感である。

占領が終るやいなや、A級戦犯赦免の決議をして、全国民があの戦争を正義の戦いだと確認したのなら、米国側は、何のための東京裁判だったのか、何のための講和条約だったのか分からないという気持ちになるのは想像に難くない。

 

勿論、大きく人類の歴史を俯瞰すれば、日本は正義の戦争を戦ったと言えるかもしれない。しかし、その前提では現在の世界は動いていない以上、そしてその世界の中で生きていくつもりである以上、その民族としての思いを、半永久的に表に出さない様に飲み込んで乾いた文字としてのみ残すのが大人の対応だろう。

 

そうしなければ、最重要な同盟国と歴代の自民党政権が言及している国からも裏切られる危険がある。今後数年間、米国は分裂の危機にあり、中国共産党政権も台湾占領か崩壊かの危機的情況にある。その国難にあって、大事なのは、我々日本国民が生き残ることである。戦争で無くなった多くの英霊も、それを最も大事なことだと考え、上記分析を支持して下さることと信じる。

2021年10月15日金曜日

「親ガチャ」という若者の吐く言葉について:

コインを入れ回転式レバーを回すとカプセル入りの小型玩具一つが出てくる自動販売機がある。その販売機やそのカプセルの中の玩具をガチャと云う。(補足1)透明の容器の中に多くの種類の小型玩具が見えているが、選択してえ買う事ができないので、うまく行けば目的のものが手に入るがそうでない場合も多い。希望の玩具が手に入るかどうかは、運次第である。その当たり外れの賭博性も、その玩具販売様式の人気の理由だろう。

 

最近、その運次第という意味で、何にでもガチャを語尾としてつけて使うことが流行っている。その切っ掛けになり、世の親御さんにショッキングだったのが、子どもたちの間で流行った「親ガチャ」という言葉である。それは、どのような親のもとに生まれてくるかによって人生が決まってしまうという意味でネットなどで使用されている。

NHKニュースの記事より

 

 

1)日本の労働運動家今野晴貴氏の「親ガチャ」分析について
 

雇用・労働政策研究者の今野晴貴氏の執筆によるヤフーニュースによると、この言葉が話題となったのは、地上波の情報番組「スッキリ」(日本テレビ系)の916日での放送がきっかけのようだ。https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20210925-00259912

 

以下、今野氏の発言をまとめてみる。

 

その後この流行について、「親ガチャという言葉で自分の境遇を親のせいにするのはよくない」といった自己責任論的議論や、「経済的格差や虐待などの問題が背景にある」という社会的背景に言及する議論などが聞かれるようだが、「この問題は単純に“不謹慎”や”冗談”では片づけることはできない。若者たちの人生が、親の存在におおきく左右してされてしまうということが、以前にもましてリアリティーをもっているからだ」と今野氏は語る。
 

また、「“親ガチャ”の流行に対するもっとも一般的な反応は、“すべてを親のせいにして努力しない若者の戯言だ”という意見だが、こうした見方には、努力すればなんとかなる、だから努力することを諦めるな、というメッセージが込められている。しかし、本当に努力すればなんとかなるのだろうか? 」、更に、「若者は、親のもとで無理なほどの努力を強いられている。そして、その努力ではどうにもならない現実に直面し、人生の可能性を大きく制限されている。親ガチャという言葉には、こうした若者の実感が反映させられている」と語る。

 

今野氏の以上の見方は、はっきり言って日本人特有の甘えを良しとする病的な見方である。その根拠について以下書く。


 

2)「親ガチャ」の人生をどう受け入れるべきか

 

子供の人生の出発点は、親に大きく依存する。それは当たり前である。親が裕福なら子供もその恩恵を受けて、裕福な青少年時代を送るだろう。その逆に、親が貧乏なら、子供の青少年時代は暗く惨めに見えるだろう。客観的な観測結果として、それらは事実である。

 

この客観的な事実を、その玩具に例えるのなら、「親ガチャ」は真実である。従って、「現在の自分の境遇を親の所為にするのは良くない。若者の戯言だ。」というだけでは、反論に今ひとつ説得力がない。「親ガチャ」という言葉に毒された人に馬鹿にされ、反論されるだけだろう。
 

青少年時代には、親元を離れて独り立ちする「人生の節目」をむかえる。その時の自分の位置は、両親の努力の結果でもある。その自分の位置と自分の能力は、自分という生命体の全てである。それを貶すというのが「親ガチャ」という言葉である。

 

人生を航空に擬えると、そこから"自分機の操縦桿”を自分自身が握ることになる。人生は一度きりであり、自分機が墜落したら死があるのみである。それが生命としての厳粛な真理である。「親ガチャ」などと、その現在の自分の位置を呪う人は、その真理が分かっていない。

 

自分の人生は自分が切り開くのだと云う覚悟を持って生きることは、楽なことではない。しかしそれが生命としての人間の宿命である。そんなことを考えないでも誰かが最低限生きていけるようにして呉れるだろうという甘えが言葉になったのが「親ガチャ」である。この甘えの構造は、残念ながら日本人に特有の心理である。(補足2)

 

繰り返すが、"親ガチャ”は、「この情況では巣立ちしたくない」という甘えの表現であり、駄々をこねる幼児の姿そのものである。つまり、独り立ちの時期にあって、或いはその時期を過ぎて、尚“親ガチャ”などと安易に発言する行為は、自虐行為である。被害者意識という麻薬に手を出して自分と自分の恩人を貶し、その“恍惚状態”の中で死を待つのなら、それも良いだろう。(補足3)

 

 

補足:

 

1)このガチャだが、「ソーシャルゲームにありがちなキャラクター入手方法(いわゆるガチャ)になぞらえた言い方」という解説もあった。多分、オリジナルは本文のカプセル玩具販売機で小型玩具を買うことのプロセスだろう。

 

2)被害者意識という言葉は日本独特のようである。土居健郎著「甘えの構造」で日本人独特の言葉であると解説されている。つまり、親ガチャの流行は日本人の甘えの構造による病的一症状だろう。

 

3)今野氏の文章に出てくるように、努力しても新自由主義グローバリズムの経済で創られた貧富の差は超えられないのは事実だろう。それに不満があるのなら、もっと政治的に行動すべきである。昨年来の香港の若者の戦いを見ていないのか。それを報道しないマスコミが悪いのなら、現在のマスコミを潰すべく行動すれば良い。戦わずして死をまつのは愚かである。

2021年10月13日水曜日

今年のノーベル化学賞受賞者より30年早くプロリンを有機不斉触媒として用いた人がいた

今年のノーベル化学賞は有機不斉触媒を開発した業績が対象であるとノーベル財団が解説しているが、厳密にはその表現は正しくないようだ。彼ら受賞者よりも早くそのような研究をドイツの雑誌に発表した人が居たからである。有機合成の専門家ではないので、この点をクローズアップする形で授賞内容を紹介する記事を書く。

ーーーーー

 

2021年のノーベル化学賞の授賞アナウンス・記者会見がノーベル委員会によりなされ、ネットでも公開されている。 

https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/2021/prize-announcement/

 

それによると、受賞者は二人でBenjamin List氏とDavid MacMillan氏である。今年の授賞の理由を一言でいうと、金属を含まない有機不斉触媒(補足1)の開発のようである。二人の略歴は動画の最初の方で司会者によりなされた。

 

それに続く2分程の時間で(6分まで)、ノーベル委員会の女性教授の方が授賞の題目とその意味を解説している。そこでは、分子と触媒(生体内では酵素)の関係が丁寧に説明されている。続いて、有用な不斉分子の合成には、生体内では酵素が働き、人工的には金属原子を含む触媒がこれまで用いられてきたと説明し、更に以下のような文章で二人の業績を紹介している。

 

2020年からは全てが変わった。二人の受賞者は、小さくて安価で即座に入手でき、環境に優しい有機分子が、酵素や金属を含む触媒と同じ働き(不斉触媒)をするという発見をした。その発見は化学合成の方法に全く新しい考え方を導入(initiate)した。この新しい“道具”は薬の開発やファインケミカルの製造に使われており、既に人類に大きく貢献している。」 

この部分の公式アナウンスメントは今回の記事では重要なので、原語で補足2に掲載した。

 

それに続いて、もう少し詳細な業績の解説が、別の男性の学者らしき人物によりなされた(上記動画の6分から15分)。この解説では、先ず不斉化合物の解説が2分ほどかけてなされている。(補足1)更に、「その不斉化合物の合成(不斉合成)には酵素とか金属触媒が用いられるが、簡単なデザインした有機分子(不斉有機触媒)でも可能なことが分かった。それは、今回のノーベル化学賞受賞者二人による、2つの鍵となる観察により始まる」と続いた。

 

その後、二人の業績が別々に紹介された。最初にBenjamin Listによるプロリンにより触媒されたアルドール反応(ウィキペディア参照)の研究である。後で調べたのだが、その速報は米国化学会誌に発表されている。https://pubs.acs.org/doi/10.1021/ja994280y

 

続いて、David MacMillan の研究も同じ米国化学会誌に速報として発表されたものが紹介された。Diels-Alder反応として知られる有機合成で頻繁に用いられる有用な反応において、有機触媒を用いた不斉合成に初めて成功した実験であった。論文には、反応進行のモデルも提案されている。

http://chemlabs.princeton.edu/macmillan/wp-content/uploads/sites/6/aoxidation.pdf

 

ここで、二人の受賞研究 の論文の中からとった化学反応を下に示す。

 

ここで表題に書いた文章の意味について追加する。プロリンという簡単なアミノ酸を有機不斉触媒に初めて使ったのは、Eder, U. という人のグループであった。プロリンは、Listが用いた上の図の不斉有機触媒である。その論文は、ドイツの化学誌(Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 1971, 10, 496 )に発表されている。およそ30年前のこの論文がそれほど注目されなかったのは、有機合成化学の中のこの専門分野に、多数の研究者が集まらず、進歩の速度もそれほどではなかったからだろう。

 

つまり、21世紀近くになって医薬品などの不斉合成の研究に大勢が参加して成長する機が熟したので、この1971年の論文が目指した方向に大きく進んだのだろう。このプロリン触媒による反応の総説は、今回の受賞者であるBenjamin Listにより、アメリカの総合科学雑誌のProceedings of the National Academy of Science of the United States of America (通称ProNAS)101巻  5839-5842頁(2004年)に発表されている。そこには、反応プロセスのモデルが紹介されている他、1971年の上記論文も引用されている。

 

ノーベル賞は科学の発展の歴史における一里塚のような存在であり、その間を埋める道には優れた研究がたくさん国を跨いで存在する。科学に関係する団体は、それらの研究が相互に影響しあって発展することを助けるべきであり、その中の少数の研究にあまり大きな権威付をすることはその目的に沿わない。従って、ノーベル委員会の上記公式アナウンスメント「In year 2000, everything changed. (補足2の冒頭)」には、素人向けと言う言い訳があるだろうが、30年前にもそのような芽となる研究が存在しており、従って多少違和感を感じる。

 

追補: 上記不斉触媒だが、当然光学異性体である。プロリンは天然のアミノ酸であり、光学異性体(Lープロリン)である。上記Listの論文には条件が書かれており、有機極性溶媒DSMOの中で30mol%のLプロリン存在下で反応を進める。(10/14/6:00追加)

 

補足:

 

1)右手と左手の形は殆ど同じと言える位に似ているが、互いに立体的に重ならない。不斉化合物(asymmetric compound)も同様であり、鏡に写った像を取り出したとすると、2つが重ならない。そこで、これらの化合物を互いに対掌体或いは光学異性体という。光学異性体が存在する化合物の一方を選択的に合成することを不斉合成と呼ぶ。2つの通常の化合物から、一つの光学異性体を選択的に合成する場合、その反応を加速する仲立ち(触媒)は通常複雑な構造を持つ。それを不斉触媒と呼ぶが、伝統的なものは金属イオンを中心に持つ場合がおおい。(例えば、2005年にノーベル賞を受賞した野依良治氏の研究)

 

2)In year 2000, everything changed. Benjamin List and David MacMillan independently reported that you can use small organic molecules to do the same job as big enzymes and metal catalyst in reactions that are precise, cheap, fast and environmentally friendly. The discovery initiated a totally new way of thinking for how to put together chemical molecules. This new toolbox is used widely today for example in drug discovery in finechemical pruduction. Its already benifiting humankind greatly.

 

 

2021年10月7日木曜日

恐ろしい話が米国から来ている:(速報)

追加:米国陸軍NO2だったジャック・キーン将軍の言葉を良く聞いてみると、要するに、バイデンの姿勢次第で、習近平は2−3日で台湾を侵略することもあり得ると言っている。米国の真の支配者は、ボケた(ふりをする)大統領を使って、二枚舌を使う予定かもしれない。

 

 

(18:28追加)

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WASHINGTON, Oct 5 (Reuters) - U.S. President Joe Biden said on Tuesday that he has spoken to Chinese President Xi Jinping about Taiwan and they agreed to abide by the "Taiwan agreement", as tensions have ratcheted up between Taipei and Beijing.

 

 

この話はオバマ政権時代のものではありません。日本時間の昨日の話です。バイデンはこの火曜日に習近平と台湾について話をし、米中の「台湾合意」をお互いに確認したと仰った。台湾と中国の対立が後戻りできない情況になったところで、このような話は酷い。台湾外相は、米国に問いただしたところ、これまでの台湾との協力を確認したというが、どうだろうか? (上の補足、キーン大将のバイデン次第という言葉に注目)

 

アフガニスタンの時と同じことが、今台湾と米国の間で起ころうとしている。そして、次は何処と米国の間なのか?恐ろしい話である。これで、去年のあの大統領選挙のなりふり構わないインチキの謎が解けるということか。トランプはXXされるのだろうか?

 

台湾有事の際には自衛隊も中国と戦うなんて、馬鹿なことを言う菅政権だった。日本を蔡英文で釣り上げて、干し魚にするということか。

 

 

下の方のyoutube、ニューヨークサバイバルの話を聞いてもらいたい。米国のデフォルトは、債務上限を上にずらせば、直ぐに解決する。その話を共和党が拒否するように、3.5兆ドルの怪しげな予算をバイデンは出したのだろうか?

 

上の台湾合意に関するバイデンの言葉が、ボケて言ったのなら、副大統領が代わって大統領職につくはず。そのような話がなければ、ニューヨークサバイバルの言うとおり、2つの話が一つの物語としてつながる。竹中平蔵は知らされているのだろうか、世界経済フォーラムが何か企むとした場合に。

 

長期籠城も覚悟の上で、少しずつ対策をとる必要がありそうだ。

19:45編集あり
         (おわり)

 

 

 

 

2021年10月6日水曜日

今年のノーベル物理学賞、特に真鍋博士の地球温暖化研究

今年のノーベル賞物理学賞は、愛媛県生まれの米国人である真鍋淑郎氏、ドイツのKlaus Hasselmann氏、イタリアのGiorgio Parisi氏(以下氏は省略)が受賞した。真鍋とHasselmannは地球温暖化のモデルを作ったことに関して、Prisiは複雑系の理論への貢献に関して、夫々の優れた業績が評価された。

 

今年のノーベル物理学賞は、二つの研究で構成されたもので、それらの関係は濃厚とは言い難いと思う。ノーベル賞委員会による記者会見がyoutubeで公開されている。

 

 

前半の真鍋とHasselmannの研究は、気候変動のモデルという強い関連性がある。真鍋氏は熱力学と流体力学を用い、地表面温度に関する数学的モデルを作った。そして、二酸化炭素の濃度が倍になれば2度程気温が上昇するという結果を導き出した。Hasselmann は、乱雑に変化する天候がどのように気候という長期変化を起こすかという問題に対する、海と大気を含めたモデルを提出した。

 

上記記者会見で、これらの業績の科学的面について解説されたが(上記動画の7:30-15:30) 、かなりわかりにくいのは、やはり専門化された分野の最先端は、我々一般大衆にはわかりにくいということだろう。

 

この記者会見の中で、音声だけの放送だが、理論物理の方で授賞したGiorgio Parisiが記者の質問に答えていた。最初の質問が、真鍋とHasselmannの研究とParisiの研究の関連性を問うものだったが、やはり関係つけるのはかなり困難な様子だった。(上記動画の16:30から)

 

尚、真鍋さんも他のテレビのインタビューに答えている、その動画を下に引用する。https://www.youtube.com/watch?v=yt246lKVhr4

 

2)最初に引用した動画で知ったのだが、地球温暖化を最初に考えたのがFourierであった。フーリエとは、物理(熱伝導)や数学(フーリエ変換)で有名なあのフーリエである。太陽から地球に来るエネルギーの大半が可視光線で、それは直接地表に届く。そこで大半は熱に変換され、大気がなければその全てが赤外線放射で再び宇宙に放出される。フーリエは熱を暗黒エネルギー(dark energy)と呼んだ。

 

このメカニズムだけの場合、地表面の温度はマイナス18度(摂氏)となる(黒体輻射と見做した場合)。大気があれば、それが一部の熱を一時的に保持し、地表面は暖かくなる。このあたりの解説は拙ブログでも行なっている。下の解説ブログの②の図(7)にこのエネルギー収支の図を掲載した。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12539856071.html (最新の解説)

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12545727156.html(以前の解説の再録版)

(上図はウィキペディア「地球エネルギー収支」からとった。)

 

 

フーリエの考察から70年後、二酸化炭素の影響を考慮したのがアレニウスである。Svante Arrheniusはスウェーデンの科学者で、電解質の研究でノーベル賞を受けている。物理化学の祖の1人ともいわれ、化学反応論のアレニウス・プロット(化学反応の活性化エンタルピーを求めるため)も彼の発明である。

 

アレニウスは、論文:「On the influence of carbonic acid in the air upon the temperature of the gruond」で、空気中に熱吸収に活性な物質が増加すれば、大気温度が上昇することを予言した。そのような寄与が大きいのが二酸化炭素と水蒸気である。

 

その論文では二酸化炭素が倍になれば、4−6度の温度上昇が起こると予測されているが、それは若干大きすぎる。このあたりの解説は、インターネットではVictor M Ponceという人が2011年にアップしている。http://ponce.sdsu.edu/global_warming_science.html

 

それから又およそ70年後に、より正確な予測をしたのが真鍋淑郎博士らである。このモデルでは海洋と大気の両方を、地形や緯度で細かく分割して計算している。真鍋らは、そのような複雑な計算モデルを構築し、スパコンを用いて定量的な気候予測を可能にしたのだろう。 (以上)

 

追補: 他に、太陽活動の変動による寒冷化についても触れないと不公平かもしれない。それは、太陽風の地表面への到達量が増加し、それにより生じたイオンが核となって曇ができ、その遮光効果で地球が寒冷化するメカニズムである。似た現象が、火山の大爆発で大気中の微粒子が増加してでも発生する。恐竜の絶滅は、衛星が地球に衝突して、空中に大量のチリがばらまかれ、このメカニズムで地球が寒冷化したという説が有力である。

 

(追補は9時30分追加、11時45分編集;9日夜若干の補足を括弧内に追加、日本語の修正少し)