2月24日でロシアによるウクライナ侵攻が始まって2年になる。世相徒然ブログというサイトに、この戦争では様々な教訓を世界に与えることになったのだが、それでも何も学んでいない者も多いと指摘した記事がUPされた。この記事は多くの著名な人物の意見を動画などで引用しており面白く且つ参考になる。https://ameblo.jp/docomo1923/entry-12841932292.html
その記事では、日本からの多額のウクライナ支援金について、台湾有事などの際に米軍に協力してもらうための用心棒代あるとの解釈が為されている。
そこで、世相徒然ブログさんは、櫻井よしこ氏が「台湾有事は日本有事」の考え方を前提にして、「ロシアに勝たせてはいけない。ロシアに勝たせると中国が元気になり、台湾有事を招くからである」という嘘の理論を考えだしたのだが、本当は「櫻井氏はウクライナについては何の関心もない」と主張されているのである。
つまり、台湾進攻を習近平に思い留ませるために、ウクライナを支援しているのだという理論である。この「櫻井氏はウクライナについては何の関心もない。関心があるのは台湾有事だ」と言う部分に対して、私は反論をコメントの形で送った。
櫻井よしこさんは月刊正論の発行人との対談で、「ウクライナに負けさせてはならない。それはロシアを勝たせることだから。ロシアに勝たせると中国が元気になって、台湾と沖縄に手を出してくる」と言っています。従って、「櫻井よしこはウクライナについては何の関心もない。関心があるのは台湾有事だ。」という引用された文章は間違いです。ここは非常に重要です。つまり、日本の戦後保守を名乗る櫻井さんらは一体何者か、単に台湾ロビーかイスラエルロビーの支配下にあって売国勢力ではないのか? では、有森・百田はどうか? 安倍晋三と高市さなえはどうなのか? 差し当たり、参政党を応援するとしても、その他保守を名乗る勢力の見極めも、日本の将来を考える人たちにとって非常に大事なのです。
それに対する反論があったのだが、それに対する返答も兼ねてここにこの記事を書くことになった。
先ず、議論の前提を明確にする必要がある。尚、言うまでもないかもしれないが、台湾有事とは、中国共産党政権の台湾進攻を意味している。この“台湾有事は日本有事である”という前提に立脚する限り、既に米国の罠にはまっているように思う。何故なら:
第一に、米国も日本も台湾が中国の一部であることに合意している。従って、国際法的には、日本にとって台湾有事は中国の内戦ということになる。日本も中国も主権国家であり、他国の内戦に介入する権利も義務もない。米国が台湾有事を嗾けているのは、内政干渉にあたり国際法違反である。(補足1)米国の態度は「朕は法なり」という言葉を思い出させる。
第二に、日本の所謂“戦後保守”の方々は、台湾海峡を通れなければ日本経済が潰れるという人が多い。その考え方も非常に怪しい。何故なら、今回のハマスvsイスラエル戦争でも、イエメンのフーシ派の妨害により紅海が通れなくなっても、ヨーロッパ諸国は喜望峰を廻って物流を確保しているからである。
櫻井よしこ氏は、日本に出来上がった戦後保守勢力で、渡辺恒雄、田久保忠衛、岡崎久彦氏らに続く人物だろう。そして、彼らの正体は、日本の防衛を第一に考えるのではなく、米国ネオコン政権の日本における忠実な代理人であると思う。
つまり、「ウクライナ戦争でロシアに勝たせてはいけない」というのは、本当にそのように主張しているのであり、台湾有事はそれを正統化するために持ち出したに過ぎないと思う。
その時、櫻井氏や世相徒然ブログさんが引用されている動画の中の人たちは、米国だけが自信を持って使える論理「国際関係は全て国際法に則って解決されなければなならない」を振り翳して、ロシアを敵にすることで日本の将来の選択肢を狭めてまでして、しかも何兆円かかるともわからないウクライナ支援を主張しているのである。
その人たちとは、上念司氏、有本香氏、ウクライナから来てウクライナの正義をゼレンスキーに代わって主張しているナザレンコ氏、更に米国の代理人的活動を日本でされてきたケントギルバート氏らである。
ここで良く考えてもらいたいのが、有本香氏の存在である。彼女と百田尚樹さんが何故、日本保守党を創ったのか? その時既に参政党が存在した。その参政党潰しに一役買ったのが、武田邦彦氏で、彼が中心になって参政党を売り渡そうと考えた先が、その日本保守党である。(この件、本ブログサイトの昨年11月14, 22, 23, 25日の記事に詳細に書いた)
彼らは、意図してかどうかは分からないが、明治以降の皇国史観と靖国神道を持ち出し、日本をマッカーサーの時代から始まる米国の家畜として維持し、日本の崩壊を良しと考えている人たちである。それが、台湾ロビーの目指す日本の利用方法なのだと私は考えている。櫻井氏は、金美齢氏とは大の仲良し(勿論本心は分からない)である。
1)「ロシアに勝たせてはいけない。ロシアに勝たせると中国が元気になり、台湾有事を招くからである」について
この主張は、櫻井氏が設立し現在も理事長である「国家基本問題研究所」の動画サイトで、櫻井氏と有元隆志氏(月刊正論発行人)の対談の形で為されている(すでに引用した動画)。https://www.youtube.com/watch?v=axnJlFk9xDo
この動画では、主題は明らかにウクライナ支援であり、台湾有事は重要だが関連事項として取り上げたに過ぎない。そう考える一つの理由は、かれらはロシアのウクライナ侵攻に対し、国際法違反を強く訴えていて、台湾有事との関連を第一の理由として取り上げていない。それは、現在でも同じである。
彼らは台湾有事がどの程度日本の経済に影響を与えるかについて、定量的には全く議論していない。その議論をむしろ避けているのである。最初に述べたように、台湾海峡を避ける海運ルートを用いれば、紅海からスエズ運河を通る海路を、アフリカ南端の喜望峰を廻る海路に変更するコストより遥かにコスト増は少ない筈である。また、TSMCの半導体が手に入らなくても、そんなものの大半は日本でもコスト増を覚悟しれば製造可能だろうし、韓国のサムソンは今でも製造出来る。TSMCでしか作れない半導体の主なる用途はスマホなどだが、それらの輸出を日本は殆どしていない。
そして、櫻井氏は戦後保守の代表的人物である中西輝政氏との討論で、NATO諸国のように精一杯ウクライナ支援しない日本が「残念でならない」と言い、中西輝政氏も「ウクライナが屈服してしまってはならない」という趣旨の発言をしているのである。https://www.chichi.co.jp/web/20220712_sakurai_nakanishi/
ウクライナ戦争の本質は、米国ネオコン政権のウクライナを武器に用いたロシア潰しである。本サイトでは、実際に侵攻が始まる10日程前の2022年02月13日にウクライナ危機の本質について書いている。 その解釈は、タッカー・カールソンのプーチン大統領インタビューで、確認されたこととほぼ完全に一致している。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12726626308.html
理系の研究員として働き、定年退職の後にブログを書き始めた素人でも、その本質を知ることが出来る情報社会である。彼ら政治評論家のプロに出来ない筈はない。
つまり、かれらは本質的に、米国ネオコン政権の意志を代弁する存在なのである。そのことについて書いたのが、ウクライナ侵攻一年目に近い2023年02月22日に上記中西輝政氏と櫻井よしこ氏の対談を引用した記事「ウクライナ戦争の構図を明らかにしたことでグローバリストの本性がバレたひとたち」である。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12790482773.html
2)日本の戦後保守勢力は対米従属を日本防衛に優先する人たちである:
グローバリストの主張とは米国ネオコン勢力とその背後にいる人たちの主張である。世界を全体主義的に統一し、彼らエリートが支配する体制の樹立を目指している。それはレーニンとトロツキーが嘗て目指したのと同じ方向である。彼らが世界を支配したとき、現在の中国で進行しているのと同じように、多くの民族の文化や主権などは完全に葬られる筈である。
その大きな構図を、現実の政治・外交を考える上で頭に置いている人はそれほど多くないかもしれない。彼らネオコンとその背後の勢力を牧場主とすれば、世界の国家と民族は、家畜に相当するだろう。家畜は目の前のことに対しては反応するが、自分たちの将来については考えていないように、世界の独立国首脳たちは、米国ネオコン政権が本当に目指すところを考えるよりも、自分たちの地位の安泰を優先しているのだろう。
戦後保守の人たちは、その家畜のリーダー格のように振る舞い、牧場主に従順に振る舞い、牧場主に褒められ他よりも多少美味しい餌を与えられ、最終的には屠られることに気づかない人たちなのだろう。この人たちには二つの力が働いているようだ。一つはここまで語ってきた米国ネオコン勢力とその背後のイスラエルロビーや国際金融資本の力である。もう一つは、台湾ロビーと呼ばれる人たちの力である。後者については、別の記事を参照してもらいたい。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12837289399.html
終わりに:
本日早朝に拝見した世相徒然ブログさん3度目の返信では、私の考えに同調されているように見えるが、既に老いた脳味噌を数時間使ってこの問題を考えていたので、ここに新たなブログ記事としてアップすることにした。最後に強調したいのは、日本には戦後保守を標榜する政治家や評論家が大勢出てきたが、それらは真の保守ではなく、米国ネオコン政権とその背後の巨大資本とイスラエルや台湾のロビイストらに育てられた人たちであるということである。真の保守は、自民党の極少数と参政党の大部分だと私は考えている。
戦後保守の本質については、最近のチャンネル桜の動画で議論されているので、最後に引用します。
補足:
1)台湾は自由主義圏にあり、世界の経済にとって重要な位置を占めている。そして中国も、世界経済において重要な地位を持つようになった。これらだけでなく戦後の政治経済は全て米国主導で進められた。日本の敗戦まで蒋介石を応援し、その後蒋介石とその妻宋美齢に対して冷淡となり、毛沢東の中国本土の支配を許したこと、そして台湾に逃げた蒋介石の国民党政権をその後助けて中国からの疑似的独立を維持したこ、更に世界経済のグローバル化と中国をWTOに加盟させたこと、等々全て、覇権国の米国が主導した。それらは、朝鮮半島の分断、日本の北方領土、尖閣諸島、竹島などの領土問題と同様に、紛争の種を世界中に残し、米国の覇権維持の為に活かすという基本的戦略の中で行われたと考えられる。それらを考えないで、最近の米国下院議長ペロシやトランプ政権時の国務長官だったポンぺオの台湾訪問を、頼もしい米国として考えたり報道したりするのは、大きな間違いである。
(午前9:45修正あり)