2021年6月29日火曜日

差別について:人種差別や女性差別ばかり何故話題になるのか

5月末の「善悪、差別、社会、そして個人の自由」と題する記事の中で、「善悪」は「社会」と伴に形成され、それ以前には存在しなかった筈であると書いた。そこでの議論から、「差別」は、他の悪と同様、人類が社会を形成した後に発生した。それが「悪」なのは、その蔓延が社会の機能低下の原因となるからである。(補足1)

 

今回はその延長上で、特に差別についてもう少し考えてみようと思う。米国社会では、黒人差別やアジア人差別が頻繁に攻撃の的にされている。この黒人やアジア人という外見に対する差別は、黒人は粗野だとか、アジア人は何を考えているか分からないとかの判断を、個人に対して事前に行い、その人を冷遇することである。(補足2)

 

差別か差別でないかの境目は、その機関や人が行う例えば採用試験において、その人物を冷遇する具体的且つ個別の理由の有無である。つまり、予め得た外見や出自などで、人を冷遇することが差別である。合理的な理由(つまり採用試験の点数が悪かった)があれば、冷遇することは差別ではない。(補足3)

 

差別として分かりやすいのは、例えば男女差別や上記人種差別である。それらは差別する側とされる側がグループ分け(類型化)しやすいので、世界中で撤廃を要求する運動が頻繁に大々的に成されてきた。しかし、その他に差別が、実は非常に多く存在する。ただ、そのほとんどが撤廃を要求する社会運動となり難い差別である。 今回はこの分かりにくい差別も含めて議論する。

 

「差別」は、上記分かりやすいケースと思われても、個々のケースになると「差別なのかそうでないのか」は非常に分かりにくい。例えば人種差別が疑われる人に対して、それを指摘しても、「人種で差別したのではない。彼(又は彼女)の粗野な態度が、その悪い待遇の原因となっただけだ」などの言い訳が、ほとんど常に存在するからである。

 

2)社会的運動を展開し難い差別の存在について:

 

男女差別など集団に対する差別は、上述の様に反対運動を展開しやすい。その対象となった形質を持つ人達が団結して差別撤廃を社会に訴える事ができるからである。社会に訴えるのは、上にも述べたように、個々には差別を特定し戦うことが非常に困難だからである。

 

あまり言及されないのだが、社会にはそれ以外の、集団で訴えることが難しい差別が多く存在する。それは、美醜や体格、思想、家柄などででの差別である。被差別部落民差別などのケースでは、集団で訴えることが比較的簡単であるが、それも自分の出自を明らかにすることが必要であり困難である。家柄については、不合理な優遇(負の差別)が多く存在する(補足4)

 

これらの中で最もわかりやすいのは、顔貌による差別である。女性の場合、美人は得をし、それ以外は損を分け合う。この明確な美人優遇は、女性差別の一つの側面である。しかし、この分かりやすい女性差別の部分がなくなった場合でも、男性の場合と同様に顔貌の印象での差別は残るだろう。

 

これも黒人差別や黄色人差別と同じく、外見での差別である。しかし、それが大問題となることがほとんど無いのは、既に述べたように、団結して訴えることができないからである。「醜い男女の集団が、差別撤廃を訴えてデモをしました」というニュースを聞いたことがない。団結できない被差別人は、惨めであるが運命として受け入れるしかない。

 

この理不尽を初めて意識したのは、あの大韓航空爆破事件の金賢姫が死刑の判決を受けた後に、当時の大統領の一声で釈放された時だった。これが普通の男だったら、或いは、生意気そうな中年女性だったら、死刑が執行されていただろうと思った。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E8%B3%A2%E5%A7%AB

 

世界の国の中で、美容整形が人口当り最も盛んな国は韓国である。ある統計によると、韓国の企業人事担当者の34%は、仕事の能力よりも容貌を優先するという。恐らく、韓国社会に基本的人権、個人の自由、法治の原則などの西欧文化の大事な部分が根付いていないのだろう。(補足5)https://www.data-max.co.jp/article/20777

 

就職のプロセスにおいて、このような差別を受けてはたまらない。この問題を最小化するには、①人権思想の浸透と、②同一労働同一賃金の原則の徹底と労働力の流動化である。この改革は、労働市場に本当の実力主義を入れ、経済全体の活力を取り戻すために、日本にも是非必要な改革であると思う。(追補1)

 

追補1)ここで、美人を好んで採用することを全否定している訳ではない。美人であることも、持って生まれた実力の内という職場では、美人を採用するのは当然である。「問題を最小化」するというのは、差別としての美人優遇を無くすことである。同様に、頭脳明晰の人を企業が求めるのは当然だが、高校までの成績できまる(日本では)一流大学卒業というラベルで採用を決めるのは、学歴差別である。経済界が、採用者の本当の実力を見ずに学歴で決めていては、その企業に将来はないし、日本の経済にも未来はない。

 

3)差別撤廃は多様化した能力の人々と個人の自由と人権を尊重する為に必須である

 

ここで、社会の発展と差別の関係を考える。家族、大家族、地縁などが社会(文化を担う主体となる;補足6)を形成する時代では、全ての個人が大切な共同体のメンバーであり、それなりの公平性は予め確保される。

 

しかし、文明が高度になり、社会が複雑で大きくなると、高度な知識を要する多くの専門に分割され、それらをまとめるヘッドクオーターも必要となる。そして、その社会の目的を果たすように、全体として一つの機能体組織として動く必要がある。その結果、様々なタイプの人物がこの社会に必要となる。この社会についての考え方は、“社会の動物モデル”とでも言えるだろう。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12588961158.html

 

人とその社会の命運は、その機能体の能率と、その反映である仕事の質と量(パーフォーマンス)に懸かる。その時代の要請に答えず、人材の選択において共同体的感覚が残ると、至る所に差別が発生し、十分な専門化が出来ないし、機能体全体の整合的動きも達成できないだろう。

 

仮に専門化を進めても、それら各専門が十分機能するには、専門間や専門と司令部門との双方向のコミュニケーションがなければならない。均一な価値観と単純なヒエラルキーの受入を強要し、ガチガチの人間関係の温存のために、敬語を複雑に用いる日本の文化、そこには人材の多様性や、双方向の自由なコミュニケーションはない。そこで、世界の高能率な会社に脱皮できないのが、日本病の原因である。(補足7)

 

社会は感覚支配から論理支配となり、学歴や家柄や外見などを重視してはならないというのが、公平及び公正の基準となるだろう。それが、差別を厳しく禁止し、個人の自由と人権を擁護する西欧の文化となったのだと思う。

 

現在、先進国の文明は、益々個性化が進んでいる。その結果、その社会の横方向の発展を担う人の能力は、多様化している。膝が破れたGIパンツを着ることで、その人全体のバランスをとる感覚は、我々高度成長期の人間には容易に理解できない。

 

 

エピローグ: 厳しい外見差別がアーリア人を美形にしたのか?

 

今回の話は一応この当りで閉じる。ここで、差別が人の外見にどのように影響したかを簡単に書く。上記のような差別が人類誕生以来、社会が大きくなり原始的な機能社会になって起こったと思う。その次代には差別は、そのまま選別になった可能性が高い。それが、人がオランウータンやゴリラに似た顔から、人間の顔への変化の一つの理由だろう。そして、そのプロセスが中途半端だったのが、アジアの仏教圏だったのではないか?

 

原始的な機能社会で一番重要なのは、体力や健康である。その優秀さのラベルが骨格であり顔貌である。その時代から組織的な戦争が発生しただろう。その結果、敗戦した社会(国家)の民の運命は、選別されて奴隷となるか、虐殺されるかのどちらかだろう。ここで、上に引用した大韓航空事件を思い出してほしい。そこでは、大規模な選別が起こる。それが人間が美しくなったプロセスの可能性がある。

 

東洋の農業国家では、そのような奴隷文化が大々的ではなかった。それが、あの西欧人の目鼻立ち鮮明な美形と東洋人の若干猿ににた顔貌の原因の一つだと思う。気候による顔の変化もあるだろうが、インド・アーリア人は南方にも多い。以上、独断と偏見を含む内容だが、ブログとは学問的記事ではないので、その点ご寛容のほどお願いします。それとともに、議論や反論があれば宜しくお願いします。

(追補1を挿入:6/29/12:00;表題変更:6/30/6:00) 

 

 

補足:

 

1)差別という言葉の第一(本来)の意味には、悪の価値はついていない。単に、ある一群を別の群或いは全体から区別することである。ここでは差別という単語を、二番目の意味「一群を区別して冷遇すること」の意味に用いる。尚、一神教の国では善悪は神が決める。従って、神に”見放された”我々は、善悪を自分達で決定しなければならない。

 

2)北米のある国での体験だが、釣り銭を渡す時、上空から落として渡されたことがあった。別の時、品物を間違って渡されたので、ちがうというと完全に無視されたことがあった。英語が聞き取れなかったのかもしれないが、聞き返せば解る筈の日常的な品物の売買であった。

 

3)この他、外見だけで区別し待遇に反映しても「差別」に当たらないものもある。その中で重要なのは男女の別を待遇に反映するケースである。例えば、兵士への採用は、男子を優先するのが未だ常である。それは身体的特徴がそのままその仕事の能力と直結する場合が多いこと、更に歴史的背景の影響が残っているからである。戦争が完全に電子装置の操作の戦いになれば、男女の区別は採用に反映しなくなるだろう。

 

4)家柄での不合理な優遇は日本では非常に多い。日本では民主主義が十分理解されていないからである。例えば国会議員や地方議員に二世議員が多いこと、芸能界などにも二世が非常に多いことなどである。個人としての権利の主張があまりなく、周囲の微小な圧力にも屈する文化の日本では、この種の逆差別が多い。その一つの原因として、日本には市民革命がなかったこと、未だに皇族や貴族階級が存在することがある。それは日本国の弱点であり、国政選挙なども盛り上がらない原因である。この件、以前ゴーストライターが書いたと言われる小沢一郎の本「日本改造計画」にほぼ正確に書かれている。

 

5)あるテレビ番組で、韓国の美容整形の現状について放送されていた。ある整形前の女性の家庭が紹介されていたのだが、驚いたのは来客があったときに、その女性が客の居る部屋に入って来ないよう言い渡されていたことである。人権思想が完全に欠落していると思った。

 

6)現在もっとも大きな独立した主体は国家である。その中に、多くの社会が存在する。地縁共同体的な地域社会、会社などの機能社会、非常にゆるく結合した大学などの社会など。文化を担うのは生活費を稼ぐ会社などの法人だろう。

 

7)日本の会社から政治組織に至るまで、全て調整型組織をとる。そこでは、当然、機能体化が十分になされていないので、非効率であり高度化にブレーキが掛かる。それが日本没落の根本的原因である。そのことを昨年1月、ある記事を引用する形で議論した。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12564206453.html?frm=theme

 

 

 

2021年6月25日金曜日

中国高官の米国亡命と習近平による中共幹部の引締:永遠に噂で終わるかも

1)新型コロナウイルス武漢研究所由来説の出所とその背景にある中国の権力闘争

 

19日の本ブログの記事に、「新型コロナ(Covid-19)の発生源が武漢の病毒研究所ではないかという疑惑(補足1)が、陰謀論から何時の間にかメジャーな見方になっている」という文章から始まる記事を書いた。その際、重要な出来事がその背後にあるらしいことは知らなかった。

 

その重要な出来事とは、今年2月、中国国家安全部の董経緯副部長が娘と一緒に米国に亡命し、その手土産として武漢病毒研究所でのウイルス兵器研究の秘密を米国にもたらしたというのである。この情報は最初、RedStateという米国の報道機関のスクープとして流された。(補足2)

 

董経緯副部長は、20204月の前公安部の孫力軍(Sun Lijun)副部長の失脚に関係しているのだが、今回の行動は、自分も将来同じ運命が待っていると考えてのことだという。つまり、公安部副部長という地位で、今後行うだろう周近平政権安定の為の様々な活動(つまり習近平政権への功績)が、孫力軍と同様の仕打ちの原因となると考えたようだ。

 

(a)独裁政権の功労者は、功績を積むことで目立ちすぎ、いずれ政権の邪魔者になるのが常である。

 

孫立軍だが、法輪功修行者弾圧に関連する2015年の人権派弁護士一斉拘束事件など、反体制派を“処理する”こと(西側からすれば人権無視のおぞましい犯罪行為)など、習近平主席の過去の取り組みにおいて重要な役割を果たしてきたという。

 

他に命題(a)が真であることを示す例をあげる。「蝿もトラも叩く」という習近平の反腐敗活動で活躍した王岐山にも、一時失脚説が流れた。実際に粛清されたのは王岐山の側近だったが、王岐山はそれで身動きできなくなった。(補足3)

 

2)董経緯中国公安部副部長の亡命の件とその後の米国の対中戦略転換

 

表題の件について、18日のHaranoTimesyoutube動画で、この話にかなり信憑性が出てきたということで、動画後半部分で紹介された。https://www.youtube.com/watch?v=lL0PiYtq5vw

翌日の19日、法輪功系のyoutube動画「新聞看点」では更に踏み込んで紹介された。

 

 

それらの話によれば、董経緯氏は現在米国国防情報局(DIA)の保護下にあり、新型コロナの武漢病毒研究所での開発を裏付ける情報を始め、様々な機密情報を米側に流したと考えられているようだ。この董経緯の件が、今年3月に開催されたアラスカでの米中2:2会談における楊潔篪(中国外交トップ)のブリンケン米国務長官にぶつけた激しい言葉の原因だったと云う。そう考えると、当時異様に見えた楊潔篪の興奮の理由が解る。(補足4)

 

今年5月下旬、バイデン大統領が情報機関に対して、90日以内に今回のコロナウイルスの出現場所について報告するようにと命じたことを始め、米国政府から大手メディアに至るまで、新型コロナパンデミックの中国責任論に大きな質的変更があった。つまり、原因ウイルスの武漢病毒研究所由来説が(陰謀論としてではなく)表に出たのは、米国に亡命した董経緯氏によりもたらされた情報が原因だということになりつつある。https://www.youtube.com/watch?v=83RYge1FoHQ

 

一方、中国の方では、司法・公安機構を総括する組織である中央政法委員会が、亡命報道が出た18日午後、SNSを通して董氏がスパイ摘発懇談会を招集したというニュースを伝えた。環球時報や中国中央テレビなどの国営メディアも、同じニュースを流したのだが、それらは董経緯氏が中国に居り、米国亡命の噂は嘘であると主張するために流された苦しみ紛れの偽情報のようだ。

 

エポックタイムズ系のyoutube動画「遠見快評」によると、それら報道は文章だけで写真や映像は全く無く、信憑性に欠ける。そして、このように中国政府が迅速に対応することの方が、むしろ董経緯氏亡命説を裏付けているという。https://news.yahoo.co.jp/articles/3b8c7cd8bfc692f0fd790a0d37c14447a0768f95

 

3)習近平の異例な共産党幹部の引き締め

 

更に、「遠見快評」は、6月18日、習近平はチャイナ7(中央政治局常務委員会委員)と国家副主席の王岐山らを率いて、中国共産党歴史展覧館を視察し、全員伴に共産党入党の宣誓文を唱えた場面を紹介した。この「我々は党を裏切らない」を唱える儀式については、人民日報も報じている:http://j.people.com.cn/n3/2021/0619/c94474-9862803.html 

 

更に翌19日に党員の腐敗などを監督する機関である中国共産党中央規律検査委員会(中紀委)の公式ウェブサイトは、古い事例を引用して党を裏切ると悲惨なことになる旨の警告記事を掲載した。

 

中国共産党結党100周年記念行事が目前に迫っている中、急遽そのようなことを行い大々的に報道させたのは、裏切ればどの様になるかを他の幹部に示すために行ったと考えられる。

 

この古い事例とは、1931521日に党中央が、当時の幹部の一人である顧順章の党籍を永遠に剥奪する第223号通知を出し、全党員に裏切者と戦うように呼びかけたことである。顧順章は当時の中国共産党幹部で、反スパイ機構の前身である中共特科の責任者であった。その地位は、中共の秘密工作の最高責任者である周恩来に次ぐ、諜報機関No2の地位であった。それは今回の亡命説の董経緯氏の地位に相当する。

 

顧順章は共産党の秘密情報を国民党に流し、大きな打撃を共産党に与えた。そこで周恩来は自分のチームを率いて顧順章の家に出向き、一族8人を皆殺しにした。その際、たまたま周恩来が嘗て命を救われた恩人が顧家で麻雀をしていた居た。周恩来は躊躇うことなく、その人物も殺した。この中国共産党の歴史の中で有名な事件を引用して、現在の幹部に脅しをかけたのである。(以上、「遠見快評」の内容をコピー)

 

これらの出来事が、中国の情報機関ナンバー2が米国に亡命し、今回のコロナウイルスの発生源等に関する重要な情報を米側に漏らしたことが原因だとすると、全てすんなり理解できる。

 

終わりに:

 

昨日の及川幸久氏のyoutube動画は、中国共産党の内部文書についての話であった。この文章は米国国務省が昨年入手したもので、中国が2015年からSARS系コロナウイルスをパンデミックを起こすための兵器として研究していたという内容のものである。それは、来たるべき第三次世界大戦への備えだそうである。https://www.youtube.com/watch?v=0ig-VYVFs7k

 

15時編集あり: 最初のセクションの第2節の最後の文、補足2としました。本記事全体にかかわります。そのほか数箇所修正。)

 

補足:

 

1)新型コロナウイルス兵器説については、本ブログサイトでも及川幸久氏のyoutube動画を引用する形で2020年130に書いている。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12571133490.html?frm=theme 当時はメジャーな考え方でなかったという意味では陰謀論だったが、私は最もあり得る考え方だと思っていた。「陰謀論」という言葉で大衆を思考停止に導くやり方は、米国支配層とそれに毒された人たちの方法である。歴史的事件の多くにおいては、真実は陰謀論として片付けられた方にある。例として、朴正熙韓国大統領の暗殺に関する以前書いた考察と、日本の著名な評論家を批判した記事の二つを以下に引用する。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466515465.html

 

 

2)この件、未だ噂であるという点、断っておきます。

 

3)王岐山と習近平の間(不仲)は側近の拘束で確実になったが、王の末路には暗雲が立ち込めている。「蝿もトラもたたく」という習近平の反腐敗運動(政敵追放)に協力した王岐山も、202010月の五中全会(第19回中国共産党中央委員会第5回全体会議)で失脚するかもと噂されていた。https://www.visiontimesjp.com/?p=10285

 

4)アラスカでの米中の2:2会議で、中国の外交トップの楊潔篪がブリンケンに亡命者を返せと言ったが、ブリンケンはCIAなどから報告を受けていなかったので知らないといったという。そしてそれが、楊潔篪が激しい口調で米国にイチャモンを着けた原因だというのである。https://www.youtube.com/watch?v=83v3tuBZ7_Q 董経緯副部長を匿っているDIA(国防情報局;Defense Intelligence Agency)幹部が、CIAFBIなどの他の政府情報機関には中国のスパイが大勢いると考えて秘密にしていたという。

 

 

2021年6月22日火曜日

抗体カクテル療法とヒドロキシクロロキン中心の3種薬混合療法:遅れる日本の法整備

追加情報: 富山大がδ株(インド型変異株)やε株(米カリフォルニア)にも効果のあるスーパー抗体を作ることに成功したと発表しました。

https://www.u-toyama.ac.jp/wp/wp-content/uploads/20210616.pdf

尚、これらの変異株は、日本人の6割が持つ白血球のタイプHLA-A24(これまでの新型コロナウイルスは認識する)の認識を逃れることを東大のグループが見出し、それらの日本での流行に対する警鐘を鳴らしています。

 

ーーーーーーーー

 

新型コロナの予防のため、ワクチン接種が国策として採用されている。その一方、治療法については明確な指針が無かった。日本政府はワクチンの接種に集中するため、治療法として有望な薬品を承認してこなかった可能性が高い。

 

日経新聞の記事によれば、米ファイザー製のワクチンには薬機法14条に定める特例承認を適用した。その条項には、「緊急時にそのワクチンを使用するほかに適切な方法がなく、海外で実績があるなどの条件を満たせば手続きを簡略にする」と書かれているようだ。https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE270E40X20C21A4000000/?unlock=1

 

これまで有望な治療法として、ヒドロキシクロロキン、或いはイベルメクチンを中心とした3種類程度の薬品の混合物投与があった。それを緊急承認しようとしなかったのは、上記の法的な問題があったからだろうと、及川幸久氏がyoutubeで語っている。つまり、ヒドロキシクロロキン療法を承認すれば、他に適切な方法が発生し、ファイザーやモデルナのワクチンを承認した根拠が揺らぐのである。

 

及川氏が上記動画で紹介したのは、モノクローラル抗体(補足1)のカクテル療法である。これも同様の理由で、その緊急承認は進まないだろう。

 

 

この問題は、恐らく来年には「期限付き承認」という制度が法制化されるだろうと、上に引用の日経新聞に書かれている。国会は閉会しており、法改正は次回の国会を待たなければ審議されないので、この抗体カクテル療法も、それまでは使用されないだろう。(補足2)

 

2)抗体カクテル療法

 

この方法は、新型コロナに感染したトランプ大統領が治療に用いた。2−3日後には退院して、トランプさんの生命力に感心したのだが、その裏にこの方法があったようだ。日本の中外製薬が今年3月に臨床試験を開始しており、今年中に申請する予定であるとある報道に書かれている。https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=71071

 

抗体カクテル療法とは、SARS-CoV2(以下コロナウイルス)のスパイク蛋白の異なる部位に結合する複数のモノクローナル抗体の混合液を注射する方法である。例えば、米国リジェネロン社(Regeneron Pharmaceuticals)は、casirivimabimdevimabという名称のモノクローナル抗体を開発し、混合して用いる。抗体カクテルには、別の会社が作ったbamlanivimabetesevimabという組み合せも存在する。両方とも米国で緊急承認されている。

 

前者(casirivimabimdevimab)のカクテル療法は、ロシュ社が製造、開発、販売について共同で実施しており、日本では中外製薬が国内での開発権、今後の独占的販売権を202012月にロシュ社から取得している。

 

3)ヒドロキシクロロキンのカクテル療法など

 

ヒドロキシクロロキン(マラリヤ、リウマチの治療薬)、亜鉛イオン(硫酸亜鉛)、アジスロマイシン(抗生剤)の混合薬は、米国の臨床医ウラジミール・ゼレンコ(Vladimir Zelenko)が新型コロナの治療に用いて、高い実績を残していることで知られている。https://en.wikipedia.org/wiki/Vladimir_Zelenko (補足3)

 

ヒドロキシクロロキンを中心とするこの療法も、超有名医学誌のLANCETの否定的なインチキ論文が契機となり、米国FDAから承認を取り消されたようだ。その後、最近になって、インチキがバレたようで、その論文は取り下げられた。https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31180-6/fulltext (補足4)

 

先日紹介したイベルメクチンも有効な治療薬として注目された。この場合、米国のある医師を中心にした国際的な医師グループであるFLCCCfront line covid-19 critical care alliance)が、多くの使用の結果を分析し、公表してきた。これも著名な米国の医学誌JAMAにその効果を否定する論文が出され、普及にブレーキがかかっている。これについては6月13日の記事に書いた。

 

米国には真実が安心して座る席がないようだ。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12680342935.html それは今に始まったことではなく、大昔からのことである。米国に何者かにより金儲け最優先と主権国家体制の破壊、つまりグローバリズム、の文化が移植されたことは、今や公然の秘密である。既に何度も書いてきたので、このことはもう書かない。

 (15時35分、第3節のレムデシベル=>イベルメクチン)

 

補足:

 

1)モノクローナル抗体は、抗体産生する単一のB細胞を多発性骨髄腫の細胞(ミエローマ細胞)と融合させ、培養してつくる抗体。ミエローマ細胞は、無限に増殖可能な性質をB細胞に与えるために利用される。詳しくは抗体カクテル療法を日本で取り扱う中外製薬のHPを参照。https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/bio/antibody/antibodyp12.html

 

2)日本は厳密には法治国家ではない。イザとなれば、なし崩し的に法解釈を変えることさえできるので、その手法を用いて今年中には使用可能となるだろう。

 

3)この療法を用いた高い治療実績により、ウラジミール・ゼレンコ氏をノーベル賞候補と考える人も多いようだ。及川氏は、「トランプは反対!世界で始まったワクチン子供接種」という動画の後ろの方でそのことを紹介している。https://www.youtube.com/watch?v=se9YoBqb5_g

因みに、ヒドロキシクロロキンはこのブログでも昨年の3月に紹介している。中国や韓国では広く用いられてきた。

 

 

 

4)この療法も、トランプ前大統領が推薦したことで、米国と世界中での使用が妨害されたと私は考えている。既に特許が切れたヒドロキシクロロキンなどを利用しても、製薬会社にはお金が入らない上、そのバックに隠然と存在する金融資本家が敵対視するトランプの推薦であれば尚更である。

 

 

 

 

 

 

2021年6月20日日曜日

新型コロナパンデミックのモデル大転換から歴史の作られ方を学ぶ

1)将来の歴史書に新型コロナウイルス武漢病毒研究所起源説は記載されるのか?

 

新型コロナ(Covid-19)の発生源が武漢の病毒研究所ではないかという疑惑が、陰謀論から何時の間にかメジャーな見方になっている。G7サミットでも中国の名前を挙げて批判することになり、世界は民主主義圏と独裁圏に分かれての冷戦状態になったように見える。私自身は、民主国の見方(見通し)が正しいと思う。

 

このコロナパンデミックの理解に関する大きな変化を見て、「歴史の作られ方」というテーマで何か書けそうな気がした。つまり(結論は)、現代でも、歴史とは覇権の主により作られる物語だということである。(補足1)

 

新型コロナに関する上記最新の見方も一つのモデルであり、真実だという保証は無い。真実を知るには、一つのモデルを持つとしても、更にデータを集め、検証と考察を重ねる努力が必要である。それが真実に近づく科学的方法である。

 

その一方で、国際政治は予想を超えて動き、それに対して関係各国は、リアルタイムで応答する必要がある。その際の縛り(動機;束縛条件)は、各国家の支配層の利益であり、決して事実の解明ではない。その結果、国際政治もその現代史的理解も、真実から離れて定着する可能性がある。

 

上記モデルの大転換に関係している可能性が高い出来事は、米国国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長が、武漢病毒研究所によるコロナウイルスの機能獲得実験を支援していたことである。

 

オバマ政権時代に高く評価されていたファウチ氏が、この武漢病毒研究所と深い関係にあったことと、パンデミックの原因としてコロナウイルスの武漢研究所からの漏洩説が浮上したなら、2020大統領選挙において米国支配層にとって何よりも鬱陶しいトランプを応援することになってしまう。そこで米国支配層は、ファウチ氏とその周囲に、この漏洩説を陰謀論として強く否定させたのだろう。

 

政権が予定通りバイデンに代わったが、中国のひどい人権弾圧や国際秩序を乱す行為に手を焼く米国は、この漏洩モデルを利用して中国を攻撃したくなった。その実行には、一端否定したこのモデルを復活させることが極めて有利であり、その場合、このファウチ氏関連の諸事実をバイデン政権に影響しない様に処理しなければならない。その一つの方法は、ファウチ氏とその周辺を上手く切り捨てることである。もしそれが出来なければ、最終的に研究所漏洩説はやはり事実ではなかったことなる可能性も残されている。(補足3)

 

以上を要約すると、将来の歴史書における新型コロナウイルスの起源に関する記述は、事実の解明という科学的視点と米国支配層にとっての利益はどうなるかという政治的視点の両方から決定される。この様な場合、力のあるのは政治の方である。実際、このようにして米国の歴史の中に非科学的な説が定着した例はこれまで結構あるだろう。例:https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516473.html

 

 

2)歴史のつくられ方とそれに対する反抗の例:東京裁判史観

 

これまでの世界政治は、一般市民にも判る比較的単純なモデルで説明され、それらが歴史として蓄積されて来たように思う。第二次世界大戦では、いわゆる枢軸国が悪玉で、連合国が善玉である。本当はそのような善と悪の戦いでは無かった筈であるが、(現在の)国際政治はその“歴史”を基に成立している。

 

国家間の戦争では通常、味方を善、敵を悪とする。この単純なモデルは、国民に戦争への参加の義と意欲を与える。勝敗が決まれば、両国は講和条約により新しい出発点に就く。講和条約とは、戦勝国の作った歴史モデルを正史として採用し、戦敗国もそれに従うという合意約束である。(補足4)

 

例えば東京裁判史観と呼ばれるのは、戦勝国のモデルを日本の保守派が自虐的に言い換えたものである。そして戦後75年も経過すれば、そのモデルから日本が自由になり、その史観から脱却できると考える人が多い。つまり、現在の国際政治へ影響しないようにあの日米戦争をより自虐史観でない歴史として、過去の歴史巻物の中に封入する時期だというのである。それは可能なのだろうか?

 

この最も新しい数十年の外交や政治のファイルを、整理して近代史として創造する時、四方八方の政治勢力がそのプロセスに干渉するだろう。これが国際的歴史問題である。講和条約で用いられた歴史モデルを修正すると、当時の関係国の間の現時点の政治に、様々な圧力や応力を生じる。その責任を一体誰がとるのか? これらの事を考えると、歴史解釈の変更は、場合によっては講和条約の破棄につながる可能性があり、普通は不可能だろう。つまり、東京裁判史観を変更するには、講和条約締結国の同意を得る必要がある。そんなことが可能な筈がない。

 

歴史学が科学となりえるのは、実際の政治との関係が完全に無くなった時である。その時点では、歴史学と考古学の間に差がなくなるだろう。例えば、日本では2600年遡っても、現実の政治と歴史的出来事は絡んでおり、歴史学(日本史)は科学にはなりえない。(補足5)

 

3)安定な歴史の構築には敗者は殲滅されなければならない:敗戦国ドイツと日本の場合

 

ドイツが安定な近代史を構築できたのは、ナチスをその歴史において完全否定したからである。“絶対的な悪”を決定した後には、善の相対的修正は比較的容易である。国際秩序に根本的な変更が生じないからである。数年前に、ナチスの収容所で門番をしていた93歳の老人が有罪の判決を受けて服役した。この件を5年前に「ドイツの狡賢さと日本の愚かさ」と題して記事を書いたが、(今考えれば)あの件はドイツが連合国との間で締結した講和条約に従ったというだけのことだろう。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466514445.html

 

日本の場合、降伏とその後の講和の段階では、日本は戦前の軍事政権を絶対悪とする連合国側の評価・決定を受け入れて、天皇制擁護(国体護持)を実現した。その軍事政権に対する評価とは、極東国際軍事裁判所の決定であり、それを国家として受け入れることは、講和のときに決定したことである。しかし、講和の際の約束でありながら、日本は大日本帝国を絶対悪と出来なかった。

 

その象徴として、東京裁判で戦争責任者とされた筈の人たちが、一般の戦死者が祀られるべき靖国神社に合祀されたのである。それを可能にしたのが、日本人は皆頑張ったという形で、戦争責任を他に押し付ける間違った思想である。そして日本国民は、戦争をまるで天災のような感覚で処理している。国際社会は本質的に野生の支配の世界であり、日本が敗戦国になった責任は日本人が取らなくてはならない。その原点に立たなければ、天動説と地動説を間違えるような結果になる。

 

「日本人は皆家族である」的な考え方で、嘗ての戦争責任者を許す思想は、右翼系に多い。その代表が、櫻井よしこ氏である。櫻井氏は、「独立を回復したとき、全国で戦犯の赦免及び保釈の運動が湧き起こった。赦免を求めて署名した総数は4739万人だった。A級戦犯をはじめとする全ての戦犯の赦免こそ、国民とほぼ全ての政党の切なる願いだった」などと語った。更に、「A級戦犯を含めた全ての戦犯は、日本国内外の合意と承認を得て赦されたのであり、合祀の時点ではもはやどの人も戦犯ではなかったのである」と言った。しかし、赦免されたとしても、戦犯では無かったとは言えない。そのごまかしが、日本の再生を妨害しているのである。

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2013/08/blog-post_29.html

 

櫻井よしこ氏のこの解釈は、もし講和条約を破棄するという覚悟も無いままになされたのなら、根本的に間違っており、知性の欠如である。

 

 

4)歴史的出来事の歪曲理解の例

 

歴史的出来事の歪曲の日本での代表例が、明治維新である。このブログでも2015年に「明治維新とは何だったのか」という題で、我々が中学や高校で習得し、NHKの大河ドラマで流された明治維新の物語は、実は山県有朋らが作った官製物語であると書いた。この歴史解釈の変更は、多少英国に圧力を発生するものの、古い問題でもあり可能だろう。ただ、高く立ちはだかる壁は、孝明天皇の死をめぐる疑惑である。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466514404.html

 

慰安婦問題を含む日韓関係に対するモデルも、当然のように日韓で大きく異る。政治的環境の変化か、韓国における理解が徐々に日本の理解に近づいている。朴裕河教授(帝国の慰安婦)や李栄薫教授らによる(反日種族主義)修正は、より真実に近づく方向で行われ、それらは韓国の努力の結果である。勿論、この変化に対する見方は日本人(つまり私)のものである。(補足6)

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12532361574.html

 

全世界的なケースでは、例えば、「地球温暖化モデル」も事実の探求以前に、政治的匂いが強い。この件、今年2月に再度考察している。その結論だが、ある国際的政治勢力が非常に単純なモデルを建てて、自分たちの利益のために世界の政治経済をカーボンニュートラルという方向に牽引するため、そしてそれを通して世界覇権の実現のために利用していると思われる。(補足7)https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12656482592.html

 

その際に利用するのが、Natureなどの一流の商業誌である。最初のホッケースティック図の誤りは、その後の温暖化現象の理解をむしろ阻害している。https://ieei.or.jp/2020/08/expl200819/

 

昨年からの新型コロナ問題も、このような見方をすれば、真実に近づくには少なくとも数年、下手をすれば数十年を要するのだろう。米国の視点の大転換は、単に事実に基づく議論が進んだというよりも、米国の国際政治の大転換の反映と考える方が正しいだろう。

(21:45 編集あり;6月20日午前5時30分編集と補足4、7の追加)

 

 

補足:

 

1)歴史は史実と思しきものを選択し、或いは捏造して、それらを繋げて作り上げた物語である。アジア最古の歴史書の史記も、日本最古の歴史書の日本書紀も、その物語は時の権力者が由緒正しく、偉大な使命として国を作り上げたと記していると解釈される。(岡田英弘著「歴史とは何か」、文春新書)

 

2)ファウチ氏がコロナウイルス漏洩説を陰謀論として否定したことと関係があると考えられる証拠の一つは、一流医学誌LANCETに掲載された27名連名のSARS-CoV2自然発生説を支持するレターである。このレターの投稿にファウチ氏に非常に近い人物、ファウチ氏の支援金を直接武漢研究所に送ったPeter Daszakという名前が存在している。ファウチ氏に近いDaszak氏は、WHOの武漢視察団にも入っていて、上記と同様の報告を出している上、武漢のコウモリ婦人こと石正麗と共著論文2−3報を持つ人物である。https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/01/post-95464.php 

 

3)ホワイトハウスはファウチ氏を評価し続けているようだ。SARS-CoV2の起源が武漢P4研究所であるという説には二つのバージョンが存在する。その一つは武漢P4研究室での遺伝子操作により作られ放出されたという説であり、もう一つはコウモリ由来のウイルスを研究中に誤って研究所から漏洩させたという説である。バイデン政権はファウチ氏をかばっているので、後者の説を採り中国との本格的デカップリングはしないつもりだろう。https://www.bbc.com/japanese/57353794 

 

4)この戦争のモデルも西欧文化が作り上げたものである。それはクラウゼヴィッツにより「戦争論」として整理されている。しかし、西欧文化により経済的に発展したにも拘らず、アジアの諸国はこの西欧文化を理解し従おうとしない。西欧諸国の間では、戦争後も講和後は付き合って行こうという前提、仲間意識がある。その文化を共有しないように見えるのが、アジアの大国と日本や韓国などの周辺国である。ドイツもナチス政権下の一時期、この戦争文化を無視した。戦後ドイツへの連合国の強い姿勢は、暗黙の西欧文化から遠く離反したからだろう。戦争が本当の野生の原理の下の国と国の戦いなら、敗戦国の国民全員が虐殺されることもあり得るだろう。暗黙の了解の消失は、人間文化の退化であり、それは西欧の見方では、恐らくアジアを政治経済の仲間に入れたからと考えている筈である。この世界経済の進行の背後に何があるのか? それは別のテーマであり、何度も書いてきた。

 

5)大阪府にある古墳の発掘は政府により禁止されている。https://www.mag2.com/p/news/399268

 

6)韓国も日韓基本条約締結後に政権により歴史解釈の変更を行っている。それが慰安婦問題や徴用工問題の賠償要求となって現れた。韓国も日本同様、自分たちが西欧文化の中に生きていることを良しとしながら、西欧文化を消化不良のままにしている。事後法で裁くことに禁止など法治の原則を十分国政に取り入れていない。

 

7)この世界的勢力は、中国共産党政権を利用する方針だったが、中国はそれほど単純では無かったのではないだろうか。つまり、西欧は中国を過小評価していた可能性があると私は思う。

2021年6月16日水曜日

新型コロナワクチン接種(IV) :病的な貧血のため接種することにしました

日本でも新型コロナ(以下単にコロナ)のワクチン接種が進んでいる。前回このシリーズで、大阪大名誉教授の宮坂昌之さんの講演を紹介し、以下のような書き出しでブログ記事を書いた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12679897880.html

 

新型コロナのワクチンを打つか打たないかは個人の基礎疾患とも関連するので、個人としては、メリットとデメリットを自分で考えて判断すべきである。その際、5月11日に日本記者クラブで行われた宮坂昌之さんの講演は、メリットを考える上で非常に参考になる。(補足1)

 

基礎疾患への考慮であるが、通常は”基礎疾患があるので、その悪化の可能性を考慮してワクチン接種をしない”という文脈で、ワクチン接種の是非が語られる場合が圧倒的に多いと思う。ただ、ワクチン接種の副作用が生じる体の部位とコロナで悪化する体の部位が全くことなることに注意が必要だろう。

 

つまり、副作用に非常に弱い部位を持つ人(そのような持病を持つ方)は、ワクチン接種の予想される害が大きい。その一方、コロナに対して非常に弱い部位を抱える人は、ワクチン接種により得られる免疫によりコロナ罹患を防ぐ利益が非常に大きくなる。

 

例えば肺機能が十分でない方や病的な貧血などの方などがコロナに罹患した場合、直ぐに酸素マスクを装着することになり、重症化が早いのではないだろうか。その場合、アレルギーやアナフィラキシーを恐れて、或いは、あるかどうか分からないデング熱と同様の抗体依存性増強を恐れて、ワクチン接種をしないのは愚かな決断である可能性が高い。そのように考え、一端ワクチン接種の予約を取り消したのだが、今回再び予約をすることになった。

 

ここで一つの記事を紹介したい。今日ヤフーニュースとして配信された、高原優という方によるコロナとインフルエンザの死亡率を入院患者で比較したものである。https://news.yahoo.co.jp/pickup/6395930 

 

この記事でわかるように、入院後の死亡率はコロナの場合15%を超え、インフルエンザの5倍程度もある。それも高齢者のコロナ罹患者の場合、更に、肺機能が不十分な方や病的な貧血の方は、これより遥かに大きいだろう。(補足2)

 

 

重ねてかなりショッキングだったのは、以前からNHKの件で応援していた立花孝志さんが、コロナで入院することになった(既に入院されているだろう)ことである。彼の動画を見て、非常に辛い決断だったことが良く判る(補足3)のだが、その決断は正しいと思う。回復されたら、一廻り大きな政治家になってもらいたい。

 

 

補足:

 

1)この講演の紹介の中で上記前記事で書かなかった部分がある。それは、新型コロナ(Covid-19)のウイルスである(SARS-CoV2)には、変異を抑制する機能があるという部分である。ただ、実際には変異が活発に起っており、その機能がどの程度パンデミックに影響しているのか解らない。

 

2)高原優さんの以前の記事も、非常に参考になる。特に、今ブログなどで行っている議論がひょっとして十分現実的な議論なのかの(セルフ)チェックに有用だろう。https://news.yahoo.co.jp/byline/kuraharayu/20210504-00235518/

 

3)立花孝志さんは、新型コロナはただの風邪と言っていたようだ。大阪市大名誉教授の井上正康氏の「日本人は集団免疫を持っている」もそれと同様の主張。 元衆議院議員の松田学氏も、以下の動画で「現在騒いでいるコロナは、土着の風邪のひどいのだ」と言って居られる。

 

 

(補足3は21時追加;21時25分編集)

2021年6月13日日曜日

新型コロナの特効薬? ペルーにおけるイベルメクチンの効果

新型コロナのワクチン接種が進んでいるが、治療薬についての期待と議論は少ない。(ヒドロキシ)クロロキンの有効性については中国や韓国で既に確認済かと思ったが、米国食品医薬局(FDA)は一端出した緊急使用許可を取り消した。現在許可が出ている治療薬は、レムデシベル(正式許可)だけだろう。予防薬でも、ファイザー等のワクチンは緊急使用許可(EUA)である。

 

そんな状況の中で、治療薬として注目されているのが、大村智氏発見のイベルメクチンである。新型コロナ(以下covid-19)の治療に著効を有するという説がある。例えば読売新聞onlineは、調査研究としてかなりの情報を今年4月に発表している。https://www.yomiuri.co.jp/choken/kijironko/cknews/20210427-OYT8T50019/

 

イベルメクチンの効果を非常に高く評価しているのが、国際的な医師グループであるFLCCCfront line covid-19 critical care alliance; 新型コロナ救急医療フロントライン;補足1)である。彼らが紹介したのが、昨年5月頃からイベルメクチン投与を始めたペルーでの結果である。著効があったと思われるが、202011月に就任した新大統領は、どういう訳か、イベルメクチンの使用を中止した。https://news.yahoo.co.jp/articles/52223fb47d6866c9bc11e3ab097d7a611d4c19dd 

 

その後今年3月、イベルメクチンの治療効果を否定する論文が権威ある米国医師会雑誌に出された。しかし、以下に述べるように、不自然な部分がこの論文には多く存在する。イベルメクチンの件も、Covid-19の出所とそのパンデミックに絡んだ多くの疑問と同様、国際政治の暗闇に真実が隠されているような印象を受ける。

 

日本では、イベルメクチンの適用外使用は既に厚生労働省により認められているが、本承認も緊急使用承認も出されていない。日本こそ、この薬の真価を確認して、適用外使用などという中途半端な姿勢から脱すべきである。Covid-19には特効薬が無いので、その出現を期待する人が多いと思う。(補足2)

 

2)イベルメクチンはCovid-19の特効薬なのか?

 

上記FLCCCの人たちは、イベルメクチンのCovid-19治療薬としての効用を強く主張している。昨年10月末に公表したFLCCCメンバーの論文(ただし審査済論文ではない)では、その効果は以下のように整理されている。(補足3)
 

SARS-CoV-2 の複製を阻害し、感染細胞培養で 48 時間までにほぼすべてのウイルス物質が存在しなくなる; ② 感染した患者の世帯員における COVID-19 感染の伝播と発症を防ぐ;③ 症状の早期に治療された軽症から中等症の患者の回復を早め悪化を防ぐ; ④ 入院患者の回復を早め、ICU 入室と死亡を回避する; ⑤ 住民全体に配布され使用されている地域において、致死率の大幅な低下を導く。

 

下は、イベルメクチンを用いなかったペルーのリマ州を除く8つの州でのイベルメクチン投与効果を示す図である。毎日の過剰死の数(赤い線)とCovid-19感染者数(薄い青の部分)とを、その8つの州で示したもので、灰色の領域はイベルメクチン配布以前を示す。

 

注目されるのは過剰死(赤の線)が、イベルメクチン配布の直後に最大となり、それ以降は急激に減少している。そのピーク位置は、Covid-19発症数のピークとはあまり関係がない。この事実は、イベルメクチンがCovid-19感染者の治療に大きな効果があることを実証している。

 

 

もう少し詳細に見る。左下のUCAYALI州では、(イベルメクチンの配布済の)8月半ばに感染者が最大となっても、死者数増加はほんの僅かである。一番右下のMOQUEGUA州の結果でも、10月の感染数増加の所に死者数のピークがない。全ての州で、時間軸上の死者数のピークは、イベルメクチン投与による死者数の減少により決定されていると思われる。

 

この効果を確認するには、軽症者ではなく、中等症から重症者への治験を実施するべきだろう。

別の報告の図になるが、リマ州での死亡数の統計では、感染者数の統計と同様に2−3ヶ月の間隔を置いた大きな二つの山を形成している。(以下の文献の最初の図参照https://covid19criticalcare.com/ivermectin-in-covid-19/epidemiologic-analyses-on-covid19-and-ivermectin/ )

 

その一方、イベルメクチンはあまり効かないという報告が米国医師会の研究誌に今年3月発表された。https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2777389 その報告に対するFLCCCグループによる批判も出され、その和訳は北里大学のホームページに掲載されている(下に掲載)。

 

試験管内での実験では、既に書いたように一定濃度でのイベルメクチンの存在は、SARS-CoV2ウイルスを48時間以内に消滅させる。ただ、その濃度を患者の血中で実現するには、寄生虫駆除の際に用いられている通常服用量の15倍程度の投与が必要なようである。http://jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA74/74-1-open/74-1_1-43.pdf (世界のイベルメクチン効果の研究のレビュー)

 

しかし、上記JAMAの論文では、寄生虫駆除に用いられている通常濃度の僅か1.5倍ほどの投与で試験している。それでも、2日ほどだが、イベルメクチン投与群で回復日数が短くなっている。しかしその結果は、小さな人数での治験故、有意の差ではないとして切り捨てられている。更に、患者の観察を21日で打ち切っているので、全員を最後まで追跡していない点で不完全な報告だと言える。(補足4)

 

このJAMAの論文は、少なくとも新規治療薬を得ようとする姿勢では書かれていない。そのため、効果があまり出ないように臨床試験をしているように見える。

https://kitasato-infection-control.info/swfu/d/ivermectin_20210418.pdf

 

3)陰謀が渦巻く世界

 

何故、このような無益な論文が一流の研究誌に出されるのか? その疑問と同時に思い出すのが、昨年2月パンデミック後早々に一流雑誌のLANCETに出された、Covid-19の原因ウイルスが実験室から漏洩したものではないとする科学者たちの意見表明である。https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30418-9/fulltext 

 

この意見表明では、中国の研究者と互いに情報を開示し共有することが、この疫病に打ち勝つ近道であるというような虚しい言葉が書かれている。そして、原因ウイルスSARS-CoV2は自然界からでたもので武漢の研究所から漏れたものではないとして、漏洩説を陰謀論として退けている。(補足5)

 

注意を要するのは、上記LANCETの意見表明者の中に、米国大統領顧問だったファウチ博士(米国国立アレルギー・感染症研究所 所長)からウイルスの機能発現研究の助成金を武漢病毒研究所に送ったPeter Daszakという名前が存在していることである。Daszakは、WHOの武漢視察団にも入っていて、上記と同様の報告を出している上、武漢のコウモリ婦人こと石正麗と共著論文2−3報を持つ人物である。

 

陰謀論、それは科学の言葉ではない。科学界に政治的プロパガンダが紛れ込んでいるという危惧を強く持つ。この問題を突けば、“蛆虫の入った缶を開ける”ことになるようだ。現代の科学界は病んでいる。https://www.vanityfair.com/news/2021/06/the-lab-leak-theory-inside-the-fight-to-uncover-covid-19s-origins

(15時15分、小編集)

 

補足:

 

1)上記読売の記事によれば、FLCCC20203月にアメリカのイースタンバージニア医科大学のポール・E・マリク教授がリーダーとなって設立された。

 

2)この薬の特許は切れている。それで、第三相の臨床検査を終えて正式承認を得ることは、経費対利益を考えた場合、民間には出来ない。それなら、FLCCCなどのメタ解析(他人の研究論文などを集めて解析する)を利用して、緊急使用許可を出すべきである。インドなどでは合成して用い、効果を挙げているようである。ワクチン会社に対して忖度する義務は日本政府には無いはず。

 

3)FLCCCメンバーによる20201031日の論文は、FLCCCのサイトと北里大のHPに掲載されている。ただ、この論文は学会同業者の審査(peer reviewという)を経ていない。

https://kitasato-infection-control.info/swfu/d/ivermectin_1.pdf 

和訳https://kitasato-infection-control.info/swfu/d/ivrmectin_20201031.pdf

 

4)400人の患者のうち、398人(99.5%)が試験を完了した。 症状の解消までの時間の中央値は、イベルメクチン群で10日(IQR9-13)であったのに対し、プラセボ群では12日(IQR9-13)だった。 21日目までに、イベルメクチン群の82%とプラセボ群の79%が症状を解消したなどと書かれている。統計的には有意の差がないという結論である。私見だが、あと二人がどうなったのかという重要な点について書かれていないのが気になる。

 

5)最近、Covid-19原因ウイルスが武漢病毒研究所から漏れたという説が有力になってきている。その際に良く引用されるのが、最後の所で引用したVanityfairという雑誌の文章である。

尚、武漢海鮮市場から流行が始まったという説は既に破綻している。何故なら、海鮮市場と無関係な所で最初の患者が出ているからである。しかしこのウイルスはコウモリ由来だということになっている。そうすると、何故発生箇所が武漢なのかが大きな疑問となる。何故なら、コウモリ由来なら雲南省など南部の地域から伝染が始まる筈だからである。

2021年6月11日金曜日

新型コロナのワクチン接種の是非(III) 宮坂昌之さんの日本記者クラブでの講演について

新型コロナのワクチンを打つか打たないかは個人の基礎疾患とも関連するので、個人としては、メリットとデメリットを自分で考えて判断すべきである。その際、5月11日に日本記者クラブで行われた宮坂昌之さんの講演は、メリットを考える上で非常に参考になる。

 

 

この講演で私が初めて明確に知ったのは、脂質ナノ粒子の中に封入された今回のm-RNAワクチンが直接リンパ節に入ること、そして、樹状細胞からヘルパーT細胞が情報を受取り、キラーT細胞による細胞免疫機能が短時間で発現することである。(補足1)

 

ただ、この講演で若干不満に思うのは、個人的メリットと社会的メリットを峻別して議論されていない点である。例えば、年代毎のメリットとデメリットを比較する図(講演の53分頃ではそれが中心課題)があるが、これによると20代がワクチン接種する個人的メリットは殆どない。

しかし、20代はもっとも感染者が多い年代であり、彼らが感染を広げるのなら、20代へのワクチン接種の社会的メリットは非常に大きい。勿論、53分から始まる議論では、20代は別のワクチンを接種すべきだと言っておられるが、それだけでは同様の図でメリットがデメリットを超える図は描けない。従って、この講演を聞いた20代の健常者は、ワクチンを接種しないだろう。

 

今回のパンデミックで社会が新型コロナと戦う際に重要な点は、世代間の協力である。つまり、5月9日に書いたように、若年層にこそワクチン接種をさせるべきである。5月9日の記事

 

今回の講演のもう一つの不満は、将来起こり得るかもしれない抗体依存性増強(ADE)について言及が無かったことである。その危険性も、変異株が発生した時に変異株用に開発されたワクチンを、感染前に打ち続けられるのなら、問題は克服されるようである。なぜなら、m−RNA型の新型コロナワクチンの有効性は1年ほどで弱くなるので(補足2)、その新しいm-RNAワクチンの免疫で自身の免疫を上書きすれば良いからである。

 

宮坂さん自身も昨年の11月頃には、自分はワクチンを打たないと発言していたが、今年5月の講演のときには意見を変えたようだ。(動画の1時間25分頃から)その根拠として、「ファイザー社やモデルナ社から発表された安全性のデータが少なかったからである」と発言されている。

 

ただ、当時でも「生命に関わるような重大な副作用は無い」という両社の話を聞いたというので、ワクチンが生命に影響するウイルス病から守ってくれると知りながら、「今は、打たない」とSMSで意志表明されるには、もっと他の理由があった筈である。

 

兎に角、今までに現れた変異株を含めて、ファイザーとモデルナのm-RNAワクチンの有効性は90%を超えるので、基礎疾患の無い方で将来の変異株におけるADEを恐れない人(新しい変異株用ワクチンができるまで感染しない人)は、上記二社のワクチン接種が勧められる。

 

その他参考になったのは、今回のウイルスの場合、感染メカニズムとして重要なのは飛沫感染のみであると明確に言及されたこと(補足3)、更に、エアロゾル(極小さな飛沫)感染を防ぐには二重の不織布マスクがより効果が高いという指摘であった。これも、目からの感染が気になるので、外出後は目と鼻をあらうべきだろう。

 

補足:

 

1)インフルエンザワクチンなど生ワクチンでないワクチンでは、キラーT細胞による細胞免疫機能が直接発現しない。中国製ワクチンの効き目が今ひとつなのは、不活化ワクチンだからだろう。

https://www.kojirakawa-shiseido-hp.com/health/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B6/

 

2)42分30秒の図では、55歳以上の人の中和抗体濃度は、200日後に約1/5になる。

 

3)インフルエンザなどでは接触感染の重要性が強調されている。欧米のマスク不要論の根底には、このインフルエンザの感染メカニズムが念頭にあるようだ。昨年1月29日の記事において紹介した、米国のジャーナリスト ローリーギャレットさんの記事では、マスクの有効性を非常に低く紹介していた。

 

 

 

 

2021年6月10日木曜日

陰謀論という言葉の非科学性

1)科学と宗教

 

科学は、最も一般的な表現を用いると、「事実と論理で組み上げた知的体系」とでも言えるだろう。そして、科学の構築は、これまでの科学に新たな事実の把握と論理的関係付を最もコンパクトな形で行うことである。その論理的関係付は、目的を共有する多数の参加者、つまり科学者、が平等の原則でオープンな議論を通して行う。

 

宗教は、ある既存の価値の体系であり、信者は多くの場合その聖典を学び、その記述とおりに実行することを目指す。宗教には論理が存在しても、既にその聖典の中に組み込まれており、科学のように新たに組み上げるものは無い。勿論、新たな宗教が、それまでの宗教の変更の形で生じることがあるが、それは新しい教祖により行われるのであり、信者には関係はない。

 

宗教と科学の大きな違いの一つは、聖典の言葉には予めその宗教が既定する価値が含まれていることである。代表的な言葉として、善、悪、罪などがある。これらの言葉は科学の中には現れない。「悪い科学」は、科学ではない。勿論、科学的発見が、人類一般或いは一部の人達にプラス/マイナスになる場合があるが、それは社会学や政治の言葉で語られるべき話である。

 

2)新型コロナ肺炎における「陰謀論」

 

(この様な意見でも、陰謀論を使わないで否定するのが科学的態度です)

 

一つ例を挙げて説明する。最近よく聞く言葉に「陰謀論」がある。それが非科学的に用いられる場合が多いので、注意喚起したい。先ず、「陰謀論」という言葉には既に負の価値が含まれている。従って、「陰謀論は善である」はまともな文章ではない。陰謀論を持ち出しある命題(補足2)に対する議論を放棄するのは、科学的姿勢ではない。

 

最近、BuzzFeedというサイトに “ワクチンめぐり広がる「陰謀論」:専門家が「これからが正念場」と警鐘を鳴らす理由” という記事が、ある人により執筆された。

https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/conspiracy-theory-6

https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/conspiracy-theory-5?bfsource=relatedmanual

 

その文章は以下のように始まる。

 

新型コロナワクチンを「大量破壊兵器」と否定したり、コロナそのものが「詐欺」であると訴えたりする「陰謀論」。その危険性や、問題点はどこにあるのか。専門家に話を聞いた。

 

この文章は、政治的なものであり科学には程遠いことが、上記の「科学」に対する説明でわかっていただけると思う。この記事は、二つの命題:①“新型コロナワクチンは「大量破壊兵器」である”及び②“コロナは詐欺である”を、有害無益とするために「陰謀論」が用いられている。しかし、その判断を支える科学的議論は全く示されていない。専門家に聞くまえから、危険で問題のある命題だと決めつけている。

 

従って、この記事は単なる政治的プロパガンダ、或いは、宗教的意見の表明に過ぎない。勿論、科学的考察により、上記①と②が否定或いは肯定されることは、両方とも十分考えられる。

 

上記記事には東京渋谷でのデモが写真入りで紹介されている。そして、以下のような記述がある。

 

プラカードには、「コロナは詐欺」「マスクを外そう」「ワクチンで死者続出」「無症状から感染しません」といった言葉が躍る。配られていたビラにも、「コロナの嘘」「ワクチンは大量破壊兵器」などと綴られていた。

 

これらはいずれも誤りだ。新型コロナウイルスは確かに存在しているし、ワクチンの高い効果や安全性は治験などで実証されている。

 

以前から新型コロナの脅威について記事を書いてきたが、コロナ騒ぎは陰謀だという声にも一理あると思っている。

 

何故、世界経済フォーラム(WEF(補足1))が、コロナパンデミック後の世界を念頭にグレートリセット(政治のグローバルな変革)を言い出したのか? 

何故致死率など人的被害を他の病気と比較して相対的に把握せず、大騒ぎしているのか? 

メジャーなマスコミの政治的プロパガンダではないのか?

などの疑問が何時も頭に浮かんだ。

 

例えば、日本における肺炎による死者数(平成29年度)は96800人で、肺炎は毎年10万人程度が死亡する恐ろしい病気である。一方、新型コロナ肺炎の死者数はこの一年半ほどで13700人である。

 

勿論、我々高齢者には、罹患すれば死亡率が5%を超える恐ろしい病気である。しかし、一般論として死亡率などから見れば、新型コロナはそれほど恐ろしい病気ではない。個人が持っている持病や基礎疾患の方が、それぞれの個人にとって恐ろしいケースが殆どだろう。

 

例えば、ワクチンにかなりの量含まれるポリエチレングリコールがもし腎臓や肝臓に悪いのなら、打たない方が賢明かもしれない。それに、デング熱のように、将来変異株が現れ、ワクチン接種者が抗体依存性増強(補足3)により多く死亡する可能性も残されている。第一、ファイザーなどのmRNAワクチンは、緊急性を考えて米国FDA(食品医薬局)などが一時使用を承認しているだけで、一段落したあとは再度承認審査の対象になる。

 

それらの事実を科学的に考えないで、「コロナは詐欺」「ワクチンで死者続出」「コロナの嘘」「ワクチンは大量破壊兵器」などの言葉を陰謀論というゴミ箱に不用意に投げ込む姿勢は、ある種の宗教か政治的プロパガンダに載せられた愚かな人間の姿に見える。

(16時40分編集、補足3を追加;20時2−3箇所編集)

 

補足:

 

1)WEFは世界の支配層のトップクラスを毎年招待して、スイスのダボスで世界政治の将来を議論するために集まっている。そのダボス会議での議論が世界の将来に影響すると考える人も多い。

 

2)命題とは、言語や式によって表したある判断のことである。その内容が客観的に正しい場合、命題は真であると言い、正しくない場合は偽であると言う。(Weblioから転載)科学は、自然界や人間界の記述を、開放的な議論の空間を用いて、真なる命題で体系的に記述することを目指すこと、及びその知的体系を言う。

 

3)複数のタイプのあるウイルス病(例えばデング熱)の場合、あるタイプのワクチン或いは感染で免疫を得た場合、次に違うタイプ(或いは変異株)が流行したとき、免疫を全く持たないケースの方が重症化率が低いことがある。つまり、抗体を持つことが重症化につながるので、この現象を抗体依存性増強(ADE)という。(6月1日の記事参照)

 

 

2021年6月9日水曜日

米国は、中国を一昔前の体制に戻すことを狙っているのだろうか?

1)台湾での新型コロナ流行をめぐる目まぐるしい米中戦争とその中に組み込まれた日本

 

台湾で515日頃から急激に新型コロナが流行しだした。(補足1)この突然の流行を使って、中国習近平政権は台湾の親中勢力と協力して、蔡英文総統の失脚を狙った可能性がある。そのために、習近平政権は中国経由以外のルートで台湾がワクチンを入手することを妨害した。

 

つまり、台湾民衆の命を優先しない蔡英文の代わりに、親中派に政権移譲させ中国からワクチンを入手して貰うべきと言う動きが起こるように仕掛けたのである。実際、最大野党である国民党の元主席・洪秀柱は5月中旬以降の急激な流行拡大の際、ビデオメッセージを発し「東日本大震災の際に台湾は日本に200億円以上の義援金を贈った。民進党蔡英文政権は今の台日関係は史上空前の良好と胸を張るが、それならなぜ、日本は台湾に何の助けの手も差し伸べないのか」と蔡英文民進党政権を厳しく批判した。https://toyokeizai.net/articles/-/432747

 

それを見て、日本はモデルナのワクチン124万回分を64日に台湾に無償供与した。しかも、中国をわざと刺激するかのように、64天安門事件の日を選んで送ったのである。この大胆な日本の行動の裏には、米国の強い要請、つまり命令、があったと思われる。菅政権独自の判断なら、せめて天安門事件の日は避けるだろうと思うからである。

 

もし、日本独自の行動なら中国は報復措置を含めて日本に強い態度に出るだろう。それを避けるために、より明確に背後の米国を意識させるように64日を選んだ可能性もある。米国は、現在習近平政権は日本に対して報復できないと読んだのかもしれない。実際、型通りの非難以外ではなかった。それを確認した上で、米国は更に超党派の3名の連邦議員を載せた米軍主力のC17輸送機を用いて、75万回分ほどのワクチンを台北に輸送した。

 

この大型長距離用輸送機は、日本の124万人分のワクチン輸送のときの飛行機と異なり、戦車やヘリコプターなども輸送できる大型の輸送機であった。わざと大型の米軍輸送機の台湾への着陸を見せつけ、米国の本気度を示したのである。

 

HaranoTimesさんは、米軍軍用機の台湾上陸は、中国習近平政権にとってのレッドラインであるという。既に米軍兵士の台湾軍への合流が明確になっている上に、今回の大型の軍用機での台湾上陸は、レッドラインを踏み越える行動だとも言える。(補足2)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210607/k10013072431000.html?utm_int=news-new_contents_latest_001

 

 

 

2)米国は、中国を習近平独裁政権から一昔前の形(江沢民、胡錦濤政権)に戻すことを対中国戦略としている?

 

昨夜遅く公表されたHaranoTimesyoutube動画は、米国が上記サブタイトルの内容のように政策変更したと解説している。それについて、日本政府も一定の連絡を受けているように私は思う。その政策とは、習近平を中国共産党政権の座から降ろして、一昔前の江沢民や胡錦濤の時代の中国に戻すことである。勿論、それで解決すると考えるのは甘いとの反論はあるが、差し当たりの戦略かもしれない。

 

この戦略の前提は、習近平政権に対する大きな不満が中国共産党内部に存在することである。江沢民派とそこに属していた多くの幹部以が、現政権に大きな不満を持つことは疑う余地はない。なぜなら、習近平政権は王岐山を使って反腐敗運動と称し、習近平政権と対立する或いはその可能性のある人物を次々と潰してきたからである。

 

その反習近平になり得る勢力と意思疎通が出来れば、上記古い中国に戻す戦略は十分考えられる。上記動画では、その方向で作戦はもう始まっているという。上に書いたように、その作戦の中に日本の菅政権も使える駒として組み込まれていると思われる。

 

具体的には、大型軍用機でのワクチンと超党派議員団を台湾に送り込んだこと、それと軌を一にして、米国主要メディアの対中国姿勢が急変したこと、そして、そのような流れの中でCOVID-19の武漢P4研究所起源説が急浮上したことなどである。

 

これまでCOVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV2の出所が、武漢のP4研究所が疑わしいというトランプ政権の説は陰謀論として片付けられて来た。しかし、5月25日付けのワシントン・タイムズの二つの記事は、それが陰謀論ではないという内容である。勿論武漢P4実験室からの漏洩を示す直接証拠はないが、自然由来であるという証拠も出されていないのである。(補足3

 

大手マスコミは、民主党と米国支配層の報道機関であることは周知である。(補足4)従って、大手マスコミのCovid-19関連での中国報道の急変は、その裏の支配層の中国習近平政権に対する外交政策の変更を意味している。HaranoTimesさんによれば、最初はCovid-19対策を李克強(中国共産党政権No2)にまかせ、習近平は逃げていた。それが片付きそうになってから、その対策の手柄を自分のものにしようとした。米国民主党政権は、Covid-19武漢起源説でそのような習近平を攻撃することにしたのである。

 

それに、バイデン政権は中国との表面上の対立の裏で、親中政策を採っている。アラスカでの2:2米中会議で、ブリンケン国務長官と楊潔篪らの批難応酬は派手に報じられたが、その裏でのケリー元国務長官(現在大統領特使、気候変動問題担当)の訪中があった。ケリー特使は、何度も中国を訪問している。

 

良く知られているように、バイデン大統領の息子のハンター・バイデンは、父親に同行して中国でビジネスを始め、巨利を得ている。それを真面目に追求すれば、現大統領に飛び火することは確実だろう。それを裏返せば、バイデン大統領は中国共産党政権と太いパイプを持っているということになる。(補足5

 

3)新型コロナウイルス(SARS CoV2)の武漢病毒研究所起源説:

 

これまで「SARS-CoV2ウイルスが武漢P4研究所から漏洩した」という説が陰謀論として攻撃の的になったのは、米国の科学者達がその方向に議論を誘導したからである。その中心人物が米国国立アレルギー・感染症研究所のトップであるAnthony Fauci 博士と非政府組織Ecohealth alliance EHA) のトップPeter Daszakである。

 

SARS-CoV2は自然界由来である」という説がCovid-19が中国から世界に広がった直後から正統な説となったのは、Peter Daszakが中心となって27名の科学者の連名で意見書を、昨年3月LANCETという医学界の一流誌に投稿したからである。

 

また、Peter Daszakは、今年3月のWHO派遣の調査員として武漢病毒研究所に行った。僅か数時間のP4実験室を視察した後直ぐに、ウイルスは自然由来であるという証拠を科学は2-3年後に見つけるだろうと述べている。(Wall Street Journalhttps://www.wsj.com/articles/who-team-expert-expects-covid-19s-origins-will-be-found-within-a-few-years-11615415143

 

また、武漢病毒研究所でのコロナウイルスの機能獲得実験を支援したのは、Fauci 博士である。米国において、その実験を計画したもののオバマ大統領の時代に危険であるとして禁止されたので、それを武漢の病毒研究所に委託したのである。

 

政府NIHに所属のFauchi博士が支援した研究資金は、Daszakがトップの非政府機関Ecohealth alliance EHA)が受け取り、その一部を武漢病毒研究所に送ったのである。その研究を実際に行ったのが、中国の武漢病毒研究所のウイルス学者で、SARSウイルスの同定で有名になった“コウモリ婦人”こと石正麗である。石正麗とPeter Daszakは共著論文数編を発表する仲であった。この研究の中で今回のSARS-CoV2がつくられ、漏洩した可能性がある。

 

石正麗はCOVID-19のパンデミックが始まった直後、自分達の研究所からもれた可能性を考えたと思われ、数日眠れなかったと証言している。ただ、その後その可能性が無いとの結論に至ったというが、それが真実かどうかは解らない。

 

幾つかの状況証拠は、SARS-CoV2は武漢の研究所から漏れたという説を支持している。その一つは、上述のようにその可能性を否定する人の声が余りにも早く且つ大きかったことである。SARSの感染経路がほぼ解明されるのに何年も要したのに、SARS-CoV2に関しては、上記のように早々と自然由来で人工のものではないという声明をLANCET誌上で発表したのである。

 

更に、ウイルス学が専門の元疾病対策センターのロバート・レッドフィールド所長は、COVID-19が研究所で発生したとCNNに語った後、仲間の科学者から殺害の脅迫を受けたと語った。

 

勿論、ウイルスの感染力を強めるという機能獲得の研究に資金提供をしたことと、誤ってか故意にかわからないが、ウイルス兵器の研究を行って出来た兵器を漏出させたことの間には大きな隔たりがある。しかし、確かなのは、武漢病毒研究所とその内部でのウイルスの研究に、米国のFauciDaszakらが深く関与し、非常に詳しく知っているということである。

 

米国は、自分の身が切られる位に相手に近づいて刀を振り下ろせば、相手を切り倒すことができるのかもしれない。

 

 

補足:

 

1)この新型コロナの台湾での突然の流行拡大は、誰かにより仕組まれた可能性があると思う。未だ、その可能性はどこからも上がっていないが、急激な流行とそれをきっかけにした上記政治の急展開はそれを暗示している。

 

2)「米軍機が台湾と合意の上で、台湾から離着陸する時は、台湾統一の時である」と中国の機関誌グローバルタイムズが書いたという。https://www.youtube.com/watch?v=PWk-pHAf46s

 

3)ワシントン・ポスト紙のFact Checker Analysisという欄で、SARS-CoV2が武漢P4研究室から漏洩した可能性について触れている。Timeline: How the Wuhan lab-leak theory suddenly became credibleと題した記事。同じくOpinion欄でも、漏洩説の可能性について触れている。https://www.washingtonpost.com/politics/2021/05/25/timeline-how-wuhan-lab-leak-theory-suddenly-became-credible/ この記事は、及川幸久さんにより動画で解説されている。https://www.youtube.com/watch?v=bXMhuRziYQE

 

4)オバマ大統領が強化して米国支配層の日向の部分となったSESsenior executive service)組織は、共和党トランプ政権の下でも大統領の意向に反する行動をとった。その一つとして、ラトクリフ国家情報長官が、2020大統領選挙に外国の影響があったとメディアで喋りながら、その報告書を提出できなかったことの原因はFBICIASESが動かなかったからだろう。

 

5)ハンター・バイデンとオバマ政権時代のケリー国務長官の義理の息子との中国でのビジネスは、トランプ政権に二期目があったのなら、検察の捜査対象になっていた可能性がある。ケリー元国務長官は現在大統領特使(気候変動問題担当)として、何度も中国を訪問している。

https://news.goo.ne.jp/article/mag2/world/mag2-477549.html

 

2021年6月7日月曜日

竹中平蔵はIOCを主権国家「日本国」の上に置いているのか?

竹中平蔵氏は昨日放送の「そこまで言って委員会」で、日本でのオリンピック開催に反対する意見にたいして、強く批判し次のように語った。「オリンピックというのは世界のイベントなんですよ。世界のイベントをたまたま日本でやることになっているわけで、①日本の国内事情で世界のイベントを『やめます』と言うことはあってはいけないと思いますよ。②世界に対してやるっていう風に言った限りはやるべき責任がある」」と語った。

https://news.yahoo.co.jp/articles/aae83467e85028e27799db3ad2ad5ff00af4c5e0

 

また、 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が、「今の状況で(大会開催を)やるのは普通はないわけだ。パンデミック(世界的大流行)の状況でやるのであれば、開催規模をできるだけ小さくして管理体制をできるだけ強化するのは主催者の義務だ」と述べたことについても、「③こないだの座長の発言なんかひどいじゃないですか。だって分科会がオリンピックのことを決めるわけじゃないのに、明らかに越権でね」と批判した。https://news.yahoo.co.jp/articles/595bb89c33d91a993c8be50234239477132e6f31

 

この場面を見ていて、「馬鹿な発言をする人だ」と思った。ただ、話題になるとは思わなかったので、ブログに書く気などなかった。しかし、今ネットでは話題になっていることを知り、また竹中氏はグローバリストの中心とも思われるWEF(世界エコノミックフォーラム)の日本からの唯一の中心メンバー(評議員)でもあるので、一言書くことにした。

 

まずオリンピックを主催するIOCという組織を明確にする必要がある。ウィキペディアによれば、IOCはスイスのローザンヌに本部を置く非政府のスポーツ組織である。竹中氏が上記①と②の発言で、「世界」と言っているのは、実はスイスに根拠を置く非政府組織である。

 

オリンピックを東京で開催するという契約の日本側当事者は、東京都と日本オリンピック委員会(JOC)である。(補足1)従って、竹中氏が「日本と世界の約束」と大きく言ったのは、スイスの非政府組織であるIOCを一方の当事者、東京都とJOCをもう一方の当事者とする約束(契約)である。

 

勿論、IOCのこれまで築き上げた権威は、相当高い。しかし、決して国家主権を超える存在ではない。従って、日本政府が疫病対策上問題だとして、中止勧告しても何の不思議もない。この場合も、上記オリンピック開催当事者に中止を勧告するという形をとり、決して当事者としての宣言などをしない筈である。

 

それでもIOCJOCがオリンピックを開催すると日本政府に通告することはあり得る。その場合は、新型コロナの特措法か何かの出番になるだろう。

 

竹中氏は、オリンピックを日本政府が直接関与する外交のように考えているのだろうか?それとも、(a) 日本国民をそのように思わせて騙そうとしているのだろうか?

 

発言③だが、分科会がオリンピックのことを決めるわけでないのは当たり前である。従って、「この状況でオリンピックをやるのは普通ではない」と話しても、何の越権行為でもない。越権行為には二通りのケースがある。一つは、仮に“オリンピック禁止のスイッチ”があったとして、分科会座長の分際でスイッチを押して、オリンピックを中止にしてしまったというような場面である。

 

もう一つは、新型コロナ対策の分科会(正式名称は調べていない)で、感染症の状況とオリンピック開催の是非に関して議論があり、その議論での結論と異なる発言を尾身会長が政府委員会で行った場合である。それ以外の場合、尾身会長にも当然言論の自由があり、あのような発言をしても何ら問題ではない。

 

更に竹中氏は、上記テレビ番組において、立川志らく氏が「世論の6~7割が中止・延期と言ってる」との指摘に対しても、「世論が間違ってますよ。世論はしょっちゅう間違いますよ」と明言した。この発言と上記(a)の発言は、竹中氏が日本国民を主権者としてではなく、非支配者として愚弄するつもりで成された発言だろう。

 

竹中氏及び菅内閣の周囲の声を無視してオリンピック開催を目指す姿勢をみて、米国を相手に戦争を始める方向に日本国を導いた共産主義者が疑われる近衛文麿や、戦争末期において援蒋ルートを叩くと称してインパール作戦を進めた東条英機の決断などを思い出すと書く人が居るのは当然だろう。

 

 

話をあまり広げないでおく。

 

以上の竹中発言を考えると、竹中平蔵氏は日本という主権国家の権限や個人の言論の自由などの権利を軽視する、グローバル全体主義を是とする思想の持ち主なのだろう。それは中国共産党政権や米国の支配層が目指した方向である。竹中氏は、日本を離れてスイスのダボスにでも永住すれば、日本人のかなりの人達は清々しい気持ちになるだろう。

 

補足:

 

1)オリンピックの開催都市の契約は、国際オリンピック委員会を一方当事者とし、東京都(以下、「開催都市」という)、ならびに日本オリンピック委員会を他方当事者として締結された。

https://gtimg.tokyo2020.org/image/upload/production/tzzaloxopk1ohgcqg5uy.pdf

 

2021年6月4日金曜日

新型コロナの集団免疫について(2)スウェーデンは集団免疫達成していたのでは?

一昨日、ワクチン接種を全国民レベルで摂取する場合の危険性について、抗体依存性増強(ADE)という視点から考えた。その結論として、さしあたり新型コロナ(COVID-19)のパンデミックを抑えるには、ワクチン接種をすべきだが、将来の変異株のパンデミックを考えた時、積極的に国民全員が擬似感染をするのは危険であると書いた。

 

勿論、ワクチンで感染を完全にブロックできれば、問題は解決する。しかし、発展途上国での感染は今後も続くだろうし、そこから先進国への再伝搬もあるだろう。更に、ワクチン接種により殆ど今回のパンデミックを克服したかに見える英国でも、最近徐々に感染数が増加してきている。(補足1)将来変異株が次々と発生した場合のADEに関連した危険性は現在のところ解らないが、新型コロナ対策を完全にm-RNA型ワクチンに依存することは危険である。

 

しかし、米国を始めワクチン接種で全てが解決するような雰囲気である。米国テキサスでは、ワクチン接種を強制するという病院が現れ、一部従業員が提訴するという事態になっている。ファイザー製ワクチン等に対する米国の承認が、緊急避難的に認められているに過ぎないにも拘らずである。

 

 

今回は、ウイルスに感染した場合に獲得する免疫と、m-RNA型のワクチン接種の場合の免疫が違うのではないかという点を、少し考えてみた。

 

そこで貴重な情報を与えてくれるのが、スェーデンのデータである。スウェーデンは昨年まで、老年者及び基礎疾患保持者をなるべく感染しないように隔離推奨をする一方、労働年齢にある人達を比較的自由に経済活動に従事させることで、集団免疫の獲得を目指す方針を取ったからである。

 

1)スウェーデンが目指した集団免疫の効果:

 

スウェーデンの感染者数、死亡者数とその積算のデータを下に図示する。今回の議論は全て、https://www.worldometers.info/coronavirus/country/sweden/を参照し、そのデータを元に行う。横軸は日付(最下段)であり、左端が2月15日、右端が531日である。

 

 

スウェーデンの場合は、毎日の感染者数は大きく三つの波として現れている。第一波から第三波の毎日の死者数(上段)と感染者数(中段)を比較すると、死亡者数の相対比が大きく減少していることがわかる。スウェーデンのワクチン接種が20%を超えたのは2021418日であり、この傾向には影響していない。

 

スウェーデンのストックホルム(人口92万人、スウェーデンの人口1015万人の約9%)の公衆衛生庁は2020716日、ストックホルム住民の約40%がSARS-CoV-2に対する免疫を獲得したという推計値を挙げ、集団免疫がほぼ達成されたと宣言。更に昨年10月、“スウェーデンが「集団免疫」を達成した政策”という記事も発表され、スウェーデン全体が集団免疫を達成したと思われた。

https://www.medical-confidential.com/2020/10/15/post-11421/

 

実際、昨年7月から9月まで100人〜200/日程度の感染者となり、そのまま終息するのかと思われた。しかし、10月に第二波が明確となり、1023日にはこれまでの最高数を超えて、1867/日の感染者数となった。ここで、スウェーデンの感染症対策責任者で疫学者のアンデシュ・テグネル氏が11月2日、日本記者クラブでオンラインで会見し、「ワクチンなしでの集団免疫達成は不可能」などと語ることになった。https://www.tokyo-np.co.jp/article/65996

 

そして昨年12月頃から、ワクチン接種を始めることに政策を変更した。ただし上述のように、一度以上の接種人口が全人口の10%を超えたのは322日、20%を超えたのは419日である。https://ourworldindata.org/covid-vaccinations 因みに第二波の感染者数が最高値を記録したのは、413日である(上のグラフ)。

 

第二波は1223日の11376/日をピークに全体で凡そ第一波の5倍の積算感染者数を記録した。ただ、グラフの2段目を見ると判るように、第二波の死者数は第一波と殆ど同じレベルである。その後、三つ目の山が今年(2021年)2月から始まり、感染者数は第二波と同程度だが、死者数は第二波と比較して、大凡1/5程度である。

 

この死亡率の相対的な減少は、スウェーデンの人たちが獲得している免疫によると考えるべきだと思う。それは、そのような免疫のない日本のデータと比較すれば判る。つまり、スウェーデンは昨年10月の声明通り、最初の武漢型のSARS-C0V2ウイルスに対する集団免疫を達成したのだと私は考える。そうでなければ、日本では相当高い第三波(主に英国型のウイルス)の死亡率が第一波の死亡率の20分の1程度である筈がない。(グラフ参照)

 

2)日本の場合

 

日本のCOVID-19の感染データを下に示した。この感染の波は、普通第一波から第四波と呼ばれているが、上記スウェーデンでの呼び方と合わせる意味で、第一波と第二波(昨年8月)をあわせて、第一波と呼ぶ。

 

一日当りの感染者数は、スウェーデンの第一波、第二波、第三波の一日当りの感染者数の傾向と良くにている。これはそれぞれの株の感染力の大きさを示しているのだろう。積算値では、9月末での感染者数は83000人、今年36日の積算値は438000人である。第二波の感染者数は、第一波の約4倍に上る。この良く似た感染者数のプロファイルは、スウェーデンが達成した筈の集団免疫は変異株の感染の段階に関しては効果が薄かったということになる。

 

次に死亡者数累計を見ると、昨年9月末で1564人、今年36日で8119人である。感染者数と死亡者数の二組の数値の比率、83000/438000=0.189)1564/8119 =0.193)は極めて近い。つまり、スウェーデンと違って集団免疫が無い日本では、感染者数に比例した死亡者数がそれぞれの波で出ていることになる。

 

スウェーデンの場合、変異株が現れてもその死亡者は大きく減少しているので、免疫は重症化と死亡を妨げる方向に寄与しているのではないだろうか。つまり、感染数を(現在の増幅数での)PCR検査陽性者の数から、本格的な発病数に変えれば、スウェーデンでは大きな集団免疫の効果が出ているのではないだろうか。

 

以上の議論は、スウェーデンと日本の変異株が同じであると仮定して進めた。しかし、日本のCOVID-19の変異株とスウェーデンの変異株とは当然全く同じではないが、現在日本もスウェーデンも英国株が主であるので、それほど大きな差はないだろう。

参考記事: “この増加の原因は、欧州や日本(関西)では明らかに英国株(B.1.1.7株)だ”(論座4/19日の記事)

https://webronza.asahi.com/science/articles/2021040800001.html

 

第三波の時間的ズレは、英国株が地球の裏側の日本に到着するのに、スウェーデンよりも一ヶ月ほど時間がかかったのだろう。日本での英国株の死亡率は、従来型同様大凡1.7%位でほぼ一定であるが、感染力は相当強いことを別のデータを補足として示しておく。(補足2)

 

3)ウイルス感染による免疫と、m-RNA型ワクチンによる免疫は違うかも:

 

今回の私が仮定したように、スウェーデンで集団免疫が達成されたとすると、それはスウェーデンでの第三波の英国型の株への感染者の重症化を防いだことになる。或いは上述のように感染の定義を、現在のPCR検査(増複数を含めて)での陽性から本格的な発病に変えれば、スウェーデンの集団免疫は、感染数を大きく減少させたと言えるだろう。

 

一方、イスラエルや英国でのワクチンによる感染数の激減は、現在のPCR検査が陽性になるのを大きく防止した。従って、ファイザーやモデルなのワクチンは、上記ウイルス感染による免疫と違うタイプの可能性がある。例えば、最初に感染する箇所と重症化する場合の病変箇所が異なるので、ウイルス感染で得た免疫は全体のプロセスに関するものであると考えれば、そのような可能性が十分存在する。

 

ファイザーやモデルナのワクチンは、ウイルスのスパイクタンパク質を合成するm-RNAを脂質ナノ粒子の中に封じ込めたものである。感染はスパイク蛋白が細胞表面に分布するACEII(アンジオテンシン転換酵素II)に取り付くことで始まるので、そこの防止という点でシャープに効果を発揮するのだろう。

 

この違いを示唆するサイエンスに発表された研究がある。それは同じくスパイク蛋白に関連するが、ACEIIに結合する段階ではなく、感染力を増すためのメカニズムであり、それがACEIIの分布が多くない細胞にも感染する新型コロナの特性を説明するだけでなく、新しい薬の開発に役立つと書かれている。https://www.igakuken.or.jp/r-info/covid-19-info27.html

 

何れにしても感染の段階で100%阻止できれば問題はない。しかし、感染を増強する因子が変異株で現れて(つまりADE)、今回のワクチンでも徐々に感染者が増加した場合(再び補足1)、ウイルス感染から生じた免疫の方が、重症化防止という点で効果を発揮するのではないだろうか。

 

補足:

 

1)現在英国ではワクチン接種が相当進んでいる。しかし、殆ど克服出来たかもしれないと思っていた英国での感染数は、現在徐々に増加してきている。5月の最初の10日間の感染数は20160人、次の10日間は22857人、その次の10日間(5月20日〜5月30日)は29866人であった。

 

2)下図が私が棲むK市の感染者数のグラフである。青い点は毎日の感染者数であり、オレンジはその積算人数を20で割り算した値である。第三波の急激な感染者数増加が上の図よりも明確にあらわれている。データはK市公報からとった。

 

 

 

 

2021年6月1日火曜日

新型コロナのワクチン接種の是非

新型コロナのワクチン接種が、日本でも医療関係者に引き続いて老齢者を対象に進んでいる。ワクチン接種は義務ではないので、各自メリットとデメリットを考えて決断することが出来る。そこで、予約通りに接種するかどうかを決めるために、デメリットを中心に考えてみた。

 

 

1)ワクチン接種のメリットとデメリット:

 

ワクチン接種のメリットは、新型コロナに感染したときにB細胞が予め持っている記憶に従って、直ちに中和抗体をつくりウイルスの活性をなくすことである。

 

ワクチン接種のデメリットには大きく分けて二つある。その一つはワクチンの成分に対するアレルギー症状であり、アナフィラキシーショックと呼ばれ、重症化する場合がある。

 

この場合、600万人の接種者の内85人が、接種直後に明確な原因が特定されずに死亡したことが、このデメリットの最大値を推定する際の助けとなるhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20210526/k10013053461000.html

 

つまり、このデメリットは最大万分の1の確率で死ぬかも知れないという形で数値化できる。日本において、この病気での死亡率は現在約1万分の1である。英国やフランスでは、1000分の2程度である。つまり、この問題だけならワクチン接種はすべきだということになる。

 

もう一つのデメリットの議論の前に、病原ウイルスの変異に関する以下の2点を指摘しておきたい。

①このCOVID-19という病気の病原体ウイルス(SARS-CoV2)は、RNAウイルスであり、非常に変異しやすい。しかし、今回のワクチンは新しいタイプの変異株を対象につくられていない。

②製薬会社は変異株に同様の効果があると言っているが、それは未来の変異株にまで当てはまる保証はない。

 

もう一つのデメリットとは、抗体依存型感染増強(antibody dependent enhancement; ADE)と呼ばれる現象である。ワクチン接種により出来た抗体が、変異株ウイルスが細胞に結合する際、つまり感染する際、その結合部位(RBD)のブロックが不完全となる。そのとき、食細胞が貪食の際に逆にウイルスに感染することがある。これがこれまで知られたADEのメカニズムである。

 

そのリンパ球(マクロファージやキラーT細胞)が感染により減少し、ウイルスの増殖とサイトカインの大量放出などで、重症化の原因となる。(補足1)

 

この問題も考えた場合、今回のファイザー社のワクチン接種はやめた方が賢明かもしれない。ADEだけでなく自己免疫疾患となることも考え、ワクチン接種をしない方が賢明だと、若者に進言している医者もいる。

 

 

 

 

2)新型コロナウイルスは人工的につくられたのか

 

ここで、思考の裾野を広くする意味で、上記サブタイトルの問題を考える。新型コロナCOVID-19が世界に広がった昨年4月、フランスのHIVウイルスの発見でノーベル賞を受賞したリュック・モンタニエ博士が、同国のニュース番組「C-NEWS」に出演(2020417日)し、新型コロナは人工ウイルスだと断言した。当時の米国などの主流メディアは中国と米国グローバリスト達の支配下にあったので、この発言をモンタニエ博士の人格批判までして否定した。

https://www.businessinsider.jp/post-211767 (補足2)

 

しかし現在では、その言葉の通りである可能性が主流のメディアでも流されるようになった。モンタニエ博士は早くから新型コロナウイルス(SARS-CoV2)は、誰かがエイズワクチンの開発の際に誤って作ってしまったのだとも発言していた。

 

検証:ノーベル賞受賞の仏ウイルス学者「コロナは武漢研究所の人工操作」発言をどうみるべきか

 

実際、オーストラリアでは新型コロナワクチンの臨床試験に参加してもらった治験者の何人かが、HIVの検査で偽陽性になったので、開発を諦めたという話もある。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201211/k10012759411000.html (補足3)

 

現在、米国で真剣に議論されているのは、SARS-CoV2が、米国立アレルギー感染症研究所のアントニー・ファウチ所長が行った武漢のP4研究所への研究支援の中でつくられた可能性である。昨年来、SARS-CoV2ウイルスが人工的につくられたという説を完全否定していたファウチ氏も、その可能性を否定しなくなった。(補足4)更に、上記モンタニエ博士のワクチン接種反対説も、現在徐々に力を増している。

 

科学研究の中に政治が絡んでくると、非常に厄介なことは、政治では嘘やプロパガンダは有用な手段だからである。何が真実で何が嘘か全くわからなくなっている。もう一例追加すれば、香港から米国に逃れた香港大学公共衛生学部のウイルス研究者の閻麗夢博士が、SARS-CoV2は武漢でつくられたという説も、これまで学者達は猛反対してきた。学会が全体として正しい道を歩むとしても、個々の学者は人間であり、広い意味で政治的存在である。

 

閻麗夢博士がスティーブン・バノン氏や郭文貴氏の支援下にあるからインチキ学説だという人が多いが、かれらの支援下に居なければ閻麗夢博士の学説も博士の命も、とっくにこの世から消えていただろう。https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20200920-00198978/

 

3)ワクチン接種による抗体依存型増強ADEの危険性

 

ここでもう少し詳しく、抗体依存型感染増強(antibody dependent enhancement; ADE)メカニズムを考えてみる。今まで知られているのは、最初に書いたように、抗体が不完全にウイルスの受容体結合部位(RBD)をブロックしたとき、その逆側のFC部位(Y型のガンマグロブリンの底の部分)から食細胞が貪食するのだが、その途中でウイルスが抗体から離れて、逆に食細胞がウイルスに感染するというメカニズムである。

 

実際、新型コロナに感染して重症化した患者にはT細胞などリンパ球の大幅な減少が見られる。この減少は昨年の春に既にネットに掲載されている。https://wired.jp/2020/05/24/covid-19-and-t-cells/

 

最近阪大の研究で新たなADEのメカニズムが発見され、米国の一流学術誌のCELLに掲載された。その論文では、重症患者の中に感染増強抗体の高い保有率が見られたことが発表されている。つまり、ウイルスに感染すると、B細胞がウイルスに結合する抗体をつくるが、それは必ずしも細胞のACE2受容体に結合する部位(RBDreceptor-binding domain)をブロックするものだけではない。

 

ウイルスのスパイク蛋白の他の部分、N−末端の部分(NTDN-terminal domain)に対する抗体もつくられ、それはウイルスに結合した状態で抗体同士が架橋反応を起こして、RBD部分をより細胞上のACE2に結合しやすくするというのである。(補足5)https://www.youtube.com/watch?v=7KBifXemcjg

 

このような状況下で、変異ウイルスが次々と生まれると、中和抗体の能力が減少すると同時に、もう一つのスパイク蛋白のNTDに結合する抗体により抗体依存性感染増強が起これば、重症化する危険性が高くなる。全国民の数十パーセントがファイザーやモデルなのm-RNAワクチンを接種すると、それらの人が抗体依存性感染増強を持つことになり、変異株が例えば2年後に再流行すれば、悲惨なことになるというのである。

 

それを避けるには、このNTDドメインを上手くブロックしたような蛋白を合成するm-RNAワクチンを造ることだろう。その指針を与えたのが、今回の上記研究論文だろう。

 

4)何故同じウイルスに感染しながら、殆ど無症状な人と重症化する人が居るのか?

 

この論文を紹介したyoutube動画は、新型コロナに感染する以前に、かなりの人がこの新しいタイプのADE(抗体依存性感染増強)の原因となるNTD抗体を、低レベルだが持って居るという、上記CELL論文の内容を紹介している。(上記紹介のhttps://www.youtube.com/watch?v=7KBifXemcjgの6分から)

 

この話は、「何故新型コロナに感染した人の80%が殆ど軽症ですむのに、残りの人の中から重症者や死亡者が出るのか?」という疑問の答えになる。つまり既に、NTDに結合する抗体を持っている人が重症化し、持っていない人が軽症ですむというメカニズムである。

 

重症化と軽症治癒の境目で、この抗体の有無が重要な働きをしているとした場合、そしてワクチン接種によりNTD抗体を摂取者が持つことになれば、次回の変異株のパンデミックのときには相当悲惨なことになる可能性がある。

 

この新しいタイプのADE(抗体依存型の感染増強)は、新型コロナの特徴だろう。わざわざワクチン接種で古い株への模擬感染を体験するのは、将来の変異株に対するADE(抗体依存型増強)の準備をするようで、愚かなのだろう。

 

結論:

 

結論は、今回のファイザー社等のワクチンを接種することで、新型コロナ(COVID-19)を抑え込み、将来変異株が何処かから再流行しないのなら、出来るだけ多くの人がワクチン接種をし、集団として、実行再生産係数を下げるべきである。

 

しかし、COVID-19との戦いが今後2-3年或いはそれ以上続くのなら、日本のように低い感染率にある国はワクチン接種を急ぐべきではない。それよりも、NTD領域への抗体が出来ないような修正スパイク蛋白を作るm-RNAワクチンなど、抗体依存性増強(ADE)の起こらないワクチン開発にエネルギーを注ぐべきである。

 

あるブログサイトで桂秀光という方が、モンタニエ博士がワクチン接種者は2年以内に死亡すると言ったという説がガセネタであるとサイトを引用して主張している。しかし、その理由が上記ADEだとすれば、もうすこし考えてみる必要があっただろう。上記2年後の悲劇とその他のADEなどについて要領よくまとめているので、ここに引用する。https://go2senkyo.com/seijika/22385/posts/246846

 

(これは素人のオリジナルな考えであり、各自自己責任で取り扱って頂きたい。;11時15分、結論部分を分離し、更に2,3編集; 13時45分「コロナは武漢研究所の人工操作」発言を引用)

18:05 追加: 阪大の論文の要約は、以下のサイトに日本語で出ています。

 

 

 

補足:

1)ADEとしてよく知られているのが、デング熱におけるものである。https://www.youtube.com/watch?v=7KBifXemcjg

 

2)この説は米国の大手マスコミなどの結束により完全否定され、上記記事でも以下のように書かれている。“モンタニエ博士はかなり以前から、非科学的な言動が問題視されていた人物だ。科学的根拠の乏しい代替医療ホメオパシーを推奨したり、反ワクチン(=ワクチンの接種を拒否)を主張したりするなど、科学界から批判されている”。この記事の著者や編集者は、人格攻撃によりモンタニエ博士の科学的な説「SARS−CoV2ウイルスは人工的なものだ」を否定している。それが全く非科学的なやり方であることがわかっていない。更に、この記事にある査読で落とされた論文はインチキだと言わんばかりの文章は、この記事の著者や編集者が「科学」を全く知らないことを証明している。査読というプロセスはインチキと本物を振り分けるプロセスだけではない。

 

3)SARS−CoV2ウイルスには、エイズウイルスの遺伝子配列が挿入されているなど、HIVとの関係が議論されてきたが、何れも強力な圧力で封殺されてきた。その中には、「新型コロナウイルスは、HIVウイルスのように免疫系を破壊する?」という記事もある。 https://wired.jp/2020/05/24/covid-19-and-t-cells/ この記事の主張はまさにADE現象の一側面であり、現在注目されている。

 

4)この人工ウイルス説にはかなりの状況証拠がある。その一つは、武漢のP4研究所の所員3人が2019年の11月に新型コロナの症状に酷似した症状の病気に罹ったという事実であり、もう一つは、この研究所でコロナウイルス研究を率いていた石正麗博士が新型コロナが流行しだしたとき、心配で眠れなかったと話したという情報である。

 

5)新型コロナウイルス(SARS CoV2)は、細胞のホルモンであるアンジオテンシン転換酵素IIACE2)の受容体に結合し、自身の脂質二重膜を細胞の脂質二重膜と融合して感染する。この感染の鍵となるACE2受容体に結合するのがウイルスのスパイクタンパク質(S蛋白)である。免疫細胞Bセルが作る中和抗体(RBD抗体)は、そのスS蛋白に結合してACE2受容体に結合できなくなるのが、この獲得免疫のメカニズムである。しかし、BセルはS蛋白のACE2受容体に結合する部位の重要性を認識して抗体をつくるだけでなく、兎に角S蛋白にくっつく抗体を作る。その一つがN末端領域にくっつく抗体(NTD抗体)であり、それは2分子が架橋して、ACE2受容体へのS蛋白の結合をたすけ、感染力を増強する。