2020年8月31日月曜日

安倍政権の一有権者からの採点:

安倍総理は退陣を決め、新しい自民党総裁の選考プロセスが始まった。(補足1)そこで、一応安倍政権の評価をやってみようと思う。ブログを書き、数々の安倍批判を書き、それらをオープンにして来た以上、素人ながら、最後に総合点をつけるのは義務のように思うに至ったからである。

 

安倍政権の評価は諸外国でもなされているようである。その一つが「chukaのブログ」さんにより、日本人らしき人物のコメントとともに紹介されている。しかし、そのコメントは劣悪だと思い、短いコメントを書いたのだが、その後上記のように考えたので、今回それをアップする。https://ameblo.jp/chuka123/

 

①安倍政権の経済政策(66点)

 

黒田日銀総裁の指名と、黒田氏による物価目標を置いての金融緩和策は、円安となり日本経済を救った。安倍内閣の三本の矢のうちの一本目である。二本目の国土強靭化政策は、土建屋の入れ知恵風であり、無駄が多かったと思う。三本目に至っては、女性参画拡大や教育制度改善などがあるだろうが、文化から変えなければならないこともあり、もっと根源的な問題の理解が必要だろう。

 

それでも株価が1万円程度の時代から、現在2万円まで上昇しており、デフレも国際的なレベルまで改善した。つまり、発展途上国の奴隷的労働を利用して利益をあげるという、醜悪なる政策:経済のグローバル化による部分のみになった。(補足2)

 

 

②安倍政権の外交:(66点)

 

これも中途半端だが、あくまでも歴代の総理と比較しての話だが、総合的にはデメリットよりもメリットが多い。

 

日米外交: 当初は日米外交よりも独自路線を採るように見えたが、憲法改正が容易でないと悟ったのか、米国中心外交に替えた。米国議会での演説は良くできたものだと思う。

 

日中外交と日韓外交: 第二次内閣の最初の方での慰安婦合意はすべきでなかった。また、中国の習近平主席の国賓招聘も、決めるべきではなかった。この二ヶ国は通常の外交パターンを採ってはならないことは、直前の記事で書いた通りである。

 

日露外交:これも中途半端に終わった。20数回プーチンと会いながら、領土問題が解決出来なかったのは、交渉が下手だと言わざるを得ない。しかし、4島返還という歴史の経緯から考えてあり得ない話が、日露平和条約の手錠となってきたことは事実である。安倍外交でそれを外した功績はある。

 

その他、日本の対外イメージは多少とも上昇したと思う。

 

③ 安全保証と憲法問題:(70点) 有事法制は憲法改正をしてからにすべきという意見があるが、現在の日本人を有権者とする限り、9条改正は無理である。その一方で、日米安保体制をまともな形にする最低限の法改正をおこなったのは評価できる。同盟国との情報交換が可能なように、特定秘密保護法を成立させたのも、同様である。

 

④ 新型コロナ肺炎:(30点) これについてはオリンピック開催にこだわったのが不幸だった。これで我が国は、途上国であることを知った人は多いだろう。デジタル化の遅れ、憲法に非常事態宣言がないこと、地方政治が整理されていないことなど、問題が明らかになったので、ぜひ今後の政権で教訓としてほしい。

 

以上を総合し、安倍内閣の評価は大学の通信簿方式では「良」或いは「可」だろう。

 

補足:

 

1)自民党総裁選びがそのまま日本の最高指揮官を選ぶことになる。それは本当に民主国家の姿だろうか。わたくしは憲法を改正して首相公選制を実施すべきだと思う。そのうえで、首相を国家元首と憲法に書き、象徴天皇制の不明瞭さをなくすべきであると思う。

 

2)この政策は米国の金融資本家により立案され、彼らにのみ巨万の富を運ぶための政策であり、主に民主党を操縦して実行された劣悪な政策である。そのトリックが金融の知識に乏しい一般人には見抜けないので、対策が遅れ、米国では巨大なラストベルトの出現や不法移民の廉価な労働力の増大をもたらした。その結果、21世紀を混乱の世紀にした。その責任は、息子ブッシュとバラク・オバマだろうが、事態が深刻になっても対策を逸したバラク・オバマ大統領とヒラリークリントン国務長官が最も責任が重い。

中国の超限戦及び厚黒学とどう付き合うのか:

 

1)異文化の人たちとの付き合いには、原点から数歩下がって考えるべき:

 

人間は社会を作って生きている。社会には歴史があり文化がある。それらを共有する人たちが民族を形成し、大きく成長して国家をつくる。この単一の歴史と文化を共有する人々から構成される国では、日常の思考が単純化される。何故なら、文化とは行動のパターンであり、多くの場合、それは論理(正確な言葉)としては記憶されない。(補足1)

 

卑近な例で説明する。日本には殆どの市町村でゴミの分別収集がなされている。プラスチック、雑紙、燃やせないゴミ、燃やせるゴミ、ペットボトル、金属などである。分別の必要性は、環境保全のために再利用するためと説明される。(補足2)

 

しかし、それは将来目標であり、現状は燃やせないゴミも燃やせるゴミも一緒に焼却されているようだ。この辺りは武田邦彦氏がyoutubeで解説している。その一つの傍証は、諸外国ではこの厳格な分別収集はしていない。もう一つは、日本国内でも、このゴミ処理文化に馴染まない外国人居住区では、収集されなかったゴミが散乱している。

 

異文化から来た人達の多くは、多分単純労働者だろう。しかし、海外(つまり日本)に来ることができるのだから、知的には日本の中流階級に相当するだろう。その彼らとのゴミトラブルの解消には、言葉で論理的に説明する必要がある。その言葉で異文化の人との交渉ができないのは、外交が下手な日本政府と同じである。

 

互いに異文化に属する2つのグループの人たちの間のトラブルは、数歩原点方向に戻って論理的に議論すれば解決できる。その訓練は、政治と経済がグローバルになる今後(補足3)、日本国の生き残りのための思考訓練としても有益だろう。

 

因みに、日本ほど原点から遠い文化の国はない。この節の最後に言うのも変だが、原点とは「敵者生存の野生の原理」である。

 

2)異文化の国である中国との外交は、原点思考を採用すべき:

 

中国共産党政権は、民主主義制度を採らないし、厳格な法治主義も採らない。政治文化に関しては、日本国からもっとも遠い国家である。それに比較して、日本は明治以降、英国など欧米諸国の後を追いかけることを、政治経済の方針としてきた。そのため、現在の政治文化は欧米のものにかなり近い。

 

中国共産党政権は、他国の政治文化と全く異なることを自覚しており、既に原点思考を対外戦略に用いている。その一つは、あの「超限戦」という考え方である。クラシックな軍と軍の衝突という通常戦に加えて、戦争を国家テロ、メディア戦、ネットワーク戦など舞台を出来るだけ大きく広げるのである。この考え方は、数学的表現を用いれば、多次元空間で戦争を考えるということである。

 

例えば、戦争に勝つには、軍備も大事だが、敵国にやる気を起こさせない、敵国の民意をバラバラにする、敵の軍備をサイバー戦で動かなくするなど、広い視野を持って作戦を立てることになる。イージス・アショアなどの配備だけでほぼ議論が終わる日本とは大違いである。

 

もう一つ中国の原点思考は、厚黒学である。黄 文雄氏による解説書の副題「腹黒く厚かましく生きよ」が全てを表しているのだろう。自分という人間が今存在するのは、太古の昔からの先祖が、生存競争を勝ち抜いてきたからである。もし、控えめに生きてきたなら、そして策略もなく生きてきたなら、自分は存在しなかっただろう。つまり、控えめな生き方は、単一日本民族文化の原点から遠く離れた文化である。

 

世界の人口は爆発する。それは過去ローマクラブが作り上げた「成長の限界」に予言されている通りである。その時、超限戦と厚黒学の中国はどのように考えるだろうか? 一つのモデルが朱成虎により示されている。それは、西欧文化圏での思考の限度を、厚かましく腹黒く残忍な思考で超えた作戦である。核兵器の先制使用である。(補足4)

 

3)無限遠の理想点は?

 

原点思考とは、原点から無限遠の理想を目指す思考である。無限遠を望む理想は、頭の中だけであっても、最終的に実現可能性を持たなければならない。それを論理的に行うには極めて長い厳密な思考の末に可能となる。普通の頭脳では非常に困難である。しかし、様々な文化がそれを目指して発展してきたのなら、それらを集めて、遠い未来を望む方向で考察議論すれば、可能となるだろう。

 

同じ理想点を常に意識して、複数の民族が自分達の文化を唯一絶対と考えないなら、現時点での共通点を外交的思考の際に先験的な基礎と出来るからである。それら基礎の一つは、西欧民主主義圏では、「人権と法による支配に最高の価値を置く」ことである。現代、その基礎の上だけを議論すれば良い時である。今更、この基礎の部分が異なる人達の国が、彼らの基礎に拘泥するのなら、未来の政治文化を考察する仲間に入れるのは無理である。先ず、異文化の国は、その基礎の部分を「人権と法による支配に最高の価値を置く」を元に再構築すべきである。その後に、グローバルな政治経済の中に含まれたのなら、現在のトラブルは起こらなかった。

 

これら基礎的価値を無視する国々、例えば法による支配の根幹に関わる「事後法による処罰は禁止」を無視する国々とは、外交方針を考える際、数歩以上下がって原点思考をもちいなければならない。つまり、それらの国々の約束は全て信用に値しない。柔軟な姿勢を示すようになっても、文化の基礎が違う以上、何の価値もない。

 

具体的な国名とともにあげれば、親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法を持つ韓国や国家安全法など諸法令を事後的に適用する中国などである。

(17:40 採取編集)

 

補足:

 

1)何が善で何が悪か、どのような姿が美であり醜であるのか?など、何を求めてどのように生きて行くべきかという基準が文化の基礎部分を形成する。これまで多くの日本文化論出版されている。武士道(新渡戸稲造)、名と恥の文化(森三樹三郎)、空気の研究(山本七平)などがあった。これらは全て呼んだと記憶しているが、独創的且つ根源的な考察は、最後の本にある。

 

2)「燃やせないゴミ」という言葉を使うのが面倒なのか、多くは「燃えないゴミ」と呼んでいる。プラスチック燃えるが「燃えないゴミ」に分類される。この言葉の誤用すら、誰も指摘しないのが、日本という国である。

 

3)政治経済のグローバル化は必然だが、人も金も国を跨いで自由に移動できるようにするという、米国民主党やウォール街の(ユダヤ)資本家達のグローバル化を意味しない。秩序あるグローバル化された世界政治には、益々主権国家の役割が増加する。

 

4)中国朱成虎将軍の先制核攻撃論について:

 

反中活動家の黄文雄氏によれば、中国人民解放軍少将の朱成虎は1995年ごろから過激な発言を繰り返しており、中国当局はそれに昇進をもって報いていると述べている。朱少将の核攻撃論をまとめたものはウィキペディアの「朱成虎」をご覧いただきたい。超簡単にまとめると以下の通り。

 

「国連の統計によれば、今世紀中には人口過剰の問題が爆発する。 すでに中国、インド、東南アジア等が人口過剰問題を抱え、核戦争をおこなう可能性はきわめて高い。そのドミノ現象で世界核戦争が起こる」

 

「だからこの未来の核大戦に対し、我々は受動的ではなく、主導的に出撃すべきだ」

「人口問題を解決するには、核がもっとも有効にして手っ取り早い方法だ」

「なるべく他国の人口を減らし、自国の人口を多く生き残らせるべきだ。」

 

「もし我々が受動的ではなく主導的に出撃し、計画的に全面核戦争に出れば、情勢はきわめて有利である。政府が核大戦を用意周到に計画さえすれば、しかも我々が先制攻撃をすれば、他国の人口を大きく減らし、我々が再建する場合には、人口的な優勢を保つことができる」

 

「だから政府はすべての幻想を捨て、あらゆる力を集中して核兵器を増やし、10年以内に地球人口の半分以上を消滅できるようにしなければならない」

「我々にとってもっとも敵対する隣国は、人口大国のインドと日本である。 もし我々が彼らの人口を大量に消滅できない場合は、核大戦後は中国の人口が大量に減少し、日本とインドが我が国に大量移民することができるようになる」

 

「アメリカは強大な国力を保っているので、徹底的に消滅させないと、将来大患になる。  アメリカに対しては、我が国が保有する核の1/10で充分だ」

 

「中国人は五億人ぐらいがシベリアに移民する。大量に移民し、ロシア人と共棲すれば、ロシアは我が国に核攻撃はできなくなる」

 

「核大戦のなかで、我々は100余年来の重荷をおろし、世界のすべてが得られる。中華民族は必ず核大戦のなかで、本当の復興を得られる」

 

2020年8月29日土曜日

民主国では国家が貨幣を発行すべき

現在通貨の大半を占める紙幣は、中央銀行である日本銀行が発行している。日本銀行は、東京証券取引所に上場する私企業である。その株の55%を財務省が保有しているが、残りの株式の大部分は、一説によるとユダヤ人であるロスチャイルド家が保有していると言われる。(補足1)日本銀行は通常の会社が行うような大株主の公開をしていない。国家の財政を支える基礎に、このような不明瞭を抱えることを、日本国民の殆どは知らない。貨幣の形態が大きく変化する今、このあたりのことを考えておくことが大事だと思い、自分の考えを整理する意味で、本記事を書いた。

 

1) お金とは何か:

 

現在の社会では、“お金(マネー)”があれば何でも買える。そして、お金は物(以下“財”と呼ぶ)やサービスの流れる方向と逆に流れる。

 

それら財とかサービスを、善人、悪人、美人、醜人、誰でも同様に、同じ額のお金と交換して手にすることができる。お金という魔法の紙やコインを仲介役にして、「それが欲しい」「それをあげる」という“契約(会話)”する事ができるのである。物々交換では、対面する二人の欲しい物と与える物が、価値と量で一致することは稀であるから、お金を用いることは人類の最大の発明だと言って良い。

 

この売買契約は、元々金(ゴールド)など多くの人が価値を認める持ち運びが簡単な物と、実際の財等との物々交換から始まった。その次に、銀行が発行する何時でも一定の金(ゴールド)との交換を成約する書類(譲渡可能な金の預り証)が、紙幣の役割をするようになった。この段階では、手元に金を持つという信用があれば、だれでも紙幣を発行することが可能だった。それが利子を生むとなれば、貨幣発行は儲かる商売となる。つまり、それが元々の銀行業務である。(補足2)

 

しかし、それでは銀行により紙幣のデザインも異なり、紙幣を見て直ぐに本物と識別することも困難である。その不便を克服するために、国家の紙幣が統一されるようになった。中央銀行の誕生である。英国では、英国ロスチャイルド家の祖ネイサン・ロスチャイルドが、ナポレオンが英国を制覇するというデマ(実施はデマを流した張本人かもしれない)を利用して、英国の公債を空売りし、底値で買い戻して巨利を得、それを元にして英国の貨幣発行権を国王から得た。英国銀行の誕生である。

 

このような要求から、世界中に中央銀行が出来、その多くをロスチャイルド家が握ったようだ。https://gentosha-go.com/articles/-/2398 ただ、世界の政治組織が、絶対王政から共和制或いは立憲君主制という名の民主制(補足3)へと変更され、それとともに、国家の経済や国家の財政などと貨幣の関係も大きく変化する。また、戦後経済活動が徐々にグローバル化され、大量の国際決済通貨の必要性から、米国のドルがその要求に答える貨幣となった。現在でも、その地位は揺るがない。(補足4)

 

世界の経済規模が急激に大きくなり、日常的に取引される財の量と価値の増大は、必然的に大量の金に相当する貨幣を必要とするが、それは世界の金の価値を遥かに超える様になる。或いは、皆が納得出来る範囲の金の価格上昇の範囲での貨幣の量では、対応できなくなる。その結果、金の貨幣としての役割が終了した。米国ニクソン大統領の時代である。(補足5)それに代わるのは、国家の債務証書としての紙幣である。

 

2)中央銀行より国家が紙幣を発行すべき:

 

国家の安定的存在と信用が、個人の生活と感覚の中で揺るがなくなったことで、国債が実質的に紙幣(一般に貨幣)の役割を果たすことが可能になったと思う。第二次大戦後、民主主義制度と一体化した自由主義経済により、経済規模の安定的拡大の時代になったが、それは紙幣の信用を保証する。

 

国家より銀行に信用があれば、中央銀行制度に紙幣の発行を頼ることになるが、現在、その必然性は無いと思う。実際、中央銀行が安定資産として主に保有するのは、国債である。それが今後も継続すると考えられるので、中央銀行という名の民間銀行に貨幣発行権を委ねる理由はない。

 

民主主義体制を採る近代国家は、国民の安全と福祉のために存在する。(補足6)全ての国民が所属し運営する、国民のための共同体組織であり、機能体組織でもある。国家が機能体として、成長するには、その所有者である国民による出資が必要である。それが国債であり、国民による投資と考えるべきである。また、国家の日常的な政治及び経済活動には、そのサービスを受ける国民が収める税を予算にあてる。

 

私企業である中央銀行に貨幣発行権を与え、膨大な利益をもたらす理由はない。勿論、放漫財政の危険性は、政治の問題として避けるべきなのは言うまでもない。「それが出来ないから中央銀行が必要だ」というのは、民主主義政治の否定に他ならない。

 

尚、民主主義の成立には、国民全ての教育による知的レベルの向上と積極的政治参加が必須要件である。この教育には、民主主義制度を獲得した歴史の理解と記憶が含まれ無ければならない。

(11:00 編集)

 

補足:

 

1)貨幣発行を中央銀行が行うシステムは、ロスチャイルド家が握る場合が多い。米国では、ウィルソン大統領が国際政治において理想主義を掲げ、中央銀行にFRBを置いた。(この”けったい”な文で一体何が言いたいのか?)https://sites.google.com/site/uranenpyou/home/frb

 

2)“お金”という言葉は、金や銀などの貴金属が通貨として使われたことに由来する。米国の紙幣は、 ”legal tender”と呼ぶことがある。このtenderという英単語の意味は、「正式な承諾」(formal offer for acceptance)である。何の承諾かといえば、“金と交換します”という承諾だろう。他に貨幣のことを他に、billと呼ぶことがある。billは請求書の意味で用いられることが多いが、本来は正式書類という意味である。

 

3)日本や英国の立憲君主制は、普通選挙により代議員を選び、彼らが立法や行政を行うので、民主制であると言える。日本では天皇を君主であるとしても、象徴に過ぎないので、形式的には完全な民主国家と言える。英国は成文憲法が無いようなので、国王の権利がどの程度かわからないが、実質的に民主制であることにかわりはないだろう。尚、自民党の憲法草案の第一条は天皇の地位に関する文章だが、その記述は矛盾に満ちている。つまり、元首の意味をごまかしている。https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/130250_1.pdf

 

4)国際通貨基金(IMF)が設立され、その特別引き出し権(SDR)が、国際決済通貨として利用出来ないかという話がある。しかし、米国と比較して軍事的存在感のないIMFに、それを維持する力はないだろう。つまり、世界政府が出来れば、そしてIMFがその財務機構として成長すれば話は別だが、それまでは米ドルが国際決済通貨としての主座に座ると思う。

 

5)ニクソン大統領が金とドルの繋がりを切った。それにも拘らず、ドルが国際決済通貨としての地位を保てたのは、米国が軍事的及び経済的に世界の最強国であるという事実に裏付けられている。但し、当時1オンス(約31.1g)が35ドルだったが、現在では1700ドルである。ただ、国際決済通貨としての地位を失った金が、(インフレ以外の理由で)これ以上の価値をもつことはないだろう。

 

6)この範疇に入らない国家を、国際経済システムの中に入れるのは間違いである。

2020年8月28日金曜日

陰謀論を排除して米国の政治が語れるのか? 白人警官による黒人銃撃事件

以下は筆者の妄想も含んでいる(下線部)ので、注意してお読みください。

 

米国ウイスコンシン州ケノーシャというところで、23日(共和党大会の前日)黒人男性が警官二人に撃たれた。 この銃撃の様子を写した動画がSNSで拡散し、全米でBlack Lives Matter 運動が激しくなった。https://news.yahoo.co.jp/articles/531c3c2dbc1b82d602a87ccc0e97e381e356a645

 

テニスの大坂なおみがトーナメントを棄権して抗議したことも報道され、日本でも知られている。三ヶ月前のジョージ・フロイド氏の事件を思い出す。あの時は分からないが、今回はかなりの確率で、計画的に人種差別運動を刺激する意味があるような気がする

 

もし、黒人青年が白人警官に撃たれることで、トランプの人気が落ちるのなら、あと2−3人11月までに撃たれるのではないだろうか。そんな事を思ってしまった。恥ずかしながら、陰謀論を書くことになった。ただ、米国を語るには陰謀論を抜きにしては語れないだろう。(補足1)

 

大統領でも、都合が悪くなれば撃たれる国だから、黒人市民の2−3人なら尚更だろう。その一派が白人警官を10人ほど雇って配置し、今回のようなケースの機会を狙うなら、幾らでもあるだろう。

 

機会とは、黒人青年が何らかのトラブルで、声を荒げているとか、口論していると思われる現場を見つければ良い。その特別な警官が、その黒人青年が何か暴力行為を起こしそうだと誤解したという言い訳が出来ると判断すれば、それが機会である。

 

その機会の把握が大事なので、その「任務」に当たる白人警官には、正当性を主張出来るような場面をしっかり覚えさせる。運悪く裁判になっても、非自発的虐殺(Involuntary Manslaughter)だという主張が出来るように、情況判断の訓練をする。有罪になれば、刑務所に何年も入ることになるが、オズワルドのように殺されることにはならない。

 

とにかく、「四騎士」の一人、FBIのレイ長官は、徹底的に警官の背後に何かが無かったのか調べるべきだ。でも、背後を暴くことは非常に難しいかもしれない。悪人が大きな、硬いチームを作り、高度に計画した事件は、FBIでも暴けない可能性がたかい。

 

ケネディ暗殺のファイルも、結局トランプはオープンにできなかった。繰り返しになるが、米国は陰謀論を避けて語ることのできない国だろう。あのホンジュラスからの移民を何万人も煽って、メキシコ国境まで移民を目指すキャラバンを作った件、陰謀論では語られても、事件化していないのが分かり易いケースの一つである。https://www.newshonyaku.com/8701/

 

 

補足:

 

1)アポロ計画での月面歩行は、地上で撮影されたというのも、陰謀論だろう。あの月の表面に出来たというアームストロング船長の靴跡は、地上でなければできない。あのくっきりした靴跡は、水の表面張力で説明される。水がなければ、つまり月面では起こらない。そのブログ記事は、米国では読めないかも。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2016/12/11.html

 

 

2020年8月27日木曜日

新型コロナ肺炎にたいする薄弱議論と日本の知的環境

1)真実は自説ではないかもしれない

 

真実は一つというのが常識である。そして簡単な物理及び化学現象の法則に限れば、そう信じても良い。しかし、物理学者たちは決して「これが真実である」とは言わない。それが科学者としての態度だからである。(補足1)

 

セクションのヘッドラインは、「真実に最も近いと考えられている事を前にしても、真実ではない可能性もあるという態度を保持することが、“知性”である」という意味である。

 

例えば、新型コロナ肺炎(COVID-19; 以下新型コロナ)は、重大な疫病であるというのが定説であるが、本当は単なる風邪程度の病気かもしれないという態度を、医学会の結論が出るまで保持するのが知性ある態度である。

 

勿論、「新型コロナ肺炎は、軽い風邪程度である」と断定的に主張するのは、プロパガンダを行っているか、バカかどちらかである。何故なら、米国では死亡原因第3位の病気だからである。おそらく、ベルギー、ペルー、スペイン、英国、イタリア、スウェーデン、チリなど、米国よりも人口あたりの死者数が多い国々でも、同様に主要な死亡原因だろう。https://www.worldometers.info/coronavirus/#countries

 

2)新型コロナの軽い風邪説

 

元国会議員の松田学氏が新型コロナは軽い風邪にすぎないという説を以前からyoutubeで発信している。この発言にたいする反論をブログ記事として、4月15日にアップロードした。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/04/blog-post_15.html

 

その後も松田氏は、例えば京都大学の上久保靖彦氏を呼び、新型コロナの免疫が既に日本人に出来上がっているという説の拡散に努めるなど、不可解な動画を連続してアップロードしている。https://www.youtube.com/watch?v=hF0HBmIFWMs&t=1514s

 

この動画には、「聞き手として、反対の意見を持つ人を呼んで議論してほしい。松田さんが好きな話を反論なく聞いている動画に、一体どれだけの説得力があるのか?」というコメントを投稿した。しかし、コメントとその支持(サムズアップ)の総数は3000以上あるが、私の説を支持するのは僅か6人であった。(8月26日現在)

 

そして、8月25日の松田学氏の動画は、特番『もはや終息宣言すべきだ!』と題して、ゲストに文芸評論家の小川榮太郎氏を呼び、小川氏の新型コロナの流行はもう終わったという説を紹介し、その拡散に努めている。

https://www.youtube.com/watch?v=kJ3QMJjceTw&t=150s

 

私の想像では、この手のプロパガンダ的動画を支持するコメントを書いたり、サムズアップにクリックするのは、日本在住の中国人五毛党(補足2)によるものだろう。日本の世論を新型コロナ軽視に導いて、この病気の発生と伝搬に対する中国責任論の芽を摘んでいるのだろう。

 

経済も重視すべきという考えは判る。そして、新型コロナの恐怖を煽るような連日のテレビ報道には、私も反対である。しかし、新型コロナに対する正しい認識を得て、経済活動を活性化する方向に国を動かすのは、国会議員や専門家を含め、大勢が議論した結果を基にすべきである。プロパガンダを流して国民を洗脳して為すべきことではない。

 

著名人が何かを言うと、コメントの殆どは同意表明である。反論は殆ど聞かれない。何という情けない国なのか、日本は。議論の無い日本の文化は、歴史がグローバルに動く時代に入り、短時間で日本を滅ぼすだろう。

 

補足:

 

1)その理由は、科学法則は全て「仮説」として出されたものだからである。「法則と呼ばれる論理」は、それに反する実験結果が、対象とする系(観測対象のこと)において、今まで得られなかっただけである。そして、科学は法則を疑うことで発展してきた。原子や分子のエネルギー状態を議論するときに、ニュートンの運動の法則が成立しないことを見出したことから、現代文明の基礎である量子論が生まれた。ニュートン力学を唯一の真実と信じてしまっては、このスマホやパソコンの現代文明は生まれなかった。

 

2)五毛党は、中国政府の支持で中国の方針に合致する記事や動画に支持コメントを書いたり、支持票を入れたりする人たちのことである。五毛とは、報酬の額(一元の半分)を示す。中国に1000万人居ると言われる。(ウィキペディア参照)

2020年8月25日火曜日

中国の世界制覇100年戦略

1)米中国交回復はニクソン陣営ではなく中国によって計画実行された

 

現在国防総省の顧問であるマイケル・ピルズベリー(1945年生まれ)が書いた、「China2049 秘密裏に遂行される『世界覇権100年戦略』(2015)という本に、米中国交回復の経緯が書かれているという。このヒルズベリーの本の内容紹介は、発刊早々に北野幸伯氏により書かれている。https://diamond.jp/articles/-/81432

 

それによると米中国交回復は中国側からの対米接近により為され、日本や欧米諸国から軍事的、経済的支援を取り付け、2049年までにアメリカを超える大国になるという「100年マラソン」と呼ばれる戦略に基づいている。

 

「米中和解」を「真」に主導したのは、ニクソンでもキッシンジャーでもなく、中国だったというのである。ニクソンとキッシンジャーはむしろ中国との国交樹立が、ソ連との過度の関係悪化に繋がることを懸念していたという。

 

彼らがその気になったのは、ピルズベリーが入手した情報(ソ連は米ソ緊張緩和の動きを止めない)だったという。そこで、キッシンジャーが1971年に訪中し、毛沢東や鄧小平と意気投合したというのだが、要するに取り込まれたのだろう。

 

ニクソンの「フランケンシュタインを育てるかもしれない」という危惧は、40年後現実問題となった。それは親中派キッシンジャーが中国外交の一本化された窓口であったことが原因であり、それは彼が代々“Deep State”の代理人であった事を示している。

 

2015年、つまりオバマ政権の後期に本格化した米中対立が、いよいよ深刻化したことを象徴するのが、5年後の7月23日にニクソン記念館で行われた国務長官談話であった。トランプのWTO違反が疑われる経済制裁の離れ業により、中国が顕にした本性を見てのポンペオ演説であった。

 

2)ポンペオスピーチ後の中国の柔軟化

 

中国共産党政権の世界覇権樹立の目論見は、北戴河会議を経て若干軌道修正されたようだ。習近平の強行路線から、鄧小平の『韜光養晦』(姿勢を低く保ち、強くなるまで待つ)戦略に戻ったのだろう。つまり柔軟化して、仮想敵対国を誤魔化す戦略を採用した様である。

 

それは、現実主義的戦略とも言える。このような戦略変更が可能なところを見ると、毛沢東独裁時代とは異なり、まだ集団指導体制が機能しているのだろう。この戦略と、北朝鮮の核保有の戦略とはよく似ている。時間稼ぎのために約束をしたり、柔軟になったりする戦略である。

 

この中国の柔軟化の原因となったのは、ニクソン記念館でのポンペオ国務長官による演説だと言われる。トランプ政権首脳は、新バージョンのトルーマン・ドクトリン(ポンペオ・ドクトリン)を採用し、ポーランドなど東ヨーロッパの軍事支援まで行って、ドイツなどに圧力をかけている。

 

法と人権を重視する体制と全体主義体制との冷戦という同じ構図だが、仮想敵国の相対的国力(仮想敵国の国力/米国の国力)が比べて大きいことと、西欧諸国との間で緊密な経済関係が成立していることの二点により、米ソ冷戦のときと話が大きくことなる。

 

勿論、先進技術の全ては中国以外で発達しているので、デカップリング(中国の民主主義圏からの隔離)は理論的には可能である。しかし、それには大きな腫瘍手術のように、西欧諸国に多量の出血や体力の消耗をもたらす。この当りの見積もりは素人には非常に難しい。

 

前回の冷戦の結果は、ソ連の崩壊だったが、今回の結果は中国共産党政権の崩壊だろうか? 私はそうでは無い可能性がかなり高いと思う。それは、上記二つの理由に加わって、人権や人命に高い価値を置く西欧側が、元々全体主義の国に比べて戦争に弱いと考えられるからである。(補足1)

 

その一方、共産党による支配体制を最重要とする中国の体制と、法の支配と人権重視の米国の体制は、同じ時空で両立しない。棲み分けもできないことは、ポンペオ長官のスピーチが示した通りだろう。習近平が明日から知的所有権は完全に守るなどと発言しても、それを裏書きするものは何も存在しない。

 

米国のマスコミやデズニーランドなどを通しての世論誘導や、孔子学院を通して将来の米国を動かす大学生に親中意識を醸成するなど、中国の米国への計画的な浸透は一貫している。その計画は、米国の手足を操縦することだけではなく、頭脳を支配することであった。

 

今回の大統領の任期4年間、仮にトランプが天才であっても、歴史は狂人トランプの気まぐれと記す可能性が高い。足踏みもあるだろうが、世界は恐ろしい現実に向かって着々と進んでいる可能性が高い。

 

 

補足:

 

1)国家の方向転換は民主主義の国では大変である。例えば、対日戦争でF. ルーズベルト大統領が行なった戦争開始のための努力は相当なものであったが、それらは中国では不要である。例えば、炉辺談話などで対枢軸国との戦争の必要性を国民に直接説く一方、和平の妨害のために経済制裁や諜報活動など裏で努力した。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2017/08/blog-post_14.html

2020年8月21日金曜日

橋下徹と甘利明の対中国発言(ニュースの覚書)

副題:新チャイナ・シンドロームに気づかない橋下徹と気づいている甘利明(補足1)

 

1)橋下徹氏の二階支持発言:(8月16日のテレビ番組「ザ、プライム」で、この発言を聞いたが、下の動画は別の機会になされたものだろう)

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=JUWzPGdE4mU

 

二階俊博氏(補足2)の「今後とも、日本は中国との(経済的)繋がりを強化すべき」という対中路線を支持するという、橋下徹氏の発言には本当に驚いた。橋下氏は、「地政学的に考えて、中国と繋がるところは繋がり、断ち切るところは断ち切って、そして西側諸国の価値観を守る事が大事。今の議員は、二階氏のこの姿勢を誤解している。若い世代に二階氏のような人が複数現れないとダメだ」と発言している。

 

しかしである、西欧の価値観と中国共産党政権の政治は真っ向から矛盾する。ウイグルやチベットでの統治のあり方、法輪功の弾圧、香港に関する英国との約束違反、知的所有権無視など、多くの事実がそれを証明している。それでも尚、橋下氏は、西側諸国の価値観と中国共産党の価値観に、平和的共存が可能な程度に大きな開きがないと考えているのだろう。

 

これが、橋本氏が十分に考えた後の発言であるとするなら、彼は中国共産党と何らかの繋がりがあると考えるべきだろう。更に、現在の巨大な中国共産党政権を相手に、日本の政府が「繋がるところは繋がり、断ち切るところは断ち切る」ことが出来ると思っていたとすれば、地政学どころか国際政治にも彼は無知である。

 

敵攻撃能力をもたない日本政府は、他の国家との外交など、米国の庇護下でなければ出来ない。日本は、実質的に米国の一つの州であり、自衛隊は米軍に組み込まれている。それが冷戦構造の中でしか許されない準安定な政治形態なのだろう。冷戦或いは新冷戦などの無い世界では、日本は16−17世紀ごろのアメリカ大陸のような他国の草刈場となるだろう。

 

つまり、もし二極構造の世界或いは中国の単一覇権の世界が実現すれば、日本は解体され、東海自治区などと呼ばれる様になり、国民は分別され、中には臓器提供者となる人も出るだろう。この4つの島国は「日本」という言葉の利用も許されない、ウイグルのような“自治権を失った自治区”となるだろう。橋下氏はその未来が本当に見えていないのだろうか?(補足3)

 

 

2)甘利明氏の発言:

 

甘利元経産大臣は、中国企業と取引すると米国中心の経済から締め出される危険性があると、同じく8月16日のテレビ番組「ザ、プライム」で発言した。

 

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=CCrRtqjkrnI

 

甘利氏の発言は、だいたい以下のようにまとめられる:

 

米国のクリーンネットワーク政策は、先進インターネットから中国を締め出す構想である。米国の信頼を完全に失った形の中国と中国企業は、世界のサプライチェーンから締め出される可能性が高くなってきた。

 

中国企業のアプリをスマホなどで用いると、顧客データがそのまま中国政府に流れる危険性を、米国だけでなく、英国やインドなどの各国も気づき始めている。今後、中国企業と組んで企業活動をすれば、データが抜かれるという前提でビジネスしなければならない。

 

中国企業の幹部は、その可能性を否定しても、中国共産党政権が国家情報法をたてにして要求すれば、断ることは企業の消滅を意味するので不可能である。機械技術が漏洩する可能性があれば、日本の企業は米国を中心としたサプライチェーンから外される危険性がある。

 

日本の与党にも、しかもその中心部分に、このような発言が出来る人が居るのだが、マスコミは安倍総理の健康問題だけをこのときの甘利氏の発言のなかから取り出して報道していると、渡辺哲也氏は語っている。

 

(8月21日午前12時 補足2の追加、補足の位置の移動、サブタイトルの明確化など編集)

 

補足:

 

1)新チャイナ・シンドロームは昨年12月17日の記事の題名である。副題の意味は、国家資本主義により中国は世界を支配する計画である。その具体的な表現は、習近平国家主席による一帯一路構想、AIIBによる元の国際通貨化である。

 

2)二階俊博氏と今井尚哉(たかや)首相補佐官が、米国戦略国際問題研究所(CSIS)の報告書において、日本の媚中政策の中心的人物だと批判された。それは、おそらくホワイトハウスからの警告の表明を、CSISの誰かが間接的に書いたものだろう。https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-94075.php

 

3)これはずっと以前のブログに書いたことだが、在米の評論家伊藤貫氏が予測していたことである。

2020年8月19日水曜日

井上陽水(II)氷の世界

人間界は虹のように見る角度により暖かくも見えるし、冷たくも見える。また、残酷なようにも、協調の世界にも見える。それらは全て、人と人が互いに繫がって社会を作って生きているからである。氷の世界は、繊細な井上陽水が歌うこの人間界の理解の一つである。なお、一つの表現から、それがその人の世界観だと考えるのは間違いだろう。

 

窓の外ではリンゴ売り、声をからしてリンゴ売り きっと誰かがふざけて、リンゴ売りの真似をしているだけなんだろう

 

これは主人公が、自分の部屋或いは自分の心理空間に閉じこもると決めていることを意味している。これは、始めのようでもあり、この歌の最後の部分に続くとも考えられる。それは兎も角、俺は今外に出ていく気がしないという心理を歌っている。その理由は、歌詞の一番では、外の寒さ、二番では人の世界との繋がりの薄さ、三番ではそれに対する苛立ち、である。

 

誰か指切りしようよ 僕と指切りしようよ 軽い嘘でもいいから 今日は一日張り詰めた気持ちでいたい。 小指が僕に絡んで 動きがとれなくなれば みんな笑ってくれるし 僕もそんなに悪い気はしない筈だよ

 

この二番目の歌詞は、人の集団に溶け込もうとする主人公を歌っている。既に仲間と見做されている人なら、「よっ! 今日どう? 何か良い話し無い?」と呼びかけるのと同じである。少し距離感がある場合の掛け声を、その動機から心理までを比喩的に表現したらこのようになるのだろう。本当にわかりやすいし、素晴らしい表現である。張り詰めた気持ちは、集団の中にあってその関係に束縛されたいという気持ちを表している。

 

流れていくのは時間だけなのか、涙だけなのか。毎日、吹雪 吹雪 氷の世界

 

主人公な、何らかの言葉を投げかけたに違いないが、そのことばは余程鋭敏な神経と優しい心を持っている人にしか届かない。指切りの相手を見つけられなかった主人公は、再び孤独の世界に沈んでいく。

 

自由は孤独であり、束縛はこころの繋がりを意味している。人間は誰でも真の自由など求めてはいない。束縛の中の自由を如何に作り出すかは、民族や地域により異なる「文化」である。この文化の違いで戸惑うのは、異国からの人、異郷にある人、性格や知性などがかなり異なる人などである。(補足1)

 

井上陽水の両親が京城(ソウル)からの引揚者で、幼い頃から一家は馴染みのないところで暮らした。この感覚は、おそらくその時から持っているものだろう。

 

人を傷つけたいな 誰か傷つけたいな だけど出来ない理由は やっぱりただ自分が恐いだけなんだな その優しさを密かに 胸にいだいてるひとは 何時かノーベル賞でももらうつもりでガンバっているジャないのか

震えているのは寒さのせいだろ 恐いんじゃないネ 毎日 吹雪 吹雪 氷の世界

 

なかなか社会に溶け込めないとき、時として、暴力に訴える場合もある。その暴力に訴える人たちが集団化して新しい社会を作る場合もある。暴走族やヤンキー(不良少年など)らの暴力集団は、そのようにして生じた集団だろう。

 

氷の世界の3番目の歌詞の「人を傷つけたいな」も、すんなりと社会に受け入れてもらえない苛立ちを表している。しかし、そのように悪に走るには、心優しい人は自分を改造する必要がある。その恐ろしい自分を心の片方に感じて、震えを感じる主人公は、元々融和で豊かな幼少期を過ごしたのだろう。(補足2)

 

 

 

 

 

なお、井上陽水と仲の良いタモリが陽水を語っているページをみつけたので、サイトを書いておきます。ヒット曲がきっかけで、このような素晴らしい仲間を得たのだと思う。

https://www.pen-online.jp/news/culture/pen_inoueyousui_tamori/2

 

 

補足:

 

1)この集団への溶け込みとして、よく実行されるのが、道化である。道化は、既に集団の中に居ると認められている人が、人との繋がりを簡単に再確認させる場合に行う。そのお道化を演じる当事者は、離れていく自分を感じて、その人々の動きをリセットする場合に行う場合が多いと思う。それが芸能となったのが、漫才などのお笑いのなかのお道化である。私の少ない読書のなかで、小説のなかで記憶に残るこの種の”お道化”は、太宰治の人間失格にある。主人公が幼い頃演じる道化である。

 

2)陽水の父親はソウルに軍医として勤務していた。父母はその地で知り合って結婚したとウィキペディアには書いてある。軍医という身分や現地で結婚したことなどから、おそらく、周囲と比較して豊かで幸せな家庭に育ったと想像できる。

井上陽水の歌「傘がない」について

私は、井上陽水は世界的なシンガー・ソング・ライターだと思っている。彼の作った歌には、他のだれにも創れない名曲が多い。その歌詞は、オリジナリティに富んでおり、それ故に日本でも世界でも、理解されないものも多いだろう。それだけでなく、陽水の歌に親しんでいる我々の理解さえ、超えるかもしれないものも多い。例えば「傘がない」の歌詞は以下のように始まる:

 

都会では自殺する若者が増えている。今朝来た新聞の片隅に書いていた。けれども、問題は今日の雨。傘がない。行かなくちゃ、君に会いに行かなくちゃ。君の町に行かなくちゃ、雨にぬれ。

 

利己主義の権化のようだと思う人もいるだろうが、自殺数を減らすことは一般人には簡単にできることではないし、この主人公にはそれを考える立場にもない。ここでは、普通の日本人には口外が不謹慎に思える表現を歌詞に入れて、まるで遠近法を巧みにつかった油絵のように主題を歌っている。

 

これに続いて:

つめたい雨が、今日は心にしみる。君の事以外は考えられなくなる。それはいいことだろう?

 

比喩を用いれば、まるで砂漠の中を水筒もなく進む、脱水状態のひとの描写のようである。相手の方も同じ様な状態なら、会った後に電気のショートのように治癒することが約束されている。つまり、幸福な時間が約束される。

 

問題なのは、雨にぬれて行かなければならないことだろう。しかし、それは大した問題ではない。当然彼女もその考えについては同じ筈だと、相手に問うのが「それはいいことだろう?」であると私は思う。(補足1)「そんなに無理しないで、明日にすればいいんじゃない?」は、彼にとっては恐怖の言葉なのだ。

 

複雑で非常に大きな構図の大きなエネルギーの流れ(つまり、社会全体)のなかに、明確な小さな存在、しかし人間として十分熱い存在を、思い切りクローズアップで描いたのが、この歌だろう。

 

尚、素晴らしいライブの演奏は、CD版などと違って、二度と同じ演奏はないかもしれないと思えるほど大きくモディファイされている。

 

 

 

 

補足:

 

1)このいいことだろう?は当然、「君」に対する言葉であり、第三者に対する言葉ではない。(相手は目の前にいないのだが、二人の世界の中での問いかけである。)第三者だという解釈の方のブログもある:https://tokyo.whatsin.jp/85807) そこでは、「本当に社会に無関心な人だったら、ワザワザそんなことは問いかけない」と書いている。私には勘違いにしか思えない。()内は翌日午前に追加

2020年8月17日月曜日

現職閣僚があの戦争を総括する義務を果たさないで靖国参拝するのは責任放棄である

これまで何度も靖国参拝を論じてきた。最近のものでは、今年1月2日に書いている。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12563990644.html

特に意見が変わったわけではないが、この時期に再度意見を示しておくのはブログを書くものの責任のように思うので、新たな短い文章を示す。

 

1)日本政府の戦争責任を明確にすべき

 

政府は日本国民に何故あれだけ多くの戦死者を出したのかを説明する責任がある。それを戦後75年間避けてきた。政府要人が靖国に参拝するのは、その責任放棄のように私には映る。つまり、「国を守ること=戦死すること」では無いはずだ。

 

この季節、現職国会議員を含めて全ての国民は靖国参拝すべきであるという話が大きくなる。それを聞くと、麻生さんのような貴族たちが、「お前たち下々は政治を考えるよりも、命を捧げることで国に貢献すべきだ」と大声で要求されているような気がする。

 

明治時代から現在まで連続的に繋がる日本政府は、75年前まで、勝手に作った国家神道を利用し、戦死者を神に祀り上げることで、安価に兵士の命を消費した。今になれば多少とも知的な人間は、冷静に考えられるだろう。戦死したからと言って、神になれる筈はないと。

 

同じ現世を生きる人間のくせに、「死んだ場合は神にしてあげる」と言って、一般国民の若い男子の命を無駄に使った可能性が高いのだ。予算の使いみちでも、会計監査をして、無駄或いは不法な使い方をしなかったか調べるのが普通である。金銭などと比較しようも無いほどに貴重な人の命を使ったのだから、その使い方に無駄が無かったのかを詳細に調べるべきである。

 

それをしないで、英霊たちは神になった証拠に、毎年我々も国民も参拝しますと、ごまかしているのが現政府ではないのか? 靖国参拝にクレイムをつける中国や韓国に対して、熱くなって敵意をむき出しにするひとたちは多い。頭に氷枕でも載せて、よく考えろと言いたい。

 

2)国を守ることの歴史と意味

 

江戸時代から明治に移るときの政変は、一言で言えば薩長が英国組んでクーデターを起して幕府を倒したことで始まる。そこからの所謂“近代化”は、西欧型社会を取り入れることであった。薩英戦争や下関戦争で圧倒的な差を見せつけられたので、軍の近代化はなかでも必須であった。

 

倒幕の際の戊辰戦争で利用した天皇を、軍の近代化にも利用しようとしたのが、国民皆兵制度と靖国神道(国家神道)の創始である。この時、日本に根付いていた伊勢神道とそのトップである天皇の地位に大きな変化があった。

 

近代国家の必要性を説くことが大仕事だと考えた明治新政府は、それよりも貴族制度を維持したまま国家神道を軸に国民を兵士として調達する方法を考え、選択したのである。日本の歴史が西欧のように、市民戦争から共和制の道をとっていたのなら、国民のための国家であるからと、国民皆兵制度を説得するのは簡単な論理で可能となる。

 

しかし、明治のクーデターから専制君主制とその下に貴族を配する政治制度を作り上げたのだから、国民皆兵性は国民を完全な支配民或いは奴隷と考える以外はかなり困難となる。それでは、強力な軍隊をつくることは難しい。そこで、江戸時代の天皇と庶民が伊勢神道を通して緊密だったことを利用し、靖国神道を作り上げたのである。

 

その結果、憲法には天皇元首制を謳い、軍隊を天皇直属として内閣の外に置いた。それが軍の暴走に繫がったことは良く知られる。その「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」という憲法11条の日本(大日本帝国)は、「戦争が外交の一つである」という近代国家の外交と、その社会(ウエストファリア体制)の政治思想を持ち得なかった。つまり、国家の敗戦は国民の玉砕(つまり死亡)を意味するという、怪獣国家を作り上げることになった。

 

その大日本帝国の延長上にあるのが、靖国参拝であり8月15日を終戦記念日とする現在の日本の姿である。戦闘が終わったのは、休戦協定の日であり、戦争が完全に終わったのは、講和条約の日である。私なら、終戦記念日を9月8日にして、それにより国民全てが戦争を再度考える動機とする。多くの謎が、その考察で消滅するだろう。

 

補足:

 

この文章を書く動機は、以下のyoutube動画を見たからである。

 

 

 

そこに以下のようなコメントを残した。何時ものように、ほとんど賛意は得られないだろう。

 

政府は日本国民に何故あれだけ多くの戦死者を出したのかを説明する責任がある。それを戦後75年間避けてきた。政府要人が靖国に参拝するのは、その責任放棄のように私には映る。つまり、「国を守ること=戦死すること」では無いはずだ。

 

勿論、一般人が戦死者の霊に感謝の意を捧げるために靖国に参拝するのは当然だが、それでもあの戦争を実行した政府の責任者も合祀している点で、一部納得がいかない。戦争を指揮した人たちの責任を問うことをしないで、歴史の総括をしないで、あの戦争を丸ごと完全な祖国防衛戦争として美化することになるからである。

 

更に、戦死者だけを何故神として祀るのか? 戦争は輝かしい行為ではない。従って、戦死者は神なんかではない。単なる戦死者である。それなら、伝統的な墓所をつくり、そこに国民は参拝すべきである。戦死者を神にするのには、戦争に対するごまかしがある。

2020年8月16日日曜日

中国の暴挙を批判することが内政干渉に当たるとして、批判されるべきことなのか?

今日朝のTV番組「ザプライム」で、香港警察によるジミーライやアグネスチョウ(敬称略)らの逮捕に関して、日本の官房長官が遺憾を表明した件、内政干渉になるかどうかの議論があった。

元大阪府知事の橋本徹さんは、日本の安全保障に関係する形で、意見表明すべきであると主張して、官房長官の遺憾表明に否定的であった。その一方、甘利元経産大臣と櫻井よしこさんらは内政干渉には当たらないと言っていたと記憶する。

この件、中国のやり方は汚いと表明する自由は、どこの政府にもある。それが内政干渉に当たるかどうかといえば、当然当たるだろう。しかし、そんな内政干渉はお互い様である。日本も中国も干渉しながら、国際社会で生きている。社会を作るということは、国家が作る国際社会でも、互いに干渉するということである。

内政干渉を、国際法にふれる内政干渉だと定義しても、同じことである。権威ある司法と権力を伴った法の執行機関が無い限り、押し問答になるだけである。

橋本さんは、北方領土問題を出して、それに中国が意見表明したらどうか?と言って、甘利さんらの考えへの反論としていたが、的ハズレである。当然、「国後は日本の領土でない」と言う自由は中国にある。(補足1)しかし、それで中国は一文の得にもならないから言わないだけである。

中国ではウイグル人を収容所にいれて虐待していることは広く知られる。それを批判することも、内政干渉である。中国はそれに怒ることも自由である。しかし、国際社会の一員として、互いの利益関係を維持することを希望するから、中国はその損得を考えて「(懲罰や教育はあっても)虐待はない」とシラを切ることにしているのだろう。

現在は、欧米が確立した主権国家体制(ウエストファリア体制)下にある。それは、主権国家間に、個人のプライバシーのようなもの(国家の独立性)と、社会のルール(国際法;補足2)のようなものを認めようということである。ただ、普通の社会と同様、”プライバシー(国内事情)”にも法や道徳に触れるプライバシーもある。それは非難されて当然である。

つまり、ウイグルでの異民族虐待(中国が言う矯正教育)や、香港での人権の異様な束縛(事後法による処罰など;補足3)は、国際社会で法に触れる"プライバシー(国内事情)"にあたる可能性がある。

日本政府も日本人も気をつけるべきは、その欧米の国際政治文化(つまりウエストファリア体制)には、国内で個人の行為を対象に存在する"権威ある法と権力の下の執行機関"の、強制力を伴ったルールはないことである。(補足1)

従って、夫々の国家は基本的に野生の関係にあることを自覚すべきである。つまり、中国は自国の支配下の人民を1億殺害しても、それを裁く権力はどこにもないだろう。日本人を原爆で皆殺しにして、その後で移住しても、それを処罰する事はできない。(補足4)

その場合に、他の国ができるのは、中国は恐ろしい国だと考えて遠ざかることだけである。勿論、美国がそれだけでは済まされないと思い、中国を爆撃する自由(野生の自由)は存在するが、それは得にならないのでやらないだろう。いや、やらないと確信する。核兵器などで防衛を考えなかった愚かな国民だと言って、済ませるだろう。

補足:

1)北方4島は日本固有の領土というのは、間違いである。日本政府が日本国民に嘘をついていると言って良い。このことは既に議論した。 https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2019/01/blog-post_30.html

2)国際法には、ハーグ陸戦条約やパリ不戦協定として整備され、現在はそれらを包含する形で国連憲章が存在するだろう。司法として、国際司法裁判所など、法の執行機関として国連軍があるように見えるが、機能しないのは周知の通りである。

3)人権問題は最重要に考える人が多いだろう。しかし、基本的人権には「公共の福祉に反しない限り」という限定が掛かる。それは日本国憲法でも同じである。ただ、事後法での裁きは、完全に違法だと思う。

4)朱徳(元人民解放軍元帥)の外孫の朱成虎空軍少将は、人口密度の高いインドや日本は、核兵器で一度絶滅させる方法もあると、公の席で発言している。これを聞いた古森義久は、背筋が寒くなったと言った。(ウイキペディア参照)

2020年8月15日土曜日

日本やドイツなどとの同盟解消を主張する米国シンクタンクの論文について(II)

今朝の文章の主題を別の方向、特に歴史的背景から素人的に考察した文章です。そのため、多少重なる部分があります。

 

1)新冷戦と日米同盟

 

日本と米国は現在非常に大事な同盟関係にある。新冷戦2.0の最中にある米国は、日本の命運を握る同盟国であると同時に、日本は、米国の安全にとっても不可欠な同盟国である。トランプ大統領は、中国共産党政権と現体制の米国が将来に亘って共存関係にあり得ないと言っており、その見方は米国議会においても強くなっている。それは先日行われたニクソン記念図書館でのポンペイオ国務長官のスピーチで明らかにされている。

 

「私の今日のスピーチは、アメリカの人々のためにすべてをまとめ、中国の脅威が私たちの経済、私たちの自由、そして世界中の自由民主主義の将来にとって何を意味するかを詳しく説明することです」と話す。

 

ポンペイオ国務長官の話は、以下のように続く。

「来年キッシンジャー博士の極秘訪問から50年になり、そして再来年はニクソン大統領訪中から50年である。自由と民主主義への中国の進化を提案した私たちの指導者の理論は真実だと判明したのか? この現在の関係が、中国が定義するWin-Winの関係なのか? 中国の支配者の究極の野心は、米国との貿易ではありません、米国を襲撃することです。」

 

ニクソン大統領は今日の中国を予想しなかった訳ではない。その証拠に、嘗て「共産党に世界を開放することにより、フランケンシュタインを創造することになるかもしれない」と語ったという。ニクソンが中国に自由主義世界に招き入れた目的には二つあり、国務長官が話さなかった方「冷戦においてソ連に勝利するために中ソの間を明確に裂くこと」が、恐らく主目的だったのだろう。

 

このポンペイオ長官の言う中国との戦いにおいて、考えられる戦場は南シナ海かもしれないという人が多い。しかし、実際の戦闘にはならないだろう。それは双方伴にあまりにも損害が大きく、更に終点の見えない破壊の連鎖となる可能性すらあるからである。

 

しかし、勝敗は何らかの形で付くだろう。米国が勝つ重要なポイントは、台湾を中国共産党政権と分断することであり、そして日本と中国との分断を完全にすることである。台湾が中国共産党に飲み込まれれば、日本も同じ運命を辿る筈である。つまり、米国が中国と対峙するとした場合、その最前線が台湾であり日本である。(藤井厳喜、林建良著、「台湾を知ると世界が見えてくる」)

 

先日、CSISという最も著名なシンクタンクが、安倍首相の対中姿勢に大きな影響を与えてきた人物として、自民党の二階俊博幹事長、そして首相補佐官の今井尚哉(たかや)氏をあげた。つまり、日本と中国の関係に米国は苛ついているのである。日本は未だに曖昧の国である。https://news.yahoo.co.jp/articles/b0645ea1504bd58db63e8502cda3577fb17ad6f7

 

2)尖閣が危ない

 

中国は、一番弱いところから攻撃するだろう。恐らく、台湾海峡や南シナ海で戦闘を開かないだろう。実際、中央から「中国側から一切攻撃しては成らない」という司令がでているようだ。https://www.youtube.com/watch?v=swxgiRZE2Mc

 

超限戦の国が、日本の真珠湾攻撃のように直接的な戦いで、負ける戦争はしないだろう。最初の争いは尖閣で起こると私は予想する。最初は漁民が尖閣に上陸する形を取り、その中で何らかの異常事態を演出して、軍が上陸する。既に多くの方が尖閣問題を主題にした文章で書いてきたシナリオである。

 

そこで、日本の自衛隊がなんの有効な手段をとれない場合、米軍も動かない。自衛隊が動かないのは、日本政府のトップから明確な司令が出ていないからだろうし、日本のトップは米軍が動かない可能性を考えるから明確な司令が出せないのだろう。安倍総理の健康状態が悪いのは、この所為だろう。日本だけが生贄の羊になって、新冷戦2.0が中断する可能性が総理大臣の頭を支配している可能性がある。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12615278651.html

 

安倍総理は、独ソ不可侵条約を知って「複雑怪奇」と言った平沼騏一郎の二の舞をして、世紀の愚将の名を歴史に残す可能性を恐れるだろう。中国は、対策が出来ない情況を作り、日本側に強い落胆の気持ちを起こさせる。つまり、日本人の心理を利用して、日米同盟にヒビを入れるのである。その後、米国はあてにならないという日本世論が大きくなれば、先の記事に書いた「米国は日本との同盟関係を解消すべきだ」と言うプロパガンダが、鮮やかな輝きを見せる。

 

香港は既に中国共産党政権に飲み込まれている。勿論、香港を吐き出したときは、中国共産党政権の終焉が近いことになる。しかし、日本が中国の衛星国に一歩傾けば、米国の言う民主国の連合とは極めて剥離しやすい安っぽい作りであることが暴露されるだろう。つまり、米国ポンペイオの作戦の重要な鍵は尖閣にあり、日本にあると思う。

 

日本と米国の不許和音は、台湾にどれだけ影響するかわからない。香港もどれだけ落胆するかわからない。何故、周庭さんが香港警察に逮捕されたときと保釈されたとき、その気持を日本語で述べたのか? それは、香港の自由と日本の自由が台湾を挟んで、結ばれているという理解があるからである。

 

3)日本と米国の不幸な関係

 

台湾は先日亡くなった李登輝さんにより民主主義国となった。それ以来、日本を友人として考えて下さった。不幸なことは、田中角栄の時代に日本は台湾との関係を切り、共産党支配の中国と国交を結んだ。その時の考えは、恐らく田中角栄は米中の間で消滅する可能性を考え、その危機的情況を乗り切るには、日中国交回復以外にないと考えたのだろう。

 

毛沢東は、田中角栄に言った。日本は4つの敵に囲まれている。その全てを相手にしては、消滅するだけだ。我が中国と組まないかと、田中を誘った。4つの敵とは、米国、ロシア、(毛沢東の)中国、欧州である。

 

その20年前から今日まで、日米は安全保障条約を結んだ同盟国である。つまり、日米安全保障条約は米国の安全保障のために作られ、且つ、今まで存在した。最初はソ連と中国との冷戦の基地を置くために出来た。それが、中曽根総理(レーガン政権当時)に日本列島は不沈空母だという発言の理由である。その米国の安全保障のための同盟は、中国と対立する今、益々重要となっている。

 

日本の平和憲法、日本の占領終了、平和条約、日米安保条約は、日本を将来に亘って武装解除の状態に置くことと対ソ冷戦に対応する為の1セットである。つまり元々米国の安全保障のための米国の政策であった。更に、マッカーサー自身による議会証言や、フーバー回顧録によって、日本との戦争は米国フランクリンルーズベルトの事情と計画によって作り上げられたシステムであり、そのスイッチを山本五十六が押したという事実が米国でも徐々に理解されつつある。

 

先に紹介した文章でBandow氏は、平和憲法に日本は隠れているというが、それは完全な間違いである。繰り返すが、平和憲法と安保保障条約はセットで、日本の本格的な軍保持を抑えるためであり、それは瓶の蓋論として知られている。その上で、WGIP(War Guilt Information Program;東京裁判史観での洗脳のプログラム)で日本国民を徹底的に洗脳し、それに錠をかけたのである。そして鍵をドブに捨てて米国は帰ったのである。

 

その米占領軍の主の召使いが、70年後になって、平和憲法に隠れていると非難する身勝手な話は、米国自身が攻撃すべきである。それに、日本のまともな政治家を潰してきた経緯、そして、他国との平和条約の締結を妨害してきたことなどを考えると、Bandow論文ほど腹立たしい文章はない。(おわり)

日本やドイツなどとの同盟解消を主張する米国シンクタンクの論文について

現在、米国は中国と対立している。世界の民主国が連携して戦わなければ、中国共産党政権に勝てないと、ポンペイオ国務長官は言った。この大事な時期に、米国は、日本、ドイツ、スペイン、トルコ、サウジアラビアなどとの同盟を今こそ解除すべきであるという文章を、American Spectator (8月8日, 2020)に発表した人がいる。シンクタンクであるケイトー研究所(CATO Institute;補足1)の研究員Doug Bandowという人である。

 

記事の表題は「同盟国の問題、今2,3の同盟を解消すべきだ」(The problem with allies: Its time to un-friend a few countries)であり、副題は「嘘の友情と(同盟関係)タダ乗りは、その価値以上のトラブルと無駄金(False friendships and free-riding are more trouble, and money, than they’re worth)」である。その趣旨はわからないでもない。しかし、この文章の評価は今それを言い出す時期かどうかを考えれば、自明である。

 

その理由の中に、”今こそ”という時期が判るヒントがあるかと探したが何もない。中身は、素人受けを狙ったよう文章である。サウジアラビアに関しては、「絶対君主制であり、贅沢な王子たちの尻拭いを何故米国がするのだ」と言うたぐいのもの、日本やドイツに関しては、GDPの1%程度の金しか自国防衛に出していないということが書かれているのみ。歴史的経緯、世界の客観情勢などとの関連は書かれていない。米国に対する中国の脅威は何ものべられていない。(補足2)

 

恐らく、スポンサーは中国との関係を重視する米国のディープ・ステートの方々(馬渕睦夫元ウクライナ大使が主張している)だろう。中国がインド太平洋地域での覇権を達成する上で最も邪魔な存在の在日米軍を、米国世論の力で排除するためのプロパガンダだろう。それを説得力ある形にするために、一応システマティックな形で組み上げた文章だろう。ただ、米国の大衆向けのようで、論理はめちゃくちゃである。これが一流シンクタンクの文章なのだろうか?

 https://www.cato.org/publications/commentary/problem-allies-its-time-unfriend-few-countries

 

この文章の目標は、米国の孤立主義の方々を動かすことである。しかし、既に書いたように「何故今なのか」という疑問は、一定の知性があれば浮かぶだろう。何故なら、ポンペイオ国務長官が「4人の騎士」を組織して(補足3)、西側諸国が連携して「世界覇権を目指す中国」と如何に対決するかをスピーチしているとき、その西側の最重要なパートナーである筈の国と同盟関係を解消すべきと、主張しているからである。https://www.epochtimes.jp/p/2020/07/59953.html

 

 

2)Doug Bandow論文は、中国のためのプロパガンダだろう

 

もう少し詳細に見てみる。

この記事が、切るべき同盟関係として最初に取り上げたのはサウジアラビアとの同盟である。その理由が面白い。今だに独裁国であり、そこの王族はイスラム教の聖地を抱えていることを利用して、贅沢三昧に暮らしている。米国がその防衛に協力するのは馬鹿げているという内容である。そこに、石油利権の問題(:石油のドル決済を維持するためにサウジアラビアを味方にした)、イスラエルとアラブ圏の対立など、一切無視である。歴史的背景を考慮していないのは、既にのべたように米国大衆相手のプロパガンダだからだろう。

 

興味あるのは、絶対君主制(absolute monarchy) との対比で、「共産主義は悪だが、理論的には魅力的だ」と言っている点である。今の時期、共産主義の国として中国を思い出さない人は居ないだろう。つまり、著者は中国に魅力を感じる雰囲気を大衆の中に醸成することを狙っているのである。現在の中国は、共産主義の欠片もない絶対君主制に似た国家になっていることを、この研究員も承知している筈であるにも拘らずである。

 

その他、標的になった国として、モンテネグロ、ドイツ、フィリピン、エジプト、トルコ、スペイン、ジョージアなどの国がリストアップされている。お決まりのセリフは、「わずかGDPの0.92%(スペイン)、1.38%(ドイツ)しか防衛費を計上していない」や、「 ドゥテルテは、ころころ態度が変わり信用できない(フィリピン)」「ロシアの封じ込め役などではなく、むしろロシアと仲がいい(トルコ)」などである。

 

そして、最後に日本が俎上に上げられている。「東京(つまり日本)は、未だ平和憲法の影に隠れている」とか、「都合によっては適当に(平和憲法を)無視する一方、しんどい事はアメリカに頼ってばかりだ」と書いている。そして、挙げ句の果に、「真実を言えば、平壌や北京は米国の直接的脅威ではない」と言う。

 

米国の脅威でなければ、トランプが4人の騎士を配して、中国との対決戦略を煉る必要などないだろう。何度も言うが、この文章には別の意図が隠されているように思える。中国に対する敵対心を、ここに上げられた諸国の傲慢さや身勝手さを強調することで、希薄化すること。更に、米国と日本やヨーロッパとの同盟関係を分断することで、トランプ政権とその西側連携による対中攻撃の有効性を弱めることである。

 

この序論に「アメリカの同盟はアメリカの安全保障にプラスにならなければならない。それらは方法であり、目的ではない。その効果は他国の防衛に寄与するだろうが、その究極の目的は米国をより安全にすることである」という文章があるが、それは至極当然の理屈である。

 

上記がもし米国やその同盟国による連携した対中国封じ込め作戦を妨害するためのプロパガンダでないのなら、今の時期に、米国と同盟国との関係を現在という時間だけでスライスして取り出し、これらの同盟国は役立たないというのは、民主国に相応しくない考え方だろう。

 

3)日本との同盟関係は米国覇権の継続には必須である。

 

中国の台頭を意識したのは、米国のレーガン政権のころだろう。当時のシュルツ国務長官が、世界で一番大事な同盟は、日米同盟だと言ったという。日本国民はどう考えているかは兎も角、そして、それは決して日本人にとって幸せなことではないだろうが、日本が米国の対中国戦略の重要な位置にあることは明白である。30年後になって、今その「米国側にとっての日本の真価」が将に発揮されんとしている。

 

実際、インド太平洋地域の司令官であるPhilip Davidson海軍大将が、昨年7月18日、Aspen Security Forum(シンクタンク、アスペン研究所主催)において、「日本は地域でも最重要な同盟国であるだけでなく、世界(globe)でもっとも重要な同盟関係にある」と話している。

https://www.dvidshub.net/video/697704/us-indo-pacific-commander-discusses-china-aspen-security-forum (9分ころ)

 

上記Bandow氏の論文がまともなものなら: 米国は今後、世界の政治経済金融などのリーダーとして存在していくのか、それともこの辺で孤立主義に切り替えるかの議論が先ずなされるべきである。トランプ大統領が、「今米国が中国と対決しなければ、米国は中国の傘下に飲み込まれるのだ」という考えについても、議論しなくてはならない。

 

トランプが大統領候補の時代には、欧州各国や日本韓国などすべての主権国家は、自国の防衛を自国で行えば良いという孤立主義的考えだった。そして、北朝鮮や中国の核に脅威には、日本も韓国も核武装すれば良いではないかという発言もあった。大統領になって、その話は消えた。

 

3年間の在位により、大統領も理解を深め、成長するだろう。今、日本やドイツとの同盟解消は頭の中心(片隅には残っているだろうが)にはない筈。その結果、新しいバージョンの「日韓核武装」の話まで出ているようだ。朝鮮日報によれば、韓国、日本、台湾の核武装は「今後2カ月間で主に議論するテーマだ」とトランプが述べたという。http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/08/13/2020081380004.html

 

このトランプの新しい発言の意味は以下のように解釈される: つまり、米国にとっても中国との本格的な戦争は、武力衝突のない単なる経済戦争でも、非常に大きな負担になっている。ましてや武力衝突になっては大変である。最小のエネルギーでの対中政策として、5Gネットワークなど先進部分に絞った形でのデカップリングと、日本、韓国、台湾の核武装の実現が、一番安上がりな対中国政策だろう。

 

同盟国への武力における中国の優位性が弱くなれば、中国の世界覇権の野望は消滅するだろう。それが、中国にとっても現在の経済レベルを維持する(中国一般市民にとって最良の)シナリオだと私は思う。このシナリオが中国共産党政権の世界覇権実現を目指すという遺伝子に本当に反するのなら、そこで国内問題として民主化がより穏便な形で議論されるだろう。その国際的圧力が強化された環境での歴史の進展が、中国国民一般にとっても良い話である。

 

ただ、心配がひとつある。日本の核アレルギーは日本国を滅ぼすことになるかもしれないということである。

(18:40 編集あり)

 

補足:

 

1)ケイトー研究所/財団(本部:アメリカ合衆国ワシントンD.C.)は、「小さな政府、個人の自由、市場経済」の立場から、米国の公共政策の議論を使命とするシンクタンクのようだ。リバタリアンを自称しているようだ。

尚この記事の日本語版は、最初ヤフーニュース(韓国の中央日報)が報じている。https://news.yahoo.co.jp/articles/70c793a09e223d86a0b8af72578144081f9411d9

 

2)一年ほど前に、トランプ大統領がその様な発言をしたという話が流れた。政府はそれを否定したが、十分考察しないで行った発言だろう。そこで思い出したのが、大統領候補のとき「韓国も日本も核武装すれば良い」という発言があった。

何でも原点から考えるトランプ大統領には、考えるだけなら何の制限も置かない。時として、口先から出ることもあるだろう。しかし、最終的には慎重な人だと思う。

 

3)第37代大統領のニクソン記念図書館でのポンペイオ国務長官の演説は、対中国政策の考え方について述べている。ニクソン訪中から始めて、中国との関わりを振り返っている。興味ある事実は、「中国は期待したようにはならないで、フランケンシュタインのようにならないか」とニクソン大統領が心配したことである。実際その通りになったことを、具体例を挙げて説明している。(その部分の原文:President Nixon once said he feared he had created a “Frankenstein” by opening the world to the CCP, and here we are.)

このスピーチは、バノン元補佐官の言う対中国戦争の戦略を担当する4騎士筆頭としてのスピーチであった。スピーチの中で、「My remarks today are the fourth set of remarks in a series of China speeches that I asked National Security Advisor Robert O’Brien, FBI Director Chris Wray, and the Attorney General Barr to deliver alongside me.」(私の今日の話は、ロバートオブライエン国家安全保障顧問、FBI長官クリスレイ、そして、バア司法長官に夫々依頼した中国関連のスピーチに続く、4番目のものです)と言っている。

https://www.state.gov/communist-china-and-the-free-worlds-future/

2020年8月12日水曜日

中国共産党政権は崩壊するだろうか?

以下は、現在進行している米国を中心とする民主国群と中国との対立に関する、私的な考察である。中国が先進諸国の経済ネットワークの中に組み込まれており、この“戦争”には政治的にも経済的にも非常に重大な局面を迎える可能性がある。そこで、現在の経済体制が出来た経緯と今後の行方について、ネット検索を少し行ったレベルの新たに知識を加えて考えてみた。政治と経済には素人の考察です。

 

1)グローバル化と中国

 

米国を代表とする民主国家群は、中国の異質な政治体制を軽視し、市場経済を取り入れたというだけでWTOに加入させ、殆ど全ての領域でサプライチェーンの中に組み込む地球規模の経済圏を作った。所謂グローバル化である。その結果、世界のその他先進国の製造業などを錆びつかせることになった。

 

中国企業は、農村戸籍(補足1)の人たちなどを奴隷的低賃金で使うので、何でも安価に出来る。その立地の有利さを求めて世界から企業進出が進んだ。中国共産党政権は、海外企業の進出を、中国との合弁企業設立を条件に許可した。企業収益は、中国共産党及びその幹部と海外グローバル資本に分配された。その一方、中国は企業のノーハウや知的情報などを取り込み、自国企業を高能率で立ち上げた。(補足2)

 

海外企業のコピーから出発し、高いエネルギーの国民性もあり、更には、国家からの保護を得て、それらは急成長した。経済規模を大きくした中国共産党政権は、国家本来の“遺伝子”の発現として、一帯一路構想を世界覇権戦略とし、手始めに線上の途上国を借金漬け外交で支配した。

 

中国共産党政権は、南シナ海の岩礁を埋め立てて中国の領土とし、空港を建設して軍事基地化した。国際法や法治主義の原則など、近代の欧米文化の基礎を無視して、東アジアでの覇権確立を目指した。更に、この国家戦略に協力させるため、全ての個人は先進的監視システムの対象とし、個人毎の信用スコアを先進デジタルシステムで管理している。

 

海外在住者でも、国防動員法を根拠に、滞在国の法を無視するかたちで国家への協力が要請される。(補足3) 中共は、このようにして巨大な”覇権モンスター”に成長しつつある。

 

この羽化の段階になって、民主国家群のリーダーである米国が事の重大さに気がついた。民主党の中には、既に中国と密接な関係がある人も多く、また、中国の強い反発の想定したためなのか、政権の末期のオバマ大統領には効果的な戦略は立てられなかった。

 

トランプ大統領になり、米国は直線的に中国制裁(トランプのディール)を始めた。その強烈な政策に、中国共産党政権は本質(共産党独裁政権の遺伝子)を顕にして対決せざるを得なくなった。その結果、そして香港問題もあって、米国議会にもトランプ以上に反中国の雰囲気が出来上がったようである。

 

中国の世界覇権に不可欠なファクターは、中国製造2025や世界の5G通信網の中国(ファーウェイ)による建設であり、それは米国を含めて全ての先進諸国の経済と情報を支配するためである。今中国を止めなければ、世界は中国に支配されることになるとトランプは言った。

 

米ソ冷戦のときに樹立した米中関係は、密接な経済関係に発展した。しかし、ソ連崩壊(1991年12月)後には、経済に関しては徐々にデカップルの方向に調整されるべきだった。それは天安門事件(1989年6月4日)の制裁の延長上でなされるべきだっただろう。中国の国際社会復帰への重要な役割を日本がしたのだが、それは、厳しく歴史の再評価の対象にされるべきである。(補足4)

 

2)中国共産党政権の崩壊

 

中国共産党政権(中共)は崩壊するだろう。そう予言するのが、中国人ユーチューバーのMOTOYAMA氏である。8月10日の「ファーウェイ最後のスマホについて、生態系について」というタイトルの動画で、ファーウェイは小さな中共であると言っている。https://www.youtube.com/watch?v=3Xq_1EKLJQA&t=200s

 

つまり、ファーウェイの今後が中共の終焉の縮図だというのだ。5G通信をファーウェイに独占的に依存すれば、機密情報が漏洩すると考えた米国により、対中国制裁の中心のひとつとなった。

 

その結果、ファーウェイは、スマホの中心的ICチップの供給を絶たれ、今後ハイスペックの製品は作れなくなる。そして、小さい国内のスマホ生産なら可能だが、先進5G技術を駆使するタイプのスマホは作れないだろうという。(補足5)

 

現在、ファーウェイがスマホや5G通信のトップランナーなのは、世界規模のサプライチェーンが確保されてこそのことである。その世界の経済システムを政治的或いは資本的支配下におく米国に逆らっては何も出来ないという製造業の本質を、中国の最高幹部は理解していなかったのかもしれない。

 

更に米国の制裁によりファーウェイは、すでにGoogleの主要サービスへのアクセス権を失った。また、マイクロソフトも中国へのサービスを中止することになるようだ。それらを含んだClean Network(クリーンネットワーク)Initiativeは、中国のスマホメーカーが米国のアプリをプレインストールまたはダウンロードできないようにする米国の政策である。https://www.youtube.com/watch?v=RpQBPyR4TBE

 

MOTOYAMA氏は、大幅に縮小して生き残るか、消滅するかの何方かだろうとファーウェイの将来を予想する。そして、それが中国の将来の姿だということになる。大躍進運動でもそうだったが、ミクロな知識なしに、マクロな戦略を立てても成功しない。それが独裁政権の大きな弱点なのだろう。

 

米トランプ大統領の元首席戦略官のスティーブ・バノン氏は7月20日、米FOXニュースとのインタビューで、トランプ大統領は中国共産党に対して「一貫性のある計画」を持っており、それによって中国共産党を解体していくとの見解を述べた。

 

これは現在政権の外にいるバノン氏が観測し、分析したことだろう。ロバート・オブライエン国家安全保障担当大統領補佐官、クリストファー・レイ連邦捜査局(FBI)長官、マイク・ポンペオ国務長官、そしてウィリアム・バー司法長官という「四騎士」を配置しているという。https://www.epochtimes.jp/p/2020/07/59953.html 動画は:https://www.youtube.com/watch?v=qogurlwHWGc

 

4人の方のスピーチは、上記記事に引用されている。上記記事では南シナ海が戦争の最前線と予想されている。更に香港問題と、そこでの中国共産党政権の姿勢は、その本質を何度も民主国の民に刷り込んだ。それでも中国は香港の人権活動家の周庭氏を逮捕した。

 

香港の国家安全法が成立した以降周庭氏は、民主団体は解散し何も運動をやっていない。明らかな事後法による逮捕だろう。MOTOYAMA氏は、中国の司法の特徴の一つが「推定有罪」だとしている。民主的な先進国全ては、「推定無罪」「事後法では裁かない」が司法の原則である。どうして、司法の考え方も180度違う国の経済を、WTOに加盟させて大きく育てたのか? 

 

補足:

 

1)中国では、農村戸籍の8億人以上(約6割)は、都市戸籍(約4割)に変更できない。出稼ぎ労働者は、農村戸籍に大きな供給源をもち、賃金は安く抑えられる。

 

2)現状の世界の“グローバル経済”システムは、労働者への利益分配が抑えられた発展途上の国を必須のプレイヤーとする。更に、搾取される側を身分制度として温存し利用する“共産党支配”の中国を主な参加者とするので、本来有るべき姿のグローバル化経済とは言えないと思う。

 

3)北京オリンピックでの長野での聖火リレーの中国人学生らによる暴動は、国防動員法のテストだったという説がある。日本の警察は、中国の反応を恐れて、彼らを逮捕しなかった。http://mickymagicabc.hateblo.jp/entry/2018/01/25/095226 

9日のテレビそこまで言って委員会で、前防衛大臣は、現在日本の最大の脅威は、①にバイオテロ、②にサイバーテロだと言った。数十万人もいる在日外国人による組織されたテロも非常に恐ろしいが、現役政治家には言えないのかもしれない。https://www.data-max.co.jp/2014/06/27/post_16458_hmg_02.html

 

4)この中国を主プレイヤーとするグローバル経済の歴史的出発点は米ソ冷戦にある。米国は、1971年のキッシンジャー訪中、翌年のニクソンの訪中により、敵対勢力を小さくするために中国と国交を回復し、自由主義圏の国際社会に招き入れた。1989年の天安門事件、1991年のソ連崩壊のときに、中国の体制変革が起こるべきだったという意見が多い。ニクソンの政策は、本来の目的を達したからである。この件、日本は中国の孤立を防いぐべく努力した。中曽根康弘から、天皇訪中を実行した宮澤喜一らの自由民主党政府である。歴史の流れを全く理解しない、低レベルの官僚政治家が、今日の世界の終末に繋がりかねない米中対立の原因の一つになったのだろう。

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2019/09/blog-post_78.html

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12615863570.html

 

5)最新のICチップは、米国のインテル、韓国のサムソン、台湾(メディアテック)などでのみ製造でき、中国本土では作れない。MOTOYAMA氏は、それが製造出来るようになるには数年かかるので、それらとの取引から締め出されたなら、今後ファーウェイでは5Gのハイスペックスマホは作れなくなるという。

(8月13日、5:10一部編集)

的に5Gのハイスペックスマホは今後ファーウェイでは作れなくなるという。

 

2020年8月10日月曜日

新型コロナ肺炎についての二つの話題;ハイドロキシクロロキンはSARSの特効薬だった他

1)再びハイドロキシクロロキンが脚光を浴びるのか?有害説はワクチン利権で流された?

 

香港から米国に亡命したウイルス学者の閻麗夢博士は、中共の高官は新型コロナ肺炎(COVID-19; 以下新型コロナ)の予防のため、ヒドロキシクロロキンを服用していることを明らかにした。https://www.youtube.com/watch?v=umK0_TFS7l4

 

更に、ヒドロキシクロロキンは2005年のSARSに非常に効果があったことなどから、これを何故新型コロナの治療に使わないのか不思議だと言っている。ヒドロキシクロロキンの効果は、偽の臨床データにより隠されているようだ。上記引用動画は8月8日に大紀元によりアップされた。

 

閻麗夢博士は、一流の学者であることの他、新型コロナ肺炎に関しては世界的なので、上記は一考に値すると思う。最後のブログで書いたヒドロキシクロロキンが有害だとするThe LANCETの論文が利用したデータに、信ぴょう性がないとしているのである。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/05/blog-post_24.html

 

韓国では、Korea Biomedical Review に掲載されているように、新型コロナ治療のガイドラインの中に取り入れられている。韓国の低い致死率は、ヒドロキシクロロキンの効果再を示している。http://www.koreabiomed.com/news/articleView.html?idxno=7428

 

ワクチンが仮に出来たとしても、抗体依存性感染増強(ADE)により、反って酷い状態になる可能性もある。もう一度、中国などで数十年ウイルス病治療使われてきたというヒドロキシクロロキンを、対策の一つとして考えるべきではないだろうか。ヒドロキシクロロキンを有害だと攻撃する論文には、その服用を勧めたトランプ大統領に対する反感が背後に隠されている可能性がある。

 

この件、真実は閻麗夢博士の発言の通りである。有害説は、ワクチン利権とも関係があると、水間条項TVは放送している。https://www.youtube.com/watch?v=4njsNHgb4xw&t=4s 

 

2)日本で新型コロナの集団免疫が成立しているという珍説

 

日本は、新型コロナウイルスの第二波に慄いている。入院加療を要する人数も過去最高になり、死亡者も今後再び大きく増加する日が来るだろう。そんな中、日本は既に新型コロナ肺炎(COVID-19、以下新型コロナ)の集団免疫を得ているという珍説を持ち出している人がいる。

 

元自民党議員の松田学氏である。この方は、4月に13日のチャネル桜の動画で、同級生の東大医学部卒の臨床医の考えだとして、新型コロナを非常に軽視する発言を行っている:https://www.youtube.com/watch?v=TDnyYYtTd4Q

 

①「新型コロナによる被害とされているケースには、土着のコロナウイルスによる風邪が重症化したケースがものすごく多いと思う」を紹介している。② PCR検査は新型コロナの病原ウイルス(SARS-C0V-2)に厳密な選択性を示さないと考えられ、土着コロナウイルスによって陽性になる場合も考えられる。最近、芸能人やスポーツ選手にたくさん陽性者が見つかるのは、土着ウイルス(通常の風邪のウイルス)が検出されているだけです。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/04/blog-post_15.html

 

今回は、土着の風邪という話への言及は避けて(或いは、忘れて)、日本人は既に新型コロナに集団免疫を達成しているという主張をしている京大の上久保靖彦氏を招いて、新型コロナは放っておくべきだという考えを、youtube動画で配信している。https://www.youtube.com/watch?v=Mr05_0_OkD4&t=1160s

 

上久保教授は、昨年10月ごろに、新型コロナのS型が日本に来て、既にその集団免疫を獲得した。その後、K型が中国から大量に持ち込まれ、その集団免疫も既に獲得した。その結果、武漢で発生し、欧州で猛威をふるった強毒性のG型が、日本では流行らなかったというのである。それも患者の免疫検査などの実地調査は一切やらず、新型コロナの疫学データと自分のモデルの数式(再生産係数などをもちいた線形計算式)で導いた結論である。

 

集団免疫をつける方針は、スウェーデンが高齢者や基礎疾患の人は隔離した上で行った。しかし、3月に始まった流行から5ヶ月間たっても、未だ大量の感染者を出している。つまり、集団免疫達成は、それほど簡単ではない。K型が1−2ヶ月で日本に集団免疫を植え付けたとか言うのは全くのインチキに聞こえる。

 

松田学氏の新型コロナ肺炎の軽視は、経済優先すべきという姿勢とは思えない。何故なら、国益を新型コロナと経済活動という二つの変数の関数として考えている形跡は全くないからである。それよりも、日本の新型コロナ被害に対する中国の責任を無視すべきという政治的プロパガンダのような気がする。断定はできないが。(9時15分、編集あり)

 

1)のタイトルに一文追加; 1)の最後に水間条項TVの解説を引用。(8月10日追加)

 

2020年8月7日金曜日

核兵器は国際政治の形を変えたことを知るべき

1)核廃絶を直接的に訴えるのは宗教行為である

 

昨日の「核廃絶の思いを継ぐときだ」という題で書かれた毎日新聞の社説は、核廃絶から遠い現状をうれえる内容である。そこでは、殆ど意味のない批判と称賛を書いている。批判とは、トランプ大統領の核兵器に対する現実的姿勢に向けられ、称賛は被爆者の悲惨な体験を国連で語るなど、核廃絶を主張する活動に向けられた。

 

トランプ発言は、核兵器の国際政治に関する現実的機能を認識した上での発言であり、その評価はスピーチ全体を国際政治の視点で語るべきである。被爆者の体験談を紹介するのは、核兵器の悲惨さを小学校などで教育する上では良い。しかし、現実の政治を考える立場の人に、核兵器の悲惨さを語る必要はそれほど大きくはないだろう。(補足1) 

 

核廃絶は現実問題としては不可能である。「世界平和のために核廃絶を目指す」という方針は、従って間違いだろう。この75年間、米ソの間でも戦争は起きなかったのは、核兵器の脅威を米ソの指導者達が知っていたからである。少なくとも米ソの軍事衝突が無かったのは、彼らが核兵器の存在を前提に国益を考えたからである。

 

核兵器を高く評価しているのではない。核兵器を手にしたのは人類の運命であると言っているのだ。叶わぬ核廃絶を直接的に叫ぶのは、自分の誕生とその運命を呪う無意味な行為に似ている。核兵器の存在を条件に、国際平和を考えるのが現実的姿勢であり、未来における人類の生存をより確かにするだろう。世界の指導者達はすべて、核兵器の存在を条件に国際政治を考えている。

 

その国際政治の現実の中で核廃絶を訴えるのは、或いは一般人に訴える運動を喚起するのは、核兵器の存在を条件に国際政治を考えている人たちの戦略の一つである。つまり、以前にも書いたが、核兵器の存在を前提に考えるのなら、核保有国はその利益をなるべく独占したい。そのためには、自国は密かに核兵器の高性能化を目指し、他の工業的能力に優れた国々には核兵器を保持させないことを国際戦略としている。(補足2)

 

そのためには、被爆国日本の体験を国際社会で事あるごとに語ってもらい、能力の高い国々、ドイツ、日本、韓国、台湾、等の国に対して、核兵器保持の企みを潰すべきである。実際、米国、ロシア、中国は核兵器の高性能化を目指している。毎年、広島と長崎の原爆の日には、人類すべては原爆投下の被害を思い出すだろう。しかし、それは国際政治において利用されることはあっても、核廃絶には全く役立つことはない。

 

昨日、ロシアのラブロフ外相は、広島原爆の日に合わせて平和記念式典の参列者向けに声明を出し、米軍の原爆投下を「武力の誇示であり、民間人に対する核兵器の軍事実験だった」と批判した。この声明も、被爆者の体験を語っている日本に向けて、何らかの国際政治上の目的をもった発言である。それは、日米の連携を妨害する意図もあるだろうし、米国の対中政策に日本を協力させないための雰囲気作りの可能性もある。

 

2)核兵器による国際政治の変化と理想論の中に巣食う悪意

 

「世界平和実現」という問題の立て方も完全な宗教的行為か、或いは、世界の混乱をむしろ利用する人々の企みの一つだろう。平和というのは紛争のない状態であり、個々の紛争を解決することにより達成される。従って、「平和を目指す」という標語は、偽善者のものである。本来は具体的な「XXの紛争を解決する」で無くてはならない。

 

そのためには、具体的な問題を抱える当事者を特定し、その問題の発生のプロセスを明らかにし、双方の見方の相違部分を明確にすることが最初の紛争解決のプロセスである。その次に、相違部分の解消を試みる。そこに超えられない壁がある場合は、あるところで戦争によって解決するのが、近代の国際政治文化であった。(補足3)

 

しかし、核兵器の出現は、紛争当事国二つともに核兵器を保持する国なら、戦争を出来なくした。そこで、問題解決の時間軸を大きく伸ばし、紛争の範囲を拡大することで、紛争の希薄化を図ることになる。つまり、戦争にチャンスを与えられないのである。(補足3に引用のルトワックの書物参照)

 

その一つは、第三国や国際機構を巻き込む形で地理的に拡大すること、経済や金融、など、より全体的総合的な形に拡散させることで、対立による局所的な圧力の解消を図ることや時間稼ぎをすることになる。この時間軸の拡大、地理的分野的拡大により、紛争当事国の内部変化を含めた歴史の大きな流れのなかで、解消されることに期待するようになった。

 

その一つの例が、米ソ冷戦とその解消である。長時間の対立ののち、ソ連の崩壊という形で冷戦は終了した。しかし、このような解決が何時も可能だとは限らない。今回の新冷戦も、最終的には当事国どちらかの内部崩壊という形を取る可能性が高い。それは現在のところ、米国なのか中国なのか分からない。この問題は、別の機会にしたい。

 

もし、紛争当事国の一方が核兵器保持国であり、もう一方が非保持国の場合、戦争にはならないが、核保持国の一方的な要求に非保持国は従う以外に道はないだろう。つまり、核兵器はそのように国際政治の中で重要な位置を占め、現実に機能している。

 

それは、17世紀に成立した主権国家体制の部分的崩壊を意味している。核兵器の誕生と高性能化により、非核保有国は主権国家としての存立の危機に立たされていること、その危機にどのように対峙すべきか、という難題を投げつけられたことを肝に銘じるべきである。「核廃絶」なんて、叫んでいる悠長な情況にはないのだ。

 

選択肢は現状二つしかない。一つは北朝鮮の取った戦略であり、自前で核保持を目指す道である。もう一つは、主要核保有国の傘下に入り、半ば衛星国的な同盟国として存在する方向であり、それは部分的な主権の放棄を意味する。

 

現在、我が国は米国の傘下に入っている。米国は、主要核保持国の中で、もっとも近代的な国家形態をもつ、世界最大最強の国である。北朝鮮の困難な情況を見れば、更に、中国やロシアといった独裁国との比較を行えば、米国の傘下に入ることが賢明な選択であることは明らかである。

 

この状況で、中国と米国の新冷戦において、日本がとるべき外交方針は、米国を支持し米国の方針に役立つように振る舞うことは言うまでもないが、そのために米中両国の内部情況を出来るだけ深く知る方法を手にいれる必要がある。それは、この新冷戦も何方か一方の崩壊という形で終了する可能性があるからである。

 

崩壊する方は、必ずしも中国とは限らない。中国には共産党独裁という強みがあり、米国には最強の軍事力と世界の金融を支配するという強みがある。しかし、米国には、多民族国家であることと、民主主義政治をとるという二つの弱みがある。今回は核軍縮という視点からの議論なので、これで終わる。

 

補足:

 

1)核兵器の悲惨さは、あの戦争全体の中で評価すべきである。例えば、20歳前後の学生が、片道の燃料だけを充填した飛行機にのって、敵戦艦に体当たりするために空母から飛び立つ姿の悲惨さ、その特攻隊の若者の笑顔の集合写真などを含めて、総合的に評価する際の一つとすべきである。https://www.chichi.co.jp/web/20191211_simahama/

更に、もっと遡って、あの戦争の原因は何だったのか? あの時代のアジアは、そして世界は? その全ての歴史の中で考えるべきである。敢えて例え話を書く。名作映画の一場面を紹介することに意味あるのは、殆ど全ての人がその映画全体をよく知っている時である。我々日本人は、日本政府の隠蔽により、あの戦争の全容は殆ど知らない。江戸時代末期からの近代史を一応学ばなければ、あの戦争は全くわからない。核廃絶を叫ぶ前にするべきことは、その日本の近代史の学習である。

 

2)オバマ米国大統領は2016年5月27日、広島を訪問し核兵器廃絶を訴えた。その一方、同年1月オバマ大統領は30年間で一兆ドル(年間平均で3兆円以上)を投資して、核兵器の更新を計画した。https://business.nikkei.com/atcl/report/16/040400028/060800007/?P=4

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2016/08/blog-post_6.html

 

3)この事に言及したのが、エドワード・ルトワックの「戦争にもチャンスを与えよ」という本である。尚、「戦争は外交の一形態である」は、クラウゼヴィッツの戦争論の中の一環した見方である。

2020年8月6日木曜日

日本の防衛に中国や韓国の理解、了解、了承、許可が必要か?(雑談風)

自民党は、敵領域内軍事基地の攻撃能力保持に関する提言を、4日午後に行ったようだ。その提出前の時刻に、河野太郎防衛相の閣議後の記者会見があり、そこでその提言に関する質問があった。

 

「今朝方、政調審議会(補足1)の方で、ミサイル防衛に対する提言がまとまりまして、相手国領域内でのミサイルを阻止する能力の保有の検討を求めている内容なのですが、午後政府に提出されるということですが、防衛省として、どのように提言を受け止めて、検討を進めていくか、改めて、お考えを教えていただけますでしょうか。」

 

それに対して河野防衛大臣は、「イージス・アショアの代替策について、そして、新たなミサイルの脅威に対応できるようにどうするか、政府としてもしっかり検討してまいります」と答えた。

 

それに続いて、東京新聞の上野実輝彦という記者から、事実上の「敵基地攻撃能力」保有の検討を政府に求める自民党の提言について、「中国の理解を得られる状況ではないのでは」と問われ(補足2)、「中国がミサイルを増強しているときに、なぜ了解がいるのか」という若干怒気を含む発言があった。https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2020/0804a.html 

この件、youtubeで多くの人に取り上げられ、話題になっている。

 

 

 

==== 以下付録の雑談 ====

 

1)この質問と答弁における日本語の解説:

 

「周辺国の理解」を「周辺国の了解」と解釈しての防衛大臣の答弁だが、この場合「理解」は「了解」と同意義である。この日本語特有の曖昧さを含む質問と答弁であるが、質問をした人は恐らく非常に「理解力」に乏しい人か、中国から給与がでているかのどちらかだろう。

 

河野太郎大臣は語学に堪能なので、理解=了解として正しい文意がとれたのだろう。質問者も“好意的”に解釈すれば、自分が何を質問しているのかさえ、わかっていなかったのかもしれない。理解は、単に「意味が判る」という意味だが、「理解を得る」という風に、得るをつけると、その「理解」は「了解」に等しく、了解は「了承」及び「許可」に等しくなる。

 

理解の「理」は「理にかなっている」という意味の「理」である。「解」は「解けている」(=ほぐれている)という意味である。つまり、「理解」は、ある複雑な件の理由や事情が「ときほぐれている」ことを意味する。

 

また、了解と了承は殆ど同じ意味で用いられる。これらは、「許可」という言葉を使いたくない場合、同じ意味を柔らかく言う場合に用いられる。言葉の硬軟に特別に広い範囲があるのは、日本語の特徴である。(補足3)東京新聞の記者の質問は、硬い言葉を用いれば「日本の防衛システム整備計画は中国の許可を得ているのか?」である。防衛大臣は、それを直ちに“理解”し、「何をアホな事を言っとる」と反論した。

 

尚、了解の「了」は「終わること」を意味し、「解」は上記のように(ほぐれている)という意味である。従って、「了解を得る」は相手の理解の確認が済んでいるという意味である。相手が、その件を通常自分の利益に反すると予想される上位者なら、この「了解を得る」は「許可を得る」に等しくなる。(補足4)

 

2)千年経っても”ブラッシュアップ”されない日本語について

 

漢語の導入により、日本語の言語空間が整理されていない学者の書斎のような状態にある。それにも拘らず、或いはそれ故に、議論を嫌う傾向が強い。またその言葉を使う場合でも、解りにくい言語の共通理解を得るよりも、英語など外来語を使う方が簡単な場合が多い。(補足5)

 

勿論、他の言語例えば英語の場合にも、同様の複雑さはあるだろう。しかし、日本語と違って、言語の共通理解は、常に議論の習慣で達成されている可能性がたかい。(補足4)

 

 

補足:

 

1)自民党政務調査会の決定機関として政務審議会が置かれる。構成は政務調査会長と同副会長である。(ウィキペディアの記事を借用)

 

2)東京新聞上野記者の質問は、以下の通り。

「関連でお伺いします。安全保障政策の見直しに関して、自民党提言にあったような相手国の領域でのミサイル阻止能力を検討する場合はですね、周辺国からの理解というのは重要になってくると思われますが、現状では特に中国や韓国といった国からは、防衛政策の見直しについて、十分に理解を得る状況ではないようではないかと思いますが、防衛政策の責任者として、現状の認識と、今後もし理解を得る際に、必要だと思われることがあればお願いします。」https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2020/0804a.html

 

3)日本は、井沢元彦氏の本にあるように、言霊の国である。言葉は大衆の道具ではなく、神仏のものである。一旦口に出した言葉が否定された場合、人格が否定されるので、話はしない方が無難である。日本のあちこちに標語が溢れているのは、なるべく話したく無いからである。つまり、「沈黙は金、雄弁は銀」である。

https://www.contact.co.jp/blog/index.php?/archives/532-unknown.html 

 

4)「理解する」は英語のunderstandである。前半のunderは「下で」くらいの意味で、standには立つ又は耐えるという意味があるので、「自分に不利でも下で耐える或いはポジションを変えない」くらいの意味だろう。「理解する」と「その下で我慢する」は、現実的には非常に近い意味がある。

尚、語源辞書には"comprehend, grasp the idea of,"などとゴタゴタ書いてある。https://www.etymonline.com/search?q=understand 

 

5)企画書などを議論するとき、スキームとかロードマップとか外来語を多用しがちである。新型コロナ肺炎の話で、クラスターとかオーバーシュートとかいう言葉を抵抗感なく使っている。モラハラ、セクハラ、コンセプト、チェックなどなど。

これらに日本語訳として漢語表現は存在する。しかし本質的な話をすれば、古代日本人にとっても現代日本人にとっても、どちらも外国語なのだ。(コンセプト=概念、どちらも外国語なのだ。)

2020年8月5日水曜日

米国の対中姿勢に関する日本の新聞記事について

昨今の新聞記事は、新型コロナ肺炎と大雨災害に関するものばかりであった。辟易としているところに、昨日かなり本格的な国際情勢に関する記事が、購読している毎日新聞にも掲載された。(補足1)内容は、継続的にブログに書いてきた米中対立に関するものであり、興味をもって呼んだ。日本の新聞をどのように読むべきかという点を含めて、その要約と私の考えを記す。

 

1)毎日新聞の「対中包囲網:困惑と思惑」という記事

 

昨日朝刊の毎日新聞三面トップに表題のような記事が掲載された。「米中対立が先鋭化して、両国と安全保障及び経済の両面で関係の深い日本や東南アジア諸国を困惑させている。世界の二極化に対抗する動きが今後出てくるのだろうか」という導入部で始まっている。

 

主要部は、副見出しが、「日本:米国寄り迫られ」(青木純氏)と「インド:距離おき第三極」(松井聡氏)の二つに分かれている。()内の指名は執筆者だろう。視点は、現在の視点のみであり、毎日新聞が見た世界の政治的表面についての観測である。予備知識の想定や問題発生の背景についての記述はここには無い。副題「新冷戦、揺れる世界」及び南シナ海を中心にしたここ二ヶ月ほどの軍事的動きの要約が、地図とともに掲載されている。

 

日本の部分については、「日本は日米同盟を基軸としながら、中国とも協調する従来方針を維持する“両睨み”の外交戦略を描いてきた。だが、米中対立が“極めて異例なレベル”(外務省幹部)まで激化する中、徐々に米国よりの立場を取らざるを得なくなっている」と書いている。それに続いて、王毅外相の「主要な力を相互利益の協力に集中すべきだ」という言葉と会談相手の茂木外相の「日本は両国の協力関係を深めたい」と応じたとある。

 

この部分“極めて異例なレベル”は、米中関係に関する歴史的且つ必然的方向だという理解がない。(補足2)そう言った外務省幹部が居たとすれば、「異例」の意味をもっと聞くべきである。その後の、“徐々に米国寄りの立場を取らざるを得ない”という自分の運命の流れのような記述には、日本の意思は何もない。その外務省幹部に聞いたのかどうかもわからない。ただ言えるのは、毎日新聞が現在の日本の姿をそのように見たいのだろう。

 

インドに関する部分については、「民主主義国の新たな同盟が作られるときかもしれない」というポンペオの考えに、ジャイシャンカル外相の発言として「我々は同盟のシステムの一部になったことはないし、今後もならないだろう」を引用する。加えて防衛大准教授の伊藤融という方の考え、「インドにとっては、米中が適当に対立している情況が好ましい」を、インドの基本的姿勢と書いている。

 

米中対立激化の中での将来の方向として、“インドシンクタンクのベテラン研究員”の言葉、「インドは従来行ってきた日米印の海上共同訓練マラバールにオーストラリアを招いて、4ヶ国での軍事面強化を目論んでいるが、中国の反発を考えると、連携強化はそう簡単ではない」を引用している。そして上記伊藤氏の言葉、「ロシアやフランスとの第三極を形成し、多極化を目指す可能性が高い」という言葉で締めくくっている。

 

2)記事の解釈:

 

上記毎日新聞の記事は、安倍総理によって提案されたインド太平洋構想のようには、世界は動かないという見方である。つまり、対中包囲網が出来るのではなく、米国中心の世界の動きは成長せず、世界は多極化の時代に入ると見ることも可能だという意味だろう。

 

しかし、まともな報道機関なら、問題の原点を考えるべきである。対中包囲網は単に中国いじめではなく、中国人民と中国共産党政権を明確に区別し、その後者に対する包囲網であること、それは言葉を替えれば「民主主義と独裁主義の対立」である。事情を殆ど知らない大衆向けの新聞メディアであるから、導入部にはその問題の本質を隠さず書くべきである。

 

毎日新聞は記事を書く際、現職例えば外務省幹部(日本)や外務大臣(インド)の発言と、民間人(学者や研究員)の発言を引用する際(引用する際)、何らかの区別をしているのだろうか? 現職は、公式見解を述べ、民間人は本音を述べる可能性が高い。

 

また、その発言をどういう意図でしたのか、それを書かないで発言者の氏名を併記して書くのは好ましくない。発言者に、印刷前に記事を送り了承を得たのなら、その旨も書くべきである。

 

専門家から意見を貰った場合、その鍵となる言葉の意味とその意見全体の意味を自分で解釈をして、自分の考えを書くべきである。最後に執筆者の名前が引用されている今回の記事の場合、尚更である。

 

私は以下の様に思う。インドは静かに問題の本質を考え、如何にして中国からの反発を避けながら、日米豪の海軍の輪に加わるか、ロシアやフランスと協力して三極目を装って、如何にして米国中心の極の支店的なものを作るかを考えている。つまり、スウィングしていても、片方を見る目と、もう一方を見る目は全く異なるだろう。三極といっても、次の次を狙う三極ではないだろう。

 

毎日新聞の記事は、米国の呼びかけは結局失敗或いは挫折に終わるであろうと、日本国民を洗脳するためなのかと疑わせる記事である。毎日新聞の記事の内容を殆ど変えずに、文章の語尾を少し変えるだけで、上記私の考えのように文章を変えることは可能だろう。それは、毎日新聞の記事内容とは全く逆を意味にする。

 

私は、最終的には中国共産党政権は崩壊すると考える。そして、これまでメディアにも完全に無視されてきた農村戸籍の人たち、ウイグル、内モンゴル、チベットなどの辺境の民なども、中国の都市戸籍の人たち、更に1億に満たない共産党員の人たちなどと、平等の地位を得るようになるだろう。

 

このような記事を書く場合、本来なら社説や解説記事などの形で、多数の視点の羅列の他に、この新聞の読者を含めて、日本国民の将来に利益になるように、日本が取るべき方向と考えることを明確に書くべきである。

 

しかしそのようなものは一切ない。つまり、日本国民が持つべきインテリジェンスが見つからない記事である。この記事は、中国の意向を相当汲んで書いたのだろうと私は推測する。

 

補足:

 

1)毎日新聞購読は、ただ折り込まれるスーパーの広告などを目的にしている以外には、日本の新聞の報道はどんなものかを知るためである。

 

2)米国がもたらした異例なレベルの米中関係に関して、例えばポンペオ国務長官のニクソン記念図書館でのスピーチなどの紹介があるべきだが、米国高官と日本外務省との話し合いの記載は全くない。”異例なレベル”とは何なのか、大衆紙であるから、その一般読者にこの言葉だけでよいのか? そのような配慮は全くない。しかも、”異例”は日本語の感覚では、良くない意味を持つ。

 

2020年8月3日月曜日

日本は生贄の羊か: インド太平洋連合という誘惑(II)

何時も貴重な中国の情報を発信しておられる、妙佛DEEP MAXさんの最新動画も、最近話題のニクソン図書館でのポンペオ演説である。その内容は、これから米国は中国を徐々に締め上げるだろうという、よくわかるパターンの話である。

 

https://www.youtube.com/watch?v=ow9moG60tdg

 

ネットでは、中国共産党政権が1991年のソ連崩壊のときに、それに続いて崩壊すべきだったという人もいる。その時、ソ連と米国の関係は今の中国と米国の関係とは随分違う。対立して相手が滅べば、自分は利益となる関係だった。しかし、今、中国に与えた一撃が、米国自身にも痛みを与える関係である。

 

新型コロナで失業者が溢れ、失業保険も7月いっぱいで途切れた米国である。先ず、その経済的困難にも関わらず、ポンペオの言ったような把握を米国民はできるだろうか?そもそも、「豊かになれば民主化の方向に進むとおもっていた」とは良く言ったものだ(シャーシャーと)。それは究極の建前論ではないのか?そんな建前論に賛同して、「バスに乗り遅れるな」なんて、ちょっと軽薄ではありませんか? 

 

米国支配層の本当の腹の中は、「中国の巨大な良質な労働者を支配する共産党政府と結託して、大儲けしようではないか。それをグローバリズムという名前で呼ぶとカッコ良い。そのモデルが使える国が他にあれば、それをその国にも適用できるので、その命名はまんざら当たっていない訳ではない」ということだった筈。

 

中国を民主化するというような話が仮にあったとしても、その民主化とはカラー革命と同レベルの形式論だろう。つまり、何事でも利益にならないことを米国はやる筈はない。きれいな建前論でことが進む時、裏に利益を産む構造がなければならない。それは、ウイグル人の救出でも、香港の民主化運動支持でも、同様だろう。

 

米中の或いは、米国を中心とする民主国と中国とのデカップリングだが、容易ではないだろう。中国共産党内部での政権移譲がなされ、例えば一帯一路を放棄したと宣言した時、米国はどう反応するのか?借金漬け外交はやらないと宣言すればどうか? 今、一番話しを聞きたい人は、米国にいる伊藤貫さんである。日本の政治家の誰かが伊藤貫氏と約束をとって、ニューヨークに出かけるべきだ。

 

中国共産党の本質は知りながらでも、「新型コロナによる経済の疲弊もあるので、デカップリングという概念は残して、この辺りで世界経済の立て直しにこそ、向かうべきだろう」という話になったとき、再び太平洋の米中二分論という話が蘇るだろう。

 

現在、最も大事な分析は、経済の低迷がどの程度のものなのかである。そこで、デカップリングができる可能性があるのか? 新型コロナの被害はどの程度続くのか、米国の政治がそれに耐えられるのか? 米国の労働者のかなりの部分から失業と貧困による悲鳴が聞こえたとき、政権交代と政治姿勢の変換が予想される。

 

ポンペオの原則論で政治が決まるわけではない。バスに乗り遅れるな論は、非常に危険である。

(以上)

日本は生贄の羊か: インド太平洋連合という誘惑

世界の政治は、中国共産党独裁政権と米国を中心とする民主国の”緩い連合”が対立している情況にある。民主国の連合は、所謂ファイブアイズの国々、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス、アメリカを中心にして、台湾、インド、日本などが含まれるだろう。更に、その外側にEU諸国など、民主主義の国々が取り囲んでいる。

 

中国共産党政府が何らかの形で関与する、世界に広がった新型コロナ肺炎(COVIS-19)に、民主主義各国の政治は揺らぎ、経済は恐慌に向かっている可能性が高い。その一方、生物に例えれば、明確な意思と強力な四肢を持つ中国共産党政府は、世界制覇の意思を明確に持ちながら、冷静に世界を眺めている情況だろう。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12611298914.html

 

マルクス、レーニン、トロツキーなどの共産党の思想は、スターリンから毛沢東に向かって地理的民族的移動により、古い馴染みの形である帝政へと本質が変化したと思う。毛沢東が成し遂げたのは、共産革命というよりも、むしろ古典的な易姓革命だろう。「中国で1億死んだとしても大した問題ではない」も、皇帝の言葉なら理解可能である。帝政の中国では、大衆の暮らしや生命ではなく、政権の持続が唯一の大きな問題である。https://www.photo-yatra.tokyo/blog/archives/219

 

中共の政治と軍事における強靭さは、支配者以外の何者にも囚われないことによる。大衆は、単に洗脳と使役の対象である。一方の民主国では、大衆は(少なくとも表向きは)情報公開と自由と福祉を供与する対象である。同じ戦力ならどちらの政治体制の国が、戦いにおいて有利かは火を見るよりも明らかである。

 

民主国の政府の根拠は、浮き草のようであり、少しの経済的困難でも破壊される脆弱性をもっている。国が強くまとまるのには、民主主義を放棄して、全体主義となる以外に方法がない。単一民族に近い場合、それは可能かもしれないが、複合民族の米国は、国家が「迷走・分裂」する方向に進むだろう。日本の政界に親中派が存在する原因の一つは、この米国政治への不信感だろう。

 

現在、日本の尖閣諸島は風前の灯火である。7月24日に尖閣占領が近い旨を内容とする記事を投稿したが、将にそのように情況は悪化している。その記事を再投稿した際(結局消去した)、「闇のクマさん世界のネットニュースch(以下クマさんch)」の動画を引用した。その動画では、一刻の猶予もないという切迫した声が聴かれた。https://www.youtube.com/watch?v=ekoKDGvI3lY

 

動画は、敵を先制攻撃出来ない海上保安庁や自衛隊の人たちの命は、最初の一撃で海の藻屑となって消える可能性がある。その一撃を待ってしか反撃できない現在の政治体制、つまり日本国憲法を改正しようと呼びかけている。しかし、それは間違いである。何故なら憲法は、熱狂や発狂して、戦争するために改正するものではない。戦争防止のためにこそすべきである。

 

その時には、憲法を改正した上で核武装もすべきである。それは、中国共産党政府に野心を捨てさせる。この重要な日本の政策変更は、平時に達成されなければならない。それが、中国の方々と長期に亘って平和な隣人関係を樹立するための最良の方法である。その時、日本に協力しないのなら、米国は最悪の同盟国で”敵国同様”である。

 

米国は日本の自衛隊が防衛戦闘に入れば、安保条約により参戦すると言明している。それが抑止力となって、中国は戦闘で尖閣を奪い取ることが出来ないでいる。そこで、避難を装って漁民を大量に島に送り込み、軍はその救助という名目で島に上陸するだろう。

 

何も出来ない日本の自衛隊は、遠くから眺めるしか無いだろう。そこで米国は中国と直接的軍事衝突を避ける事が出来て、ホッとするだろう。その代わり、日本では米国への不信感が募るだろう。何故なら、7月24日の記事に書いたとおり、東シナ海で日米が合同演習をしておれば、尖閣の中国による占領は防げたからである。

 

 

2)インド太平洋構想

 

同じyoutuberによる直前の動画は、“安倍総理が日本をリーダーにした”というFinancial Times の記事を、誇らしげに紹介する記事である。オーストラリア国立大の国家安全カレッジ (NSC) の長であるロリー・メドカーフ教授の文章である。確かに「自由で開かれたインド太平洋」は、2016年TICAD VIで安倍首相が提唱したものとされる。

 

そこに私は以下のコメントを書き込んだ:”インド太平洋構想の提唱にたいして褒めているのでしょうが、もう一つ、「我々の対中包囲網をゆめゆめ忘れてくれるなよ」という意味でしょう。”

https://www.youtube.com/watch?v=4fw_H2Sc17A&lc=z23nh52hgviwulsxb04t1aokg03nuxxnwewttv5ckm11bk0h00410

 

現在世界は、超限戦を厚黒学で戦う中国共産党政権と、従来のディープステート支配の米国ではなく、孤立主義の考えを持つトランプ政権が対峙している。トランプの米国は、大統領は未だにトウモロコシや大豆の売上を考えている。そのトランプがリーダーとなる対中連携は、国務長官が勇ましく演説するものの、脆弱に見える。

 

新型コロナ被害の責任も問われ、政権への不満が高まっている。米国は世界一の軍事力と、世界の金融を支配するが、期限付きでトップが交代する政治体制では、結局たいしたことは出来ないだろう。11月には親中派のバイデンが当選する確率が高い。経済復興を優先するという理由で、中国との関係修復に動くだろう。

 

民主党とウォール街の支配する米国は、崩壊への道にロックインされているだろう。変人が出てきたことで、アンロックされる可能性もあったが、伝家の宝刀(下の動画参照)により鍵は破壊されたと考えられないだろうか?

 

 

https://www.youtube.com/watch?time_continue=5&v=6Af6b_wyiwI&feature=emb_logo

 

 

息子のハンター・バイデンは、ほとぼりの冷めたころに、ウクライナで味をしめたように、例えばアリババかどこかの役員になって月給1000万円程度を遊んでもらうだろう。米国民衆は、中国の知的所有権侵害とか、ウィグルや香港での人権無視など、そんな話もあったかな?程度に忘れるだろう。

 

英連邦諸国の5ヶ国はそれなりに同族意識もあり、明らかな相互協力体制にある。しかし、日本国は、付け足しの同盟国として、それに続いている。上記Financial Timesに掲載されたRory Medcalf 教授(補足2)の褒め言葉を意地悪く解釈すれば、この5カ国だけではトカゲの尻尾きりの尻尾がないことに気づいたという解釈も可能である。

 

カッコよく言えば、日本やインドを加えて、インド太平洋機構という大きな枠組みを作りたいので、褒めたら喜ぶ自意識過剰の日本人の性格を知ってか知らずか、安倍総理を神輿の上に載せたのである。何れ、これらの国も中国との関係修復がなされる可能性があるので、その時の保険として。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/06/blog-post_13.html

(16:25;一部改訂)

 

補足:

 

1)民主主義とは、その程度の弱い国家制度である。自分の富(豊かな食事)のことしか考えない知性の統合では、この複雑な世界の中で生き残る国家を築くことなど出来ないだろう。

https://www.youtube.com/watch?v=tQlzF7wHWqw&t=79s

 

 

2)TICADとは,Tokyo International Conference on African Development(アフリカ開発会議)の略。また、ロリー・メドカーフ教授は、最近Indo-Pacific Empireと言う本を出版している。

2020年8月1日土曜日

中国の官製不動産バブルとその崩壊

中国は今、深刻な失業問題と経済の失速に直面している。しかし、NTDTVJPの昨日の動画では、不動産市場は上向きで、価格は上昇を続け、投資家が殺到しているという。この不可解な現象にスポットライトを当てる。

 

1)NTDTVの放送内容:

 

中国不動産市場は新型コロナ(疫病)流行により、2月に停滞したが、3月に再び熱を帯び出した。疫病(新型コロナ)のため1億人近くが失業し、米中貿易戦争や国際状況の変化により、業界ではこの不動産ブームは持続しないと考えられてきたが、大都市の不動産価格は上昇をつづけ投資家が殺到している。(補足1)

 

中国メディアは今年3月16日に深圳万科星城がオンラインで売り出した4棟288室がわずか7分間で完売となったと報じた。その後万科星城が販売した5棟も17日に完売した。深圳でのマンションプロジェクトの住宅選択抽選資格を得るため、9000人近くが一人100万元を支払ったという。

 

この不思議な不動産ブームは今や全国に波及しているという。その理由の一つとして、中国の通貨発行量の増加が考えられる。中国政府は1月1日より預金準備率を引き下げて、現在まで10兆元以上が投入されたという。メディアが不動産市場の再燃を報道し続けた結果、そのほかの都市でも不動産ブームとなっている。

 

欧州天鈞政経シンクタンクの任重道研究員は、「この不動産ブームは、地方政府と銀行とディベロッパーが利益を上げる構造である」と言っている。地方政府は、土地価格の上昇が地方債の発行根拠になるからであり、銀行やディベロッパーの受益は言うまでもない。

 

また、「一部の不動産購入者は、ディベロッパーが人を雇って、不動産熱を煽っていることがわかっていて、その流れに便乗しているという。なぜなら、政府が不動産市場の下落を望んでいないことを知っているからだ」と語っている。

 

しかし、深圳が全国的な不動産価格の引き上げを主導したあと、7月15日に深圳市住建局が中古不動産の取引を規制した。任重道研究員は、「中古不動産市場を凍結するのは、中古不動産市場が伸びれば儲かるのは中古所有者だけだが、新築市場が賑わえば、上記3大受益者が潤う」と解説する。

 

この不動産投資でローンを組む結果、中国の世帯負債比率は57.7%と過去最高になっている。米国ゴールドマンサックスの調査では、2019年中国の住宅業者と開発業者の保有総額は52兆ドルとなっているという。米国債券市場全体の額を上まっている。

 

2)私の考え:

 

NTDTVの放送内容の内、青色で書いた「欧州天鈞政経シンクタンクの任重道研究員」と言う方の言葉には、一定の注意が必要である。①の「政府が不動産市場の下落を望んでいない」と、②「中古不動産市場の凍結」は矛盾するからである。(補足2)

 

重要なのは、現在の中国の不動産バブルは官製だということである。中国政府がメディアを使って不動産バブルを起こしている。情報を知っている富裕層共産党員は、そのバブルを煽ることと、高値で売りぬけることで儲ける。上記任重道研究員という官吏の言う三大受益者は、全て末端ではない共産党員または本質を知る知恵者だろう。

 

何時かは不明だが、不動産価格の暴落が起こるだろう。新築物件の価値上昇がやがて崩壊するバブルではなく、本質的なものに見える様にするには、中古市場での価格上昇が必要である。中古市場の凍結は、この官製バブルは崩壊させる予定であることを白状したようなものである。

 

ここで、世帯負債比率という言葉だが、この言葉は非常にわかりにくいが、世帯の貯蓄額をその負債額で割った値なら、日本の平均は28.2%である。高いところでは、中国での平均として紹介された57.7%に近く、57%を超える都道府県も存在する。https://todo-ran.com/t/kiji/21382

 

下図は、21世紀はじめ(2001-2005)での主要11ヶ国の1世帯当りの金融資産、実物資産(不動産や貴金属などだろう)、負債の対総資産割合を示したものである。https://www.nli-research.co.jp/files/topics/37300_ext_18_0.pdf

 

この図では、負債/金融資産の値は、デンマークで200%以上、ノルウェーやスウェーデンでも100%を超える。従って、57%はそれほど大きな値ではない。ただ、もし総資産に対する負債の割合なら、デンマークの40.7%が最高であり、57%は不健全なレベルで高いことになる。NTDTVの語りでは不健全なレベルで高いと言うニュアンスなので、そこでの”世帯負債比率”は総資産に対する割合だろう。

 

もし、負債が総資産の57.7%なら、実物資産である不動産がバブル崩壊で価値が崩落すれば、金融資産はすべて負債返済にまわり消えるだろう。つまり、民間人一般が持っているお札(人民元)は、全て上記「地方政府と銀行とディベロッパーが吸い上げることになる。

 

これら三者はすべて中国共産党政府の支配下にあると考えれば、6月25日に投稿したある中共政府の内実を知る人の予測として書いたこと:「米中隔絶の下での中共政府の対策と個人のあり得る対策」に一致する。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12606678556.html

 

 

①お金は政府が配った紙切れで、政府が認めれば使えるが、政府が認めず別の紙切れ切り替われば使えなくなるので、政府の新札発行に注意すべきだ。それまでに、現物(外貨、金など)に替えるべきだ。

 

また、②国民の財産(金融資産)は、政府の負債だ。政府が負債を減らしたいと思えば、株式市場を操作し、株価を暴落させる、或いは、不動産を暴落させる、などの手段がある

これからのことを良く考え、お金は現物に替えるか、外貨に替えるべきだ。

 

なお、米中隔絶(つまり、中国との経済のデカップリング)は、中国習近平政権も真剣に警戒している。(補足3)

 

バブルはやがて崩壊する。中国の不動産価格も崩落する。それは既に政府主導で開始されていると思う。その結果、すべての紙幣は中国政府に戻る。似た現象があったような気がする。最大の力を持つものは、世界を定期的に混乱に持ち込んで、お金を集めることが可能である。

(以上は、一素人のメモです。)

 

 

補足:

 

1)北京週報というメディアの昨年9月の記事(下のサイト)に、「炒房(住宅投機売買)」はここ十数年の間に中国で新たに生まれた言葉で、中国の都市部における住宅商品化にともなって登場した」とある。

http://japanese.beijingreview.com.cn/nation/201909/t20190917_800178656.html

 

中国では、マンションを住むために買っているのではなく、投資のために買っている富裕層が多い。その結果、ゴーストタウン化した住宅街があちこちに出来る。中国ではそれを「鬼城」と呼ぶ。 https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/101059/080300060/

 

それでも尚、再燃した住宅バブルに人は金をつぎ込む。政府が金融緩和したことと、中国人は政府の発行する紙幣を信用しないからだろう。金融緩和は、不動産バブルの呼び水だった可能性がある。つまり、官製バブルその官製崩壊である。

 

2)人民元にたいする信用が失墜することを多くの人が知っているのかもしれない。実物資産の確かなものとして不動産と貴金属があるだろう。不動産の暴騰は、米ドルに交換できないので、人民元を止むを得ず不動産に交換しているのだろう。その場合人民元で利益を積み上げても仕方がない。上海総合の株価も上昇している。金価格の上昇も、中国主導なのだろう。

 

3)習近平(しゅう・きんぺい)は、5月23日、世界2位の同国経済を計画経済の時代に戻す考えはないと述べ、約束した改革を実行していないとの米国の批判に反論した。(新華社)https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-24/QAT4YTDWLU6901

また、7月22日、企業家を集めて、あらゆる手段を講じて市場主体(会社だろう)をしっかりと守り、市場主体の活力を喚起する必要がある。と演説した。

http://jp.xinhuanet.com/2020-07/22/c_139231101.htm

習近平は計画経済に戻る可能性を恐れる企業家を意識しているのだろう。企業家は、政権維持が中国共産党政権にとって中国経済よりも大事であり、中国人民の福祉などより遥かに大事であることを良く知っている。習近平は、その企業家の危機感を知っている。それは、MOTOYAMA氏がyou tube動画で何時も言っていることである。