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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2020年6月13日土曜日

民主主義の国民国家とその間の世界秩序は、20世紀の白昼夢だったのか?

1)ある中国人の方の警告:

 

ある中国人の方のyoutube記事を聞いていて、自由と民主を基本理念とする西欧型政治は、人類の一部に奇跡的に与えられているのかもしれないと思った。それはやがて枯れる花なのか、長く生きる大木となるかは、現在それを享受している人間の考え方次第なのかもしれない。

 

その中国人の方は中国共産党のことを良くご存知であり、このままでは米国が中国に敗退し、世界は中国の独裁支配となると警告を出している。私流の言葉を用いれば、中国は超限戦で戦い、米国は西欧の伝統に従って戦うのでは、米国に勝ち目はないということだろう。https://www.youtube.com/watch?v=E2qb0crsmE0

 

ホワイトハウスは5月20日(2019年度の国防許可法(National Defense Authorization Act)との関連で)中華人民共和国に対する米国の戦略的対応というレポートを出した。

https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2020/05/U.S.-Strategic-Approach-to-The-Peoples-Republic-of-China-Report-5.24v1.pdf

 

上記中国の方に触発されて、そのレポートを読んでみた。かなり長文なので、先ずイントロ部分を読んでみた。

 

2)米国の520報告:

 

全体は眺めただけだが、イントロ部分を読み、念のため全部翻訳した上で再度読んだ。その重要な記述は以下のようなものである。以下、PRCは中華人民共和国、CCPは中国共産党の略称である。

 

①1979年に米国がPRCと国交樹立依頼、米国の対PRC政策は、関係を深めることにより、PRCが経済及び政治において開放的になること、そして、より開かれた社会の建設的で責任あるグローバルなプレイヤーとなることを前提にしてきた。

 

40年以上後になって、CCPの改革に抑制的な姿勢を過小評価してきたことが明らかになった。 過去20年間で、PRCの改革は鈍化、停滞、逆転した。

 

PRCの急速な経済発展と世界との関わりの増大は、米国が望んでいたような市民中心の自由で開かれた秩序へ向かわなかった。 CCPは代わりに、自由でオープンなルールを基礎にした秩序を利用して、国際システムを自国の有利な方向に変形することを企みた。

 

PRCは米国の利益に抵触する存在となったので、今後は中国を競争相手と認識して、中国共産党政権と明確で強力なアプローチを作り上げる。これには、CCPの意図と行動の明確な評価、米国の多くの戦略的利点と不足の再評価、および二国間(に予想される)の大きな摩擦に対する許容度に基づく。

 

PRCに対する競争的アプローチには2つの目的がある。

1つ目は、PRCが持ち出す挑戦に対抗するために、私達の組織、同盟国、パートナーの反発力を向上させること。

2つ目は、北京に米国の重要な(vital)国益および私たちの同盟国とパートナーの同様な利益に対し、有害な行動を停止または削減するよう強制すること。

 

③ただし、(RPCと)競争するとしても、利益が一致する場合、米国は協力を考える。 競争を対立や闘争につなげる必要はない。 米国は中国の人々に対して、深くそして永続的な尊敬を持ち、中国との長年のつながりを重視している。

 

3)その中国人youtuberの考えプラスα

 

中国のその方は、米国の中国研究者や戦略研究家は根本的に中国政府の事がわかっていないと指摘している。その間違いの原因は、中国共産党のことが分かっていないことである。そして、腰が引けていることは、前セクションでの下線部分であきらかである。

 

毛沢東はベトナム戦争でカンボジアなどに戦線を拡大する米国を非難して、「全世界の人民よ、団結して侵略者のアメリカとその全ての走狗(そうく)を打ち負かそう」と題する声明を発表した。後に「520声明」と呼ばれた。トランプ政権は、50年後に毛沢東の声明を意識して、5月20日に上記声明を出した。一応、その覚悟の程が知れる。

 

先ず、中国が豊かになり、それでアメリカに挑戦的になったという考えは間違いであり、中国共産党は50年以上前から一貫しており、力が強くなったから対抗するようになったのではない。

 

トランプはそれが分かっていない。今でも、トランプは米中の戦いと商売とを同時に考えているようだ。そのような曖昧な対応では、EUとの結束もままならないだろう。実際、メルケルは中国での自動車生産をもっと大きく拡大する予定のようである。

https://www.youtube.com/watch?v=E2qb0crsmE0

 

更に、米国のやり方は西欧的価値観という原則の下での現実主義である。また、中国の分析も原点からではなく、西欧文化の視点から行っている。それは根本的な間違いである。現在、世界は西欧の遺伝子で一つの生命体のような政治体制をかろうじて作っている。西欧の遺伝子とは、法の支配、個人の尊厳、自由と平等などである。

 

しかし、中国の遺伝子は全くことなる。中国は、現在も皇帝が人民を支配する国である。上記、法の支配、個人の尊厳、自由と平等などの形式は真似ていても、本質的には存在しない。それは、共産党が政権を失っても変化しないだろう。そこ遺伝子では、皇帝は全世界を支配することで、その目的を完成する。つまり、西欧文化と中国の文化は、同じ空間に共存できる文化ではないのである。

 

米国が西欧の価値観をその戦略の中に持ち込んでは勝てないだろう。最も単純で有効なやり方は、中国のやり方のコピーをすることである。

 

4)補足:

 

この西欧と東アジアの文化の違いは、本質的なものであり、共存は難しい。日本は、明治以降積極的に西欧政治文化を取り入れてきた。それでも、中国と同じ遺伝子が厳然と存在する。もし、西欧の遺伝子で世界全体が辛うじてまとまっているとした場合、東アジアオリジナルの皇帝支配の遺伝子は、ガン遺伝子に類似しているだろう。

 

或いは、人類は20世紀に夢を見ていたのかもしれない。法の下の平等、個の自由と尊厳、及びそれらの節度ある主張などで、世界は平和を維持し、人々は柔和な性質を保つ。それは夢だったのかもしれない。

 

今朝見た及川幸久氏の動画は、米国シアトルにおいて、ANTIFAと思われる団体が人種差別反対の抗議運動を発展させて街の中心部を占拠し、警察を追い出して自治区を作っていると報告している。シアトル警察署長は、「全ての種類の暴力行為が起きているが、私達は中に入る事が出来ない」と言っているという。https://www.youtube.com/watch?v=dho-Z9Lmh0c

 

及川氏の解説によれば、警察の催涙弾使用を禁止したシアトル市長ジェニーダーカン、自治区構築の裏にいるというクシャマサワント市会議員などが、この混乱の中心に居る。彼女ら民主党の政治家らの裏に、何者かが居るようだ。米国を混乱に導いて、トランプ政権を終わらせ、過去20年間の対中国政策を継続させることを目的にしているのだろう。

 

その何者かとは、トランプに最初から敵対してきた1派であり、それが世界を中国の支配下に導いているように見える。中国の習近平に共産主義の世界支配を完成させるためだろうか? 世界に裁きの時を導くためだろうか? 日本文化の中に生まれ育った私には分からない。(終わり)

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