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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2025年6月20日金曜日

トランプは馬脚を現したのか(II) イスラエルの対イラン要求の本質

国際政治を解説するyoutuberの及川幸久氏が、トランプがイスラエルの対イラン戦争に米国を参加させるかどうについて米国で行われている議論を紹介している。

 

https://www.youtube.com/watch?v=gMx7929oud4

 

タッカーカールソンがトランプ大統領にストレートに反対意見を贈ったこと、スティーブ・バノン元首席戦略官(第一次トランプ政権)も反対していることなどが示すように、イラン攻撃への加担はこれまでのMAGA(アメリカ第一主義)政策と明らかに矛盾している。

 

及川氏は、トランプは「イランへの米軍の攻撃を承認したが、その開始についての最終命令を保留している」というところをもう少し考えるべきだと考えているようだ。そして、Gilbert Doctorowというロシア史で博士号を取得した人物の意見を参考のため紹介している。

 

ドクトロー氏は、トランプは良い意味での日和見主義者(opportunist)で、イランとの取引のためにこのような際どい方法をとっているのだと話したという。

 

私はこのドクトロー氏という人物をまるで一流の国際政治学者のように仕立てて、トランプの戦術を話すことに大きな違和感を感じた。ドクトロー氏はロシア関連のビジネスマンとして25年間働いた人物で、氏は単にロシアと未だ問題を起こしていないトランプを応援するために無理な理屈をこねているように見える。国際政治評論も有名なのはロシア関係に限られるように思う。

https://fable.co/author/gilbert-doctorow 

 

そこで、改めてイスラエルの対イラン要求について考えてみる。

 

2)イスラエルそして米国のイランに対する要求とは何だろうか?

 

イスラエルのイランに対する要求とは、イランの核兵器開発の放棄であると言われている。しかし、今年3月の議会証言において、国家情報長官はは現在核兵器を持っていないし、核兵器の開発も行っていないと証言しているので、イランはこの要求に従って久しいことになる。従って、それは国際社会に向けたプロパガンダの一部である。

 

つまり、それが本当の要求なら、そして国家情報長官の証言を信じる限り、イランは既にその要求に応じている。今更、他に何を約束せよというのか? しかし、トランプは国家情報長官のいうこと等気にしないという。これは暴力団が警察や裁判所の言うことなど気にしないという類のセリフであり、これ以上議論することは不可能である。

 

ここでもう少しイスラエルの要求を深読みすると、それは、今後軍事的不安を全く感じないようなイランになることかもしれない。周りを異教徒に囲まれたユダヤ教の国なら、心情としては分からない訳ではない。しかし、それは近代国際社会にあっては理不尽な要求である。

 

つまり、全く毛色の違う人物に対して「俺が全く不安を抱かないようにしろ」ということは、「お前はこの世界から消えろ」ということに他ならない。

 

主権国家体制(ウェストファリア条約の体制)は、相手国の主権を尊重することで互いの存立を確保する体制であり、中世以前の強い国が生き残るという体制下で悲劇を繰り返してきた人類の知恵である。その主権には自国の防衛力の確保も含まれ、それは隣接国には何等かの脅威になるのは当然である。

 

しかもイスラエルは既に核保有国である(6/17の記事参照)。仮にイランが核兵器を手に入れたとしても、核の抑止力で互いが共存可能である。原子力発電所の建設などの核の平和利用も含めて今後の核開発を永久に放棄しろというのは、あまりにも理不尽である。(補足1)

 

従って、イスラエルの要求は、イランが独立国家としての主権までも放棄するということだろう。それは「(この世から)消えろ!」という暴力団の要求である。

 

それでも尚、アメリカ人の大半が反対するイラン参戦に傾くとしたら、トランプは日和見主義であるなら、ネタニヤフのイスラエルの日和を見ているのだろう。これが結局本稿の結論である。この動画について、以下のコメントを書いた。

 

コメント1: トランプの真意は、自分の命を失いたくないということです。トランプは、大統領自身の命の問題は一般軍人と同様プライベートな問題だということを知っているのだろうか?思い出すべきはネタニヤフがトランプに贈ったポケベルの置物です。(イスラエルはヒズボラの戦闘員を彼らのポケベルの中に爆弾を仕組むことで殺害したと言われている。イスラエルも否定していない。)

コメント2:オポチュニストはギルバート・ドクトル博士の方ですよ。ディールには共通の基盤の上で成り立つが、ポケベル(爆発物入り?)の置物を送ってくる人物と共通の基盤は持てない。私は、ジェフリーサックス教授の方が正しいと思う。

 

コメント3:Gilbert Doctorowという人物は国際政治学の方では有名でなく、ロシアの歴史で博士号をとったのち25年間ロシア関係のビジネスマンだったとネットには書かれています。英語版wikipedia にもそんな人物の紹介はありません。

 

補足:

 

1)イランが核施設を建設し、ウラン258の濃縮を行っているのは事実である。ただ、原子力発電のためにもウラン濃縮が必要であることを忘れてはならない。つまり、現在イランが行っているウラン濃縮は原子力発電のためと言える。勿論、原子力発電を行えば、その燃料滓からプルトニウム239を分離することが可能で、それは長崎型原爆の材料となり得る。

 

(15:30 補足1を追加、編集あり)

 

 

2025年6月19日木曜日

馬脚をあらわしたトランプ大統領:


Andrew P. Napolitano氏はニュージャージー州最高裁判事やFOXニュースのニュース解説者などを経て、現在著名なyoutubeチャンネル「ナポリターノ判事(Judge Napolitano)」のホストである。今回はコロンビア大学の教授で世界的に著名なジェフリー・サックス氏(Jeffrey D. Sachs)を迎えて、最近のトランプ米大統領の政治姿勢について議論している。https://www.youtube.com/watch?v=EJv1mS6RryI

 

元の動画は:https://www.youtube.com/watch?v=Un-lkAbGyww

 

先ずこの動画の核心部分から話を始める。

 

ナポリターノ判事はトランプ大統領が独善的&独裁的な人物であることを示すために、カナダでのG7から急遽大統領専用機でワシントンに帰る途中での、ある女性記者の質問とそれに対するトランプ大統領の答えを引用した。

 

その記者は、トゥルシー・ギャバ―ド(Tulsi Gabbard国家情報長官)氏が3月に行った宣誓証言「情報機関はイランが核兵器を開発していないと引き続き評価しています」を紹介し、続いて次のような質問をした。

 

「あなたは常にイランが核兵器を持つべきではないと述べてきましたが、あなたは個人的にイランが核兵器を手に入れるのにどれほど近づいていると考えていますか?」

 

トランプ大統領は「彼女(国家情報長官)が何をいったかは気にしない。私は彼ら(イラン)が核兵器を持つことに非常に近づいているとおもうのだ」と答えたのである。

I don’t care what she (Tulsi Gabbard) said, I think they were very close to having one.

 

国家の諜報機関や情報機関のトップである国家情報長官が否定しようが、そんなことはどうでも良い。自分がそう思うからそれに対する対策を打つのだとトランプ大統領が発言したのである。

 

この話は、米国の幾つもの報道機関も大きく報じている。通信社APの配信記事を引用する:https://apnews.com/article/gabbard-trump-intelligence-iran-nuclear-program-51c8d85d536f8628870c110ac05bb518

 

それを聞いたこの日のゲストであるコロンビア大学のジェフリー・サックス教授は、それがここ数十年の米国大統領の姿であると話す。

 

ジェフリー・サックス教授:

 

これがアメリカ政府のやり方であり、何十年もそうしてきたことだ。トランプ政権だけがそうしているわけではない。2003年頃の有名なインタビューで、ブッシュJrの最高顧問の一人が記者の質問に答えて当時の情況を記者に説明した。そしてその時、「我々は我々自身の現実を作り、君はそれを報道するのだ」と言ったのだ。

 

これが米国政府の見解であり、それはもはやPRに過ぎない。これが米国政府の姿だ。彼らは独自の物語を持っている。それを語るときにはニヤニヤ笑う。真実には全く興味はない。そして最終的に現実を決定付けるのは兵器だと信じている。兵器こそが現実だという考え自体が、真実を作りだすもの。
 

ただ、今回は高官の発言ではなく、大統領自身の発言である。今回のトランプ大統領の発言は、例えば、急いでいたからとか、いつもこの記者の執拗な姿勢に鬱陶しく感じたからなどを理由とする事故的発言だったわけではない。トランプという人物は一事が万事この調子なのだと言うのである。


 

2)ここ数十年の米国大統領の姿について

 

実はこの番組の最初にナポリターノ判事は、公平を期するためと言って、先月のサウジアラビア訪問時の演説を紹介した。ナポリターノ判事を含めトランプを応援してきた人の多くは、以下の演説の一節を聞いて、改めてトランプ大統領に期待したのだった。

 

ナポリターノ判事:

 

先月のサウジアラビアでの演説の核心部分は次の通りです。」(以下は演説でのトランプ大統領の言葉)

 

私たちの目の前で新世代の指導者たちが過去の疲弊した分裂による古き紛争を乗り越え、中東が混沌ではなく商業によって定義される未来を築きつつあります。この偉大な改革は西側諸国の介入によってもたらされたものではありません。リヤドやアブダビの輝かしい脅威もいわゆる国家によって創造されたものではありません。

 

建設業者、ネオコン、或いは何兆ドルも費やして失敗したリベラルな非営利団体など、 カブール、バグダット、その他の多くの都市の発展を期待していたにもかかわらず、近代中東の誕生は地域の人々自身によってもたらされたのです。

 

結局、国家権力者たちは築いた国よりも遥かに多くの国を破壊しました。そして介入主義者たちは自分たちが理解すらしていない複雑な社会に介入したのです。

 

彼らはやり方を説いたものの、自分たちはそれをどうやるかが分からなかったのです。平和、繁栄、そして進歩は究極的には皆さんの伝統を根本的に拒絶することからではなく、むしろ皆さんの国民的伝統を受け入れ、皆さんの愛するその同じ伝統を受け入れるところから生まれたのです。」


 

「サックス教授、彼がまさにその言葉を発していた時、CIA, MI6,モサドは卑劣な準備をしていたと言っても過言ではありせん。 先週、イスラエルがイランに対して行った一方的な攻撃です。」(補足1)


 

サックス教授:「確かにモサドが主導権を握っています。 モサドは暗殺、殺人部隊の筆頭ですが、モサドは何十年にわたって米国の政策を事実上決定しており、トランプ大統領もそれに同調しているのです。」

 

「大統領が次々と暗殺に同調していくのを見るのは実に驚くべきことです。」

 

ナポリターノ判事: 「彼がその言葉を発した時、あなたも私も、そして番組の他の出演者たちも歓喜した。アメリカ大統領がネオコンを非難し、軍事冒険主義と外国への介入を非難した。しかし、それは茶番だった。」


 

サックス教授:「ある意味では、2017年にプーチン露大統領が言ったことは私たちは学ぶべきことだったと思います。プーチンはインタビューに答えて以下のように言った。」

 

私は、多くのアメリカ大統領と接してきました。彼らはアイデアを持って就任しますが、その後黒いスーツにブリーフケースを持つ青いネクタイをした男たちが現れ、世界はこうなるだろうと説きます。そしてその(就任時の大統領の)アイデアは二度と聞かれなくなります。

 

「彼が今日言ったことややっていることは、先月の発言に反しています。トランプ大統領がどう考えているかわかりません。あなたが言ったように政策はCIAMI6と言ったディープステート機構によって統制されているのだ。」

 

ここまででこのyoutube動画の内容紹介を終わります。(なお、話が理解可能なように編集しています。)その後、興味ある話は続きますので、是非視聴してみてください。

 

まとめ: 

 

トランプの支離滅裂な発言と態度が、歴代大統領に比べて異常に見えるのは、単にトランプが上のプーチンの発言にある「就任時のアイデア」が並外れたものだったということだろう。トランプは馬脚を現したが、それは歴代米国大統領と同じ作りと動きなのだ。ただ、トランプだけ特別に異常に見えるのは、就任前と直後の彼の発言と態度が正に我々が期待したもの、反ディープステート、反グローバリスト的なものだったからなのだ。


補足:

 

1)CIA, MI6, モサドは、それぞれ米国、英国、イスラエルの諜報機関。英国の国内治安維持を担当するのはMI5で米国のFBIに相当する。

(14:00、補足1を追加;6/20朝、二ヶ所修正)

2025年6月18日水曜日

米国トランプ政権は偽旗作戦を用いてイランを攻撃するのか?

G7首脳会議から急遽ワシントンに戻ったトランプ米大統領は、SNSでテヘラン市民に退避するよう呼びかけた。また、米空母ニミッツが中東に向けて航行しているという。米国によるイラン攻撃が近いようだ。

CIARay McGovern氏が、ペルシャ湾近辺で米国艦船を例えばイスラエルに攻撃させ、それをイランによる米国への攻撃と宣伝して、対イラン攻撃の口実とするかもしれないとツイートしているという。所謂偽旗作戦である。

 

 


この件を心配して報じた以下のyoutube動画を引用する。

https://www.youtube.com/watch?v=J6AncAFa-wc

 

(以上)

2025年6月17日火曜日

イスラエルの核兵器開発:中東問題に関する基礎的知識


中東問題を考える基礎としてイスラエルの核兵器開発の経緯や現状についての知識が重要である。現在、イスラエルが核兵器を持つことは公然の秘密とされているが、我々一般市民にはそれ以上の知識を持つ人は多くないだろう。(補足1)

 

今回、インドのニュースサイト“FirstPost”によるその解説動画を見つけた。信憑性が高いと感じたのでその内容を要約して下に記す。私にはこのような知識がなかったので、今後のためにまとめておこうと思った。https://www.youtube.com/watch?v=PdcjH3KxIag

 

 

1948年、イスラエル初代大統領のDavid Ben-Gurionは第一次中東戦争ののち、核兵器開発をすべきと考えた。彼は協力者としてドイツ出身の化学者であるErnst David Bergmannを見つけ出した。そしてBergmann は、1951年にイスラエル国防軍の科学部門のトップとなり、IAECIsrael Atomic Energy Commision)のヘッドとなった。彼はイスラエルのオッペンハイマーと呼ばれている。

 

1955年にBen-Gurionが権力に復帰したのち、核兵器開発はShimon Peres(補足2)が中心になって再開された。1957年、フランスから4㎏のプルトニウムと数十名の技術者の派遣を受け、ネゲブ砂漠の中にあるDimonaに 原子炉と再処理工場の建設を開始した。

 

1960年米国はこの計画を察知し、アイゼンハワー大統領に問い詰められた。米国は核兵器の拡散を防ぎたいと思っていたからである。その時、イスラエルは平和目的(原子力発電所)だと言って、核兵器開発の事実を隠した。その言い訳はその後のイスラエル国会での説明にも用いられた。

 

アイゼンハワーの後任であるケネディ大統領は米国による査察を強引に要求し、イスラエルに同意させた。米国の査察団は196119621964年とイスラエルを訪問した。其のたびごとにイスラエルは何とか誤魔化した。

 

その裏で原子炉の設計図や重水の調達をおこなった。(補足3)ハリウッド映画のProducer であるArnon Milchanをスパイにスカウトし、米国の関係者から設計図などを手に入れ、重水はノルウェーの協力によって英国への輸出の荷の中から提供された。
 

1967年には核爆弾は完成した。(補足4)1968年までに米国は状況を完全に把握していたが、NPT(核兵器不拡散条約)の議論中であり、イスラエルの核保有を明らかにすることや対応などについては何もできなかった。

 

NPTにアラブ諸国は署名したが、イスラエルは署名しなかった。イスラエルの核兵器保有を明らかにすれば、NPTの破綻を意味するので、米国はそれを秘密にすることになった。

 

ただ、イスラエルは確認の核実験をする必要があったが、近くでは不可能なので、南アフリカの南方洋上で行った。当時南アフリカは人種差別主義者が政権を握っており、イスラエルはその政権の重要なサポーターだったから、容認したのである。その代わりに、南アフリカに核兵器製造ノウハウを手に入れた。

 

米国の衛星は、核実験を示す二重の閃光を確認した。その後1986年に、Dimona1977年から1985年の間働いていたイスラエルの技術者モルデハイ・バヌヌ(Mordechai Vanunu、通称:モルデハイ・ワヌヌ)が、退職前に撮影した多くの写真とともに英国メディアにリークした。モルデハイはその後Mossadにローマで逮捕され、18年間収監された。


 

補足:

 

1)イスラエルの建国から中東戦争については、20231015日に勉強したことをブログ記事にしている。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12824593742.html

 

2)1984-1986, 1995-1996に首相となる。1993オスロ合意でノーベル平和賞。

 

3)Michael Collins piper著「ケネディとユダヤの秘密戦争」という本には、イスラエルと中国の核兵器共同開発、それがケネディ暗殺の真因だったとある。1960年ころユダヤ勢力が米国で大きな力を持っていたが、それでも現在とは違って大統領府の支配にまでは至っていなかったことが分かる。

 

4)ここまでの解説を聞いた限りでは、その核兵器は長崎に投下されたプルトニウム型である。原子力発電ができれば、核廃棄物からプルトニウムが分離できる。原子力発電所からでる核廃棄物には、残存ウラニウム(大部分はU(238))、U(235)の核分裂で生じた物質(セシウムやヨーソの同位体など)、それにウラン238が中性子一個吸収したプルトニウム239が存在する。一般にウラン型原爆の材料であるウラン235を濃縮するより、核廃棄物からPu(239)を抽出する方が簡単である。

(14:00、編集および補足2を追加)
 

2025年6月14日土曜日

イスラエルによるイランの核施設爆撃:閣内ネオコンによるトランプの操縦&日本の危機

 

イスラエルによるイラン核施設への攻撃が始まった。国防長官や国務長官などネオコンに乗っ取られたトランプ政権は、大統領を不十分な情報下において、このイスラエルの対イラン戦争に同意したのだろう。バンス副大統領も何も出来ないだろう。

 

一昨日、米国軍の家族などの中東からの撤退が指示されたので、攻撃があるものとおもわれていた。イスラエルがイランを攻撃するには米国の兵器や情報が必須であり、この攻撃は米国が協力していることを示しているとスイスのある学者が証言している。

 https://www.youtube.com/watch?v=LEPIAs3Wj2M

 

 

これは米国の戦争ではないと苦しみ紛れの言葉を発するトランプ大統領の姿は、イスラエルロビーに首根っこを押さえられたジョージ・フロイドさんみたいに見える。(2024-04-11の拙サイトのブログ記事をみてもらいたい)

 

諸悪の根源は英国がイスラエルをパレスチナの地に作ったことである。そして、英米を中心とした金融資本による所謂Deep Stateがイスラエルを応援することである。米国大統領が実際に米国民のために米国の政治を支配している訳ではないという米国のダグラス・マクレガー 大佐の以下の証言を聞くべきである。 https://www.youtube.com/watch?v=H2BRJ97Y9jU

 

 

この戦争は恐らく相当長期間続くだろう。その結果、米軍は中東に縛り付けられ、東アジアが空白地帯となり、中国が覇権拡大のチャンスを迎えることになる。台湾進攻となれば、日本は終わる。そのように伊藤貫氏が語っている。

https://www.youtube.com/watch?v=QsoxvnPvXaY

 

 

コロンビア大のジェフリーサックス教授が欧州議会などで演説したように、要するに米国はすべてイスラエルのために戦争してきたのだと思う。下のブログ記事の後半を見てもらいたい。

 

 

 

この現代史について何もしらない自民党をはじめとする日本の右翼は、CIAの撒く餌で生きている粗野で無知な人たちなのだ。そのように伊藤貫さんの上の動画にコメントした。

(EOF)

2025年6月11日水曜日

トランプとイーロン・マスクのグローバリズムに対する姿勢の違い

昨日の記事でトランプとイーロン・マスクとの喧嘩別れは、彼らの政策に関する本質的違いに基づくと書いた。その一例として、二人の間のグローバリズムに対する姿勢の違いを説明したが、わかりにくかったかもしれない。そこでここでは表にしてその違いを示す。

 

 経済グローバリズムと文化・政治グローバリズムの峻別

 

グローバリズムという言葉は「地球規模に拡大する主義」というくらいの意味だが、その対象が明確に語られない場合も多い。ここではより明確に議論するためにグローバリズムを大きく二つに分ける:①経済のグローバリズムと②文化及び政治のグローバリズムである。

 

昨日議論した二人の間のグローバリズムに関する姿勢の違いを、この分類に従って表に示すと以下のようになる。

 

 

イーロン・マスクは経済面ではグローバリズムに賛成しつつも、文化的・政治的には国家主権を重視する姿勢を強めている。(例:Xの言論の自由の方針、国連やEUのコンテンツ規制への反発など)。これは、旧来の「自由主義的グローバリズム(経済も文化も開放)」とも、「国粋的孤立主義(経済も文化も閉鎖)」とも異なる。その一方、トランプ自身は“文化的”グローバリズムに明確に反対していない。

 

トランプは選挙キャンペーンでこそ「反グローバリズム」を唱えるが、実際には:金融エリート層(ヘッジファンド、ロビー団体)とは関係を保ち続け、イスラエルロビー(AIPAC)にも極めて協力的である。(例:エルサレム首都承認、ネタニヤフとの関係)。

 

これは、彼が本質的には文化的保守の顔をしているものの、エスタブリッシュメント側の調整者に過ぎないという指摘につながる。

 

一方、マスクは「国家レベルでの文化主権」や「超国家的権威への懐疑」を公言しており、特にSNS規制やWHOなどの国際機関に対して批判的である。つまり、イーロン・マスクの方が、トランプよりも“文化的・政治的グローバリズム”への批判が一貫していると言える。

 

纏めると、イーロン・マスクは“経済グローバリズム支持 × 政治文化主権支持の立場である一方、トランプの方は、国際金融・イスラエルロビーに対して従順な面があり、真のナショナリストとは言い難い。トランプは“支持層の感情”に基づいたポピュリズムを展開していると言えなくもない。

 

終わりにひとこと: グローバリズムと対峙することの重要性

 

経済のグローバリズムは多くの企業と金融資本の規模を小さい国家よりも大きくしている。それら企業や金融を支配する少数のグローバルエリートは、国境を跨いでビジネスを展開するうちに地球を俯瞰するような視点を持つようになるのは不思議ではない。彼らグローバルエリートが互いに近い関係にあるとした場合、地球上の80憶人の一般大衆にとっては、巨大な脅威となり得る可能性が高い。

 

民主主義政治を前提にすれば、彼らグローバルエリートたちも政治的には本来一般大衆と同じ筈である。しかし現状では場合によっては小国家と同じくらいの政治的力を示す人物も彼らの中には存在する。そのような人物が現れて政治に干渉しないように、彼らを制御しうるのは国家しかない。地球上に存在する200ほどの国家の一般大衆は、自分たちの国家を支配下におき、グローバルエリートの支配する金融資本が政治的力を発揮しないように監視しなければならない。

 

(以上はChatGPTの助けを借りて整理したものです;6/12 編集あり)

 

 


 

2025年6月10日火曜日

トランプとイ―ロンマスクの対立の本質:トランプは反グローバリストではない

トランプ政権が下院に提出し可決した「大きくて美しい法案」に対して、イ―ロン・マスク氏(以下イーロン)が反対したことから、トランプ大統領(以下トランプ)とイーロンとの激しい口論がSNSで行われた。その経緯は張陽チャンネルの下の動画に解説されている。時系列で発言内容が紹介されているので、非常にわかりやすい。(https://www.youtube.com/watch?v=0EGYE8mgkQc

 


米国の財政赤字は毎年2兆ドル近い。その上、この法案による赤字が加算されれば、満期国債の借り換えと新規国債発行が相当困難(高金利)になる可能性もあるとも言われる。イ―ロンが命懸けで政府効率化を行ってきたのだが、その努力をあざ笑うような今回の法案なので、怒るのはある意味当然だろう。トランプは、元々財政再建などするつもりがないのかもしれない。(補足1)


二人の対立は「大きくて美しい法案」に関して多くの人に知られたのだが、それは相互関税の導入の時から存在した。この「大きくて美しい法案」が実施されたなら、大きな財政赤字が予測されるが、トランプはその穴埋めに相互関税の収入を考えているのである。


トランプの相互関税は、高度に連携した世界の経済構造を棄損する可能性が高い政策である。グローバル経済の中で事業を展開しているイ―ロンが反対するのは至極当然である。


上の動画で張陽氏は、トランプの視野の中心にあるのは中間選挙であると語っている。米国民に減税という優しい政策を継続して中間選挙に勝利し、その後の政権運営を容易にするのが今回の法案の目的の一つだと言う。その考え方には一理あるが、その目的にしては賭けるものが大きすぎると思う。勿論、上院で最初から否決するつもりなら話は別だが。


トランプにとって、政府効率化による財政削減(DOGE政策)やウクライナとロシアの戦争を停戦に導くのは、トランプのMAGA政策の付録に過ぎなかったのだろう。イ―ロンは、それらの政策がトランプの反グローバリスト的政治改革の中心課題であり、MAGAは大衆受けを狙ったキャッチフレーズと考えていたのだと思う。


誰もが、Make America Great Again (MAGA)なんて単なるキャッチコピーであると思うのだが、どうもそうでもないようだ。「大きくて美しい法案」という言葉も、失礼だが、同じ響きの言葉である。


二人の間の決定的な相違点は?


イ―ロンは、各国の連携で世界経済が成長するWTO体制は人類すべてに有益で、国際政治とその機関は、それぞれの国のアイデンティティを尊重しつつ、この国際連携を維持する様に働くべきと考えていると思う。そして、米国がその先頭に立つべきだろうと。


その一方、トランプはWTO体制に縛られる必要などなく、米国の利益追求を優先すべきだという姿勢を相互関税という政策で明確にした。米国がWTO体制の中心だったにも関わらず、他国の都合など完全無視する利己的姿勢の政策にイーロンが嫌気がさすのは当然だろう。


2) グローバリストとナショナリスト


グローバリストたちは、人類は地球上で一つの価値の下で統一政府を早急につくりあげなければならないと考える。彼らの中心勢力は、主に世界の金融を支配するニューヨークウォール街を中心に活動する金融エリートたちである。彼らと協力関係を持っているのが、米国のユダヤロビーたちだろう。


彼らが画策する統一政府とは、当然のことながら、彼らが経済と政治の中心となる政府である。彼らにとって安全で健康的な環境をこの地球上に作り上げるのが目的である。従って、その世界統一政府の文化と価値は、彼らがこれまで維持してきた文化と価値であり、他民族の文化や価値は邪悪だとかテロリストのものだとして排除するのである。


その戦略で彼らの企みはずっと前に始まっている。第二次大戦後は、それらは米国の戦争として行われてきた。米国は世界最大の経済力と軍事力を維持してきたので、自国の安全のために戦争をする必要などない。それにも関わらず、世界各地で戦争をしてきたのは彼らグローバリストの戦略のためである。


例えば、ソ連崩壊後からこれまでの米国の戦争、具体的には、東欧でのカラー革命(ウクライナのオレンジ革命を含む)、イラク、シリアを含む中東の戦争、スーダン、ソマリア、リビアを含むアフリカの戦争はすべてアメリカが主導して引き起こしたと、コロンビア大学のジェフリー・サックス教授がヨーロッパ議会での演説において解説している。https://www.youtube.com/watch?v=hA9qmOIUYJA ;

 


講演内容は、長周新聞により日本語に翻訳されているので、私は主にそちらで読んだ。https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/34317 https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/34414

 

サックス教授は、背後にイスラエルのネタニヤフ首相と米国のイスラエルロビーが関係していると述べている。つまり、それらの戦争は、世界統一政府樹立の一環として行われているのである。はっきり言えば、グローバリズムとはシオニズムのグローバル展開である。


人類は世界各地で異なった民族を形成し固有の文化を育てたのだが、世界が相対的に狭くなった今、グローバル経済の中で一つに統合されるべきだと考えているのだろう。(補足2)彼らはユニークなそれぞれの民族文化は早急に解消されるべきと考えている様だ。


世界の政治的対立の大雑把な姿は、世界統一を目指す戦闘的なグローバリストたちと自国の政治と文化を守るべきとするナショナリストたちとの対立である。グローバリストの中心人物たちは、物と金の世界において、彼らが設定した基軸通貨と金融システムを用いて世界統一をほぼ達成した。それがグローバル化経済である。基軸通貨となったのは、第二次大戦までは英国のポンドであり、それ以降は米ドルである。


しかし、形而上の世界で統一的価値を設定するには時間がかかる。それにも関わらず、物と金の世界で力を得たグローバリストたちは、強力な対立候補が現れないうちに統一を実現してしまいたいと考えた。それが現在進行中の政治のグローバル化である。


3)トランプは反グローバリストではなく非グローバリストである


トランプが、物と金の世界のエリートたちに近いユダヤロビーの下にいることは、イスラエルのガザ地区のパレスチナ人虐殺に対する姿勢を見ればわかる。(補足3)ただ、彼はイスラエル極右の残忍なパレスチナ人虐殺などを悍ましいと感じるナイーブな感覚の持ち主である。


ただ、ユダヤロビーに逆らってネタニヤフのイスラエルやグローバリストたちと本格的に対立するのは危険であり、避けるべきだと考えている。従って、トランプの米国もユダヤロビーの干渉を退けて独自路線をとることが可能だとは考えられない。そこでトランプは、孤立主義(21世紀のモンロー主義!)を唱えるのだろう。


米国は国土と資源に恵まれ、独自に高度な経済を維持することが可能な数少ない国の一つである。トランプの米国は、これまでのWTO体制を維持する必要などなく、必要な範囲で外国との関係を維持し、障害となる部分は軍事的に解決すればよいと考えている様だ。


以上から、トランプの選択範囲は、ユダヤロビーの下でネオコン路線を進むか孤立主義をとるかである。イーロンとの一致点はこれまでのネオコン路線を進まないという点のみである。つまり、トランプは非グローバリストであるが、反グローバリストではないのだ。トランプがネオコン的な人物を国務長官など重要ポストに置くことが可能だったのは、彼は反グローバリストではなかったからだ。


トランプのMAGAは失敗するだろう:


トランプのMAGA(アメリカを再び偉大にする)は、世界のトラブルとは無縁の世界に退いて孤立し、WTO体制で築き上げた現在の豊かな米国を維持しようという考え方である。(補足3に引用の記事参照)そのために、差し当たって米国に必須産業を取り戻そうと考えた。


相互関税は、米国市場は世界で断トツ最大であり、その地位は十分長期間継続するとの前提を信じて、米国への先端工業の移植を促進する目的で創設されたのだろう。つまり、先端技術を保持する会社が関税障壁を避けるために世界中から米国に工場を移転させるという甘く且つ身勝手な期待に基づいている。


その実現のために、これまでの価値を破壊する前政権のひどい移民政策などを批判し、MAGAという耳障りの良いキャッチフレーズを用いて孤立主義的政策を掲げて大衆をとり込み、昨年までのグローバリスト政策に反対だという点で一致するナショナリスト的イーロンの協力も得て政権奪取したのがトランプ政権である。


イ―ロン・マスクは、サックス教授と同じく民主党政権や共和党の一部(ネオコン)の世界戦略に反対しているので、それらを継承しないトランプを応援したのである。


補足:


1)イ―ロンが命懸けで従事してきたDOGE(政府効率化局)の政策を、そのトップのイ―ロンの任期延長をしないと決定したことも、彼らの対立の要因の一つである。6兆8000億ドルあまりの連邦予算のうち、2兆ドルが削減可能だと発表してきたのだが、僅か7.5%分を達成した段階で一つの看板政策を中止したのである。

2)グローバル経済は物と金のグローバル化であり、それらには形而下の世界の話である。一方、精神文化の世界まで含めて価値観の統一してしまおうと考えるのがグローバリストである。反グローバリストあるいはナショナリストも経済のグローバル化には寛容であった。トランプは孤立主義を掲げているものの、精神文化の統一には必ずしも反対していない(あるいは身勝手な対応をする)ように見える。

 

3)昨年4月11日の本サイトにおいて、“3月25日にイスラエルの新聞イスラエル・ハヨムが トランプ元大統領に対するインタビューを行った。この新聞社のオーナーは、ネタニヤフ大統領の支持者であり、私は米国のイスラエルロビーとも近いのではないかと思う”、そして、“それはインタビューと言うよりも面接試験ではないかと思ってしまう”と書いている。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12847903412.html

 

(10時編集)

2025年6月2日月曜日

宮城野親方の退職に見る日本相撲協会の危機――公益法人の責任と今後

大相撲の宮城野親方(元・白鵬)が日本相撲協会に退職届を提出した。処分内容が不公平かつ屈辱的であると感じたことが背景にあるとされる。この件の経緯を振り返るとともに、相撲協会という公益法人の在り方について考察したい。

1. 宮城野親方の処分とその経緯

元横綱・白鵬はモンゴルから来日し、2000年に角界入り。幕内優勝45回という前人未踏の記録を打ち立てた後、親方として後進の指導にあたってきた。その貢献は大相撲界にとって非常に大きい。しかし、弟子・北青鵬による複数の暴力行為および金銭窃盗が発覚したことで事態は急変した。

 

日本相撲協会は2024年、北青鵬に対し「引退勧告」、宮城野親方に対しては「2階級降格と減俸」、さらに宮城野部屋の無期限閉鎖という厳しい処分を下した。部屋は伊勢ケ浜部屋に吸収され、親方は伊勢ケ浜部屋付の年寄として再出発を余儀なくされた。

 

1年を経ても処分が緩和される兆しはなく、宮城野親方は530日に退職届を提出。62日の臨時理事会で正式に承認される見通しだ。

2. 親方への処分は「リンチ」なのか

近代法体系においては、処罰の原則は「個人責任」である。北青鵬による暴力行為に対して、親方が一定の責任を問われることはあり得るが、その処分が本人の社会的地位や将来に著しく影響を及ぼすほどであることには疑問が残る。

 

過去の類似事件と比較しても今回の処分は重すぎると言える。たとえば2010年、時津風部屋の親方(第16代時津風)が野球賭博に関与し、警察の家宅捜索を受けたが、処分は1階級降格と5年間の昇給停止にとどまり、部屋は存続された。

 

これに対し、宮城野親方には刑法違反はなく、協会の内規違反があったとしても、二階級降格と部屋の閉鎖という処分は過度といえる。こうした対応は、公益法人としての相撲協会が感情的または政治的に動いた結果とも受け取られかねない。

 

また、宮城野親方が推進してきた「相撲の国際化」やその圧倒的な実績に対する嫉妬や警戒心が、執行部の処分判断に影響した可能性も否定できない。処分の背後に、閉鎖的な組織体質があるとすれば、問題は根深い。

3. 日本政府と公益法人としての相撲協会の責任

日本相撲協会は「公益財団法人」として、税制上の優遇措置を受けているだけでなく、文化的な公共性が強く求められる存在だ。大相撲の開催には政府要人が出席し、優勝力士には天皇杯が授与されるなど、国家行事的な色合いも強い。

 

であるからこそ、日本政府には相撲協会が公益法人として適切に運営されているかどうかを監督する責任がある。今回予想される処分が公益法人としてふさわしいかどうか、調査と指導が求められる。

 

さらに、本件は日本とモンゴルとの外交関係にも波及する可能性がある。東日本大震災時、モンゴルはGDP比で最大規模の支援を送ってくれた国であり、日本との友好関係は相撲界で活躍するモンゴル出身力士によっても支えられている。その象徴である元・白鵬が不当に処遇されるとすれば、モンゴル国民の感情を大きく損ねかねない。

 

この問題を契機に、公益法人の資格審査を年に一度実施し、その結果を国民に公開する仕組みの導入も検討すべきである。

補足情報

  • 白鵬杯の意義2025年の「白鵬杯」には海外14カ国、国内153チーム、計1142名が参加。少年相撲を通じた国際交流に大きく貢献している。

  • 相撲協会の放映権:放送法に守られたNHKによる大相撲の中継も、公益性を失えば見直しの対象となり得る。

  • 公益法人の免税措置:日本相撲協会は公益法人として法人税などの大幅な優遇を受けている。

結び

今回の宮城野親方に対する処分は、相撲協会という組織の在り方を根本から問い直すものである。公益性・透明性・説明責任といった基本原則が形骸化していないか、日本社会全体で今一度問い直す必要がある。

 

追加:

 

夕方のNHKニュースで、優勝したときに客席に対して万歳三唱を誘導したことなど、白鵬が横綱として品格を欠いていると指摘されたという話が紹介されていた。しかし、相撲協会が外国人力士を入門させると決断した段階で、そのようなことにならない様、彼らに日本文化特に相撲文化について十分教育するシステムをつくっておくべきだったのであり、外国人力士である白鵬を一方的に批判する資格が相撲協会にあるとは思えない。(2日夜追加)

 

追加2:白鵬退職の原因となった北青鵬が力士となった経緯・白鷗親方との関連などについて解説している動画がありました。

 

 

本文上での考察やこの動画の内容から、相撲協会をまともな公益法人とするには第三者の介入が必要かと思います。

 

またこの件、日本の司法の劣悪な情況や外国人を大量に移民として受け入れる行政の無責任な姿勢などへの議論の材料となり得る出来事でした。(6月4日朝、追加)

 

(※OpenAIのChatGPTを活用して内容の整理・文章の校正を行いました。)

2025年5月29日木曜日

習近平独裁政権の危機:台湾進攻が習近平政権の起死回生の策かも!?

 

最近、中国共産党政権の習近平主席が急激に政治的求心力を失いつつあるという。そんな中で、胡錦涛前主席が中心になって習近平政権に対して内戦を覚悟の上で集団指導体制への方向転換を迫るだろうと、中国出身の張陽氏がyoutube動画上で予測している。

https://www.youtube.com/watch?v=DUhQmiKA0a0 

 


それによると、5月14日に開催された政治局拡大会議(補足1)での胡錦涛前主席のスピーチの原稿が、ネットにアップされた。その中で、政治権力を集中させる現在の体制により、鄧小平時代に取り入れられた改革開放路線が放棄され、その結果、中国は政治経済において危機に瀕していると批判している。

胡錦涛は、「改革開放路線は党と国民の選択であり、中国の運命を左右する共産党政権の根本原則である。我々は、内戦覚悟で改革開放路線を取り戻さなければならない」と同じ考えを持つ人たちに対して檄を飛ばした様である。

今後の方針としては、今年予定の第四回中央委員会全体会議(四中全会;補足2)において新しい人事構想を提案する。そして、党総書記の権限と職務範囲を制限するなどして、集団指導体制に戻どすとともに、改革開放路線を回復するように働きかける。これが大まかな内容である。

胡錦涛の檄文は、我々には逃げ道はない、歴史に我々の選択が記されるだろうだろうという言葉で終わっているという。

 

現在、習近平独裁体制下の中国は存亡の危機にあり、その危機を招いた原因と考えられる独裁的政治体制を集団指導体制に戻すこと、それにより鄧小平時代の改革開放路線を取り戻すことで乗り越えようと、命を懸けて立ち上がったのである。

ただ、張陽氏が共産党体制そのものが危機の本当の原因であることが分かっていないと批判しているように、胡錦涛も自分に都合の悪いことには気づき難いのかもしれない。超陽氏は最後に、中国軍事委員会の副主席が死亡したと発表されたことに触れ、両陣営の衝突を予期させる緊迫した情況に言及して動画を閉じている。

別のソースとしては、習近平が権力を失いつつあり、党のトップに君臨できなくなるのはほぼ確実であるとの話が、中国研究家の澁谷司氏によりyoutubeで発信されている。澁谷氏は、ウィキペディアによると元拓殖大学海外事情研究所 附属華僑研究センター長のようだ。https://www.youtube.com/watch?v=scBrj0pTrwg

 

 

ここ数年の不動産バブルの崩壊、新型コロナの時の大規模なロックダウンなどで、中国経済が危機にあることは広く理解されている。また、世界政治の混乱、トランプ政権による相互関税の問題も重なり、中国でも政治が流動的になることは十分考えられる。澁谷司氏は上の動画で、人民日報などにも習近平体制批判とも考えられる内容の記事も出ているという。

 

独裁体制が始まってから3年しか経過していないので、共産党中国の崩壊前に習近平の支配体制が危機を迎えるだろう。その場合、習近平は体制の締め付けと毛沢東に並ぶ業績作りのためにも、台湾進攻に打って出る可能性があると思う。

 

トランプ関税などによる米国の中国締め付けが、それを早める結果になるかもしれない。そうなってしまえば、戦争嫌いのトランプが火薬庫に火をつけることになる。


補足:

1)政治局拡大会議は、政治局委員(補足2参照)だけでなく有力者を含めた臨時開催の会議と考えられる。

 

2)中国の組織については、次のファイルをご覧ください。

https://www.jc-web.or.jp/files/libs/2793/202401091148447374.pdf

 

以上は一素人のメモですので、そのつもりでお読みください

 

 

2025年5月25日日曜日

コメ価格高騰の背景と対策、そして政情との関連


米の値段がこの一年間に2倍以上となり、政局にも影響してきた。今回の米の高騰が何故起ったのか不明だが、この異常な価格高騰を数か月間放置し、何の有効に対策を施せなかった自民党政権の無能さには呆れる。

ずっと前から農水省はコメが余るので輸出すべきだと考えていた。そして相当量のコメが外国に売られていたので、数年前から過剰輸出や中国人などの日本国内での買占めなどによりコメ不足発生の危険性が指摘されていた。以下の産業経済研究所の研究員の記事は、5年前に発表されている。https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/fuji-kazuhiko/178.html

それにも関わらず、自民党国会議員たちは、コメは余るものという素人以上の理解をこれまで持たなかったのだろう。そしてコメ不足の危険性を無視し減反政策を維持してきたのは、農林族議員や農協などの既得権益層のエゴイズムの結果である。(補足1)

政府自民党は、その無能さを隠ぺいするかのように農水大臣を小泉進次郎氏に替えて米の価格を下げさせるのだろう。そして、次期総裁に彼を据えることで自民党の人気奪回をして、次期参議院議員選挙を乗り切ることを考えているのかもしれない。

小泉進次郎というポピュリスト政治家(補足2)なら、自民党農林族の反対を押し切り、強引な手法で米価格を下げることができるだろう。実際彼は、大手小売業者に直接備蓄米を随意契約で販売して、価格を下げようとしている。https://www.youtube.com/watch?v=FQzucfLINUU

 


その方法なら価格は下がるだろうし、小泉氏の政治家としての人気が一層高まる可能性が高い。しかし、特定の小売業者に随意契約で国家の備蓄米を売り、それで市場価格を下げることは法律上問題ないのだろうか? 

小泉氏は自民党にとっては劇薬的政治家であり、教科書的に強引に農政改革まで実行する可能性もある。それが回り回って日本経済の構造改革に繋がれば、日本国にとってもは良いことかもしれない。多少期待したい気持ちもある。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12870307815.html


1)日本での食料安全保障政策の在り方

日本の食料自給率はカロリーベースで40%を下回っている。そのことは、如何に理想的な農政を行ったとしても食料自給が不可能な国であることを示している。(補足3)

日本列島の人口は、明治の始めでも4000万にも満たなかった。その人口を決めていたのが食料生産量であり、それが満州や樺太に進出(侵略)した近代史の原点でもある。(補足4)

19世紀にアジアでいち早く西欧と密接な相互関係を持つことが出来た日本は、科学と工業の振興と経済のグローバル化という西欧の知恵を習得してこの弱点を克服し、日本列島での可住人口を増大させた。

それと平行して、西洋をはじめとする外国の食習慣の流入による食の多様化が日本人の一人あたりのコメ消費量を減少させた。この工業生産の発展に伴う農村からの労働力の流出、国民の所得増、そして食習慣の変化によるコメ離れは、相互補完的に進行した。

また、農業の機械化は導入されたものの、就業者は兼業農家や老人が主であり、生産性向上の努力が中途半端に放置された。消費量が減少するのでコメ生産農業に将来性を見出すことが困難だったことと、国の農業に対する法規制が近代大規模農業への改革を阻害したからである。

農村の在り方など、日本の伝統文化の維持は日本人の心の問題であり、その変化は十分緩やかでなければならない。しかし、国民経済においては国際取引に高度に依存する国であるから、その制度や構造は迅速にグローバル標準の効率化を進めなければならない。

つまり、農業の機械化はその経営の大規模化と同時に行わなければならなかった。農業だけを近代化を中途半端に残せば、日本の一般民は高いコメを食わなければならないし、農家は低い収入と高い機械化のコストを支払わなければならないからである。

そのようなフルバージョンの農業改革を行った上で、それでも発生する外国産米と国内米との価格差を関税で埋め合わせ、その関税で得た資金で農家の所得補償をするのが、本来の食料安全保障のあり方だったと思う。

 

2)国家の不安定化にはその国の主食の価格を高騰させる手法が有効である

発展途上国では、主食の価格高騰が政治不安に発展したケースが歴史上多く存在するという。youtubeのモハPチャンネルはこのことを指摘している。https://www.youtube.com/watch?v=YbJwtcLf-Rc

 

 

上の動画では、中東でのアラブの春も、主食の価格高騰が大きな役割を演じたという話が紹介されている。エジプトのムバラク政権が崩壊したことの一つの原因として小麦価格の高騰があったというのである。

主食の価格高騰は、僅かの供給量不足で起こりえる。何故なら、多少高くなっても国民は買わざるを得ないからである。一般に生活必需品は価格弾力性が低く、中でも主食の価格弾力性は最低ランクに入るのである。

これらのことから、どこかの誰かによる政治的思惑が、今回のコメ価格高騰に絡んでいる可能性は無いとは言い切れないのではないだろうか。金融経済が実物経済よりも遥かに大きくなり、金融資本が世界の政治を動かしていると考える人も多い21世紀においては、この観点からも今回のコメ価格の高騰は調査されるべきである。

因みに、2010年ころのアラブの春は、米国とイスラエルの企みであったとコロンビア大のジェフリー・サックス教授がヨーロッパ議会での演説で話した。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12894476649.html

エジプト・ムバラク政権の不安定化には、主食の小さい価格弾力性と内政介入国家の豊富な金融資本が絡んでいる可能性があるかもしれない。つまりエジプトの主食価格を高騰させて政情を不安定化するなど、米国のUSAIDとCIAが組めば可能かもしれないのだ。

終わりに:

日本の農業を中国資本の参加を防止する形で大規模化することが非常に重要である。農協や自民党農林族の妨害を排除し、知性ある人物の参加を得て、小泉氏がそれを実行するのなら良い機会だろう。


補足:

1)工業化によって若手が町に出て、農業は老齢の親世代が兼業で行う。それでは生産性の高い農業など不可能である。トラクターの購入などで、仲介の農協などは儲かるが、農家はもうからない。そのように農村を従来の形に補助金などで維持することで、農水族の票田となるのである。

2)日本では人気だけで衆愚政治の方向に政治を引っ張る人達をポピュリストと呼ぶが、英語ではMob politicianというようだ。英語のpopulistは人民主義の政治家が正しい訳である。

3)宮沢賢治の詩を思い出せばわかるように、米中心の食生活で生きるには、一人一日五合の玄米が必要である。それは1年間で約0.5トン(一億2000万人なら、約年間6000万トン)にもなる。もし、食生活が改善されて一日2合で良いとしても、年間2400万トンである。現在、日本の米の生産量は年間750万トンにも満たない。そもそも日本で米の生産量を高く維持する努力をしても、外国から小麦や大豆などの輸入がなければ全人口の半分も生きていけないのである。
因みに、江戸時代の米の生産量は500万トン程度だったようだ。https://www.mbsnet.info/gc/dyn/member/gc/lohas/0701/index.html


訂正:日本人一人が一日五合のコメを365日消費すると仮定すると、日本全体での年間コメ消費量は約3240万トンになります。一人一日2合の消費だと、年間約1300万トンになります。単純な計算間違いでした。(5/28早朝)

4)そのような論理で明治の日本を牽引した薩長の背後に、同じく東アジアを勢力圏に収めたい西欧の勢力があったことはもっと議論されるべきである。それは本題ではないので、ここではスキップする。

 

(18:30編集あり;;26日夕刻2か所修正)

2025年5月22日木曜日

トランプがウクライナ戦争を他所事として片づけたい理由

 

トルコで行われていたウクライナ戦争の停戦交渉は結局まとまらなかった。その後、トランプ米大統領とプーチン露大統領が電話会談を行ったものの、やはり停戦合意には至らなかった。更に、トランプは停戦交渉の仲介を今後行わない意向を示した。


この停戦交渉決裂は見えていた。(補足1)ヨーロッパ諸国を背後に持つゼレンスキーがあまりにも傲慢であり、それは今年3月1日のホワイトハウスでの会見でも明確になっている。トランプの明確な決断が何を意味するかをこの戦争の真実を基礎に考えてみる。

 

以下は素人である筆者の想像も加えた文章であることを予めお断りしておきます。

 

 

1)ウクライナ戦争の真実と国務長官の発言

 

この戦争の真実は、ネオコン(隠れネオコン?)のマルコ・ルビオ国務長官が既に公言している。(補足2)つまり、ウクライナ戦争は、ウクライナを米国の代理とする米露間の戦争である。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12899323502.html

 

この米国務長官の言葉で重要なのは、米国はウクライナ戦争の当事国であることを認めたことである。一般に、戦争で負けた側は講和の際に領土を奪われ、賠償金を支払うなどの不利な条件で条約に調印しなければならない。その当事国が米国であると、米国外交のトップが公の電波の中で言ったのである。

 

代理戦争と明言したからには、ウクライナ国民の働きと犠牲など全ての負担に対してそれを埋め合わせる義務を米国は持つ。これまで米国が出した数十兆円以上を今後支出する覚悟も必要だろう。ゼレンスキーが傲慢な姿勢で米国に対するのは、このような論理を国務長官が認めたことが背後にある。

 

ロシアに完全勝利すれば、それらの債務や賠償の話が無くなると考えるのが、米国ネオコンたちと米国とともにウクライナ代理戦争を戦ったNATO諸国の首脳たちである。

 

 

その様に考えると、マルコ・ルビオ国務長官は完全なネオコンであり、トランプ政権を対露戦争に本格参戦させるか、トランプを早期に退陣させる意図でこのような発言をした筈である。これが3月15日に書いたブログ記事の内容である。

 

ここで、簡単にウクライナ戦争を復習する。ウクライナ戦争は、歴史的にはソ連崩壊に始まるロシアと米国との新冷戦に始まる。米国によるロシア弱体化あるいは分割(或いは分解)政策であり、この紛争は2014年から大きく報じられるようになった。そして、20222月から軍隊による直接戦闘となったのである。これは一貫して米国ネオコン政権のロシア潰し戦略であり、トランプはそれへの協力を否定してきた。

2014年とは、米国務省(ビクトリア・ヌーランドの活躍が著名)やCIA、そしてネオコンのバックにいるジョージソロスなどユダヤ系資本家がウクライナを内戦状態に導き、当時のウクライナ大統領のヤヌコビッチを国外に追い出した年である。所謂マイダン革命である。

 

 

マルコ・ルビオは、トランプ政権もこの代理戦争の当事国としてこの戦争を継承する義務があると公言したつもりかもしれないが、トランプには元々そんな気は無かった。繰り返すが、代理戦争をウクライナに発注し、その結果ウクライナ人が数百万人外国に避難し、百万人が家を失い命を失ったのなら、米国がウクライナに負う債務は膨大だろう。


更に、その戦争に負けたのなら、ロシアにも賠償金を支払う必要があるだろう。そんなことはできそうにない。トランプは、恐らくマルコ・ルビオを首にしたいだろう。ただもし首にしたら、背後のネオコンたちと釣るんで何を言い出すか分からないのでそうしないのだろう。

 

トランプの取り得る戦略としては、それは過去の米国の犯罪であり、新生米国の我々にはその責任全部は負いかねるという風に居直る作戦のみだろう。つまり、現在の米国は過去の米国から決別した新生米国であると主張する作戦ある。

 

ただ、プーチンならその白を切る作戦が通用するかもしれないと考えたとしたら、二人は人間を金や財産よりも大事にするキリスト教的道徳を残していると考えたているからだろう。

 

 

2)トランプの“新生米国を印象付ける戦略”は戦後ドイツがモデル?

 

このトランプの作戦は、2025120日にこれまでの米国は終わり、自分の第二期政権から新しい米国が始まったとする姿勢を貫くことである。トランプは徹底的にこれまでのネオコン政治を否定するのは、これまでの米国の政治的遺産も債務も併せて放棄することの表明なのだろう。(補足3)

 

尚、米国ネオコン政権のこれまでの戦争については、コロンビア大学のジェフリー・サックス教授がヨーロッパ議会での演説において解説している。https://www.youtube.com/watch?v=hA9qmOIUYJA


要約すれば、ソ連崩壊後の東欧でのカラー革命(ウクライナのオレンジ革命を含む)、イラク、シリアを含む中東の戦争、スーダン、ソマリア、リビアを含むアフリカの戦争はすべてアメリカが主導して引き起こしたという悍ましい内容の話である。(補足4)


これだけの戦争を行う根拠は、米国による世界覇権の継続にある。この継続の延長上にグローバルエリートたちが密かに企む世界帝国の建設が存在する。その大きな目的がなければ、世界中から憎まれる侵略行為を続ける筈はないと考えるのが普通だろう。

 

トランプは、そんな残酷な世界戦争の果てに世界帝国を築いて何になると考えたのかもしれない。彼はこの企み(グローバリストの考える新世界秩序へのグレートリセット)に明確に反対する意思を示して来た。ただ、これまで政権内のネオコン勢力に足を引っ張られるように、彼らの主張にも一定の配慮を示してきたのである。しかし、ここで明確な仕切り直しをしたようだ。(補足5)

 

トランプは、このプーチンとの電話会談後の会見で、ウクライナ戦争に対する彼の政権の姿勢を覚悟を持って明確にし、それに念を押すかのように、今後のロシアと米国の経済協力の話にまで言及している。

 

このロシアとの経済協力の話だが、これには以下の意味があると思う。つまり、これまでのロシア潰しを世界戦略の一つとしてきたネオコン米国はもう存在しない。そこで新生米国はロシアとも新たな関係を築きたいという意思の表明である。

 

そんな勝手な理屈はあるかとロシア側には言いたい人が多いだろう。ただ、知的なプーチンなら報復に次ぐ報復ではいつまでたっても平和な世界は来ないと考えて、この作戦を受け入れてくれるだろうとトランプは考えたと思う。

 

この作戦のモデルは、戦後のドイツである。現ドイツはナチスを徹底的に批判し否定することで、過去の戦争に対し賠償要求する相手は今のドイツには居ないと主張している。それ故百歳に近いユダヤ人収容施設の門番も、探し出して無慈悲に刑務所に入れるのである。

 

 

 

 

終わりに

 

戦後ドイツの姿勢は、日本の戦後とは大きく異なる。来日したドイツのメルケル首相が安倍総理に進言したのもこの“しらを切る作戦”(或いは内外に過去と決別を印象づける戦術)だと思われる。(補足6)その意味を日本人は理解しなかった。

 

つまり、過去の日本を徹底的に批判し新生日本を明確にすることで、中国や半島からの戦争責任論とその背後に控える将来の戦争や賠償要求を封じる戦略である。しかしそれは現状の日本には相当難しい。現在の天皇制を維持する限り無理であるが、それを克服することは可能である。

 

過去何度も書いているが、日本の天皇と伊勢神道は明治の富国強兵策の中で利用された。その天皇の面影が政治の中に残る限り、新生日本の演出は無理である。例えば、戦後没収された天皇家の財産を一定程度返却して、江戸時代までのように京都に皇居を移し、伊勢神道のトップとなって日本国民との関係を元に戻すという考え方はないだろうか? 

 

このまま米国が東アジアから手を引けば、日本は中国の支配下にはいる可能性が極めて高いと思う。何もしなければ、武家(国家公務員や政治家)が中国人で町人が日本人のような江戸時代の社会構成が、再び日本を支配するようになる可能性がある。

 

また、米国がネオコン支配のままなら、今のウクライナのように米国の潜在的敵国である中国潰しのために代理戦争を強いられ、数百万人が命を落とすことになるかもしれない。このまま日本人が政治音痴を続ければ、それら何れかの恐怖が日本を襲う時が来る可能性が高い。


 

補足

 

1)クリミヤまでも返せというゼレンスキーの姿勢は無知なのか馬鹿なのか? シカゴ大のミアシャイマー教授はヤケクソだと言っているようだが。。。https://www.youtube.com/watch?v=uQaMnOrKrIo

 

2)最初この話を聞いたとき、信じられなかった。何故なら、ウクライナを代理にして米国がロシアと戦争していることは本来の保守側には常識だが、それを言えばグローバリスト・ネオコン側から陰謀論のレッテルを貼られて、現在のポジションから放り出される可能性が高いからである。マルコ・ルビオがそれを言っても断罪されないのは、その背後にトランプをウクライナ戦争に巻き込むためという了解がネオコン側にあるからだろう。トランプは、マルコ・ルビオを抱き込んだのは兎に角政権を作り上げるためだろう。

 

3)ここでの義務や債務などの話は法的な話ではない。国際関係は野生の原則が支配するので、法治の原則からは程遠い世界である。しかし、歴史を動かすのは人間の感覚であり、それはこれら法的用語を用いることでより詳細に記述可能となる。

 

4)この動画での講演内容は、長周新聞により日本語に翻訳されているので、私は主にそちらで読んだ。https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/34317
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/34414

 

5)ここで5月2日の記事でトランプは単なるポピュリストであると書いたのは間違いであり訂正させていただく。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12899323502.html

 

6)過去の記憶で書いているので、この理解だけでは不十分かもしれない。また文献は存在するが、その思想を日本に具現化する方法とその可能性などについては触れられていない。以下の文献については評価していないが、一応今後の思考のために引用のみしておく。

 

(11:40 改題)

2025年5月17日土曜日

イオンによるカリフォルニア米輸入販売と日本の食料安全保障

コメ価格の高騰が続き、低所得者の食生活は危機に瀕している。政府は備蓄米を放出したと言っても、安いコメは一般庶民の手の届くところには来ない。そこで大手スーパーのイオンは一キロ341円の関税を支払ってカリフォルニア米を輸入し、4キロ税込み2894円で売り出すと発表した。今回の発表は、米国大使館においてジョージ・グラス大使が同席して行われた。

https://www.youtube.com/watch?v=X4gdBXIbUM4

 

 

この価格は、通常の5キロのパックでは3618円となり、現在のスーパーでの日本米の価格よりも10%以上安い。もし関税がなければ、4キロ1530円(5キロ1913円)で販売できた筈である。この関税も現在の13程度にすべきだと思う。もしこの関税が多額になれば、農政の改革に役立てることもできるだろう。農地の大規模化や農業法人としてコメ農家を再編するための資金とすればよい。

 

このイオンの英断に対して、日本の食料安全保障にとって取り返しのつかない一歩になりかねないとの意見がJBpress というビジネス関連のネット新聞に掲載された。この記事は、青沼 陽一郎氏という元テレビ記者の文章である。 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/88351

 

青沼氏は「食料植民地ニッポン」という本を出版するなど、食料政策について詳しい方のようで、今回のイオンによるコメの輸入販売を「日本の食料安全保障」の崩壊の引き金になると憂いているようだが、この方は食料安全保障という言葉を誤解している。

 

経済停滞の30年間を経験し、国民の平均給与が上昇しない中で貧富の差が拡大し、日本人全てがコメを三食食えなくなって、何が日本の食料安全保障か? そんなものはとっくに崩壊しているか、或いはそんなものは最初から存在しない。単に自民党農林族や日本全国の農協という既得権益者の打ち出の小槌を使うときの掛け声にすぎないのだ。

 

 

2)食料安全保障という思想と日本国

 

食料安全保障について外務省は、「全ての人が、いかなる時にも、活動的で健康的な生活に必要な食生活上のニーズと嗜好を満たすために、十分で安全かつ栄養ある食料を、物理的、社会的及び経済的にも入手可能であるときに達成される状況。」と定義している。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000022442.pdf

 

例えば東シナ海などで紛争が起こり、物資の供給が滞ることになった場合、国民の食の安全は数か月の間に崩れる。日本は、米国やロシアのような食料自給が可能な国ではないのだから、食料安全保障はそれらの国々と比較して相当困難な国である。

 

その達成には、優秀な機械等の輸出品を持つことなどで外貨を稼ぐ手段を確保するとともに、円滑な貿易が可能なように国際関係を維持しなければならない。上記文章をHPに掲載しているのが外務省であり農水省でないことが、その現実を如実に語っている。
 

日本においては、食料安全保障は総合的な戦略で達成すべきことであり、単に米くらいは輸入に頼らない体制を守るべきだという簡単なことではない。そのように考えれば、米国との安定で相互に大きな不満を残さない貿易関係維持は日本の食料安全保障の要諦である。

 

今回のトランプ関税はWTO(世界貿易機構)のルールから考えれば暴挙だが、米国との貿易及び外交関係維持のためにも、日本はその暴挙を農政改革の引き金にすべきである。


 

3)日本の農政改革

 

日本のコメ生産に従事する人たちの平均年齢は70歳にもなろうと言われている。

https://losszero.jp/blogs/column/col_268

https://nechiotokoyama.jp/blog/517

 

また、2020年度の農林水産省のデータによると、専業農家の平均年収は約250万円から300万円のようだ。https://agrijob.jp/contents/myagri/rice-farmer

 

このコメ生産農家の状況を見れば、日本政府は食料安全保障に対して全く無策であったことは明らかだろう。それでありながら、コメ価格が倍になっても高関税を放置し、国民の一部に十分食べられない状況を作り出しているのだ。

 

この問題を解くことは簡単である。それは農家の経営規模の拡大であり、若い人たちが農業で将来設計が可能なように農政を改革すべきである。今こそ、農協と自民党農林族という既得権益者を日本の農政から追い出すべき時なのだ。
 

自民党議員たちには難題であるなら、参議院選挙で自民党に投票しないことが何よりの食の安全確保の手段である。

=== おわり ===
 

2025年5月9日金曜日

「信教の自由」が基本的人権として成立した経緯

1995年のオーム真理教による地下鉄サリン事件から30年経過した。あれだけの事件を引き起こした教団だが、姿を変えてはいるものの未だに活動している。その事実は、憲法に信教の自由が基本的人権として明記されていることと、哲学の伝統を持たない日本国民がそれを教条主義的に信じていることと深く関係しているだろう。そこで、この信教の自由の問題を少し考えてみる。

 

「宗教」には二つのタイプがある。一つは個人が生と死と人生を考える中で磨き上げた知恵に関する、例えば仏教のような個人的宗教と、民族や集団が生存と繁栄のために団結する旗頭として生まれた社会的な宗教である。

 

 

社会を分断に導き、教義の延長上で社会的活動に繋がる可能性のある後者の宗教に関しては、国家は無批判に「信教の自由」を保障するべきではない。

 

ここでは、この信教の自由が基本的人権として成立する歴史を考え、そのような考察をする方々への材料としたい。以下は、本ブログ筆者の仮説を出発点とした議論を、チャットGPTが整理しまとめたものである。筆者の本記事を書く意図と、以下の文章のニアンスが若干異なるのは、チャットGPTは現在の主流の考え方を踏襲しているからである。

 

兎に角、一素人の考えとしてお読みいただきたい。

 

信教の自由はなぜ「基本的人権」なのか──少数者が作った普遍の理念


※本記事は筆者の宗教観に基づいた仮説を出発点に、OpenAIのChatGPTによる構成整理・歴史的補足を加えて再構成したものです。筆者が提示した宗教の二類型や歴史的仮説をもとに、ChatGPTが資料の整理・文体調整・論理補強を行っています。
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◆ 序章:信教の自由は誰のためのものか?


「信教の自由は基本的人権である」──この言葉は、多くの国の憲法や国際人権規約に明記されています。しかし、冷静に考えてみると、宗教がしばしば戦争や対立の原因になってきたことを思えば、なぜこれが「自由」や「人権」として特別に守られているのか、不思議に感じる方もいるかもしれません。

この記事では、宗教というものの性質を改めて見直しながら、信教の自由がどのように「国際的常識」になったのか、そしてその背景にあった少数者たちの歴史的な努力について考察していきます。

◆ 宗教には「個人的」と「社会的」の二種類がある
 

筆者の考えでは、宗教は大きく次の二種類に分けることができます。

個人的な宗教:死や苦しみと向き合いながら「どう生きるか」を考える内面的な宗教。仏教などが代表です。


社会的な宗教:集団や種族の結束、統治のために発展した宗教。ユダヤ教・キリスト教・イスラム教などの一神教が代表です。

後者は「神」を中心に据えることで集団の統一を図るため、政治・民族との結びつきが強くなります。そのため、「信教の自由」を主張することは、時に社会秩序への挑戦として受け止められ、争いの火種になることもあります。

◆ 歴史の中で育まれた「信仰の自由」


現代における信教の自由の理念は、長い歴史の中で少しずつ形作られてきました。以下、簡単にその流れを見ていきます。

◇ 宗教改革と宗教戦争


16世紀、ヨーロッパで宗教改革が始まり、個人が自分の信仰を選ぶという考え方が生まれました。しかし、実際にはカトリックとプロテスタントの激しい争いが続き、三十年戦争のような大規模な宗教戦争を引き起こしました。

この時期の「信仰の自由」とは、どちらか一方に従うのではなく、血を流さずに共存するための政治的妥協だったのです。

◇ 啓蒙思想とユダヤ人の知的貢献


17〜18世紀、啓蒙思想のもとで「信教の自由」は理性に基づく権利として理論化されていきます。ここで注目すべきは、長年差別されてきたユダヤ人というマイノリティの存在です。

ユダヤ人たちは知性・教育・経済的な力を武器に、理論的にも実務的にも社会に大きな貢献を果たしていきます。特に、モーゼス・メンデルスゾーンのようなユダヤ系思想家は、信仰と理性の共存を主張し、多様な社会の礎を築く重要な役割を果たしました。

◇ アメリカ建国と制度としての自由


アメリカ合衆国の建国者たちの多くは、宗教的少数派でした。彼らは、異なる宗教を持つ人々が共存するために「政教分離」と「信教の自由」を憲法に明記しました(憲法修正第1条)。これは、単なる理想ではなく、多様性の中で社会を維持するための現実的な戦略でもありました。

◇ ホロコーストと国際化された人権


第二次世界大戦では、ユダヤ人をはじめとする宗教的・民族的マイノリティがナチスによって徹底的に迫害されました。この悲劇の後、国際社会は「信教の自由は人類共通の基本権である」と強く意識するようになります。

1948年に採択された世界人権宣言第18条には、信教の自由が明記されました。この動きには、ユダヤ系の法学者や国際機関の専門家たちが深く関わっており、彼らの知性と経験が国際的価値観を形成する原動力となったのです。

◆ 結びに:少数派が作った「普遍の原則」


信教の自由は、もともと「多数派のための自由」ではありませんでした。むしろそれは、歴史の中で抑圧され続けた少数派が、生き延び、尊厳を守るために闘い抜いて手にした理念です。

それゆえ、この自由は単なる理想主義ではなく、現実の痛みと知恵から生まれた普遍的価値なのです。私たちが今日、信教の自由を当然のように享受しているのは、過去のマイノリティの苦闘と貢献の上に立っていることを忘れてはならないでしょう。

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【筆者の視点】
筆者の宗教観に基づいた「宗教の二分類」および、宗教的マイノリティの役割に関する仮説が、本記事の出発点となっています。

【AI支援について】
記事の構成、歴史的背景の整理、文章の調整等にはOpenAIのChatGPTの協力を得ています。

 

(以上)

2025年5月6日火曜日

YOUTUBE等SNSでインフルエンサーとなった人たちによる偽情報のばら撒き

youtube等のSNSでは、その分野の専門家でなくてもインフルエンサーとなって様々な言論を映像に乗せて公表することが出来る。それは知識を広めたいという善意でなされたとしても、受け手が一人の素人の観察・知識・意見であるとの了解を持たなければ、善意の目的に反してむしろ危険である。

また権威ある専門家でも、一般公衆に知識を広めると言うこと以外の動機、例えば政治的動機のもとになされれば、歪んだ情報は真実の外装を伴って広く伝搬される危険性がある。インターネットを手にした人類は、非常に高い情報伝達効率を実現したが、それに翻弄されない為には、受信者はより慎重な姿勢と情報浄化能力を持たねばならない。

 

受信側がSNSへの対応能力を持たなければ、そこでのやり取りから一般市民の意見が沸騰し、社会を混乱に導く可能性がある。本ブログ記事は、その危険性への警戒の必要性を示すためである。

一つの例をあげる。youtubeで主に政治分野のインフルエンサーとなった茂木誠氏とジェイソンモーガン氏の著作「西洋哲学入門」が別のあるyoutuberによって紹介されていた。その紹介動画によると、たいへん興味ある題材に関する本なのだが、誤解を招く部分も非常に多いと思った。(補足1https://www.youtube.com/watch?v=xfh18CPrlnk

 

 

この本は、二人のyoutuberの対談本であり、SNSの延長上にある本と考えられる。その紹介された内容から、二人の哲学や宗教に関するyoutubeでの会話(補足2)に、「西洋哲学入門」という表題を付けて出版し売り出したように思われ、そのような題名を付ける傲慢さにあきれる。

 

勿論その責任の大きな部分は出版社にもあるのだろうが、やはり最終責任は著者が負うべきである。youtubeでの配信の感覚で出版されたのだろうが、ここで紹介された本を哲学入門書と思って買った人はとんだ思い違いをしていることになる。

二つだけコメントをアップしたので再掲する。この動画の17分頃のジェイソン・モーガン氏の科学と科学者についての誤解に対して、そしてもう一つは4分半頃からの哲学と宗教を混同した議論に対して、それぞれコメントした。(コメントの当否は動画を視聴して判断してもらいたい)

コメント1: (17分から)

「科学とは何か」と言うことを科学者自身が忘れているようです。今日では科学は宗教的になりました。」なんて、無茶苦茶な議論です。確かに科学を誤解している人もいるだろう。しかし、それは科学の責任でも科学者一般の責任でもない。馬鹿な科学者もいるだろうが、そんな安易な一般化は有害無益である。

 

二人は、政治の混乱を文明の問題としてしまっているのである。政治的に動く科学的知識を持った人物の行動や運動を科学の責任とすることにより、その政治運動に正しく対応すべく行動している者たちを邪魔することになると思う。

コメント2:(4分30秒から)

ここでの紹介どおりなら、お二人の著者は哲学を理解していない。哲学は宗教と違って真理を前提としないし求めもしない。そして知識においてパーフェクトを目指すとしても、その時点での知識をパーフェクトだとは考えない。改善が可能だと考える。特定の神を否定するとしても、神という概念を否定しない。仮説をたてるが、それは真実とはしない。

イオニア学派の延長上にあるニュートンの自然哲学を例にとると、万有引力の法則は真理ではなく単なる仮説である。真理を前提としない自然哲学、つまり科学は、その姿勢故に量子力学を生み出し、近現代の科学技術の基礎となった。その恩恵を受けていながら、それを病の元だというのは全くおかしい。

 

尚、これまでお二人の政治活動家としての意見をyoutubeで聴き、日本の為に良い活動をされていると思っている。それだけに、このような内容の文章を書くのは残念である。兎に角、反対意見を聴き、それについて議論することが、真実を目指す唯一の方法である。傲慢であってはならないと思う。

補足:

1)このyoutube動画に対して、原著者と思われる方からのお礼のメッセージとそれへの返答がコメント欄にあり、紹介内容が原著者の期待通りだったように思われる。

 

2)この本は二人の複数のyoutube動画での会話をまとめて整理したものだと思う。それらの一つは:https://www.youtube.com/watch?v=jTIuBNVHtis 

 

==== 13:00編集 ====

 

 

 

2025年5月2日金曜日

トランプを失敗に導く閣内ネオCたち

トランプ政権からイーロン・マス氏が去ることで、政権内部の戦争屋ネオC(neo-conservative)勢力のシェアが高くなる。その結果、トランプ政治が経済政策でも国際政治でも当初の発言とは異なる方向に進む確率が高くなってきた。

 

 

経済では、トランプの相互関税の考え方は、現在の高度な技術で成り立つ産業とそれが能率よく働く環境である現在の世界経済体制(WTO体制)とは矛盾し、トランプが強権的にこの方向を進めば、世界経済を破綻に導く可能性が高い。(46日の記事)https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12892765634.html

 

このトランプ関税に関する最初の記事以降においては、基軸通貨としてのドルの防衛や安全保障のための製造業再興などというこの政策の意味を考えたが、それらに対する深い戦略はトランプには無かった可能性が大きい。トランプは単なるポピュリストなのだろう。
 

そのように思うようになったのは、トランプ政権がウクライナとのレアアース資源の共同開発に同意し、今後ウクライナの軍事支援に向かう可能性が出てきたことである。https://www.yomiuri.co.jp/world/20250501-OYT1T50160/

 

採算が取れるかどうか分からないようなウクライナの鉱物資源の開発に、ゼレンスキーの目論見通りに米国が真面に取り組む姿勢は、ロシアとの戦争に本格的に関わることを意味している。

 

この時点までゼレンスキーを正規の大統領として認めるトランプの資源外交は、二重に愚かである。一つは、採算面の考察が十分なされていない可能性が高いこと;二つ目には、ゼレンスキーが大統領のままでは、東部四州にあるレアアース開発などでプーチン・ロシアと衝突する可能性が高いことである。

 

その延長上に、第三次世界大戦に進む可能性も再び浮上してきたと思う。そうなれば、トランプは一緒にロシア潰しを再開するべく、もう一度NATOを強化するのだろうか?
 

2)エマニュエル・トッドとジム・ロジャーズが語るトランプ関税政策

 

エマニュエル・トッド氏は、池上彰氏との対談で「日本は今後核武装をした上で何もしないことを勧める」という言った。これは、米国との同盟関係を薄くしていくことを勧めるという意味だろう。(補足1)

 

米国が今後、世界の政治経済を破壊する渦の中心となっていくなら、それが最も重要な採るべき戦略だろう。しかし、残念ながら日本人には核兵器を持つ決断など出来そうにないし、日本の政治家に米国べったりの外交を止めさせるのは無理だろう。

 

トッド氏は、トランプの関税政策が失敗する理由をわかりやすく解説している。世界の基軸通貨発行国という立場で発展した米国の金融業は、製造業を荒廃させることに繋がったというのである。そして今や米国は、金融家の住処であり、技術者がそれと同等に評価される国にはなり得ない。

 

その製造業を再興すべきだというトランプの直観は正しいとしても、諸外国に対し暴力的姿勢で高関税政策を用いることでは目的は達成されないと話す。トランプの保護主義は、知性もそれに基づく慎重さもなく、おそらく失敗するだろうと話している。https://www.youtube.com/watch?v=POBnU-knw_E

 

 

更に、トッド氏は今後米国はウクライナにおいても、米国の政治と産業の敗北という意味を持つと話す。


これまで、ベトナムやアフガニスタンなどで米国は敗北をしてきたが、米国にとっては民族内外の争いへの介入失敗として片づけられる敗北だった。しかし今回のウクライナ戦争は、ウクライナを雇って戦った米国とロシアとの本格的戦争であり、それに失敗することは歴史上初めての米国の敗戦ということになる。

 

その大きな原因の一つは米国の製造業の衰退であると話す。つまり、武器の開発競争でもロシアの後塵を拝することになったと考えるべきだと言うのである。

 

更に、世界の三大投資家の一人として名高いジム・ロジャーズ氏も、今後数年内に世界経済は困難に陥るだろうと話す。トランプの米国製造業の復興を目指しての関税政策は、世界経済を停滞させ、それが米国にも波及すると話す。https://www.youtube.com/watch?v=fDemZJp6v5k

 

 

 

3)米国ネオCが根を張りつつあるトランプ政権

 

上に引用の話の中で、ジム・ロジャーズは、教え子とも言えるイエール大学の後輩のスコット・ベッセント氏(財務長官)について、彼は優秀な人物だったと話している。イエール大学といえば、スカル&ボーズの会員(補足2)を含め米国のネオCの方々が多く卒業している。

 

ベッセント財務長官はその経歴からもネオCであると思われる。ジョージ・ソロスの配下として金融界で活躍したベッセント氏は、何もかも承知の上でトランプの関税政策に協力している可能性が高い。無能なイエスマンである筈はないだろう。

 

今回のウクライナ戦争で、トランプ政権を停戦の方向から戦争継続の方向に軌道修正させるべく働いているマルコ・ルビオ国務長官も、本質はネオCだろう。

 

 

彼らの力が徐々にトランプ政権下の米国を戦争から米国自壊へと導くグローバリストの既定路線に導いているように見える。
 

以上は、元理系研究者という素人による観測ですので、文系を専門とする方のコメントを頂ければ幸いです。

 

 

補足

 

1)キッシンジャーの発言を味わうべきである。彼はベトナム戦争のあとで、「アメリカの敵になることは危険かもしれないが、友人になることは致命的である」と語った。この言葉を今深く味わっているのはウクライナの人たちだろう。そして、そのあと同じ言葉を深く味わうのは日本人かもしれない。

 

 

2)スカル&ボーンズ(髑髏と骨)はイエール大学の秘密クラブで、ブッシュ大統領やその一族もその出身である。歴代CIA長官も、その秘密結社の出身者(ボーンズマン)が就任しているという。

(翌早朝2、3の修正の後最終稿)