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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2020年4月30日木曜日

新型コロナ肺炎と人類との戦いの歴史

新型コロナ肺炎(COVID-19)の問題を本格的に考え続けて、2ヶ月以上になる。ここで、ほぼ全体が見えてきたように思う。この病気が世界的大問題となった背景には、恐らく、人類の脆弱化と複雑な国際政治があるのだろう。この問題を、一般肺炎による死者数の年間12万人という数字で相対化してきたつもりだが、政治の貧困に対する攻撃により、取り扱いが大きくなり過ぎたかもしれない。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12580811884.html

 

この病気には、本当は集団免疫を得るまで緩やかな規制を続け、高齢者と基礎疾患保有者を隔離する方法をとり、結果としての相当の被害には目をつぶるスウェーデン方式が、賢明な政策だったのだろう。それは、都市閉鎖など力ずくで抑え込んだとしても、集団免疫が出来なければ、第二波と第三波などが来た場合、経済の疲弊による被害の方が大きいかもしれないからである。

 

しかし、世界ではSocial DistanceとかLock Down とか言って、強い規制がCOVID-19に対する正当な戦略であるとの考えが主流である。それは個の主張が極大化した現在、それと反比例的に人間社会が脆弱化したことの裏返しかもしれない。疫病の世界でのパンデミック自体はそれほど大きくは無くても、国際政治の舞台ではズームアップされたり、過度に照明されたりして、狂気の支配が始まっているのかもしれない。ここで、一度全体を振り返ってみる

 

1)第一波流行における中国の責任

 

武漢や重慶など巨大都市では、中国政府はほぼ完全な都市封鎖を行った結果、現在ではこの疫病を完全に抑え込んだとしている。4月27日には、武漢での入院患者ゼロを宣言した。その結果、中国全土での死亡者総数は、最近統計に漏れて居たとして加えた1200名を入れても、4633名(4月29日現在)であり、現在の米国死者数の1/13に過ぎない。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200426/k10012406651000.html

 

中国で発表された、(検出された感染者の数を分母にしての)致死率は、武漢で5%程度であり、他の省では平均して0.8%程度である。(抗体検査などで見積もった)実際の感染者数を分母にすれば、数値は数分の1になるだろう。(補足1)これらの数字から、COVID-19に関する国際紛争において中国がとる戦略が読める。中国は、医療崩壊を引き起こさなければ、中国発のCOVID-19の致死率は小数点以下(%)であり、普通のインフルエンザレベルの病気であると主張するだろう。

 

①インフルエンザが何処で発生しても、その責任追及は国際慣例として行われて来なかった。従ってCOVID-19が最初中国の河北省で発生したとしても、その責任を欧米が提示する様には負いかねると主張するだろう。逆に、それが可能な様に数字を抑えているという見方も存在する。また、②武漢の5%を超える高い致死率は医療崩壊の結果であり、他国に非難されるべき対象ではない。更に、③その後欧米でウイルスに変異が起こって大きな被害が出たとしても、それら変異株がそれらの国の諸条件下で生じたものなら、中国の責任だと攻撃するのは論理的でない。

 

これらは、元のウイルスが天然に発生したウイルスであったなら、ほぼ正当な主張であると思う。更に北京政府は、流行初期に隠蔽したこと、そしてそのために武漢の李文亮医師らを弾圧したことは、全て湖北省地方政府担当者の犯罪行為であったとするだろう。ただそれも、「流言飛語により医療崩壊を起こす危険性を察知してのことであり、弁護の余地もある」として、トカゲの尻尾切が可能である。

 

中国政府は、通常のインフルエンザレベルの風邪の流行の原点になった責任は、都市封鎖により制圧したことで完全に果たしたと主張するだろう。4月下旬以降、旧満州地方でのCOVID-19の流行は、上述のように外国から持ち込まれた変異株によるものであり、この流行第二波においては中国は被害者であるとの主張し、その声は時間を経るに従って大きくなるだろう。

 

以上のような戦略で、中国はその責任を最小限に抑える戦略をとると思う。それに同調する国として、セルビアやエチオピアなどの親中国家が準備されている。

 

元の数値はジョン・ホプキンス大の発表しているデータから取った。https://coronavirus.jhu.edu/map.html

 

2)COVID-19流行第二波による被害とウイルスの変異株について

 

最初の流行(第一波)を、2−3ヶ月かけ都市をロックダウンして抑え込んだ場合、大きな集団免疫は出来ない。そこで、経済活動を再開すれば、一定期間後に第二波がくる可能性が大である。それは、特効薬やワクチンができない限り必然だろう。変異株が生じた場合、その被害は更に深刻になるだろう。

 

既にこの第二波が中国で起こり始めているようだ。(上のテーブルの黒龍江省や内モンゴルのデータを見てもらいたい。)欧米からの逆輸入による第二波に関しては、中国は被害国であるというのが、中国の考える歴史の筋書きだろう。勿論、それは事実かもしれない。ただし、COVID-19パンデミックに人為的要素が無い場合に限られる。

 

欧米では第一波が既に大流行となり、模範的な対策を取っているドイツやスイスでも検出感染者数を分母にすれば、致死率は5%を超える。フランス、イタリア、スペインなどでは、10%を大きく超えるだろう。それは韓国の2.5%、中国の武漢以外の0.8%より遥かに大きい。

 

この欧米での深刻な被害の理由は、変異株によるのだろう。最近のProNAS(米国科学アカデミーの論文誌)に掲載された論文では、幾つもの変異株とその変異ルートが記載されている。そこではメインな変異株として、A, B, Cを上げている。Bは東アジアでメインであり、Cは欧米及びブラジルで猛威を振るっているもののようだ。そして、Cは中国本土諸省では見られなかった変異株であると書かれている。(補足2)https://www.pnas.org/content/117/17/9241

 

つまり、中国が考えた通り、欧米での大流行は、変異したウイルスによるのであり、中国本土で発生したオリジナルなウイルスではない。最近、国立感染症研究所の報告によれば、4月に入って日本で急激に流行拡大しているのは、欧米から流入したものだと言う。多分、上記タイプCが日本でも猛威を振るっているのだろう。https://www.youtube.com/watch?v=pDLXTTKRRB4

 

この変異の速さと、ウイルスの凶暴化は、どのように説明されるのだろうか。更に、変異を続ければ、仮に一旦集団免疫ができたとしても、それは変異株には万全でない可能性がある。人類にとって、最大の危機なのかもしれない。 

 

中国は、国家の威信を掛けて、COVID-19を抑え込んだ。それは、上記のように欧米からの賠償要求を斥けるため、或いは、最小限に抑えるためには、相当役立つだろう。ただ、医療崩壊がなかった武漢以外の省での都市のロックダウンは集団免疫が出来ないので、第二波の流行を考えれば良い策ではなかっただろう。

 

それも中国は十分知っていた筈である。それでも尚、武漢以外の大都市、例えば重慶などを都市封鎖したのは何故か?

 

最初から、何処かに不自然なものがある。中国の主張する流行のモデルと異なり、最初の発病者が武漢の海鮮市場とは無関係のところで生じていること、P4研究所の地図上での消滅(https://www.youtube.com/watch?v=Cm0lZ8uDYRE;12分ころから言及)、更に、最初にこの病気に対する警告をネットにアップした李文亮医師らへの武漢政府の弾圧など(死後北京の中央政府は表彰したのだが)、賠償問題とは別に中国には説明する道義的責任がある。

 

3)治療法の無いパンデミック疾患は、集団免疫ができるまで続く?

 

集団免疫の話では、国際政治評論家の田中宇さんが、昨日配信のメルマガで議論している。(http://tanakanews.com) 田中氏の引用文献によれば、このSARS-CoV2ウイルスに対して免疫を持つ人は、河北省武漢でさえも人口の3%に過ぎないとのことである。もし3%が感染者だったとすると、河北省人口7470万から計算すると、本当の感染者を分母にした致死率は0.2%となる。武漢を含む河北省での流行でも、インフルエンザの倍程度の致死率だったのだろうか?

http://www.wsj.com/articles/wuhan-starts-testing-to-determine-level-of-immunity-from-coronavirus-11587039175

 

スウェーデンは、最初からCOVID-19の脅威を正しく理解し、弱者を隔離する方法(感染者の隔離ではなく、感染の可能性が大きい無感染者の隔離)を採用した。国家と国民の間に信頼感のある国でのみ可能な方法だろう。そして、世界で唯一、集団免疫を正面から目指す戦略を取っている。田中氏の記事によれば、近くほぼ集団免疫60%を達成するそうである。

 

米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペインなどの殆どの欧米の国々は、強い規制を敷いた。その結果、これら西欧諸国は恐らく5月中に、流行第一波をほぼ抑え込むだろう。これらの国々は第一波の対策で経済的に疲弊しており、第二波や第三波の流行では、ロックダウン戦略を取れず、第一波以上の被害を出す可能性がある。

 

集団免疫を得るまでの最終的な被害者数は、たいして変わらないかもしれないが、経済的損失とそれによる自殺者などの被害を考えると、スウェーデン方式を採用した場合が最小の被害となる可能性が大きいと思う。(補足3)

 

日本は、スウェーデンに近いレベルの緩やかな規制で対処してきた。しかし、その被害は隠れているのではないかと米国から指摘され、現在その規制を強化している(米国により強制されている)と田中宇氏は解説している。(補足4)

 

COVID-19を“武漢風邪”レベルという、与党有力議員(松田学氏;https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12589838716.html)の発言から察すると、日本政府は、集団免疫を達成する方針だったのかもしれない。しかし、それをスウェーデンの様に、国策として正面に掲げると、英国同様、世論に潰される。それをどう実現するかを専門家会議で考えた結果が、クラスターを追いかける戦略(https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/03/blog-post_16.html)だったのだろう。

 

そして、それを正当化すために、最初専門会議の副座長が言った言葉は、「感染者の80%は他人に感染させない」という不思議な台詞である。ドタバタした結果、人的被害を相当拡大することになったのだろう。(補足5)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00011.html


イギリスのジョンソン首相も、最初は集団免疫を作る方向で、多少の犠牲はやむを得ないとは言っていた。しかし国民の非難などがあったのだろう、数日でギブアップした。

 

第二波や第三波は秋以降にくるだろう。繰り返すが、高齢者と基礎疾患を持つ「弱者」のみを隔離し、その他は各自の判断で、感染者がいる空間での活動を許した方が、最終的な被害を考えれば最良の戦略だったのだろう。大きくなった個人の声と、複雑化し狭くなった国際社会の政治という不利な環境で、全体としてみれば民主主義体制を採る国家とその民は、近代文明誕生後の最大に危機にあるのかもしれない。

(午後4時に全体を編集しました。)

 

補足:

 

1) 致死率は死亡者が分子にくるのは自明だが、分母に検出された感染者を置くのか、推測される全感染者を分母に置くのかで数値が大きくことなる。通常最後に残る数値は後者だろう。その場合の分母には、一応疫病が終わったのち一定数の抗体検査から全体の感染者数を計算し、それを置く。例えば、ニューヨーク州での死者数は23,500人ほどであるが、最近行われた抗体検査での感染率13.9%で全感染者を推定すると270万人になる。そうすると、致死率は0.9%以下に落ちる。これでもインフルエンザの9倍程の致死率である。疾病流行の途中なので、本ブログでは一貫して前者の定義を用いてきた。ここでも単に致死率という場合は、分母として検出された感染者を用いた値を指す。

 

2)3月3日に発表されたOxford AcademicのNational Science Reviewに発表された中国の研究者による論文では、主に二つのタイプS(古いタイプ)とL(変異した症状のキツイタイプ)があると言う。類似のものをまとめているので、変異株の数自体は50を超える。Lは武漢で猛威を振るったが、都市封鎖により鎮圧されたようである。このSとLのタイプがあるという結果は日本でも報道された。この論文は、全文PDFで公開されている。

https://academic.oup.com/nsr/advance-article/doi/10.1093/nsr/nwaa036/5775463

 

3) ドイツやスイスでも致死率は患者数の5%程度である。そして、その背後に無症状な感染者が大勢入れば、感染者ベースの致死率は大きく減少するだろう。それでも、集団免疫を目指す方法を取れないのは、20世紀後半から先進諸国の人権意識の高まりと、同時に起こる“命の値段”の高騰だろう。最終的な被害は、スウェーデン方式が最小となると考える人は、知識人の間では多いだろう。

 

4)田中宇氏は、米国にたいする見方が非常に厳しい国際政治評論家である。李氏朝鮮時代の隣国のように、日本では事大主義者(大きな国に従属することが賢明で自然だと考える人)が政治評論家でも主流であるので、タイプが異なる伊藤貫氏同様、日本のマスコミに登場することは殆どない。

 

5)「これまでに国内で感染が確認された方のうち重症・軽症に関わらず約80%の方は、他の人に感染させていません。一方で、一定条件を満たす場所において、一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されています。」と書かれている。

 

2020年4月29日水曜日

中国は新型コロナ肺炎をばら撒いた責任から逃れるために国際紛争を欲している?

副題:中国は今回の危機を、北朝鮮を利用して逃れる計画なのか? 金正恩重体説は、その準備のために流されたのかもしれない。

 

1)幾つかの国際的情報:

 

①新型コロナ肺炎は、国際保健衛生問題から国際政治問題に徐々に変化してきている。そのなかで起こったのが、今回の金正恩重体説である。金正恩が手術をうけたとか、重体であるとか、そして死亡したという説さえある。北京は数十人の医師や政府要人を北朝鮮に送ったという報道もある。

 

【北京共同】北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の健康悪化説を巡り、ロイター通信は25日、状況をよく知る3人の消息筋の話として、中国が医療専門家を含む代表団を北朝鮮に派遣したと報じた。正恩氏の健康状態は不明としている。

 

3人の消息筋のうち2人によると、代表団は中国共産党中央対外連絡部の高官が率い、23日に北京を出発したという。北京では22日の時点で既に、宋濤中央対外連絡部長が軍病院の医師らを連れて訪朝したとのうわさが出回っていた。情報は錯綜しており真偽は不明。ロイターはまた韓国の消息筋が24日、正恩氏は生きており、近く姿を現す可能性が高いと語ったとも伝えた。(徳島新聞)https://www.topics.or.jp/articles/-/355653

 

②また、重大なのは中国軍30万人が中朝国境付近に集結しているという話である。今日の水間TV(朝霞さんの情報を流している)では、ミサイルや戦車などを丹東に運び込んでいるという。https://www.youtube.com/watch?v=R4THpcpm6Yw

 

また、従来から情報配信人は明確ではないが、秘密情報的なものを流している人のサイトでは、米軍のB5(B51 or B52?)爆撃機や偵察機が朝鮮半島の周りをグルグル動いているという話である。(補足1)https://www.youtube.com/watch?v=5RfwHikvngA

 

③更に、トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領が25日に発表した共同声明を出したと、日本経済新聞が報じている。

 

第2次大戦中に米軍と旧ソ連軍が不戦の誓いを交わした「エルベの誓い」から75周年を祝す共同声明を発表した。誓いについて「我々が大きな目的のために双方の違いを乗り越えて信頼や協力関係を構築できることを示す事例だ」と指摘した。記念日を利用し米ロの関係改善の糸口をつかみたい両首脳の思惑がにじむ。

 

声明は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を念頭に「我々が21世紀で最も重大な課題に直面するなかでファシズム打倒のために戦った人々に敬意を表す」と強調した。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58515520W0A420C2FF8000/(補足2)

 

 

2)それらの相互関連を想像する

 

①と②の関係は、明らかに北朝鮮で何らかの政変を予想して、米国と中国が動いているということである。しかし、その動きが単に金正恩の病気と関連しているという考え方で解釈可能なら、③をここで取り上げない。

 

北朝鮮問題に詳しい筈の韓国が、金正恩重体説を取っていないことが重要である。つまり、北朝鮮情勢についての動きが、中国主導で起こっているという見方をする人がいる。

 

今回のコロナ問題で、世界中から嫌われ者となり、更に、方方で裁判が起こされ、中国が危機的情況に近づいている。そこで、中国は国際社会を混乱に誘導し、その動きを雲散霧消させる戦略をとる可能性があるという考えである。

 

その候補としては、「台湾併合」と「北朝鮮の内乱及び人民軍の投入」がある。後者は、朝鮮戦争の再開、或いは、新バージョンの朝鮮戦争とも考えられる。ただ、金正恩は南に攻め込むことなど考えていないので、中国の一方的介入なのかもしれない。

 

或いは、金正恩が本当に重体であり死亡した場合、中国にとっては渡りに船ということになるかも知れない。軍経験もなく、女性である金与正が、すんなり後継にはなれないだろう。北欧から帰った叔父が後継になる場合は、粛清を恐れる金正日派は、立ち上がる可能性があるというのである。そこで、内乱を防止するか、内乱が起これば鎮圧する役割を中国が果たして、国際社会にコロナ肺炎の借りを返すのである。

 

ただ、その目論見を米国やロシアがそのまま受け入れる筈はない。北朝鮮まで手に入れるというのは、消防士の振りをした火事場泥棒だからである。おまけに、欧米からの請求書を燃やしてしまおうというのだから。

 

兎に角、近々何らかの動きがあるだろう。その時、まともに現象が観測する準備として本稿を準備した次第。本稿はあくまで素人による私的メモです。

 

補足:

 

1)出所不明の情報は、ガセネタである可能性が高いが、信頼度の高い情報源と最終的に接続される説を継続して流しているのなら、重要な情報源である可能性がある。その一つかも知れないと思って、屡々聞いている。

 

2)最近、新聞を中日から毎日に替えた。毎日はこの情報を報じていない。ずっと前から、日本経済新聞が最も政治問題を正しく報道していると思う。

2020年4月27日月曜日

新型コロナ肺炎: 日本のピークは3月だったのか?(改訂版)

昨日の記事(姉妹サイト)は不十分な内容でしたので、改訂版をここに記載します。

 

1)新型コロナ肺炎:日本のピークは3月だったのか?

 

おととい、「新型コロナ肺炎: NY州での抗体検査結果と集団免疫戦略の合理性」という題で書いた記事の中の最後に、日本、ドイツ、韓国の感染者数の経時変化のグラフを示した。そこで、「日本の感染者数の時間発展プロファイルは、韓国とほぼ同じだったのではないのか?」という推測を行った。下の左図の茶色の曲線である。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12592231578.html

日毎の新規感染者数は累積患者数を示す曲線の傾きになるので、この茶色の想像した曲線は、その最大の傾きが3月上旬(韓国同様)になるように書いた。参考のため、累積感染者数と毎日の新規感染者数の関係を右図として示した。図の無視された感染者は、通常の風邪、インフルエンザ、肺炎として扱われただろう。死亡者の統計も、そのように分類処理されただろう。

 

今朝、上記と類似の内容の記事が既に出ていたことを知った。それはデイリー新潮23日の記事である。それを紹介するヤフーニュースによると、医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は、以下のような考えを披瀝している。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200423-00622629-shincho-soci

 

「国立感染症研究所の『インフルエンザ関連死亡迅速把握システムによる2019/20シーズン21大都市インフルエンザ・肺炎死亡報告』によれば、この冬はインフルエンザが流行しなかったのに、東京では2~3月、ほぼ毎週100人以上が亡くなっています。断定はできませんが、そこに新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった人も含まれているとしたら、2~3月にはピークが来ていたことになる。たしかに韓国や台湾のピークが2~3月だったのに、日本だけズレているのは不自然です」

 

今日紹介するのは、この考え方を支持すると思われる、東洋経済ONLINE発表のデータである。それによると、新規の感染者や重症者の数が、PCR検査人数と強い相関がある。感染者を全て検出するという本来の目的からは、検査数が圧倒的に感染者数よりも大きくするのが普通である。検査数は、週末には殆どゼロであるにも拘らず、本日の新規患者数は100人を切りましたなどと何食わぬ顔でテレビで発表している。その異常さに言及するには、言葉は見つからない。

 

因みに、完全な相関とは、感染者数が検査数に比例する場合である。つまり、感染者数は、検査数に完全に依存し、検査数に単に比例定数Cをかけた数になる。この情況は、感染者が検査で発見される人数よりも遥かに多く、検査の及ぶ範囲に均一に分布している場合である。

 

強い相関とは、そのCは一定ではないが、検査数の増加により緩やかに減少するような場合である。この情況は、検査で発見される人数よりも可なり多い感染者が、検査の及ぶ範囲に均一に分布している場合であり、今回のケースに相当する。(補足1)

 

上の図は、東洋経済ONLINEから取って並べたものである。①新規感染者数(左上)、新規患者数(右上)と左下のPCR検査人数に共通する最近の3つの山を見れば分かるように、強い相関を示している。更に、②新規重症者数(右下;y軸の最大値は見にくいが25人である)とPCR検査人数との相関も同様である。

 

②の相関は、新規に担ぎ込まれた人が非常に短い時間で重症化していることを示している。つまり、発見済みのクラスターとの関連でPCR検査を受ける人以外は、殆ど重症化して初めてPCR検査の受診資格とみなされているのだろう。その最悪の場合が、最近になって行われる様になった死後のPCR検査である。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200421/k10012398841000.html

 

検査数を現在よりもずっと多くし、医師の病状による判断で完全に決めれば、検査数や新規感染者数に、上図のような大きな増減は無いはずである。また、新規重症者数と検査数との相関は殆どなくなる筈である。そもそも、検査実施数をデータ化して、記録を残す人は居なくなる筈である。

 

現在、症状が相当あっても、検査を受けられない人が多い情況であるから、少なくとも東京はクラスター潰しをする段階ではないと思う。(補足2)

 

検査数を制限するのは、病院のベッドに収容できる範囲で感染者を選ぶために、有症者でも検査を制限しているからである。つまり、ベッド数の増加や医療従事者の確保の努力を政治主導で行わず、命の選択を保健所にやらせているのだろう。

 

2)PCR検査の地域依存性:

 

PCR検査のあり方がCOVID-19に罹患した人の為に行われているとは言えないと思われる別のデータを示す。それは都道府県別の検査件数と検出された感染者数、およびそれらの間の比率である。元のデータは東洋経済ONLINEである。以下に、感染者の多い9つの東道府県について示す。

 

注目されるのは、感染者数がすくなくなっても、検査数自体があまり減少せず、検出率が大きく減少していることである。このデータは、検査数が伝染病対策としてでなく、他の理由で決められていることを示している。つまり、発表する感染者数を小さくしたいという政治の意図が働いているのだろう。素直に解釈すれば、病院における医療崩壊の防止である。

 

最大の検出率の東京都の場合、今日27日の感染者は39人であり、そのうち38%にあたる15人の感染経路が分かっていないと発表されている。つまり、検査をすれば40%が陽性になり、大抵その半分程は感染経路が明らかでない。それにもかかわらず、相変わらず感染経路に関する調査が、この疫病での保健所の主な業務として行われているのである。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200427/k10012407421000.html

 

兎に角、何故大きな人口を抱え、感染者も多数ある東京都などと、その数分の1の人口の県で、検査数があまり変わららないが、感染率が大きくことなるという上記データを、まともな政策の結果だとは解釈できない。唯一、特に東京における低いPCR検査数は、政治がこの疫病に対する医療体制の整備行わなかったことを誤魔化すために、帳簿上の患者発生数を低く抑えるためという理由が頭に残る。

 

それは政府が、オリンピックを中止したくない為なのか、習近平に対する忖度なのか、その両方なのか分からない。この疫病が発生し、日本で広がり始めたときから、このような事態は予想されていた。本ブログでも2月の10日に「新型肺炎のパンデミックは短期終息しない可能性が高い(追補あり)」の表題で、以下のように書いている。

 

日本では感染率、更にこの病気での致死率が低いということで、それほど神経質にならないでも良いのではないかという論調の意見も聞かれる。未知な病気に対決しているという緊迫感のない対応では、禍根を残す事になりかねないと思う。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12574178074.html

 

補足:

 

1)遥かに多い感染者が、検査の及ぶ範囲内(人数や面積)に不均一に分布している場合、検査数と感染者数の相関は小さいだろう。

 

2)検査実施を医師の判断に任せる場合でも、検査希望数よりも検査能力が十分大きい場合、検査数と感染者数は相関する。あとのセクションの表の数値は、このような情況では無いことを示している。クラスター潰しでの感染者検出率が、医師の判断で行った有症状者の感染率より低くなったところで、重点を後者に置くべきだと考える。

 

kai

2020年4月26日日曜日

日本は主権を回復していないのか? チャネル桜の愚論

チャネル桜の以下の討論番組の最初5分だけ聞いた。西岡さんの意見を聞いただけで、力尽きた。聞くに耐えないのである。それは昨夜Youtubeにアップされた以下の表題のものである。


【討論】日本独立と主権回復は消えたのか?[桜R2/4/25]https://www.youtube.com/watch?v=gii60QZXma0

 

その最初の発言者の西岡力氏は次のように言った。

 

「日本が未だに独立国にはなれないのは、そして、独自軍を憲法改正して持てないのは、歴史認識問題と裏表の関係にある。慰安婦問題や南京虐殺のプロパガンダを日本国民は受け入れていることがある。つまり、“日本国民の中に魔物が棲んでいる。危ないので、日本に軍隊を持たせてはいけない”という外国の考え(補足1)を、日本人は受け入れているからだ。」

 

この発言は典型的な日本の右派の考え方だが、失礼ながら、非常に愚かな発言だと言わざるを得ない。西岡さんの北朝鮮に拉致された人を救う活動に努力されてきた。そのことには頭が下がる思いだが、発言でおかしなところはやはり指摘しておきたい。

 

そこで、コメントを書いた。

 

日本は主権を回復している。何故なら、憲法改正は国会で議決して、国民投票で行えるからだ。日本人は歴史認識問題で洗脳されているというが、それは明治以降の歴史を日本が教育してこなかったことと関連する。外国の責任にするのは間違いだ。

 

日本国民の多くが、日本政府を自分たちが選挙権を行使して作り上げたという自覚があるのか? 日本政府は日本国民に信用されているか? Noだろう。何故か? 何故、あの戦争で300万人が死ななければならなかったのか? 何故、その大失敗をした政府と同じ勢力が、現在の日本の政治を牛耳っているのか?

 

何故、中国と仲の良い人達が、今の政府の中心にいるのか? それらに答えてから、瓶の蓋論に言及すべき。

 

西岡さんは、次のような発言もした。

 

②「憲法9条第一項は国連憲章の内容であり、国際標準である。問題は第二項だ。何故、日本は国軍を持ってはいけないのか?」

 

それについては、以下のようなコメントを書いた。

 

国連憲章と9条一項は同じような内容だから国際標準だという認識は完全に間違い。国際機関と独立国を同一視してはいけない。憲法改正出来ないのは、歴史認識が問題だが、それはあの戦争だけではない。あの戦争によっても日本は連続して同じ人たちが政権の座にある。それが問題だ。日本人は日本の過去150年の歴史を消化していない。現在の政府は誰の代表なのか? 本当に日本国民全ての代表なのか? それも考るべきだ

 

川口マーン恵美さんと、正論の編集の方の意見も最初の方は聞いた。しかし、もううんざりだ。5分以上は、かれらの話など聞けない。かれらの想像力、思考力のなさは、伊藤貫さんや西部邁さんの言うとおりだ。

 

補足:

 

1)西岡氏が引用したのは以下の二つの日本人論である。

 

①米国の瓶の蓋論:

1990年3月27日付ワシントンポスト紙に日米関係の歴史に残る発言が載っている。「瓶のふた」発言である。在日米海兵隊ヘンリー・C・スタックポール司令官(少将)による次のような発言である。

「もし米軍が撤退したら、日本はすでに相当な能力を持つ軍事力を、さらに強化するだろう。だれも日本の再軍備を望んでいない。だからわれわれ(米軍)は(軍国主義化を防ぐ)瓶のふたなのだ」。https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0302S_Z00C12A2000000/

 

②リー・クアンユーの日本人アル中論:

シンガポールのリー・クアンユー(英語: Lee Kuan Yew, 中国語: 李光耀)は、アジアの政界でも稀有な「日本通」であった。彼の名言は30年近くたっても度々引用されている。その代表的なものは、1991年に日本が初めて海外派兵をした時のもので、彼はこう警告している。

 

「アジアの多くの人々は、日本が平和維持活動に軍事的に参加しないよう望んでいる。もし参加すれば、アルコール中毒患者にウイスキーボンボンを与えるようなものだ。」日本の対外侵略史については、「日本人は近代史の中の美しくない歴史の1ページから目を背けるべきではない。公開討論は被害者に発言の機会を与え、浄化作用をもたらし、清々しい未来を築くであろう」と主張している。

http://look-malaysia.com/2019/03/19/%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%81%AE%E8%AD%A6%E5%91%8A/

新型コロナ:ロックダウン方式とスウェーデンの緩やかな規制の比較

新型コロナ肺炎などのパンデミックが起こった場合、街をロックダウンして、早期に感染を終結させた場合の方が、人的被害が少ない。(下図の上)しかし、ロックダウンによる経済の停滞から、再スタートがかなり困難になるだろう。

 

そこで、スウェーデンでは重症化しやすい老人を隔離するが、それ以外は全体的にマイルドな規制で、感染ピークを右に移して医療崩壊を防ぐが、老人は感染させないという方針以外は、感染そのものを避けることはしない。都市の一定が免疫を獲得すれば、自然に流行が治まるだろう。https://www.jiji.com/jc/article?k=2020042300702&g=int

 

スウェーデンでは25日の時点、人口100万当たりの感染者が約1730人なのに対し、死者は同210人程になる。厳格な外出規制を実施している隣国フィンランド(808、32)やデンマーク(1417、70)などと比べ高い致死率で、封鎖しないことによるリスク増に対する懸念も強い。(補足1)

 

上記JIJICOMの報道では、「スウェーデン保健当局の疫学者、アンダース・テグネル博士は最近、地元メディアに「首都人口の多くが免疫を獲得し、感染抑止に効力を発揮し始めた。数理モデルは5月中(の集団免疫達成)を示している」と解説。」

 

集団免疫が出来れば、その後外国から感染者が入国しても、第二波の大流行はおこらない。従って、その後の経済活動も再開が容易である。その一方、厳格な規制で多くの人が感染しないで、抑え込んだ場合、外国からウイルスが持ち込まれた場合、第二波の大流行が起こる可能性が高い。(補足2)

 

つまり、スウェーデン方式では、第一波で死者数がかなり多く出るが、第二波や第三波の流行を考えた場合、全体の死者数が厳格な規制を行った国の人口当たり死者数も、同程度になる可能性もある。

 

緩やかな規制と老人の隔離というスウェーデン方式では、経済的影響は非常に少ないという大きな利点がある。その結果、社会不安による死者などの被害を大きく減少させられる可能性が高い

 

補足:

 

1)ただ、オランダ、英国、フランスなどよりも人口当たりの死者が少ない。国家間の比較は簡単ではない。

ロックダウンの間の休業補償が為されないと、復興に非常に長時間を要する。この場合、独裁的な権力による政治では、その間の賃貸料や延滞金など請求権を放棄させるなどして、まるで時間が飛んだような状態で経済活動の再開が、自由主義圏よりは簡単だと思われる。

 

2)基本再生産数が2.5の伝染では、人口の6割が感染すれば、徐々に流行は治まる。そのときに出来た免疫が持続すれば、第二波はおこらない。しかし、厳格なロックダウンで、人口の大部分が未感染のままで、流行が治まった場合、結局人口の6割が感染し免疫を得るまで、何度も流行の波が生じる可能性が高い。

2020年4月25日土曜日

新型コロナ肺炎: NY州での抗体検査結果と集団免疫戦略の合理性

1)NY州での抗体検査の結果とその解釈:

 

昨日朝のヤフーニュースの記事では、NY州で3000人を対象に行われた抗体テストの結果、州の住民13.9%にCOVID-19 の抗体が確認されたという。それを州の人口1945万人を掛けると、累積感染者数として270万人が推定される。

 

米国の記事には、クオモ知事の言葉「この数字と死亡者集計値から算出した推定死亡率は0.5%となる。これは、一部の専門家が懸念していたよりも低い水準」が掲載されている。疑問が専門家から出されているので、検査の詳細を再検討することが必要であるが、以下検査は正しく行われたとの前提で議論する。(補足1)

 

上記0.5%という推定が成立するためには、抗体検査の日(4月20、21日)に陽性となった人と同時期に感染した人のほとんど全てが、既に死亡か回復のどちらかに割り振られていなければならない。この判断に必要な「感染後どのくらいの期間で抗体が出来るか?」という情報を探していたら、国立感染症研究所の報告を見つけた。そこに、RT-PCR法(補足2)で発症が確認された人の血清を用いて、抗体検査を行った結果が示されていた。

 

それによると、IgG抗体産生の率は、発症後1−6日で7.1%、7-8 日で25.0%、 9-12日で 52.4%、 13日以降で96.9%だった。IgM抗体は、発症後1−6日で陽性率0%、12日まででは高々10%の検出率であり、COVID-19の感染検査には、IgGのみが有用であると書かれている。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/9520-covid19-16.html

 

つまり、検査を受けたがIgG抗体生成のための感染(及び症状の発現)が大体4月10より前であり、大体4月15日の累積死者数が13500人以下なら、クオモ知事の計算はほぼ正しいこととなる。つまり、米国ニューヨーク州では、新型コロナ肺炎の致死率は、インフルエンザの5倍程度ということになる。

 

もちろん重要なのは、1675万人は未だ未感染であるということである。致死率が0.5%程度だと喜ぶのは如何なものかと思うが、最大限の人的被害が見えた点は、大きな安心材料である(繰り返す:検査キットが完璧だということが前提)。インフルエンザの5倍程度の致死率なら、今後は日本風に、集団免疫をつける方向に舵を切るだろうか?

 

2)NY州における抗体検査結果の解釈;

 

現在までこの病気(COVID-19)を見てきた専門家の考えでは、感染後5日程で何らかの症状が出て、更に一週間後位の間に感染者の80%は回復する。そして残りの20%位の人に肺炎症状が現れて、入院するようである。

 

これらの情報は、Medcramという医師のYoutube動画サイトによる。ただ、下に引用のこの動画では、80%が回復するとき、生得免疫でウイルスと対決するとある。その際、或いは、その記憶により、獲得免疫を得ると考えなければ、上記NY州の結果は説明不能である。(下記動画では、8;20あたりで、生得免疫で対決すると解説されている;補足3)https://www.youtube.com/watch?v=H1LHgyfPPQ8&t=617s

 

もし、感染者の多くが無症状であるか入院を要しないレベルであり、それらの多くが、獲得免疫を得るがPCR検査は受けていないのなら、NY州の結果は十分ありえる話である。この米国のような情況の場合、PCR検査は単に”後追い”をしていただけで、ほとんど患者の救済に役立っていないことになるだろう。

 

今朝の番組「ウエイクアッププラス」で驚くべき結果と言っていたが、それほど驚くべきことではないだろう。日本でも、PCR検査数を抑えているので、抗体検査をすれば、現在把握している感染者数の10〜100倍以上の感染者数がでるだろう。

 

3)集団免疫を付ける対策を実施する国々:民主的に実行するスウェーデンと、国民を騙して実行する日本

 

NY州知事が算出したこの低い致死率を見て、COVID-19対策として集団免疫を付ける方法を採用する国が増加するだろう。元々十分に近代的な手法で対策をとることが出来なかった国々は、安心しただろう。

 

感染者の80%が、ウイルスを撃退し、20%の入院でそのうち10%が重症で、5%程度が死亡するとしても、感染者の最大95%に免疫がつく。しかも、この病気は糖尿病など基礎疾患が無い場合、死者のほとんどは70以上の老人である。経済や財政を考えれば、これほど無能な政権にとって有利な疫病はない。日本が行った統計は下図に示されている。

先進国で集団免疫戦略をとったのは、スウェーデンである。つまり、老人を隔離して、仕事をしている若者や壮年の間で広がれば、自然に70%位の人に免疫がつく。その時点で、再生産係数が1以下になり、この病気の流行は終わる。(補足4)

 

ここで重要な点を指摘したい。都市のロックダウンなどで免疫獲得率が僅かの情況で、感染を終焉させた場合、感染第二波が起こる可能性が高くなる。しかし、スウェーデン方式で感染が完全に終われば、そこでの再生産係数が1以下になったと解釈される。そのような情況では、第二波は起こらないか非常に小さいものになる。

 

この際、注意が必要なのは再生産係数は、季節に依存すると想像されることである。オーストラリアなどは、COVID-19肺炎の流行は、ほぼ終結している。しかし、これから冬になり、ウイルス感染が起こりやすくなれば、再生産係数は大きくなり、第二波が襲う可能性が高い。

 

現在スウェーデンの人口100万人あたりの死者数は213人である。その数値は、フランス、英国、ベルギー、オランダなどの国よりも低い。ほぼ完璧な対策をしていると考えられるスイスの184人に近い。スウェーデンでの死者は、40代や50代もかなりあるだろう。スウェーデンは、①特効薬など1年以内には出来ない。②経済の停滞による悲惨な情況を避ける、以上二つの目的を考えての政策だろう。

 

スウェーデン政府は、この集団免疫の方針を周知し、それを国民は支持しているようである。国家と国民の間に信頼感があるから、そのような方法が可能となるのだろう。https://www.jiji.com/jc/article?k=2020042300702&g=int

 

日本では、国家と国民の間に信頼感がないので、国家は国民を騙す方法で、スウェーデンと同様に集団免疫をつける方法を採用しているようである。与党の若手有力議員の松田学氏が、youtube動画で知人の東大医学部卒の著名医師の代弁という形で語っている。

 

「言葉の定義にもよると思いますが、放っておけと言いたいです。今の外出自粛は逆効果だと(思う)。」https://www.youtube.com/watch?v=TDnyYYtTd4Q この動画に対する反論は、以下に書いた。上記セリフは下記ブロクの補足2に書いたので、上記Youtube動画のどこかで、松田議員が語っている筈である。

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/04/blog-post_15.html

 

しかし、安倍内閣は、近代国家としての国際的体裁を損なわないようにしながら、結果として「放っておく」政策を取った。その方法は、PCR検査を受けることを狭き門にすることである。そしてその正当性を、専門家会議を用いて理論化したのが、「クラスターを潰す」という手法の採用である。 (補足5)

 

精一杯やっているように見せながら、国民を騙す巧妙な方法である。しかし、国際的には、韓国の文在寅政権に比較して、非常に低く評価されている。

 

クラスターを潰す方法にPCR検査を用いれば、一人の患者の周囲の多くの元気な人が検査対象になり、陽性率はひくくなる。同時に総PCR検査数を非常に低く絞れば、実質的に野放し状態である。医療崩壊が起こらないが、自宅での死亡が増加する。この場合、老人の死者はスウェーデンより多い筈である。

 

しかし、もし症状がCOVID-19だと医者が考える人をPCR検査の中心にすれば、60歳以上の患者が多くなり、ICUをすぐ満杯にして、政治の貧困がマスコミ報道などで強調されることになる。(補足6)そして、政府は国民に攻撃される可能性が高くなる。それに、オリンピックが開催できないなど、アベノミクスで漸く見つけ出した観光業による経済復興(それは中国依存の極めて愚かな経済政策である)に響く。

 

実際、PCR検査を受けた人数と感染者数は、3月31日までで(30088人、1887人)、4月1日から4月10日までで(27037、3359)、4月11日から4月20日までで(37701、5362)である。感染率を%で表すと、6.3、12.4、14.2%と増加している。これは狭き門を通って、症状を抱えてPCR検査を受けた人数が増加したからである。https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

 

また、4月中旬でも日本全国で行われたPCR検査の1日当たりの人数は3770名である。この異常な低い値の唯一合理的な説明は、「出来るだけ死者を老人に集中させ、集団免疫の獲得を目指す」という究極の経済及び財政優先策である。

 

それでも安倍内閣を支持するのは40%程度も居るのが、日本国である。日本国民のほとんどは、知性を去勢された家畜の群れである。

 

この生命の選択を経済優先で行う日本政府の姿勢は、既に17日の記事に書いた。そして、その仕事を全国の保健所(PCR検査実施者を選択する機関)にさせるのである。多くの仕事を都道府県知事などに任せることで、日本政府が責任回避を行っているのである。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12590209168.html

 

4)追補:

 

下図は、日本、ドイツ、韓国の把握した感染者数である。X軸の左端は3月1日である。日本は2月中旬までは世界第二の感染国であった。韓国のような大きな集団感染は無かったものの、十分なPCRテストを行っていれば、韓国と同様の感染者数のグラフが描かれていたのではないだろうか。

 

 

3月20日の感染者数は、韓国8565名、ドイツ15320名、日本924名である。日本の異常な感染者数の低さは、ほとんど感染者が隠されていることを示している。つまり、上図で一番上の茶色のカーブが、十分にPCR検査をしていた場合の感染者数の予想曲線である。そこで赤い両矢印で示された部分による死者は、老衰、細菌性肺炎、風邪、血管梗塞などで死亡したことになっているだろう。

 

今回の説明以外に既に集団免疫が出来ていたという考え方があるが、それは中国から韓国や日本に長期にわたりウイルスが流れて来ていたのか、類似の風邪が既に東アジアで流行したことがあったのかもしれない。一昨日の記事は、想像をたくましくして非常に恐ろしい事態を想像したものである。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12591256497.html

 

仮に数千人死んでいたとしても、1日あたり100人位なら、数%程度の死者数増加である。老人を中心にしたある程度の死者には目をつぶり、早期に集団免疫を達成する方が経済的に有利だと、安倍内閣は考えたのかもしれない。もしそれが事実なら、恐らくその背後には、この病気の被害を私よりも遥かに小さく、単なるインフルエンザ程度だと考える人達が居るのだろう。それは:https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12589838716.html

 

 

補足:

 

1)ここで、抗体検査キットで本当にSARS-CoV-2の抗体を選択的に検出しているのか、類似のコロナウイルスの抗体に反応していないかという懸念があるだろう。以下は、選択性は完全であったという前提で議論する。このヤフーの記事の詳細は、例えば以下の記事を参照。

https://www.marketwatch.com/story/early-antibody-tests-find-21-of-new-yorkers-have-had-covid-19-2020-04-23

 

2)RT-PCRには紛らわしい二つの意味がある。一つは、Real Time-Polymerase Chain Reactionと、Reverse Transcription-PCRである。ウイルスの検出に用いられるのは、後者である。前者は遺伝子の定量分析に用いられるようだ。

 

3)8分前から始まる説明の概略;「感染5日後、症状が出て救急室に行って症状を訴えても、入院の基準に達していなので、帰って様子を見るように言われる。その後、20%でウイルスは患者の免疫機能を抑えて深く侵入し、肺炎症状を起こして入院となる。」 図のinnate immunityとは生まれつき持つ免疫で、初期免疫と呼ばれる。この初期免疫では抗体を用いないのだが、生得免疫でウイルスを撃退しても、その検出は行われ、その後IgGが生成されるのではないだろうか。この辺りのことは専門家の意見を聞きたい。https://kibou-mori.jp/immunocell-kind/

 

4)再生産係数とか言う。一人の患者がr人に感染させるとした場合のrがそれである。その一人から始まる全患者数は、初等数学の級数、1+r+r^2+r^3+。。。になる。これはrが1より小さい場合、有限な値になる。つまり、感染は終了する。

 

5)致死率が高く感染速度(感染力)がクラスターを潰せる程度に遅いのなら、そして、感染クラスターの在処が分かっているのなら、①クラスターを中心に検査する方法をとるべきである。しかし、感染速度が未知の疫病の場合は、①以外に、半分を②医師の判断で検査を実施すべきだと私は考える。②の感染率が①の感染率を超えたときには、PCR資源が限られている場合、②の方法に多く割り当てるべきである。今回の場合、長期にわたり中国からの入国と国内通行を自由にしていたのだから、ほとんどのクラスターの在処は、最初から把握出来ていなかったのではないだろうか。

 

6)症状が殆どない陽性者は、咳もクシャミもしないので、感染拡大にあまり寄与しないと考えられる。PCRは感染者の割り出しと治療のために使うべき。政治が行う対策としては、感染症病棟のベッド数の増加、ICUの増加、老人たちの隔離、を中心にすべきだと思う。若い元気な人を感染から遠ざけるのは、ワクチンなどが早期に出来ないとすれば、集団免疫の見地からはマイナスだろう。

2020年4月22日水曜日

米国におけるヒドロキシクロロキン療法の失敗について

副題: クロロキンと亜鉛剤で治療すべきではないのか?https://www.youtube.com/watch?v=U7F1cnWup9M&t=5s

補足追加:(4月28日)この療法の解説をしていたのが、Medcramというサイトのドクターです。この方も亜鉛が含まれていないことに疑問に思い、自分の担当患者を抗生剤とヒドロキシクロロキンに亜鉛を加えて、治療したのですが、以前の報告(あまり効果がないという)と違いはなかったと、その動画で報告しています。https://www.youtube.com/watch?v=22Bn8jsGI54


1)概略:

 

今日の“chukaのブログ”さんの記事で、トランプ大統領の肝入で始まったヒロロキシクロロキン療法は上手く行かなかったという報告を知った。(https://ameblo.jp/chuka123/)トランプさんの強引な主張に動かされた州知事などが間にたって、退役軍人病院で上記療法が試されたようである。その結果、何も投与しない方が死亡率が低いという結果を得たようである。

 

そこで、オリジナルな記事を検索してみたところ、トップにForbesの記事が出てきた。

https://www.forbes.com/sites/rachelsandler/2020/04/21/nih-panel-recommends-against-using-drug-combination-touted-by-trump-outside-clinical-trials/#742c8f784b40

 

記事のヘッドラインには、NIHの専門家パネルは火曜日、トランプ大統領推奨のヒドロキシクロロキン(hydroxyghloroquine;抗マラリヤ薬)とアジスロマイシン(Azithromycin;抗生物質)の併用による(新型コロナ肺炎の)の治療を推奨しないことにしたと書かれていた。

 

鍵となる事実の中に、副作用がかかれている。それは、新型コロナ肺炎(COVID-19)患者の心臓のリズムに変調をきたし、突然の心停止で死亡させるという。患者の心電図に、QT間隔(心室の収縮から、緊張からの回復時間)が伸びるというのである。

 

この件、しっかりとした医学的根拠なしに推し進めた結果、リウマチ治療者用のヒドロキシクロロキンの不足を引き起こしたことなどもトランプ非難の理由となった。

 

NIHのパネルは、不十分な臨床データしかないので、ヒドロキシクロロキンやクロロキンなどを推奨したり、反対したりする結論に達していないと話している。

 

2)私の感想:

 

ここで、私の感想だが、何故亜鉛イオンを同時服用しないのか不思議である。ヒドロキシクロロキンは、確か亜鉛イオンのイオノフォア(細胞膜を通過させる孔)としてはたらき、細胞内に亜鉛イオンを導き、その亜鉛イオンがRNA依存RNAポリメラーゼの阻害剤として働くというのが、提案されているメカニズムである筈。

 

日本におけるCOVID-19 の患者のほとんどは、味覚などの消失を訴えている。それは亜鉛イオンの欠乏症の症状である。もし、この亜鉛不足が、ウイルスのRNAポリメラーゼに吸着束縛されたとしたら、説明がつく。

 

このクロロキン療法を説明するのが、副題で紹介した米国で評判のMedcramという動画サイトである。そこでは、亜鉛とクロロキンの療法を解説している。ヒドロキシ化合物は水酸基OHがくっついているので、細胞膜との結合能はクロロキンとは異なる。やはりヒドロキシクロロキンと抗生物質ではなく、クロロキンと亜鉛剤を用いるべきだろう。

 

2020年4月21日火曜日

昨年秋、日本で新型コロナ肺炎は流行していた?

副題:何故、日本や韓国でのコロナ肺炎は欧米ほど酷くないのか

 

陰謀論とは、頭の中だけで考えた国際的悪巧みのモデルである。それにより多くの謎が消えれば、それは一つの仮説と言って良いだろう。多くの証拠を出して、是非、以下の陰謀論を破壊してもらいたい。破壊できなければ、レベルの高い仮説(=理論)にブラッシュアップされる。

 

1)副題は、今回の新型コロナ肺炎に関する謎を書いたものである。欧米は、副題の謎を説明する一つの考え方として、「日本や韓国ではBCG接種を行っているが、欧米の多くはそれを行っていない」というモデルを出し、一部に取り上げられている。しかし、その説には無理があるだろうという記事を最近書いた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12590267155.html

 

副題の謎を説明するもう一つのモデルをここに提案する。それは、表題に示した単なる思いつきであり、この問題を考察研究されている方々へのヒントになればと思ってアップするだけであり、積極的に主張するものではない。

 

それは、①新型コロナ肺炎の弱毒性のSタイプが、日本や韓国で昨年秋までに流行したという仮説である。これにより、全ての謎が解けるような気がする。何故、今回の大流行を韓国があのように理想的に抑え込むことができたのか。高い技術と方法で対処したドイツやスイスでも、韓国より数倍高い致死率を記録することになったことも説明可能である。(二つのタイプ:上記引用のブログ参照)

 

それに、日本のような無策の国で、早期に大爆発的感染が起こらなかったのかも、理解できる。3月下旬までの日本の低い感染者数増加に、西欧諸国より疑惑の目が注がれていた。私も、PCRテストしなければ、「感染者の検出数」が増加しないのは当たり前であると言ってきた。

 

上記①の仮説(モデル)のヒントは、前回紹介の川添恵子さん出演のチャネル桜の動画にあった。その動画の47分頃で、司会者の方が非常に興味ある話をしている。昨年の11月頃体調を崩して病院に行った時、そこの女医さんが「今年(2019年)は不可解な肺炎が流行っている」と言ったという。何人もが、熱がでたと言って来院するのだが、薬を出すと一旦は治る。しかし、その後二回、三回と「治らないのです」と言って、来院するのだという話である。

https://www.youtube.com/watch?v=xBv6U0yDGeU&t=3480s

 

その肺炎の症状は、COVID-19の症状である。その時既に、新型コロナ肺炎ウイルスのS型(古いタイプで症状がL型に比較して軽い)が、日本に持ち込まれていたのではないのか? そして、通常のインフルエンザあるいは風邪として流行し、多くの観光客に運ばれて、韓国や中国(逆輸入)にまで広がったのでは? その後沈静化したのなら、今年に入ってからの大流行でも、河北省以外の中国、韓国、日本での小さい致死率等の説明がつく。

 

2)及川幸彦氏の動画や宮崎正弘氏のメルマガ(読者欄)にある陰謀論とそのモディフィケーション

 

中国製のコロナ肺炎ウイルスの生物学兵器説は、最近も唱えられている。フランスのノーベル賞受賞者とか、米国のコットン上院議員の名が上がっている。この話をするのが、幸福実現党の及川幸彦氏である。https://www.youtube.com/watch?v=-H2UsEw_Y_0&t=3s

 

米国ワシントン・ポストのこの14日の記事で、二年前に武漢の細菌学研究所(前回のブログ参照)を訪問した米国大使館員が、ウイルスの管理に強い懸念を報告したという記事を掲載しているという。詳細は、上記動画をご覧いただきたい。

 

ある事件が起こったとして、その原因などがわからない時、得をするのは誰かを考える方法で謎解きをするのは常識の一つである。その考え方を適用すると、現在流行中のCOVID-19だけを考えた場合、故意の漏洩と考えるには、中国の損が大きい。

 

しかし、それ以前に一つの失敗があると考えると、故意の漏洩の可能性も出てくる。つまり、最初は、日本発の弱毒性S型ウイルスによるグローバルなパンデミックを想定したが、そうはならなかったという考え方である。観光客の往来等で、韓国と中国に広がっただけで、大騒ぎにならず沈静化してしまったと。

 

日本で大流行すれば、それに続いて米国や欧州で多大な被害が出て、日本を世界の悪者に仕上げられる。その結果、日米は不可逆的に分断され、中国を敵視する米国の姿勢が揺らぐだろう。友邦(中国の)統一朝鮮や尖閣や沖縄も自動的に覇権域として転がり込む。(安倍の唖然とした顔も楽しむ事ができる。)

 

しかし、そこまで広がらなかった。その後、政治経済的に追い詰められた中国が、「皮を切らせて骨を切る」戦法として、行ったのが今回のL型ウイルスによるパンデミックなのかもしれない。宮崎正弘氏のメルマガ「宮崎正弘の国際情勢解題」通巻6449号(4月14日)に(読者の声2)として、今回の肺炎ウイルス肺炎パンデミックを中国の捨身の戦法ではないのかと書かれている。

 

利益があればとんでもないことでも考えるのが、中国共産党である。屡々引用するように、中国の朱成虎空軍少将は、「世界の人口は無制限に迅速に増加している。今世紀中に爆発的増加の極限に到達するはずだ。しかし地球上の資源は有限なのだから、核戦争こそ人口問題を解決するもっとも有効で速い方法である」と、核兵器を使用する可能性について発言した。「候補地は、人口密集地の日本やインドだろう。」。(ウィキペディアの朱成虎の項参照)

 

新型コロナ肺炎ウイルスを使って、米国と東アジアの同盟国である日本や韓国の間に、強い楔を打ち込むことを思いつけば、ヒューマニズム的な躊躇などしないだろう。その時、やはり中国のウイルス研究所を凝視する人は世界中に大勢いるだろう。その人達に見せるのが、更地になったP4研究所跡地である。

 

その後の捨て身の作戦で、再度毒性の強いLタイプが故意に漏れ出たとしたら、三カ国では死亡率がそれほど上がらず、そのほかの欧米では悲惨なことになるだろう。世界が混乱すれば、瀕死の情況にある共産党中国にも生きるすべが生まれる可能性がある。「捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」である。その後は、日中友好を演出すれば、安倍や二階は笑顔だろう。

(以上の陰謀論は、全く信頼性に乏しいものですが、思考力の訓練にはなると思います。)(編集19時)

 

武漢P4研究所だった建物は破壊されているのか、残っているのか?(訂正あり)

訂正:下の写真の場所Aと書いたところにあるビルは、P4研究所の建物の写真でした。川添さんの自信ある言葉から、目が曇ってしまったようです。川添さんの訂正らしき言葉は、次の4月30配信の動画の12:20当たりに、言い訳のような曖昧な形でなされています。https://www.youtube.com/watch?v=Cm0lZ8uDYRE

大変失礼致しました。謹んでお詫び申し上げます。

 

1)消えたP4研究所と、未だ存在するという中国の方の主張

 

河添恵子さん出演の動画を久しぶりに見た。そこで、川添さんは武漢P4研究所が昨年の5月の時点で破壊されていると指摘している。グーグル・マップから消えて更地になっているという。その場所は、グーグルアースでも簡単に探す事ができる。

https://www.youtube.com/watch?v=xBv6U0yDGeU&t=3480s

 

 

このP4研究室は、フランスの技術協力で2015年に完成し、2018年に稼働を開始したとウィキペディアには書かれている。この最新の研究施設が爆破され無くなっているという話は、以前、鳴霞さんのyoutube動画で聞いていた。今回、その深い部分について知ることができた。

 

川添さんの調査済のアドレスが、上図左上の地図及び右の航空写真(四角で囲んだ部分)にしめされている。この場所が、上記グーグルアースで更地であることが川添さんにより指摘された。グーグルアースで見た時に下に表示される撮影日2019/5/01から考えれば、昨年5月にはP4研究所は無くなっていることになる。

 

この事実は、別の中国の方の動画からも明らかになった。それは、一昨日紹介したケイさんの最新動画である。https://www.youtube.com/watch?v=AH5ecS8I3zg このケイさんの動画では、実は、逆のことを主張されている。しかし、その主張は間違いであることが簡単に分かったので、逆に、川添さんの説を支持することになったのである。

 

つまり、ケイさんは、現地の人間に聞いたところ、P4研究所は無くなったという説は嘘だと明言している。そして、その建物の写真を、その動画中に二回示している。一回目はウイキペディアにもある写真である。そして、グーグルアース上で確認したとして示したのが、図の右の航空写真の中にある丸印と「A」で示したものである。それを拡大して注意して見れば、最初に示した写真と明らかに異なっている。(補足1)

 

更に、AFP BB NEWSというサイトが、「武漢ウイルス研究室長、新型コロナ発生源疑惑を否定」という記事にも、そのウィキペディアにもあるP4研究所の建物の写真が掲載されており、そこに(2020年4月17日撮影)と書かれている。この写真と撮影日の情報は、研究室長からAFP BB NEWSに送られた筈である。

 

この建物は、川添恵子さんが指摘したように、グーグルアースの然るべき場所を探しても、更地しか見つからない。明らかに、中国の方二人は嘘をついているのである。もし、昨年5月に既に無くなっているとしたら、何故なのか? その疑問は残るが、明らかなのは、中国政府は今回のウイルスSARS-CoV-2の出所を必死に隠そうとしていることである。

 

2)中国政府が主張する今回のコロナウイルスの出現物語

 

この話の前に、川添恵子さんが紹介したのが、CNNの下の記事である。中国は新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19))が武漢の海鮮市場で売られたコウモリを食べた人から広まったという「プロパガンダ」を、定説化するために科学界まで支配しようとしているという話である。(補足2)

https://edition.cnn.com/2020/04/12/asia/china-coronavirus-research-restrictions-intl-hnk/index.html

 

更に、2月の段階で出ていた、肖波涛氏の英文の報告(2月5日、Research Gate)、「2019-nCoVの可能な起源」によると、①居住者とビジターの報告と証言によれば、コウモリは市民の食料では決してなく、市場で売り買いされていない。(補足3)②他に考えられるウイルス起源として、市場から280m位のところに武漢市疾病予防管理センター(WHCDC)がある。ここは、過去コウモリを大量に入手している。

 

この報告では、中国政府の海鮮市場からコウモリを買って食った人から広まったという話の根拠を完全に否定している。そして、その代わりのウイルスの起源として、海鮮市場から280m以内の距離にあるWHCDCを第一候補としてあげているのである。

 

WHCDCではないのなら、二番目の候補として、海鮮市場から12km離れた中国科学院武漢病毒研究所があると、肖波涛氏の報告に書かれているという。そこは中国科学院の武漢細菌学研究所に属する。主要な研究者は、SARS-CoV対策の遺伝学システムを用いて、人工的なウイルスのプロジェクトに参加し、人間への出現の可能性を報告しているという。

 

話題になっていたP4研究室は、この武漢病毒研究所の分室である。このP4研究室を破壊したのなら、何か重大な疑惑を隠すという意図があったのだろう。それは、この細菌兵器の研究に関して、習近平側と(武漢病毒研究所を支配していたと言われる)江沢民一派との争いの結果なのかもしれない。

 

補足:

 

1)動画では4:20ころに、P4研究所の写真を示している。4:40ころに、P4研究所の位置、5:45にP4研究所のGoogle Map での写真を示し、更に7:00から武漢在住の知人にその存在を確かめたと言っている。しかし、5:45ころに示した写真は、別の建物である。なお、グーグル・マップの航空写真とグーグルアースの写真は同じだと思う。

 

2)最初の患者は、海鮮市場とは何の関係もないという主張は以前から知られている。しかし、中国政府は、上記プロパガンダを力づくで正史に残そうとしているのである。そのために、中国では新型コロナ肺炎関係の論文は、今後中国政府の審査後に発表することという司令がだされたというのである。つまり、今後、このウイルスがどのようにして、世界に広がったかという研究など都合の悪いものの発表は、少なくとも中国の研究者からは出ないだろう。

 

3)武漢で肺炎流行が始まった頃、現地の若い人の発言として、「武漢ではコウモリなんか食っていない」と吐き捨てるように言ったのを記憶している。

2020年4月18日土曜日

一律10万円配布とは何なのか? 国家は国民を平等に扱うべき

今回は、安倍総理が経済対策として決定した、全国民への一律10万円配布について書きます。その後、何故、このようにコロコロと政策が変わるのか、そして、今回の新型コロナ肺炎の発病者に平等の医療機会を与え、信頼できる感染情報等を国際社会に発信するなど、韓国や台湾が持つ危機管理能力が何故日本にないのか等について、少し議論をします。

 

1)辛坊治郎と木村太郎両氏の意見

 

今朝、ヤフーニュースで配信された時事通信の記事は、今回政府が行う経済対策について、以下のように記述している。

 

安倍晋三首相は減収世帯への30万円給付を撤回し、全国民への一律10万円給付を決めた。公明党の主張を全面的に受け入れたためだが、30万円給付を主導した自民党の岸田文雄政調会長のメンツは丸つぶれとなった。

 

「お金持ちの収入が減ったから、現金を給付しなければならない。しかし、収入が減らない元々の貧乏人は、まあ、そのままで良いだろう」これが、1日前まで自民党政府が決定していた減収家庭への30万円給付案であった。

 

自民党政府は、国民を平等に扱うという民主政治の原点を無視して来た。上記政策の発想は、霞が関のお殿様が、被災した臣下に、その身分に応じて小判を配るというものである。殿様とて、金が余っている訳ではないと言いたいためか、御用マスコミで「私は、受け取るつもりはありません」という一部お金持ちの言葉を放送しているようだ。

 

その政府とマスコミの姿勢に違和感を感じると言うのが、辛坊治郎氏や木村太郎氏である。辛坊治郎氏は、今朝のウェイクアップで以下のように発言したようだ。

 

「国民一律10万円って言いながら、一部のお金持ったような人たちが『私はもらわない』とか『受け取るつもりはありません』って(テレビで言っている)。受け取らないのは勝手だけど、それをあえて言う必要はあるのか。受け取ることに心理的ハードルを作ってしまうと社会的分断も招くし、意味がなくなる」と指摘。(カッコ内は私が補足)

https://news.livedoor.com/article/detail/18138825/

 

木村太郎氏も以下のように言っている。

「政府が身銭をきって(新型コロナウイルス対策)やってます、と表明するためにお金を払うようなもの」と解説。「全員に行き渡らなきゃいけないんで、麻生さんが『手を挙げた人だけ(に配る)』なんて、そんな問題じゃないんです」「収入が高いとか低いとかの話ではなくて、みんなでこれをやりましょう、ってことだから、僕は手を挙げますよ。で、(お金を受け)取りに行く」。(カッコ内は原文のまま)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200417-00000075-dal-ent

 

両氏の話をそのまま転記したのでは、その意味が今ひとつ分かりにくい。私なりに分析すると以下のようになる。

 

困窮世帯には急いでお金を支給しなければならないと考えるのなら、収入の増減など無関係の筈である。新型コロナ肺炎とも無関係の筈である。それは福祉政策であって、安倍総理が言う経済対策ではない。

 

コロナ肺炎が一段落して、景気を元に戻すための消費喚起の一律配布なら、全国民に(辞退など期待せずに)その機会を与えるべきである。「口先だけ大盤振る舞いをさせてくれ」というのなら、それは国家レベルの政治ではない。

 

こんな単純なことが分からない自民党政府の愚かさは、コロナ肺炎に対する場当たり的な対策と同様、非難されるべきである。日本国民は、コロナ肺炎を期に、一から政治を考え、新しい政治の必要性を議論すべきである。

 

2)根腐れした日本国

 

現在のような政治になったことの分析には、何時も書いているように明治からの歴史を再検証しなければならない。一番最近の文章を引用しておく。その「日本亡国の鉄路」を中野剛志は、ロックインモデルで解説した。別の言い方をして良いのなら、日本国の根腐れだろう。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2019/12/blog-post_20.html

 

そこから回復することは、年を経る毎に困難になる。1970年に、日本がその鉄路の先にある運命から脱出出来ないことを悟った三島由紀夫が、自衛隊員の前で割腹自殺した。そして、平成時代が始まる頃には、多くの知識層が日本の政治改革を不可能だと考えて、挑戦する気を失ってしまったと思う。

 

誰が挑戦しても、国家と呼べるほどの政治など、この国に実現する筈はないのだから、利己主義に徹するか、グローバリズムの波を歓迎して、海外で実力を発揮すれば良いと考えたのだろう。

 

そして、21世紀になり、奇人変人か普通の町内会長レベルが総理大臣になる国になった。現在の総理は未だ良い方だという意見もあったが、日本の現状から抜け出すには程遠い。その祖国を憂いながら、予告して川に身を投げた評論家もいた。安倍総理の米国議会での演説を悲しんだ西部邁氏は、チャネル桜で「本土決戦であと百万人死んでいたら、もっとまともな国になっていたかもしれない」と言ったことがあった。(補足1)

 

「亡国の鉄路」からの脱出には、本土決戦レベルのことが必要だったのかもしれない。ましてや、今回のコロナ騒ぎが、そのようなエネルギーを国民の間に醸成する筈はないだろう。誰が腹を切ろうが、身を投げようが、マスコミは冷静を保ち、国民は危機感を抱かなかった。

 

今回の新型コロナ肺炎の流行と日本の対応の遅れ、稚拙な対策は、日本の国家としての弱点、政治の貧困を炙り出した。先進国だと思っていた日本は、発病者に適切な情報と医療を与えないこと、国際的にも情報を隠すことで、何とか医療の崩壊を防ごうとする発展途上国のような国だった。

 

先を読んで、医療のキャパシティを拡大するような対策を立てる実力などない。患者で溢れたら、病院での治療と自宅やホテルでの待機組に分ける方法で、「命の選択」を保健所にさせる程度の知恵しか浮かばない。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12590209168.html

 

お医者さんの団体は票につながるので、内閣は厚生労働省の役人に言われるままに、世界一の病院ベッド数(人口当たり)を持つ国にした。今回は、その幸運を活かして、病院ベッドを上手く区分けして、感染者用ベッドとして確保できただろう。そこに、人工呼吸器などを揃えれば、PCRテストを増やしても対応出来ただろう。まともな国であったならの話である。

 

補足:

 

1)確かにチャネル桜で、伊藤貫氏との討論で発言したと記憶している。その発言の意味するところは、国民の大半は敵を直接見ることが出来なかった。マッカーサーは本土上陸と同時に国民の味方に変身していたのである。韓国は独立国になった。何故なら、日本という敵を創造できたからである。人間とは所詮、その程度の動物なのだ。

新型コロナ肺炎: BCGは有効か?地域差はどの程度か?  二つのタイプのウイルス?

追補: 比較をノルウェイ(実施)とフィンランド(現在非実施)で行うと、殆ど差がない。人口100万あたりの発生数と死者数(2020/6/10)は、ノルウェイで(1581、44)フィンランドで(1268、58)である。この両国の比較では、BCGの影響は見られない。 データ元=> https://www.worldometers.info/coronavirus/#countries (6月10日追加)

 

 

1)BCG接種とCOVID-19への免疫との関連性:

 

BCG接種が新型コロナ肺炎(COVID-19)の免疫になっているという話がある。その根拠は、東アジア等のBCG接種国で感染の広がりと人的被害が少ない様に見えるからである。下に示したのは、BCGの接種をどの様に実施してきたかを示す世界地図である。

現在被害の大きい、米国や西洋諸国は非実施或いは嘗て実施現在非実施の国々である。

 

BCGの効果を比較するのに最適なペアとして、(ノルウェーとスウェーデン)、(アイルランドと英国)、及び(スペインとポルトガル)が考えられる。これらの100万人あたりの其々死者数、感染確認数、テスト数な、次表の通りである。

BCG接種国の方が100万人あたりの死者数はかなり少ない。ただ、BCG実施国の方がPCRテストを倍以上行うなど、対策の緻密さに差があるようだ。スペインは酷い医療崩壊の状態だというから、そのまま比較はできない。英国もスペインの次に2週間遅れで医療崩壊すると言われている。PCRテストもアイルランドの1/3以下であり、油断があったと言わざるを得ない。(補足1)

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00122/033000011/

 

BCGの接種をやめた国であるオーストラリアとニュージランドは、上図の数字の順で其々(2、248、13880)と(0.8、276、12684)である。少ない死者数、感染者数は、今まで夏だったからかもしれない。ただ、季節要因を解析に持ち出すのは時期尚早だろう。

 

兎に角、今までの結果では、BCG接種とCOVID-19への免疫との関連は、証明されそうにない。

 

2)地域差についての比較:

 

アジア諸国は一般にヨーロッパに比較して被害が少ない。そこで、感染テストなど対策に熱心な2つの国を比較してみる。具体的には、スイス(BCG中止国)と韓国(BCG実施国))である。下図は、2つの国の感染者数である。100万人あたりの検査数を図中に示したが、スイスが韓国の倍程度実施している。

スイスでは、1日あたり、1000件ほどの感染者を検出し続けている。グラフで表示データの右端が両国とも、4月12日である。注目されるのは、韓国の新規感染率が10日目(3月10日)ころから、1日100人程度に減少している点である。一方、スイスでは最初(3月18日)から、1日あたり1000人ほど新規感染者が続いている。

 

どう考えても、圧倒的にスイスの人たちはこのウイルスに弱い。スイスでこの曲線が水平に近くなるのには、もう少し時間がかかるようである。両国の致死率(変数:https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12590013940.html)を比較したのが下の図である。

 

どちらも拡大グラフの初めからは(スイスでは4月2日、韓国では3月25日)初期の高い致死率(1)が、致死率(2)の3−4倍程度に下がり、終息時点の予測が可能になっている。その最終的な致死率は、スイスで6-7%、韓国で2.5%程度と予想される。両国とも、各時点で取れる対応は取っているようだ。(補足2)

 

韓国もスイスも検査数も多く取りながら医療崩壊もなかったので、大きな致死率の差は本質的な何かを含んでいると思われる。日本の致死率の低さ(中国の半分、韓国の1/4)も、インチキで数字を数分の一程度に抑えているが、最終的な致死率は韓国程度だろう。

 

つまり、欧米のケースを参考に計算して、何もしなければ死者40万人、重篤85万人というのは、脅しであって、科学的根拠などないだろう。(補足3)

https://www.sankei.com/photo/story/news/200415/sty2004150011-n1.html

 

 

この地域差(欧州と東アジア)による大きな致死率、罹患率の差は、その一つには、ウイルスの変異があるが、それらは、今後の研究課題になるだろう。(既に、S型とL型があると研究発表がなされている。より攻撃性の強いL型がヨーロッパで広まっているという考えは有力である。二つの型については、On the origin and continuing evolution of SARS-CoV-2という表題の論文で北京の研究者により、今年3月3日発表されている。National Science Review, nwaa036, https://doi.org/10.1093/nsr/nwaa036

 

(最後の括弧に入れた文章は、4月18日早朝午前6時;午前10時50分に文章校正あり)

 

補足:

 

1)ジョンソン首相の「集団免疫」発言は、もろく崩れた。その姿勢の違いでもこの程度の差がアイルランドとの間に生じる可能性があると思う。https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000179507.html

 

2)イタリアやフランスなどは、医療崩壊或いはそれに近い情況になったと見えて、致死率(1)の数%程度のレベルへの急激な低下が見られない。

 

3)季節性のインフルエンザの感染者数は1000万人で、これに武漢での致死率4%を掛け算すれば死者40万人になる。医療崩壊がおこれば、もっと被害が増加するという計算だろう。https://www.sankei.com/photo/story/news/200415/sty2004150011-n1.html

2020年4月17日金曜日

新型コロナ肺炎: 命の選択をする日本政府

新型コロナの話ばかりで“うんざり”なのだが、仕方がない。今日言いたいのは、この病気が、世界に広がる政治の貧困を焙り出す役割を果たしていることに気づくべきだということである。災害でも疫病でも、しっかり考察すれば、福へのキッカケになりえる。「災い転じて福となす」である。

 

この病気に対する政治の色分けをすれば、非常にコントラストの強い地域となるのが東アジアだろう。中国、韓国、日本は、濃く汚い色であるという共通点はあるが、全く違った色の国々だろう。“汚い”とは、国民を平等に大切に扱わないという意味である。

 

日本の政府は明治以来一貫して、全体も細部も見えない愚老人が舵を取る国である。見えないし分からないのなら、若者に渡せば良いのに、不思議な自信を持って権力を握り続ける。戦前の近衛文麿や平沼騏一郎(補足1)の類である。平沼は、日米戦争になる前に、独ソ不可侵条約を見て、世界の政治を(何と!!)「複雑怪奇」と発言して、辞職したのである。          

 

今日言いたいのは、医者がコロナ肺炎だと疑い、且つ、本人も息苦しさや発熱に苦しみながら、PCR検査の希望を保健所に持ち込んでも、そのかなりの部分が断られ、結果として適切な治療を受けられないというのが日本の現状であること。(補足2)

 

日本の政府は、保健所にPCR検査の数を絞らせてことで、医療の崩壊を防いでいるというだろう。しかしそれは、「命の選択」という神にしか出来ないことなのである。非常時なら当然の策だと考え、その異常であるとの主張を黙らせる手段として「新型コロナ肺炎は従来の風邪と同じで、PCR検査でも従来型土着の風邪と区別できない」と主張するのが、昨日紹介した自民党の若手看板議員の一人、松田学氏である。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12589838716.html

 

日本政府のこの姿勢の本質は、国民の命の一部を切り捨てる政策である。その動機は、意地悪く読めば、経済優先そして年金の削減である。恐らく、厚生労働省や財務省の官僚が方針を決めているのだろう。そう思わなければ、一連の愚かなやり方の辻褄が合わないのである。

 

下図は年代別、結果別の感染者のグラフである。70代以上の年齢層に重症者や死亡者が多い。この図の30代以降の年令構成は、日本の人口構成に非常に近い。少ないPCR検査を、本当に病気に苦しむ人に割り当てて来たのなら、もっと60代以降の感染者数が大きく出る筈である。

 

https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

 

このCOVID-19の特徴は、ICUから生還する確率が高いことだろう。従って、費用がかかるが、ICUを増やして、人工呼吸器やエクモと呼ばれる人工肺を用いれば、生還する命が相当ある。

 

韓国での患者数が日本を追い越すまでに、ダイヤモンド・プリンセス号での対応の悪さが国際的に批判された頃には、急いで負圧装置付きの感染者用ベッドの数とICUの数の増加に、数千億円レベルの予算を組むべきだった。

 

ただ、それはまともな国のまともな政治を考えての話である。もし、日本政府がそれらへの投資を惜しみ、年金額を削減したいという考えなら、COVID-19という中国の土か文化かしらないが、それが作り出した病気は、この国の中央に位置する人間にとって理想的な病気である。

 

「PCR検査をまともにやっていない」という国際的な非難は、なんとか元気な若者を対象に受けさせれば良い。それがクラスターを潰すという名目で、発病した者の周囲に居た元気な者を対象に行うPCR検査である。(補足3)

 

日本政府のこのやり方を、日本政府のトップである安倍晋三氏は知らない可能性が高い。官僚どもが、あのボケた爺さんの「専門家会議」とかいう不可思議な会議を作って、非民主的政策を進めているのである。

 

安倍さんには、最後には「コロナ不可解」と言って辞任する手段が残されているので、心配は無用と考えているのだろう。

 

年金財政を悪化させる老人たちの命は不要な命である。しかし、その巻き添えを食って、結構若い人も命をなくすだろう。経済優先のこの国の中枢は、一昨年10月ころから親中姿勢を取り出した日本政府の影の支配者たちは、「10万や100万死んだって、どうってことはない」と、毛沢東の国で学んだセリフ(補足4)の日本版を心の中で呟いているのか? そして、彼らも別の観点から、「災い転じて福となす」という言葉を思い出しているかもしれない。日本の大衆はおだやかでやさしい、まるで家畜のようだ。

 

補足:

 

1)男爵で最高位勲章勲一等旭日桐花大綬章の受賞者である。その方の甥の息子さんが、改憲して天皇元首を明記すべきだという主張をする「新憲法制定議員同盟」(自主憲法制定国民会議は非議員からなる同じ主張の団体)元副会長の平沼赳夫氏である。元自民党から多くの泡沫政党を渡り歩いで、自民党に戻った、元運輸、通産、経産大臣の平沼赳夫氏である。この国は末期がんである。

 

2)新型コロナウイルス感染が明らかになったテレビ朝日・富川悠太アナウンサーがメインキャスターを務める「報道ステーション」の公式ツイッターには、視聴者らからの質問や批判が相次いだ。その一つが、以下に引用の記事の表題“「PCRをスムーズに受けられた経緯を説明しろ」報ステ公式ツイッターに質問殺到”である。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1b83eb1e80571b72af6b17b5583fe574835bbd8f

 

3)これまで日本は、クラスターを潰すという方針を取ってきた。これは、致死率の高いが感染力の弱い病気ほど有用な方法である。クラスターを潰すやり方と、有名人や有力なコネで保健所に持ち込まれたPCR検査の希望者を中心にして、検査を実施するやり方は、非常に不公平であるほか、無限の人的資源があるのなら別だが、後者の陽性率(クラスター以外の陽性率)が非常に高くなった段階で止めるべきである。感染が全体に広がったあとも依然として、クラスターを潰すという方法を採用しているのは、やはり上記の意地悪な見方が、正しい見方なのだろう。ひょっとして、同じ悩みの中国に教えられたのではないだろうか?

 

4)毛沢東は、大躍進運動と文化大革命で、数千万人の中国の一般人たちを死に追いやったと言われている。その大秀才による愚かな政治は、ワイルド・スワンという小説に描かれている。毛沢東の数字は二桁大きい。大地の面積も人物の大きさも2桁違うのだろう。

2020年4月16日木曜日

新型コロナ肺炎: 先行きが明るくなった欧州

1)ヨーロッパ主要国での終焉時期:

 

新型コロナ肺炎に蹂躙された感じの欧州各国であったが、その先が見えてきたような気がする。欧州では、国境がないに等しく、例えばドイツが克服しても、イタリアやフランスから感染者が徐々にでも流入すれば、なかなかその終焉が見えないだろう。

 

そこで、スペイン、フランス、イタリア、ドイツ、スイスの主要5カ国の合計で、コロナ肺炎の致死率の図示を、今までと同じ手法で行ってみた。ここで致死率と言うのは、以下のように定義した時間の函数であり、この病気の定数としての致死率ではない。結果を下に示す。

 

致死率(1)は死亡者数/(回復者数+死亡者数)であり青い点で、致死率(2)は死亡者数/感染確認者数であり赤い点で、それぞれ示されている。

致死率(1)と致死率(2)は、最終的に一致するので、このグラフ上で2つの曲線が一致する点を予想できれば、その横軸の値が感染終結のおよその時期と考える事ができる。この図では、5月中旬あたりが、終結時期として予想される。

 

従って、経済活動などの復活が議論され始める時期かと思う。中程度の被害で何とかおさまりそうなのは、厳しい都市封鎖、多数のPCR検査で探しだした陽性者の強制或いは自己隔離の結果だろう。

 

2)コロナ肺炎との各国の戦いの差について、

 

この肺炎ウイルスとの戦いでは、政府と一般国民の両方が団結して、努力しないと最小限の被害で抑え込むのは難しいだろう。その理想に近い戦いを行ったのは、この5カ国ではドイツとスイスのようである。それと比較して、イタリア、フランス、スペインは、かなり大きな被害を出した。

 

この点を少し考えるために、以前紹介したモデルでの致死率(1)&(2)の時間変化との比較を行ってみる。ここでは、患者の発生を単純に初等函数で置き換えている。従って、本当のところは、シミュレーションという程の計算ではない。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12587988007.html

モデル計算の詳細を書くと:感染して、二週間後に全て発病し、一週間後に10%の人が死亡する。生き残る人は、更にもう一週間後に検査を経て退院するというモデルである。患者の発生は誤差関数と仮定した。

    P=aEXP{-(x-b)^2/2c^2}

ここでbは感染者数が最大になる日、cは患者発生の偏差である。bとして、30(日)、cとして10(日)を用いた。EXPは指数函数を、^2は2乗を表す。

 

下にドイツとイタリアのグラフを示した。

ドイツのケースでは、致死率(1)と致死率(2)の変化は前図とよく似ている。ドイツでは、最初、死者が出るなどして病気の発生に驚き、急いで患者数の把握を開始する。その時、回復者は少ないので、非常に高い致死率(1)が出る。患者は直ぐに大勢見つかるので、致死率(2)は低い値になる。治療に実績が出始めると、元々の致死率(病気本来の定数)がそれ程高くないので、致死率(1)は急激に低下する。

 

フランスもイタリアと殆ど同じだが、もう少しガタガタした曲線になった。両国では、検出した発病者全員に西欧社会の最新の治療が施せなかったのではないだろうか。つまり、一部医療崩壊が起こっていたのではないだろうか。そのように考えざるを得ない。

 

隣同志なのにこのような大きな差がでるのか? 日本でも議論されているように、PCR検査で発病者を能率良く検出しても、病院の治療体制がしっかりしていなければ、逆に多数の死者を出してしまうのだろう。 

 

(16:05文章を全面的に修正しました。失礼しました。) 

2020年4月15日水曜日

新型コロナ肺炎: ある著名自民党議員の発言に暗澹たる気持ちになった

今日は、現在流行拡大中の新型コロナ肺炎(COVID-19)とその対策について、ある著名国会議員が紹介した考えについて記す。このような考え方が日本の医師の中にかなりある。3月に朝のテレビバラエティー「グッドラック」に出ていた後藤という医師もその一人だった。一度批判したことがある。

 

今回取り上げる「チャネル桜」での発言の主は、自民党の松田学議員である。この記事を読むよりも、以下のサイトの彼の発言を数分聞いて貰えば、それで十分かもしれない。https://www.youtube.com/watch?v=TDnyYYtTd4Q

 

松田氏は、同級生の東大医学部卒の臨床医の発言として、①「今回の新型コロナ肺炎(COVID-19)による被害とされているケースには、土着のコロナウイルスによる風邪が重症化したケースがものすごく多いと思う」を紹介している。(1:20)(補足1)

 

しかし、同級生は名前を立場上言えないといっているにも拘らず、その発言を優秀な臨床医による有力な意見として紹介しているので、更に、他の医師等の意見と比較するなど、松田学氏の考えは違うところに在ると明確には示していないので、今回の一連の意見は、松田氏が責任を取ると決めた上での発言と受け取れる。

 

続いて松田氏は、以下の内容の発言を行った。

PCR検査はCOVID-19の病原ウイルス(SARS-C0V-2)に厳密な選択性を示さないと考えられ、土着コロナウイルスによって陽性になる場合も考えられる。最近、②芸能人やスポーツ選手にたくさん陽性者が見つかるのは、かれらがPCR検査をうけた結果、土着ウイルス(通常の風邪のウイルス)が検出されているだけです。

 

③死者が急増した欧米だって、例年のインフルエンザ死者と比べて、桁は違わないでしょう。(補足2)

 

新型コロナ肺炎独特の症状に苦しんでいる大勢の患者の存在を知りながら、松田議員のこの発言には非常に驚き、腹立たしく思った。

 

松田議員は、次のフリップを示しながら、その医師が示した対処法に話を進めた。「対処法として、武漢コロナ血清療法が一番期待できる。ワクチンの開発は1年ほどで出来るだろうが、自分では打つ気はしない。」という。土着ウイルスによる病気ではなかったのか?

 

この話に続いて、経済対策に話が及ぶと、108兆円という額は、私も財務官僚としてやっていたのでよくわかるのだが、ふくらし粉満載の数字だという。

 

財務官僚時代の自分がやってきた「ふくらし粉を満載する」仕事について、反省があるのなら、国民の前に公僕の一人として明らかにすべきである。政治家の”ふくらし粉”を用いた国民を騙す仕事を手伝ってきた自分の過去を、恥じるのか誇りに思うのか、明確にすべきである。

 

松田氏は、東大経済を卒業した元財務官僚である。国家公務員上級試験を最も上位で合格しないとなれないのが財務官僚だと言われている。その人が、最難関大学の最難関学部である東大医学部を卒業した”優秀な臨床医”の考えを紹介したのだという。それが、以上のお粗末な意見である。

 

日本の教育や人事は決定的に間違っているようだ。日本に明るい未来など、革命か何かがなければ、かんがえられない。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2019/12/blog-post_20.html

 

補足:

 

1)松田議員は最初に、「緊急事態宣言の自粛措置には、効果を上げれば短期間で取りやめになるので、1国民として従ってもらわないといけないと思う」と言っているが、もし、今回の多くの方の感染や発病が土着ウイルスによるのなら、そんな必要はない。彼の発言は終始支離滅裂である。このレベルが、日本の将来を担う著名代議士なら、日本に未来はない。

 

2)③の考えは、今回のCOVID-19は放置してもたいしたことがないという主旨の発言である。何故なら、対処法を述べるところで、集団免疫という方法を紹介しているが、その説明として、「言葉の定義にもよると思いますが、放っておけと言いたいです。今の外出自粛は逆効果と(思う)。」をしめしているからである。

2020年4月14日火曜日

東京のコロナ肺炎死亡者の大部分は、他の死因で片付けられている証拠

新型コロナ肺炎の感染者数は増加し続けている。現在、日本の感染者数は7370、東京の感染者数は2158名と発表されている。しかし、諸外国がこの統計に疑いの眼を向けても、日本国内でそれを明確に言うマスコミも専門家もいない。

 

その代わり、経済対策の問題を詳細に論じている。この件、一律金を配れば良い。その後、精査して要らない場所に配ったのなら、それを回収すれば良いのだ。経済回復を図る対策は、この疫病の終わりが見えてからの話の筈だ。今議論すべきは、患者の治療体制の整備である。病床の増加、人工呼吸器の増設、それらを操作出来る人間の養成(つまり、看護学科終了者や予定者に講習を施す)である。

 

コロナ肺炎のいい加減な対策と統計により、日本は途上国或いは荒廃国の印象を世界に与え続けている。明確な敵であるコロナ肺炎にこのような稚拙な対応しか取れない国は、もっと複雑な政治経済の問題では、恐らく何も出来ないだろう。経済崩壊の後は、円安と飢える国民の姿が見えて来るようだ。これまで円高経済を憂えるばかりだったが、本当に恐ろしいのは円安だ。

 

コロナ肺炎の統計の話に戻る。下の図は、ドイツと東京の死亡統計の図である。

東京のデータは東洋経済ONLINEから取った。https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

 

独自に定義した致死率(1)(感染者数/(感染者数+死亡者数);青い点)のカーブと、致死率(2)(通常の致死率;赤い点)のカーブは、疫病流行の終結したとき一致する。従って、両曲線が一定の傾向を示した時、その延長上で重なる日時が非常に荒い近似だが、疫病終焉の大凡の時期である。

 

その方法で、あくまでも第一波の流行だが、韓国は4月下旬と予想した。一週間前に記事である。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12587773150.html

同様に、ドイツに関して、上の左図から5月中旬ころと前回記事で予想した。

 

前回の記事には、日本全体のデータも図示しているが、終焉時期の予測など不可能なグラフにしかならなかった。今回紹介する東京のグラフは、それよりももっと酷い。上の図で、2つの曲線が交差するようには見えない。そして、致死率(1)はドイツの5倍ほど、致死率(2)はドイツの半分以下である。

 

新型コロナ肺炎が流行し始めたのは、日本はドイツよりもむしろ早いだろう。それは、発生地の中国との地理的な関係や人的交流の関係から言える。実際、早い時期から日本の感染者数は中国に続いて世界で第二位だった。従って、疫病発生後の経過の時間的位置(つまり疫病流行のフェーズ)は、ドイツとそれほど変わらないと仮定できるだろう。

 

致死率(2)=死亡者数/感染者数なので、それがドイツの半分以下だということは、東京とドイツの治療技術が同程度なら、東京で現在検出している感染者数が死亡者に比較して倍以上であり、多くの新型コロナ肺炎での死者を見落としていることを意味している。(補足1)

 

致死率(1)=(死亡者数/(死亡者数+回復者数))の異常に高い数値は、回復者数が死者数に比較して異常に少ないことを示している。同時に感染発病した人で比較すると、老齢や持病の為に早く死亡した人はこの致死率計算に入るが、回復者はその後の闘病のあと検査で陰性の結果を得て退院となるので、後に計算にカウントされる。つまり、検査数を増やす傾向にあり、且つ、増やせば増やすほど比例して患者数が増加する間は、死亡者だけが早期にカウントされ、致死率(1)が大きく出る。(補足2)

 

つまり、患者発生とは無関係に検査数を抑えて来て、最近になって検査数を増加させてきた東京都のPCR検査の姿勢を示している。現在急激に増加している患者や感染者として“認定された人”の結末は、あと1−2週間後にならないと、死亡者と回復者の統計に入らない。

 

2)田崎史郎氏と玉川徹氏との議論について:

 

東京では新型コロナ肺炎に罹患しても、ほんの一部が検査の対象になり、他の大部分は新型コロナ肺炎と無関係な患者として死亡していた筈である。これは6日放送のテレビ番組『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)で、安倍晋三首相や政府と太いパイプを持つことで知られる政治ジャーナリスト・田崎史郎氏とコメンテーターの玉川徹氏とで議論になったことと関連する。

 

玉川氏は、死亡原因が肺炎の人のPCR検査をしていないだろうと言ったが、田崎氏は「肺炎で亡くなった人のことを、あとでCT検査をして、これでコロナかどうかいちいち判断しているんですよ」と発言した。しかし、その後の東京都への聞き取りで、田崎氏の意見は否定されたようだ。(補足3)

https://biz-journal.jp/2020/04/post_150410.html

 

以上から、実際の患者数は、東京とドイツが新型コロナ肺炎流行の大凡同じフェーズにあるとすれば、死亡率(1)で計算しても、死亡率(2)で計算しても、患者数はそれらのドイツとの比率から、現在発表の5倍程度だろう。そして、死亡率(1)のデータから、新型コロナ肺炎での死者のかなりは、他の肺炎などの死因で死亡したと届けられている筈である。

 

(編集10時15分;治療体制について一言追加、10時32分;補足1の最初の2文と、それに関連する本文の追加、12時42分)

 

補足:

 

1)この文の後半は、コロナ肺炎での死亡者は、感染者と診断した人が死亡してカウントされると仮定している。(これは当たり前の仮定である。死後にコロナ肺炎と認定したケースがあれば、感染者として見落としている人の数は更に増加する。)

尚、BCGの実施国では致死率が低いという話がある。これは、出来れば後で書きたいが、嘘である。(この意見は取り消します。申し訳有りませんでした。)何故なら、アイルランドと英国の致死率の違いを説明出来ないほか、ドイツとフランスの大きな致死率の差も説明できない。ここではそれを無視し、ドイツと日本は、医療技術のレベルやルールを守る遵法の精神を持つ文化など、致死率に影響する因子は類似していると考える。因みに、韓国とドイツも致死率統計ではよく似た結果になっている。

 

2)その検査姿勢では、検査を経ずに死亡した人が多く出ることにもなる。その死亡者を死後検査でカウントしなければ、死亡率(2)の数値を下げることになる。これは、後で述べる玉川徹氏対田崎史郎氏の議論の的となった。

 

3)肺炎死者の全部でなくてもほんの一部でも検査して、死後新型コロナ肺炎での死亡者にカウントされていれば、致死率(1)を増加させるだろう。ただ、田崎氏の意見が正しければ、致死率(2)も増加させる(補足2参照)。

2020年4月12日日曜日

新型コロナ肺炎:ドイツと日本の致死率推移

日本も漸く本腰になって新型コロナ肺炎と対決する姿勢を示すようになった。国民の危機感、特に若い人の危機感が今ひとつであったが、緊急事態宣言を都道府県や国が出すに至って、漸くそれに従うという感じになった。

 

国は超大型と言ったが、その緊急経済対策は中身の今ひとつ薄いものとの批判が多い。日本の財務官僚は、財政再建のことばかり考えているが、それは理系の知識が豊富な元財務官僚の高橋洋一氏によれば、財務官僚は貸借対照表に関する知識が薄いからだという。それを聞いた時、本当に驚いた。

 

国の債務(ライアビリティー)は経済拡大とともに大きくなるのが自然な姿なのに、家計と同じ感覚で借金の増加と考えてしまうそうである。本当に東大、否大学出ているのか?と言いたくなる。たかが16.8兆円の補正予算なのに、事業規模108兆円というレトリックを抵抗なく身につけるのは、大学で思考力をつけることなど無かったからだろう。https://www.youtube.com/watch?v=zzKjxKSMSRk&t=534s

 

兎に角、財政投融資を含めて39兆円の予算が組めたのは、この新型コロナ肺炎COVID19が何ヶ月も続かないという予想があったのではと思う。何ヶ月も続いたのなら、財務省も動かず、日本の経済は完全につぶれてしまうだろう。

 

そこで、これまでのCOVID19の確認者、死亡者、回復者の其々人数のデータから、以前に韓国で行ったような、この疫病終焉の時期が予測出来ないかやってみた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12587773150.html

 

結果は、何も分からないというしかないのだが、ドイツのケースとともにそれを示す。尚、予め断っておきたいことは、私はこの種の統計の専門化ではないことである。理系の元研究者であり、以下に示すのは、簡単な数値解析の結果である。

 

1)ドイツのケース;

 

下の図は、ドイツの致死率(1)と致死率(2)のグラフである。致死率(1)とは、既に死亡か回復かの結論が出た人数での死亡者の割合、致死率(2)とは、確認された人数に対する死亡者数の割合である。図中にもその定義を示した。

横軸は3月17日をゼロとした経過日数である。最初の高い致死率(1)は、疫病流行が始まった直後、検査数が少なく、死亡者と重症者のみが感染者として確認されたからである。検査体制が整った時、急激に検査数を増加させていることが、3月24の急降下でわかる。

 

この致死率(1)の急降下は、韓国でも同じ様にみられている。3月30日の記事に書いた様に、韓国ではこの急降下は、3月15日頃と、23日頃に起こっている。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12585840544.html

 

4月に入って、韓国では致死率(1)は順調に減少しており、中国を覗いて世界で一番、COVID19の流行が終わるだろう。ただし、それは単に第一波の終焉かもしれない。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12587773150.html

 

兎に角、直線近似ができれば、それを延長して致死率(1)と致死率(2)が一致する点が、疫病流行の終わる予測の日時である。ドイツでは恐らく、5月上旬から中旬と予想される。勿論、多くの感染国に囲まれているので、安易な予測は慎むべきなので、この結果はあまり重視して欲しくない。

 

韓国と異なり、ドイツに関するデータでは、致死率(1)に減少が見られない。これは、この様な大まかな分析においても無視できない感染者の流入があるからだろう。逆に韓国では、感染者の外国からの流入があまり無いのだろう。

 

2)日本のケース

 

同じ解析を日本について行った。データは日本政府のものではなく、ドイツのデータと同様、米国Johon Hopkins大のページからとった。結果を下に示す。

 

 

以前、一般的なケースについて簡単な計算をした時に論じたように、疫病蔓延が終結する際、致死率(1)は減少方向に動き、致死率(2)は増加方向に動く。その際、感染と平均的な死亡の間に2週間程度、死亡の時期と回復の時期の間に一週間程度の間隔があるとして、計算した。

 

それは、感染したのち一定期間の潜伏期を経て発病し、発病後、基礎疾患の有る人がかなり早期に死亡し、回復者はその後例えば1−2週間の闘病生活ののち退院することを、簡単にモデル化したのである。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12587988007.html

 

日本のケースでは、致死率の推移が、韓国やドイツのようにならないのは、感染テスト結果が、本当の感染者数の増減に関する情報を含まないからである。つまり日本の感染テストが、症状を訴えた人に対してではなく、既に発生した感染者と何らかの関わりがある人を中心に行ってきたからである。つまり、上記の解析からは全く予測は出来ないことになる。

 

因みに、点線矢印が示すのは、オリンピックの中止決定の日である。この日のあと、致死率(2)は減少を続けている。これは明らかに、感染テスト数が相当増加された結果だろう。致死率(1)が4月7日付近で山になっている。これは、何か発表されていない何かがあったのだろう。

 

尚、イタリアのケースでも致死率(1)は減少し、致死率(2)は増加する。そして、ドイツや韓国と同様のグラフが得られる。

 

以上、この分析は、感染テストが感染確認数を反映する場合には一定の有効性を持つが、日本のような特殊な国のデータでは役立たないことが分かった。

 

クラスターという言葉にこだわり、症状の無いものまでテストする一方、症状の極めて疑わしいケースでもテストしないという日本のやり方は理解できない。日本の保健所の所員は、このクラスターを洗い出すという作業で疲弊しているという。しかし、東京などの感染者では、今や殆どは、クラスター調査の延長上にある感染者ではない。

 

何時まで、馬鹿なことをやっているのか? このクラスターとかオーバーシュートという用語に主役を与えたCOVID-19対策は、もっと致死率の高いが感染力がそれほどでもない疫病にのみ使われるべき手法だと私は思う。

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/03/blog-post_16.html 

 

(編集あり、13時10分)

 

国と国家のあり方について考える:(2)国の動物モデルの詳細

同じ題でアップした前回の話では、国は、国民を基本構成要素とするが、一方国民は何らかの機能体組織に所属し、それら機能体組織が集まって共同体としての国を形成していると書いた。ここでは、国と国民の関係についてもう少し詳細に考える。

 

国には多くの役割があり、国民の間でその分担がなされている。「上記モデル」において、個人は臓器などの細胞に相当する。個人は長期的にも短期的にも、人生のおよそ1/3の時間だけ、其々の機能体としての組織(会社、中央・地方政府、各種法人、中小及び個人企業)に所属し、その機能維持と繁栄のために働くことで生きるための資材を購入する。

 

国を動物、会社等を臓器など器官、国民を細胞と、其々置き換えれば、上記モデルは容易に理解できるだろう。ここで、国民は十分にその組織に貢献するため、知識等を専門化しなければならない。国での教育過程は、動物では卵から胎子のときの分化に相当する。

 

更に考える為に、視点を動物側に移す。動物では、専門的機能を果たし得なくなった細胞は、表皮組織等は外界に捨てられる。内部では分解され再利用の対象となる。それぞれの器官の(専門化した)細胞のかなりの部分が、十分能力を発揮しなくなった段階で、器官そのものが機能不全となり、動物は病を得る。それらの現象を、国家に当てはめれば、容易に社会での対応する出来事に置き換える事ができるだろう。

 

勿論、病気には上記のような内因性のものもあるが、外因性のもの、細菌やウイルスの侵略によるものもある。更に、命の危険となるのは、他の動物による襲撃である。それらに該当する事態は、国に置いても存在し、それらへの対応も動物モデルで解釈可能だろう。そして、我が国に足らないものは何かを考えるヒントもあるだろう。

 

皮膚や上皮細胞は、外界と接触する組織であり、国に該当するのは国境だろう。免疫システムは言うまでもなく、警察に相当する。四肢による身体能力は、国家の軍に相当する。

 

各器官は、動物全体として必要な機能よりも過剰に働きすぎた場合でも病気となる。従って、その必要な仕事量は、互いに情報連絡することで調節される。例えば、体液量の調節は、口からの水分摂取と腎臓から尿として排泄することで行われる。前回記したように、腎臓からの排泄量は、腎臓、副腎、心臓など、関係する臓器が互いに連絡しあって、緻密に調節される。

 

レニンは腎臓の糸球体から、アンジオテンシンは肝臓などから、アルドステロンは副腎から、ANPは心臓の主に心房から、BNPは主に心室から、其々連絡のためのホルモンとして放出される。(補足1)

 

血管系と血液、及びリンパ管系とリンパは、全体として社会の公空間に相当し、国おける情報伝達と世論(ホルモンの生成と伝達)の他、金融(酸素とグルコース)、資材(脂肪酸やアミノ酸等)などの流通の場でもある。また、脳から出た命令は神経によって、直接器官に届けられる。それに該当する国でのシステムは、言うまでもなく国家組織である。

 

以上、国の動物モデルにおける、其々の対応について書いた。このモデルで、社会での国家組織や個人の役割のあり方を論じることができる可能性がある。特に議論したいのが、愛国心と防衛の問題である。どれだけ出来るか分からないが、続けて行きたい。

 

補足:

 

1)レニンは肝臓等から放出されたアンジオテンシンの前駆体(アンジオテンシノーゲン)をアンジオテンシンIからIIに変換する役割がある。アンジオテンシンIIは血管収縮を促すほか、副腎からアルドステロンの分泌を促す。アルドステロンは、腎臓からのナトリウムイオンの再吸収を促進し、全体として体液量を増す。体液量が増すと、心臓の負担が大きくなるので、BNPやANPというホルモンを放出して、上記レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を抑制し、腎臓からの利尿を促進する。

(素人です。少し大学で俄勉強した経験はあります。)

2020年4月11日土曜日

新型コロナ肺炎: 本庶佑氏の提案と機動力のない日本政府

今朝の辛坊治郎氏の司会するニュースバラエティ番組のウェイクアッププラスで、新型コロナ肺炎の対策についての話があった。ゲストは吉村大阪府知事とノーベル賞受賞者の京大特別教授の本庶佑氏であった。その中で、本庶氏は3つの提案を行った。それらは、①PCR検査の大幅増と病院の治療対策の拡充、②治療薬の開発と既に候補としてあがっている既存薬の早期投与、③1ヶ月の大都市の外出自粛、だったと思う。

参考:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57710820W0A400C2I00000/

 

1)検査数と治療室数を増加させるべき

 

本庶氏の提案の中で、①は最も大事な項目だろう。本庶氏は、実際の感染者数はおそらく桁が違うだろうと言っている。つまり、数万人位の感染者数を想定しての発言だろう。その証拠として、東京の新規感染確認者数の記録更新とともに、既に感染者と確認された人たちと無関係な人の割合が増加していることである。

 

上の図は、昨日までのPCR検査陽性者数(上)とPCR検査数(下)である。この4日ほど、検査数を大幅に減少させているにも関わらず、陽性者数が増加していることに注目して欲しい。これが何よりも患者数急増の事実と、実際の感染者数と検出数の割合が相当大きいことを示している。おそらく、現在でも4万人程度の感染者数を予想する。

 

別のテレビ番組「正義の味方」(テレビ朝日系)では、抗体検査を取り入れるべきだという意見を、元厚労省の官僚の方が言っていた。抗体検査は15分位で可能であるので、そのキットの入手などの対策をとるべきである。

 

イギリスでは、新型コロナ肺炎のガンマグロブリン(補足1)保持者に「免疫成立証明書」を発行し、免疫のついた人から優先的に封鎖から復帰していくことを表明している。https://news.yahoo.co.jp/byline/onomasahiro/20200405-00171520/

 

この迅速検査キットは、中国や韓国では一部承認されているようで、この点でも日本は発展途上国になっている。日本でもその研究開発は進んでいるのだが、政府幹部に基礎的知識が不足した無能者が揃っているため、下からの意見にただウロウロしているだけなのだろう。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57933210Q0A410C2L01000/

 

保健所がPCR検査をためらっているのは、病院に人工呼吸器(Ventilator)、人工肺(ELMO)を置いたICUがあまり無いこと、それを至急拡充する政治が無いことが原因だろう。(補足2)

 

2)治療薬について:

 

治療薬だが、日本ではアビガンが最右翼として、安倍総理の言葉の中にも屡々でている。本庶氏の話の中にも、発病初期のアビガンの投与と重症重体期のアクテムラを用いるという提案があった。アビガンは、ウイルスのRNAを作る酵素を阻害する薬であり、アクテムラは炎症に関与するサイトカインの働きを抑えるようだ。

 

アビガンには重い副作用があり、使えない場合も多いだろう。その際、同様の機能を要する薬ハイドロキシクロロキンが外国で注目されている。これは現在でも、全身性エリテマトーデスの薬として、用いられている。副作用も網膜に現れる危険性があるので、眼科医と連携して用いれば、比較的安全なようである。これは既に1ヶ月前にブログに紹介した。

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/03/blog-post_63.html

 

不思議なことに、日本の報道機関では一切言及されない。まるで、禁句となっているようである。つまり、日本政府は未だに、関係を樹立している富山化学(富士フィルムが2008年に買収)との「人間関係」に囚われているのだろう。日本病の一つがここにも現れている。

 

このハイドロキシクロロキンについては、藤井厳喜氏も最近のYoutube動画で紹介している。https://www.youtube.com/watch?v=7IH77xF4oY4

 

日本は、この新型コロナ肺炎で大きな犠牲を出し、それを教訓として、政治体制の大変革ができれば、災い転じて福と為すことが可能である。それには、現体制の破壊と地方分権の実現が大切だろう。

この他、経済危機に対する対応が大事だが、それについては、できれば別に書いてみるつもりである。

 

補足:

 

1)抗体とは血液中の免疫グロブリン(概ね球状の形のタンパク質)には、IgMとIgGなど数種類ある。感染症に罹った場合、最初にできるのがIgMであり、その後本格的に出来るのがIgGだと辞書には書かれている。

 

2)人工呼吸器特にエルモの操作には、特別の訓練が必要である。その人材養成には一定の時間を要する。しかし、基礎的知識を持つ人は相当多い(医学部の看護学科卒業生)ので、講習と免許の制度を作れば、1−2ヶ月で整備できるだろう。

 

2020年4月10日金曜日

新型コロナ肺炎:中国の日本国内でのプロパガンダ?

新型コロナ肺炎(COVID-19)のパンデミック以来、何度か訪問しているYoutubeチャンネルの最新動画を引用する。

【真実はどれ?】NYの新型コロナウイルス情報が混乱。医者、シングルマザー、陰謀論 という題の動画(動画①)である。https://www.youtube.com/watch?v=GDdaE-mbmCw

 

これまで何度か視聴した印象では、そのオーナーは相当知的な若者であり、配信された動画の文章は全て巧妙且つ緻密に論理展開されている。ただ、今回の動画は目標が目標だけに相当無理をして作っているようだ。しかし、コメントを見ると、そのゴリ押しはある程度成功しているようだ。結論をいえば、上記は在日中国人(多分)による中国政府のプロパガンダだと思う。私は一度書き込んだコメントを削除した。

 

以下の文章を読む前に、一度通しで上記動画を見て欲しい。そうでないと、以下の文章は理解出来ない可能性が高いと思う。

 

動画①では、自分の主張を代弁する動画(動画②)をまず紹介している。動画②は、所謂陰謀論的動画である。メディアで報じられている混雑した病院の状況を確かめるという目的の紹介のあと、整然とした街の様子や静かな病院の待合室の光景を見せる。そして、テレビで流されたューヨーク州知事が「30,000台の人工呼吸器が必要なのだ」と大声で主張する場面と伴に、混雑する病院内処置室の映像を流した。そして、その映像は数日前に英国のテレビにより、イタリアの様子を紹介する際に使われた映像であることを暴露する。https://youtu.be/HDADonD2bAU


更に、混雑した病院というテレビのニュースの翌朝、その病院の前の整然とした様子をみせる。ただ時刻の表示は見つからない。米国は異常に大騒ぎをしているという印象を視聴者に与えるのが目的だろう。それと対照的に、混雑した地下鉄の様子と、「人混みのサブウエイが感染を進めた可能性も」と言うスーパーを、フラッシュ的に挿入している。

 

つまり、政府の主張やテレビの報道は、ニューヨーク州のコロナ肺炎流行を過大に、そしてインチキ映像も利用して報道していると、”暴露”しているのである。

 

それを紹介する動画①の主は、ニューヨークでの悲惨な状況は、それが仮に真実としても、政府やメディアにより誇大に宣伝されていると、動画②を利用して、主張しているように思える。更に、米国政府とメディアは、其の悲惨な状況の原因が中国のデータ捏造であり、米国はその被害者であると虚偽の主張をしていると言いたいのだろう。(補足1)

 

彼は、自分の意見の代弁者として、動画②を利用しているのである。そして、動画②が陰謀論的な内容だとして、一定の距離を置きながら、他のニューヨークの悲惨な状況を配信する動画に疑いを投げかけることで、動画②の内容を支持している。巧妙なやり方である。(補足2)


それに利用されたのが、、ニューヨークで働く日本人女性医師の動画(動画③)と、ニューヨークの貧困層が多い地区に住む、日本人シングルマザーの動画(動画④)である。それらも動画①では其々短く紹介している。

動画③: https://www.youtube.com/watch?v=3zUKVcYtODk

動画④: https://www.youtube.com/watch?v=OHc8cfwn1ag&t=170s

 

動画③及び④の配信者たちは、これまで日本で報道されたニューヨークの悲惨な状況を紹介しながら、日本の人たちに覚醒を促しているように見える。彼女らは、等しく「現在の日本は3−4週間前のニューヨークに似ている」と警告している。

 

どちらも動画②に比べれば、金の掛け方も桁違いに小さく、質的に劣っている印象を与える。動画④は、既に数百万回視聴されているようで、其の異常な拡散には、マーケッティングを目論む隠れた力が存在する可能性があると、動画①の主は言う。(補足3)


 

彼は、動画②と動画③、④のどちらが本当のニューヨークなのかと並べながら、そこで、米国在住(ニューヨーク州以外)の義母(「僕の母」と自然に話しているが、スーパーで訂正がなされている)に聞いたという話を紹介する。ニューヨーク州ではないという逃げ道を用意しながら、現地に近いところに住む人の意見ということで、信憑性を補強している。

 

そして彼は、それらの情報を総括する様に、ニューヨークでの爆発的流行のモデルを提案している。つまり、最初に地下鉄などの混雑で一定程度に感染が広がり、その後の過去三週間ほどの間に、膨大な検査をして陽性者を大勢出し、その人達が病院に殺到したことで、更に、患者が爆発的に増えたというモデルである。つまり、大規模発生があったとしても、その大部分の責任は米国にあると言うのである。


このモデルが正当化されるのは、ニューヨーク州では、感染症患者と一般患者を一緒に扱っていることが必要条件である。このモデルにより、これまで紹介した動画②の内容と整合性があるように、巧妙に説明をしている。

 

その後の結論的な部分で、情報の分析方法について紹介している。その一つは、情報はその配信する人の目的や利益などを考えに入れて分析しなければならないという原則である。そして、その方式を適用すれば、アメリカのメディアとかアメリカ政府が、問題の深刻さを煽るように報道するのは、米国をコロナ肺炎の被害者とし、中国の初期の情報隠蔽などをその原因として攻撃するためだと、視聴者に教え込むのである。

 

彼は、自分が動画②の主張に(11:20)同意する訳ではないと言いながら、主要メディアや政府の発表を被告席におき、陰謀論動画の動画②を検事側の罪状報告のように扱っている。それで、自分は裁判官という公正な立場にいると主張している。

 

因みに、彼は良い言葉を教えている。既に言った言葉、「情報はその配信する人の目的や利益などを考えに入れて分析しなければならない」と、「信者になるな」という言葉である。何かを信じてしまうと、真実を俯瞰できないという。

(編集21:00;21:30)

 

補足:

 

1)私の考える事実は、街のある病院のある時間帯の混雑や静寂ではない。事実は、John Hopkins 大の発表している患者数、死者数、そして回復者数である。

 

2)確かに陰謀論の中には、真実が隠れていることも多い。米国では、月面着陸の嘘、9.11の嘘など、陰謀論の対象となることが多いが、真実の方が陰謀論に中に隠れて静かに表にでる時期をまっているのである。

 

3)テレビですぐに放映されるなど、話が出来すぎていると言いたいようである。その情況証拠的に、動画④の配信直後からの異常に大きい閲覧数(4−5日で700万回位と言っている)に言及している。素人ぽく作りながら、もっと大きな組織との連携作品だろうという疑いを視聴者に醸成したいのだろう。

国と国家のあり方について考える:(1)国の動物モデル

国家という言葉は、通常国の管理運営組織を意味する。現在の多くの国では、行政、立法、司法という3つの機能を持つ組織で構成される。軍隊は、通常行政の1組織であるが、複数の軍隊を持つ国もあるだろう。トップは国家元首であり、共和国では普通大統領がその役割を担う。

 

国のハードな面としては、国家(組織)と国民、及びその領土領海領空等から構成される。国の伝統や文化は、国のソフトウエアであると考えれば、上記国のハードな部分に加えて、国の構成に数えるべきだろう。

 

国民の生命と生活の安全は、殆どの場合、所属する国の浮沈と伴にある。従って、国(例えば日本国)は、国民を構成員とする共同体である。(補足1)

 

日本国は民主制を採用しており、その国家組織の目的は、国民に生命と財産の保全及び自由な活動の場を、制限付きの権利として保障することである。国家とは、それらを目的とする機能体組織である。(補足2)一方、国民の義務は、国家にその目的遂行に必要なものを供出することである。

 

国を考える際、動物一体の構造と機能がモデルと成り得る。そのモデルにおいて、国民は動物の各種細胞に対応する。国民の一部をメンバーとする多くの会社・法人などは、動物では器官や臓器に相当する。(補足3)

 

動物の器官は、国などの公的機関及び法人に相当する。そこで、細胞が集団となって機能体組織をなしていると考えられる。そこでの細胞は、それぞれ専門的な機能をほぼ完璧に果たす。

 

それら諸器官を含め、動物の全ての細胞は、生死を共にする共同体の構成員とも言える。国のあり方を考える際、動物とその細胞のあり方と比較することで、有用なヒントが得られる。ただし、国における国民が、諸機関の構成員であるのは、1/3の時間のみである。この「国の動物モデル」で、大事なことは、この1/3の時間と残りの2/3の時間の峻別である。

 

動物の命は、他の動物との戦いに負けたり、獲物が得られず生命維持出来なかったりすることで短くなる。その原因は、その動物が外的との関係を正しく把握しなかったこと、そしてその対策を取らなかったことである。それらは、全て動物の脳と四肢の能力が劣っていたということによる。

 

つまり、国家における立法及び行政組織などは、動物の脳に相当し、軍事的能力や産業的能力は、動物の四肢や内蔵に対応する。つまり、国の栄枯盛衰は機能体組織として国家が機能するかどうか、産業界が能力と競争力を維持出来るかどうかに依存する。(補足4)

 

動物においても、生命活動における最良の結果は、国における国家の部分(脳と四肢)と産業活動に関する部分(内蔵)が優秀な場合に得られる。動物細胞は機能体組織の構成員として理想的に働き、情報交換も言葉ではないが、ホルモンと神経により緻密におこなっている。(補足5)

 

このモデルを頭において、国家と国民の基本的関係について考えると、話がわかりやすくなるだろう。今回はここで一応話を終わる。

 

 

補足:

 

1)ここで、共同体と機能体に分類する社会組織論があるが、それはある存在全体の一部(部品あるいは部品的組織)の性質を言っているのである。その全体が統一性を持って存在し続けるためには、それらすべての組織は大きな共同体の構成員として含まれなければならない。例えば、日本の企業、国家、自治体などは、機能体組織や共同体組織に分類される。しかし、それらがもっと大きな枠組みである日本国の共同体の構成員でなければならない。この考え方を取らない人たちがいる。それはグローバリストたちである。それは、国家と破壊し、機能体組織である企業体の増殖に価値を置く考え方である。今回のモデルでは、悪性腫瘍に見える。

 

 

2)国家は機能体組織であるから、国の上記目的を効率良く実現する様に組み上げられるべきである。機能体組織という言葉は、ゲゼルシャフトという用語を意識して使った。

 

3)民主国では、個人の基本的人権を国家の最高価値と見做すので、会社や法人はあくまで国の準構成員或いはバーチャル(仮想的)な構成員である。米国のように、本来バーチャルである筈の法人が政治資金の多くを拠出し、政治をコントロールするのは民主国の考え方に整合的ではない。ただ、個人の政治姿勢が十分成熟しない(し得ない)状況では、民主国は絵に描いた餅なのかもしれない。西部邁さんは、オルテガなどの本を引用して、その指摘をしておられた。そうすると、米国型の関節的に賢者の意見に重みをもたせるタイプの修正民主政治が最良かもしれない。(この「修正」は、本当は「modified」にすべきである。私は、この修正とか改正とかの正の漢字に何時も引っかかる。)

 

4)国民が、国家の中の機関や法人として働く1/3の時間に自分の脳を使うが、それは残りの2/3の時間の脳の使い方とは異なるだろう。後者の脳の使い方は、自由度が高く、機能体組織の中で働く能力を磨いたり、国の文化の向上の栄養素となったりするだろう。

 

5)例をあげる。体液量が多く心臓の負担が増加したとき、心房細胞はANP(atrial natriuretic peptide)というホルモンを分泌する。それが腎臓の傍糸球体細胞に作用して、レニンの分泌を抑制し、腎臓でのナトリウムの再吸収を減少させ、体液量を減少させる。心臓の細胞は、仕事が増加して苦しくなったとき、この体液量調節システム(レニンーアンジオテンシンーアルドステンロン系)に働いて、負担を軽減してもらうのである。

 

2020年4月9日木曜日

中国による武漢ウイルス米国起源説流布

中国による「武漢ウイルス」(補足1)米国起源説流布の作戦:「敵を欺くには先ず味方から」の戦術

 

最近、ケイさんというハンドルネームのYoutubeサイトを見つけた。そこで語られる内容は、中国人でないと知り得ない中国の真実を語っているように聞こえる。そして、ときとして、ハッとすることも多い。つまり、疑問に思っていたことが一瞬にして氷解するのである。

 

その一つが、中国趙報道官による「新型コロナ肺炎を米国が持ち込んだ」という発言と、それをあっさりと在米中国大使が否定したことの謎である。それを、大紀元という在外中国人によるメディアは、「駐米中国大使、“米軍ウイルス拡散説”を否定 内部で意見対立か」という表題で解説している。

https://translate.google.co.jp/translate?hl=en&sl=ja&u=https://www.epochtimes.jp/2020/03/53593.html&prev=search

 

しかし、中国政府の報道官は、政権の中枢に位置し、中国外交部の傘下にある。駐米中国大使も同様である。しかし、大使が「馬鹿げている」と発言したことで、米国は表立って、趙報道官の発言を、中国政府の発言として批判できなくなった。政府専門家チームリーダーの鍾南山氏も感染源は中国とは限らないと発言していることと合わせれば、この米軍起源説は、中国政府の正規なプロパガンダの筈である。

 

この謎は、ケイさんにより明確に解説されている。趙報道官のツイーター上の書き込みも、在米中国大使の米国マスコミでのその完全否定も、全て中国政府の戦術の一環だとして理解すべきだというのである。つまり、敵を欺くために、内部が混乱しているかのように見せるというのである。https://www.youtube.com/watch?v=71Do2kEnHQk

 

米国トランプ大統領のマッドマン理論と似ているが、一人で演じるとバレやすい。しかし、それを政府全体で演じると、非常に分かり難くなる。西欧でも、個人のレベルではマッドマンを演じることはあっても、政府のレベルになればあり得ないし、想像すら出来ないのである。

 

中国政府は、独裁であることを知っていても、独裁政府の本質について肌感覚で理解する人は少ないだろう。私が、この問題がケイさんの動画を視聴して、氷解するように理解できたと感じたのは、情報についてはかなり閉鎖的な日本社会に住むからかもしれない。

 

その様に考えると、上記大紀元の報道及び大紀元というメディアの性質も、注意して再考する必要がある。つまり、大紀元が、中国政府ができれば隠したいことでも報道して来たとしても、尚、完全に信用することはやめた方が良い。ウイグルなどでの人権侵害を、初めて暴いたのなら信用に値するが、中国が隠しきれなくなった時以降に中国を攻撃するトーンで報道しているのなら、それは上記駐米中国大使と同じかもしれない。その評価には、長期的な観測とプロフェッショナルな解析が必要だろう。

 

つまり、反中国政府の報道姿勢を見せながら、肝腎なところで、米国など欧米社会の考え方を誤った方向に導くのである。時として、味方の一部にも「裏切り者」という烙印を押される位でないと、この種の戦術には役立たない。つまり、「敵を欺くには先ず味方から」という中国三国志の時代の戦術である。

 

「長期観察とプロフェッショナルな解析」こそ、インテリジェンスの基本だろう。それに何よりも大事なことは、自分の頭でゼロから考えることである。この後の方が、伊藤貫氏が指摘したように、日本の優秀な(つまり東大卒というだけのこと)官僚たちに根本的に欠けている。(編集、20時)

 

 

補足:

 

1)表題の「武漢ウイルス」は、医学的に問題を語るときにはふさわしくない。新型コロナ肺炎の正式名称はCOVID-19であり、その原因ウイルスにはSARS-CoV-2という名称が与えられているからである。しかし、ここでは中国武漢で発生したウイルス性肺炎の原因ということを明示する必要性から、この名を用いた。

2020年4月8日水曜日

新型コロナ肺炎: 2つの致死率のシミュレーション

先日の記事で、この病気での致死率を2つ定義した。(これは全くオリジナルであり、然るべき学会での議論を経ていない。)

 

致死率1(DR1)= 死者数/(死者数+治癒者数)                ①

致死率2(DR2)= 死者数/確認数                                           ②

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/03/blog-post_29.html

 

昨日、これら2つの統計値の傾向から、韓国の新型コロナ肺炎は大凡4月中に終息するだろうと書いた。上記、2つの致死率の変化が直線的であるとし、その交点から、この疫病終息の日の目安を求めた。

 

その際、経験的な方法だとしたが、それは全くの経験則というよりも、かなり自然なことであることを、ここに示したい。その為に、非常に簡単なシミュレーションを行ってみたので、その結果を記す。

 

この疫病の新規患者が、ガウス型の曲線(誤差曲線とも呼ばれる)を描くように、毎日発生すると仮定した。

新規患者発生数が30日目で最大になり、大凡70日で患者発生はほぼ無くなるとする。致死率を10%とし、死亡する患者は全て発病2週間目に死亡する。回復者としてカウントされるのは3週間目(退院日)とする。因みに、今回の計算での発生患者数は約2500名である。

 

このモデルで計算した致死率を30日目から図示すると、以下のようになる。

致死率1はかなり直線に近いかたちで、新規患者数が最大になる30日以降減少し、同様に致死率2(死者数累計値の全患者数(累積値)に対する比)は増加する。直線近似で、30日〜50日の間で線を引き、それを延長して交点を求めると、ほぼ疫病流行が終焉する日となる。

 

以上は、疫病の発生も数式通りでないと、成立しない。現実は、中国の二次的流行、欧米からの感染の流入など、韓国の状況も単純ではない。従って、このような非常に簡単なモデルで進む保証など全くないのだが、2つの死亡率を用いる方法が一つの解析法となることを示した。参考になればと思う。

 

尚、先日の解析で韓国のデータを取り上げたのは、多くのPCR検査を行い発表しているので、信頼性が高いと判断したからである。同様の致死率を日本のデータで求めても、上記モデルには全く合わない。それは、日韓の比較をしたブログ記事に書いた通りである。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/03/blog-post_30.html

2020年4月7日火曜日

新型コロナ肺炎:命の選択の問題

1)はじめに

 

昨日の「お詫びと訂正」の記事では、小池都知事の「軽症者を退院させて、ホテルなどに収容し、そこで養生してもらう」という方針に、憲法違反の疑いがあると書いた。

 

そのブログ記事に、「chukaのブログ」さんからコメントをいただいた。そこには、その方法を取ることが正しい判断であると書かれていた。その中には非常に有用な知識が含まれているので、全体を引用させていただく。

 

現在の病院は患者には必ずしも安全な場所ではない。たとえば人口呼吸器を数日つけているだけで、免疫度の弱い患者はMRSAに感染している。20世紀前後にはこれが猛威をふるい、多数の犠牲者が出たのは医療側の常識となっている。その上、人間は寝てばかりいると体もなまってしまい感染に弱くなります。もう一つは精神上の悪影響が大きい。病院のベッド数には限りがあり、特にこれはICUに顕著です。最初の患者優先より、必要者優先です。手術などで長期療養が必要ならばリハビリに送られます。

 

人工呼吸器を数日つけただけで、MRSAに感染することが医療分野の常識であるという話は他人事ではない。ただ、そのコメントは、法的にはどうであれ、差し当たり出来るだけの人命を助けることが肝腎だという考えだと思う。それは尤もなのだが、日本の現状は、法治国家としての体裁を整えていないので、表の論理で反論をしたい。

 

コメントありがとうございます。内容には全く同感です。ただ、その手法を日本がとり得るのかという問題です。つまり、部分と全体という2つの視点があり、全体からみて正しい判断が、部分が受け入れ難い場合、その解決をするのが法です。法を受け入れるという了解の下に、我々は国家に私権の一部を渡しているからです。

 

その法の一部に、国家非常事態の宣言と、非常事態特別法の発動により、個人の私権の一層深い部分からの制限が掛けられます。それが不備な場合、非常時には国家は成立しません。部分の視点を一切持たないのが、独裁です。独裁は、法の不備で困ることはありません。日本は民主国家を標榜していますので、現在、国家非常事態なのです。

 

 (補足:ここで国家とは、国の一部を構成する「国家組織」の意味)

 

2)トロッコ問題

 

上記は、命の選択の問題であり、サンデル教授の熱血授業で有名になったトロッコ問題に似ている。それは、「前方の5人が将にトロッコに轢き殺されようとしているとき、トロッコの進路を変更出来るポイントに居る人は、2人が線路上に存在する方向にトロッコの進路を変えるべきだと思いますか」という問題である。

 

確かに5人の命よりも、2人の命の方が、被害としては少ない。従って、そのような場面にあれば、トロッコの方向を変えて、5人の命を救うべきであるという答えが優勢かもしれない。しかし、それは翌朝の新聞記事の表題を、5人の事故死から2人の殺人事件に変更するだろう。

 

上記軽症者は命の危険性は2であり、後から病院に運ばれる重症者は命の危険性が5であると考えれば、上記トロッコ問題と酷似している。このまま、先に取得した病院での治療権を奪われる人は、より大きな死の危険性という負担を強制される。これは、人のすることだろうか? このトロッコ問題は既に1月15日の記事に書いた。

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/01/blog-post_15.html

 

もちろん、軽症者が簡単に了承するのなら、話は別だが、軽症者の定義は非常に厳しい状況の人も含まれる。https://forbesjapan.com/articles/detail/33415

 

このような状況は、通常、近代国家の姿ではない。ましてや国家非常事態の定義が憲法に無い国では、非常事態だからという言い訳はできない。普通の国では、非常事態宣言がなされたのち、そのような措置がゆるされるという特別法が発動されて初めて可能なことだろう。西欧諸国でも、このような議論は、恐らくなされていないだろう。

 

日本では、非常事態の定義が憲法になく、従ってこの種の非常事態にのみ起こり得ることが発生した段階で、超法規的措置が取られることになる。それは、国家の一時的崩壊と同義である。このような事になったのは、オリンピックと習近平の国賓としての招聘を優先し、この新型コロナ肺炎への備えを怠った安倍内閣の責任である。その点を今後明確にしなければ、日本国民にとって、国家とは単に支配者の道具であり、国民は被支配者に過ぎないという状況が続くだろう。その状況は明治の時代から続いている。

新型コロナ肺炎:韓国での克服はそれほど遠くないだろう

新型コロナ肺炎が日本でも本格的な取り組みが必要になり、首相の緊急事態宣言が今日出されるそうである。世界では米国の確認数は36万を超え、世界で確認数と死者数が其々、134万及び74500に登った。

 

日本も非常に暗い雰囲気になってきたのだが、少し明るい話題として、韓国での予想を大胆すぎるかもしれないが、ここに書いてみる。単純な解析なので、全く外れる可能性もあることを予めお断りしておく。

 

先日の記事で、この病気での致死率を2つ定義した。(これは全くオリジナルであり、然るべき学会での議論を経ていない。)

 

① 致死率1(DR1)= 死者数/(死者数+治癒者数)               

② 致死率2(DR2)= 死者数/確認数                                      

 

ここで、この病気の流行が終わって、闘病生活を送っている方の人数がゼロになったとき、この2つの致死率は一致する。なぜなら、全て確認された人数は、治癒するか死亡するかに割り振られるからである。韓国が発表し、John Hopkins大の特設ページに発表されたデータから計算した上記①と②を、日付を横軸にして図示してみたのが、下図である。

この図で、2つの致死率が交わった点が、ほぼ韓国でこの病気の流行が終焉する時期だろうと考えられる。つまり、4月中には、韓国はこの病気をほぼ克服するだろうというのが、今回の予測である。

 

ここで、注意すべきは、この直線的な致死率の変化は、理論的に明確に示されるわけではなく、単に経験的なものに過ぎない。韓国では、3月30日の記事にも書いたように、2月の終わりから、この直線傾向がつづいている。外部からの第二波の感染などがなければ、予測はほぼ的中すると思う。あくまで個人的な見解だが。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12585840544.html

 

日本の場合は、データに信頼性がなく、全く予測不可能であるが、政府の要請に国民は従順に答えるだろうから、5月には、その終焉予測ができると考えている。

 

2020年4月6日月曜日

新型コロナ肺炎対策:ドイツに学ぶべき点

今朝の立川しらくが司会するグッドラックと言うテレビ番組で、今回の新型コロナ肺炎(COVID-19)に対するドイツの優れた取り組みを紹介していた。ドイツは、大流行のフランスやイタリアと接し、かつ、シェンゲン協定により自由に人々が移動できるという悪条件にも関わらず、両国と比較して死亡者も死亡率も圧倒的に低い。

 

例えば、人口100万人あたりの死亡者数では、イタリアの263人、フランスの124人と比較して、ドイツは19人である。その理由は、①PCR検査を出来るだけ多く実施して、陽性者に外出をしないように要請し、致死率の高い高年齢者への感染を防いでいること、そして、②大病院がCOVID-19重症者の受け入れ体制を整えていること、③ホームドクターが相談窓口となって、電話で症状を聞くなどの方法で、病院が混雑しないようにしている。(大病院では、ホームドクターの紹介状が必要である。)

 

更に、④ベッド数は日本より若干少ないものの、ICU(集中治療室)の数は日本より一桁多く、COVID-19重症患者への対応が準備されていることなどが挙げられる。ICU一室を設けるのには、約500万円程の投資が必要なので、日本ではドイツより圧倒的に少ない。

 

テレビでは、レジに並ぶ人が近くならないように、取るべき間隔が線を引くことで示したり、待合室などで、間隔をあけるように、椅子の半分以上に着席禁止マークをつけたりしてある。緊張感は日本より遥かに高い。

 

以上のドイツの体制などから日本が学ぶべきことだが、現在の対策として、以下の事が考えられる。PCR検査の実施体制の整備は急には出来ないので、抗体検査などをもっと取り入れるべきだろう。そして、感染し保菌していると考えられる若者に、外出自粛を要請すべきだろう。

 

それ以外は、日本の現在の方法でやるしかない。昨日都知事が言ったように、軽症者は病院からホテルなどに移り、重症者にベッドを開ける事で、大病院を重症者中心の治療に向ける。これは前ブログに書いたように、超法規的措置の匂いがする。しかし、日本という国の現状を考えれば、せめて首相の緊急事態宣言の下でやってもらいたい。更に出来れば、集中治療室的な場所を、人工呼吸器などを調達して増加させるべきである。

 

人工呼吸器の件は以前書いたが、例えば獣医系の病院等に依頼して、人工呼吸器を犬や猫から一時人間が借りること、人工呼吸器に分岐管をつけて複数の人が使うことの工夫をして、重症者の増加に備えるべきだろう。

 

ドイツから学ぶべきことで将来実行すべき改革としては、先ず、個人病院や総合病院の役割分担をすることが大事である。そして、オンライン診療やオンラインカルテの導入、それら医療に関する個人情報を医療機関に開放することが必要だろう。

 

ホームドクターは、地域の中で探さなくても、オンライン診療であれば、広い範囲から総合内科的な医師を選びうる。現在、医療は専門医制度が広がっているので、近くの専門医ではホームドクターとしては不安である。自分の医師は、自分が選ぶことを原則とすべきだろう。

 

オンライン診療を取り入れれば、最初に掛かる医師から、専門医への紹介状はカルテが開放されていれば非常に簡単である。そのようにすれば、大病院はICUや大型の検査装置(MRI、CT、PET)などを充実させることで、最初にかかる総合医との役割分担を明確にできる。マイナンバーはここでも役立つだろう。

 

プライバシーの問題や国際的なネットハッカーの問題などがあるので、ネットも、国内ネットと国際ネットの2つを持つことが大事ではないだろうか。光ケーブル網の一つを、国内ネット専用にできないのだろうか? 専用のウエブブラウザで済ませる方法が可能なら、それでも良いと思う。(以上)

お詫びと訂正:緊急事態宣言についての記事

今日ブログ記事のテーマとした緊急事態宣言は、首相による国家の緊急事態宣言ではなく、特別あらたに議論するほどの法令では有りませんでした。ただ、国家の緊急事態基本法が無いこと、それが独立国家として必須であること、更に、その憲法上の裏付けが必要なことなどは、全て正しい主張だと思いますので、そのまま残します。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12587503729.html

 

同様の新型コロナ肺炎に対する緊急事態宣言は、米国トランプ大統領により3月13日に発せられてました。この文章には、明確にNational Emergency Actの201および301項により、国家非常事態を宣言すると書かれています。(補足1)https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/proclamation-declaring-national-emergency-concerning-novel-coronavirus-disease-covid-19-outbreak/

 

そのNational Emergency Act (EMA; 国家非常事態法)は、1,976年に定められたものです。このEMAに相当する法律が、民主党が準備していた国家緊急事態基本法で、小泉内閣のときに流産した法律です。

 

今回、首相が宣言する緊急事態宣言は、トランプの非常事態宣言とは全くことなることは前ブログに書いた通りですが、その根拠は、今年に国家で一部modify(修正)された新型インフルエンザ等対策特別措置法の32条です。https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=424AC0000000031#216

 

 

この宣言は首相によるものではなく、通常首相が務める新型インフルエンザ等の対策本部長によるものですので、「首相」が出すというマスコミ報道に、ボケた私の頭脳が間違った反応をしてしまいました。北海道知事が2月末にだした緊急事態宣言も、同様のものですが、法的根拠はありません。

 

昨日東京都知事が発表した、入院中の新型コロナ肺炎患者で症状の軽い人は、病院からホテル等の収容施設に移すという緊急の提案も、法的根拠のない人権無視的提案だと思います。(補足2)それは、新型インフルエンザ等対策本部長(安倍首相)による緊急事態宣言を予想して、発表したようです。きっと、首相と都知事とは、意思疎通が非常にスムースな仲なのかも知れません。https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-03/Q875PJDWX2PU01

 

これらの動きは、論理的思考に慣れた私には、理解を超えるものですので、ついミスをしてしまいました。謹んでお詫び申し上げます。

 

補足:

  1. NOW, THEREFORE, I, DONALD J. TRUMP, President of the United States, by the authority vested in me by the Constitution and the laws of the United States of America, including sections 201 and 301 of the National Emergencies Act (50 U.S.C. 1601 et seq.) and consistent with section 1135 of the Social Security Act (SSA), as amended (42 U.S.C. 1320b-5), do hereby find and proclaim that the COVID-19 outbreak in the United States constitutes a national emergency, beginning March 1, 2020. 
  2. 入院患者を病状が軽いからという理由で、或いは他に重症者が現れたからという理由で、病院から追い出すのは、特別な法令がない場合人権無視だと思う。厚生労働省の通達があるというのは、不十分な根拠だろう。つまり、病院を追い出される人にとっては、等しく医療を受ける権利の侵害であり、憲法違反ではないのか? それを合法化するには、上記トランプの宣言のように、憲法から、患者をホテル等に移動させる措置を記した法律まで、系統だった説明が出来なければならないだろう。

 

新型コロナ肺炎:日本には緊急事態基本法はない

1)日本の不思議な緊急事態宣言

 

昨今、マスコミの発表する記事には、今回の新型コロナ肺炎(COVID-19)流行を阻止するために、安倍総理が何時緊急事態宣言を出すかという類のものが多い。

 

その法律の解説は、以下のNHKのページなどに書かれている。また、朝日新聞の無料ページに図があったので、それを下に示す。その概要は既に本ブログでも多少触れた。それによれば、要請には従う必要はないし、指示には罰則はない。私権の制限云々が緊急事態宣言をためらう一つの理由らしいが、個人が受ける私権の制限はないに等しい。

https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/tokyo/correspondence.html

 

(朝日新聞のサイトでの無料記事より)

 

この件、色々と不思議なことが多い。一つには、日本は既に非常事態対応をとっていることである。感染した国民の多い国からの入国制限である。その重要な決断を、安倍総理は非常事態宣言或いは緊急事態宣言をしないで行った。それは緊急事態での措置ではなく、日常的な措置なのだろうか?

 

米国大統領は、この3月13日の非常事態宣言と同時に、欧州シェンゲン協定(移動自由の協定)加盟国からの入国を停止する措置を発表した。つまり、他国との通常の外交関係を大きく変更するのは、米国では非常事態或いは緊急事態なのである。今回の記事を書いた動機は、何故緊急事態ということばを用い、National Emergencyの翻訳語の非常事態を用いないのかという疑問であった。

 

日本では、イベントの中止要請とか、臨時の施設開設のための土地使用とか言う、国内の小さい措置に対する法的根拠を与えることを、何故ためらっているのか? それも訳が分からない。後述のように、この極めてよく似た文言が、国民保護法(有事法制とともに2004年に制定された外国の武力侵攻への対応を示している。)の中にある。しかし、国民保護法が、どのような宣言に従って発動されるのかは、今回の私の調査ではわからなかった。

 

元に戻る。首相の緊急事態宣言によりできることの一つに、住民に対する外出自粛要請がある。それは外出禁止ではない。外出自粛の要請をするには、首相による「国家の緊急事態宣言」が必要だというのである。しかし、テレビを見ると「不要不急の外出はやめるように」と、首相は発言している。それは、首相としての発言ではなく、単なる私的な言葉なのか?

 

既に、都道府県は、同様の対応をとっている。東京都知事は、入院中のCOVID-19患者の一部(軽症者)を、ホテルなどの施設に移動させると宣言している。このような人権侵害を、都知事の分際で、普段顔で行っている。一方首相は、諸外国との外交関係を大きく変える決断は普段顔でできるが、COVID-19汚染地区の住民に「外出自粛の要請」など、緊急事態の宣言をしてからでないとできないというのである。背中が痒くなる。

 

 

2)非常事態宣言(緊急事態宣言)について:

 

非常事態宣言は、「危機に対応するために、政府が特別法を発動することである」とウィキペディアには書かれている。その宣言は本来国家元首が出すのだろうが、日本では元首が明確でないので、総理大臣が宣言するのだろう。特別法を発動すると言う点では、今回の緊急事態宣言と同じである。

 

しかし、今回安倍総理が発するのは、緊急事態宣言であり、非常事態宣言ではない。つまり、その種の宣言を出す法的根拠が「警察法」にある緊急事態宣言だからである。これは元々、治安維持のためのものであり、今回のような疫病による国家の非常事態に対応するための法律ではない。

 

米国には、国家非常事態法(The National Emergencies Act (NEA))という法律がある。それは、幾つかのケースにおいて、大統領の緊急権限を正当化するための連邦法である。 大統領は、定められた手続を踏んで、非常時にのみ定められた特別な権限を得ることになる。この非常事態に於けるこの法律の下で利用できる大統領の権限は、議会が法律で定めた136の緊急権限に制限されている。(尚、議会は法律に署名した共同決議により非常事態の宣言を終了することができる。)

https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/proclamation-declaring-national-emergency-concerning-novel-coronavirus-disease-covid-19-outbreak/

 

既に前のセクションに書いたように、この3月13日の非常事態宣言と同時に、米国はシェンゲン協定加盟国からの入国を停止する措置を発表した。つまり、他国との通常の外交関係を大きく変更する決断は、非常事態宣言とともに行われている。これらの基本的な部分について、マスコミはほとんど報道しない。

 

なお、外国の武力侵攻などがあった場合を想定して、「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」という長い名前の法律がある。これは、自衛隊という名前の日本軍の行動を規定する「有事法制」と、「国民保護法」(補足2)と呼ばれる法律の基本法として存在するようだ。ウィキペディアのレベルでは、この法律を発動するにあたって総理が何らかの宣言を出すという記述はない。

 

つまり、日本には、非常事態或いは緊急事態に備えた基本法がない。緊急事態基本法は2004年5月20日に自由民主党、民主党、公明党の三党合意により、2005年の通常国会で成立を図ることが決定されていたが、直後に小泉内閣が総辞職し、衆院総選挙は郵政民営化へ争点が移ってしまい実現しなかった。(補足3、4)

 

このような重要な法律は、全て私権の制限と関係してくる。その私権制限を、一政党の代表が行って良い筈はない。国民の選挙で選ばれた人物が行うべきである。しかし、その記述、つまり国家元首を誰にするか、国家元首を選ぶのは誰かなどは、現行憲法には何も書かれていない。これを問題にして、国家の体制を整えようとすると、長期政権の座には座れない可能性が大きい。小泉という政治屋(二世議員か三世議員)がそう考えたのかもしれない。

 

小泉だけでなく、自民党の長期政権担当者は全て、この問題に触らないで長期政権を謳歌するという利己主義に徹した売国奴的人物である。つまり、米国への不沈空母となることが日本の存在意義だと考えた人たちである。その手本を作ったのが、戦後の吉田茂であり、それに従ったのが、吉田学校の卒業生である池田勇人や佐藤栄作や、その後継者、中曽根康弘、小泉純一郎などだろう。

 

以上は、理系人間の文章である。法律や経済出身の文系の人たちは、反論および議論をしてほしい。

(午前8;30;11:50編集)

 

補足:

 

1)ひょっとして、日本では要請が罰則付きの指示の働きがあるのかもしれない。つまり、自立した人にたいする周囲の厳しい目である。昨夜のテレビで木村太郎が、株主総会を止める決断を早くしたい会社の経営者も、この緊急事態宣言をまっているという。バカみたいな話である。

 

2)国民保護法は、他国の武力侵攻等の際に「国民の生命・財産を守る方法」を定めた法律である。住民の避難・救援に必要な場合、一定の範囲で私権を制限すること(例えば、私有地の一時的な提供、医薬品や食料の保管指示、交通規制などに従わなかった場合などに罰則が科されることがある)を容認し、住民に対する避難指示や救援活動は都道府県中心で行うこととされている。国の役割は、国民保護のための方針を定め、警報を発令し、避難措置を指示する。さらに自然災害と有事に対する包括的な法的枠組み整備に向けて2005年の国会において緊急事態基本法の法案審議が開始された。(ウィキペディア、および電子政府参照)

 

3)小泉は、緊急事態基本法の議論を続けると、必ず憲法の議論が始まり、それでは自分の政権が短期に終ることを予見したのだと思う。或いは、もし三党で合意がほぼできていたのなら、米国の妨害にあったのだろう。

 

4)米国からの年次改革要望書(米国の命令)の中に、郵政民営化があったので、それを表に出して衆議院を解散することで、上記議論をゴミ箱にすて、米国の飼い犬として長期政権を可能にした。郵政省事業の民営化でよく言われるのは、現在の簡保生命の保険金の、米国への投資を可能にすることである。年次改革要望書は、2009年(平成21年)に自民党から民主党へと政権交代した後、鳩山内閣時代に廃止された。