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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2020年5月30日土曜日

中国の国家安全法と香港問題:日本の採るべき姿勢について

1)香港問題と米国トランプ政権の対応

 

香港の自由確保のデモ等を禁止する国家安全法が、中国全人代最終日の28日に可決された。この結果、香港のアジアにおける国際金融の中心としての地位の喪失、中国の元安から高いインフレが高確率で起こると予想されている。(及川幸久氏;https://www.youtube.com/watch?v=MjDsnY8CvHM&t=0s

 

現在、中国は外貨の大部分を香港市場で手に入れているという。その香港を他の一般都市と同様にしてしまうのは、中国にとって大きな損害だろう。今後香港が住みにくくなると感じる富裕層は、台湾などへの移民を既にしているか、その準備をしているようだ。

 

中国政府は、6月4日の天安門事件の記念日に例年開催される、香港でのデモを警戒しているだろう。それが大騒動になれば、ウイグルやチベットへ飛び火するなど、全国規模の騒乱となる可能性もある。現在の中国では、それを期待する勢力、つまり反習近平派が姿を表しているのだろう。つまり、習近平は、中国全体の経済よりも、自分の政権安定の方を優先している。https://www.excite.co.jp/news/article/EpochTimes_55368

 

この法案は、香港返還の際に英国と共同宣言の形で出した、50年間一国二制度を採用し、香港に高度の自由を保障するという約束に反する。そして、香港が国際金融のアジアでの中心地であり続けたということは、それは実質的に国際的な約束となっていたとみなされる。(補足1)

 

米国は、その中国が維持保障してきた香港の自由を、今後も約束することを期待して(圧力をかけるため)、2019年香港人権・民主主義法を制定している。北京政府は内政干渉だと批難しているが、米国国内での方針であり”狭い意味”では内政干渉にあたらない。

 

この法律は、例えば「香港の情勢を取材しているジャーナリストに対する脅迫や、自由への抑圧があった場合、その責任者の米国内資産を差し押さえる」などの条項を含む。それらは、厳しい情報統制の中国内政に、影響を与える可能性が当然あるだろう。しかし、全て米国内で完結することなので、内政干渉ではないと言い張ることは世界一の強国には可能である。(法律の内容:https://money1.jp/archives/9229

 

中国政府は、通貨安(元安)へ高まる圧力を考慮して、一ドル7.13元程度の元安相場に設定している。輸出には有利となっているが、中国からの資産の海外逃避が進めば、通貨崩壊に繋がる可能性があるという。(補足2)トランプ政権は、追加関税等を発表するなどの措置を今日明日発表する可能性があると思う。

 

2)日本の運命はどうなるか?

 

今後、世界の政治と経済の動きが、中国デカップルの方向に加速される可能性がある。日本関係では、これで習近平の国賓招聘は無くなったと思う。安倍政権は、壁の上を歩いて両方を眺めていただろうが、これで米国側に着地することになるだろう。

 

それを象徴するような場面があった。5月25日の夕方、安倍総理は緊急事態宣言の撤廃を発表した記者会見で、ウォールストリート・ジャーナルの記者が質問した。「今、米国と中国がウイルスなどをめぐり激しく対立している。日本はどっち側につくでしょうか?」(夕刊フジのニュース)それに対して、安倍総理は以下のように答えた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/aea5f0fe9dea72b34ffbd87d58a74965d0ae3183

 

 

現在、米国と中国の間で、新型コロナウイルスの発生源をめぐり、激しく議論が行われている。日本政府は『ウイルスが中国から世界に広がった』のは事実だと考えている。今後の日本の役割は、今回のようなパンデミックが起こったとき、『世界がどう行動すべきか』について提示していくことだ。こういうときは、世界中が協力しなければならない

 

ただ、日本の外交・安全保障の基本的立場としては、米国は日本にとって唯一の同盟国である。『自由と民主主義』『基本的人権』『法の支配』という基本的価値を共有している。日本は米国と協力しながら、さまざまな国際的な課題に取り組んでいきたい。

 

中国も、世界において極めて経済的にも重要な国であり、プレーヤーだ。それにふさわしい責任も果たしていただきたい。国際社会は『日本と中国がそれぞれ、地域や世界の平和や安定、繁栄に責任ある対応を取っていくこと』を期待している。中国がそういう対応を取ってくれることを期待したい。

 

安倍総理のこの答えは、非常によく出来ていると思う。この質問と安倍総理の答えは、準備されたものだったのだろう。(補足3)この発言に対して、中国外務省の報道官が「ウイルスの発生源を政治的に利用し他国に汚名を着せる行為に断固反対する」と批判した。https://www.youtube.com/watch?v=GRd6gF1xSQA

 

この批判は非常に不思議である。何故なら、中国は新型コロナ発生直後に、武漢海鮮市場のコウモリから発生したと言っていた筈である。ただ、この報道官の言葉は、これでも幾分抑制的なのかもしれない。

https://www.reuters.com/video/watch/idOWjpvCAQU3O7TLTC1LKEFOCZQDQDGGN

 

ここで日本政府および国会は、今後の中国との関係を深く考えるべきである。中共と米国自由主義圏との争いが激化したとき、中国は日本を攻撃の的にすることも念頭にいれなければならない。それを避けるために習近平を国賓に招聘するのなら、それは止めた方が良い。何かで恩を売ったと日本が考えても、それにとらわれるほど中国は簡単な国ではない。

 

それよりも、上記日本の立場を「日本の意思は明確だ」と欧米自由主義圏特に米国と英国に思われた方が、遥かに得である。中国という国は、全ての人物が「厚黒学」(補足4)を学んで第一線に出世する国である。中国相手に、本音を隠すような老練な外交は目指さない方が良い。中国に敵うわけがない。

 

台湾併合に中国が動く場合には、台湾の反撃も相当なものと考えているだろう。もたもたしているうちに、諸外国の本格的な体制整備で、第三次世界大戦に進む可能性がある。それが核戦争に発展した場合には、世界の終末という事態も想定される。しかし、尖閣を占領する作戦の場合、日本の自衛隊の反撃は、日本本土ではないので、腰が引けるだろう。つまり、中国側から米国側への攻撃の恰好標的として、日本の尖閣や石垣島を考えている可能性がある。中国は日本を舐めきっているからである。

 

台湾はその後の標的だと思う。その時、日本は中国の属国に明確な形でなるか、それとも戦場になって国民の30%が核ミサイルの犠牲になるかの選択を迫られる事態も想定されるだろう。万が一のことを考えて、トランプ大統領から、早期に大量の核持込みをしてもらう以外に手はないだろう。(補足5)否、日本のトップに米国から核兵器を奪い取る位の迫力がなければ、日本の生存は難しいだろう。 (以上は、元理系研究者のメモです。;午後6時30分編集)

 

補足:

 

1)アヘン戦争の時に英国領となった香港が中国に返還されたのは1997年である。それは1984年の中英連合声明に基付いて行われ、そこには返還から50年間「高度の自治」が明記されていた。(ウィキペディア、香港問題参照)

 

2)中国の元は固定相場制であるが、その前後の狭い範囲で変動が許容されている。(及川氏の動画参照)

 

3)この質問までは、緊急事態宣言解除や、黒川弘務前東京高検検事長に関する質問が続いていたと書かれている。この米国の記者に学ぶべきである。首相に質問する機会を得ながら、新型コロナや黒川問題だけで済ますのは、時間と機会のロスである。また、この重要な質疑について、翌日の毎日新聞等一部新聞はほとんど何も書いていないのは、日本の報道のレベルが非常に低いことの証明である。日本の報道が、外国特に韓国や中国に乗っ取られているのだろう。

 

4)厚黒学とは、「面の皮は厚く、腹は黒くあるべき」という考え方である。華僑の必須科目だと聞いたことがある。兎に角、日本レベルの外交など通用しない相手である。

 

5)東大法学部の憲法学を教えるI教授のように、憲法9条を金科玉条のように考える日本では、のぞみ薄である。どうしようもない。日本は、幻の国家が要望と言う形で命令ができる不思議の国なのだから。

 

2020年5月28日木曜日

小池百合子氏は都知事としても国政の最高責任者としても無能である

小池都知事の無能力はすでに豊洲市場の件で証明されている。その批判は既に2016年9月1日の記事で行っている。この人がリーダーになれば、その組織は大きな損害を被るだろう。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466515312.html

 

その小池都知事の2020年6月の選挙での再選は、自民党の二階幹事長(補足1)という怪しげな人物により支持され、確実視されている。日本の不幸の筋書きである。

 

その小池都知事が、学校の9月入学を支持している。その支持のセリフが鬱陶しい。ヨーロッパの文芸復興はペストの流行後始まったと言及し、「教育にとどまらず、社会システム全体に関わるため、大きな視点で検討が必要」と、その言葉が今朝のグッドラックでゲスト出演した池上彰氏により紹介されていた。

新聞記事では例えば:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58621650Z20C20A4000000/

 

しっかりと新型コロナ肺炎の対策をした人なら、説得力もあるが、オリンピックと中国からの観光客に気を取られて、3月24日まで放置したのである。その流行も先が見え始めたときに、ロックダウンと言い出した。少し新型コロナの小池対策を振り返る。

 

1月24日に新型コロナ肺炎の患者が東京で初めて出た時の記者会見で、都知事は「中国の春節もあり、夏の五輪もあるので、お持て成しと危機管理の両面から、考えないといけない」と中国の観光客に配慮した発言をした。

 

本ブログでは、2月10日にすでに、「新型コロナ肺炎のパンデミックは短期終息しない可能性がたかい」と題して、日本の対策のなさを指摘している。また、23日には「安倍政権は、感染者の検出を抑えることで、大流行を期待しているとしか思えない」と無策を批判するなど、2月中でブログ記事を10数本書いた。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12574178074.html

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12577306468.html

 

しかし小池都知事は、3月13日「東京五輪について中止も無観客もありえない」と発言し、病院の専用ICUの確保など、まともなコロナ対策をしていない。五輪の延期が決まったのが3月24日で、翌日には、感染爆発重大局面下手をすればロックダウンと言い出す始末。https://www.youtube.com/watch?v=EeASSnZkESA&t=319s

 

私は、この新型コロナ肺炎の被害が政府により隠蔽されていると警告し、南方アジアでの低い死亡率などから、2月28日には、オリンピックは一年間延期されると予言する一方、日本でも7月に終息するだろうと書いている。

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/02/covid.html

 

小池氏はカッコはいいのだが、政治家としては全く無能である。自民党の二階氏などは初めての女性首相にすることを考えている可能性大だが、怪しげな者は怪しげな者を選ぶ。(補足2)このような人物が首相になれば、日本は大被害を受けると思う。個人攻撃のように見えるかも知れないが、公人の評価は国民の権利の一部だと思うので、敢えてこの投稿をする。

(20:20 編集、補足2追加)

 

補足: 

 

1)二階幹事長は政府与党の政治家でありながら、中国と癒着しているように見える。更に、和歌山の限られた地域の利権を、国政での権力を使用して実現する人物である。

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2018/12/blog-post_21.html

 

2)屡々引用するのだが、英語のことわざに、「一級の者は一級の者を選ぶ。二級の人間は三級の者を選ぶ。」(翻訳)がある。

2020年5月26日火曜日

賭けマージャンも検事がやると犯罪でなくなるのか

1)黒川東京高検検事長の犯罪の本質と日本の政府及びマスコミの歪んだ対応

 

今年、5月1日に東京高検の黒川弘務検事長が、産経新聞の記者宅で産経記者二人と朝日新聞元記者の合計4人で賭け麻雀をやった。帰りのタクシーで、運転手に今日は10万円負けたと話したという。

http://economic.jp/?p=89035

 

この事実を認めた黒川氏を法務省は訓告処分とし、黒川氏は辞表を提出し辞任した。黒川氏は、安倍総理が検事総長に任命する予定で、前代未聞の定年延長までして、検事長にとどまらせた人物である。

https://mainichi.jp/articles/20200525/k00/00m/010/113000c

 

 

この黒川氏のマージャン賭博は、幾つもの問題点がある。朝日新聞デジタルでは、この件が明らかになった5月20の法務省や検察の様子を以下のように記している。

https://www.asahi.com/articles/ASN5P6X7YN5PUTIL047.html

 

ある法務省幹部は「緊急事態宣言のさなかにマージャンとは」と絶句した。この日、自宅で在宅勤務中だった稲田伸夫検事総長も急きょ登庁するなど、庁内には急速に危機感が広がった。

 

一番大きく批難の対象となったのは、賭け麻雀という賭博行為よりも、「検事長ともあろうものが、緊急事態宣言の最中に、所謂“3蜜”の情況が不可避な麻雀に興じていたこと」である。上記法務省の慌てふためく様子を見て、「日本の病根これにあり」と思う外国人は多いだろう。

 

例えば木曜日朝のグッドラックというTV番組で、インテリ米国人コメディアンの「厚切りジェイソン」が、”仕事以外のことでそんなに批判するのはおかしい”と明確に発言した。そのとき、「賭博」という犯罪が話題になっていなかった時なので、その点を抜きにすればこの主張は全く正しい。

 

黒川氏は仕事を離れれば一私人であり、一私人の行動として批判されるべきなのは、賭け麻雀という賭博行為のみである。緊急事態宣言中ではあるが、個人が外出制限されている訳ではない。4人がテーブルを囲むようなことは、新型コロナ肺炎の伝染防止の観点から好ましくないことは事実だが、それも法で明確に禁止されたことではない。

 

単に国の政策に非協力的な態度の悪い人だという位の評価で済ませるべきだ。「三密を避けよう」は、努力目標である。処罰の対象となる類のルールではない。全ての処罰は法に基づいて行われるのが、法治国家の原則である。

 

欧米のある国では、“結婚していないのなら家族ではないので、デートは禁止される”というのは、他人である二人が外出して長時間会うことが法的に禁止されているからである。

 

2)黒川氏の賭け麻雀は刑法の処罰規定にある賭博行為:

 

刑法第185条:賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。上記刑法の規定における但し書きの、「一時の娯楽に供する物」とは何か。それが金銭であっては、この法律は空文化してしまう。(補足1)

 

金銭とはどの程度の額なのか? この規定は刑法185条にはない。従って、賭金10円でも賭博になると考えるべきである。賭け麻雀では、一定の緊張感を持たせるためにお金を賭ける。レートに無関係に賭博である。従って、告発され裁判になれば、賭け麻雀のレートは刑罰の多寡には影響しても、有罪か無罪かの判決には影響しない筈である。

 

このレートの問題は、テレビ番組「バイキング」で話題になったようだ。そこでのやり取りが面白いので、以下に、下記サイトからコピー(イタリック部分)する。

 

フジテレビ上席解説員の平井文夫氏が「1000点100円を点ピンと言いますけど、点ピンはセーフという話は昔からある話なんですね」と語ると、MCの坂上忍(52)から「そういうものなの!?」と聞かれた元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士(63)が「はい」と肯定したことでスタジオは紛糾。

 

元宮崎県知事の東国原英夫氏(62):「ちょっと若狭先生。それは法律家としていかがなものですかね。一応、建前と本音はありますよ。でも、法律上は1円たりとも金銭を賭けたら賭博罪なんですよ」

 

平井氏:「そんな事ないですよ。だって刑法185条を読んでくださいよ。娯楽の場合はその限りではないって書いてあるんです。

東国原氏:「その限りではないですよね。あれは例えばご飯代とか賭けた場合ですよ」

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200525-05250065-sph-soci.view-000

 

引用は以上だが、法学を正しく理解していたのは東国原英夫という元芸人だけだった。平井氏の「娯楽の場合はその限りではない」というのは、刑法185条を暗記したものの、理解できていないことを示している。刑法185条を一度でも覚えたのなら、但し書きに対して、この条文全体を否定することになる様な解釈を口にする筈がないからである。

 

東国原氏は、そのあと「それではテレビでテンピンの麻雀をやりましょう」と発言した。

 

この事件に関してある人物が「日本の賭博史に新たに刻まれた「黒川基準」」と題する記事を書いている。その人物とは、国際カジノ研究所・所長を名乗る木曽崇という人である。https://news.yahoo.co.jp/byline/takashikiso/

 

その中で、木曽氏は以下のように語っている。

 

今回示された黒川基準で一番バカを見ることとなったのは、ノーレート雀荘と呼ばれる「賭け事をしない、させない」店舗として営業努力を重ねて来た、おそらく業界内では1割程度にも満たない遵法事業者。同業他社のうち9割以上が麻雀賭博営業を行っている中で、あえてノーレートを選択する事というのは並大抵の覚悟ではありません。

 

3)贈収賄の可能性:黒川氏の辞任を承認し、退職金7000万の満額支給で良いのか?

 

賭博行為が殆ど全ての国民に知られた以上、黒川氏を検察は賭博罪で告訴すべきである。その場合、日本が法治国家なら100%確実に有罪となる筈である。刑法犯となった黒川氏の処分や退職金については、人事院規則などで決定すれば良い。もし、その規定が変なら、その後内閣が改訂に動くべきである。

 

黒川氏らは、13日にも同じメンバーで5月2回目の賭け麻雀をやったようだ。常習性があるようなので、相当の罰金を科せられることになるだろう。

 

人事院の「懲戒処分の指針」は、賭博をした職員は「減給」または「戒告」と規定しているが、黒川氏は懲戒処分よりも軽い「訓告」にとどまった。公務員の懲戒処分には、免職・停職・減給・戒告・訓告・厳重注意の段階があるというが、下から2番目の甘い処分である。https://mainichi.jp/articles/20200521/k00/00m/010/196000c

 

ここでもう一つの重要な問題がある。それは、麻雀の相手が産経新聞の記者と元朝日新聞の記者だったことである。彼らの関係は、単に同級生などの知人であれば問題ではないかも知れないが、取材を有利にするために新聞記者が接近して創り上げた関係の可能性が高いだろう。

 

それは報道のあり方及び国家の情報のあり方の点でも、道義上大きな問題がある。また、それが情報を得るための接待麻雀であり、意図的に麻雀で負けることで多額のお金を提供していたとすれば、贈収賄の可能性もある。

 

その場合、黒川氏が大きな声でタクシーの運転手に語った10万円負けたというのは、所謂キックバックの可能性がある。そして、普段の負けとしてプレゼントしていたお金は、新聞社の取材費から支出されている可能性も考えなければならない。

 

 

4)犯罪の成立と刑罰を与えることの可否

 

犯罪の定義と処罰の多寡は、社会における正義の実現と安定の維持という観点から法で示されていると思う。このままで済ませることは、日本社会に賭博の「黒川基準」を定着させ、それ以下のレートの賭けマージャンを取り締まる根拠がなくなる。その結果風紀は乱れ、かなりの犯罪増加の原因となるだろう。繰り返すが、国民に知れ渡った黒川らの賭博行為は、当然刑罰の対象とされるべきである。

 

一方、例えば家庭内や知人間での遊興の範囲でのマージャンは、社会の風紀上の観点、或いは、こどもたちへの教育的観点などから、問題がないというコンセンサスがあれば、事件化することはないだろう。その範囲とは、「明日の昼飯を奢るという程度である」と上記TV番組「バイキング」で東国原氏は語っている。この線引について、若干考察してみたい。

 

人が生きる上での行為は、他人が生きるための助けになったり障害になったりする。そのプラス・マイナスを合計して、大きなプラスに導くことが社会の作って生きるメリットである。この時、大きなマイナスが生じる行為を犯罪として処罰する制度が導入される。ただし、小さなマイナスを含めて全てのマイナスを犯罪として罰すれば、その社会は住みにくくなり人々は幸せでなくなる。

 

学校で社会科を教育する際、全くの自然状態(原点)から高度な文明社会を作る思考実験をすれば、法律や法治主義が理解されるだろう。そして、世界の環境が変わったときに、法改正の必要性の提案やその評価ができるだろう。その教育が、民主主義の大切なプロセスである。

 

この社会のルールを考える際、社会の構造も同時に考える必要がある。つまり、社会は「私(プライベート)」と「公(パブリック)」の二重構造だけだと考えるのは、簡単すぎる。「公」の中にも、会社、協会、学校、同好会など多くの組織がある。そのような多重構造を考えた時、上記の小さいマイナスと犯罪となる大きなマイナスの境目は変化して良い。

 

そのように考えて、学校での虐めや子供に与える体罰などの基準がもうけられるべきである。つまり、運動部のビンタも相撲部屋の可愛がりも、そのまま暴行罪となっては、そのような伝統社会は崩壊するだろう。それらの基準は、文化の一部を構成するであり、その文化はその社会の内部の者にしか理解されない。(補足2)

 

近年、西欧文化を無批判に取り入れる風潮にあり、それがマイノリティーの権利保護という形であったり、女性の権利拡大だったりする。しかし、その線引を考えるのは日本文化の下で生きる我々日本人である。

 

以上は一般論である。今回のケースを当てはめると、会社の仲間で昼食を賭けてマージャンをするくらいの賭けマージャンは犯罪としなくても良いということになるだろう。一方、言論や報道の自由を犯す可能性のある(補足3)、マスコミ関係者と検察庁幹部との間で行われる賭けマージャンは、厳格に法の規定を読むべきである。

 

繰り返しになるが、どのように考えてみても、黒川氏の麻雀賭博は刑罰の対象になり、「訓告」処分は国民を愚弄するものである。安倍総理は任命責任は自分にあると言っているのだから、その言葉に従って辞任して、その責任をとるべきである。安倍の「任命責任は自分にある」は、国民全てが聞き飽きていると思う。それが内閣支持率の急降下の理由である。https://mainichi.jp/articles/20200523/k00/00m/010/178000c

 

(午後6時に大幅改訂しました。)

 

補足:

 

1)パチンコ屋で遊んだ人は、パチンコ玉を一旦景品に替えて、それを景品買受所で金銭に替える。このパチンコ屋の工夫は、この規定を意識してのことである。品物を賭けたとしても賭博は成立する。

 

2)「犯罪」という言葉は、殆どの場合行為の本質に関する定義ではなく、司法から処罰を受ける行為と定義される。そうすると、黒川検事長が刑事的に処罰されなければ、「賭けマージャンは賭博でない」ということになる。或いは、刑法185条に「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する」以下の但し書きを、「ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき、及び検察官の場合は、この限りでない」にしてもらいたい。

 

3)言論と報道の自由は、社会の為のルールであり、報道機関の為のルールではない。そうでないと、報道機関を名乗りながら、プロパガンダの自由を保障することになる。

2020年5月25日月曜日

オバマゲート(II) FBIと癒着して出来たチームオバマ

1)ロシアゲートの復習:

 

今日の及川幸久氏による言論チャンネルでのオバマゲートの解説は非常にわかり易い。https://www.youtube.com/embed/UwGdGSXuWjY

しかし、尚分かりにくい部分や疑問が残るので、自分なりに及川氏の解説を整理して理解の助けとしたい。

 

2016年12月29日に次期トランプ政権の安全保障担当補佐官に決まっていたマイケル・フリンが、ロシア大使と電話で話をした。内容はオバマ政権がロシアに課した経済制裁の解除についてであった。FBIがこの電話を盗聴することは、外国諜報活動偵察法(FISA: The Foreign Intelligennce Surveillance Act) により合法的である。

 

その内容を政府高官に示す場合、FBIは外国の諜報活動を対象にするので、米国民や米国の機関の名前が会話に含まれていれば、そこを黒塗り(マスキング)にして見せることになる。それは、米国市民のプライバシーを捜査関係者以外に漏らすことになるからである。

 

ただ、政府高官などから正当な理由とともに開示要求がなされたなら、その黒塗りを外して(アンマスキング)情報を提示することになる。(このアンマスキングは後の主題)その要求を当時のオバマ政権の誰かがして、ロシア大使と話した相手の名前が、大統領選挙の時にトランプに協力していたマイケル・フリンであることを知った。(補足1)

 

オバマは、トランプにヒラリーが負けたことに腹立たしく思い、トランプが違法にロシアの協力を得て大統領になったというストーリーにとり憑かれた。そして、ホワイトハウスから去る直前に、その物語を完成させるべく会議を開いた。

 

そこに参加していたのが、オバマの他に、バイデン副大統領、コミーFBI長官、スーザン・ライス安全保障担当補佐官、そして司法副長官だった。

 

このオバマらのやり方は、国家の行政のトップが警察や検察を政治に用いてはならないという三権分立の原則に反する。オバマとバイデンらのこの会議と、その後のFBIのフリン捜査が民主主義の原則に抵触するのである。マイケル・フリンとロシア大使の話が、犯罪(国家に対する反逆)の可能性があると考えられるものなら、それはFBIが独自に捜査を続行すれば良いことである。

 

2)マイケル・フリンの取り調べ;

 

上記原則論は、当然上記の人たち全てが最初から承知していることである。従って、FBIは捜査ではない振りをして、大統領補佐官になったフリンから、ホワイトハウスの然るべきルートを通さずに話を聞いた。それが不当な捜査の類に分類される。トランプがその直後に「FBIに嵌められた」と言ったのは、そのような理由があったからである。

 

正当な捜査なら、米国でも容疑者に取り調べの主旨と、「嘘をついたなら偽証罪に問われます。弁護士の同席が可能です」などと告げた後に、聴取されるだろう。しかし、FBIは「小さいことです」と言って、私的会話のようにフリンから話を聞いたのである。

 

マイケル・フリンが行ったことの罪を問うとしたら、差し当たり適用可能な法律は、ローガン法だった。ローガン法は、「私人が外国政府関係者と話をしてはならない」という古い法律であるが、言論や報道の自由を記した憲法に違反する可能性が大きい。従って、それを表に出して、捜査の告知はなかなかできないので、「ちいさいことです」という言葉になったのだろう。

 

FBIの本当の目的は、オバマが指示した捜査、「ロシアとトランプ陣営が協力して、ヒラリーとの大統領戦に臨んだ」という物語の実現であった。無理に作り出そうと努力すれば、FBIの捜査もかなり違法性が濃くなってくるのは当然だろう。

 

そして、「自白したら罪を軽くしてやる」という、日本の警察が良く行う悪党の取り調べ風になったのだろう。あとで冤罪となるケースが多いのは、自白を強要した後に、それに合致する証拠を捏造するタイプの“犯罪捜査”である。

 

FBIは、「あなたが有罪を認めないのなら、あなたの息子をロシア疑惑で取り調べることになる」と言ったという。つまり、この話の筋では、FBIは司法取引の形で、嘘の証言としてロシア疑惑の一部を認めさせる方針だったことになる。

 

ここまでフリンの弁護を担当していた事務所は、FBIと繋がっていたと言う。その司法取引に異議を申し出たのが、シドニー・パウエル弁護士であった。(補足2)

 

司法取引という形で、ロシア疑惑の物語を創り上げ、それを根拠にムラー特別検察官にトランプの弾劾裁判をさせたのである。上院で否決されたのだが、それも予想の範囲だっただろう。要するに、大衆は弾劾裁判までことが進んだことで、トランプに悪い印象を持つ筈だからである。

 

以上が及川幸久氏の動画の内容に私の推測も加えたフリンの捜査である。

 

3)オバマゲート:

 

オバマゲートは、以上のFBIの違法な捜査とそれによるトランプ追い落としが、オバマ前大統領らによる指示だったという疑惑である。トランプのロシアゲートとは独立に、オバマゲートがあり得る。オバマ元大統領が先頭にたって、政敵の周辺捜査を行った疑惑である。それはニクソンのWatergateと酷似している。そして、それは独裁者の習近平が王岐山にやらせた政敵追放の方法と似ている。(補足3)

 

その検索をしてたら、ニューヨーク・ポストという歴史ある新聞の記事が検索に引っかかった。そこには次にようにかかれている:

 

With the release of the names of more than a dozen officials who asked to have Gen. Michael Flynn’s identity “unmasked,” the apparent effort to take down President Trump — before he even took office — is starting to look like a broader Team Obama scheme than first thought.

意訳:大勢がマイケル・フリンの正体をアンマスクする要求をしたことが明らかになり、最初考えられたよりも大きなチームオバマによる、広範なトランプ追い落とし作戦の図式が明らかになった。

 

The disclosed names include those of ex-Vice President Joe Biden, Obama Chief of Staff Denis McDonough, FBI boss James Comey and intel chiefs John Brennan and James Clapper. Acting Director of National Intelligence Richard Grenell sent the list of names to Congress on Wednesday after they were declassified.

意訳:情報開示要求をした人物は、前副大統領のバイデン、ホワイトハウススタッフD. McDnough、コミーFBI長官、等。機密を外した書類として、このリストを水曜日に議会に提出した。

 

この件がオバマゲートと呼ばれるようになったのは、フリンとロシア大使の電話の盗聴記録で黒塗されていた部分のアンマスキングを要求した人物として、バイデンらの名前を、国家情報局長官代理のリチャード・グレネル(Richard Grenell )が議会に送ったからである。(補足4)

 

国家情報長官(DNI)とは、米国のFBIやCIAなど17の情報及び諜報機関を取りまとめるキャビネットのメンバー(国務長官とか商務長官などと並ぶ職)である。

 

トランプが心の中で密かに目指すのは、次期大統領選の競争相手であるバイデンを不利にすることである。それは公然の秘密である。しかし、トランプはあくまでも密かに目指さなければならないと思って居る筈である。トランプが目的が明らかになる形で公然と捜査等の指示を出したなら、オバマゲートが今度はトランプゲートになるからである。

 

トランプはウクライナとバイデンのケースでは、薄氷を踏むおもいだっただろう。兎に角、10月に行われる米国大統領選は、新型コロナ肺炎とそれによる大不況の中で苦しむ国民を巻き込んだ泥試合になるだろう。

 

検察と行政トップの癒着は日本の安倍総理にも向けられた批判である。最近の政治の劣化は、真実と言葉を大切にする心得と、そして遵法の精神の両方を失った人間に与えられた神の罰のように思える。その中心に中国共産党政権とそれを利用して金儲けに走るグローバリストの集団(ディープ・ステートと呼べるだろう)があると私は思う。

 

以上、素人の推測も混ぜて、及川幸久氏の動画の解釈でした。

 

補足:

1)最近、最初からマスキングされていなかったという話がワシントン・ポストよりだされた。この件についての解説が以下のサイトにあるようだ。直ちに理解出来る話ではないので後回しにする。https://www.nationalreview.com/2020/05/michael-flynn-was-not-masked-because-fbi-framed-him-as-a-clandestine-agent-of-russia/

 

2)このパウエル弁護士の講演は、以下の動画にある。その中で、この件についても話している。

https://www.youtube.com/watch?v=LTV1Y_QuZOM

パウエルは、「Licensed to Lie: Exposing Corruption in the Department of Justice」という本を2018年に出版している。多分、この本にはマイケル・フリンの弁護士事務所とFBIの関係が書かれているだろう。

 

3)中国では、共産党幹部が袖の下を受け取るのは、中国文化とでも言えるほどである。(柯隆氏が富士通総研時代に言っていた)つまり、日本のパチンコという賭博、あるいは低いレートでの掛け麻雀の類である。行政トップが司法と癒着すれば、その政権は全ての政敵を失脚させることが可能である。

 

4)補足1と関連して一言追加。「 who asked to have Gen. Michael Flynn’s identity “unmasked”」と書かれて居るが、 フリンの名前がマスキングされていたかどうかに関係なく、この盗聴記録全体の開示要求を誰がしたかということが問題である。日本では、マスキングばかり話題になって居るが、書類全体が機密であることを忘れてはいけない。

 

2020年5月24日日曜日

新型コロナ肺炎:クロロキン及びヒドロキシクロロキンの有害性

クロロキン及びヒドロキシクロロキンは、中国国家衛生健康委員会のCOVID-19の治療ガイドラインで使用が推奨された為か、世界で広く用いられてきた。(補足1)新型コロナ肺炎ウイルスの試験管内での抑制効果は、レムデシベル同様確認されていたが、アビガンなどと同様、決定的な確認はされていない。(補足2)最近、トランプ大統領が予防として、ヒドロキシクロロキンと亜鉛剤を服用していると公表して話題になり、この薬の使用は政治問題化してきたようである。そこで、再度、この件についてレビューしてみた。

 

1)最近のポジティブな効果の報告:

 

世界最大の医療調査企業で医師向けソーシャルプラットフォームを提供するサーモが、米、英、仏、ブラジル、ロシア、中国、日本、オーストラリアを含む31カ国の医師6150人以上からの33700の聞き取りから得た、上記諸薬を含めて療法の安全性と効果についてまとめ、5月7日に公表した。

https://au.news.yahoo.com/sermo-reports-covid-19-treatment-135900638.html

 

その結果を要約すると、医師は未だ一般的普遍的な治療法を見つけていないという結論になる。回復した患者の血清を用いることを例外にして、その他は16%から精々37%程度が高い効果が評価するに過ぎない。下の図にまとめられている。詳細は上記サイトをご覧いただきたい。

 

上図によれば、世界のCOVID-19の治療にあたっている医師は、安全性及び効果の両面からレムデシベルと同程度の評価を、クロロキン及びヒドロキシクロロキンに与えている。

 

因みに、血清剤を除き治療効果に一番高い点数が与えられているのは、アクテムラ(関節リウマチの薬)であり、それに続くのがアビガンのように見える。どちらも日本で開発された薬である。そして、アクテムラはクロロキンと同様、免疫抑制作用があり、本来重度な感染症に罹患した患者には、注意が必要な薬である。つまり、COVID-19の治療法探しは、未だに五里霧中ということである。

 

この様な情況下で、5月19日、日本でもヒドロキシクロロキンのかなりの治療効果が報告された。東京の江戸川病院の医師が30人に投与したところ、29人が改善、23人は平均して14.9日で退院できたというのである。

https://www.youtube.com/watch?v=VcX6XoutgxE&t=4s

 

2)決定的と思われるネガティブな効果の発表:

 

そんな中、ある意味で決定的な論文が著名雑誌であるThe LANCETに発表された。ハーバードのMehraという教授らは、いくつかの国での治験データを分析してみた結果、クロロキン及びハイドロキシクロロキンは効果が無いばかりか、非常に有害であると発表したのである。

https://www.thelancet.com/pdfs/journals/lancet/PIIS0140-6736(20)31180-6.pdf

 

クロロキンまたはヒドロキシクロロキンを投与された患者14888名を、クロロキン1868名、クロロキン+マクロライド抗生剤3783名、ヒドロキシクロロキン3016名、ヒドロキシクロロキン+マクロライド抗生剤6221名、の四つのグループに分けて、対照となる81144名のグループの治療結果と比較したところ、参照グループの死亡率9.3%と比較すると、ヒドロキシクロロキン投与18.0%; ヒドロキシクロロキン+抗生剤23.8%; クロロキン16.4%; クロロキン+抗生剤 22.2%と、大幅に死亡率が増加したと書かれている。

 

更に、参照グループで0.3%だった心室性不整脈の出現率は、クロロキン類の投与のグループで、6.1%; 8.1%; 4.3%; 6.5%と夫々増加した。

 

この一流医学雑誌掲載の報告により、一言も触れられていない亜鉛剤との服用も含めて、クロロキン及びハイドロキシクロロキンを治療に用いる医師は激減するだろう。それは、結果として患者にプラスになるのか、マイナスになるのか分からない。

 

亜鉛との共用によりよりポジティブな結果が得られたとするプリプリント論文は、上記論文を根拠に審査を通らず、撤回される可能性が高いだろう。

https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.05.02.20080036v1

 

 

3)私の感想:

 

最初に上記ランセットの論文を読んだ時、非常に奇異に感じた。何故なら、上記SERMOの報告にあるように、決定的な治療法がない現状において、一つの治療法のみを対象にその大きな危険性を印象つける報告だからである。

 

その上、上記世界最大の医師向けソーシャルプラットフォームを提供するSERMOによる、33700の治療例の聞き取りから得た結果と全く異なる。そこでは、ヒドロキシクロロキン療法の効果と安全性は、ともに現在日本でも承認済のレムデシベルと殆ど同じだからである。これら全世界を対象にした膨大な二つの調査結果が、大きく異なった印象を読者に与えることが、奇異に感じる2つ目の理由である。ランセットの上記論文のような死亡率の上昇があるのなら、何故現場の医師がレムデシベルと同様の効果と安全性であると回答したのだろう。

 

トランプ大統領の選択は誤りである可能性は勿論ある。トランプ大統領はヒドロキシクロロキンと亜鉛剤のサプリ的な利用を止め、その後COVID-19に罹患する可能性があると想像する。確かなことは、トランプ大統領は、COVID-19の治療法としてクロロキンを宣伝すべきでなかったということである。治療法を政治的な問題にするのは、医療の分野にとっても迷惑なことだろう。

https://mainichi.jp/articles/20200409/ddm/007/030/102000c

 

因みに、私は元研究者であるが、科学者や研究者の良心を信じる者ではない。科学者の中には、DNAの二重らせんモデルを発表したワトソン博士だけでなく、利己的で小児的な人物が多いという印象を持っている。特に、Mehra教授のことを言っているのではない。


補足:

 

1)中国国務院合同予防抑制メカニズムの記者会見(2020年2月17日)において、中国科学技術部生物センターの孫燕栄は17日、リン酸クロロキンのCOVID-19治療に一定の効果を確認したと述べた。専門家はリン酸クロロキンを早急に診療ガイドラインの新版に組み入れるべきとの認識で一致した。

孫氏によると、北京市や広東省、湖南省など複数の省にある十数カ所の病院が共同で、新型肺炎の治療に対するリン酸クロロキンの安全性と有効性の評価を実施し、臨床面で非常に明確な治療効果を示した。

https://www.afpbb.com/articles/-/3269184

 

2)日本の感染症学会の「COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第 3 版(5月8日)」での記述;

<ヒドロキシクロロキン> (クロロキンは)日本でも現在は未承認薬の扱いとなっているが、クロロキンと類似した構造で抗炎症作用、免疫調節作用を持つヒドロキシクロロキン(プラケニル)は国内では全身性エリテマトーデス(SLE)などに使用されている。In vitroではクロロキンはレムデシビルと同等の新型コロナウイルスの抑制効果が示されている。

 

2020年5月23日土曜日

日本政府は中国の人権無視を非難し、習近平招聘計画を放棄せよ

中国では全人代開催中である。中国政府は、そこで国家安全法の制定を行う計画のようだ。国家安全法とは、中国政府が反政府的な発言や行動、その目的での扇動的な行為を、犯罪として処罰する法律であり、その目的は香港での自由要求デモを弾圧することである。香港基本法23条(補足1)に、普通選挙とともに、その法の制定根拠が記されている。

 

従って、国家安全法が制定されれば、香港での自由化要求デモは、国家を分裂させる行為として参加者全員を処罰できることになるようだ。米国は、香港人権法により、香港の情況を国務省が議会に報告することになっている。今年は、上記北京政府の動きを見極めた上で、報告書を作成するようだ。

 

更に、米国では、中国大使館前を「李文亮プラザ」と命名する法案、上記国家安全法に関与した中国当局者や組織を制裁する法律を準備しているようだ。以上は、下に紹介する及川幸久氏の動画の内容概略である。

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=Nw9JDFSN7yg

 

最後に、このような中国の動きに対して、米国上院議員Josh Hawley のツウィート「世界経済を中国経済からデカップルするしかない」と、それとは正反対の菅官房長官が最近出した「習近平首席の国賓来日の再調整に着手すべき」という声明を紹介している。

 

日本は、本当に情けない国である。何度も言うが、現在の日本政府は19世紀最後の20年間に、江戸幕府を信頼する孝明天皇の不審死に乗じて、英国の支援を受けて日本を乗っ取った薩長土肥政府の延長上にある。(補足2)その長州人の末裔が現在の首相安倍晋三であり、土佐人の末裔が副首相兼財務大臣の麻生太郎である。

 

英国など西欧の模倣と変形により作った、天皇制を悪用した政府(補足3)には、近代国家の歴史も哲学も無いため、日本人平民を奴隷化(補足4)して進めた対中戦争や対米戦争に大敗した。しかし、マッカーサーと米国の日本骨抜き政策に従順に従うことを条件に、土佐人の吉田茂が戦争前の政府や国会の陣容の革新無しに、米国の属国としての日本を造った。

 

その時点で、現在のような独立国と言えない事大主義的の国、隣国には失礼だが、明の時代から始まった韓国の李氏朝鮮と似た国になった。つまり、現在の日本は、1910年に日本に併合された朝鮮のように、中国に併合されるのを待っているような国となったのである。

(編集午前9時)

 

 

補足:

 

1)香港基本法第23条は「国家安全に関するもので、国家反逆罪、国家分裂的行為罪、国家転覆を扇動する犯罪、国家機密を盗み取る犯罪を法で規定する」というもの。この国家安全法は普通選挙法と一対で成立させるのなら良いが、後者を制定しないで、前者のみの制定は独裁国家の北京政府の横暴であると、及川氏は指摘している。

 

2)孝明天皇の不審死だが、邪魔者だったので、暗殺疑惑がある。それを支持する情況として、孝明天皇を祀る神社が没後作られなかったこと、それを見かねた民間人が愛知県の知多半島のある場所に神社を造り祀ったことが指摘される。大日本帝国は、明治天皇は大規模に造営する一方、孝明天皇を祀ることは長期間放置し、後に平安神宮に合祀した。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2017/11/blog-post.html

 

3)錦の御旗を偽造して戊辰戦争に勝った薩長土肥新政府は、天皇を利用して、国民を奴隷的に使う国家を造った。そのための道具が、靖国神社であり国家神道である。そのため、陸海軍を、内閣の下ではなく、天皇直属としたことが、軍の暴走や陸軍と海軍の対立を招き、最終的に焼け野原に日本を導くことになった。

 

4)国の構成員は、命をかけて国家を守るべきである。しかし、大日本帝国で戦ったのは国家の構成員であると洗脳された(つまり、天皇の臣民であると洗脳された)奴隷であった。そのために、治安維持法や特別高等警察(特高)を用いて、天皇制に反する思想、言動、行動などを厳しく弾圧した。それは毛沢東時代から続く中国人民の弾圧に酷似している。そして、多くの前途在る若者たちが、そして、一家の主である男たちが、召集令状(一銭五厘の切手が貼られていた)で調達されゴミのように捨てる作戦の犠牲になった。それは奴隷以下の国民の姿であった。その政治の延長上にある現政府は、選挙区割と中央集権制の維持により自分たちの支配を続けているのである。

2020年5月22日金曜日

世界はコロナ以後、大恐慌を経由して二極化に向かうのか?

世界はコロナ肺炎で恐慌の際にあり、その一方、中国と米国を筆頭とする欧米諸国との対立は非常に深刻である。何故、このような道に世界は来ることになったのか、自分の頭を整理するために、以下の文を書いた。誤りや理解不足の点など指摘していただければありがたい。

 

1)ディープステートが目指したグローバリゼーション

 

米国の政治を支配しているのは、一般国民の意思であると考えている人は、米国でもいまや少数だろう。そしてかなりの人たちは大資本家たちに米国は支配されていると考えて、それをディープステートと呼んでいる。ディープは、直接見えない深いところにあるという意味を込めた感覚的な言葉である。

 

つまり、ディープステートとは、主にユダヤ系などの米国の巨大資本が、その金儲けを目的に政治に組織的に介入しているという意味だろう。(補足1)その元々流浪の民である大資本家の政治目標は、世界の人、物、金の障壁を無くするというグローバル化された世界(世界帝国?)だろう。

 

その方法の第一として、米国の中央銀行であるFRBを支配し、その紙幣を世界紙幣として世界中での資源や物品などの売買に使えることにする。その米ドルの基軸通貨としての維持には、米国の強大な武力と権力が必須である。(補足2)

 

その巨大資本の一部が1992年ころから中国に投下される様になった。そこに工場を建設し、現地の安い労働力を利用して、中国を世界の工場とした。そして、中国の支配層と米国資本家は、巨万の富を得ることになった。

 

中国は、共産党独裁の国であり、中国内に現地法人を作る場合には、共産党員上層部が共同で経営に参加する。また、様々な許認可権を握っていることなどを利用し、彼らも巨万の富を得ることになる。

 

中国共産党の上層部は都市に住み、公務員、会社の出資者や経営者になる。一方、農村から出てきた労働者は、安く労働を提供する。農村戸籍と都市戸籍の間の移動はなく、労働賃金は低く抑えられる。つまり中国は、共産主義思想とは相容れない、共産党員上層と労働者下層の身分制度の国となった。

 

そして、中国は近い将来、世界を支配する国になる可能性が出てきた。(ユダヤの)大資本家たちは中国と仲良くなった。彼らは中国に移動するのだろうか?大資本家の一人ジム・ロジャーズは既にシンガポールに移動している。彼らにとって、その国の支配層を利用することはそれ程難しくはないと考えているだろう。ユニポーラーな国を作るには、今後、米国よりも中国を拠点にした方が簡単だと考えているかもしれない。

 

2)資本蓄積の結果、貧富の差は拡大する:

 

経済のグローバル化の結果、米国の製造業は中国等の発展途上国に移動したので、労働者階級は失業することになる。そして、代表的な工業地帯はラストベルト(錆びついた工業地帯)と呼ばれることになった。その一方で、金融業や新規産業であるディジタル技術やソフトウェアの産業は、広くなった世界の市場を対象とし、文字通りグローバル企業となった。

 

その結果、中国や米国における富の偏在は加速され、両国とも大きなジニ係数の国となった。 (なお、独仏英などの西欧諸国や日韓などの国のジニ係数は0.35位或いはそれ以下である。また、北欧諸国は0.3以下である。ジニ係数については、すでに記事に図とともに解説した:https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466515362.html

 

ウィキペディアには、「社会騒乱多発の警戒ラインは、0.4である」と書かれている。米国は既に0.4を超え、中国は0.5に近い。中国での最近数年のジニ係数の僅かな低下は、政府統計局のインチキではないかと、下の図のオリジンの記事に書かれている。(下図参照)

この貧富の差は、普通の民であれば、我慢の限界を超えている。一度しかない人生を極貧で過ごす人と、優雅に豪邸に住み、フェラーリを乗り回す人との差は、100%固定化されている。しかし、それが不平等だと気づくには知性が必要である。もし、優れた知性を持ったものがいれば、この貧富の差を作った人たちは、その人を取り込むことでそのシステムを守るだろう。

 

貧富の差の拡大は、蓄積した資本を短期集中的に目標に向けるために、仕方のないことである。そして、中国共産党政権とグローバルな大資本は共通の目標を確認したのかも。その米国での協力者として、ヒラリー・クリントンやオバマがいたのかもしれない。

 

そして、次に現れたのが、一帯一路構想であり、アジアインフラ投資銀行(AIIB)なのだろう。習近平のオリジナルなのか、それとも彼らの共作なのか? 共作ならトランプの負けは決定的だろう。オリジナルなら、世界はしばらく混乱するだろう。

 

3)読めなかった変人大統領の出現

 

経済成長の鈍化、貧富の差の拡大、支配層の腐敗、そして、知る権利などの人権思想の芽生えは、一般民に共産党独裁政治への不満を醸成させた。中国政府は、その不満を弾圧する一方、成長の鈍化を帝国主義的な拡大政策により解決する方向に舵をきった。一帯一路構想とAIIBによるユーラシアとアフリカ支配である。

 

その一方、中国は知的財産を欧米などからハッキングによって収奪する他、安い労働力を利用した既存分野の独占的支配、軍事強国化を背景にした「法治主義や人権思想」の無視など、中国の唯物論的超現実主義(補足3)は、世界的な脅威となっている。

 

中国を大きく育てたのは、米国の裏に陣取っているディープステートである。表でそのために活躍したのは、1992年以降の米国の政権である。上記一帯一路構想が、帝国主義的拡大主義ではないかと知るには、それほどの知的能力は要らない。21世紀の米国の政権を長期に担ったオバマ大統領とヒラリー・クリントン国務長官は、何故かそれを放置した。そして、トランプの米国になって一年後の2018年には、習近平は国家主席の任期を撤廃し、独裁体制を確立した。

 

その一方、米国のオバマ大統領は世界の邪魔者3000人をドローン攻撃で暗殺した。https://wedge.ismedia.jp/articles/-/7166  グローバリゼーションの障害は、イスラム圏である。神を信じる彼らは伝統社会を重視するからである。

 

一帯一路だが、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビの港やギリシャのピレウス港の利用権を取得するなど、イタリアのベネチアまで海のシルクロードを延ばした。2019年にはイタリアは一帯一路構想に参加を表明し、EUは弱体化し、中国に切り崩されて行くように見えた。

 

 

このプロセスの初期、異変がおこった。米国ラストベルトの悲哀や貧富の差の不満を吸収することで、2017年にトランプが大統領になったのである。

 

富裕層に属するトランプは、直観力に優れていた。上記グローバル世界構築の構想に我慢がならなかった。その主張と姿勢は、時代を逆行するものであり、直情的でエレガンスに欠けていた。そして、富裕層の支持は今ひとつだった。

 

同盟国との歴史を無視するかのようなトランプの国際政治は、目的も方法も、どのような戦略で何を狙っているのか、大きなビジョンとしては今ひとつわからなかった。国際的保守派として、性急なグローバリゼーションに反対し、主権国家体制へ回帰する様には見えなかった。むしろ米国を孤立主義に導き、そこでエゴイスティックに動くように見えた。(補足4)

 

そこで起こったのが、新型コロナグローバルパンデミックである。今後、北半球の第一波はこの夏には終わるが、この秋から第二波が起こり、それが最大の被害となる可能性がある。スペイン風邪のように3年ほど続くとみるのが普通だろう。

 

強大な米国からの経済攻撃で、潰されそうになった中国は、「超限戦」(補足3)に打って出たのかもしれない。トランプ排除の切り札に見えないこともない。これは、グローバル化世界の実現のための最終戦争なのかもしれない。単なる中国の犯罪行為と考えるのは間違いである。そのような小さい話ではないだろう。

 

あの時、WTOへの参加基準を厳格に適用すべきだったとか、オバマ政権のときにもっと毅然たる態度を取って欲しかったという類の話よりも、歴史の流れの必然性、或いは中野剛志風にこの世界は何らかの切掛(新型コロナ肺炎のパンデミック)により、大恐慌と最終戦争の方向に向かうようにロックインされていたと考える方がわかりやすい。そのような大きな歴史の大河の本流のように見える。

 

その後、もし中国が民主化され、主権国家体制に戻ったとき、グローバル化の第二期が始まる可能性が高い。しかし、民主化された中国ができれば、多分、一度、中国と米国の二極化された世界となるのだろう。日本は冷戦構造の下でしか生きられない国であるので、実質的に中国の支配下に入るだろう。(補足5)

(午前8時編集あり)

 

補足:

 

1)欧米には不思議な秘密結社が多くある。イルミナティやフリーメイソンなどが有名だが、それらと米国のディープステートの関係が屡々言及される。また、米国の有名な秘密結社にスカル&ボーンズというおぞましい名前のものがある。イエール大の卒業生から構成されるその会員が、歴代のCIA長官を務めてきたと言われている。そしてジョンFケリー、ジョージWブッシュなど米国の政治の中心に位置する人を多く輩出してきた。クリントン夫妻などもイエール大出身である。

 

2)英国及び欧州から米国に移動した理由は、常に世界を支配する国に移動しなければならないからである。因みに、FRBは、35米ドルで金1オンス(31.1035g)と交換すると約束することで、1971年まで世界中の共通通過(基軸通貨)として通用した。その約束を一方的に廃止したのが、ニクソンである。その後も、米ドルは基軸通貨の地位を保ったのは、米国の軍事力を背景にサウジアラビアの安全保障を約束するなどの方法で、中東での石油取引を米ドルで行うように干渉したからである。http://www.getglobal.com/war/iraqwar1.html

 

3)中国の「厚黒学」や「超限戦」という考え方を知ると、中国とその独裁政権の恐ろしさが理解できる。

厚黒学:https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/022500005/091200043/

超限戦:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%85%E9%99%90%E6%88%A6

 

4)この大きなビジョンで動いていると見て、トランプファンになった日本人は多い。馬渕睦夫氏がその代表である。もちろん、トランプ大統領も徐々に路線を変更することは考えられる。変人から救世主へ脱皮したかどうかはわからない。

 

5)西部邁は、第二次大戦で本土決戦となりあと100万人の死者が出ていれば、日本はまともな国になったかもしれないと言った。そのアナロジーが新型コロナ肺炎に関しても言えるかもしれない。

2020年5月19日火曜日

新型コロナ肺炎は夏に収まるか?特別な理由がなければ答えはYESだろう

1) 国別データの比較:

 

「新型コロナ肺炎は7月頃収まるだろう」と題する記事を2月28日に書いた。その根拠の一つは、夏の地域或いは常夏の地域での流行があまり起こらなかったからである。例えば、オーストラリアやニュージーランドでは、1月−3月は夏であり流行は小さかった。

 

そして、当時流行が確認されていた国でも、台湾、タイ、マレーシアなど南の国々では、中国からの早期伝染が考えられるにも拘らず、患者数も小さかった。そこには以下のように書かれている。

 

本日(2月28日)午前7時現在、日本ではダイヤモンド・プリンセス号での感染者を除いて、189名が感染し、3人死亡、22人が回復している。韓国では、(1766名感染、13人死亡、22人回復)、イタリア(528、14、40)、ドイツ(26、0、15)、英国(15、0、8)である。中国河北省(65600、2641、 23400)、中国重慶(576、6,384)、タイ(40、0、22)、シンガポール(93、0、62)、マレーシア(23、0,18)、台湾(32、1、5)(補足1)

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12578338386.html

 

その後80日経過し、イタリア(225880, 32007, 127326)、ドイツ(177289, 8123, 154600)、英国(246406, 34796, N/A) の悲惨な情況に比較して、タイ(3031、56、2857)、マレーシア(6941、113,5615)、台湾(440、7、398)、オーストラリア(7060, 99, 6392)、 ニュージーランド(1499, 21, 1433)など、総じて感染者数や死者数が少ない。

 

以上の比較から、温かい地方では実際に被害がそれほど進まないと言えるだろう。

 

2)夏にはコロナウイルスの感染は弱まるという物理化学的仮説

 

夏に流行が収まると考えた二つ目の理由は、ウイルスの構造と水の関係である。ウイルスなど全ての生物の構造を支えているのは、水である。夏には、その水分は簡単に大気中に蒸発するので、ウイルスでも細菌でも、空気中に孤立して存在する場合、短時間で破壊される。

 

例えば、コロナウイルスのエンベロープは脂質二重膜でできている。脂質分子は、長鎖の炭素と水素からなる鎖状グループと、カルボン酸(酢の酸性を示すCOOHグループ)からなる。それが、コリン分子についたリン酸基と結合した長鎖分子が、下図のように並んで出来るのが脂質二重膜である。

ここで、多数の脂質分子が並んだ形の膜構造は、油性の炭化水素の鎖が周囲の水から反発することで可能となる。この他、蛋白分子が所定の三次元構造をとる原動力も、水との相互作用である。このように、生体の構造は水が支えている。

 

つまり、ウイルスも細菌も、人体の中の細胞同様、水に浮かんだ形でしか存在できない。上記脂質膜の場合、リン酸基(図の赤い部分)は水に馴染むので、両側に水を引きつけているだろう。そして、その水の大部分を失った場合、二重膜は破壊されるだろう。高温になると、そのプロセスが早く進むだろう。

 

 

上の図は、湿度と空気中水の分圧(補足2)と温度の関係を示す。横軸が示す温度で、100%の線のところの縦座標の圧力にまで、水は蒸発し得る。例えば摂氏23度では、水の圧力が280ヘクトパスカルになるまで、水は蒸発可能である。また一般に、蒸発可能な水の量が大きいほど、蒸発の速度も大きい。

 

つまり、コロナウイルスが空中に存在する場合、夏には気温が上がるため、冬に比べて、エンベロープなどが水を失うことで破壊されやすく成るだろう。(補足3)

 

一般に、咳などで吐き出されたウイルスは、唾の成分に保護されて存在するだろう。それがドアノブなどに残るとして、どれだけ病原性を維持できるかだが、やはり高温の季節ほど短時間となるだろう。ただ、梅雨の湿気がウイルスの生存にマイナスになるとは思えない。

 

冬には空気が乾燥して、この肺炎を含めて風邪に罹患しやすいのは、ウイルスの構造維持が難くなるのではなく、人の喉などの荒れにより、ウイルスの侵入が容易になるのが原因だろう。何故なら、冬には空気中の水分が減少するが、蒸発可能な水の量も少なく、速度も遅くなるからである。

 

以上、物理化学の知識だけで、ウイルスの生存の季節依存性を考察した。生物学の知識が乏しいので、何か間違いがあるかもしれないので、指摘していただければ幸いです。

 

追補: 南半球は今後冬になるので、オーストラリアなどでは第二波が発生する可能性がある。また、夏にも拘らず南半球の国々でも一定の伝染性をしめしたことにも注意が必要です。更に、梅雨の季節には喉など呼吸器の荒れが少ない場合、感染などが減少する可能性が高くなります。従って、上記はあくまでコロナウイルスの空中での形態維持に関する部分のみの考察です。

 

補足:

 

1)この時、「以下のデータが示すように、早期発見、早期隔離及び治療を原則とし、その有効性に疑問があるのなら、ドイツや英国の高い治療実績を視察すべきである」と書いたが、英国については評価ミスであった。

 

2)空気の圧力は平均して一気圧(1013ヘクトパスカル)である。摂氏23度で湿度が100%(50%)だと、そのうちの28(14)ヘクトパスカルが水蒸気(気体の水)による。このように、水蒸気が受け持つ大気圧の部分を、水蒸気の分圧と言う。

 

3)よく耳にする疑問は、水の中に完全に入った場合のウイルスの情況である。この場合、空中に単独で浮遊するよりも、長く構造が維持されるだろうが、塩分などで水部分の浸透圧が調整されていなければ、短時間で破裂する可能性が高い。

2020年5月18日月曜日

[再投稿]日本政府は横田めぐみさんの遺骨鑑定について嘘の発表をしていた!!

日本政府の隠蔽体質や捏造体質は、中国に極めてよく似ている。政治が独裁化する危険性も中国同様であり、その原因は、事大主義が特に政界を席巻しているからである。政界において、相互に批判する文化がない(=事大主義、儒教精神)のは、上級官僚、地方やマスコミの”貴族”から政治家になる人が多いからである。
政治改革には、政治の現実を国民が知る必要があると思うので、ここに再投稿する。(original 2014-11-02 18:49:14)
 
北朝鮮から拉致被害者の横田めぐみさんの遺骨として送られた骨を日本政府が鑑定して、めぐみさんのものではないと結論された。そして、声だかに日本のDNA鑑定の技術の高さが報道された。しかし、今日中部地方で放送された「たかじんのそこまで言って委員会」において、内閣参与の飯島勲氏は、次のようにこの件について発言した。それらは、1)鑑定者本人がイギリスのNature誌の取材に”偽物とも本物とも言えない”と答えたこと、そして、2)その事実が広がらない様に、鑑定者の学者を隔離したこと、そして、3)それらの手配は日本の外務省が行なった、の3点である。 
 
この発言に驚き、ネット検索をしてみたところ、その件に関して国会の外務委員会で質疑されていたことを知った。それを記したサイトは、http://deztec.jp/design/06/07/02_science.htmlである。そこでの記述によると(第162回国会 外務委員会 第4号(平成17年3月30日(水曜日))、質問者は民主党の首藤信彦氏で答弁は町村信孝氏である。国会質疑の記録はクリックしても読めない(これも変だ)ので、上記サイトに引用された文章を読むしか無い。それによると、首藤氏の質問は論理一貫しているが、外務大臣の町村信孝氏は:
 
ネイチャーが立派な雑誌であるということは私も承知をしておりますが、一々の報道等には、それは必要があれば反論してもいいのですが、私どもは一々それについて言う必要はない、こう考えております。
 
御指摘の取材を受けた関係者に対しても、これは私ども、直接というよりは捜査当局の方から事実関係を確認したわけでございますけれども、その関係者は取材の中で、焼かれた骨によるDNA鑑定の困難性一般論を述べたにとどまっておりまして、当該鑑定結果が確定的ではないんだという旨を言及したことではないということをその方が言っておられると私どもは聞いております。
 
いずれにいたしましても、この当該報道が今回私どもがやったこの鑑定結果に何らの影響を及ぼすものではない、私どもはそう判断をいたしております。
 
と答弁しているが、説得力はない。 
 
最初に引用したサイトによると、鑑定を担当した帝京大の吉井氏は警視庁に引き抜かれたという。これが今日のテレビ番組で飯田勲氏が「鑑定した学者を隔離した」の人事的な表現なのだろう。そして、質問した首藤信彦氏は衆議院議員選挙で落選した。 
 
 2005年のことであり、私は仕事に集中していた為深く考えなかったが、火葬した遺骨からDNA鑑定したということに疑問をもった記憶が甦って来た。そして、上記サイトによると、Nature誌はEditorialつまり、新聞で言えば社説にあたる部分で、この鑑定に疑問を呈したという。この件、日本の研究者の声も聞こえてこなかったため、不思議だと思いながらも深く考えなかった。しかし、私の専門である化学の常識によれば、火葬すれば核酸はすべて、二酸化炭素、酸化窒素、そして、リン酸化合物(リン酸塩)になる筈である。
 
 この核酸の火葬による焼失は常識であり、鑑定者によって出された、横田めぐみさんのものではないという結論は、デッチあげかもしれないと思った。しかし、科学者は一般に自分の論文は、専門外の者は容易に理解できないと思っているから、逆に、専門外の分野の研究者が出した結論、つまりこのDNA鑑定には安易に口出し出来ない。ただ、上記サイトにある町村氏の説得力の無い答弁、鑑定した学者の警視庁への引き抜き、そして今回の飯田氏の発言から考えて、今はっきりと日本政府の捏造と言える。
 
 日本政府のこの愚かな行為は、日本政府の体質を表わしており、全ての今までの政府声明に疑いを抱かせるものである。戦中戦後の様々な出来事について、韓国や中国ともめているが、それらのことについても日本政府が事実として発表していることは国際的にも国内的にも信じられないことになる。従って、私も今後ブログ等でこれらにことについて発言しないことにする。
 
 一般の人は政府発表を信じているようである。例えば、ヤフーは次のサイトを類似記事としてreferしている。http://blogs.yahoo.co.jp/tncfn946/30415411.html 化学に無知な人は、このように火葬した骨からDNA鑑定できるという発表を信じてしまうのである。しかし私の記事は決してヤフーのreferenceに掲載されないだろう。
 
補足:上に引用した外務委員会での質疑は、現在見る事は出来ない。しかし、それをコピーして示したサイトをヤフー知恵袋で教えて貰ったので、下に示します。
 
 
 
 
赤字部分:日本の研究者は、その責任を果たしていない。研究者を職業としている者は、その分野で明らかに変だと思うことがあれば、社会に発信する義務がある。
 
追補:
拉致問題の本質は、日本政府が日本国民の自由と安全を守れなかったことにある。その政府の責任を隠すために、国交のない北朝鮮を国内の悪者のように仕立て上げ、国民の頭の中に一般の犯罪と同様に植え付けている。解決は、北朝鮮に経済的軍事的圧力を掛けることしかない。それは最終的に戦争も視野に入れなければ出来ないことである。つまり、拉致問題の本質は憲法前文と憲法9条が、現実の国際政治において、欺瞞的であることを示している。拉致問題は、現在の与野党議員の全員が、自分の利益を最優先して、国家の基礎を構築してこなかったことの証明である。
 
 

2020年5月17日日曜日

新型コロナ肺炎は昨年9月、既に武漢で発生していた?新しい証拠

中国武漢で、昨年10月18日から10日間の日程で開催された世界軍人競技会( the World Military Games)があったが、そこに参加した多くの選手が新型コロナ肺炎に感染したという話がある。5月13日、日本在住の中国系youtuberのケイさんから、資料とともに紹介があった。

https://www.youtube.com/watch?v=Hv1UCebJSRs&t=459s

 

その話を、オリジナルに近い報告とともに紹介する。この世界軍人競技会でのCOVID-19感染の話は、英国のdailymailが発信するネット記事に出ていた。参加した5種競技の世界チャンピオンのフランス人選手Elodie Clovel(31歳)は、自分だけでなく、そのパートナーも感染したと話す。その記事は以下のMail Onlineにあるので、読んでもらいたい。

https://www.dailymail.co.uk/news/article-8291755/Did-European-athletes-catch-coronavirus-competing-World-Military-Games-Wuhan-OCTOBER.html

 

イタリア人のフェンシングのオリンピックチャンピオンMatteo Tagliariol選手は、武漢の世界軍人競技会が、新型コロナ肺炎のホットスポットだったと疑っているという。彼は、「我々が武漢に到着し、全て病気に罹った。他国の代表を含む同じ宿舎の6人がすべて感染した」と証言する。ひどい咳に苦しみ、他の者も熱がでたという。予後は原文に譲る。

https://www.web24.news/u/2020/05/military-world-games-in-wuhan-in-focus-we-are-all-sick.html

 

これらの話は、台湾発の記事(Taiwan News, May 12, 2020)にまとめられており、ケイさんの上記動画は、この台湾のニュースが出所だろうと思う。https://www.taiwannews.com.tw/en/news/3932712

 

ケイさんは、その頃武漢P4研究所の周囲で、10月6日から11日の間に携帯電話の通信記録がないなど、何らかの異常事態が発生した可能性があるという報告を紹介している。この件について関心の在る方は、以下のサイトをご覧頂きたい。

https://www.nbcnews.com/politics/national-security/report-says-cellphone-data-suggests-october-shutdown-wuhan-lab-experts-n1202716

 

更に、ケイさんは、中国がこの世界軍人競技会の受入準備として、空港などでの異常事態に備える訓練を行ったのだが、その際の書類の記述に、新型コロナウイルスの文字があると指摘する。つまり、世界軍人競技会以前に、中国当局は既に新型コロナ肺炎の流行を知っていたというのである。

 

下にそれを報じる大紀元のニュースからとった図である。4行目中央付近に新型冠状病毒(新型コロナウイルス)の字が見える。

大紀元は、法輪功系の新聞なので、中国共産党政府には極めて敵対的な報道をすると考えられる。以上すべての内容は、陰謀論として排斥される可能性があるが、一応覚書として残すために紹介しておく。取り扱いは、勿論、要注意である。

 

あとがき:

 

中国の武漢で発生したと思われる新型コロナウイルスが昨年秋に日本でも流行していた可能性があるという話が、京都大学大学院医学研究科の上久保靖彦特定教授と、吉備国際大学(岡山県)の高橋淳教授らの研究グループが発表して注目されている。この紹介は5月11日の夕刊フジ誌上でなされた。

 

そこでは、感染力や毒性の異なる3つの型のウイルス(S型とK型、G型)があるという話である。この上久保教授の説は、5月13日のブログに紹介したが、その説は日本の被害が欧米に比べて桁違いに小さい理由として、4月21日の記事で既に紹介している。

5月13日の記事:https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12596815974.html

4月21日の記事:https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12591256497.html

 

武漢では、昨年9月の段階で既に流行していたとすると、それは上記仮説を支持することになる。

2020年5月15日金曜日

ロシア・ゲートの消滅とオバマ・ゲートの出現

ロシア・ゲートがオバマ・ゲートに変化の件、及川幸久氏の動画を見ていただけば全て分かる。それに沿って、その概要を若干の補足とともに書く。

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=UNBA98bywE8

 

コペルニクス的展開という言葉がある。ロシア・ゲートはFBIのデッチ上げで生じた古い天動説のような話となり、新たに地動説的なオバマ・ゲートとなった。地面が動いているという真実から、米国政界の新たな枠組みが成長する可能性がある。ロシア・ゲートの背後には、地球化(グローバリゼーション)の中心であるディープ・ステートと、彼らに支配された民主党があったという事になる。

 

1)ロシア・ゲートのデッチ上げ:

 

ロシア・ゲートは、「グローバリズムの米国から、米国民のための米国への移行」を宣言するトランプ大統領を弾劾に持ち込み、自分たちの利益構造を確保する為に、ディープ・ステート(補足1)が仕組んだシナリオであったことが、5月7日の司法省による決断「マイケル・フリンの起訴取り消し」で明確になった。

 

それは、前回の米国大統領戦で民主党ヒラリーと対立する共和党トランプを当選させるように、ロシアが選挙に干渉したという疑惑である。その戦略で、最初の攻撃目標とされたのが、トランプ政権最初の安全保障担当補佐官マイケル・フリン(Michael T. Flynn)陸軍退役中将であった。

 

罪状は、トランプが選挙に勝った後、大統領補佐官に決まっていたマイケル・フリンが、ロシア大使のセルゲイ・キスラク(Sergey I. Kislyak)と面会し、ロシアに課していた制裁の撤回について話し合ったことである。

 

これは民間人が外国政府関係者と話し合ってはいけないという、200年以上も前に制定されたローガン法(Logan Act)に違反するというのだが、この法律は合衆国憲法修正第一条(補足2)に違反すると考えられており、一度も適用されていない。

 

元々の計画では、このローガン法による起訴ではなく、もっと直接的な証拠を探していたのだが、それが見つからなかったのである。そして、無罪にするよりも、憲法違反のローガン法で有罪にする方が良いと考えたらしい。(補足3)

 

その後、ローガン法違反を最後の逃げ場所に持ちながら、偽証罪と司法取引で、マイケル・フリンを有罪にし、それを武器にトランプの弾劾に進む予定を立てたが、フリンは5億円の弁護士費用を自宅売却で捻出し、無罪を主張し戦ったという。

 

フリンの弁護士は司法取引に応じることを進め、フリンも最終的に合意する。これは、弁護士もオバマ元大統領らとグルで仕掛けた罠だったらしい。そのことを指摘したのが、シドニー・パウエルという弁護士であった。そして、フリンは担当弁護士を彼女に替えることにしたのである。

 

これでFBI のコミー長官(James B. Comey)、担当検察官ロバート・ムラー(Robert Mueller)、その背後のオバマ大統領が画策したトランプ排斥の企みは失敗し、マイケル・フリンやトランプ大統領のロシア疑惑は、完全なデッチ上げであることが確定した。その結果この事件は、オバマ・ゲートと呼ばれることになる。

 

2)トランプ再選により、ディープ・ステートは敗戦するのか?

 

新型コロナウイルス恐慌で、トランプ再戦が無いとおもわれていたのだが、オバマ・ゲートとバイデン民主党候補の中国疑惑(https://www.bbc.com/japanese/49929903)で、再びトランプ再選の可能性が出てきた。

 

この件、オバマ元大統領とトランプ大統領の因縁の対決と捉えるのではなく、もっと大きな枠組み、ユダヤ系を主とする金融資本家たち(しばしばディープ・ステート(深層政府)と呼ばれる)のグローバリゼーションを目指す人たちと、主権国家体制を維持して国内の市民を大事にする人たちの政治闘争と見るべきである。

 

ただ、グローバリゼーションを目指す人たちは、地球市民の支配する政治というよりも、自分たち金融資本家が世界を支配する政治を目指しているように、現状では見える。なぜなら、人権を無視する中国政府と協力して、世界経済の掌握を実行してきたからである。(補足4)

 

この米国の深い闇は、いろんな面から今後明らかにされる可能性がある。オバマがマイケル・フリンは大統領補佐官にふさわしくないと、新大統領となったトランプに話した理由は、オバマ当時大統領と国防情報局 (Defense Intelligence Agency)の局長を務めていたフリンとの間で、ISIS(イラクとシリアのイスラミックステート)への対応で対立したからのようだ。関係がありそうな記事を紹介しておく。表題が中身をサジェストしている。

https://www.washingtonpost.com/world/national-security/trump-revealed-highly-classified-information-to-russian-foreign-minister-and-ambassador/2017/05/15/530c172a-3960-11e7-9e48-c4f199710b69_story.html

 

田中宇氏らが指摘するように、ISISは米国が育てたことを合わせ考えると、もっと大きな疑惑が明らかになるか、何かもっと大きな事件が起こる可能性がある。http://tanakanews.com/150308isis.php

 

中国も米国も、恐ろしい国であると、普通の日本人は考えるのだが、それは間違いだろう。そもそも、国際社会とは野生の世界であり、そこに社会内(国内)での「法の支配」や「善意や誠意」を考える方が幼稚なのだ。そのように考えて、日本国憲法前文や9条を見ると、一人の日本人として本当に恥ずかしい。

 

補足:

 

1)ディープ・ステートとは、第一次大戦後の米国ウイルソン大統領の頃より、米国の政治を裏で支配してきたと考えられているユダヤ金融資本を中心にした勢力である。ウイルソンは、FRBを設立して、米国の通貨をユダヤ資本の支配下においた人物である。国際連盟なども、偏光グラスを用いれば、同様の構造が見えるだろう。この件、馬渕睦夫氏が詳しく動画で紹介している。

 

2)合衆国憲法修正第1条:

合衆国議会は、国教を樹立、または宗教上の行為を自由に行なうことを禁止する法律、言論または報道の自由を制限する法律、ならびに、市民が平穏に集会しまた苦情の処理を求めて政府に対し請願する権利を侵害する法律を制定してはならない。

 

3)この件に関し、The Hillはオバマ大統領の関与やローガン法の制定(1799)経緯などを含めて解説している。その表題が凄い。「Logan Act is the last refuge for the American prosecutorial scoundrel」(米国検察悪党らの最後の避難所はローガン法である)これは、サミュエル・ジョンソンの「悪党の最後の非難所は愛国主義だ」を捩ったものだと書かれている。この検察悪党の中に、前大統領のオバマが含まれるのである。

https://thehill.com/opinion/judiciary/496926-logan-act-is-the-last-refuge-for-the-american-prosecutorial-scoundrel

 

4)中国経済の発展は、都市戸籍と農村戸籍を峻別し、農村戸籍の安い労働力を利用して、世界経済を中国共産党の支配下に置くという戦略の下に進められた。その財力を用いて、発展途上国を支配下におき、中国の通貨「元」を国際決済通貨にする企みが、AIIBとシルクロード経済ベルト構想である。中国の世界支配は、ウイグル人や法輪功の人たちの臓器も、マネートラップ、ピンクトラップなど、あらゆる手段を用いて行われる。日本の政権与党の幹事長の二階俊博も、妻の中国での臓器移植から、事件沙汰になった脅しまで利用して、中国共産党に取り込まれた一人である。他に、小沢一郎、他に。。。

https://www.news-postseven.com/archives/20171220_638489.html

2020年5月13日水曜日

新型コロナ肺炎二つの話題:中国の隠蔽体質&日本の集団免疫既保持の仮説

1)中国習近平主席がWHOのテドロス事務局長にパンデミック宣言遅延を依頼した?

 

最近、活発にyoutubeで活躍している人の一人として、フィフィさんがいる。最近の動画「”パンデミック宣言を遅らせて欲しい”と習近平主席がWHOへ電話していた?」について紹介したい。重要な部分については原典を示し、筆者自身の意見も加えて、その内容を簡単に解説する。

 

https://www.youtube.com/watch?v=CXWID2sU5tc

 

この話は、ドイツの諜報機関(BND; Bundesnachrichtendienst) からの情報を、ドイツの週刊誌Spiegelが報道したという。1月21日に習近平とテドロスが電話で話をし、パンデミック警報(pandemic warning)を先延ばしにしてほしいと依頼したという内容。以下のdailymail(英国)の記事に詳しい。

https://www.dailymail.co.uk/news/article-8304471/Chinas-president-Xi-Jinping-personally-requested-delay-COVID-19-pandemic-warning.html

 

3月10日に習近平が武漢を訪れた翌日(3月11日)に、WHOからパンデミック警報が出たことから考えて、何らかの連絡がテドロスと習近平の間でなされていたと考える方が自然である。

 

ただこの件については、WHOから反論が出ている。「習近平とテドロスは1月21日に電話会談などしていない。そのような不正確な報道は、COVID-19のパンデミックを終わらせようとしているWHOと世界の努力を損なうものだ。」

https://www.who.int/news-room/detail/09-05-2020-who-statement-on-false-allegations-in-der-spiegel

 

5月8日、AFP通信によると、EU27国の大使らが、中国紙に寄稿した論説記事において、中国政府の検閲を受け、コロナウイルス(SARS-CoV-2)が中国で発生したという部分を削除したと報じている。

https://www.npr.org/sections/coronavirus-live-updates/2020/05/07/852429723/eu-officials-opinion-piece-in-chinese-newspaper-censored-on-coronavirus-origin

 

この件、外交45周年を祝する寄稿だったが、この検閲で冷めた感じになったようだ。

 

未知の肺炎(COVID-19)の流行を医師らにネットで拡散しようとした李文亮医師らに対する弾圧が、中国の情報隠蔽の一環であったことの証明である。李文亮医師は、死亡後に表彰されたが、それも隠蔽工作の一環だろう。

 

以上、この疫病による全世界での被害の少なくとも一部が、中国の隠蔽により生じたことは明らかである。(補足1)

 

2)新型コロナ肺炎の集団免疫を日本人は持っている?

 

この話は、一昨日の夕刊フジに掲載されたものである。欧米諸国に比べて、日本の死者数や致死率がケタ違いに小さいのは、昨年秋に日本に軽症型のコロナ肺炎ウイルスが蔓延し、その免疫で今回の大流行にも拘らず、死者が少ないという仮説である。

 

京都大学大学院医学研究科の上久保靖彦特定教授と、吉備国際大学(岡山県)の高橋淳教授らの研究グループが発表して注目されている。感染力や毒性の異なる3つの型のウイルス(S型とK型、G型)の拡散時期が重症化に影響したというのである。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200511-00000000-ykf-soci

 

この説に似た仮説を、私も素人の考えとして、4月21日のブログ記事に書いている。私がその分野の学者なら、既に俺が出した説だと主張できるかもしれない。(勿論、もう少し派手に宣伝している筈である。)https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/04/blog-post_21.html

 

上久保氏らは、既に中国人研究者らが3月3日に発表している二つのタイプS型とL型(下に引用)に、S型の亜型としてK型を加えたようだ。Xiaolu Tang, et.al.,  03 March 2020, 

https://academic.oup.com/nsr/advance-article/doi/10.1093/nsr/nwaa036/5775463

 

上記夕刊フジから転載したヤフーニュースでは、上久保氏らの主張を以下のようである。S型は昨年10~12月の時点で広がり、K型が日本に侵入したピークは今年1月13日の週だという。やや遅れて中国・武漢発の「G型」と、上海で変異して欧米に広がったG型が拡散した。


日本が発行済み査証(ビザ)の効力を停止し、全面的な入国制限を強化したのは3月9日だった。一方、欧米は2月初旬に国を閉じたため、G型に対して免疫となるK型の流行を妨げてしまったというのである。私には日本政府を助けるための珍説に思える。

 

集団免疫を付けるという方式でこの疫病に対応しているスウェーデンでの感染拡大を見る限り、集団免疫は2ヶ月では成立しない。武漢ではK型による集団免疫が成立せず、日本だけ?K型による免疫の恩恵を受けるというのも、考えにくいのではないのか? 

 

春節前の1月23日に中国は武漢封鎖に踏み切ったが、その前に武漢から4−500万人が市外に出たという。日本にも相当数訪れている。その時にはK型による免疫などできていないと思う。やはり、昨年10月からのS型の流行が、日本、韓国、中国の東アジア全域での免疫強化につながったと考えるべきだと、素人ながら思う。

(セクション2の全面改訂と補足1の追加は、14日午前5時20分に行った。)

 

補足:

 

1)12月31日に李文亮医師らが、新規肺炎の情報交換を医師仲間で行っていた。その医師らの動きを封じ込めて、武漢でのインキュベーションを3週間以上行い、春節前に大量の人を武漢から全世界にばら撒いた責任は重い。それに加担したのが、WHOである。

2020年5月11日月曜日

北野幸伯さんのyoutube動画:ドイツ・メルケルの素早い対応

北野幸伯さんがyoutube動画を始めたようだ。クレムリンメソッドという本で北野さんから勉強させてもらったので、それ以来注目していた。しかし、ダイレクトとかいう金儲けの本屋さんの中に入ってしまったので、意見を聞く機会がなかった。最近、動画配信されていることを知ったので、見せてもらった。

 

その中で、ドイツのメルケルのコロナ対応の素晴らしさを知った。ドイツの低い致死率は、感染者の早い検出と隔離、発病者へのできるだけの治療提供による。それをまともにできる国がドイツ、スイス、韓国であり、全く出来ていないのが、日本である。それは4月12日の以下のブログに紹介している。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12589002483.html

 

北野さんの動画に、コメントを投稿した。何かの主張を視聴したのなら、何らかのコメントを残すのが私のやり方だからである。以下に北野さんの動画とそこに書いたコメントを書いておきます。

 

 

コメント:

よい情報ありがとうございます。2つほど、コメントさせていただきます。 一つは、致死率の定義にもよりますが、死亡者/感染確認者だとしますと、ドイツの致死率は、日本や韓国よりも大きく5%です。これはウイルスが変異により理想的に対応してもこの程度になるようです。似た対応をスイスもしています。 もう一つ、ドイツの住民の立場を考えた、しかも早い対応は素晴らしい。日本では、ネットアクセスや電子化が進んでいないこと、それに、政府と国民の間に大きな不信感があること(政府は薩長の政治屋集団であり、支配者である)など、近代国家とは考えられないことなど、の理由があります。それでも政治改革ができないのは、日本人に家畜の遺伝子が埋め込まれているようです。

 

ついでに、もう一つ動画を見て、コメントを投稿したので、それも以下に掲載します。

 

 

コメント:

好きと嫌い、親日と反日しか、国際関係を考える座標として持たないのが日本国民です。日本人には、自分の国家を建設した経験がない(明治維新は薩長ヤクザと英国の合作)ので、国家とは何か、戦争とは何かという哲学がなく、私と公の区別もわかっていない。社会としては、家族しか知らない。天皇家を中心にした大家族としてしか、国に対する思想がない。そして、日本には議論の文化がない。神と人の関係が「契約」である欧米とは、住む世界が違う。日本を道州性にして、競争と議論の場を国内につくるべきだが、手遅れかもしれない。

 

因みに、本ブログの筆者のyoutube上でのハンドルネームは、Moh Korigoriです。

2020年5月9日土曜日

女系天皇を許容する皇室典範改正は憲法違反の疑いがある

1)天皇は政治的存在の前に宗教的存在である:(補足1)

 

前のブログ記事本文に書いたが、ローマ・カトリックも日本の神道も、規模の違いはあるものの、独立した宗教である。ローマ・カトリックでは代々男性が、日本の神道では代々男系が、其々の教皇の座についた。それらは其々の宗教の本質であり、その変更強制は宗教弾圧を意味する。

 

男系というのは、現在の科学の用語を用いると、要するに同一のY染色体を受け継いだ子孫ということになる。つまり、日本神道における神性は代々父系の血統により受け継がれるのである。

 

教皇という宗教的存在である天皇と政治的存在である西欧諸国の王位とは根本的に違う。この部分についての説明は、これで十分だろう。

 

現在の天皇には、憲法に定められた政治的側面がある。しかし、天皇という存在には、その憲法の規定以前に、上記の宗教的側面がある。近年になって発生した政治的役割の“改善?”のために、宗教的な天皇に質的変更を加えようとするのは、宗教弾圧であり、憲法に違反する。つまり、女系天皇を法律改定により定めるのは、憲法違反の疑いが濃い。ただ、法治国家かどうか疑わしい日本では、何があっても最高裁は行政に阿るだろう。(補足2)

 

兎も角、憲法第1条「天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」は、「日本国は神道の教皇を国の象徴と仰ぐ伝統を持つ」という表明である。これと憲法の第20条の「信教の自由」は一見矛盾するように見えるかもしれないが、そうではない。(補足3)

 

憲法第1条は日本国民の伝統(或いは現状)を定めたもので、憲法20条は個人及びその集団の権利を定めたものである。従って、天皇が宗教的面をもつことを理由にして、憲法第1条の廃止を主張する(憲法改正を要求する)権利は各個人に存在する。一方、国会はその主張を理由に処罰する法令を定めることは出来ない。(補足4)

 

2)日本の天皇制の経緯

 

天皇を政治的な面で論じる場合、江戸末期の革命(或いはクーデター)のときに天皇を政治利用した歴史から考えなければならない。私の知る限りでは、岩倉具視などの貴族と薩長の武士らが、孝明天皇の死去を期に、強引に作り上げた明治という政治体制の中に強引に組み込んだのである。(補足5)

 

孝明天皇は徳川家に政治を任せる方針だったのだが、錦の御旗の偽造と幼帝(明治天皇)の拉致により、戊辰戦争を勝ち抜いて作ったのが明治政府である。そして、明治の革命政府は天皇を京都の皇居に返すことはしなかった。

 

令和の時代に入り、明治から始まった政治上での天皇制を議論する場合でも、それ以前の飛鳥の時代から千年以上の間一貫して存在する宗教的存在としての天皇を否定することはあってはならない。

 

政治的存在としての天皇に、男系と女系の区別がふさわしくないというのは、喩えがふさわしくないかもしれないが、八百屋に行って魚がないという類の要求である。

 

政治的な全ての存在に男女の差があってはならないというのなら、政治から天皇を切り離すべきである。それは憲法の改定を必要とするが、男系男子の現在の天皇制に賛成する日本国民の割合は、90%以上だろう。(補足6)

 

3)国を束ねる存在:

 

現代世界では、独立した主権国家が国際社会を形成し、互いに他国の主権を認め、安定で平和な関係を目指している。その安定な国際社会形成のためには、先ず各国が、大多数の国民の意思に基づく安定な国家を築く必要がある。

 

そして各国家は、自国の伝統と固有の文化に基づいて、国民を束ねることが好ましい。他国を敵対視することで国民に民族主義的感情を高め、自国内の政治的安定化を図るのは、東アジアを始め世界各国で見られる。後者の方法は、国際関係を常に紛争の予備的情況に置くことになる。

 

また、宗教や伝統を全て廃して、唯物論と現実論に堕すれば、金と力と策略(或いは戦略)の中世的絶対主義政治に帰着するだろう。それでは、国民を幸せには出来ない。「人命の尊さ」「自由と平等」など世界の人類の殆どが大切にする価値観は、形而上の概念を含む思想であり、唯物論しかない人の集団からは出て来ないと思う。

 

 

補足:

 

1)女系天皇を可能とする法案に関する前回のブログに対し、質問をいただいたので、それに対する返答として書いた。

 

2)この種の判断を裁判所が避ける理由は、“国家統治の基本に関する高度な政治性”を有する国家の行為については、法律上の争訟として裁判所による法律判断が可能であっても、これゆえに司法審査の対象から除外すべきとする理論(統治行為論)だろう。しかし、そんな理論は法学者の一つの学説であり、それを裁判での根拠にするのは御都合主義である。

 

3)この種の一見矛盾した情況は、例えば、米国にもある。信教の自由を述べながら、連邦議会では開会の際に牧師が祈りを捧げるという。

https://americancenterjapan.com/aboutusa/profile/1939/

 

4)戦前は不敬罪という犯罪があった。現憲法では不敬罪の制定はできない。

 

5)原田伊織著「明治維新の過ち」を参照。

 

6)この90%以上の数字は、前回のブログ記事で示した東久邇宮の5人の王子の存在を示して、不特定多数の国民に街角で聞いた場合の数字として、水間政憲氏によりしめされた。

 

 

水間政憲氏の動画

 

 

2020年5月8日金曜日

現政府による天皇制破壊の試み:背後に中国の存在?

1)安倍内閣は皇室をどうしたいのか?

 

日本政府は、単なる日本列島の征服者の末裔が協力者を集めて作った傀儡政権の延長のように感じる。その歴史的な経緯は、長くなるので補足に譲る。(補足1)近年そのように感じるのは、安倍政権が天皇制を廃止しようと考えているように見えるからである。

 

昨年、菅官房長官が議論を急ぐと表明した、女性宮家を創設するという法案は、遠くの目標として天皇制の廃止があるからである。この種の考え方は、安倍総理が官房副長官時代の小泉内閣のときに、一度政府の考えとして現れた。結論を言ってしまえば、それは天皇の存在が邪魔である人達に誘導されているか、要求されているのだろう。深慮遠謀の中国である。

 

その後、一昨年の上皇が天皇であったときに、「天皇陛下の退位に関する特例法」の付帯決議に、女性宮家の創設に関する法の制定を急ぐと書かれているという。その意向を国民に明確に表明したのが、昨年3月の菅官房長官によるものである。注意すべきは、このころから、現政権の表面に親中姿勢が現れだしたということである。https://www.youtube.com/watch?v=_rw3Xyr3HAc 

 

国民の多くは、特に女性の国民は、愛子内親王に天皇の地位についてもらいたいと素朴に考えるので、現政権はその利用を考えているようだ。一般女性は、それが日本の伝統と文化に反することなど、考えてはいないだろう。

 

この女性宮家創設とその先にある女系で女性の天皇が、日本の伝統と文化に反することを明確に示す意見が、その代替案である旧皇族の復帰の意見とともにネット上に現れた。中国から帰化した鳴霞さんと伴に、中国情報を流している水間政憲氏の動画である。https://www.youtube.com/watch?v=BdDEeQ2wdvs&t=543s

 

天皇は、日本神道の教皇であり、日本の伝統と文化の背骨にあたる。日本の神道は世界から見れば非常に小さな宗教であるが、その教皇は定性的にはローマ・カトリックの教皇と同じである。ローマ法王に女性がなれないことは、西欧カトリック社会の文化の背骨にあたる重要なことである。それを無視した場合、命はない。(補足2)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B3%E6%95%99%E7%9A%87%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%8A

 

上記の考察で明らかなように、女性宮家の創設を行うという現政権の意図は、日本神道の破壊が目的であり、日本の伝統と文化を破壊することが目的だということになる。つまり、天皇とそれを中心に持つ日本人のアイデンティティの破壊が目的である。その意図は何か?

 

安倍政権の昨年からの親中姿勢をみれば分かってくる筈である。勿論、無能な人なので、自分は政権の座を大事に考えて日本の舵取りをしているつもりかも知れない。しかし、そのような前提で安倍氏を見れば、巧みに誘導されているネズミのように見える。

 

つまり、中国による日本の併合である。遠い将来の目標として、中国は日本併合を考えている。北海道は既に相当中国の支配下に入っている。王岐山も李克強も、日本に来たときの態度が大きくなり、見下す姿勢で日本の要人に会っている。そして、将来中国人に食料を調達するための土地として、まるで訪日の主目的のように北海道の視察に向かった。

 

元に戻る。女性宮家創設のような大掛かりな法律制定をするのが、もし男系男子での皇位継承が末永く続かないことに対する危惧なら、それは悠仁親王を考えれば不要である。もっと遠い先を考えるなら、旧皇族の皇族復帰を考えるべきである。「旧皇族は、その意思に基き、皇室会議の議決を経て皇族の身分を復活できる」という一文を皇室典範に入れれば良いと思う。

 

2)旧皇族:伏見宮、久邇宮、東久邇宮

 

旧皇族の系図をみれば、その中に崇高天皇の第一皇子を初代とする伏見宮家がある。伏見宮家の第三代の第一皇子は、後花園天皇である。そこから下ったところに現在の皇室がある。伏見宮家代20代(二回家長を継いでいて、23代でもある)の伏見宮邦家親王の第4王子が、久邇宮朝彦親王である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%85%E9%82%87%E5%AE%AE%E6%9C%9D%E5%BD%A6%E8%A6%AA%E7%8E%8B

 

久邇宮朝彦親王の第9王子が東久邇宮稔彦王であり、その子東久邇宮盛厚王の三人の王子に男の子が合計5人いる。全員当然のことながら、男系男子の王子である。久邇宮朝彦親王の孫は昭和天皇の后良子(香淳皇后)である。従って、菅氏の発言は、天皇制の廃止の企みの一貫だと考える方が自然である。

 

因みに、ウィキペディアには、以下の記述がある。

 

東久邇宮(ひがしくにのみや)は、明治時代後期に久邇宮朝彦親王の第9子である稔彦王が創立した宮家。後継には恵まれたが、1947年(昭和22年)GHQの指令により10月14日皇籍離脱。よって一代限りの宮家となった。明治天皇第9皇女の聡子内親王及び昭和天皇第1皇女の成子内親王が嫁したことにより、女系でも現在の皇室と極めて近い血縁関係にあるため、皇位継承問題でたびたび注目され、旧皇族の中では露出度が高い。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%B9%85%E9%82%87%E5%AE%AE

 

しかし、この記述には悪意があると思う。赤線部分、「女系でも」とあるが、それは嘘であり東久邇宮は当然男系皇族である。ウィキペディアは、オープンな百科事典であるので、自分に都合の良い記述をする人に利用されている場合もあり、注意が必要である。政府の企みを考えて上記のように書いたのなら、上記企みは広汎で大きな組織で進められていることに成る。

 

最後に: 

なお、以上の考えは従来の私の主張から若干変化した可能性がある。従来の考え方は、昨年6月に書いているので、引用しておく。その時には、外国との関係は殆ど考えなかった。考え方に変化があったのなら、それは昨年の10月の安倍内閣の決断、それに今回のコロナ肺炎だろう。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2019/06/blog-post_30.html

 

 

補足:

 

1)江戸時代末期に、クーデターを起こして作られた大日本帝国のその後の暴走は、それが日本列島に棲む民族の伝統と文化に根ざした「国家」として確立しなかったことが大きな原因である。つまり、単なる征服者の組織として「国家」を作り上げ、その征服の延長として、大陸に侵攻したのである。

 

薩摩は江戸で、長州は京都で、残忍なテロ行為を繰り返し、世情不安を煽った。更に、外国外交官に切りつけたり、外国船に大砲を打ち込んだりし、その責任を江戸幕府に負わせて、その弱体化を図った。薩英戦争では英国の損害も大きく、英国は日本を叩き潰すのではなく、利用する方向に戦略を立て直したようだ。つまり、香港のマセソン商会などの手先に土佐藩士をつかって、薩摩と長州を連携させて討伐を助けた。

 

明治の政府は、日本国全体の明確な意思統一を行わず、大日本帝国の軍は朝鮮併合から大陸侵攻にすすむ。朝鮮併合は、初代総督の伊藤博文が反対したことでも分かるように、賢明な策ではなかった。国家は国民の伝統と文化を代表し束ねる組織であるべきであり、元々異なった伝統と文化を持つ朝鮮を併合することには無理があったからである。

 

もし“明治政府”が、全ての日本列島の住民から「国家」としての信頼を得ていたのなら、つまり、日本の伝統と文化に根付いた国家を建設できていたのなら、政権の担当者の殆どに朝鮮併合が野蛮な行為に見えた筈だからである。

 

つまり、日本全土を征服したその延長上に、朝鮮併合も満州建国もあった。その論理は、最初はロシアの脅威への対抗ということがあったが、日露戦争後の大陸侵攻は、(帝国主義的)拡大であり、その途中に朝鮮併合や満州支配があったのだと思う。果てしなき拡大政策は、対米戦争でバブル崩壊するまで続いたのだろう。

 

現在の日本政府は、「日本列島の征服者の末裔が協力者を集めて作った占領組織」のままである。そして、日本の伝統と文化の象徴である天皇制を廃止しようと考えているのだ。

 

2)ローマ法王ヨハンナは、男装してローマ法王の地位に上り詰めた。しかし、愛人の子を生んだことで、大衆に引き裂かれたという。米国で映画になり、相当話題になったようである。

https://www.theguardian.com/film/2010/jun/22/female-pope-film-vatican

2020年5月5日火曜日

緊急事態宣言の有効期間延長を諮問した不思議な二つの専門家による会議

1)緊急事態宣言の期限延長の理由がわからない

 

新型コロナ肺炎に対する様々な規制は、今年3月14日に施行された新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下特措法)に基づいて行われて居る。政策決定の際に、西浦博北大教授が行なった計算が大きく影響した。この方は厚労省のクラスター対策班に入っているようだ。https://iwj.co.jp/wj/open/archives/473543

 

つまり、何も拡大防止策を行わなければ、42万人が死亡するという推計である。首相は、そのシミュレーションの一部を引用して、二週間後に1万人、1ヶ月後に8万人の感染者を出すと説明して、緊急事態宣言に踏み切った。

https://mainichi.jp/articles/20200415/k00/00m/040/087000c

 

その緊急事態宣言を発表する中で、首相は接触機会を最低7割、できれば8割削減してほしい。そうすれば、二週間後には感染者数をピークから減少の方向に向かわせることができるとも話したが、それ以降の計画には触れなかった。

https://www.fnn.jp/articles/-/29750

 

最近では、政府が発表している一日あたりの感染者数は減少に転じている様に見える。そして、緊急事態宣言を出したときから1ヶ月目の5月8日には、感染者数が8万人になるという緊迫した事態は避けることが出来る筈である。それでも、あと概ね一ヶ月宣言の有効期限を延長するという。一体なんのためなのか?

 

この特措法による緊急事態宣言による規制の具体的な目標は何か?

今回延長になったのは、そのどの部分で目標に届かなかったからなのか?

国民の保健衛生にどの程度のプラスの効果と、国民の経済にどの程度のマイナスの効果を予想し、その兼ね合いをどう考えてこの規制延長をおこなったのか? 分からない。(補足1)

 

特措法第6条5項には、「内閣総理大臣は、前項の規定により政府行動計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聴かなければならない」とある。その他の学識経験者の意見はどうなっているのか?

 

衛生と経済の両分野の専門家による議論を、規制の継続/撤廃を選ぶ際の参考にすべきである。そして、角を矯めて牛を殺す愚を犯してはならない。

 

しかし、安倍内閣は、その愚を犯しているように見える。大不況の可能性はそこまで来ている。現在、多くの方の意見は、このウイルスとは長い付き合いになるという考え方で、ほぼ一致している。そのためには、社会全体にこのウイルスに対する免疫(集団免疫を含めて)を築いていくべきである。その場合、スウェーデンの方式が正しいだろう。(補足2)

 

ここで注意しなければいけない事がある。それは、この問題が、政治屋の道具になりつつあるということである。その指摘は、米国ではテスラ社のイーロン・マスクによりなされた。それは米国内だけでなく、世界を視野に入れての発言だろう。https://www.youtube.com/watch?v=IW9E8bORgWg

 

つまり、敵対勢力の切り崩し、或いは、敵対国の経済/政治破壊には、強力な規制或いは都市のロックダウンをしてもらう方が良い。ヨーロッパ諸国が経済活動再開に動き出したのは、これでは経済的に疲弊し、第二波第三波により、自国とその周辺との経済的繋がりも絶たれ、自由社会が破壊されることに気付いたからだろう。(補足3)http://tanakanews.com/200504sweden.htm

 

昨日の緊急事態宣言の有効期限延長は、感染症対策としては正しいかもしれないが、政治的には愚かな決断だっただろう。そして、漠然と気になったのが、専門家会議や有識者会議の「専門」とは何かである。尾身茂氏が率いる二つの組織について若干調べて見た。

 

2)安倍首相と尾身茂会長の二足のわらじ?

 

この件の政府の対策において重要な役割をしていると思われるのが、最初に書いたように、専門家の意見である。そこで調べてみると、この専門家の作る会議には二つあった。表題は、それを表して居る。安倍首相の二足のわらじは、内閣総理大臣と特措法上の対策本部長である。

 

特措法第6条5項には、「内閣総理大臣は、前項の規定により政府行動計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聴かなければならない。」との記述がある。

 

また特措法18条4項にも、「政府対策本部長は、基本的対処方針を定めようとするときは、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聴かなければならない」との記述がある。

 

内閣が意見を聴くのが、新型インフルエンザ等対策有識者会議(5条、以下有識者会議)であり、特措法に基づいて内閣に設置される、対策本部長の下に位置するのが、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(18条、以下専門家会議)なのだろう。

 

これらの規定には、その他の学識経験者という項目がある。それは、内閣の決定は多くの面からの考察を経てなされなければならないという考えの下に加えられたのだろう。しかし、下の組織構成員には、その他学識経験者に相当するのは、弁護士二名のみである。そこには経済の専門家は一人も居ない。

 

その両方に所属する尾身茂という人は、有識者会議の会長であり、専門家会議の副座長である。安倍さんは、総理大臣と対策本部長の二足のわらじを履き、尾身茂氏も有識者会議の会長と専門家会議の副座長という二足のわらじを履くのである。何という不可思議な政治システムだろう。一体、何を目的にして作られたのだろうと不思議に思う人は多いだろう。

 

つまり、この種の専門家会議や有識者会議は、日本では政府の決定に権威づけするための装置であり、政府の政策決定に大きな力にはならない。日本には、外部から人を招いて何かを議論し方針を決定するという文化はない。これは日本の弱点であり、何度も書いてきた。下に示したお粗末な人選もそれを示している。

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/01/blog-post_23.html

 

以下に名簿を記載しておく。このセクションの冒頭で、重要な役割をしていると思われるのが、専門家からの意見であると書いたが、下記組織には、あの42万人死亡すると試算を公表した人は居ない。幽霊の正体見たり枯れ尾花。

 

新型インフルエンザ等対策有識者会議

基本的対処方針等諮問委員会

 

会長: 尾身 茂 独立行政法人地域医療機能推進機構理事長

会長代理: 岡部 信彦 川崎市健康安全研究所長

押谷 仁 東北大学大学院医学系研究科微生物分野教授

釜萢 敏 公益社団法人日本医師会常任理事

河岡 義裕 東京大学医科学研究所感染症国際研究センター長

川名 明彦 防衛医科大学校内科学講座2(感染症・呼吸器)教授

鈴木 基 国立感染症研究所感染症疫学センター長

田島 優子 さわやか法律事務所 弁護士

舘田 一博 東邦大学微生物・感染症学講座教授

谷口 清州 独立行政法人国立病院機構三重病院臨床研究部長

朝野 和典 大阪大学大学院医学系研究科感染制御学教授

中山 ひとみ 霞ヶ関総合法律事務所 弁護士

長谷川 秀樹 国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長

武藤 香織 東京大学医科学研究所公共政策研究分野教授

吉田 正樹 東京慈恵会医科大学感染制御科教授

脇田 隆字 国立感染症研究所所長

 

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議

新型コロナウイルス感染症対策本部の下、新型コロナウイルス感染症の対策について医学的な見地から助言等を行うため、新型コロナウイルス感染症対策専門家会 議(以下「専門家会議」という。)を開催する。

座 長 脇田 隆字 国立感染症研究所所長

副座長 尾身 茂 独立行政法人地域医療機能推進機構理事長

構成員: 岡部 信彦 川崎市健康安全研究所所長、

押谷 仁 東北大学大学院医学系研究科微生物分野教授、

釜萢 敏 公益社団法人日本医師会常任理事、

河岡 義裕 東京大学医科学研究所感染症国際研究センター長、

川名 明彦 防衛医科大学内科学講座(感染症・呼吸器)教授、

鈴木 基 国立感染症研究所感染症疫学センター長、

舘田 一博 東邦大学微生物・感染症学講座教授、

中山 ひとみ 霞ヶ関総合法律事務所弁護士、

武藤 香織 東京大学医科学研究所公共政策研究分野教授

吉田 正樹 東京慈恵会医科大学感染症制御科教授

 

 

補足:

 

1)西浦教授は、上に引用した記事によると、現在の感染者数は発表の10倍ほどだと言ったようだ。そんないい加減な推定で政治が動いているのか? なぜ、PCR検査を諸外国の半分でも良いから、そのレベルまでしないのか? 抗体検査で感染者の割合が出せるのに、なぜしないのか? この疫病を利用して、敵対国かなにかが日本破壊に利用しているという意見もネットにはある。

 

2)コロナウイルスは変異が早く、集団免疫がついたとしても、永続しないという説がある。これは一部事実である。しかし、東アジアでは欧州に比べてその被害が一桁以上小さいのは、BCG接種がなされているからだという意見があることも考えるべきである。つまり、免疫は1か0の世界ではない。今回集団免疫ができれば、変異株が大流行したときにも一定の効果がある可能性が高いと思う。

 

3)田中宇氏のメルマガ(すぐ下に引用)は、都市封鎖や国家の封鎖により、EUの破壊がすぐ起こると指摘している。

2020年5月1日金曜日

小説「金閣寺」の感想(2):禅問答と小説金閣寺 (再録)

以下は、約6年前のブログ記事です。先程再録したものの後編です。

 

 歴史上でも現代でも、真理を偽っていいかげんなことを語り、悟ったふりをして人を惑わす者が大勢居る。日本語が論理展開に不向きな言語であるため、そのような言葉のマジックが可能になる。その代表が、禅問答である。禅問答は公案と言われる訳の判らない問題を”解く”際のやり取りのことである。公案のほとんどは意味のないなぞなぞの類いで、無理会話と言われることもある。
 
 三島由紀夫の「金閣寺」を最近読んだが、その中に“南泉斬猫”という公案が出てくる。その話は以下のようである。「山寺に一匹の美しい猫があらわれた。東西両院の僧達はその猫をめぐって争った。それを見ていた南泉和尚は、その猫の首をつかんで、草刈鎌を擬して、こういった。“大衆道ひ得ば即ち救い得ん。道ひ得ずんば即ち斬却せん”衆から答えは出なかったので、南泉和尚は猫を斬って捨てた。日暮れになって、高弟の趙州が帰って来たので、南泉和尚は事の次第を述べて趙州に質した。趙州は、履いていた靴を脱いで、頭の上にのせて出て行った。南泉和尚は嘆じて言った。“ああ、今日お前が居てくれたら、猫の児も助かったものを”と。」 

 このような公案を解釈するのが禅の修行の中の必須科目なのだという。現在でも、幾つかの公案が住職への就職試験につかわれるとのこと。もちろん、模範解答があってそれを暗記して答えるだけだろう。形式的にやるだけだろうが、馬鹿げているとしか言い様が無い。
 
 小説金閣寺では、終戦の時の和尚の講和のなかで“南泉斬猫”が出てくる。元々回答不可能な公案であるから、和尚も適当な解釈を開陳しただけである。小説の中で重要なのは、二度目と三度目に出てくる、主人公溝口の友人である柏木の“南泉斬猫”解釈である。内飜足の柏木は、その美しい猫を「美そのもの」と捉え、それへの憎しみを込めて「美は単に厄介なもの(虫歯のようなもの)」として解釈している(1)。


 そして、柏木は認識の剰余的なのものの幻影として美的なものを捉え(2)、何とか自分の醜い姿と同居しているが、その議論の中で、金閣寺を放火した主人公は「美的なものは怨敵なのだ」と白状している。美に恵まれない者は、美を無価値と看做して無関心を装うか、美を敵と看做して戦うかのどちらかである。柏木は無関心或いは諦め(趙州の態度)を、溝口は敵対(南泉和尚の態度)を選んだ(3)。二人とも、あまりにもプライドが高い為に、自分の醜なる一部にこだわり、それが壁となって隔たりを感じる一般社会を、敵とすることで自分の醜と心理的バランスをとって生きている。解脱にはほど遠い禅僧見習いである。


 小説金閣寺の解釈には色んな意見があるが、病理心理学的見方をしない多くの評論は間違っていると思う。最近も、広島大文学部の有元伸子氏による”三島由紀夫「金閣寺」論”があるが、「金閣寺」の中では放火の動機が十分解らないとしている(4)。その上、溝口の心理などを含めてあまり理解できていないと思う。


 もう一つ重要な点は、語り手はどの程度本心を語るのだろうか?と言う疑問である。この疑問は、芥川龍之介の「地獄変」を読んだ時にも強く感じた。後者の場合は、語り手が知りうる限りのことを語っていると考えると、訳がわからなくなる。(5)
 

 禅問答に戻って、ところで、そのような“意味のない問答”が何故、禅宗の修行に存在するか? “禅宗における悟りとは「生きるもの全てが本来持っている本性である仏性に気付く」ことをいう。 仏性というのは「言葉による理解を超えた範囲のことを認知する能力」のことであるとされる。 悟りは師から弟子へと伝わるが、それは言葉(ロゴス)による伝達ではなく、坐禅、公案などの感覚的、身体的体験で伝承されていく。”と上記サイトに説明されている。ここで書かれている悟りの境地も、栄養心理や病理的心理学の領域で議論されるべきことではないのか。

 因に、「金閣寺」にある解釈以外のネットで見つけた“南泉斬猫”の解釈の例をあげる。訳の解らない単語(仏性)を非論理的な言語で語ると、このようになる。それと、数学の簡単完結さとを比較してほしい。要するに、解らないことを解らないという思想(無知の知や経験主義)の発生は、論理的な言語の下でないと起こりえない。従って、東洋では産まれ得ないし、生まれなかった。これが思想においては、全く訳の判らない言葉遊び的(禅宗など;6)なものか、現実傾倒的(儒教)なものかのどちらかになってしまうのだろう。


注釈:


(1)柏木は、美と認識について以下のように言っている。「人は生を耐えるために認識という武器をもった。認識だけが世界を不変のまま、そのままの状態で変貌させるのだ。”美的なもの”は人間精神の中で、認識に委託された剰余の部分の幻影なのだ。」つまり、美は剰余的な認識であり、本質的でないと言っている。


(2)美は確かに認識の中心にはない。しかし剰余的なものというより、美は認識とその認識主体との相互作用の産物だと思う。柏木は認識とその”剰余的な一部分である美”(柏木説)を人間一般に共通のものと捉えているが、それは間違いである。柏木は、片輪故に美を畏れ、美を個人の意識として捉える余裕をなくしているのである。


(3)小説「金閣寺」で二度目に出てきた”南泉斬猫” の解釈は柏木によりなされる。そこで、柏木は「今の所、自分は南泉和尚で君は趙州だが、いつの日か、君は南泉で僕が趙州になるかもしれない。」(文庫版、155頁)と言っている。つまり、主人公溝口が猫を斬る行為に及ぶことをここで予言しているのである。美の象徴である金閣寺に放火することで、柏木の予言(かもしれないと書かれているが)が当たるのである。


(4)有元氏の論文のイントロで、「金閣を焼くという行為に関しては、従来から大きく二つの説に別れている様である。一つは、現実の金閣を焼くことによって、戦争末期のような絶対的な金閣との一体化の知覚を取り戻そうとしたと読む説であり、もう一つは、自分の内部にある金閣の絶対性を開放して、真に相対的な生に生きようとしたと解釈する説である。しかし、小説金閣寺ではこの二つの読みが並立するのを許容するように描かれているのであって、「(小説)金閣寺」内部からは主人公はどちらの方向をとったかは明らかにはされてはいない。」 私は、こんな解釈は意外であり、どちらの”これまでの説”も小説「金閣寺」が全く読めていないと思う。このような読み方をする人達は、上述の「私にとって美的なものは怨敵なのだ」といった主人公の本音をどう解釈するのか?
 また、主人公が自分の性アイデンティティーに悩むというような解釈をしているが、それは著者の三島由起夫を意識し過ぎだと思う。美しい女性を前にして不能になる主人公は、性アイデンティティーを確立していないからではなく、自分の劣等意識からである。その同じ現象が、柏木と最初の美女との交際に関して、柏木自身の告白の形で書かれている。(文庫版105頁)自慰や夢精をし、遊郭においても有為子との行為を夢想する主人公の性アイデンティティーは明白であると思う。


(5)地獄変では堀川の大殿を”善人”として語っている。しかし、本当は”悪人”である。絵師の娘を自分のものにしようとしたが強く拒否する娘を、絵師の言った「実際に見なければ描けない」の言葉を得て、絵師の前で焼き殺した。絵師は自分のプライドをかけて名作を完成して、大殿との確執に闘い勝ったのだ。その後、娘への愛を縊死と言う形で証明したのである。語り手の言葉をそのまま信じると、芸術至上主義などという解釈に至るかもしれないが、それは誤りであると思う。
 同様に、金閣寺の語り手はこの小説のもっとも鍵となる部分、「美女との行為の直前に金閣があらわれる」を正直に語っているのか解らない。全く同じプロセスを(4)に追記したように柏木が告白しているからである。正直ならば、病理心理学的観点を本小説の解釈に持ち込む必要がある。嘘を語っているのなら、柏木の告白と同様である。私は後者だと思う。 つまり、三島由紀夫は、語り手が語り得ない部分を別のケースで予め示しておく手法をもちいているのだろう。もう一例を上げれば、金閣寺の空襲での焼失を願ったが、実現しなかったので自ら放火したことのモデルは、有為子の死を願い成就することとして、始めの部分で与えられている。


(6)仏教特に原始仏教は、世界における高度に発達した宗教の片方を構成すると思う。西欧で主流なのは”創造神”の考え方であり、それに対して、東洋(東アジア)では”空”を”縁”主張する仏教が主流だと思う。その他の宗教はそれに関係する人口が仮に多くとも、”高度”とは言い難いと考える。


(7/10投稿、7/11語句の修正と注釈(2−4)の追加及び拡充;7/16注釈(5、6)を追加)


引用サイトの明示:
http://ja.wikipedia.org/wiki/公案
http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2014/07/blog-post.html
http;//www.chusugi.jp/feature/policy/thesis/thesis201301.pdf
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q137333603;
http://ja.wikipedia.org/wiki/臨済宗;
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/832991.html;


追記)その後、サイトにこの件を議論して、三島は仏教が解っていない云々の記述がありましたので、一言:
小説は、登場人物に作者の思想を語らせる場ではありません。何故なら、登場人物はその小説上の設定にあった発言をし、思想を語るからです。

 

三島由紀夫著「金閣寺」の感想 (再録)

過去一定の閲覧があったものを再録しています。以下は2015年1月に投稿のものです。

古いものは、グーグルでの検索に引っかからなくなるので、読み直して価値があると自分で判断したものを再録しています。

 

三島由紀夫著「金閣寺」の感想


(補足:この感想文は、7月10日の禅問答と小説金閣寺の前編です。是非、後半もご覧下さい。2015/1/12記す)

 小説はあまり好きではないので、ほとんど読まないが、以前から金閣寺の事が気になっていたので、読んでみた。三島由紀夫の本は、初めてである。正直言って難解な部分もあったが、自分流の解釈も加えて以下に粗筋と感想を混ぜて書く。(1)

 内容のエッセンスは、人は社会を造って生きる様に出来ているため、人から拒絶されることを過剰に恐怖する場合が多いということである。主人公は吃りであり、それが社会との関門となって一生苦しみ、やがて自分の苦悩を言わば(苦悩とバランスをとる様に)美として変化させ貯め込んだ心象としての金閣寺が大きくなり、それに耐えられなくなって実在する金閣寺に放火することになったのだと思う。

 小説はその主人公の語りで進められている。子供のころ父親から金閣寺の美しさを聞かされてはいたが、始めてみた金閣には全く美を感じなかった。金閣寺に弟子入りしたものの、孤独と特に女性関係において進歩の無い人生を、幼少期からの乗り越えられない吃りとそれによる自己嫌悪の所為にする癖から抜けられない。一方その消化しきれない心理的抑圧に耐えるため、金閣の美への憧れへ逃避することにより、辛うじて生きて行くエネルギーを得ることになる。初めて見た金閣に、全く美を感じなかったことでも判る様に、金閣への憧れは自分の停滞する人生と心理的にバランスを取るためのものである。そしていつの間にか、自分の劣等意識の証人的存在である金閣が、空襲により焼失することを願う様になる。しかし、京都への空襲は無く、金閣は戦火を逃れる。

 金閣の焼失を願う様になった経緯は、数年前の中学生のころ、密かに心を寄せた近所の女性有為子との出来事と相似的である。ある日の早朝、憧れが原因で咄嗟に自転車で出かける有為子の前に、立ちはだかったことがあった。そこで、何か言い訳をすべきところで、言葉が喉から出る直前で詰まってしまい、有為子にバカにされることになる。有為子の告げ口で、彼女の親が下宿先に抗議にきた。そして、有為子の存在は恥と劣等感の証となり、彼女の死を願うようになったのである。その後、有為子は海軍病院で知り合った兵士と恋仲になり、その兵士の子供を宿すことになる。そして、経緯の詳細は書かれていないが、その兵士が脱走兵となり、捜索する軍兵士と捜索に加わった主人公の目の前で、二人は強い絆を見せつけるように心中したのである。主人公の願いはかなえられ、自分の呪いの力を信じることになるが、この体験は主人公の劣等意識に加算され深く刻み込まれる。

 大谷大学予科で知り合いになった柏木は、内飜足でありながら、そのハンディキャップを逆に利用するほど世俗的になることで強く生きていた。その友人に何度か女性を紹介されるが、喉まで出て来た言葉が詰まってしまう吃りの症状のように、最後の段階で失敗をする。その際、金閣寺が女性との間に立ちはだかる様に表れる幻想を見る。それは劣等意識の為の失敗であっても、金閣が開き始めた自分の人生を妨害するかのような錯覚を持つ。そして、「いつかきっとお前を支配してやる。二度と私の邪魔をしに来ない様に、いつか必ずお前を我が者にしてやるぞ」と金閣に呼びかけることになる。

 金閣に放火することを決めてからは、そのエネルギーを得るために、金閣寺の住職に嫌われるような行動を敢えてとるようになる。また、柏木から借りた金で、生まれ故郷の方向に出奔することなどで、住職から「お前を跡継ぎにすることも考えたこともあったが、今はその気はない」という趣旨のことを言われる。その後は、坂道を転げ落ちるエネルギーで、金閣を破壊する決断をすることになる。この当りからは、私はこの本を駆け足で読むことになってしまった。

 自分の吃りというハンディキャップから、世界と自分の間に厚い壁を作ってしまった主人公は一生その壁を取り除くことができなかった。近くに鶴川という暖かい友人と柏木という内飜足というハンディキャップを乗り越え強く生きる見本を見せてくれた友人を持ちながらである。柏木は特に、そして鶴川とて同様に、思い通りにならない人生を生きていることに、全く気付かないほど自分の劣等感と常に対峙していたようである。

 最後にこの小説にたいする疑問点を書く。それは、最後に、「生きようと私は思った」と書いている点である(2)。もちろん、金閣寺放火直後に自殺する筋書きでは、放火犯の一人称で小説を書くことは矛盾しているのは判るが、金閣寺を放火しても、“私”に生きる力はわいてこない筈である。何故なら、主人公が自分を決して受け入れない社会の全てを、想像上の金閣寺に押し込んだのであり、実際の金閣寺はその象徴に過ぎないからである。金閣寺の放火は、自殺の始まりだからである(3)。
 

 

 注釈:


1)http://ja.wikipedia.org/wiki/金閣寺_(小説) ウィキペディアに粗筋と諸氏の評価・分析が書かれている。
2)上記サイトに小林秀雄との対談として、三島自身の言葉として「殺した方がよかったですね」と書かれている。
3)この小説の至る所に、著者の人や世界にたいする理解の深さを感じる記述がある。例えば、父親の遺体を前にしたときの記述:”屍はただ見られている。私はただ見ている。見るということ、ふだん何の意識もなしにしているとおり、見るということが、こんなに生けるものの権利の証明であり、残酷さの表示でもありうるとは、私にとって鮮やかな体験だった”

結局米国と中国は棲み分けを考えるだろう

1)大国は棲み分けを考える:

 

棲み分け(住み分け)をネット検索すると:

「生活様式のほぼ等しい異種の生物群が、生活空間や生活時間・時期を分け、競争を回避しながら共存する現象。 ヤマメが下流に、イワナが上流にすむ例など。」と書かれている。

 

何となく分かりにくいかも知れないが、建設業界で行われている「談合」も同じだと言えばわかるだろう。対象となる地域や業界など、其々の建設業者が「得意とする分野」の地図を作り上げるまでは、小競り合いがあるかもしれないが、やがて棲み分けの地図が出来上がり、安定化する。勿論、談合は違法行為だが、暗黙の了解は法律の網では引っかからない。

 

棲み分けが起こる条件は、空間が限られていることである。空間の獲得競争が始まれば、実力者たちはすぐに「互いに傷つき共倒れになって、近くにいる無能な弱者に生きる権利を与えるのは愚かだ。それよりも、互いに棲み分けた方が利益となる」と考えるだろう。その後は、其々の覇権域で弱者を脅して利益を吸い上げれば良いのだ。

 

現在、地球という限られた空間と限られた資源とエネルギーを、世界は正確に把握している。現在も静かに存在する国家間の冷戦は、その棲み分け範囲の微調整であり、どちらかがもう片方を潰すという類の争いではない。

 

2)来年、米国は中国と、どのように棲み分けるかの話をするだろう

 

今回のコロナ肺炎で、デカップリングが起こると言って、中国の世界経済からの締め出しを夢想する人が多いようだが、中国が自壊するのなら兎も角、そうでなければ起こり得ない。つまり、一旦中国を自由主義経済の枠組みに入れた以上、そこからの排除を行うのなら、リーダーとなる米国の強い決断、追随する諸国の堅い結束がなければ不可能である。

 

中央政府の基盤が、大衆の一票にある制度の下では、経済情況が悪化すればするほど、冷静な判断が出来なくなり、衆愚政治へ向かう。例えば米国では、今後生じる可能性の高い困難を考えて、デカップリングという高遠な目標を示しても、大衆は日常の豊かさを要求して近視的な政策の政権を選ぶだろう。

 

具体的には共和党トランプは次期大統領選に破れ、バイデンの民主党が政権を掌握するだろう。そして、中国敵視策に見えた共和党の政策はゴミ箱に捨てられ、中国とのデカップリングではなく、棲み分けの話が始まるだろう。

 

国家と国家の関係では、圧倒的に独裁制国家が強い。21世紀後半は、中国が世界を支配するだろう。それは、以前中野剛志が指摘したロックインモデルで予測されることである。既に、米国は民主国家が独裁国家に支配されるレールの上に、世界を乗せ、世界はその道にロックインされている。

 

トランプが直感的にその危険性を感じて、アンロックの道を探ったが、中国のちょっとした小細工によりもろくも崩れることになった。中国にとって、100万人が死亡する作戦など、小細工のうちである。米国のブレジンスキーも言った筈だ、知りすぎた100万人は説得するより殺すほうが簡単だと。彼らは、感覚的に通じ合い、棲み分けの話ができる相手だろう。日本? 今の政権の体たらくを見た上でする質問ではないだろう。その頃には無くなっている筈だ。

 

 

3)火事の前のきな臭さ:

 

先日、NHKはJ.F. Kennedyの暗殺の謎を探る番組を放送していた。オズワルドはCIAの捨て駒となり、ソ連に派遣され、帰った後の仕事が例の事件を引き起こすことであったということをサジェストしている。明日、その続編があるだろう。

 

昨日の及川幸久氏のYoutube動画の題目は、米国政府がついにUFOを認めた!?」であった。https://www.youtube.com/watch?v=KvTBcz50xZw&t=612s

この元の記事は、ニューヨーク・タイムズのペンタゴン(米国国防総省)はUFOのビデオを公開したという内容の記事と、その動画である。https://www.nytimes.com/2020/04/28/us/pentagon-ufo-videos.html

 

何故、今 UFOなのか? そう言えば、ケネディ大統領が暗殺されなければ、ダラスでUFOや宇宙人に関する情報を公開し、ソ連と核兵器という刀の柄を握りながら争う愚を犯さないで、宇宙人との共存を図るべきであると演説する予定だったようだ。その一環として、アポロ計画があったという。これは以下の本だけでなく、いくつかの本などで読んだ。

飛島昭雄ら、“失われた地底人の魔法陣「ペンタゴン」の謎”

 

この時期、これらの話が米国から流れてくるのは、米国一般大衆の一部がパニックになりかけているからだろう。UFOとは未確認飛行物体である。カラスが夜空に飛んでも、確認できなければUFOである。こんな馬鹿げた話が、米国では国防総省から発表され、New York Timesが報じるのである。 

 

ニューヨーク・タイムズの裏に居るのが、ウォール街の金融資本家たちである。おそらく、トランプに「何らかの道」を取れと、強力に進言しているのだろう。どの道? 何時か来た道である。