追補: 11/19の国際政治評論家の田中宇氏の記事で、いくつかの情報が追加されている。
それによると、ポーランドに落されたミサイルは、ソ連が開発したS300迎撃システムのミサイル(5V55)で、ウクライナはソ連からの独立後もS300システムをそのまま使用し、ミサイル部分は自国のキエフ工場で製造してきたという。
落下したミサイルの側面にウクライナ語で製造番号等が記載されており、すぐに製造元であるウクライナの発射したものが分かったということである。つまり、米国を始めNATO諸国は、ロシアのNATO攻撃と言うことにして、ロシア攻撃を開始するかどうかの協議をし、今回は躊躇したのが事実のようだ。
田中宇氏は、「迎撃失敗の結果偶然にポーランドに落下したとしても」という仮定を置いて、以上の話を展開している。その他の情況から、ウクライナゼレンスキーの偽旗作戦にNATOは乗らなかったと言う以下の主張は、ほとんど完全に正しかったことになる。
同じ記事で、ウクライナではゼレンスキーに批判的なマスコミ(最も人気の高いStarana.uaなど)もあり、それをゼレンスキーは潰しにかかっていると書かれている。
(以上、11/21早朝追加)
ーーーーーーーーーーーーー
11月16日22:51(以下、時刻は日本時間)配信のNHK Newswebの記事によると、ポーランド外務省は、15日夜遅く、ウクライナに近いプシェボドフ村にロシア製ミサイルが落ち、2人が死亡したと発表した。(補足1)
https://www.youtube.com/watch?v=Rf-er0nbSIU
TBSのNewsDig (16日17時頃)によると、16日早朝、バイデン大統領はポーランドのドゥダ大統領とNATOのストルテンベルグ事務総長と相次いで電話会談を行い、更にその後午前9時前に滞在中のホテルにG20サミットに参加中のNATOやG7の首脳を急遽招集し、この件の対応を協議した。
会合後(記者に対して)、調査が完了する前にも係わらずミサイルがロシアから発射された可能性が低いとの見解を示した。また、ドイツのDPA通信によると、上記NATOとG7の首脳との会談で、ポーランドに着弾したのは、ウクライナの地対空ミサイル(迎撃失敗)だった兆候があると説明した。
https://www.youtube.com/watch?v=J6aQpI96MNg
更に、NATOのストルテンベルグ事務総長は16日夜、記者会見を開き「初期の分析では、ロシアのミサイルから国を守るためのウクライナの防空ミサイルシステムによって引き起こされたとみられる。ただ、はっきりさせたいのは、ウクライナの責任ではなく不法な戦争を続けるロシアが責任を負っている」と述べた。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221116/k10013881121000.html
2)幾つかの疑問点
ミサイル着弾地点はウクライナとポーランドの国境から5km程離れたポーランドの村プシェボドフ(Prczwodów) であり、周辺のウクライナの主要都市のリヴィウから70㎞以上北にある村である。最初の動画に触れられている様に、ロシアが国境付近にミサイル攻撃する動機として、ウクライナへの輸送路の爆撃も考えられる。しかし、着弾地点付近には、国をまたぐ主要道路は無い。(補足2)
(グーグルマップを借用)
上の図は、グーグル地図で示したプシェポドフ周辺の地図である。2-3 ㎞毎に点在する村落以外には農地や森が広がっている。半径50km以内にある都市と呼べるような所は、東南東方向に20㎞以上離れた所にある小さな街チェルヴォノフラードだけである。
その爆撃の跡は、通常の地上爆撃と変わらない。(補足3)出来た窪みは大きく、その縁には横転したトラックや破損したトラクターが存在する。そして二人の死者を出したことなどから、都会の地上攻撃用のミサイルによる爆撃と同等の被害だったことを示している。https://www.youtube.com/watch?v=OC5mRoIufdw
これらの情況とNATO側の説明との整合性に疑問が残る。
迎撃ミサイルの場合、爆発するのは敵ミサイルに衝突したときではなく、その周辺を通過したときだろう。爆発により多数の金属球などを放射して、周辺の飛翔体を打ち落とすのである。迎撃に失敗した場合、着弾地点において、このような被害が発生するのだろうか?
また、このような人口密度の低い場所で、建造物やトラックなどを直撃する確率は恐らく1/1000程度以下だろう。つまり、これは人間の活動拠点(農業用の拠点なのだろう)が少ない密度で点在する地域への意図的攻撃に思える。
以上から、今回の爆撃はウクライナかロシアのどちらかによる、相手に損害をあまり与えないが、国境を越えてポーランド側への攻撃の意図を明確に示すための攻撃だとおもう。
3)恐らくウクライナの偽旗作戦だろう
ロシアが攻撃の主なら、NATO諸国の本気度を探る観測気球的なものだろう。ウクライナなら、表題の通りであり、西側の支援が十分でないウクライナの当事者(ゼレンスキーなど)が、業を煮やしてNATOへの参戦を要求するために行ったのだろう。
この攻撃の主を考える上に大事なのは、真相が解った場合の損害の大きさである。つまり、NATOの本格的参戦があれば、ロシアには勝つ見込みはない。更に、世界を第三次大戦に巻き込み、プーチンの意図に反して、彼は人類史に悪の権化として固定化される筈である。そのような大きな損を覚悟して、ロシアが採る作戦ではないだろう。
私は、この事件を差し当たり以下のように理解する。90%の重みでウクライナの偽旗作戦、10%の重みでロシアの西側の覚悟の程を謀る観測気球的作戦である。
バイデンが非常に早い対応をして、ゼレンスキーの発表の否定を行ったのは、米国はこの戦争に金は出すが参加するつもりがない証拠だろう。第三次大戦に向かうにしても、その中心はそこではないのだろう。次に大きな目標として、東アジアでの代理戦争が残っている。
米国民主党政権が本格的に参戦するとしたら、方々の大きな国が疲弊したのちだろう。
(16:30、全面的に書き替えました。追補は補足の中にくみこみ、再度整理しました。)
補足:
1)この動画では、NATOが参戦するのでロシアからの意図した攻撃の可能性は低いと言っている。ロシアの爆撃精度が低くてポーランドに着弾したという考え、或いはウクライナのロシアのミサイル迎撃の失敗という解釈を否定するのが本稿の目的である。尚、ウクライナもS300を使用しているので、その破片が見つかったとしてもロシアが発射したものとは限らない。
2)中日新聞11月17日朝刊によると、国境から6㎞の地点にある穀物倉庫に着弾した。また、その場所はウクライナの発電所に近いようだ。
3)最初の動画にあるように、ロシアはミサイル不足から、S300のような迎撃ミサイルを地上用に用いているらしい。つまり、ミサイル本体は、どちらに用いることも可能である。
0 件のコメント:
コメントを投稿