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2023年5月25日木曜日

G7サミットは愚かな儀式:ウクライナ戦争の今後は長期の時間スケールと広い視野で判断すべき

G7広島サミットでは、ウクライナへの武器供与とロシアへの経済制裁強化などが話し合われた。そして、ウクライナのゼレンスキー大統領を招待して雰囲気を盛り上げ、G7は一致団結してウクライナを支援することが確認された。それでは良い結果が得られないだろうと前回書いた。

 

決定には「平和のために」という枕詞がつくが、平和とは争いを避け人々から命の危険を取り除くことと定義すれば、その決定が平和のためになるとは思えない。この20年間ほどの米国側の悪に対し、日本を含めてG7は黙っている。

 

それがインド、トルコ、アラブ諸国等がこの件について、ほとんど中立の立場を保つ理由である。ロシアの軍事会社ワグネルのプリゴジンは、このままではロシアは破壊されるので戒厳令を敷いて戦争に本腰を入れるべきだと説く。

https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-prigozhin-idJPL6N37L06Y

 

このままでは第三次世界大戦になる。

 

G7で再確認したのは、国際法に違反してウクライナに侵攻したプーチン・ロシアが悪で、ゼレンスキー・ウクライナは侵略と戦う善なのだから、ウクライナに武器や資金の援助をして、ロシアを経済制裁するという戦略である。ここでのロシアの悪は、2022224日からの悪である。

 

しかし、戦争終結と平和は、我が方は善で彼方が悪であると言う論点にたっていたのでは、永久に来ない。(補足1)より正しい善悪判断は、広い範囲で長期間に亘って評価して得られる。つまり、G7側つまり米国民主党政権側が行うべきなのは、時間スケール(上記赤字部分に注目)と視野の拡大である。

 

一年ほど前に、現実主義の米国民主党政権のブレインだったキッシンジャーの案(ロシア侵略前の状態に戻る)で解決すべきだった。しかし、今はウクライナとその取り巻きもその案を飲むことは不可能である。https://www.yomiuri.co.jp/world/20220527-OYT1T50322/

 

 

2)国際法での善悪判断が可能でない地域が多い

 

「法の支配は民主主義の根幹であり、平和で開かれた国際秩序にとって譲れない原則である。日米欧など民主主義国は、力による現状変更を辞さない権威主義国に協力して立ち向かう」という何時も聞く念仏は、国際社会の現状を少しでも知れば、今回も空しく響く。

 

例えば、現在話題のスーダン内戦でも、当地の財閥が率いる「即応支援部隊(RSF)」と呼ばれる民兵組織が、権力掌握を狙って政府軍と戦っている。

 

元駐日スーダン大使の解説によると、米国の現政権がスーダンの豊富な地下資源を手に入れることを狙って、RSFを支援しているのだという。https://www.youtube.com/watch?v=MVf0vp5ra7w

 

 

 

 

また英米メディアは、スーダン内戦には、ロシアの軍事会社ワグネルの人間が派遣されていると、批難している。代理戦争は世界の至る所で大国の利権のために発生している。

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-65370615

 

つまり、国際社会には国際法を遵守すべきという言葉が生きているように見える部分もあるが、国際法などとは殆ど無縁の部分もある。ソ連解体後のウクライナなどは世界でも極端に腐敗した政治の国であり、後者の国際法などとは無縁の地域に入るだろう。

 

米国のCIAと関係が深いブラックウォーターという民間軍事会社、ウクライナの類似の民兵組織アゾフ連隊 (補足2)などが、ロシア人住民が殆どの東部ドネツク地方でテロを展開し、そこにロシアの軍事組織ワグネルやドネツクの民兵組織と戦ったのがウクライナ内戦であった。

 

ソ連の時代には二つの国は同じ連邦内にあり、崩壊からCIS(独立国家共同体)で兄弟国となって分離したが、ウクライナ人もロシア人も共住していた。更に、ロシアの起源としてキエフ大公国があったという歴史(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220514/k10013622761000.html)から考えても、米国の内政干渉は重大な国際法違反である。

 

その動機は、ロシアの豊富な資源と広大な国土に関する権益、それと歴史的な対ロシアへの敵意である。(補足3)それはスーダン内戦への介入の両国の動機と部分的だが似ている。

 

スーダンはアフリカでは三番目に金の採掘が多いなど、アフリカの資源大国である。内戦の裏には、その金鉱山をめぐる米国とロシアの争いがあると、上に引用の動画において元駐日スーダン大使は語る。

 

 

最後に一言:

 

超大国は、国家の責任を明確にしない形で内戦等に介入したいので、民兵組織或いは民間軍事会社(PMC)を好んで用いている。PMCとしては、ロシアのワグネルや米国のブラックウォーター(現アカデミア)などである。

 

民主的に国家の指導者を選ぶ国では特に、国家の責任を不明確にしたうえで国際法に違反する外国の内戦やテロに参加し、自国或いは自分たちの利益を得ようとする。それは、世界を混乱の時代に導くことになる。民間軍事会社は、警備会社やNGOなどの看板を隠れ蓑に用いる傾向があるようだ。

 

世界は協調して民間軍事会社を無くす方向で努力すべきである。もし、民間軍事会社や民兵組織がなければ、ウクライナ戦争は起こらなかっただろう。

(8:20 編集)

 

補足:

 

1)このG7サミットのあり方に疑問を呈した日本の国会議員は唯一人、鈴木宗男氏であった。彼は「G7サミットで日本発、停戦に向けての協議を期待したが、ウクライナだけを呼んで、一方の当事国ロシアに声をかけないでは話し合いにならない。どこかの時点でどこが仲介の労を取るかがこれからのポイントでないか。中国、インド、ブラジルの立ち位置を注目して行きたい」と発言したようだ。これがスポーツ紙に掲載されたが、殆どのメディアには掲載されていないだろう。マスメディアはどこかのプロパガンダ機関であることは明白である。

https://www.daily.co.jp/gossip/2023/05/22/0016384520.shtml

 

2)ゼレンスキー大統領は、ウクライナのオリガルヒ(振興財閥)の代表的人物であるコロモイスキーの全面的支援で就任した。コモロイスキーは、自身が所有するテレビ局でゼリンスキー主演のドラマを放映し、大統領選挙では彼をバックアップしたのである。彼は、ウクライナ統一ユダヤ人共同体の会長である。私兵集団のアゾフ大隊やドニプロ大隊を育て維持し、反ロシア運動に動員している。これらの所謂ネオナチ集団は、現在ウクライナ内務省の下部組織となっている。ウクライナは、政府の中に暴力団のような組織を雇い入れている国である。

 

3)ウクライナへの米国の介入の動機は、前回ブログの補足1)追補に書いた通りである。つまり、旧ソ連の資源や産業などの支配権を獲得しようとした米国金融資本らの企みと、それに強くプーチン政権が抵抗した。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12726626308.html 伊藤貫さんの解説によると、プーチン政権誕生前にロシアのオリガルヒの80%はイスラエル系ユダヤ人だったという。

 

 

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