田中龍作というフリージャーナリストの方が居る。彼が、安田種雄氏家族の記者会見で、Zが当時警察官だったが、そのことについて知っているかと安田氏の父に質問した。答えは「詳しくは知らない」だった。https://www.youtube.com/watch?v=9quuq5qyIhw (最後の質問)
このことが、Xと安田氏との結婚に関する基礎的情報として大事である。もし、双方の父親同志がよく知る中なら、このような事件は起こらなかった可能性が高い。その理由はどうも、Zの所属部署にも関係があるようだ。田中龍作氏は記事の中で、次のように書いている。
「Zは警視庁公安部の警察官で階級は警部補(退職前に警部)だ。現場付近をトボトボと歩いているのを大塚署の防犯カメラに記録されている。本庁の警部補(退職前に警部)に対して所轄の大塚署が忖度したのか、しなかったのか。定かではないが、自殺扱いとなった。」と。
https://tanakaryusaku.jp/2023/08/00029296
週刊文春の8月3日号と8月10日号に記されたこの事件関連の記事では、安田種雄氏死亡直後の情況からも自殺とするのは不自然であると書いている。例えば、刃物の柄の部分の血液が拭き取られていることの他、遺体の位置が移動されていること、廊下にまで刃物からと思われる血液の滴った後が残されていること等が新たに書かれている。
そこでは更に、現場に居たZ氏についても重要な点に少し触れている。つまり、事件当日Z氏は大塚署に出かけて、①安田種雄氏の妻X子に対する家庭内暴力について相談している。そして、②安田種雄氏の家を訪れ、「仲良くしなければ駄目だぞ。しっかりやれよ」と言ったというのである。
この言葉(直ぐ上の赤字)は、再捜査の時に、佐藤誠氏に対するX子の証言だろう。この辺りの分析は、元朝日新聞記者の佐藤章さんのyoutube 動画が詳しい。
https://www.youtube.com/watch?v=dTRNV5tZkcw&t=1760s
佐藤章氏によると、家庭内暴力の原因は恐らくX子の愛人であったY氏の存在だろう。何故なら、家庭内暴力で家を出る場合、普通は実家に行く。勿論、一人暮らしをする経済力があれば、それもあるだろう。しかし、愛人を作ってY氏の下に行くということは、あり得ないからである。(補足1)
また、家庭内暴力に何とか対策を立てようと考えている数時間後に、③安田種雄氏の殺害は普通考えられない。従って、それはこれから実行することの論理的アリバイ工作ではないかと佐藤氏は疑う。公安警察だった人が、そのような工作を思い当たるのは容易な筈である。
ただ、週刊文春の記事では、当日Z氏が大塚署を訪問してX子が家庭内暴力を受けていることの相談を行った時刻が「夜」とだけ書かれ、詳細は書かれていない。窓口が開いている時間である午後4時ごろまでには行く必要があると佐藤氏は推測する。
従って、上記①、②、③はこの順番(時系列)で起こったことだろう。(補足2)このように考えると、これが殺人なら、相当計画的だということになる。多くの矛盾点が存在するが、偽造や捏造の類にはそのような矛盾点が存在するのが普通である。
家庭内暴力対策を警察に相談するなら、X子本人がもっと早い段階で警察署に行っている筈である。それに、2006年4月9日、安田種雄氏がX子さんをYのもとから取り戻した情況を考えても、そのような相談の時期ではない。あの時点で相談するとした場合、離婚と子どもの引き取りの話だろう。
事件直前であり、既に緊急事態である。仮に家庭内暴力がトラブルの源だったとしても、その解決の時期ではない。従って、「仲良くしなければ駄目だぞ。しっかりやれよ」と言って、二人を励ます時期からは、程遠い筈である。
佐藤誠氏は自分の想像でZ氏犯行説を匂わしたが、佐藤章氏の得た情報では、その考えは捜査陣の殆ど全員が持っていたという。そして、上記Zの発言が、X子の佐藤誠氏への証言なら、X子は嘘をついており共同正犯であった可能性が高い。
2)事件後の関係者の昇進は?(このセクションは想像による部分が更に多いので、十分注意してお読みください)
夫婦のそれまでの諸事情、上記現場の情況、傷の位置と大きさなどからも、自殺だとして隠し通すことは不可能である。
また、安田種雄氏の死亡後にYを呼び出して、自殺と見せる工作をやった可能性が高い。また、それが見破られた時にYが実行犯となるように現場のあちこちにYの指紋をつけるのが目的と思われる両面テープを用いたナイフへの工作など、公安警察のアイデアだと思うのは自然である。
従って、この事件の真実が上記推測通りだという筋書きで明らかになれば、警察官の犯行というだけでなく、戦後60年を経過しているにも拘わらず、あの忌まわしい特高警察の記憶を再度国民の脳裏に呼び覚ますことになる可能性が高い。
権力側としてはこの事件の犯人とその詳細が明らかになることは、非常に拙いことになると考えるだろう。そして、その隠蔽の決断は、警察庁長官のレベルの高位の判断だろう。
確かに、明治以降の日本史を、そして昭和の戦争までの歴史を詳細に研究し国民の前に出せば、日本は大混乱となり自民党政権も吹っ飛ぶだろう。その一つが、国民の人権を無視した特高警察(戦後の公安警察に相当)の行った暗黒の歴史である。(補足3)
その功績だけかどうかは勿論わからないが、当時の警察庁長官の漆間巌氏は、後に官房副長官となり、その後旭日大綬章に輝いている。警察庁長官から内閣官房副長官になり旭日大綬章に輝くケースは非常に少ない。あの後藤田正晴氏以来である。(補足4)
そして、2018年の捜査を強引と思える手段で中止に追い込んだ警察庁長官が栗生俊一氏であり、この方も官房副長官となっている。官房副長官の定員は3名であり、その内の一人は事務方から選ばれるのが慣例のようだ。その候補者としては上がっていたが、順位が3番目位であり、その人事は驚きの対象だったと誰かがyoutube動画で言っている。
また、気になるのは、Z氏の警察官としての階級である。確か、百田尚樹氏の動画で紹介された時には、当時巡査部長だったと思う。もし、その後田中龍作の記事にあるように、警部補になり退職直前に警部になったとした場合、捜査一課のレジェンド(元警部補)よりも高い地位になって退職したことになる。その昇進に理由は何なのか?
今回の露木警察庁長官も、退職後に内閣官房副長官のポストがチラチラと頭によぎっているのではないかと想像してしまう。このような事件後の人事や、関係者を対象にしたお金の出入りなどは、事件を解くカギになる可能性がある。特に、仮説を立てる段階では有用だろう。
終わりに:
この事件は単なる不審死事件ではない。昭和の闇から現代にまで至る日本の歴史を背景にして考察する必要がありそうである。歴史の中で、深層にあって重要なのが公安警察である。公安警察の闇が国民の前に明らかになることを支配階級と政治家上層部は殊の外恐れるのではないだろうか?
X子の父Zが警視庁公安部元警部であるという話が加わると、事件の考察が一変する可能性がある。佐藤章氏が、私の想像だがと記者会見でZの名を挙げたが、その裏にはこの父親が公安警察であったことと、数少ないX子の証言や現場に残された工作の形跡があったことを知るべきである。
犯罪捜査を担当する警察諸部門とは、仲が悪いという。そのようなことも、再捜査がかなり進んだ背景にあるかもしれない。
補足:
1) 安田種雄氏、X子、Y氏は、前より知り合いだったようだ。覚せい剤を通しての知り合いなのだろう。ただ、X子が覚せい剤に手を染めていたとする話はこれまで発表されていない。Y氏が刑務所に収監された動機は、覚せい剤不法所持だけなのだろうか? 今回の不審死事件の完全解明には、Y氏の逮捕などについてもしっかりレビューする必要があるだろう。
2) 家庭内暴力の相談窓口は午後4時くらいまでしか開いていない。週刊文春の記事には、4月9日の夜と書かれているが、本当は夕刻でなくてはならない。これは週刊文春のミスなのか、何なのか?
3) 警察の公安畑がやってきたこととしては、幸徳秋水を明治天皇暗殺の嫌疑を懸けて暗殺した大逆事件、小説「蟹工船」の小林多喜二の拷問死の事件などが代表的。戦前の公安警察は特高警察となり、治安維持法とともに国民を敵に廻したことは周知のとおりである。
4)警察庁長官から官房副長官、国家公安委員長、自治大臣、官房長官、副総理などの出世から、カミソリ後藤田と言われた。そのカミソリの中身・材質は、何なのだろうか。
(8/4/16:45&8/5/5:20; 編集後最終稿とする)
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