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コバンザメはサメなど大型の魚に身を寄せて外敵から自身を守り、そのおこぼれを貰って生きる魚である。日本は、意図してではなかっただろうが、江戸時代末期からそのような形で経済成長してきた国である。その歴史を十分承知した上で、日本の将来を考えることは非常に重要である。
日本は2600年の歴史のある国であると意気軒高な人は、頭を冷やしてその対極にあるこの考え方も知るべきである。両方の見方のどこかに真実があり、皇国史観だけでは日本は滅びる。
1)英国の東アジア戦略の中で生まれた大日本帝国
これについては何度も書いて来たと思うが、原田伊織著の「明治維新という過ち」などを参考にしてたどり着いた日本の近代史に関する私の理解である。最近では米国スタンフォード大フーバー研究所の元研究員である西鋭夫氏のyoutube動画などでも殆ど同じ内容が話されている。
18世紀ころから英国の東インド会社(1600年ころ設立)は、インドで生産したアヘンを中国で売るという貿易で利益を得ていた。この商売が民間にも許された19世紀中ごろ(江戸時代末期)、英国は中国進出の後部基地として日本を利用しようと考えたのだろう。
この活動の中心に英国ロスチャイルド系のジャーディン・マセソン商会があり、その中に日本ではおなじみのトーマス・グラバーがいる。英国王室とこの商社の背後に存在する英国ロスチャイルド家との関係は深く、(補足1)1875年の英国のスエズ運河買収とその資金調達などへの協力など、英国帝国主義の中心にあった。https://www.japanjournals.com/culture/gudaguda/16886-gudaguda-117.html
そして薩長が彼らとの深い関係の中で成し遂げたのが、明治維新というクーデターであった。その後の明治政府の発展と戦争の背後には英国、つまりユダヤ系資本家のロスチャイルド家が存在した。英国の資本は米国に流れ、ロスチャイルド系の人たちは米国をも支配することになる。
その時期に日露戦争がある。高橋是清は、米国のユダヤ系資本家であるシフから借金に成功し、日本は対露戦争に踏み込めた。そして、米国大統領セオドア・ルーズベルトの世話で、勝利の形でロシアと講和をする。彼らは、満州の支配を考えて、日本を利用しようとしたのだろう。
その目論みが外れたのは、満鉄の経営権共有の為に締結した桂=ハリマン協定に、ポーツマス条約締結後に帰国した小村寿太郎が反対し、日本側から破棄したからである。その時から日本が米国の敵国となったのである。ユダヤ系資本と米国の関係は、その時既に英国同様に濃かったのだろう。
日本が21世紀も世界の中心的国家としてあり続ける為には、国民がこの歴史から日本の近代史を理解することが必須だろう。同じ道を現在の中国は進んでいるように見える。この満州事変から太平洋戦争の間の歴史で、日本=>中国、満州=>ロシア の様に置き換えれば、相似形を為す。
つまり、ロシアの豊かな資源と国土を手に入れたい世界の金融資本家(ユダヤ系が中心の米国)が、中国を経済発展させて手下にし、ロシアを支配下に入れる企みである。その障害がプーチン政権である。ウクライナ戦争もその一環と見るのが正しい筈である。
その戦略に、中国習近平政権は抵抗する気配が濃厚である。その結果、日本敵視政策のオレンジ計画に代わり、中国敵視計画が作成されている可能性が高い。その地政学的変化が、今後の日本経済の復活の背景にあるという人が多い。以前紹介したトルコから来たユルマズ氏もその一人である。
2)日本はユダヤ系資本のコバンザメとして成長した
日本の投資ストラテジストの武者 陵司氏はyoutube動画で、米国が東アジア戦略の中で日本を必要としたとき日本経済は成長し、必要としなくなった時に停滞すると語っている。そして、中国敵視政策が始まった現在、米国は再び日本を必要とし、日本は再び成長の時を迎えるだろうと。
https://www.youtube.com/watch?v=-OQjMpCZE8I&t=296s
明治維新後の経済発展も考えれば、日本の経済はユダヤ系資本との関係で好不調を繰り返したとも言える。彼らが押さえたのは、英国及び米国の貨幣発行権であり、恐らく日本政府以外では日本銀行の最大の株主だろう。彼らの戦略は、秘密、捏造、宣伝のセットである。(補足1の下線部と補足2)
日本は現在、戦後の冷戦が始まった時(つまり朝鮮戦争開始時)と同じ地政学的情況にある。1950年から1990年までの戦後日本の大復興の時の情況と、これからの期間の情況が地政学的に相似だというのである。そしてエミン・ユルマズ氏は、日経平均は2050年までには30万円になると言う。勿論、大インフレ込みのパーセンテージだが。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12849312370.html
このモデルによれば、中国のこれからの不況は日本の失われた30年(1990年=2020)ではなく、1930年ー1950年の大破局(つまり敗戦)ということになる。
このような地政学的な考察を中心にした近未来の経済予測には一定の説得力があるのは当然である。しかし、歴史は繰り返すが、全く同じ繰り返しではない。核兵器が広く存在し、世界経済での米国の地位低下が進んでいる現在と、1945年の情況は全く異なるので、注意が必要である。
3)ドル経済圏が崩壊してBRICSが世界の政治経済のリーダーとなるのか?
米国が世界経済の発展の中心であり得たのは、米国だけが巨額の赤字を出し続けることが出来たということにある。(補足3)つまり、米国の世界における軍事的覇権の背景に、米ドルの世界における決済通貨としての地位がある。これは常識だろう。
その米ドルの地位を築いたのは、やはり英国及び欧州から米国に移動したロスチャイルドなどのユダヤ系資本だろう。米国中央銀行であるFRBを押さえているのは彼らである。その功績は偉大であり、警戒され憎まれる前に、今日の世界経済繁栄の基礎を築いた功績は正当に評価されるべきである。
この米ドルの権威が失墜する可能性があるのは、BRICS経済圏が米ドル経済圏から独立を果たす可能性が出て来たからである。彼らは世界の資源の多くを持ち、彼らの間の貿易だけで先端技術などを含め全てを賄うことが出来る。その結果、米ドルを全く必要としなくなる。
グローバルサウスはBRICSの圏内に入り、ユダヤ系資本を含め現在のG7らの国々は精彩をなくし、50年も経てばニューヨークも東京もギリシャの遺跡のようになるだろう。そうなる前に、どうにかする必要がある。その様に考えたのが、新世界秩序であり、グレートリセットなのだろう。
補足:
1)もう少し詳細にこのころの歴史を学んだので紹介しておく。
江戸末期、1853年に米国からペリーが浦賀に来て以来諸外国の船が来航して、必須物質の調達などが可能なように通商を迫った。1858年の日米修好通商条約締結以来、日本の近代が始まった。その年、フランスや英国とも修好通商条約を締結した。
その後、米国は南北戦争で東アジアとの関係が一旦途切れたが、積極的に日本と関係を持ったのは英国とフランスだった。英国のユダヤ系商社は、長州の下級武士を近代戦士として育て、軍資金や武器の貸与・供与などして、長州と薩摩の倒幕戦争に加担した。
フランス二代目公使のレオン・ロッシュは、英国公使のハリー・パークス(初代は、ラザフォード・オールコック)と対抗する形で、内政不干渉を建前とする英国とは異なり、積極的に幕府側に様々な支援を与えた。
1868年の鳥羽伏見の戦いで破れた徳川慶喜に、ロッシュは再起を促したが慶喜は拒絶した。日本の江戸幕府は、アヘン戦争とその後の中国の惨状に学び慎重に対外政策を練っていたのである。この慶喜の判断が日本を救った可能性が高い。薩長と幕府が英国とフランスの代理戦争を始めれば、日本は現在のウクライナのように崩壊し、今の日本は存在しなかっただろう。その辺りの歴史研究が日本に無いのは、現在の政府が長州政府の延長上にあるからである。
2)ロスチャイルド家などディアスポラの民の特徴は言うまでもなく、彼ら自身の国を持たないということである。その為、彼らは彼らのコミュニティを作り、陰に隠れて自分たちのために滞在国への影響力を行使する。西欧が築いた政治文化である主権国家体制や国際法システムは、彼らのために存在するわけではない。その重要な真実は、例えば、新疆ウイグル人自治区のウイグル人たちにとって、「主権国家に対する外国の干渉は国際法違反である」という近代政治文化の中心的ルールはどのように感じられるかを考えれば解るだろう。
3)基軸通貨発行国の赤字は、それ以外の国々の黒字となる。経済活動を国々の生命活動と見る場合、通貨は血液である。米国の赤字は、その血液を潤沢に供給することになり、世界経済の発展を維持する上で重要である。国内経済だけを考える場合、日本政府が発行する国債(赤字)は、民間人の黒字(財産)となるという話と一緒である。しかし、日本は基軸通貨発行国ではなく、食糧とエネルギーを外国との貿易に頼るひ弱な国である。この比喩を用いて、財政で経済を立て直そうと言うリフレ派の人々の多くは、日本経済が貿易に頼っていることが分かっていないのである。
==17:10 言語的編集あり==
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