2017年6月29日木曜日

政治を世襲貴族から奪い返す方法

1)朝日新聞の記事から引用: 
東京都議選(7月2日投開票)に立候補した259人のうち、約3分の1は議員経験のない人たちだ。立候補を決める際、「仕事を辞めるかどうか」は大きな問題で、悩む人は少なくない。識者は、サラリーマンらが選挙に出やすくなる仕組み作りを提案する。

「仕事を続けたまま立候補できるなら、そうしたかった。」「仕事を続けながら立候補できるようにならないと、議会は世襲や家が裕福な人だけの世界になってしまう。」金融機関を退職することを決め、初めて選挙に出た30代の女性はそう話す。
http://www.asahi.com/articles/ASK6M5W49K6MUTIL038.html

この問題は非常に重要であるので、ここで考えて見たい。私も、上記立候補者と同じ意見である。都議選はあくまで地方選挙であるが、地方議員が国会議員への一里塚であると考えると、国政を含め政治を世襲貴族から一般国民の手に奪い返す方法として、仕事をしながら立候補できる道をつくる必要があると思う。

立候補者を一定の能力がある人に限ることは、議員の質の低下を防ぐ上で大事である。そのために、供託金制度が存在する。立候補のバリアとしてはこの制度のみにすべきである。それ以上に、仕事を辞めた場合の生涯賃金の大きな減少に対する覚悟を立候補に際して要求するのは、政治を世襲貴族か芸能人など金と知名度を既に得た人間の独占にしてしまう。

2)この問題を考える時、日本の労働市場の特殊性を同時に考える必要がある。「日本では何故、大学や高校を卒業した直後の4月にほとんどの人が就職するのか?」日本人のほとんどが当然と考えていることだが、そのことの異常性に注目してほしい。

これは、日本においては会社に入ることが仕事に就くことだけではなく、“会社の家来になる”という封建的な意味をもっていることと関係している。一斉に4月に入社するのは、その後退社せずに“出世”して、年功序列的に上昇する給与を考え、人生の全てが其処を起点に設計されることを意味している。

これは公務員で最も顕著な傾向であるが、大企業でも同じだろう。給与は仕事に対する賃金ではなく、奉公にたいする扶持或いは俸禄なのである。従って、非正規雇用者は会社の家来でないため、賃金も労働の対価としてのみ計算され、一般に低くなる。米国などでは、労働の流動性が高く、勤続年数や正規雇用と非正規雇用の別で賃金に差があまりないだろう。年齢を理由に採用などを決めるのは差別行為として禁じられている。 https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43274988.html

欧米のように仕事に対する賃金であれば、たとえ選挙に立候補して落選しても、次の日から同じ仕事を探して仕事につけば、同じ賃金を得ることができる。年齢と賃金の関係は、自分の技量と知識など仕事の能力を介した関係であり、その会社に長年“勤める”ことと、賃金や生活設計は無関係であるべきである。(補足1)

日本は近代国家だと思っている人が大半だろうが、日本には中世がいたるところに存在する。近代的な制度である政治を国民全てで行うという民主政は、未だに日本に根付いていないのである。立候補と離職の問題という視野で考えていたのでは、大きな問題にはできず、改革の方法が仮に見えたとしても(補足2)、既得権益を持つ勢力に潰されてしまうだろう。全ての問題は日本国の政治や文化など全体を視野に入れないと、解決はおろか問題の把握すらできないのである。

例えば、現状の教育制度のままでは、日本の労働市場の閉鎖性にも一定の根拠がある。(補足3)最低でも、会社からの立候補支援制度を法令化すべきである。このままでは政治家の質の低下は歯止めが効かず、「日本崩壊の危機」とか「日本が中国になる日」(補足4)がくる時まで続くだろう。

加計問題や森友問題、防衛大臣失言問題、全て政治家の質が諸外国に比べて極めて低いことが原因である。

補足:

1)仕事には各人の連携が必要であり、そこに人間関係のあり方が関係する。日本人は個人としては閉鎖的であり、人間関係も内向きである。これが終身雇用性と関係が深い。この独り立ちしない個人が、日本の民主主義政治を機能障害に陥らせていることは、既に小沢一郎氏(著というより編集というべき)の「日本改造計画」で指摘されている通りである。これは幼児教育や初等教育の重要な課題である。
2)法令で立候補者支援制度を各会社に義務付ける。例えば、「立候補して落選した場合には再雇用を義務付ける。その後の差別を設けない。」という制度を罰則付きの法令として定める。逆差別的な対応としては、社員1000人あたり5名程度の立候補を義務付けることも考えられるが、その種の法令が国会を通過するとは思えない。
3)一般に卒業後極短期間の準備で仕事を始められる状況にはないだろう。従って、給与を支払いながら教育を行うなどの人材への投資が必要となる。その場合、投資分を回収するだけの期間は会社に留まって仕事をしてもらわないと採算がとれない。日本の封建的な雇用制度の撤廃を一斉にする場合、その教育期間内の低い給与と一定の束縛年数を置くことを許可する規定は必要だろう。
4)いずれも、本の題名。両方とも説得力のある内容。

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