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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2023年10月29日日曜日

イスラエルによるハマス掃討侵攻での民間パレスチナ人軽視の論理

 

イスラエルによるガザ地区の爆撃と部分的な地上侵攻が進んでいる。朝日新聞デジタル(273:01配信)によると、26日の時点で、ガザ地区の死者数は7000人以上で、その内2900人以上が子どもであったという。

 

この残忍なイスラエルの攻撃を、集団的懲罰(collective punishment)或いは属性(的)排除の論理で行われていると考える人々がいる。ハマスのテロに対する懲罰をハマスを政権とするガザ地区住民全てが負うべきだとする考え方である。(補足1)

 

現在イスラエルが行なっているガザ攻撃は、太平洋戦争末期の米国による日本攻撃に似ている。属性的排除或いは集団的懲罰はハマスのテロと同様に国際法では戦争犯罪である。https://en.wikipedia.org/wiki/Collective_punishment 

 

元々90%以上の住民がパレスチナ人だった土地に、ユダヤ金融資本家による圧力があったとは言え、強引にユダヤの帰還地をつくった英国の決断、そしてその後の無責任な委任統治が、そもそも紛争の原因である。(補足2と13‐16日の記事)

 

今回は、多数の一般市民の死亡が予想され、且つ、国際的世論が反対する中で、ガザ地区を地上侵攻してハマスを壊滅させようとするイスラエルの論理を考えてみる。

 

 

1)属性的排除という考え方:

 

作家の佐藤優氏が、今回のガザ地区への攻撃がハマスを含めてガザのパレスチナ人に対する「属性排除」であると言っている。下の動画の41分くらいからその解説がなされている。 https://www.youtube.com/watch?v=Km3fLGC-yD4
 

 

この場合の属性排除とは、ハマスに統治を委ねたガザ地区のパレスチナ人全員に7日及びこれまでのハマスのテロの責任があると考え、ガザ地区を「中立化」するという考え方である。

 

「中立化」という用語は、通常、戦争や紛争の文脈で、特定の地域や人を戦闘や敵対行動から、中立的な立場を維持するための措置を指す。ガザ地区に適用すれば、それはパレスチナ人全員を生死に無関係に追い払うこととなる。

 

この論理はハマスにとっても同じであり、パレスチナ地区を占有するユダヤ人であるが故に攻撃殺害するということになり、ハマスがテロや人質をとったことを正当化する論理となり得る。そこには、最早善悪は存在しない。完全に野獣の縄張り争いの論理である。

 

この論理なら、ハマスとイスラエルの衝突とその様相を、西欧の戦争と戦争犯罪の考え方で言及するのは完全に間違いということになる。そして、介入をこころみる国家があれば、その国も同じ野生の世界に入り込むことになる。

 

ここで重要なのは、イスラエルは国家だがハマスを含めてパレスチナは国家ではないことである。ネタニヤフは7日のテロ行為後直ちに、戦争を宣言した。イスラエルを支持する米国も、イスラエルの自衛権を認めた。

 

しかし、これらの国々はパレスチナを或いはガザを国家として認めていない。ガザやヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地は自国の占領地であると言いながら、新たに防衛戦争を宣言したのである。国連は第一次中東戦争後から一貫して、その地域をパレスチナ人の土地としている。イスラエルの占領を認めていない。

 

つまり、イスラエルはガザのハマスだけと戦っているつもりはないのだろう。イランなどアラブの国々など全て、或いはイスラエルの味方になる英米などの国々以外の全世界と戦わなければ、独立維持が出来ないと考えているのだろうか? つまり、ハルマゲドンを想定しているのかもしれない。

 

普通の感覚に戻す。パレスチナに対して防衛戦争を宣言するのなら、その前に先ず国連の決定通りに国境を守り、パレスチナを隣国として承認することが必要だと思う。(補足3) 今回の防衛戦争の宣言とその支持は、イスラエルや米国の非常に身勝手な論理であると思う。

 

 

2)アイヒマン事件:

 

上に用いた属性排除という考え方は、国際法や近代の法理論に反するものである。この極端な考え方は、アイヒマンの裁判を通して、イスラエルの一部政権に定着したと、上記動画(40分以降)で佐藤優氏が解説しているのだが、その通りだと思う。

 

モサドによりアルゼンチンで逮捕されイスラエルに移送されたナチ親衛隊のアイヒマン(補足4)は、「自分は列車運行の専門家としてユダヤ人を収容所に送る列車のダイヤグラムを組んでいただけで、ユダヤ人虐殺には直接関与していないし、それを命令する立場にもなかった。」と語り、その裁判で無罪を主張した。

 

近代の法解釈では、アイヒマンはナチスの犯罪の共同正犯になるか、ほう助罪となるか微妙である。死刑にする論理はユダヤ人を“属性排除”したナチスの一員として、その一部を担当したからであると佐藤優氏は語る。(当然、イスラエルは否定する筈)

 

アイヒマン裁判から60年と少し経過したある日、一地方紙である静岡新聞(2023.3.18)にその論説が掲載された。アイヒマン裁判のイスラエルにとっての意味が詳細に解説されている。https://www.at-s.com/news/article/national/1210162.html

 

アイヒマンを裁くだけなら、証拠書類だけで十分だが、主任検察官ギデオン・ハウスナーは生存者に裁判でナチ収容所での体験を証言させた。大惨事を生々しく再現させることで、ホロコーストを知らない若い世代への教育的な意味合いもあった。

 

建国間もないイスラエルでは、第1次中東戦争が休戦に至ったばかりで治安も安定せず、社会は「力強さ」を求めていた。「なぜ抵抗しなかったのか」「なぜ羊のように従順に殺されたのか」―。ホロコーストはユダヤ人の「弱さの象徴」とされ、さげすまれた。

 

また、アラブ諸国出身のユダヤ人は欧州出身者中心の社会へうまくなじめない様だった。しかし、裁判を通じホロコーストはユダヤ民族の記憶として共有され、ナショナルアイデンティティーになった

 

アイヒマン裁判の効果は、ベングリオン首相(当時)の狙い通りだったのである。そして「国家がなかったから虐殺された」「ユダヤ人の避難場所としてイスラエルを守る必要がある」という考えが全ての国民に刷り込まれ。

 

また、「ホロコーストの記憶から生まれる無意識の恐怖心や不安感、そしてその裏返しの強さへの憧憬」は、ユダヤ人団体やイスラエル国が、他国におけるナチスやパレスチナ問題に関する議論等を、米国などの力を背後にして神経質に抑える理由だろう。

 

ホロコーストをイスラエルの考えた通りに解釈しない者には、言論の自由など存在しないというのである。最近、イスラエル大使はパレスチナ支援のテロを母親が行なったので、その娘はパレスチナ支援の発言をする自由は無いとして、テレビ出演させたTBSを強く批判した。(補足5)

 

それは将に、「属性排除」という論理である。佐藤氏は、日本赤軍がハマスと同じように、反ユダヤ人のテロを行なったからだと言う。動画46分50秒で佐藤氏が解説するイスラエルの感覚を理解しなければならないだろう。
 

また佐藤氏は、イスラエル建国当時のユダヤの人たちが持っていた考え方は、「全世界に同情されながら死に絶えるよりも、全世界を敵にまわしてでも生き残る」という覚悟であると語る。(47:20)何かの機会に無意識に行なったことで“属性排除”されない様に日本人も気をつけるべきである。
 

彼らが原爆投下を表から正当化する論理も、この論理である。(補足6)ハイドパークの覚書などから見ると、日本人は既に属性排除されるべきリストに入っている可能性があると思ってしまう。原爆を日本人に用いる(日本ではなく)とその覚書には書かれている。

 

何時もユダヤ金融資本の「金の力」が支配した英米と言う国家の力を借りて行うので、過去の歴史においても反感を持つ人も多かっただろう。国家を持たなかったユダヤ人は、他国(英米)の政治に深く介入し、御簾の陰に隠れて野望を達成した。イスラエル建国もその一つだろう。

 

ネタニヤフ首相は、ヒトラーのホロコーストという人類史的犯罪以降初めての、ユダヤ人の危機と考えているのかもしれない。

 

西欧の「戦争は外交の一手段であり、戦争に関する国際法に従って行われる」という近代西欧の外交文化は、21世紀になって完全に捨て去られ、世界は弱肉強食の中世的になったと言える。


 

補足:

1)ハマスを政権に選んだのはガザ地区住民なのだろう。しかし、ハマスを育て維持したのはパレスチナの分裂を狙ったネタニヤフだった。従って、集団的懲罰の論理は最初から破綻している。https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2023/10/24/35315.html

2)最初に明確に国境を決定し、それを数十年維持する英国政府の努力があれば、自然に落ち着いたと思う。勿論相当の出費はあっただろうが、アラブ人の不満を時には懐柔し、国境を守るという強い意志を示せば出来たと思う。ただ、その英国の背後のロスチャイルドが最大版図のイスラエルを考えていたとしたら、どうしようも無かっただろう。
(23日の記事参照)

3)1948年にイスラエルは独立した。それに反対するパレスチナとアラブ諸国はイスラエルを攻撃して第一次中東戦争になった。その後の調停で出た新しい国境を、イスラエルは遵守すべきだったと思う。現在のパレスチナの範囲は、そこから著しく縮小されている。

4)モサドはイスラエルの対外諜報機関であり、他国で他国民を逮捕する権限などない。このような行為は米国民主党政権が頻繁に行なっている。米国のオバマ大統領は“世界の邪魔者3000人”をドローン攻撃で暗殺した。https://wedge.ismedia.jp/articles/-/7166 

5)最近、重信房子の娘のパレスチナ擁護発言を放送したTBSに対し、駐日イスラエル大使の強い批判があった。(動画の46:40秒)また以前、月刊誌「マルコポーロ」を廃刊に追い込んだ事件があった。廃刊後には出版社の負担で、編集者らに教育的講座の受講を義務づけるという傲慢さである。かれらには、言論の自由、報道の自由、法の論理などもナチス問題を前にしては無視して良いと考えている。

 

6)米国にあるユダヤ人による圧力団体のサイモン・ヴィーゼンタール・センター(SWC)は、米国政治について隠然たる力を持っていると言われる。そこの副館長のアブラハム・クーパーは、「原爆投下を人道に反する罪だとは思わない」と明言したことは、ユダヤ人たちの思考が世界のその他の人たちの標準的思考とことなることを示している。

 

彼らは、主権国家体制だけでなく、ハーグ陸戦協定などの西欧の政治外交文化を全て無視しても良いという独裁者的思想を持っている。そして、それを米国を利用して世界に押し付ける力も持っている。この考え方の背後に、ユダヤ人の強烈な被害者意識と属性排除の考え方があると思われる。
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12762996977.html
 

 

2023年10月26日木曜日

移民問題の現状と本質:グローバリストの大戦略を理解すべき

岸田政権は、米国民主党の下請けのように、グローバリストたちが進めている政策を日本でおこない、知識層の批判の的となっている。その中で移民問題に危機感を抱く作家の宇山卓栄氏が松田学氏のyoutube サイトで松田氏と対談している。

 

「移民、民族、格差:暴動と社会分断の必然」と題する以下の動画で、その解決には優生学として議論された中の科学的な部分が利用できる可能性があると語る。

 

 

1)移民で溢れるヨーロッパの現状

 

9ヶ月間かけて世界18ヶ国を巡ってきた宇山氏は、ヨーロッパの移民増加とその社会への影響をリポートしている。西欧が近年の移民増加により、市街部での治安と衛生状態の悪化を引き起こし、街の景観の激変となっている。

 

イタリアでは、ミラノやローマといった街が、移民増により治安が悪化し非常に汚くなり(ミラノ)、街全体が外国人にハイジャックされたようになっている(ローマ)という。5世紀にゲルマン人の流入によって滅びたローマ帝国を思い出すという話であった。

 

フランスでは移民増加が大規模な暴動に発展したが、イタリアでは元々人がおおらかなのか、その情況でも暴動は見られていないようだ。そのイタリアでは、今年移民難民の数が激増しており、411日に非常事態宣言を行なって、不法移民を送還する手続きを強化すると発表している。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230413/k10014036891000.html

 

3日間滞在したドイツのニュールンベルクでも、移民の暴動があった。その混乱を隠そうと婦人警官が宇山氏のカメラを取り上げようとしたと言う。表現の自由も言論の自由もその婦人警官の頭には無くなっているのだろう。つまり、それはドイツのこの歴史ある街の常態だということである。

 

次に紹介されたのが、フランクフルト中央駅前の移民と薬物中毒者たちが屯する様子であった。戦後ドイツはトルコ人移民を受け入れてきたのだが、ここ数年の移民増でトルコ人街もゴミだらけになっていると話す。

 

面白いのは、元々のドイツ人たち7組ほどにインタビューしたが、このようなドイツの様子を問題視するような発言は聞かれなかったということである。ただ、それは都市部のインテリ左翼層の反応(補足1)のようで田園部を中心にそれを問題視する政党が力を増している。

 

右翼政党AfDAlternativen für Deutschland、ドイツの選択肢)が第二政党になり、田舎の街では市長を輩出している。https://www.dlri.co.jp/report/macro/258738.html

 

移民の人口比だが、欧州では人口の2割から3割である。不法移民なども含めると、ドイツでは3割程度(東欧系も含める)だが、その3050%が中東やアフリカ系が占める。フランスやイギリスで1000万人強、イタリアやスペインで、1000万人弱が移民だと話す。

 

ヨーロッパは、協力して移民難民を制限する動きが出ている。今年7月にはローマで会議が開催され、本音と建前を織り交ぜた合意事項が公表されているが、その本音部分として移民難民の密航ネットワーク(補足2)の活動を阻止するという目標が確認合意された。

 

つまり、左翼グローバリスト勢力の資金提供により組織的に移民がヨーロッパに送られているのである。その世界のグローバル化活動の一側面がこの移民の増加のようだ。(補足3)米国でも、民主党バイデン政権がメキシコ国境を故意に緩くして不法移民を迎え入れている。

 

宇山氏は、移民として流入した異民族の増加により、混血が進むなどして数世代で民族(或いは国家)の崩壊が起るだろうと話す。アグレッシブな移民は多産系である場合が多く、混血が進み子孫が増えるからである。この現実にどう取り組むかというのは、日本でも大きな問題である。

 

 

2)移民による人口動態変化の社会影響

 

宇山氏は、優生学の解説において、米国のチャールズ・ダベンポートの紹介とその考え方の解説から始めた。動物学者であったダベンポートは、白人の優位性を守るために、多人種と混血すべきではないと優生学的主張を行なった。(補足3)

 

優生学がドイツで大きな問題を起こしたことへの反省(補足4)が、政治家に対して、優生学を避け、自分の発言が優生学的に思われることを忌避する習性を与えている。しかし、その科学的な側面を移民問題の考察に取り入れることは悪いことではないと話す。

 

「これらのとんでもない説は、今日では科学的論拠に乏しいものと当然否定されているのだが、ただ一方で、嘘だと言って根拠が無いと言って切り捨てる訳にもいかない」といささか矛盾を含む解説を行なっている。

 

宇山氏が観察した限り、移民は一般に何かとアグレッシブであり、現地白人たちの女性をひきつける面がある。そして、多産系の彼らは子孫を増やし、短期間に政治的マイノリティの地位から脱却するというのである。それが文化の崩壊から民族や国家の崩壊に繋がる可能性がある。

 

その状態をヨーロッパよりも一足早く実現したのが、米国であるのは言を俟たないだろう。宇山氏が指摘するのは、優生学が議論した情緒的な部分を理由にして、科学的な部分まで捨て去る様では、民族のアイデンティティを無くす危険を招くだろうと言うことである。

 

人種や民族に優劣などないが、その民族が現状持つ文化の優劣を客観的に評価することは可能である。先進国が移民を急激に入れることによって、その国の文化の劣化度合を予測するのに、優生学の人口動態部分など科学的に示された警告的部分には配慮する必要があると言うのだろう。

 

 

3)私のコメント

 

これらの宇山氏の意見は、私にはグローバリストの企みである最終戦争という大きな風景の一角に焦点を合わせているような感じに見える。悪く言えば木を見て森をみていないということになる。ジョージソロスは何故、南米から私財を費やして移民を誘導しているのか?

 

何故、グローバリストたちは、反ロシアのウクライナを作り上げ、歴史的に関係の深いロシアと戦わせているのか? それは本当にロシアの資源を取り上げて利益を上げるためなのか? この世界が混乱している時期に、何故、ハマスを嗾けてイスラエルに一矢を報いる攻撃をさせたのか? 

 

失礼ながら以上の隔靴掻痒の感がある移民問題限定の解説に対し、以下のようなコメントをアップした。

 

要するに人類全てが同じ価値観ベクトルを持たなければならないとする思想が、生物としての人類の大きなダイバーシティと相克的であるという事だと思います。歴史的には、一つの民族が一つの国家をつくり、国境がそれらの衝突を妨げてきた。

 

国境を破壊すると、再び民族の違いが価値観の衝突となって混乱が始まる。つまり、その真実を知っている真のグローバリストたちは、実は一つの民族が最後には残ることを期待して、或いは知って、世界を一つにまとめようとしているのだと思います。

 

ハルマゲドンとは統一の前の混乱であり、真のグローバリストたちはその作業に取り掛かっている。クラウス・シュワブさんに聞いてみれば分るかも。

 

 

補足

 

1)インテリ層に勉強してグローバリストに洗脳されるタイプが多いのは、日本の左翼政党にも広く観られる。

 

2)米国では具体例として、ジョージソロスが主導した中米諸国からの移民送致が明らかになっている。同じ勢力によるアフリカ諸国などからの移民送致が明確になっている。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12810471872.html

 

3)その他、イギリスの人類学者・優生学者のフランシス・ゴルドン(Sir Francis Galton)の言葉として、「文明の衰退と凋落は上流階級の生殖力の低下に帰せられる」が紹介されている。また、優生学者のカール・ピアソンは、白人の遺伝子を保持することは、劣等人種との戦いであると主張した。

 

4)米国において19世紀後半から20世紀初頭に懸けて興隆した優生学が、ドイツのナチスが取り入れられユダヤ人ホロコーストとして応用されたことが、ニュールンベルク裁判でナチスの将校によって証言されていると、宇山氏は話す。

 

13:30 編集、セクション2の最後に3行を補足的に追加; 14:40 表現における倫理面も考えて考察し、18時再度編集し、最終稿とする。

ーーーー おわり ーーー

2023年10月23日月曜日

イスラエルのネタニヤフ政権は聖書にあるエレツ・イスラエル(大イスラエル)を目指すのか?

イスラエル・パレスチナ紛争の歴史について、及川幸久さんが動画を配信している。詳細かつ分かりやすく、さすがに及川チームの調査能力は高いと思った。

https://www.youtube.com/watch?v=b38Qy6AHQxg

 

 

 

その中で今後重要になるのは、ネタニヤフ極右政権の閣僚たちが、予定する将来のイスラエルをどう考えているかである。彼らは将来のイスラエルが達成すべき3つの要件を考えているようだ。それらは:

 

①アル・アクサ・モスク(イスラムの最重要な寺院)を破壊し第三の神殿を建設する。

② 聖書にあるイスラエルの地に、イスラエルを建設する。

③ 世俗法(現在の法)の代わりに、ユダヤ法ハラカを制定する。

 

である。それが動画後半で語られている。つまり、彼らはパレスチナ人を全て追い出し、イスラム寺院を破壊し尽くし、完全にユダヤの国を建設する予定のようである。

 

ただ、及川氏は②の領地について、現在のパレスチナ人が住むヨルダン河西岸をふくめてイスラエルの領地とするという解説をしている。しかしイスラエルは既に、ヨルダン河西岸を占領しパレスチナ先住民の存在を無視し、好きなように入植活動を行っている。

 

従って②の意味は、現在の占領地域よりも大きな領地、聖書に書かれているエレツ・イスラエル(イスラエルの土地という意味;大イスラエル)を領地とすることを考えていると思われる。そこで、以下のコメントを書いた。

 

聖書にあるイスラエルの土地とは、旧約聖書に登場する古代ユダヤ=イスラエル王国の最大版図を意味する「エレツ・イスラエル」(大イスラエル)ではないでしょうか? どうもシリアの方の土地も含まれるようです。(現状でも、国連はみとめていませんが、ヨルダン川西岸は既に全てイスラエルが占領しています。)

 

イスラエルの土地を意味するエレツ・イスラエルの範囲だが、明確ではないのでチャットGPTに聞いてみた。答えは二つあったのだが、一つは何かに遠慮した答えのようで面白くない。もう一つの答えを下にコピーする。

 

旧約聖書において、エレツ・イスラエルの範囲についての記述は、さまざまな文脈で異なる解釈がされてきました。エレツ・イスラエルの範囲がどのように記述されているかは、特定の聖書の書物や時代によって異なるため、解釈は多様です。

一般的に、エレツ・イスラエルはユダヤ人の歴史的な祖国とされ、古代のイスラエル王国の領土を含むと考えられています。この領土には現代のイスラエル、パレスチナ、レバノン、シリア、ヨルダンの一部が含まれているという解釈もあります。ただし、これらの国々の境界線や領土の拡張に関する詳細な記述は古代の文献には限られており、異なる見解が存在します。

エレツ・イスラエルの範囲に関する議論は歴史的にも政治的にも繰り広げられており、現代の中東地域の紛争の要因の一つとなっています。異なる宗教や政治的視点から見ると、エレツ・イスラエルの境界についての意見が異なるため、その範囲について一つの確たる見解があるわけではありません。

 

実際、英国が第一次大戦後に確保したパレスチナの土地は、現在よりずっと広かったが、フサイン・マクマホン協定に配慮して分割して、西をパレスチナとし東をトランスヨルダンとした。彼らは分割前の土地全部が欲しいのだろう。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12824321090.html

 

(19:30、タイトルの変更)

 

以下は、10月24日早朝追加:

 

元マレーシア首相のマハティールさんの主張:

https://www.youtube.com/watch?v=blA5Gjsldmk

 

 

今回、パレスチナ問題について勉強して、始めてこのマハティール元首相の言葉がわかるようになりました。

 

ーーーーおわりーーーー

 

 

2023年10月22日日曜日

靖国神社例大祭への閣僚と国会議員団の参拝に反対する

靖国参拝の秋の例大祭が1017日から19日まで行なわれた。そこに18日、新藤経産大臣、高市安保担当大臣が参拝した。高市氏は記者に「国策に殉じられた方々の御霊に尊崇の念をもって感謝の誠を捧げてまいりました」と語った。

 

翌日には、超党派の国会議員96人が集団で参拝をした。その中の逢沢一郎氏は、「悲惨な戦争の記録や記憶を決して風化をさせてしまうようなことがあってはならない」と発言している。岸田総理は、真榊を私費で奉納したが参拝しなかった。


これをニュース討論番組としてアベマTVが報じ、それが動画として配信されている。https://www.youtube.com/watch?v=RT-qmWbs_hk

 

 

その動画には、中国報道官が「(閣僚の靖国参拝は)軍国主義の象徴である」と非難している様子や、「靖国神社にA級戦犯が合祀されているという中で行くことは適切なことではない」と語る野党立憲民主党の岡田幹事長の姿もあった。


この政府閣僚による靖国参拝の是非については、国政を担う政治家は中国等の連合国側の反対をおしきって靖国に参拝すべきではないと、その根拠とともに以前のブログ記事に書いた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12704328039.html

 

また、高市早苗議員の靖国参拝の姿勢を批判した記事も今年8月に書いている。

 

 

再びこの問題をしつこく取り上げるのは、日本の政治家が何も学ばないで、愚行を繰り返すからである。今回は、出来るだけ異なる側面から与党政治家の靖国参拝を考えてみる。


現職閣僚の靖国参拝に反対する理由は、簡単である。

 

日本は、第二次大戦後サンフランシスコ平和条約(講和条約)を締結することで、国際社会に復帰できた。その平和条約の第11条に、東京裁判の判決を受け入れることと書かれている。政府要人の靖国参拝は、それを無視した行為になり得るからである。(補足1)

 

つまり、東京裁判で「平和に対する罪」を犯し死刑となった元軍人を神として祀っている靖国神社に、しかも例大祭の日を選んで参拝することは、講和条約を無視する行為として批判されても仕方がない。日本はその批判を避けるために、現職国会議員等は靖国参拝を控えるべきである

 

 

1)東京裁判について

 

国際関係は本質としてアナーキー(無政府状態)である。従って、戦争時の日本の首相や閣僚たちを裁判の形で罰するというのは、西欧の政治文化の都合で行われた茶番劇と考えるべきであり、東京裁判の判決を通常の法解釈で論じることは無意味である。

(伊藤貫さんの国際関係はアナーキーである:https://www.youtube.com/watch?v=AT3H75BaqOU

 

上記アベマTV動画8分頃から始まる稲田元防衛大臣の「東京裁判の日本帝国指導者に対する死刑判決は、事後法で裁いた結果であり、法適用の原則に反している」との主張は、国内法に関する考え方では正しくとも、元々茶番の東京裁判の批判には無力である。

 

また、この場でこの様に発言することは、稲田氏はサンフランシスコ平和条約の11条を受け入れていないことを自ら証明している。戦勝国の歴史の真実や法的正義を否定するのは、講和条約で達成した国際的秩序の“ぶち壊し”になる。

 

つまり、現在の国際的枠組の下では東条英機以下の名誉回復は不可能だろう。それでも尚、我慢ならないというのなら、日本国が主導して新しい国際的枠組みを作り上げなければならない。その道を進めば戦争になるだろう。ただ、戦争に勝てば、日本国の歴史認識が国際標準となる。(補足2)
 

また、上に引用したように、先日靖国神社に参拝した際に高市早苗氏は「国策に殉じられた方々の御霊に尊崇の念をもって。。。」と語った。

 

現在の日本国は大日本帝国の延長上にあり、ドイツのように新しい国家になった訳ではない。従って、上記高市氏の戦前の“国策肯定発言”は周辺諸国や現在の覇権国に軍国主義の復活だとして非難されても仕方がない。(補足3)

 

以上のことを与党自民党の議員たちは全くわかっていないのか、それを承知で靖国参拝しているのかわからない。多分、現職の政治家に向かって失礼だが、国際社会の枠組みなんて全くわかっていないのだろう。

 

 

2)政府の見解

 

今回の動画の10分ころで、“政府要人の靖国参拝に関する外務省の見解”を紹介している。それは、外務省のHPにある小泉首相が参拝した時の説明文、或いはその繰り返しである。(補足4)https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/yasukuni/tachiba.html

 

そこには、「日本の平和と繁栄を守ることの重要性を自覚し、不戦の誓いを込めて、総理の職務としてではなく、一人の国民としての立場で靖国神社に参拝している」とか「総理は(一部省略)A級戦犯のために参拝しているのではなく、また、日本が極東国際軍事裁判の結果を受け入れていることを明言している」とかの言い訳がなされている。
 

不戦の誓いは目には見えないし、一人の国民としてなのか日本国総理大臣としてなのかも、口では何とでも言える。「私人としての参拝だ」とか「A級戦犯の霊に参拝したのではない」などというのも、言い訳としか聞こえないだろう。

 

現職閣僚や首相の靖国参拝を批判する権利は戦勝国側にある。この件については、日本政府が何を言っても無駄である。この大日本帝国の名誉回復に拘る頑迷固陋な日本に対して、連合国側つまり国連は日本に敵国条項を残しているのである。

 

この敵国(Enemy states)条項に勝手に「旧」の字をつけて「旧敵国条項」と呼び、United Nations (連合国)を勝手に国際連合と訳す日本政府である。日本国民を騙すためには、この種の言葉使いは必要なのだろう。上記の言い訳は同じレベルである。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/un_kaikaku/j_yusen.html

 


 

補足:


1)サンフランシスコ平和条約(Treaty of Peace with Japan)の原文と翻訳は以下のサイトで見ることが出来る。

https://www.documentcloud.org/documents/1338718-san-francisco-peace-treaty-1951 

http://www. chukai.ne.jp/~masago/sanfran.html


その11条には、以下のように書かれている:「日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。」

 

)この国際関係の理解は、領土問題の理解にも必要である。日本維新の会の丸山穂高議員が元島民に「(戦争をしないと)取り返せない」などと発言して、除名処分された。 https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/17546.html 

丸山議員の発言は、ロシアが返還に応じる様子が全くない現状では、正しい。他の国会議員の頓珍漢な意見は本当に情けない。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516860.html

 

3)日本国憲法は明治憲法に則って行われたので、現在の日本は大日本帝国の延長上にある。その国策に殉じた方に尊崇の念を表明し感謝することは、近衛内閣や東条内閣の閣僚たちの進めた国策の肯定にあたる。もし近衛内閣や東条内閣の戦争遂行が日本国民にとって間違った国策だったなら、失われた多くの国民の命を考えても、評価したり感謝してもらっては困る。

一般の兵の命がもし無駄に失われたのなら、その失敗を戦後の政治に反映すべきだった。つまり、戦前の指導者は全て引責引退すべきだった。しかし、そうはしなかった。全く理解できない、高市は。

 

4)靖国参拝に対する国際的な批判は、中曽根首相が首相として靖国参拝したときが初めてであり、それまでは何も言わなかったではないかと稲田氏は語っている。これも良く聞く話だが、首相参拝で初めて諸外国は日本国政府首脳は本心から東京裁判を受け入れてはいないことを知ったのだろう。それ故、首相参拝は米国からも非難されるのである。


13時30、編集あり

2023年10月18日水曜日

悪巧みの為の嘘を信じ込ませるコツについて:グローバリストたちの誠意で包んだ嘘

 

ある目的のために嘘をつく場合、その嘘を信じ込ませるコツは、嘘と一緒に本当のことを嘘の誠意とともにプレゼントすること、そして、その嘘と目的の為の行為実行との間に一定以上の遅延時間を置くことである。

 

ここでは二つの話を書く。一つは、「誠意で包んだ嘘」としてミンスク合意とオスロ合意を取り上げる。そしてもう一つの「誠意で包んだ嘘」は、「RNAワクチンで新型コロナから人々を救うこと」である。前者の目的は現在進行しているが、後者の大きな目的は来年5月の国際保健規則の改訂からスタートすると思われる。https://www.youtube.com/watch?v=LA215VionD4

 

 

 

 

1)「誠意ある嘘」その1:ミンスク合意(オスロ合意も?)

 

この誠意で包んだ嘘の具体的事例として明確になっているのは、ミンスク合意である。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12782576778.html

 

ウクライナというロシアの分身的な国をロシアの敵に育ててロシアを攻撃させたのが、ウクライナ戦争の本質である。その計画はロシア崩壊の後、21世紀直ぐに始まったと考えるべきである。

 

オレンジ革命やマイダン革命を裏から操った勢力として、米国の国務省&CIA やジョージソロスなどのグローバリストたちが存在するだろう。そこから最終目標であるロシア潰しに向かう間に時間を置いたのが、ミンスク合意だった。

 

ロシア人が多く居住するウクライナ東部に自治権を与えるとするミンスク合意は、最初から実行する予定など無かったのである。それを暴露したのは、当時の調停役の一員だったドイツの元首相メルケルだった。 https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12782576778.html

 

この様に、大きな企みは階段の様にプロセスを置く必要がある。そして、それらの間に踊り場のような時間を置く。このように考えると、オスロ合意も同じタイプものであると気付く。それは、パレスチナを潰すための戦略の一プロセス(束の間の平和;踊り場)と考えられる。

 

オスロ合意とは、イスラエル労働党ラビンが、ノルウェーのホルスト外相の仲介と米国クリントン大統領の立ち合いを得て、19939月、PLOをパレスチナの唯一の合法的代表と認め、アラファト議長との間で“パレスチナ暫定自治に関する原則宣言”に調印したことである。

 

しかし、旧約聖書に登場する古代ユダヤ=イスラエル王国の最大版図を意味する「エレツ・イスラエル」(大イスラエル)の復活がシオニズムの中心にあるだろう。シリアまでもが含まれるこの大イスラエル構想を理想とするユダヤ人たちが、ヨルダン川西岸をアラブ人に譲ると考えるのは非常に甘い。

 

目標達成の踊り場的なオスロ合意は、単に有能なPLO議長アラファトを戦いの相手にしたくなかっただけなのかもしれない。ノルウェーという国の名は、ノルドストリームの爆破の件でも聞いた。米国ネオコン・グローバリストと深い関係にある国なのだろう。

https://gendai.media/articles/-/106143?page=1&imp=0

 

 

2)「誠意ある嘘」その2:新型コロナワクチンとWHOを世界政府の一機関とする企み

 

WHOによる世界支配の企みの方が、我々にとってはより深刻である。新型コロナのパンデミックが人工的に引き起こされ、そこで人々を助ける役割を担ってRNAワクチンを颯爽と登場させた。この脂質二重膜のナノ粒子の中に、機能分子として核酸を挿入したタイプのワクチンは画期的である。

 

しかし、この脂質二重膜に遺伝子を組み込むタイプのワクチンには、本質的に非常に恐ろしい機能を持たせることが可能である。我々素人には想像もできない機能があるだろう。勿論、細胞内に致命的なたんぱくを発生させることも可能である。

 

この「新型コロナパンデミックとその克服」劇を”誠意で包んだ嘘”と考えてみる。つまり、この新型コロナから人類を救うプロセスが、ウクライナ戦争ではドネツク地方の自治の約束に、パレスチナ・イスラエル戦争(一般的な名称)では、パレスチナの自治の約束に夫々相当すると考える。

 

つまり、新型コロナをRNAワクチンを用いて抑え込むことにWHOが中心的役割を果たしたという実績を足場に、WHOを独占的な国際的パンデミック対策機関に変身させるのである。これが新型コロナパンデミック劇の元々の目標だったと考えられる。

 

その後、大きなパンデミックを引き起こし、国ごとに異なった機能を持つワクチンを配布し投与させる。企みの主人公たちのため、過剰な世界人口の調整、異常なCO2による温室効果の解消、公害も原子炉由来の放射線の恐怖も無くし、美しい地球の回復、等々が可能となる。

 

ただ、RNAワクチンが今一つ成功しなかったのが、その計画に疑いを持つ人が大勢現れる原因となった。最初に引用した動画を配信した及川氏もその一人である。

 

それでも強引に来年5月、国際保健規則(IHR: International Health Regulations)を改訂し、WHOを保健の分野だけだが世界政府の一部分として働かせ、予定の路線:新世界秩序の完成を目指して走るつもりだろう。

 

この路線を警戒する人たちは、WCHWorld Council for Health; 世界保健評議会)が設立されているので、そこに集合しようと考えている人が多い。しかし、それはWHOを潰しに来る人達の目くらましだろうと想像する。WCHを発案したのが、英国在住の元WHO職員であることも、私のこの直観が働く理由だろう。https://www.youtube.com/watch?v=LA215VionD4

 

 

終わりに:

 

想像を膨らませて本記事を書いた。自然科学研究でも何でも、想像力を発揮して計画を立てる事が成功する為には大事である。実験をして、やっぱり駄目だったかと思うことが多くても、時には当たることもある。想像力と問題意識(自然科学では自然への興味)のないヒトには創造的な仕事は無理だろう。そのような本記事の性格を考慮して受け取ってください。責任はとりません。

 

最後に一つ、あるウイルス学者の嘆き節を引用しておきます。

 

 

(12:15、編集と最後の動画サイト引用;翌日午前、全面的に編集して最終稿とする)

 

2023年10月16日月曜日

パレスチナ紛争の全責任がユダヤ側ではなくアラブ側にあると主張するキリスト教牧師:

キリスト教牧師の高原剛一郎氏が彼のyoutubeサイトにおいて、今回のハマスによるイスラエルのテロ攻撃を含め、これまでのパレスチナ紛争の責任を一方的にアラブ側に帰し、そしてその根拠を歪めた歴史と不十分な論理に基づいて語っている。

 

 

勿論、視聴者がその誤りに気づいているのなら問題は無いのだが、その誤りの一部を指摘しても、視聴者の高原氏の説明を褒め称える者(コメント)が殆どであった。

 

高原氏のパレスチナ紛争についての考え方は:元々パレスチナ人とユダヤ人がパレスチナの地に住んでいたのだが、争いが絶えなかったので、歴史上何度も二つの地域に分けて棲むというパレスチナ分割案が示された。しかし、それをパレスチナ側が受け入れなかった。それがパレスチナ紛争の原因であり、その責任はパレスチナ側にあるというもの。

 

そこで私は、それまで誰もコメントしていなかったコメント欄(公開後25分ほど)に、以下の様に書き込んだ。

 

貴方の説明には決定的な欠落があります。それは1917年のバルフォア宣言で、イギリスはロスチャイルドに第一次大戦後にパレスチナをユダヤのホームにするという約束をした。1922年英国の委任統治が始まった時、パレスチナの土地にはアラブ人の人口が約61万人、ユダヤ人が6万人足らずだった。そこにライフルでアラブ人を追い払う形で大量にユダヤ人の入植を始めた。父祖の地を負われたのはアラブ人です。勝手にユダヤ人に肥沃な土地を分配する分割案が飲めるわけがない。国連が分割案が出した1947年までの25年間に、アラブ人の人口は倍にもなっていないが、ユダヤ人の人口は10倍以上になっている。つまり、大量のユダヤ人がアラブ人の土地を奪う形で入植したのです。あなたは、一方的にユダヤ人の味方をしています。

 

ショックなのは、このコメントがそれ以降の視聴者によるコメントに殆ど反映していないこと。更に、ある人のコメントに、オスマントルコ支配下の時代、ユダヤ人がパレスチナ人から土地を買い取って住んだというものがあったので、以下のコメントを追加した。

イスラエル建国以来、イスラエルに入植した人にはアラブに分布したユダヤ人もかなりいたでしょうが、ほとんどはヨーロッパのナチなどから迫害されて逃げてきた人たちだといわれています。 入植地は、イギリスがユダヤ人入植者に引き渡すためにパレスチナ人から(土地を)没収した。詳しくは:小池とみ子、お茶の水地理、第43巻、pp47-60(2002)を見てください。

 

youtubeは公開の場であり、キリスト教の人たちだけが仲良くやり取りする場ではないので、敢えてコメントした。ただ、日本人には、このようなコメント投稿は大人げないと言う人も多いだろう。私は、その議論を嫌う日本文化が日本を悪くしていると思っている。


2023年10月15日日曜日

日本の将来は今日のパレスチナかもしれない

1)絶え間なく縮小しゼロに向かうパレスチナ人の領地:

 

第一次世界大戦が終わり、パレスチナ地域(現在のヨルダンとヨルダン川西岸地域)は英国の委任統治領となった。その後、英国はユダヤ人入植を進めるのだが、アラブ人へ配慮してヨルダン川東岸を入植地から外すべく、片方をトランスヨルダン、他方のヨルダン川西岸をパレスチナと呼び、後者をユダヤ人のホームランドと勝手に決めた。

 

ユダヤ人の入植は、人口の90%以上を占めるアラブ人を父祖の地から排除する暴力的な形で行なわれた。その結果、抵抗運動の連続となり多数の犠牲者を出した。第二次世界大戦後、国連は“紛争”を少なくする為、パレスチナの地をアラブ人側とユダヤ人側で二分した。

    

 

 左上図の濃い色の部分がアラブ人(以下パレスチナ人)に残された土地で、薄い色の土地がユダヤ人入植地に其々割り当てられた。(図はDiamond Onlineの記事からの借用)

 

 

 

同時に、ユダヤ人たちはイスラエル国の建国宣言を行なったが、不満のアラブ側(エジプト、ヨルダン、シリア、レバノン、イラク)はイスラエルに戦争(第一次中東戦争)を仕掛けた。結果は、近代的なイスラエル軍の勝利となる。そして、パレスチナ人の土地が更に小さくなった。

 

第 三次中東戦争(19676月;補足1)でも大敗したアラブ側は、国連から割り当てられた領地を含め全てのヨルダン川西岸を占領された。ただ、この占領は国連安保理決議(1967年と1980年)により無効とされている。

 

イスラエルの占領地は右上図の濃い色の部分であり、パレスチナ人の領域とされた東エルサレムを含むヨルダン川西岸はかなり縮小している。このうち、シナイ半島は第四次中東戦争を経て、1979年のエジプト・イスラエル平和条約の時にエジプトに返還された。

 

現在の、イスラエル支配域の地図が下図である。ガザ地区及び斑点のように存在する小さい地域がイスラエル及び欧米がパレスチナ自治区と呼ぶ地域で、自治の程度によってA地区(濃い茶色)とB地区(薄い茶色)にわかれる。下図の白色部分のC地区は、イスラエルの完全支配下にある地域である。尚、図は以下のサイトから借用した:https://seichi-no-kodomo.org/2017/02/21/blog-170221/

     

国連はA, B, C地区およびガザ地区のイスラエルによる占領は認めていない。国連はパレスチナを国家承認し、これら黄色に塗られた領地(イスラエル)以外のすべてがパレスチナ国の領地であると認めている。

 

パレスチナを国家として認めている国は138ヶ国であり、認めていない国は全世界のうちG7と英米の影響下にある国々を中心に55ヶ国である。(ウィキペディアのパレスチナ国の項)

 

 

2)パレスチナの情況は将来の日本の情況かも

 

この100年間のパレスチナ紛争とは、民族(国家)間の強者による弱者の“国際的虐め”である。強者とはイスラエルとそれを背後から応援する英米及びNATOとG7の主力であり、弱者とはパレスチナとそれを応援するアラブ諸国である。ただ、大国の中国やロシアは現在後者に入る。

 

国際的な闘争において、強者は法治の原則を守るか少なくとも法を守る振りをし、弱者はそれとつり合いをとる必要上狂暴になる。弱者の運命は、狂暴になるか消滅するかである。そして、多くの国は現実主義として、強い方の味方をして損をしないようにする。これが国際”社会”という冷酷な野生の世界の現実である。

 

その結果、パレスチナの地に住むアラブ人は、父祖の土地を追われて10分の1程度の狭い土地に押し込められることになった。(補足3)その上、現在でもイスラエルは国連がパレスチナ人に割り当てた土地に暴力的にユダヤ人の入植を続けている。

 

それに反対するアラブの国々は、広範囲に及ぶが統一のとれたものでは無いので、背後に世界の金融を支配するユダヤ資本の力と、それとともに成長した巨大コングロマリットの英米の“戦争屋”を持つイスラエルに勝つことは所詮不可能である。

 

このパレスチナへの入植には、2016年、国連は形だけの非難決議を出している。https://www.bbc.com/japanese/38425927 

 

今回のハマスの攻撃で、大量の死者がイスラエルに出ている。日本のマスコミには、ハマスをテロリストとして一方的に非難する報道や解説が多い。しかし、それは一方的すぎると作家として著名な宇山卓栄氏がyoutube動画で語っている。https://www.youtube.com/watch?v=-57SPkYIYq0

 

宇山氏は、今年7月にジェニン難民キャンプでのイスラエル治安部隊による軍事作戦では、パレスチナ人200人以上が虐殺されたと語っている。西側の記事では僅か死亡者12人と出ている。欧米の記事は都合の悪い場合はこのように過少化する。https://www.unrwa.org/japan70th/updateofjenin/

 

このパレスチナ人の悲しい現実は、今後の日本人の将来の姿ではないのかと想像する。本記事の主目的は、その考え方を一日本人として発信するためである。

 

現在、世界の覇権構造は大きく変化する時期となっている。米国一極支配の時代が終わり、世界は幾つかの大国の覇権域に分割される。紆余曲折があっても、結局日本は非常に大きな確率で中国の覇権領域に入ると考えられている。

 

中国の一部でその期待とともに話題になっている筈である。中国は、沖縄は元々中国の覇権域だと公報紙である人民日報に堂々と書くなど、日本の分断統治を目指す姿勢は明白だろう。http://www.iinan-net.jp/~karasuda117/000/191215.htm 

 

その日本列島の予想される姿が、既に中国側は持っているようである。それが下の地図である。この中の日本自治区という文字を味わってもらいたい。

 

      

 

尖閣諸島に対する中国の姿勢とそれに対する日本の情けない外交について、2020年の11月に記事として本ブログにアップしている。日本政府はパレスチナ解放戦線などと比較にならない程、軟弱で頼りない。それに取り替われる野党は、準備されていない。(補足4)

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12640754195.html

 

中国には一般人でも、日本を属国化することを待ち望んでいる人は多いだろう。厳しい大陸の生存競争を生き抜いた人たちが持つ冷酷さが、独裁国の中ではより研ぎ澄まされていると思う。その冷酷さは特殊ではなく、西欧人が既にパレスチナの現実として証明している様に標準である。中国人はもっと強烈な形で、ウイグルなどの自治州の統治で示している。

 

日本の将来が心配である。

 

追補:

以下の動画を見てもらいたい。このイスラエルのやり方は、米国の政治でも見られる。 https://www.youtube.com/watch?v=Sb-Bxh-AnIo

 

補足:

 

1)この戦力の圧倒的な差で、6日間でイスラエルの勝利に終わった戦争は、イスラエル側では6日戦争と呼ばれ、アラブ側では大敗北 an-Naksahと呼ばれる。この戦争では、イスラエル空軍の殆どが先ずエジプト、シリア、ヨルダン、イラクの領空を侵犯し、各国の空軍基地を爆撃し制空権を得たのち、地上軍を展開し、ヨルダン側西岸(トランスヨルダン)、ガザ地区、ゴラン高原、シナイ半島を占領した。このイスラエルの奇襲作戦は国際的に不評であり、これらの占領は国連安保理決議(1967, 1980)で無効とされている。(以上、ウイキペディアから抜粋)

 

2)国連は、パレスチナへのユダヤ人の入植は違法であるとして、非難決議を出している。ただ、米国はこの決議に棄権している。  https://www.bbc.com/japanese/38425927

 

3)パレスチナ紛争の議論で、イスラエルの立場に配慮して2000年の問題として時間軸を不自然に拡大する人がいる。たしかに2000年前にはセム族のユダヤ教を信じる人たちが住んでいたのだが、その後ユダヤ人にはアシュケナージ系と言われる白人系の人たちが加わり、世界の金融を支配した。従って、1948年のイスラエルの建国が2000前の父祖の地を奪還したとは言えるかどうかは疑問である。(ウィキペディアのアシュケナジムの項を参照)

 

4)現実的路線を模索する能力のある政党は、参政党のみだろう。今後の成長に期待するのだが、四方八方から参政党虐めが続くだろう。日本保守党は、参政党潰しのために新たに設立されたと私は考えている。

 

 

 

2023年10月13日金曜日

ハマスとイスラエルの戦争の理解のために:パレスチナ入植の歴史等

 

ガザ地区という面積が大阪府程度と狭く、イスラエルにより壁で封鎖された地域のハマスという過激派が、最新式に近い武器を大量にどこかから受け取り、1時間に数千発のミサイルを発射し世界一級のイスラエルの防空システム・アイアンドームを突破し攻撃した。

 

続いて直ぐに、地上、上空、そして海上から兵士(テロリスト)がイスラエル側に侵入し、民間人多数を虐殺するか人質とした。

 

その大量のミサイル等の武器がどのようにこの地域に持ち込まれたのか分らない上、この緻密に計画されたと思われる大規模攻撃に対し、世界でもトップクラスのイスラエル諜報機関モサドが何故気付かなかったのかも分からない。(追補1)

 

このハマスによる何かと分かりにくい上にこれまでにない大きな攻撃が、何か別のもっと大規模に計画された戦争、例えばイランとイスラエルの間の戦争、の発火点なのかもしれないと多くの専門家は考えている。この場合、第三次世界大戦に繋がる可能性もある。

 

最近、イスラエルを訪問した米国ブリンケン国務長官がタタニヤフと固く握手をしている様子を映し出したyoutube動画が配信されており、米国の本格的介入も予想させる。

 

この戦争に対する外国の反応だが、アメリカ、イギリス、フランスはイスラエル支持、トルコ、ロシア、エジプト、サウジアラビア、は双方に即時攻撃停止を呼びかけ、イランはハマスを支持している。日本はハマスのテロ攻撃は非難するが、双方に攻撃停止を呼びかけている。

 

日本国には、差し当たり(大規模戦争に拡大しなければ)外野にいるのだから、この中立姿勢を貫いてほしい。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA080OS0Y3A001C2000000/

 

現時点では、この戦争をローカルに把握するしかない。誰もが考える様に、この戦争の背景にはイスラエル建国の歴史とそれ以降のパレスチナ入植と言われる“侵略”がある。それについて調べてみたので、以下にまとめる。

 

先ず、ごく最近のパレスチナ紛争での死者数の統計を見てもらいたい。これは、国連のデータをアルジャジーラというイエメンの報道機関がまとめたものである。年間100人程度の死者が継続的に出ていることから、7日に始まった戦争は、延々と100年間以上続くパレスチナ紛争が、昨今の世界政治の乱れと関連して非常に激しくなったものとも考えられる。

 

なお、アルジャジーラはかなり中立的に報道する期間として、「越境3.0」などでは解説している。(補足1)

 

https://www.youtube.com/watch?v=JEjnjCwFfIM (カナダ人ニュース10月8日)

 

ネタニヤフ政権が強硬にパレスチナ入植を続けることが、イスラエルの平和に寄与するとは思えない。入植と言っても、要するに反対して抵抗する者を子供も含めてイスラエルの兵士が射殺するのだから、テロ行為に等しい。その残忍行為に対して、残忍行為で大規模報復したのが今回のハマスのイスラエル侵略である。

 

だからと言って、今回のハマスのテロを支持することも、イスラエルの残忍なハマス殲滅作戦も支持はできない。当事者でないなら、外国人にはどちらかを悪者にすることなど簡単には出来ない筈。確かなことは、この問題を議論するにはユダヤ人入植の歴史に関する知識が必須だということである。

 

 

2)ユダヤ人のパレスチナ入植の歴史

 

話は第一次世界大戦(1914-1918)から始まる。英国は敵国オスマントルコとの戦いを有利にするために、方々の国とその領地の分割についての約束をした。

 

勝利が濃厚となった191711月に 英国外務大臣バルフォアが英国ロスチャイルド男爵2代目のライオネル・ウォルター・ロスチャイルドにパレスチナにユダヤ民族の国を設立することを約束する手紙を送った。(補足2) この書簡の内容はバルフォア宣言として知られている。

 

第一次大戦後の1919年、英国が手に入れた委任統治領パレスチナは、現在のヨルダンとイスラエル及びパレスチナの範囲だった。1923年英国はその領域を、国際連盟の承認を得て、ヨルダン川西側のパレスチナと東側のトランスヨルダンに分割した。(補足3)

 

英国は現在のイスラエルと自治領パレスチナ(ヨルダン川西岸地域とガザ)を含めた委任統治領パレスチナの地にユダヤ人移民を促進した。(補足4)新居住者の多くはヨーロッパのナチズムから逃れてきた人たちであった。 パレスチナの人たちは、自国の人口動態の変化と、イギリスがユダヤ人入植者に引き渡すために土地を没収したことに警戒を強めた。

 

そこで1947年、国連はパレスチナの土地にアラブとユダヤの二つの国家を作るという「パレスチナ分割決議」を採択した。 その内容は、パレスチナに古くから住む多数のアラブ系住民に43%、 新しく移住してきた少数のユダヤ系住民に57%の土地を与えるというもので、アラブ系住民とアラブ諸国から猛反発が起こった。

 

このユダヤ人たちに極めて有利な分割案があってもなお、イスラエル政府は区域外のヨルダン川西岸地域に入植を繰り返した。つまり、完全なマイノリティ(10%以下)だったパレスチナの土地に入り込んだユダヤ人が、パレスチナ人から父祖の地を取り上げて彼らを追い出したのである。

 

その連続線上に現在のパレスチナへのユダヤ人たちの入植活動がある。つまり銃でもってパレスチナ人を追い払い、抵抗するものは射殺するという行為を繰り返してきたのである。

 

上の図に示したように、2008年からの15年間だけでも、その犠牲者数はパレスチナ人が6407人であり、イスラエルの死者308人に比べて圧倒的に大きい。同じ出来事に関して、この死者数における大きな差は、その出来事で何方が残忍だったかを明確に表現している。

 

 

パレスチナの人口比:

 

1922年イギリスの委任統治が始まった当時、パレスチナ地域の人口は約67万人、内アラブ人が61万、ユダヤ人は6万であった。その後ユダヤ人の入植が進み、1947年の国際連合による分割案が出された時点で、パレスチナの人口は193.5万、内ユダヤ人60.8万、アラブ人132.7万であった。

 

ここまでのパレスチナ人口とは、現在のイスラエル部分の人口とパレスチナ自治区(ヨルダン川西岸とガザ地区)の人口を含む。

 

イスラエル建国以降のイスラエル(パレスチナ自治区の人口を含まない)の人口は、(年、人口)の表示で(1948年、87.3万)(1955年、178.9万)(1968年、284.1万)(1990年、482.2万)(1998年、598.7万)となり、増加分の大部分はユダヤ人の入植である。

 

1997年の人口590万の内、ユダヤ教徒470万人、イスラム教徒87万人、キリスト教徒12.6万人、その他20.5万人となり、民族という視点では、ユダヤ人470万人、パレスチナ人が約110万人となる。

以上は、小池とみ子、お茶の水地理、第43巻、pp47602002)からの抜粋である。

この文献はネットから取得可能。

 

 

終わりに

 

歴史において頻繁に出てくる光景: 強い国は国際法に従って戦争することで領土を拡大する一方、領土を失う弱い方の国は蓄積した悔しさを闇の中での過激な行為で晴らすしかない。この時、日本人は弱い者の味方に立って損害を受け、外国人は強い方の味方について実利を得る傾向にあると思う。

 

その“判官贔屓”の姿勢は、リアリズム外交の姿勢とは反対である場合が多いので、民族の運命を考えるべき現在、注意が必要である。取りあえず、冷静に歴史の流れを知ることは、ギリギリの判断を迫られた時に大事である。

 

因みに、パレスチナ問題については、アルジャジーラの解説が詳しい。

https://www.aljazeera.com/news/2023/10/9/whats-the-israel-palestine-conflict-about-a-simple-guide

 

追補:

 

1)13日のカナダ人ニュースによれば、エジプトがガザ地区で大規模な動きが数日中にあると、イスラエル政府に警告していたようだ。何故、イスラエル政府はこの警告を無視したのかは分からない。

 

 

 

補足:

 

1)石田和靖氏の配信する「越境3.0」は恐らく日本で最も中東情勢(リアルタイムの)に詳しい情報ソースだと思う。

 

2)ロスチャイルド2代目のネイサン・ロスチャイルドが英国での貨幣発行権を得て以来、英国の特に金融の中心にユダヤ人のロスチャイルド家が存在する。スエズ運河の買収にも、ロスチャイルドの金融支援があった。世界大戦も、ロスチャイルド家の大きな支援を得ていた筈である。その条件がシオニズム運動の推進だった筈。

 

3)1915年にイギリスが、オスマン帝国の支配下にあったアラブ地域の独立と、アラブ人のパレスチナでの居住を認めた協定(フサイン・マクマホン協定)を考慮してのことである。尚、オスマン帝国の中東での分割は、1916年のイギリス、フランス、ロシア帝国の間で結ばれたオスマン帝国領の分割を約した秘密協定(サンクス・ピコ協定)がある。これらの協定とバルフォア宣言(ロスチャイルド家との協定)は全てを独立に守れないので、この英国の外交を三枚舌外交と言う場合がある。

 

4)これもライオネル・ロスチャイルド男爵の意思に基づくことは十分考えられる。

 

(12:45、編集;補足1を追加;14:20 追補1を追加、16日補足1修正)

2023年10月9日月曜日

ハマスのイスラエル攻撃について:第三次世界大戦の可能性もゼロではない 

107日、パレスチナのガザ地区を支配する武装組織ハマスがイスラエルを攻撃した。8日午前のロイターの記事によると、数千発のミサイル攻撃とイスラエル領内への侵攻とによりイスラエルで250人以上が死亡したという。イスラエルのネタニヤフ首相は、直ぐに戦争状態を宣言し反撃を開始した。ガザ地区でも230人以上の死者が出ている模様である。

https://jp.reuters.com/world/mideast/PJLXDNODUFKBHM4FF5CJTEIHXM-2023-10-07/

 

米国など西側諸国は、ハマスによるイスラエル攻撃を非難し、イランやレバノンのヒズボラはそれを称賛した。このアラブの一角とイスラエルとの軍事衝突は、世界大戦レベルにまで拡大する可能性を孕むので、今回素人ながら一つの文章に纏めてみようと思った。

 

最新の情報は以下の動画に解説されている。犠牲者は既に千人を超えているようである。この動画では、この「戦争」の原因にバイデン政権(国務省)が深くかかわっているらしいことを議論&解説している。世界紛争の中心には常に米国民主党ネオコン政権が存在するようだ。

 

 

追補:
 
先ほど、カナダ人ニュースさんによるより詳しい解説がアップされたので、ここで引用します。正確且つポイントを付いていると思いますので、推薦します。

 

 

 

1)”グローバルサウス+中露”と”イスラエル+G7”への世界の二分化とそれらの接点

 

米国大統領がトランプからバイデンに代わり、世界は不安定化している。最初にちょっと大きな図式に言及するためにウクライナ戦争から話を始める:

 

ウクライナ戦争の背景に、米国によるウクライナ内政への介入があった。2014年、大規模市民デモを組織したり内戦へ誘導するなどの工作により、親ロシアのヤヌコビッチ政権を潰し、親米のポロシェンコ政権を建てた。その中心で活躍したのが現国務次官のビクトリアヌーランドというのが、事情に詳しい方々の共通認識のようだ。

 

米国は、軍事支援を継続するとともに、ユダヤ系オリガルヒ(新興財閥)コロモイスキーの支援で大統領になったゼレンスキーにウクライナをNATOに加盟させるなどと言い出させた。バイデン政権になって強められたウクライナの対ロシア軍事力強化を座視できなかったプーチン・ロシアは、2022年2月、ついにウクライナへ侵攻した。(補足1)

 

ウクライナ戦争の実態は、腐敗したウクライナのユダヤ系オリガルヒの支援で大統領になったユダヤ系のゼレンスキーが、米国グローバリストの代理でウクライナ人の青年の命を使ってウクライナ市民の犠牲のもとに、ロシアと戦っているのである。それがアラブ諸国に大きな反米の政治エネルギーを作り出している。(補足2)

 

そのようなアラブの空気の中で、今年3月、サウジアラビアが中国の仲介でイランと和平を実現し、且つ、米国から離反し、アラブ全体の団結に動いた。その結果世界には、”BRICS諸国+中東イスラム諸国+アジア&アフリカ”と、”G7+イスラエルを含む親米諸国”のグローバリスト勢力に二分されるという大きな流れが発生した。

 

この二つのグループが対立する接点が、中東のイスラエル、ヨーロッパのウクライナ、東アジアの台湾(+日韓)の三カ所である。

 

 

2)バイデン政権による”流れに掉さす行為”が混乱を生み出す

 

その大きな流れを引き起こした中心人物が、その流れがアラブ諸国に囲まれたイスラエルを孤立させる事に気づいたのか、この大きな流れを妨害する作戦を開始した。それが、今回のハマスによるイスラエル攻撃の原因であり、ひょっとして第三次世界大戦の切っ掛けになる可能性すら存在する。

 

その作戦とは、米国によるサウジアラビアとイスラエルの和平の画策である。もし、それが成立した場合、パレスチナは若干親米的なサウジアラビアとエジプト、米国ネオコンの親元的なイスラエルに完全包囲される。ハマスによるイスラエル攻撃は、サウジアラビアに対するイスラエルとの和平に反対する強力な意思表示だと思われる。

 

そのような解説が上の動画にもあったが、昨日のロイターの記事もそのように解説をしている。

https://jp.reuters.com/world/us/Y6AKYUJDRZNIJBIP2XFSX2RPM4-2023-10-08/?rpc=122

 

また、全般的な解説動画をもう一つ下に引用する。

 

 

 

3)オクトパスドクトリンという危険な考え方

 

このハマスのイスラエル攻撃の背後に、イランが居るという説は有力である。折角サウジアラビアと和平を実現したのに、ここで米国側にサウジアラビアが移ってしまえば、アラブ世界の統一の図式は粉々に破壊されるからである。

 

イスラエルとイランは互いを不倶戴天の敵としているのは周知である。中東が不安定なのは、イスラエルが作られたからであるとイランは考え、逆にイスラエルはテロを行うハマスやヒズボラの背後にイランがいると考えている。

 

イスラエルの前首相は、ハマスやヒズボラなど敵の手足を撃っていては、イスラエルに平和は永遠に訪れない。敵の中心(タコの頭にあたる)イランを滅ぼさないと駄目だと言ったという。2018年提唱のオクトパス(タコ)・ドクトリンである。

 

この対立情況が最近一層悪化したのが、上述のイランとアラブの盟主であるサウジアラビアとの中国を仲介者とする和平の成立である。イスラム教シーア派のイランとスンニ派のサウジアラビアとの間で断絶していた国交が、今年夏、中国の仲介でなされ、アラブが差し当たり一枚岩的になった。それにイランは希望を見出したが、イスラエルは焦燥感を増した。

 

またイランの核兵器開発が進んだことも重要である。最近になり、イランが進めるウラン235の濃縮が90%を越えて、もう直ぐ核兵器を作り上げる能力を持つと報道されていた。もし、核武装が実現すれば、イスラエルからの核反撃を避けられ、イランやその衛星国からのイスラエル攻撃が容易となる。

 

アフガンからの米軍撤退からウクライナ戦争まで、失点(米国民から見て)続きのバイデン大統領が、このウクライナの焦燥感を感知し企んだのが、サウジアラビアとイスラエルの国交樹立である。

 

カショギ氏暗殺の件以来、サウジアラビアの実権を握るムハンマド皇太子が、安易にバイデン政権の仲介を受ける筈もないのだが、バイデンはサウジアラビアの核開発に協力するという餌をぶら下げたのである。この餌ならムハンマド皇太子は乗るかもしれないと不安を感じたのが、パレスチナでありガザ地区のハマスだろう。

 

今回のガザ地区ハマスのイスラエル攻撃に関して、アラブやペルシャ(イラン)は米国の責任として批判している。勿論、ハマスは人間の命を盾にして、テロを行なう組織であるとして、上記のようなモデルを批判する向きも多いだろう。(補足3)

 

イランとイスラエルの戦争になれば、第三次世界大戦になる可能性があり、その場合、中国の習近平が台湾に向かう可能性がゼロではないので、日本も大変な事態になる可能性がある。

 

 

補足:

 

1)この件、昨年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まる前に、整理しブログ記事として纏めた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12726626308.html

 

2)イスラエル自体は、ウクライナ支援にあまり積極的ではなかった。中東に大きな影響力のあるロシアに配慮するとともに、アラブ全域を敵に廻すことを警戒したからである。ゼレンスキーが、兄弟姉妹の皆さん、イスラエルのミサイル防衛システムを供与してくださいと懇願しても、そうはしなかった。

 

3)ウクライナのゼレンスキーは、同国の青壮年を殆ど戦争で失ったと言われている。現在では、60歳の年寄りや少年が戦っていると言う話を聞く。中国の話は言うまでもないとして、大日本帝国も大差なかったと思う。所詮国家の支配層は、自分と家族の命は大事にするが、一般国民の命と自分の政権の存続とを天秤に懸ける存在なのだ。その冷厳な事実は、岸田首相と米国の大使のこれまでを眺めれば理解できると思う。

 

(10:00編集;12:00追補あり、カナダ人ニュースの動画;18:00最終,セクション3の2番目の文、アラブ世界の統一の図式と下線部追加。)

2023年10月4日水曜日

日本保守党(百田新党)は単なる極右政党だろう

作家の百田尚樹氏と評論家の有本香氏が共同で日本保守党を立ち上げた。百田氏が何度も動画等で話しているように、LGBT法案を成立させ日本の伝統文化を破壊する勢力に、今後の日本の政治を任せられないというのが、この政党立ち上げの動機のようである。

 

結党宣言(①)https://hoshuto.jp/、党の綱領https://hoshuto.jp/regulation/、そして、百田及び有本両氏を含む何人かの討論の動画(②): https://www.youtube.com/watch?v=IkXu-ItX7Rc が、その本質を知る上に参考になる。

 

このyoutube動画は6日間で127万の視聴回数をあげており、今後の日本政治において一定の存在感を示すものと思われるので、ここで日本保守党の独自評価&批判をしてみる。誤解等も当然あり得るが、参考にしてもらえればと思う。

 

結党宣言に対する批判

 

結党宣言は、「日本ほど素晴らしい国はないと私は断言します。神話とともに成立し、以来およそ二千年、万世一系の天皇を中心に、一つの国として続いた例は世界のどこにもありません。」という皇国史観的な文章で始まる。 

 

続いて、日本史の概観と現在政治の問題点が述べられている。要するに、「2000年の間独立を守ってきたが、第二次大戦で完全破壊され、世界の最貧国になった。しかし、そこから驚異的な復興を成し遂げた」という、一方的で客観性に欠けた日本史の概略である。(補足1)

 

現在の政治の話に進んで、拉致問題の放置、野放図な移民政策、LGBT法を強引に制定するなどの与党の悪政から、日本の伝統と国土、日本の国民を守るために戦うと宣言している。

 

失礼ながら、この結党宣言は出来が悪いと言わざるを得ない。この江戸末期以来の危機的状況に焦る気持ちは分るが、歴史認識も現状の理解も粗い上に客観性に欠ける。

 

現在の日本国は、厳しい国際環境の下で政治的に米国の占領下にある。このことを、現在の政治の条件として把握しないのは愚かである。

 

現在の日本に必要なのは、保守ではない。パワーポリティックスで動く国際情況の中で、如何に生き残るかを探る現実的政治である。(補足2)

 

厳しい21世紀の国際情況の中で生き残り、米国による占領政治から脱出して独立を果たすべく、民意を耕し真面な現実的政治家を育てることが大事である。皇国史観を持ち出し、国粋主義的政党を作って20世紀の間違いを再び犯そうとするのは非常に愚かである。

 

 

日本保守党の設立者たちを囲んでのテレビ討論

 

アベマテレビでの討論動画では、日本保守党の政治方針が議論されている。 20分ほどの所で、日本保守党「4つの軸」という字幕が見られる。それらは:①LGBT法は天下の悪法である。 ②万世一系の皇統を護持せよ。③現状の移民政策は見直すべし。④エネルギー政策を見直すべし。

https://www.youtube.com/watch?v=IkXu-ItX7Rc

 

 

全く異質な「政策の柱」が並んでいて、どのような空間を想定しているのか皆目わからない。明確な軸として存在感があるのは②の「万世一系の皇統を護持せよ」のみである。

 

現在の自民党政府の行政、特に岸田政権の米国民主党への追従姿勢、つまり“野放図な移民政策”とLGBT法に反対し、政治を国民の手に取り戻したいという主張らしいのだが、それらは不平不満であり、公党を特徴づける座両軸のようなものにはなり得ない。エネルギー政策だけ、経済政策の中から取り出すのも奇妙である。

 

最後の方、52分あたりから歴史認識の議論になって、日本保守党の特徴が明らかになる。結党宣言における「素晴らしい国」の話である。

 

百田氏らは、現在の東南アジアア諸国等の独立は日本の日露戦争から第二次大戦までの戦いの結果であるとの考え方を示し、それを日本の功績の様に宣伝したいようだ。つまり、大東亜共栄圏構想の思想を評価継承する姿勢である。ここの議論を再録する。

 

元経産省官僚の宇佐美典也氏は、「英国などは、かなりひどいことをやった過去があっても、栄光の大英帝国と平気で言うのだから、日本も戦前の歴史のプラス面を強調して栄光ある日本と言う政党もあっても良いと思うが、それがメインになっては困る」という言い方で牽制した。

 

それに対する反論として有本香氏は、フランスでもイギリスでも「どれほどリベラルな政党でも、それぞれ自分の国は素晴らしい国であると言う政党しか存在しない」と言う。素晴らしい国という表現は曖昧だが、ここでは“素晴らしい歴史の国”の意味で、大東亜共栄圏構想の擁護の為だろう。(補足3)

 

それに対し、宇佐美氏は、「フィリピンなどへ仕事で行って、日本はフィリピンの解放などの為に太平洋戦争やったなんて言ったら、仕事にならない。日本はフィリピンを荒らしまわったと思っている人が多いからだ」と反論している。

 

この大事な話を、他のゲストや司会者が「どちらの考えもあり得るので、議論しても始まらない」として、話を打ち切っている。愚かである。更に、万世一系の皇統を守る必要性については、全く議論されなかったのも不思議である。

 

 

日本保守党は単なる右翼政党である:

 

上記議論で、有本氏と百田氏は、他の参加者や視聴者を誤魔化している。それは、日本は第二次世界大戦の敗戦国であり、有本氏が比較の対象として取り上げたフランスやイギリスは戦勝国である。ドイツの主要政党には、ドイツは素晴らしい近現代史の国だという政党など無いだろう。

 

世界の主要国の対日歴史認識は、「大日本帝国は自国の帝国主義的領土拡大の為に、満州までを覇権域とする外交政策をとった結果、欧米諸国と衝突して第二次世界大戦となった」のである。少なくとも、日本国がそのような歴史認識を講和条約で確認(約束)したことを忘れるべきではない

 

もし、日本保守党が政権を執り結党宣言にあるような歴史認識を国際社会で明確にした場合、日本国は太平洋戦争前の米国F.ルーズベルトらによる嫌がらせの様な国際的制裁を再び体験することになるだろう。そんなこと、分っていないのだろうか?

 

「価値観外交を進めて世界平和に貢献する」と綱領に書いている。価値観外交が、人権、法治の原則、民主主義という価値観を大事に考える外交の意味なら、その国粋主義的思想と矛盾するのではないのか?

 

ドイツは狡猾に(しかし賢く)戦争犯罪をナチスドイツの仕業であるとして処理し、再出発した姿を全世界に強調して示している。日本は過去の戦争を国家として詳細に振り返り、間違った者たちを処分していない。

 

日本の近代130年余は、絶対君主制で破滅への道を歩んだ歴史だった。そして、天皇家は辛うじて日本の中心に残った。再び政治に天皇を持ち込む政党は、大日本帝国の真似は出来るが、国民主権の政治からは遠ざかるだけだろう。

 

日本保守党は、「神話とともに成立し、以来およそ二千年、万世一系の天皇を中心に、一つの国として続いた」という、事実とはかけ離れた言葉を公党を立ち上げる宣言に用いた所で、政府与党となる資格を失っていると私は思う。

 

 

補足:

 

1)2000年間独立を守った国とはどんな国なのか? 日本保守党が定義する「国」とはどのような実体なのか? 日本という国が2000年前に存在したという話など、聞いていない。

 

2)「保守」は、社会を構成している「現在の人の知恵や知識」よりも、過去から現在まで其処で生きた遥かに多くの人により作られた「現在の社会」を重視する立場である。ただ、保守は革新のアンチテーゼであり、国際関係が大きな影響力を持たない大国において、「革新」との議論で未来の方向を探す政治に相応しい。日本に昔の英国風政治の概念を持ち込む理由はない。

 

3)ここで、「素晴らしい国と素晴らしい歴史の国」では全く意味が違う。この違いが議論のなかで誰もがわかる形で進まないのが、日本語という言語文化の劣ったところだろう。つまり、議論に参加する者は相当身構えなければ、日本人の間での厳密な議論など不可能だと思う。