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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2020年7月29日水曜日

新型コロナ:夏でも新型コロナが流行する理由

新型コロナ肺炎(COVID-19; 以下新型コロナ)流行が夏になっても一向に衰えない。WHOも季節性に関する見解を修正した。https://www.afpbb.com/articles/-/3296105 その理由とも関連するのだが、会話、歌唱、歓声などで放出されるエアロゾルに注目した論文等を紹介し、新型コロナの感染の特徴について考察した。

 

日本でクラスターを追い掛けて得た知識として大事なのは、不特定多数が集まり、比較的長時間、会話や歌唱を行う場所で感染が多く発生したことである。ライブハウス、カラオケ、ホストやホステスが相手をしてくれる店など。昼でも夜でも、大勢が集まっての会食などである。

 

従って、これら長時間一定のメンバーと会話、歌唱、歓声を伴う集まる事を前提にした営業は、遠分一定の補償を条件に禁止すべだろう。接触感染の防止は、これまでの対策で十分だが、ホテル等では、ClO2、オゾン、紫外線などによる部屋全体の消毒も考えるべきかもしれない。

 

国や都道府県単位で一斉に規制をするタイプの対策は、無駄が多く経済的打撃となる。ウイルスの種類と感染のプロセスなどから、国民すべてが正しい情報を得ること、それを基礎により緻密なポイントを絞った対策を行政は取るべきである。マスクや”三密”なども、より深いレベルから理解すべきである。

 

1)二つのタイプのウイルスとマスクの有効性

 

ウイルスを伝染対策上で分類すれば、大きく分けて二種類ある。エンベロープを持つウイルスと、持たないものである。エンベロープは日本語で封筒などと訳される英単語で、一番外の脂質二重膜と淡白分子からなる、人など動物の細胞膜と同様の膜である。その内部にカプシドというタンパク質のカプセルと、その中に保護されたように存在する核酸(RNA又は DNA)が存在する。

 

新型コロナなど風邪系の多くはエンベロープを持つウイルスが病原であり、それらは石鹸やアルコールとの接触で不活性化する。エンベロープに、細胞に侵入するための蛋白分子が配置されているからである。その他、一般向けでの報道で殆ど言及されないのは、エンベロープウイルスは乾燥に弱いということである。この理由は4日前に、詳細に説明した。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12613216732.html

 

つまり、水が蒸発する環境では、短時間にエンベロープが壊れて、不活性化する。(追補参照)核酸とカプシド(ヌクレオカプシド)があっても、進化で手に入れた細胞に侵入する方法を失うからである。ただ、ヌクレオカプシドで細胞内に入ることになれば、感染するので、完全な不活性化ではない。

 

一般のマスクが非常に有効と言えるのは、エンベロープ型のウイルスが原因の病気のみだろう。何故なら、エンベロープを持たないウイルスは、ウイルス単体でも空気中で活性を保つ。ヌクレオカプシドの直径は普通0.1ミクロン程度であるので、N95型などの高性能マスクでもそれを完全に濾過するのは無理だろう。(補足1)

 

2)新型コロナウイルスの飛沫感染

 

新型コロナウイルスに感染するプロセスには二通りある。接触感染と飛沫感染である。他の感染プロセスとして、結核などで警戒される空気感染があるが、それは新型コロナやインフルエンザなどエンベロープを持つウイルスが病原体の病気では重視されてこなかった。

 

何故なら、上に書いたように、単独浮遊するエンベロープウイルスは感染性を直ぐに失うからである。しかし、新型コロナの場合、通常の会話で人の口から飛び出す、大きさが1ミクロン程度の唾液等体液を主成分とするエアロゾルでも感染することが分かってきた。これが夏でも流行が継続することと関連があると思われる。

 

これまでの飛沫感染は、咳やクシャミで放出されるもっと大きな唾液の粒を念頭に於いてきた。ソーシャルディスタンスを2m取るという感染予防法は、この飛沫が地上に落下する等で不活性化する半径を念頭に於いて出された方針である。(白木公康氏の緊急寄稿論文の3番目のセクションの最初の節)https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14278 


1ミクロン程度の小さなエアロゾルは通常見えない上、直ぐに乾燥して、そこに含まれる風邪等のウイルスはすべて不活性化されると思いこんでいた。更に、直径1ミクロンの粒子が含む病原体の個数は、例えば直径60ミクロンの咳やクシャミで放出される微粒子のそれの、1/200000 以下である。それらから結論された感染防止の指針が、2m程度離れていれば大丈夫というものである。(咳やクシャミの粒子は、大きい粒子が多い。ただ、60ミクロンが平均という訳ではない。)

 

一般に、感染には一定量の病原を吸い込まないとおこらないので、そのような1ミクロンのエアロゾルを無視する方針は、新型コロナ以外では合理性を失わなかった。つまり、新型コロナウイルス(SARS-CoV2;以下新型コロナウイルス)は、相当感染力が強いか乾燥に強いのどちらか、或いは両方の性質を持つのだろう。以上は、エアロゾルで感染するという現象からメカニズムを予想しただけである。

 

京大准教授の宮沢孝幸氏は、話さなければソーシャルディスタンスを取る必要はないし、マスクをすれば多少離れて話をしても感染しないと解説する。それは、エアロゾル状のウイルス含有唾液粒子を多少吸い込んでも、大部分をマスクで防げば感染の危険性を大きく下げられるからだろう。この宮沢氏の説は、今後新型コロナと我々が共存していく上で重要である。つまり、経済と防疫の両面を考えると、最も良い指針だと思う。https://www.youtube.com/watch?v=P_60Emw32uI&t=440s

 

最初に引用した白木氏の論文には、例えば1ミクロン程度の飛沫でも、湿度が高い場合には数分から30分も感染力を維持すると書いてある。従って、次のセクションで詳細に説明するように、このタイプの感染予防には、マスクをしっかりすることと、例えばエアコンで空気を乾燥させることが大事だろう。

 

もう一つの感染プロセスである接触感染だが、これもエンベロープウイルスでは高温と乾燥に弱い筈である。これは、通常行われているドアノブや手すりのアルコール消毒などで防ぐことが出来る。もし新型コロナウイルスが乾燥に強いとした場合、夏でも寄与する可能性がある。ただ、これまでの方法(手にウイルス含有の唾液等がついても、その手で顔に触らないこと、帰宅後に手を洗うこと)で予防できる。

 

3)夏でも新型コロナが伝染する理由:会話でのエアロゾル放出

 

ここでは、Nature Scientific Reports(2019年2月20日)に発表された「Aerosol emission and superemission during human speech increase with voice loudness」(声の大きさとともに増加する発声中のエアロゾル放出とスーパー放出)と題する論文内容について解説する。この論文は、会話でのエアロゾル粒子の放出が研究されている。https://www.nature.com/articles/s41598-019-38808-z#Fig2 (補足2)

 

 

このW.D. Ristenpartら6名により発表された研究によれば、普通に話す時、声の大きさに比例してたくさんのエアロゾル粒子が喉頭から放出される。ただの呼吸(特に激しい呼吸では多くなる)でも、微粒子の発生はあるが、発声によるものよりもずっと少ない。

 

なお、気道からのエアロゾルの発生とインフルエンザ感染に関する研究は相当ある。それらは、主に咳、クシャミ、激しい息づかい、などとの関連で放出される粒子が対象だろう。声帯の振動で放出されるエアロゾルに関する研究は、恐らくこの研究が初めてだろう。(補足3)

 

この研究では、母音の発声のオンとオフを繰り返して、特別の装置でその粒子数や粒径を観測する。結果は上図のようになる。(元の報告から、概略を手書きした。)英語や、中国語、アラビア語などを話す人でテストしたが、母国語による差は無かったと書かれている。(補足4)

 

上図は、粒径分布を示している。発声に伴う粒径に個人差はあるが、声の大きさには無関係である。呼吸および発話中に放出される粒子は、主に肺の小さな気道内の「流体膜破裂」メカニズムによって、および/または喉頭での声帯振動および内転を介して形成されると仮定されている。(補足5)

 

尚、上図の縦軸をウイルス数に替えれば(黒の線)、そのピークは10ミクロン付近になるだろう。なお、この曲線はこのブログの筆者が模式図的に付け足した線である。根拠は、既に書いたように、粒子の体積は粒径の3乗に比例するからである。つまり、数ミクロンの粒子をマスクで補足することは、新型コロナの感染予防上有効である。これまで、マスクをするのは、感染者が病原菌をばら撒かないことを目的とすると言われてきたのだが、新型コロナでは感染予防のためにもマスクは重要だと言える。

 

更に、エアロゾル粒子が乾燥しない高湿度の環境では、長時間(数分)空気中を浮遊し、それが気道に入ると感染確率は増加する。アクリル製の口の部分だけを遮蔽するガードは、マスクよりも遥かに効果が少ないだろう。

 

咳やクシャミでドアノブなどにウイルスを含んだ唾液が付き、そこからの接触感染を主に考えていたこれまでの我々の考えは、改める必要がある。新型コロナが夏にも感染数が衰えないのは、既に述べたように、エンベロープを持つウイルスでありながら、乾燥に強いのかもしれない。それ故、エアロゾルで放出された後一定時間経過しても活性を失わず、直接吸引されれば感染を起こすのだろう。 

 

以前にも書いたが、冬季には接触感染がより重要になるのは、温度が低く乾燥しにくいからである。特に金属表面や親水的にコーティングされた手すりなどに付着した場合、ウイルスを含む唾液などは失活しにくいだろう。この8月末の高温低相対湿度の時期を超えて、ウイルスが多くのこれば、この秋から冬が心配である。

 

冬季には相対湿度が減少するが、エアロゾル感染の確率はそれほど減少しないだろう。何故なら、放出されたエアロゾル粒子が急冷されるため、相対湿度が減少してもエアロゾルが水分を失う速度が低下するからである。冬季には、マスク着用は、上気道の乾燥からの保護の意味もあり益々大事になる。

 

追補: エアロゾル粒子に含まれる新型コロナウイルスが活性を失うまでの時間は、そのエアロゾルの主成分にもよる。気道の粘膜や唾液の粘性成分は、多くの水酸基を含む高分子を含み、それが水を保つ役割をしている。スーパースプレッダーは、ウイルスを多く放出することと伴に、その粘性物質を多く含むエアロゾルを放出するのだろう。

 

(19時20分、最終編集)

 

補足:

 

1)空気感染が有力な病気でも、マスクは飛沫感染防止に当然役立つ。尚、流行が始まったとき、何時も見ている及川幸久氏の動画では、米国のジャーナリスト ローリーギャレットさんの記事を紹介した。その中で彼女は、マスク着用は不要だと言った。https://foreignpolicy.com/2020/01/25/wuhan-coronavirus-safety-china/

最初のマスク有用論は、咳やクシャミに伴って放出されるウイルス含有微粒子は、不織布の通常のマスクで大部分補足されるという考えに基づく。しかし、米国の人たちはマスクを嫌うからか、室外ではそもそもマスクは不要で、多くの場合室内でも不要だと言ったのである。その論理は、これまでのインフルエンザ流行では、大量死にはつながらなかった。しかし、マスク着用の文化が一般に受け入れられていれば、もっと死者数は減っていただろう。(マスクの種類については、http://www.doyaku.or.jp/guidance/data/63.pdf

 

2)ここで、superemission という単語は、感染のスーパースプレッダーを意識して追加された単語だろう。

 

3)気道からの粒子の放出は既に相当研究されていた。例えば、Journal of Royal Society, Interfaceの2009年9月22日号に、「Aerosol transmission of influenza A virus: a review of new studies」(インフルエンザAウイルスのエアロゾルによる感染:新しい研究の総説)という題名の論文が、Raymond Tellier により出されている。

しかし、その論文をlarynx(喉頭)やvocal (vocal cord, vocal band;声帯)で検索しても、本文中にそのような単語は存在しない。

 

4)感染数や死者数に大きな差があるのは、使う言語に関係するという仮設もあり得る。それが否定されたということである。

 

5)噴霧状の生理食塩水を吸引すると、数時間は放出粒子が減少した。このことの意味は、論文には少しかかれているが、私には理解できなかった。私なら、声帯表面や肺の小さい気道内の体液の表面張力の増加が、粒子生成を妨げたのではないかと考える。

2020年7月27日月曜日

新型コロナ:米国で被害が大きい理由とそこから学ぶべきこと

1)マスクを嫌う米国人:

 

欧米でCOVID-19 (以下新型コロナと略記)の被害が大きく、特に米国で深刻である。それに比較して、日本やアジア圏での被害が相当少ない。その中で、「新型コロナは普通の風邪だ」とか「日本人には集団免疫が既にある」と言うたぐいのインチキ学説を出す人も居る。

 

欧米での深刻な被害の原因の第一は、おそらくマスク着用をしっかりせず、大きな声で自己主張する文化だろう。個人の自由を主張する彼らには、マスクを首輪とか猿轡(さるぐつわ)のように感じるようだ。

 

 

上は、米国の集会で、マスク強制着用に反対する人たちの写真である。パネルのmuzzuleは犬などに取り付ける口輪を意味する。全体を訳すると、「我々は口輪を拒否する。マスクの強制着用にはNOだ!」。7月20日の英国BBCが報じた記事:“コロナウイルス:何故米国人はマスクに関して怒るのか(Coronavirus: Why are Americans so angry about masks?)”にある。https://www.bbc.com/news/world-53446827

 

米国では、マスク論争のほとんど中心部分に、マスクを嫌うトランプ大統領が居る。つまり、政治闘争とマスク紛争が二重らせんとなって、巨大なハリケーンになっているような感じである。そして、その背景に、自由を国是としてきた米国の文化がある。(補足1)新型コロナは英米では明らかに男性の方が女性よりも被害が大きい。それは、マスクを拒否する人が男性に多いからだと、別のBBCニュースには書かれている。

 

WHO(国際保健機構)は、医療関係者と既に咳やクシャミの症状がある人以外は、マスク着用は不要としてきた。しかし、6月にその指示を変更した。新型コロナ感染者の多くは無症状でも、他人に伝染させること、つまり、会話の際にエアロゾルとなった感染者の唾液から感染が起こる場合が多いということが分かったからである。

https://www.bbc.com/news/world-53394525

 

2)日本人やアジア人に免疫があるわけではない。

 

私は6月の18日に、日本での低い感染率はウイルスが伝染しにくい社会だからだと書いた。つまり、帰宅したときに手を洗い、マスクをすることを嫌わないなどの文化を持つということである。この結論は、日本では新型コロナの感染率が、欧米に比較して非常に低いこと(抗体検査の結果)により裏付けされる。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/06/x.html

 

インフルエンザと異なり、夏でも流行があまり減らないのは、会話、歌唱、声援など発声に伴って放出された唾液の飛沫による感染が多いことを示している。そこで、6月24日「新型コロナ対策としてカラオケやライブハウスを遠分禁止すべき」という記事を書いた。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/06/blog-post_67.html

 

韓国など東アジア全体でも揃って被害が少ないのも、同様の理由だろう。仏教圏では、大声で自己主張する人は少ないのである。

ただ、アジア人に共通して、新型コロナに強い生来の免疫的特性(或いは、集団免疫の獲得済など)があるという人も居るが、それは違う。

 

7月25日に、新型コロナによる被害の統計が、人種の坩堝であるカリフォルニアで公表された。そこには、人種や民族での違いが少ないことが、統計結果として示されている。(既に、この概略は米国のどこかから公表されていた。)

 

上の表では、新型コロナでの死亡率は、アジア人は平均よりも多少高いくらいである。詳しくは元報を見ていただきたい。(追補に若干わかり易い表を掲載しました)

https://www.cdph.ca.gov/Programs/CID/DCDC/Pages/COVID-19/Race-Ethnicity.aspx

 

3)新型コロナからの防衛について補足

 

新型コロナからの防衛は、最初から100%防衛を目指すべきではない。理想を目指すことで失敗するのは、頭でっかちな人の常である。実行可能な方法をかんがえるべき。それは、概ね京大の宮沢准教授の意見に沿うことである。https://www.youtube.com/watch?v=P_60Emw32uI&t=440s

 

以前の文章の繰り返しになるが、敢えて書く。重要なポイントは:

新型コロナでもインフルエンザでも感染するのは、一定量以上のウイルスが体内に入った時である事。そして、大抵の場合、微粒子状の唾液または付着した唾液を介して感染するので、それを取り込まないようにする。それを具体的表現に替えれば:

 

①声を出さなければ、ソーシャルディスタンスはほとんど取らなくても良い。(補足2)

②マスクをしっかりしていれば、そして付着した唾液等に触らなければ感染は99%防止できる。(触ったときは手をすぐ洗うこと、その手で他を触らないこと)

③手を洗う場面でも、30秒間各指の間や周囲を念入りに石鹸でこする必要があると指導する人が多いが、本当は流水や濡れティッシュででも早期に指先を洗った方が良い。丁寧な手洗いは、帰宅後にすれば良い。

④目からも感染するので、何処かに触った手で目の周りに触らないことも大事。また、マスクをしていれば安全だとして、目を警戒せずに話をすれば、感染する危険性がある。(補足3)

 

ただ、マスクをしっかりすることは相当難しい。それは冬にメガネが曇らないようにマスクをすることが難しいことでもわかる。逆に、マスクがしっかり出来ているかどうかは、メガネをつけることでチェックしたほうが良い。企業の方は、マスクの改良をし、そのマスクの着用方法を確立すべき。

 

今後、冬に向けて、接触感染にも十分注意すべき:(補足4)

唾液がついている可能性のあるドアノブや手すりには触らない。触った時には忘れない内に流水或いは濡れティッシュ−などで拭く。外出から帰宅したとき、マスクを外して、手を洗い、顔を洗って、うがい(喉、鼻)をする。マスクの再利用はさける。

 

鼻汁や痰なども非常に危険なので、落ちているティッシュには、落ちているマスク同様触らない。感染者の消化管に潜む場合もあるので、トイレの水は蓋をして流す。

 

追補: (7/27/16:30追加)

上の表は、本文中の表から再計算したものである。感染率(rl)、死亡率(rl)は、人口割合の数字(%)で、感染者数と死亡者数を割算した値である。カリフォルニアでの夫々の民族の相対的感染率及び相対的死亡率を表す。カリフォルニアの人口は約3900万人なので、例えばアジア系の場合人口39万人あたり、18歳以上の死者数は、65.2人ということになる。その人口あたりの全コロナ肺炎での死者数は、0−17歳の分も加えなければならない。

17歳以上のデータを採用したのは、家庭環境の影響を出来るだけ省くためである。ここではラテン系の感染者、死亡者が大きいことが注目される。

 

 

補足:

 

1)私には、キリスト教福音派(キリスト教でも保守的)が多いトランプ支持者には、イスラムの女性の顔を隠す姿が脳裏に浮かんでいる可能性も感じる。

 

2)対面で話すのは避けた方が良いが、そうなった時でもしっかりマスクを着けていれば良い。一切声を出さなければ、最悪換気の無い部屋でも大丈夫だろう。アクリルの唾液防止版は、咳やクシャミからの防衛以外の意味はない。(ただ、脇から空気が漏れるマスクの掛け方では、マスクをしたことにならない。声を出さなくても、換気の悪い部屋は避けた方が無難。アクリルの防御板は、クシャミの直撃を避けるには良い。) 

 

3)目からの感染を完全防止するにはゴーグルをするしかない。メガネもゴーグル的なものを用いると良いだろう。

 

4)季節因子は、水の蒸発速度と関係がある。冬は温度が低いので、水分の蒸発が遅く、温度も低いので、ドアノブなどに付着いたウイルスの感染力が長く維持される。また、冬に部屋を暖房すると、喉が乾燥して、感染しやすくなるだろう。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12613216732.html

 

2020年7月26日日曜日

この段階で尚クラスター潰しを新型コロナ蔓延防止の中心に置くのは愚かだ

東京都の新型コロナ肺炎(COVID-19, 以下新型コロナ)の昨日の新規感染者数は295人だった。移動平均線を取ったときの数値は250.3人で、その内接触暦等不明者は145.1人だった。つまり半数以上が接触等不明者である。この場合、その145.1人の背後にもクラスターが存在することになるので、実際の感染者数は、一桁以上多いだろう。この情況をたとえ話で説明する。

 

例えば、窃盗犯の逮捕を行っているとする。これまでの幾つかの窃盗組織との関連で目処をつけて張り込み、窃盗の現行犯逮捕したのが105.2人だが、その張り込みでたまたま窃盗の現場を見つけて145.1人も逮捕した。これらの窃盗犯は、これまでの組織とは無関係の窃盗組織所属だが、彼らは自分が所属する窃盗組織について沈黙を保っている。そのような状況だろう。

 

145.1人の感染元夫々に、145.1の感染源があり、そこから感染した人が何人か居るだろう。そう考えると、最初に設定した105.2人を見つけるための努力で、保健所がクタクタになるのは愚かなことである。

 

インフルエンザでも何でも伝染性の病気は、感染クラスターを形成する。何故、新型コロナの防御法だけに、クラスターを潰す方法を取っているのかさっぱりわからない。最初、病気上陸の際に、徹底した国境封鎖をしないで、日本全国に広がり、おおよその病態がわかった後でも、クラスター潰しを対策の中心におくのは非常におろかだ。

 

2020年7月25日土曜日

新型コロナは空気感染しない理由と感染防止法について

昨日、新型コロナ肺炎の防止には、感染者は喋らないこと、感染している人も感染していない人も、マスクをすることが大事であると書いた。喋ると、声の周波数で唾液の着いた声帯を震わすため、唾液は必然的に微粒子となって周囲に飛び散る。従って、汚染空気の微粒子が通らないレベルのマスクであれば、それをしっかり装着すれば、飛沫感染或いはエアロゾル感染は、殆ど完全に防止できるだろう。その場合、ソーシャルディスタンスを採る必要は殆どないだろう。

 

接触感染の防止には、外出先の誰かが手で触る可能性があるものに無闇に手で触らないこと、触った時は、その手で体を触らないことと、出来るだけ早期に手洗いや濡れティッシュで拭くこと、帰宅後に石鹸で手や顔を洗い、うがい(口と鼻)を丁寧にすることだろう。

 

1)コロナウイルスは空気中単独浮遊すれば短寿命である


一般にウイルスには、コロナウイルスのように脂質二重膜の殻(エンベロープ)をもつものと、持たないものがある。持たないものは、空気感染する可能性があるが、エンベロープを持つものは、空気感染しないだろう。(補足1)それを以下説明する。

 

下図はヤフーニュースの記事からとったコロナウイルスの模式図である。球状脂質二重膜で出来た膜の内部に、RNAと各種蛋白質分子が埋め込まれた構造をしている。RNAは、カプシド蛋白に保護される形で、二重膜の内部に存在する。脂質二重膜構造を安定化するのは、周囲に存在する水である。

図(1)コロナウイルスの構造

https://news.yahoo.co.jp/byline/minesotaro/20200421-00174406/ から借用

 

従って、この構造は体内では安定だが、ある程度乾燥した空気中に単一で持ち出されれば、短時間に破壊されるだろう。従って、空気感染はしないだろう。(補足2)

 

体内で安定な理由は、細胞間液である殆ど生理食塩水的な水溶液に取り囲まれているからである。勿論、内部のカプセル蛋白に囲まれた形のRNA分子の立体構造も破壊され、感染力は無くなるだろう。感染は、スパイク蛋白で細胞表面の受容蛋白にくっつき、脂質二重膜が融合する形で、起こる。感染のメカニズムは、上記図の引用元の記事に図入りで紹介されている。

 

ここで、ウイルスでも細胞膜でも、その構造の基礎である脂質二重膜の構造を考える。この解説はウイキペディアにある。

 

図(2)脂質二重膜の構造

 

脂質二重膜は、リン脂質が上図左のように整列して出来ている。白丸はリン酸とコリンからなる電気を帯びた極性部分、茶色の鎖は脂肪酸の水をはじく炭化水素の鎖である。白丸一個に鎖が二本ついている(右上)。このような構造が、水の存在下で膜をつくるのは、電気を帯びた極性部分が水と接触を保ち、水に溶けない脂質分子どうしが水を避けて集合するからである。

 

その基本的な膜形成のメカニズムは、シャボン玉と原理的に同じである。シャボン玉を作るのは、石鹸の成分である界面活性剤分子、基本的に上のリン脂質分子と似た構造だが、炭化水素の鎖は一本の分子である。

 

図(3)シャボン玉の構造

 

シャボン玉は、水の層に電気を帯びた部分(上図の右参照)がくっつき、水をはじく炭化水素部分の鎖は、反対側(内外の空気)に揃う。水溶液中では、図(2)のミセル構造をとる。

 

シャボン玉が空中に浮いている間に、水が蒸発してしまえば、壊れてしまう。壊れるのを出来るだけ防止するために、ポリビニルアルコールなど、保水性の高分子を石鹸液に混ぜてシャボン玉をつくると、相当長い時間構造をたもつ。コロナウイルスは、物理化学的にはシャボン玉に似ている。

 

ただし、患者から放出されたコロナウイルスは、保水性の物質が唾や痰に含まれるので、それが水分を保つ限りその構造を保ち続ける(つまり、感染力を維持し続ける)だろう。

 

それらがない場合、単一で空気中を浮遊する場合、短時間に失活する筈である。また、空気中にエアロゾルとして放出されたウイルス含有の唾液粒子も、比較的短い時間(恐らく数分以内)に水分を失い失活するだろう。そして、そのプロセスは夏の方が(相対湿度も低く温度も高いので)、早いだろう。

 

最後にお断り:

物理化学が専門で、ミセルを研究に用いてきたが、脂質二重膜については、数ヶ月だけ専門の研究室を見学しただけで、ウイルス学では完全に素人である。議論してもらえると有り難い。

 

補足:

 

1)ノンエンベロープウイルスでも、感染先の細胞の膜を着て、エンベロープウイルスのように成るものがあるという。http://virus.hatenablog.com/entry/2013/04/03/112751

 

2)空気感染をする代表的な病気に、結核がある。細胞壁を持つ細菌は、空気感染の可能性があるだろう。エンベロープをもたないで、外側がタンパク質の殻で出来ているウイルスも、空気感染する可能性がある。

2020年7月24日金曜日

新型コロナ:声を出さなければ社会的距離は殆ど取る必要なし

昨日、コロナ対策は原点から再考する時期だろうという記事を書いた。しかし、ほとんど読んで貰っていないので、再度重要なポイントに絞って書く。

 

京都大の宮沢孝幸准教授のyoutube動画(最下段に引用)を再び推薦したい。(補足1)宮沢さんが言っていることの要約は、完璧に防ぐことは無理なので、感染を1/100できれば1/1000に減らすことを目指すということ。それは、経済的活動をしながらでも可能であるので、長期戦になっても可能な実践的方法である。

 

重要なポイントは:

①新型コロナでもインフルエンザでも感染するのは、一定量以上のウイルスが体内に入った時である。

②微粒子状の唾液または付着した唾液を介してのみ感染するので、それを取り込まないようにする。

 

声を出さなければ、ソーシャルディスタンスはほとんど取らなくても良い。発声に伴って唾液の微粒子が放出されるので、マスクをしっかりしていれば感染は防止できる

 

声を出すと唾液微粒子を撒き散らすことの説明:

 

声を出す時、声帯は数百ヘルツで高速振動するので、唾液を微粒子にして撒き散らす。

雨粒でも地面などにぶつかった時、微粒子の水を空間に放出するのと同様。それは雨粒の水面が高速振動して微粒子を放出する様子は、次の動画の50秒付近。

 

 

 

(50秒付近左側の動画)

 

空気感染はおこらないので、声を出さなければ最悪換気の無い部屋でも大丈夫。対面で話すのは避けた方が良いが、そうなった時でもマスクをしっかり掛ければ大丈夫。(脇から空気が漏れるマスクの掛け方では、マスクをしたことにならない。)

 

アクリルの唾液防止版は、くしゃみなどとともに飛び出す唾液には有効だが、声を出した時に出る微粒子には、効果がない。

 

唾液がついている可能性のあるドアノブや手すりには触らない。触った時には忘れない内に流水或いは濡れティッシュ−などで拭く。

 

①から外出から帰宅したとき、マスクを外して、手を石鹸で洗い、顔を洗って、うがい(喉、鼻)をする。マスクの再利用はさける。(補足2)

 

 

手を洗う場面でも、30秒間各指の間や周囲を念入りに石鹸でこする必要があると指導する人が多いが、本当は主に指先を15秒ほど流水の中でこすれば良いと、京大の宮沢孝幸氏が言っている。漏れがあるといけないので、以下の動画を二回ほど見てください。

https://www.youtube.com/watch?v=P_60Emw32uI&t=440s

 

注意追加: 目からの感染を考慮していないので、密閉空間ではゴーグルが良いだろう。鼻汁や痰なども非常に危険なので、落ちているティッシュには、落ちているマスク同様触らない。感染者の消化管に潜む場合もあるので、トイレの水は蓋をして流す。

 

補足:

 

1)ウイルスを対象にして長期間研究を続けた、現場の若い一流の方の意見こそ、行政に生かすべきなのだが、日本は名刺の肩書きで人選する、悪しき東アジアの文化の下にあるのが残念である。

 

2)オゾンや紫外線での滅菌は可能だろうが、研究結果がなければ用いられない。

日本が中国に抱く恐怖心と中国が警戒する日本

現在、国際情勢や国際社会等に関心をもって、毎日を暮らしている。そこで頼りにしているのが、youtube動画である。日本の新聞やテレビは情報源としては役立たない。そのyoutube動画を自分の持つ批判力で選別して、それを日本語なら1.5倍速にして聞いている。一日は相当な時間だが、頭がまともに動く時間はそれほど長くないので、通常速度では多く視聴できないからである。

 

その中で最も高いレベルにあると考えている一つが、MOTOYAMAというハンドルネームの動画である。ただ欠点は、日本語が時として、分かりにくい事である。https://www.youtube.com/watch?v=_4nU_Oc2V-A&t=942s

 

1)MOTOYAMA動画の予測する米中関係と日米関係:

 

今日の動画では、最初にヒューストンの中国領事館閉鎖の話があった。そこで印象に残ったのは、領事館の重要な仕事は先ず撤退の手はずを整えておくことだと言うことである。中国の領事館は準備に慌てて火事を起こした。そのことで、中国外交官のレベルの低さがわかるという話だった。

 

この領事館閉鎖命令に報復する形で、中国が武漢か成都にある米国領事館の閉鎖命令を出すと、その後報復合戦になる可能性があり、それは米国が期待していることであると言っている。(現在、中国にある米国領事館はカラだという。)

 

また、トランプ政権の背後に、重慶生まれのYu Mao Chun という中国人がいるという話は、覚えておきたい。その人の教えるところは、中国は怒る顔を演技して、先進国の米国や日本を操っているということらしい。先進国は中国を恐れすぎであり、内部は統制がとれていないと言っている。

 

日本は中国共産党政権(以下「中共」)を恐れているが、中共も日本を恐れている。日本が憲法を改正して、自衛隊が自衛軍になることを恐れているという。中共は、日本は脅しが今後も効くと誤解しており、一方、日本は今後強く出る場面がくる。

 

自分としては期待していることではないが、このままでは縁を切るというような状況になりかねないと言っている。(この部分、意味が撮りにくかった)

 

2)私が日本人として感じる中共の恐怖

 

中共が警戒しているのは、日本の通常兵器を装備した自衛隊だろう。更に、その裏にある日本の経済的な力、国民の団結力、個人的能力などの総合的力だろう。しかし、MOTOYAMA氏は敢えて言及しなかったのだろうが、日本人が真に恐れているのは中共の核兵器である。中共が核兵器を使えば、日本人の殆どは地獄行きである。

 

中共は、日本人の殆どを一瞬の内に核兵器で地獄に送る能力があるし、その実行する際に最も抵抗感の無い文化を持つ国家だろう。つまり、中国は未だ中世の野蛮国家である。それが一層中共を恐ろしい国と考え、感じる理由である。(補足1)ただ、それを一度使えば、世界でその政権が存在を許されないだろう。つまり、中共に対する恐怖が世界を覆い、そのままではジリ貧となり、潰れる筈である。

 

しかし、中国人は生き残る裏技があるし、それを知っている筈である。日本人を皆殺しにした政権を、革命で引きずり下ろすという方法である。それは、中共と中国人民を分離する考え方で、それは邪悪なことも経験してきた西欧の悪知恵である。

 

勿論、信用は直ちには回復しないが、生存は許される。何故なら、この方法は既にドイツが使っている。ユダヤ人を大虐殺したヒトラー政権を、“連合国の力で打ち負かしてもらった”のである。自分たちが選んだヒトラー政権でありながら、手のひらを返したように、戦後徹底的にヒトラー批判をしたことで、上記論理を利用したのである。流石、理論に強いドイツ人である。

 

今回の米国ポンペオ国務長官が先頭に立つ対中国の西側の連携でも、危険なピンホールかマンホールか知らないが、失敗となるエネルギーの漏れが、ドイツで起こる可能性がある。それが事実になれば、日本は再びドイツの所為で、壊滅的な経験或いは壊滅するだろう。

 

MOTOYAMA氏が、この日本の深刻さに気づかないのは、やはり中国の方だからである。米国人も、特にトランプのような利己主義的な人物は、この日本人の心理には気付かないだろう。「どうして日本に親中派がいるのだろう?」と、不審に思っているだろう。ピンクトラップ(補足2)ばかりの所為ではないのだ。その背骨のない日本の設計者は米国である。

 

補足:

 

1)朱徳(元人民解放軍元帥)の外孫の朱成虎空軍少将は、人口密度の高いインドや日本は、核兵器で一度絶滅させる方法もあると、公の席で発言している。これを聞いた古森義久は、背筋が寒くなったと言った。(ウイキペディア参照)

 

2)スターリン批判に相当する毛沢東批判が中共には無かった。そして半世紀後に出来た習近平政権は、蛹から羽化した新中華帝国である。その「帝政中共」への日本の恐怖は、李成桂の李氏朝鮮が明国に対して抱く恐怖と同型だろう。トラップに掛かった方が親中派の旗振り役を果たしている上、知識層には幼稚な平和思想と中共文学に対する親近感がある。従って、中共との決別はそれほど簡単ではない。米国の全面的支援が必要である。

 

 

 

3)主題を離れた追加事項

 

MOTOYAMA氏の日本分析と私の補足を書く。MOTOYAMA氏は、日本が国家としての存在感が薄い原因として、国家や国旗に対する教育が十分なされていないからであるという。国旗や国歌を前に、厳粛な態度を取らなければ、国際的に国家のイメージを薄くするという。

 

一方、日本の強さとして、MOTOYAMA氏が言及したのは、江戸時代に日本の教育制度が諸外国に比べて充実しており、識字率も高かったこと。豊富な水資源などを基礎にして、全体的に豊かであったことなどが指摘している。そして、「日本が近代国家として発展できたのは江戸時代のお陰である」と、一般の大学教授レベルよりも確かな日本評価をしている。(補足3)

 

現在まで続く明治の革命政府によるプロパガンダ教育が、所謂「司馬史観」の明治維新であり、そして、鎖国の遅れた江戸時代である。MOTOYAMA氏は「江戸時代は閉鎖的な時代だと思うでしょうが、実はそうではないです」(18:30〜)と正しく見ておられる。中国の方でありながら、江戸時代の日本が、近代日本建設において果たした役割を正しく理解されていることに感心した。

 

江戸時代に教育を行ったのが寺子屋であり、そこでの、国語、算数、マナーなどの教育が、近代化への基礎となったというのである。一方、中共の政権は、国民の知識は反抗力の育成となるので、知識を持たせない様にしたという。同様の考えが、李氏朝鮮での識字率を非常に低く抑えた。日本の徳川政権は、東アジアでは例外的であった。この政権側と民衆側の不信の関係を緩和したのが、日本では天皇だろう。

 

尚、その日本独特の天皇制を破壊したのが、“明治維新”である。孝明天皇の暗殺などが疑われるのには、それなりの根拠がある。(補足4)新政権が、倒幕のために天皇を総指揮官として奉り上げたことの延長上に、明治の欽定憲法がある。その結果、会議で、知識の乏しい天皇の心を忖度し、無能なものが天皇を利用しようとすることで、政治が歪められたのだろう。

 

議員内閣制の政治を行いながら、「天皇ハ陸海軍を統帥ス(憲法11条)」の文章を改訂できなかった。議会制民主国家をモデルに作られた国家なら、天皇が総理大臣を任命し、総理大臣が陸海軍を総指揮するとなっているべきだった。

 

それは兎も角、MOTOYAMA氏は、江戸時代に森林を民間人の保有として、管理を任せ、良い水資源を確保したという意味の指摘をしている。その中で、「ビクトリア女王は、汚染水を飲んで死亡した」という逸話で、ビクトリア朝の不潔なロンドンと比較している。「不潔都市ロンドン: ビクトリア朝の都市浄化大作戦」という本が確かに出版されていた。

 

以上本セクションは蛇足でした。

 

 

補足:

 

3)日本の薩長土肥が引き起こした倒幕クーデターと、天皇の拉致により作り上げた現政権は、いまだに近代史を隠し続けるインチキ国家である。それは、既になんども書いた。戦後の吉田茂、岸信介、佐藤栄作、麻生太郎、安倍晋三などの主要勢力は全て明治革命政府の末裔である。中曽根康弘の出身地の群馬県は、明治になり長州の有能かつ有力な人物が県令として配属された。池田勇人、橋本龍太郎などは、吉田茂の弟子や孫弟子的な人物である。あとは、米国に潰された政治家(孫崎享著)の政権と泡沫政権のみである。

 

4)天皇は本来の住処である京都に戻れなかったとか、明治天皇は写真を撮られることを非常に嫌ったとか、孝明天皇を祀る神社を作らず放置し、数十年後に平安神宮に合祀した。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2017/11/blog-post.html

 

 

 

2020年7月23日木曜日

コロナ対策は原点から再考する時期だろう

1)以下新型コロナ対策は、日本全体で考えるべき

 

新型コロナ肺炎(COVID-19;以下新型コロナ)対策を日本全体で考えるべきである。その場合、連休には観光にでかけた方が良いだろう。東京は人口が減り、感染者数も減るだろう。行楽地には多少の感染者はでるだろうが、それ以上の経済的恩恵がもたらされる。

 

日本国は、47都道府県が異なった役割をもって出来上がっている。新型コロナの被害には、直接的被害の他にも多くの間接的被害がある。それら間接的被害を積算すれば、直接的被害を超える場合もある。従って、日本人ならその被害を日本国全体で担うことを考えるべきである。

 

人間の体でも、たとえば肺炎になった場合、気管支などに吸引治療するかもしれないが、全身で戦う。国と疫病の関係も同じだろう。それにもかかわらず、各地方が独自に患者数や死者数を最小に抑えることに集中している現状は、再考すべきである。他県ナンバーの車の人を攻撃するような愚はさけるべきだ。

 

地方が東京から観光客を迎えれば、地方経済の活性化に繋がり、地方の経済的被害の縮小となる。一方、ストレス解消ができた東京の方々は、次の日から、大声で話すなどの新型コロナ防止上良くないことを避ける集中力も増すだろう。更に、夜の街に頻繁に出かけて、感染を広げる愚も避けられるだろう。(補足1)今は、このように医療と経済の双方を総合的に、更に、地方と中央も全体的に考えるべき時期だと思う。

 

他府県の人たちは、日本の経済の維持に東京の果たす役割が必須であり、その活力維持に貢献していると考えるべきである。何故なら、その経済力の恩恵に、日本全体が浴することになる。むしろ、東京の人たちは、新型コロナの被害に合う危険性が高いのに、日本の政治と経済のために頑張っているという風に考えることも時として大事である。

 

2)三密をさける、ソーシャルディスタンスを取るなども、最初から考え直すべきである。

 

三密を避けることを強調するが、その原点に「人に唾をかけない、人から唾を受けない」があることを忘れてはならない。つまり、三密情況を避けるだけで、その原点の目標が達成されるわけではない。

 

ソーシャルディスタンスをとるのも同じことである。良くテレビのワイドショーなどで見るのだが、互いに距離をとっても、強制換気のない部屋で、大声で話し、高笑いしては何にもならない。ソーシャルディスタンスをとるのは何のためなのか良くかんがえるべきである。(補足2)

 

その原点とは、口からの微粒子の散逸をさけることである。そのように、本当の目的を別の象徴的なことに変換して、それを目的にしてしまうことが日本人に多い。日本人は、ルールには従順に従うが、そのルールの原点を殆ど考えない人が多い。

 

例えば、マスクをすべきだと言うのがルール化しており、一般市民が「マスク警察」になったりする恐ろしい現象が日本で起こっている。また、マスクは唾をかけないための道具だと簡単に決めつけて、口の前に透明なアクリル板をおいただけの「つばきブロック」をつけて大声で話す場面をテレビでよく見る。

 

これは直接とんだツバキのブロックになるが、コロイド粒子状に放出されたウイルスを含む粒子は防げない。従って、殆ど新型コロナ防止には役立たないと思う。

 

手を洗う場面でも、長時間、各指の間や周囲を念入りに石鹸でこする必要があると指導する人が多いが、本当は主に指先を15秒ほど流水の中でこすれば良いと、京大の宮沢孝幸氏が言っている。以下の動画は、それら原点からの対策を解説している。

https://www.youtube.com/watch?v=P_60Emw32uI&t=440s

 

3)経済対策も原点にもどって考えるべき

 

経済対策も共産圏のように計画経済的に行うのは、ただしくない。多くの政策は、消費税の期間限定廃止に勝る効果は出せないだろう。事務管理費や委託事業日など、予算の多くが、元々の目的以外のところに消える政府のやり方は、リケンが絡んでいると勘ぐられても仕方がないだろう。

 

GOTOキャンペーン、一括交付金、事業化への支援金なども、そのかなりの部分は事務経費で消える。それよりも消費税の期間限定廃止の方が、高い経済刺激効果があるだろう。

 

消費税の期間限定廃止なら、どこそこ除外とか、事情が変わったので延期とかの際、比較的自由に実行でき、二次的被害も出さずに済む。兎に角、日本型社会主義からの脱却(小さな政府の実現)は、新型コロナとは無関係に目標とすべき。日本の大臣の数は多すぎる。日本の政治は政治屋のため経済政策のためにあるようなものだ。

 

 

補足:

 

1)新型コロナ後の社会にも残るのは、観光である。夜の接客業は大半が不要になる可能性がある。

 

2)「ソーシャルディスタンスを取る」ということは、お互いに大声で話したり、高笑いしたりしないことも含んでいる。多くのテレビ番組では、フィジカルディスタンス(物理的距離)を取っただけで、ソーシャルディスタンスを取った気になっている場面が非常に多い。

中国による尖閣占領は近い?

イントロ:

 

中国は尖閣の占領と沖ノ鳥島の爆破により、米国同盟網の一角である日米関係の切り崩しを試みる可能性が高いと思う。二階氏の周辺をワッチすべき。また松田学さんには、ぜひ中国の代弁者(前回記事で引用)を呼んで中国の予定を聞いてみるようお願いしたい。(補足1)

 

以下本文:

 

米中関係は、準戦争状態である。ヒューストンの中国領事館の閉鎖命令は、それを象徴している。ポンペオ国務長官は英国を訪問しジョンソン首相と会見した。これは米国が英国に対中戦略の確認を取る(協力要請をする)ためだろう。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-21/QDU501T0G1KX01

 

その中で、英国はファーウェイの通信設備を2年以内に撤収し、5G通信からファーウェイを排除することを決定した。Bloombergによれば、英国の5G通信はこれで2−3年遅れて、20億ポンドの経費増となるという。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-14/QDGKYBDWRGGE01

 

英国のこれまでの優柔不断の理由は、この5G通信網建設の遅れと負担増にあったのだろう。そして、その負担増を乗り越えての今回の決断は、英国の本気度を証明していると同時に、米国の本気度も証明している。https://www.youtube.com/watch?v=OzY8szBQOMg

 

中国は、米国とその同盟国の強固な連携網が構成されないうちに、一矢を報いる可能性がある。その標的が尖閣と沖ノ鳥島の可能性が高いと思う。中国の尖閣周辺での動きは相変わらずである。更に、沖ノ鳥島の経済水域内で、今月9日から過去最長期間(6日間)の調査活動を行っている。

 

沖ノ鳥島の件に対して、自民党の領土に関する特別委員会などの合同会議が21日開かれ、拿捕(だほ)など取り締まりが可能になる法整備を検討する方針(補足2)で一致したという。自分達には法案を作る文章能力がないので、政府官僚が政府の責任で作れば良いと言うのだろう。 つまり、自民党世襲政治屋たちの単なるアリバイ作りである。https://mainichi.jp/articles/20200721/k00/00m/030/375000c

 

このような日本だから、米国の軍事介入の機会もなく、すぐに達成される可能性がたかい。そうすれば、反中同盟の求心力を多少とも弱められる可能性があり、同時に念願の尖閣を名実ともに手にいれることができ、五星紅旗を立てることになる。

 

もともと尖閣諸島は、数十年に亘って中国が狙っていた島であり、既に中国は実効支配下にあると宣言している。近海での日本の漁船の操業を止めさせるように、日本政府に要求した。https://news.yahoo.co.jp/articles/d980a4cbaa10c51adc2bdf14a120971ea3dfa0a2

 

日本では100日連続して中国海警の船が接続水域を航行したと報じられている。接続水域を航行したというのは恐らく嘘で、領海内の警備航行であると中国は言うだろうし、それが真実だろう。嘘を付く体質は、日中共有の東アジアの政治文化である。つまり、「事を荒立てたくない」という欧米には凡そ理解できない非論理の世界の話である。

https://news.yahoo.co.jp/articles/d980a4cbaa10c51adc2bdf14a120971ea3dfa0a2

 

この事態を避けるには、力の対決しかない。自民党議員たち、特に世襲政治屋或いはスポーツ芸能議員たちには、その本質が分かる程の能力がない。その政治(補足3)が、日本の戦後75年である。

 

尖閣占領を避けるには、日米或いは日英米の軍事演習を東シナ海で早急に行うことだろう。そんなことの出来る政権ではない。外交能力のない安倍自民党内閣の実態は、プーチンに聞けばわかるだろう。

 

 

補足:

 

1)二階氏は中国の利益を考えるタイプである。それには知性や哲学は不要である。老齢ゆえ、次世代に議席を譲りたいのだが、自分の次男を考えているそうである。次男の方はどのような人なのか、経済評論家の須田慎一郎氏が以下の動画で語っている。

https://www.youtube.com/watch?v=wzAuqsUJGvQ&t=498s

 

2)国際海洋法条約では島の周囲のEEZ(経済水域)内での様々な権利が書かれているが、沖ノ鳥島が岩礁レベルなら、その権利主張が可能かどうかは異論があるようだ。(ウイキべディア参照)ただ、国内法として、明確にそれを書けば、経済活動や調査活動を行っている船の拿捕などは出来る筈。国内法は、当然国際法に優先する。(国際法は国内法に優先するというのは、左翼グローバリストの考えである。)

 

3)戦後の占領軍による公職追放と左翼政党の育成、吉田茂による公務員の政治家登用、テレビ普及による芸能人の地位向上と政治進出などが原因である。制度としては、一票の大きな格差維持と地域密着型の選挙区の設定維持などが原因だろう。根本原因は、日本人の自己主張の無さ、それと同根の主語などの明確でない非論理的言語文化である。

2020年7月22日水曜日

新型コロナを正しく怖がり、自由の敵から世界をまもるべき

COVID-19の本性の把握は対策の前提である。その対策は、今や自由主義社会の敵となった国との戦いそのものである。その敵の味方が、政権内部にも居る。

 

1)新型コロナによる経済破綻は、その蔓延を歓迎する勢力の思うつぼである

 

国のCOVID-19(以下、新型コロナ)による需要不足型不況への対策が迷走中である。GOTO事業(補足1)では、東京発着を除外することを決め、それに伴うキャンセル料を最初所管大臣が負担しないと言っていたが、その後の反論を受けて、官房長官は対応を検討するという。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61713650Q0A720C2000000/

 

更に、8月1日に予定しているプロスポーツやコンサートなど大規模イベント開催制限の一段の緩和を見直すようだ。今日22日に専門家の意見を聞いて期間などを決めるようだ。また、新型コロナウイルスのクラスターが発生したときに濃厚接触者を追えるよう、キャバレーやスナックなどの客にアンケートを実施して連絡先の届け出を求めるという。

 

これらの対策変更は、最近、新型コロナの感染者数が急増していることに関連している。急増の原因は、様々な自粛解除や、若者を中心に恐怖感が薄れてきたことがあるだろう。どうも、「新型コロナへの恐怖」が、人、年代、地方及び国の行政機関、などで、バラバラなようである。それに簡単に影響されて、日本政府は迷走をしている。

 

昨日書いたように、学者の間でも同様で、声を震わせて恐怖を強調する学者(児玉龍彦氏)がいる一方、既に免疫は出来ているという学者(上久保靖彦氏)もいる。これらの方々も学者としての意見なのか、もしそうだとしても、能力は確かなのか、或いは、ある政治組織の意向で動いている、または利用されている可能性がないかなど、注意が必要である。

 

児玉氏は、朝日の政治的色彩の濃い論説委員とペアで解説している。また、過去にも原発問題で声を震わせた人である。https://www.youtube.com/watch?v=y6W83Y85zJs&t=2052s

 

本当はどの程度恐ろしい病気なのか、その大凡の把握を行政は先ず確立すべきである。この病気が、もし河添恵子さんの言うように、少なくともある時点から、ある目的を持って意図的に流行するままに放置されたのなら、その目論見に乗らないことが重要である。

 

河添恵子さんの考えは、新型コロナの原因ウイルスであるSARS-COV-2は、中国共産党政府(中共)が意図して開発或いは開発中であった生物兵器であり、その漏洩は意図したかどうか分からないが、現在の情況は、将に意図した通りの情況であるということである。https://www.youtube.com/watch?v=r9u5Na-1SxA

 

新型コロナによって、世界の経済と政治は、大きな影響を受けている。アメリカ・ファーストの政策により、大きな経済的困難に直面しつつあった中共にとって、新型コロナの蔓延によりトランプ大統領の再選が危うくなってきたのは、河添恵子さんの説を採用すれば、将に狙った通りである。

 

ジョー・バイデン氏は、先週土曜日にも書いたように、家族ぐるみで中共とはズブズブの関係にあった。当選したなら、トランプの反中国政策を撤収することが考えられる。これも将に目論見通りだろう。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12611833141.html

 

更に河添さんは、現在の世界の情況は、100年に一度の激変期にあり、半年前に戻ることを前提にした経済対策は、金を捨てるようにことになりかねないと指摘している。日本では今、新型コロナが猛威を振っているという情況ではない。

 

新型コロナへの恐怖がマスコミやそれを牛耳る人たちにより拡大され、日本を締め付けていると言っている。それは正鵠を射た意見であると思う。

 

2)国会で、悲惨なシナリオを述べる児玉教授を呼んだのは何処の政党なのか?

 

この方を国会に呼ぶのなら、「日本では既に集団免疫が出来上がっている」という意見を持つ、京大大学院医学研究科のの上久保靖彦氏を呼び、両者の議論を通して、真実の姿に近づくべきである。下の動画は、半分パニックになったように証言する児玉龍彦教授である。https://www.youtube.com/watch?v=v6l06tdaPVA 

 

児玉龍彦氏は、以前に日本人などアジア人は新型コロナに対してある程度免疫を持っているという上久保靖彦氏と同じような説を支持してきた。それが、日本が欧米に比較して被害が少なかった原因だと言っていた。日本人特有の免疫蛋白IgMとIgGの現れ方が、その証拠だと解説している。https://news.yahoo.co.jp/articles/6455d8ed1b4eef12418919210af12b92e7505fc0

 

児玉氏は、最近の急激な感染者数の増加でパニックになったのかもしれない。この方は、上述のように原発に対しても非常に感情的な意見を国会で述べたことがある。つまり、そのようなタイプの方を、政権内のある勢力が利用するために国会に呼んだのだろう。(補足2)

 

最近、検査数を増やして陽性者を出来るだけ大勢拾い上げる努力をしている。そして、その感染者数と、死者と重症者がかなり出ていた頃の感染者数を同列(でないと言いながら)に扱って、パニックを煽っているように見える。新型コロナへの国民の恐怖心が、政治利用されているのではないのか?

 

東京の実効再生算数は7月4日以来、1.62から1.21(7月20日)に減少している。https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/ それでも尚、恐怖を煽る児玉氏の主張は、そして児玉氏と話を合わせる親中派朝日放送の金子勝氏の意図はなになのか。https://www.youtube.com/watch?v=y6W83Y85zJs&t=2185s 更に、その児玉氏を国会(予算委員会)に呼んで証言させ、日本の経済を破壊しようとする勢力は何なのか?

 

河添恵子さんの意見に戻る。このようなパニックは、経済的困窮が民主主義の国々にとっての弱点であることを知っている中共政府の期待した通りだろう。(補足3)中共政府は、計画経済に戻る覚悟があるという。米国も欧米諸国も、中共政府との対立の覚悟は今がピークかもしれない。

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/06/blog-post_25.html

 

米国も今は敵対心をもつ元気がある。しかし、民主主義は経済に弱い。経済的に困窮してきたとき、大統領の椅子はトランプから親中派の人に移る可能性がある。EUは中国との関係を再構築するだろう。そして、蒙古帝国も成し得なかった世界制覇を目指す中共政府との和解の話が、各国で始まるような気がする。それは、人類から自由が消える歴史の曲がり角になる。

 

そこから逃れる道は、このコロナ肺炎の正しい理解と防御法の研究開発、香港の人のように勇敢に戦う覚悟を一般市民が持つこと、自由の尊さと独裁の恐ろしさを世界のマスコミが正しく報道すること等、により築かれる。そして、それはアメリカのリーダーシップに掛かっている。

 

 

補足

 

1)GOTO事業とは、観光旅行に補助金を出す政策。需要不足からくる観光業、宿泊業の経済的苦境を軽減する政策。命名はいつものように馬鹿げている。

 

2)児玉教授は、元東大のアイソトープ総合センター長である。医学としては内科学(主に循環器)が専門であり、ウイルス学が専門だとはウィキペディアに書かれていない。

 

3)そこで思い出すのが、ピッツバーグ大医学部の劉兵助教授が殺害された事件である。ピッツバーグ大医学部のワクチン開発が、既に動物実験を終わり、数ヶ月で臨床実験が開始されるとみられていたという。非常に不可解な事件であった。https://news.so-net.ne.jp/article/detail/1966413/

2020年7月20日月曜日

議論の無い日本(II) 新型コロナ戦略も結局個人レベルで立てるしかないのか?*

1)東大の先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授が、昨日の参議院予算委員会で、このままでは東京が感染大爆発の中心地になると、エピセンター(震央地)という新しい言葉を使い、声を震わせて警告している。(今朝のテレビ番組グットラック)

 

その一方、元衆議院議員で元財務省官僚の松田学氏の持論は、COVID-19(新型コロナ)は「ただの風邪」説。その説を、同級生の東大卒の現場医者と共有する。

 

その松田氏だが、昨日公開したyoutube動画で、京大大学院医学研究科の特定教授(補足1)の上久保靖彦氏を呼び、「日本では既に集団免疫が出来上がっている」という説を話してもらい、ご満悦の様子。https://www.youtube.com/watch?v=hF0HBmIFWMs&t=1514s

 

国会議員や国民一般という素人の前で、これらの専門家が全く別の意見を発信している。彼ら情報発信者やその周囲の者たちは、それが不自然だとおもわないのだろうか。私は、後者の動画には、「反対の意見を持つ人を呼んで議論してほしい。松田さんが好きな話を反論なく聞いている動画に一体どれだけの説得力があるのか?」というコメントを残した。しかし、それは殆ど支持されない意見である。

 

この国には議論はない。隣の大国同様、日本を含めアジアの国々の人たちは、議論が重要だとする文化を持たない。ギリシャ時代からの西欧文明が、現在の発展した科学技術社会を、無限とも言える議論の結果として作ったと、ブログで発信しても何の反応もない。発信者の私は、ただ虚しくなるだけである。

 

2)議論の無い社会では、高度な機能社会(機能組織;ゲゼルシャフト)は作れない。日本は、低い労働賃金の間に先進国の輪に入ることができても、その後壁にぶつかり、30年のデフレ時代に入ってしまったのは、高度な機能組織としての会社が作れないからである。

 

つまり、「会社は社会の公器である」というパナソニックの創業者の言葉を、いまだに金科玉条としているのである。公器であるから、雇用をまもることを最優先するが、それは別の角度からみれば、それらの会社は労働力の流動性が低い社会を構成するということになる。その結果、目まぐるしく変わる世界に対応できる会社が、日本には少ないということになる。

 

一般に、法人などの機能集団が高い総合力を発揮するには、どの階層も、複数の個人(専門家)の考えを材料に、個人のレベルを超える高度な考えを構築することが重要である。その各層から、その議論のなかで、上の階層或いはもっと相応しい部署に異動するメンバーも決まることになる。勿論、ある場合は解雇ということもあり得る。日本社会は、そのような労働力の流動性に欠ける。

 

その結果だろうと、素人ながら思うのだが、日本の企業の株価時価総額トップ10社には、昔からの企業がならぶが、米国ではGAFAと呼ばれる企業など、全く顔ぶれが新しくなっている。(補足2)

 

その原因は、日本型の人事にあると思う。つまり、日本での人事では、議論や実績を通してではなく、最初から最後まで顔と名刺で行われる。その結果、管理層には時代遅れの著名人が選ばれ、その結果高齢者で占められる。その結果、組織全体は知恵無く迷走するが、下の者は操縦する管理層を馬鹿にするのみとなる。(補足3)

 

国民の貯金を集めて資金化を行い、世界の企業を買収しても、それら買収企業は日本に買収されたのちは、親企業ともども業績低迷の運命をたどる。東芝のウエスティングハウス、日本郵政のトールホールディングズはその例だが、なんと同じ経営者の西室泰三氏が行った。

 

西室氏は、安倍内閣総理大臣談話有識者懇談会座長になるなど、財界では「肩書コレクター」の異名をとった。個人の攻撃ではなく、日本の人事の特徴を示す為に西室氏の名前を引用させてもらった。一事が万事、この類である。

 

補足:

 

*)議論の無い日本(I)は、今年1月3日の記事「日本の生産性をダメにした5つの大問題について」です。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12564206453.html または、

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/01/blog-post_3.html

 

1)上久保さんの肩書は「京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻ビッグデータ医科学部門特定教授」である。まるでお経の文章のようで、意味はわからない。教授には、ただの教授、特定教授、特任教授、客員教授などがある。これらの別は、名刺を大事にするこの国では大切な区別である。

 

2)日本では、トヨタ、ドコモ、ソフトバンク、三菱UFJ、ンッT、ホンダ、KDDI、MIZUHO、などが並ぶが、米国ではGOOGLE, AMAZON, TESLA, FACEBOOK, APPLEなどが並ぶ。GMではなくTESLAが大きな価値を持つことが、米国の成長を象徴している。

 

3)昨日のテレビ番組「そこまで言って委員会」で、元経産官僚の石川和男氏は、官僚が大臣などに答弁を教える場合、「ご案内の通り」「ご存知の通り」という前置きで、議員が知らない情報を伝えると言っていた。政治家に忖度する官僚の姿が良くわかる。また、司会者か誰かが「官僚たちの中で、この政治家はどう考えても、知性があまりないという話になりますか?」と言った時、その返答は「そうでない人を探すのが困難な位です」と明確に答えた。

2020年7月19日日曜日

COVID-19: アジアの国々の隠蔽体質と中国に対する忖度

COVID-19(新型コロナ;補足1)に対する知識も大凡出来たので、その死者数も通常の死者数との相対的な数値として捉える必要がある。一般に、人口100万人あたりの通常の死者数は、平均寿命から考えて1000人/月(年間約12000人)位だろう。その数字と、新型コロナによる死者数を比較すれば、夫々の国での新型コロナの深刻さが把握できる。

 

ただ、新型コロナでの死亡数としてカウントする基準が各国毎に異なることに注意する必要がある。何故なら、高齢者が一人で自宅で死亡していたとき、持病でなくなったと処理される可能性がたかいことなどを考えると、新型コロナの本当の死者数は、実はわかりにくい。

 

その一方、一部例外を除いてほとんどの国で、死者数の統計に誤魔化しはないだろうと考えられる。そこで、特殊な事情(戦争、飢饉、別の疫病など)が無ければ、その国でのその期間の超過死者数で、新型コロナの死者数を推定することが可能である。尚、「超過死亡」とは、統計学的に予想される死亡者数を実際の死亡者数がどれだけ上回ったかを調べる方法である。

 

この統計的に予想される死亡者数として、例えば5年ほどの平均死者数を用いることは可能だろう。但し、その期間内に特別に考慮すべき死亡原因があった場合、その死者数をカウントしないなどの調整が必要だろう。そこに新たな問題点が生じることも事実である。(補足2)

 

ともかく、新型コロナの陽性診断を受けて、悲観して交通事故を起こしたとか、自殺した様な場合も広い意味で新型コロナの被害者である。それらを特別に統計に入れないなどの操作をしなければ、その超過死亡数での算定には、新型コロナの死者など例外的な死亡者を全て含むことになる。

 

下に示した図は、BBCが6月18日に発表したデータを、テーブルに加工したものである。そこには、上記目的以外の面白い情報も含まれている。

 

2)解釈

 

繰り返すが、統計学的に予想される死亡者数を超えた数字が超過死亡である。この平均的な死亡者数の統計誤差が、超過死亡数の誤差となる。(補足3)ザックリ言って、100万あたり、月に5人程度の超過死亡の原因を深刻に考えるのは愚かだろう。

 

その上で、上の表を見ると、英国、イタリア、スペインの悲惨な情況が分かる。恐らく、医療崩壊や院内感染などが地理的時間敵に頻繁にあったのではないだろうか。それに比較して、ドイツの超過死亡数は一桁小さい。ドイツの経済力とそれによる医療の充実が想像される。

 

データが古いので、米国の5月はじめの人口100万あたりの死者数は295人(以下295人/Mと記す)にすぎない。7月18日現在、この倍程度433人/Mになっている。日本と韓国の新型コロナによる死者数は夫々、7.8人/M と5.8人/Mである。

 

上表で一番おどろいたのは、韓国の超過死亡数である。2月1日から3月30日の二ヶ月の死者数が、新型コロナで163人だが、その他の超過死亡数が2215名と非常に多い。そこで、他のアジア諸国を見ると、新型コロナ以外の超過死亡の割合が軒並み高い。100万人当りの超過死亡数(新型コロナでの死者も含む)は、韓国46.6、タイ 33.9、インドネシア 17.5、日本 2.8である。日本だけ期間が1ヶ月と短いので、この数値は倍にする必要がある。

 

韓国は多いPCR検査数と少ない死者数で、新型コロナ対策の優等生とみなされてきたが、それは嘘の可能性が高い。つまり、文在寅政権は、中国に忖度して、初期の大流行による死者数を誤魔化してきた可能性が高いということになる。(11:30追補:尚、日本の4月30日までの超過死亡数がBBCにより計算されている。それによると、5001(39.4人/M) だそうである。それによると、5001人だそうである。それと4月30日の東洋経済ONLINEでの新型コロナでの死者数は415人である。日本もオリンピックからみの隠蔽か中国に対する忖度か分からないが、相当の後進国度である。救いがたい。https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-53295929

 

アジア圏でCOVID-19以外の超過死亡数の割合が大きいのは、検査数が十分ではないことと、国の隠蔽体質が関係しているだろう。シンガポール、韓国、マレーシア以外では、欧米に比べて検査数が圧倒的に少ない。(補足4)

 

3)追加

 

尚、東京での超過死亡数は以前の記事で月ごとにしか行われていないと書いたが、インフルエンザいの死者数推定のためには週毎の統計が行われていた。国立感染症研究所の行ったその結果が、下図である。

この図では、今年の3月まで、東京での超過死亡は発生していない。このシステムでは3月末までを想定しており、数値の確定は5月だという。従って、新型コロナの死亡者統計には用いられないという。ただ、上図で注目されるのは、今年の2−3月に限れば、新型コロナでの死者が東京で殆ど出ていないことが明白であるということである。

 

補足

 

1)これまで新型コロナ肺炎(COVID-19)としてきたが、COVID-19を用いると、本文を書く時一々活字の変換をしなければならない。そこで、今後はCOVID-19(新型コロナ)で文章を書くことにした。

 

2)平均死者数はおよそ、100万人あたり、平均寿命で割り算をすれば、一日30人位である。そして、冬は夏よりも死亡数が2割ほど多い。それらは全て、「統計的に予測される死亡者数」に含まれる。日本ではインフルエンザで超過死亡を調べるシステムを持っていたという。国立感染症研究所では検査が行われずに見逃されてしまう新型コロナウイルスの死亡者数を推計できるよう、東京大学と共同で新たな調査システムの開発を進めているようだ。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200630/k10012489821000.html?utm_int=news_contents_news-main_006

この程度のことは、人口統計と出入国管理を、デジタル的に一元管理すれば可能である。コレが難しいというのは、日本は途上国並の非独立国だということになる。

3)超過死亡数を出す際、その基準となる死亡者数の算定がある統計誤差を含む。その誤差が、そのまま超過死亡数の誤差となるだろう。通常は標準偏差(平均からのズレの二乗平均値をデータ数で割った値の平方根)を超えた場合しか、意味のある数値とみなさない。兎も角、統計的に意味のある数字を出すには、やはりその国の人口統計がしっかりしていないと難しい。データを一元管理し、且つデジタル的にアクセス可能にすれば、この種の統計は簡単に出来そうだが、何がネックになっているのか分からない。

 

4)7月18日現在のWorldmetersのデータによると、人口百万あたりの検査数は、アジアの各国で、以下のようになっている。シンガポール172494、韓国28480、マレーシア 26815、タイ8647、日本 4952、インドネシア 4389である。

https://www.worldometers.info/coronavirus/#countries

2020年7月18日土曜日

ジョー・バイデン氏は自分が次期米国大統領候補に相応しいことを証明すべき

現在、世界は危機にある。その原因の一つは言うまでもなく、①新型コロナ肺炎(COVID-19)のパンデミックである。それとも関連して、②自由主義世界が中国の非人道性と戦うことになったこと、また同様に、③経済活動が再開できないことによる需要不足型大不況が先にひかえていること、等である。

 

これら三つの問題は相互に関連しているが、同一ではない。従って、政治はこれらの問題を最小化するために、優秀な感覚と実行力の指導者を必要とする。更に、自由主義世界の民衆には忍耐と努力が期待される。どちらが欠けても、自由主義圏の我々に明るい未来はない。

 

前回の記事で、世界帝国を目指す中国共産党政権の脅威から、自由主義世界を衛る為の戦略を立てる良い機会が、疫病パンデミックの結果として訪れたと書いた。(補足1)蒙古帝国のチンギス・ハーンやフビライ・ハーンは、13世紀に世界支配を目指して、東は日本までを西は欧州全体を制覇しようとした。COVID-19のパンデミックが、欧米や日本などに、その恐怖のシナリオを気づかせた。

 

この病気の武漢での流行を北京は何故隠したのか? その病気の人人感染を、中国が最大の援助国であるエチオピア出身の人物を使って、WHOに対して口止めをした理由はなにか? (補足2)武漢で感染拡大が進んだ後、武漢市の閉鎖を決断しながら、その実施前に500万人を武漢の外に出したのは何故か? そして何故、50万人を海外に出したのか?

 

その後、世界での被害が広がると、そのSARS-Cov2ウイルスを、2019年10月武漢で開催されたミリタリーワールドゲームズで、米国が持ち込んだという主張をした根拠はなにか? 米国の責任なら、上記のように隠す必要などないのではないか?

 

これらの経緯から、中国は国際的信用を失った。

 

中国製造2025など、世界の先端工業生産のシェアを高め、世界の政治と経済を支配下に置くのが、中国の目標である。ウイグルでは監視カメラと顔認識システムを用いて、すべての個人を監視の対象にする。先端通信システムを支配すれば、そのやり方を世界中の個人の支配すら可能となる。(補足3)

https://www.sankei.com/photo/story/news/191125/sty1911250018-n1.html

 

デジタル支配が可能になった現代、そしてそれに続く近未来ほど、社会の制度や世界の支配システムに、「道徳と善意」が要求される時代はない。その世界のリーダーになる国として中国共産党政権は相応しいのか? それが今、世界中の国々のリーダーに問いかけられている。そして、現在世界のリーダーである米国の市民に問いかけられている。

 

その大きなテーマを抱えて行われるのが、今年11月の米国大統領選挙である。共和党からはトランプ現大統領が、民主党からはバイデン氏が立候補する。そのバイデン氏は、上記のような世界のリーダーとしての米国を担う人材なのかと考えた場合、私は有権者ではないが、その影響を受ける国の一市民として、ふさわしくないと言わざるを得ない。

 

2)ジョー・バイデン氏は次期米国大統領になってほしくない

 

昨年10月15日のブログ記事に書いたように、ジョー・バイデン氏の息子のハンター・バイデン氏と、前オバマ政権時代の国務長官のジョン・ケリー氏の義理の息子デバン・アーチャー氏は、共同で投資会社ローズモント・セネカという会社を経営している(又は、していた)。この会社に、ウクライナのエネルギー企業のブリズマから90万ドル振り込まれたという話は、テレビ東京でも放映されている。ウクライナ疑惑である。

https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/nms/news/post_187727/

 

そのローズモント・セネカという会社は、中国に巨額投資する代表的米企業である。大紀元時報によれば、ハンター・バイデン氏は、株式未公開の中国の投資会社の取締役を務めるなど、巨万の富を中国で得ている。

 

また、ローズモント・セネカが設立した米中合弁の会社「渤海華美」は、中国の新興企業Megvii(北京曠視科技有限公司)が開発した顔認識プラットフォーム「Face++」に投資している。Face++の顔認識技術は、中国公安当局が監視システム構築のために採用している。https://www.epochtimes.jp/p/2019/10/48157.html

 

これだけの関係にあるジョー・バイデンを次期大統領にするなら、米国市民は欧州やそのほかの民主主義国の国民を裏切ることになると思うが、どうだろうか。

 

最近、ジョー・バイデン氏は、現在の世界の苦境から考えて、とんでもない計画を公表した。それは、2京ドルを投資して、発電所からの二酸化炭素の排出を2035年までにゼロにすること等の、クリーンエネルギー計画である。

https://edition.cnn.com/2020/07/14/politics/joe-biden-clean-energy-plan/index.html

 

COVID-19での経済の疲弊から回復するためには、国家による財政出動が期待される。しかし、先ずは従来型の火力発電を用い、その電力を使う筈の工場、商業施設、研究施設、様々なサービス業種の営業再開と需要喚起を目指すべきである。

 

また、現在基本的人権の確保が世界中で危ぶまれている時、その原因は何処に在るのか、アメリカが取るべきリーダーシップはどのようなものなのか、それを明らかにするのが、次期大統領の責務である。それよりも、自分と自分の息子と中国との関係、そして、民主党関係者と中国との関係を明らかにすべきだと思う。

 

(大きな編集あり。7/19/12:20)

 

 

補足:

 

1)米国オバマ政権では、南シナ海での航行の自由作戦すらまともにとれない情況だった。つまり、中国の軍事的脅威と経済的力の双方があまりにも大きくなってしまい、米国と言えども、強力な作戦が取れなくなったのである。中国と米国の経済的関係もあまりにも密接になってしまっており、相当の覚悟を国民の総意として作り上げなければ、中国とのデカプリングは不可能に思えた。しかし、今回の新型コロナ肺炎での中国の姿勢、更に香港での国家安全法の制定は、米国など自由主義社会の反中国的団結を可能にした。この機会を逃せば、その後は、新中華地球帝国への坂道を転げ落ちることになると思う。

 

2)以下に引用の朝日新聞の記事を読んでもらいたい。https://www.asahi.com/articles/ASLCN6GG9LBSUHBI02H.html

 

3)世界の人口は高々10ギガ人である。各個人に1000バイトの情報を割り当てても、合計10TB(テラバイト)の記憶容量に収まる。現在のコンピュータ技術では、10TBの記憶容量のシステムなど各家庭でも持てるレベルである。あとは、顔認識システム等の監視システムと高速通信システムがあれば良い。それらは小規模(一千万以下)だが、すでにウイグルで実験済みである。

2020年7月16日木曜日

米国グローバリストと民主党によるトランプ攻撃

 

1)トランプ落選を狙い選挙干渉する人達と中国共産党の真実を知る中国人達

 

現在、民主党支持者とWall Streetのグローバリスト達によると思われるトランプ攻撃が激しくなっている。トランプの姪に当たる人を探し出して、トランプ攻撃の本を出版させたようだ。その概要は、“chukaのブログ”さんの記事に肯定的に書かれている。https://ameblo.jp/chuka123/entry-12609793167.html

 

私のこのトランプ攻撃を批判するコメントに対して、以下の返答をもらった。「姪の目的はトランプの再選を防ぐということです。要は精神疾患性格障害があり大統領には不適格者ということの主張です。中国経済制裁については私も反対です。他の方法を取って貰いたい。」

 

一族の醜聞を材料に、トランプは人格障害だという印象を振り撒くために、本を書いたのだろう。今発売するのは、トランプを大統領戦で落とすことを狙う人たちに売れるからだろうが、国家のことや選挙妨害の違法性など気にせず金儲けに走る浅ましい姿を世界に宣伝していることになる。ボルトンの本以上の打撃をトランプに与えることが期待されているようだ。病的なのは大統領選の二人の候補というより、米国という国全体の分裂病的症状である。

 

米国はそんな泥仕合に現を抜かすのではなく、今回の①新型コロナ肺炎(covid-19)の大流行の原因を作り、近代以降の人類史上類を見ない醜悪なる民族虐殺と迫害を繰り返す中国共産党政権に対して、世界のリーダーとして対峙すべきである。

 

ここで安易な融和策をとれば、世界は最終的に中国の一国支配となり、世界の欧米先進国に残る批判勢力は、言論の自由、行動の自由、命の保障もされず、単に臓器移植の材料にされるだろう。その意味で米国がバイデンを次期大統領に選択すれば、欧米が築き上げた基本的価値、法の支配、民主主義と基本的人権が、バーミヤンなどの古代遺跡のようになる可能性が高くなるだろう(補足1)。https://www.youtube.com/watch?v=0FoFFDyEzJI

 

2)中国共産党政権を近代の基本的価値の破壊者として批判する中国出身の人たち

 

香港国家安全法は、上述のように、法治主義、民主主義、基本的人権などの基本的価値を一顧だにしない中世の帝国の規定である。国家分裂や転覆を目指すような行動言動は、国外で外国人によって為されても、この法を根拠に犯罪とされる。その規定は、中国共産党政権は元々世界制覇を目指す帝国であり、あの蒙古帝国の現代バージョンであることを明確に示している。

 

中国(以下、「中国」は中国共産党政権を指す)は米中で世界を二分して、覇権を共有することを考えているという人は多いかもしれない。しかし、本当の中国共産党を知る人は、中国人にしかいないだろう。その一人、ハンドル名「MOTOYAMA」という中国の方は、中国は世界支配を目指しており、それは経済的小国の時代から一貫しているとyoutube動画で証言する。この方の意見は、これまで何度も紹介した。

 

香港の人で、それをはっきりと告発するのは、実業家のエルマー・ユエン氏である。ユエン氏は、中国共産党政府は非合法組織であり、従って、そのように国際的に指定すべきだと主張する。Covid-19の全世界への流行と現在でも50万人以上の死者を出したのは、中国の犯罪的行為である。それを批判せず、未だに中国と経済関係を維持しようと考えるグローバリストの考えは間違っていると指摘しているようだ。

https://www.youtube.com/watch?v=SAetPbN1qdc

 

更に、香港大学のウイルス学分野の研究者だったYan Limeng(ヤン・リーメン)氏は、全人類をこのCOVID-19という未知の病気から救うために、上記①コロナ肺炎の大流行の原因等に関する事実を明らかにするべく米国に亡命したという。

 

ヤン・リーメン氏は、今世紀最大の人類の不幸となる可能性があるCOVID-19の発生とその特徴を、中国とWHOが隠蔽したと告発している。香港でその事実を公表すれば、消される恐れがあるので、家族も友人も残して香港を離れたと話す。https://www.youtube.com/watch?v=B0gPCRNUz_E

 

3)バイデン氏は米国大統領として、西側自由主義圏のリーダーにはなり得ない

 

ウイグル民族などを虐殺し、香港の住民を弾圧する中国に協力的な人物としては、民主党のバイデン候補が代表的である。(勿論、ヒラリークリントンもその一人である。)バイデンは、家族ぐるみで中国政府と事業を展開して、利益を得ようとして来た人物である。現在では、バイデン候補も、中国に対して厳格に臨むと発言している。しかし、過去の実績と正反対の主張は、信頼出来ない。

 

勿論、彼の支持者たちは、普通の姿勢では当選がおぼつかないので、現職大統領の人格攻撃をゴミ箱から拾ってでも繰り返すのだろう。オバマ政権の時代の中国を担当していた経験から中国とは長い付き合いの筈である。上記の中国の本質を知らなかったという言い訳は通用しない筈である。

 

勿論、経済への影響を考えると非常に困難な仕事となる。しかし、バイデンでは中国の犯罪行為の①と②の責任追及などできない可能性が高い。何故なら、バイデンは上述のように、オバマ政権のときに中国を担当し、共産党支配の中国の味方と見えるからである。バイデンの息子と中国の関係は、ウクライナ疑惑で盛んに言及された。

https://www.youtube.com/watch?v=6W0eOp54PVM

 

実際、ワシントン・ポスト(7/13)も、冷戦2.0(つまり米中新冷戦)で西側陣営をリードするには、バイデンを大統領にするのは間違った選択であるいう論説を掲載している。

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=6W0eOp54PVM

https://www.washingtonpost.com/opinions/2020/07/12/biden-is-wrong-choice-lead-west-through-cold-war-20/ (後者はオリジナルな論説)

 

米国上下両院は、この中国共産党政権を潰すべきだと、幾つもの法案を準備した。その姿勢をトランプは行政のトップとしてそれらに署名し法案を成立させた。(香港自治権法:7月14日署名)更にトランプ政権は最近、ウイグル人迫害に加担した人物を制裁名簿に記載した。これはウイグル人権法や香港人権法などに絡んだ最初の制裁となる。

https://www.youtube.com/watch?v=kX7jSEP06R0&t=198s(補足2)

 

4)米国の国論を分断するユダヤ資本家たち

 

このような状況下でも、あのジョージ・ソロスはバイデンを応援し続けている。ジョージ・ソロスのオープンソサエティー財団は、トランプが大統領になった途端に、米国とメキシコの国境にホンジュラスなど中米諸国からの難民を送り込んだと言われる。また、Black Lives Matter運動の影の存在として、ソロスと民主党が疑われている。

 

彼らは、トランプを次回選挙で落として、民主党の候補のバイデンを大統領にしようとしてきた。最近(すでに述べたように)、上下両院で中国制裁法案が可決されているが、それは民主党の中にも米国と自由主義陣営を中国から守るべきと、考える人が多くいるのだろう。(補足3)それが一部に留まるのは、未だバイデンが民主党大統領候補として存在することでわかる。

 

つまり、民主党のかなり多くの議員が、ジョージ・ソロスなどグローバリストの影響下にあることを示している。そして、オバマ時代に中国が巨大な帝国になるのを放置したのは、民主党とジョージ・ソロスらのグローバリストがそれを良いことと考えたからである。

 

何故彼らは中国を応援するのか? その動機は広いスペクトルを持つだろう。ネオコンと呼ばれる人たちのように、個人的な投資益を考えただけの動機から、ユダヤ系資本家などに推測される歴史的な背景からくる動機もあるだろう。

 

ソロスはナチスのホロコーストの生き残りであり、あの戦争の被害者である。ソロスは、人類の不幸の原因は国境、或いは国家の存在だと考えているのだろう。その国家或いは国境が消えるとしたら、グローバリゼーションが極限まで進んだときである。そのとき、世界から覇権国は無くなり、国連やIMFのような国際機関だけが権力を握ることになると考えているのかもしれない。

 

これまでの米国を影で支配していたのは、ユダヤ系資本家が中心のグループである。(元ウクライナ大使の馬渕睦夫氏の説)その米国は、現在没落の途上にある。それは、ソロスの仲間であったジム・ロジャーズの言葉でも明らかである。https://dot.asahi.com/wa/2020031800086.html

 

更にジム・ロジャーズは、「米中は協力し、世界を幸せにすべきだ」と言う。https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00087/052700048/

天才的な頭脳を持っているにも拘らず、ウイグルやチベットでの中国の仕業を知りながら、このような意見を発表する。かれらは、米国の次には、彼らの知力と財力で中国を支配し、中国を(モノポーラーな)世界の中心にするつもりなのかもしれない。

 

しかし、国境なき世界の構築も、それ以前の段階での中国の支配も、彼らのシナリオは上手く行かないだろう。つまりそれらのシナリオ(トロツキーの主張した世界の共産党支配や昨今のグローバリズム)に対する人類歴史上の役割は、彼らの私的利益を上げるための建前に過ぎないのだろう。彼らにとって、私的な利益の圧倒的な拡大こそが、ディアスポラの民として堂々と生きるための条件なのだろう。(午後6時30分編集;翌朝にも軽度編集有り)

 

 

補足:

 

1)1200年代に蒙古襲撃により破壊が進むが、2001年にタリバンによりほぼ完全に破壊された。一つの考えで閉じた世界となれば、狂気と正常の区別さえ出来なくなる。この大仏同様、中国の香港において制定した国家安全維持法は、欧米が築いた世界の近代の価値を全て破壊するだろう。

香港の国家安全維持法は、その対象を全世界の人に広げている。それは、中国共産党政権が、世界支配を念頭に置いている証拠でもある。その詳細が6月の23日の時点で、元中国人の石平氏により解説されている。中国共産党政権の本質を知るのは、中国出身の方のみである。https://www.youtube.com/watch?v=w8MFTPVnTVk

 

この動画にたいして、「習近平首席は愚かであるというのは、西欧の価値観で西欧側から見た結論です。中国共産党政権は中世の帝国ですから、その先に見る目標は国民に対して経済的繁栄をプレゼントすることではなく、現体制による世界制覇です。共産党幹部たちは、民主化後の豊かな中国に住める人ではないので、自分たちの帝国を守るためには当然の香港国家安全法制定だと思います。」というコメントを残した。何故なら、閉じた中国にいる習近平は、そして、中国共産党政権以外で住めない習近平には、石平氏の言う「賢と愚」の区別などできる筈がないのだ。

 

2)制裁は具体的にはマグ二ツキ−法という冷戦時代の法律を用いるようだ。そのウイグル人権法などとの関係については、以下の記事をご覧いただきたい。Reutersの2019年12月4日 / 10:33 /の記事である。

https://jp.reuters.com/article/usa-china-xinjiang-idJPKBN1Y805A

 

3)米国の政治家は、日本の政治家とは異なり、自分自身の考え方を優先する。従って、日本のような党議拘束という民主主義の原則に反するような制度はない。

2020年7月15日水曜日

乱取りと明治維新の過ち(再録)

以下は、2015年に掲載した文章である。すでに GOOGLEブログの中では、検索できないので再録する。

 

乱取りと明治維新の過ち

 

表題の中の「乱取り」は、原田伊織著「明治維新という過ち」(毎日ワンズ、2015/1)の中にあったショッキングな過去に存在した出来事を表わす単語である。広辞苑(第2版)を見ると、「乱取り」という言葉には二通りの意味がある。一つは、“柔道で各人が自由に技を出し合い練習すること”であり、「乱取り」は現在この意味で日常よく使われる。しかし、広辞苑の最初に現れるのは、“敵地に乱入して掠奪すること”という説明であり、こちらがオリジナルであることが解る。

以下、「明治維新という過ち」に書かれた「乱取り」に関する記述をまとめる。“戦国時代から安土桃山時代の戦いは、武士の指揮に従って農民が戦い、兵士の大多数は農民であった。その戦いの後で、勝った側が負けた側の村を襲い、掠奪、強姦、なぶり殺しなど倫理の欠片もない行動に出る。最も金になったのが、女子供などの人であった。掠奪された人は国内で売買されるだけでなく、薩摩などからポルトガルの黒船に載せられて、東南アジアに売られたと言う。これにはイエズス会も加担しており、豊臣秀吉がバテレン追放令を出した目的が、直接的にはこの南方への奴隷売却を怒ったからである。”

このバテレン追放令の理由は、ウィキペディアにも書かれている(https://ja.wikipedia.org/wiki/バテレン追放令)。生きるためとはいえ、凄まじい人間の姿である(注釈1)。原田伊織氏がこの話を引用したのは:”(1)所謂“明治維新”が実現したのは、薩長(特に長州)の下級武士や中間以下の者達が武士道の欠片も持ち合わせなかったため、執りうる手段の範囲が、江戸や京都での無差別テロから天皇の拉致などまで、大きく広がったからである;(2)その倫理観の無さは、下級武士達が貧しさの中で持つに至った醜悪なる本性である”、という自説の傍証の一つとして利用する為である。つまり、薩長の”維新の志士”たちがあの様なテロが出来たのは、武士道などを持ち合わせていない下級武士だからであり、その源流へと遡ると戦国時代の半農半兵的な者達による乱取りにぶつかる、と言いたいのである。

「明治維新という過ち」は、幕末から明治維新に関して、あのような残酷騒動(薩長の京や江戸でのテロリズムや戊辰戦争)は不要であったという視点で書かれている(注釈2)。また、半藤一利氏の本「幕末史(新潮文庫、2012/11)でも、第二次長州征伐から戊辰の役は不必要な戦闘であった可能性を示唆している(第6章、4番目のセクション、“開国が日本の国策となった日”(p217〜225))。

最終的には革命「明治維新」に至る“騒動”が、元々ペリー来航から始まった”諸外国とどう付き合うか”という問題が出発点である。幕府の外交能力は、井上勝生著の「幕末・維新」によると、相当高かった(注釈3)。日本国であの様な騒乱になったのは、「皇統の維持」と「開国して諸外国と通商すること」が矛盾すると“生理的”に捉えた孝明天皇の攘夷に拘る姿勢が、薩摩などの外様大名、長州などの下級武士、岩倉具視などの平公家に、騒乱を起こす為の舞台を与えたことが大きな原因だろう。しかし、仮に孝明天皇が、最初から幕府を頼りにする姿勢を持ち、徳川と諸藩及び公家の協力で改革を進める案に同意したとして、また、一橋慶喜の様な知的に優れた人が14代将軍になっていたとして、近代日本の姿は世界史に出現しただろうか。

つまり、武士の特権を全て廃止するという革命なくしては、近代工業国家日本は成立しなかっただろう。また、そのような革命は中途半端なことでは不可能だったと思う。主題となっている歴史的出来事の延長上に生じた、現代文明社会の恩恵を受けている人間が、過去の一時点での歴史的出来事を記述する際に、悪の烙印を押す様な表現は適切ではないと思う。

また、薩長の行なった京や江戸でのテロリズムや守旧派の殲滅作戦が、悲惨だとして現代の感覚で批判することは、間違っていると思う。逆に、結果としての現在の高度に工業化された状態を成功とする判断を基に、安易に、明治維新のときのテロ行為を肯定したりすることも同様に間違いだと思う。つまり、歴史はその本質として評価が非常に困難であり、少なくとも後世の視点で裁く、つまり、評価するのは、全く愚かなことであるということである。例えば、“乱取り”や“切腹を行なう武士”が理解できないのなら、明治維新の時代に生きた人々の心情やミクロに見た歴史の夫々の出来事は理解出来ないだろう。

「明治維新の過ち」の著者は、そのタイトルに調和する様に、乱取りを完全な悪とし、明治維新の中で大きな働きがあった、西郷隆盛、大久保利通などの薩摩の下級武士達、長州の若い下級武士達が、その悪を継承しており、それがあのような命の浪費の原因であったかのように書いている。有用な知識を与えてくれた「明治維新の過ち」であるが、非常に感情的に幕末の倒幕運動を記述している様に思う。

幕末と明治時代に起こったことは、封建社会から絶対君主制(立憲君主制という人もいる)への革命である。勿論、数々の悲惨な出来事はあったが、結果としての犠牲者は、非常に少なかったというのが歴史家の考えだと思う。例えば、近代史の専門家である井上勝生氏の「幕末・維新」の前書きには、”地勢上、有利な位置にある日本においては、発展した伝統社会のもとで、開国が受け入れられ、ゆっくりと定着し、そうして日本の自立が守られた、というのが本書の一貫した立場である”と書かれている。 

ズブの素人であるが、私の考えを書くと、江戸幕府の解体とその時の上流階級である”武士”の廃止という至難の作業が、攘夷という時代錯誤の天皇の頑強な意志と、尊王という看板を掲げる下層階級の武士や下層の公家(平公家)達との、時として敵対があったものの(注釈4)意識しない連携で、奇跡的に最少の犠牲でなされたということになると思う。しかし、薩長政権には統一国家の旗頭に天皇を頂く以外の方法は浮かばなかった。出来上がった”万世一系の天皇之を統治す”という明治政府は、その後の大国主義(皇国史観)的国策をとる破滅への道を創ることになるが、それは孝明天皇の無謀な攘夷思想と同じ遺伝子の国家であったからである。それは、日本人民にとっては近代化の代償としての不幸な側面であったのだろう。この一般における皇国史観は、吉田松陰などに影響を与えた水戸学に源があると、”明治維新という過ち”に指摘されている。

補足:


1」人口を決めて来たのは、食料生産量であった。つまり、人口の調節は、下層民の餓死によりなされて来たのである。この事実を理解できなければ、乱取りも切腹も、そして歴史も理解できない。しかし、我々現代人には到底理解不能だろう。人口の歴史的推移:http://www.hws-kyokai.or.jp/gazo-toukei/g-1-1.jpg」。


2)前回の「明治維新とは何だったのか?」では、「明治維新という過ち」の中での、歴史に関する現在の通説が、明治時代に実権を握った長州の山形有朋らにより書き換えられたものであるという記述について、肯定的に書いている。今回の記事は、”過ちだった”という同書が行なった評価の面で幾分否定的に書いた。


3)井上勝生著「幕末・維新」(岩波、2006/11)は、近代史を専門とする歴史家が歴史の入門書として書いた本であり、解り易い良い本だと思う。幕末の外交は、その第一章でかなり詳細に解説されている。幕府の外交担当官の能力は、アメリカやロシアなどの諸外国の外交官以上だったと書かれている。


4)孝明天皇は慶喜の幕府を頼りにしたが、尊王攘夷派は倒幕派という本当の姿に変身して、孝明天皇が邪魔になった。

 

2020年7月9日木曜日

トランプは対中国で落とし所を探しているのか?:遅れる香港自治法案署名

トランプはWHOから脱退を宣言した。それを「堪忍袋の緒が切れた」と形容するのは宮崎正弘氏のメルマガである。その一方、WHOに責任をなすり付けて、その背後の大悪北京については、制裁できないのかもしれないと疑う中国の方(ハンドル名:MOTOYAMA)もいる。私は後者が正しいと思う。https://www.youtube.com/watch?v=XiNDY9tDaeM

 

トランプは、人権や法治原則など米国の看板思想(補足1)には無関心であり、利益を第一にする点で中国の習近平と似ているのだろう。習主席に、大統領選では農業票が大事なので、大豆や小麦の購入を依頼したとか、ウイグルのキャンプ建設に賛成したという話があるが、それも100%嘘ではないだろう。

 

7月2日に上院に於いて全会一致で可決した香港自治法案を机において、もう一週間になる。未だ署名していない。その代わり、WHOから脱退した。新型コロナの責任をWHOに負わせて、中国の責任追及をしたくないのだろう。(上記動画の19分)

 

トランプ政権の内部に中国を追い詰めることに反対する人が二人いるという。 娘婿のクシュナー氏と財務長官のムニューヒンである。要するに、ウォール街やユダヤ系の人は、差し当たり中国と住み分けるという考えを持っているのだろう。(上記動画17分過ぎ)

 

そのようなホワイトハウスの姿勢を報じた記事が、香港のメディアから出ていた。(South China Morning Post, 6/25)米国の政治専門誌のPoliticoの記事の転載である。Politicoの記事の表題は:GOP senator blocked China sanctions bill he supports, at request of White Houseであり、翻訳すると、「共和党上院議員が支持する中国制裁法の成立をホワイトハウスの依頼で止めに入った」である。(補足2)

 

この香港自治法案は、上に書いたように7月2日に成立したが、その後トランプによる署名がなされていない。上記記事は6月25日のものだったので、この署名の遅れは、上記記事の信頼性が高いことを証明している。

 

ピーター・ナヴァロ(この類の人達をChina hawkと呼ぶらしい)などの考えは理解できるが、もはや時代はそれを許さないのだろう。この法案の成立を7月3日に報じたNHKの記事も、アメリカ議会 “香港自治法案”通過 提案議員「我慢の限界」という表題で報じている。

 

但し、我慢の限界は、ちゃぶ台返しを意味しない。上記のポリティコの記事などでも分かるように、建前上法案を通さざるを得なかったというだけである。これから、米国は落とし所を探すことになるだろう。そして、日本は習近平の招聘の準備をすることになるのだろう。(補足3)

 

バイデンが、そのトランプを批判すれば、大統領当選間違いなしである。天秤ばかりがひっくり返るようなことを、どんでん返しという。このどんでん返しの結果は、「大山鳴動ネズミ一匹」の記事で心配した通りである。結局、2年前の西部邁氏との議論で伊藤貫氏が言っていたように、米国は中国依存から抜け出せないのだろう。そして悲しくなるのが、日本の情報能力のなさである。

 

あの馬渕睦夫元ウクライナ大使や何時も重要な知識を与えてくれる及川幸久氏らが、トランプ支持を何時まで続けられるのだろうか? 

 

 

補足:

 

1)人権、平等、法治主義などは、米国の国是だとしても、それは所詮表向きのものである。もっとも、国家とは表向きがもっとも大事だろう。

 

2)その結果、中国の香港への継続的な介入に対し強制的制裁を課す超党派法案は、広範な超党派の支持があるにもかかわらず、米国議会で足踏みをしています。

https://www.politico.com/news/2020/06/24/kevin-cramer-blocks-china-sanctions-bill-338246

 

3)今日、ハーバードやMITが留学生のビザ制限について、訴訟を起こした。トランプ政権の対中国留学生の入国制限が、私立大学経営に障害となっているからである。中国は計画経済に戻ることまで考えていると、6月25日のブログ記事に書いた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12606678556.html

あれは、「貴国はこのレベルの覚悟が出来ますか?」という米国に対する脅しなのだろう。

7月5日には、本格的に中国制裁に動く可能性が少し出てきたと書いた。それは、ポンペオ国務長官の「中共が各国に選択を迫っている。その選択とは、米中のどちらかではなく、自由と暴政のどちらかを選ぶかである」というかっこ良い言葉があったからだが、一流の口先パーフォーマンスだろう。中国は安心して、香港を飲み込み、その4400億ドルの外貨を手に入れたのだろう。

 

 

2020年7月8日水曜日

豪雨と熱帯夜とCO2の関係

最近数十年ぶりの豪雨が毎年発生している。また、夏には熱帯夜が増加している。これらは伴に空気中の二酸化炭素(CO2)濃度増加によると考えられる。今回は、豪雨と熱帯夜という現象から、地球温暖化を考えてみたい。豪雨は、地球表面の熱を効率よく宇宙に逃がす役割を担っているのである。

 

尚、地球温暖化の問題は既に2014年に議論をまとめ、2019年に再録した(記事1)。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2019/11/blog-post_16.html 地球温暖化の事実そのものも、否定する向きもある(補足1)ので、その確認の意味で同じ年に書いたのが、海水温の上昇から温暖化の事実を示した記事である。(記事2)

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2019/10/blog-post_27.html

 

 

1)熱帯夜の観測結果と温暖化:

 

図(1)に示したのは、東京(気象庁観測地点)での猛暑日と熱帯夜の日数の経年変化である。戦後すぐ、東京は都市化をほぼ完成しているので、その後1990年ころまでの猛暑日の日数は、平均してほぼ横ばいである。しかし、1990年ころからの猛暑日の増加は目立つようになった。恐らくその原因は、他国由来の所謂地球温暖化だろう。

 

尚、図中の説明にも書いたが、2018、2019年の(猛暑日、熱帯夜)の日数は、夫々(12、42)(12、28)である。

 

一方、図1右の熱帯夜の日数は、戦後から一貫して増加している。日本経済が停滞期に入ってからも増加している。つまり、都市化が飽和状態の東京のこれらデータは、他国特に中国等でのCO2発生増加によると考えられる。(補足2)ただ、猛暑日と熱帯夜の発生は互いに原因と結果の関係でもある。熱帯夜の翌日晴れていれば、猛暑日になるだろうし、猛暑日の夜、放射冷却が十分でなければ熱帯夜になる。

 

そこで、同じ猛暑日を記録した年 (1942, 1978, 2007;合計7日)、(1947, 1961, 2002, 2012;合計6日)、(1953, 1970, 1991, 2005:合計4日)で、熱帯夜の出現がどう変わったか調べた。上記記載順に並べると、熱帯夜の数が (24, 39, 31)、(14, 26, 33, 48)、(14, 18, 33, 31) となり、後になるほど熱帯夜の出現日数が多い。

 

つまり、猛暑日の日数が同じであった年は、その夏の最高気温が平均して同程度に上がったという荒い近似を置くと、後の年になるほど夜間の放射冷却の能率が悪いということになる。結論から言えば、その原因として考えられるのは、CO2濃度の増加だろう。勿論、エアコンの設置台数が増加して、夜間電力の使用量の増加も僅かに寄与するが、無視できるだろう。

 

何故、CO2濃度が増加すれば、地球表面が冷えにくくなるのか?

 

地球表面の放射冷却は、主に波長8ミクロンから15ミクロン付近の「大気の窓」と呼ばれる領域の赤外線放射によりなされる。CO2は15ミクロン付近に大きな吸収(変角振動による)をもち、この大気の窓を長波長側から部分的に閉じる。

 

つまり放射冷却の能率がCO2濃度の増加により落ちるのである。太陽による地球表面の加熱現象は、この数十年変化がないとすれば、放射冷却の妨害を考えるべきである。勿論、これは気象分野の世界での主流の考え方である。

 

2)放射冷却

 

地球に来る太陽のエネルギーは、放射線の他、紫外線、可視光、赤外線など、全波長領域の電磁波として来る。それらは、雲や地表などで反射され宇宙に戻る他、地表で最終的に熱エネルギーとなる。これらの詳細は、専門の方々の報告から再録し(記事1)で解説した。それを図示したのが次の図である。

この図右側の地球からのエネルギー放出(赤)には、①左から熱伝導と大気の移動による運搬、②水分の蒸発による運搬、③放射冷却、の3つのメカニズムがある。CO2の増加はこの3番目のメカニズムを小さくしてしまう。それを補うのが、①熱伝導と風(空気対流)、及び②水の蒸発と降雨である。これらは別々ではなく、組み合わさって働く。

 

ここで、地球温暖化CO2犯人説を考える時に大事なのは、温暖化ガスとしてCO2よりも強力な水蒸気の濃度(つまり絶対湿度)についての考察をすることである。(序論に紹介の記事1の図5参照) 何故なら、水蒸気の吸収が大気の窓の両端に存在するからである。

 

絶対湿度が徐々にこの数十年増加しておれば、二酸化炭素の効果を簡単に凌駕する。そこで、データを探したところ、気象庁の報告が見つかった。それによれば、日本の幾つかの都市で、この数十年、絶対湿度は平均して殆ど変化していない。(補足3)

 

3)降雨による熱の上空への運搬

 

ここでは、図(2)のプロセス①と②が組み合わさった代表的な例、降雨による熱の上空への輸送が、どのように起こるか分かりやすく解説する。

上の図は、地表からの水が蒸発するときに、蒸発熱として熱Qを奪う。これにより、地表の大気や水面は冷却される。対流効果で水蒸気を含んだ空気が上空に運ばれると冷やされて、雲となる。その時に、凝縮熱として熱Q‘を発生する。上空と地表で水蒸気の状態や水滴の温度などに差があるので、QとQ’は厳密には異なる。しかし、このプロセスは、太陽により温められた地表面から、熱エネルギー(Q≒Q')を上空へ輸送するプロセスとかんがえることができる。

 

CO2濃度が上昇すると、大気の窓が長波長側から徐々に閉じられる。そこで、上空へ逃げることが出来なくなった熱が、温暖化を引き起こすのだが、そのかなりの熱が、水の蒸発と雨の増加という形で、上空に輸送されるのである。ただ、陸地で陸水も少ないところではこのプロセスで熱の上空への輸送が起こらないので、もし絶対湿度が同定どなら、温暖化は苛烈だろう。

 

尚、上空では温度が下がるので、水蒸気濃度は減少し、CO2やメタンなどが主要な温暖化ガスになる。したがって、上空に行くほど、CO2の温暖化効果は相対的に大きくなるだろう。

 

補足:

 

1)現在、地球温暖化が起こっているとした場合でも、原因は二酸化炭素ではなく、宇宙からの放射線の増加などとの関連が大きいという地球物理が専門の方々による説があった。(記事1の補足7)現在、同様の主張をされているかどうか分からない。また、テレビでお馴染みの竹田恒泰氏も熱心な否定論者である。https://www.takenoma.com/article/2005/05/31/592/

 

2)一人当りのCO2発生量は、米国、15.8 ton(以下単位省略)、豪州15.2、カナダ 14、韓国11.4、ロシア 11、台湾10.9, 日本9.02の順である。国別では、中国 9825 mega ton(以下単位省略)、米国4965、インド 2480、ロシア 1532、日本 1123の順である。https://www.globalnote.jp/post-3235.html

 

3)この文献は、ヒートアイランド現象についての解説である。その報告の13ページ(図1.20)に、ヒートアイランド現象で気温が年々上昇するが、相対湿度は逆に年々減少し、絶対湿度に換算すると、殆ど変化しないと書かれている。https://www.env.go.jp/air/life/heat_island/manual_01/01_chpt1-1.pdf

2020年7月7日火曜日

新型コロナ肺炎の被害を相対的に把握すべきである:他の重要な課題にも目を向けよ

新型コロナ肺炎(新型コロナ)は高齢者にはかなり恐ろしい病気である。それは、これまでの統計によると、死亡率に非常に大きな年齢依存性(インフルエンザよりも一桁大)があるからである。未知の病気の時には、若年層にとっても恐ろしい。しかし、半年経った今、若年層には命の危険は少ないことがわかったので、若い人には十分な注意を条件に、社会での経済活動等に復帰してもらうべきである。(補足1)

 

そのために、被害の程度を、他の病気や災害などと比較して相対的に把握すべき時である。衛生についての感覚や教育が、感染拡大を防止する大きな役割を果たしている日本で、朝から晩まで新型コロナのニュースでテレビ報道を埋め尽くす必要はない。昨今の経済低迷、安全保障環境の激変など、他の重要事を疎かにしてしまう危険性がある。健全な報道機関は、民主国家の政治の条件であるが、日本のテレビや新聞などはその役割を果たしていない。(補足2)

 

また、経済活動を一定のレベルで緩和した現在、夏という季節因子もあるが、感染の多くは歌声や話し声をコントロールできない情況での飛沫感染による。従って、東京などでの感染者数の増加には、そのような接客やカラオケなどの業種を選択的に営業禁止にして、その代わり保障するといった、ミクロな対策を行い、その他一般的なマクロ規制をかけるべきではないだろう。(補足3)

 

確かに、全世界で1100万人が罹患し、既に50万人が死亡しているというかなりの疾病ではある。多数の死者を出している国や地方以外の人たちが死者数を考える時、世界では1億人程度が毎年死亡していることを念頭において、相対的に把握すべきである。

 

政府により発表された日本における今日までの感染者数は17000名弱であり、死亡者は1000名弱である。一方、毎年の新型コロナ以外の肺炎による死亡者は10万人以上である。それと比較した場合、新型コロナの死者数は3日分くらいであり、ほとんど無視出来るレベルであることを、国民のほとんどは知らないのではないだろうか。

 

この数字からは、現状日本列島を恐怖に陥れるレベルの病気には到底思えない。少なくとも第一波は、十分に抑え込むことができたと言える。それにも係わらず、未だに朝から晩までニュース番組の多くの時間を、豪雨と新型コロナの恐怖を煽るような報道に向けるのは疑問である。 テレビ局は日本の国民を視野狭窄に持ち込むために、何処かの国のプロパガンダ機関となっている可能性がある。

 

補足:

 

1)そのために、この病気の変異の速さなどの特徴について、更に、発病した若い人の闘病の様子、若い人等から感染した老齢の人の闘病の様子などについて、各法人に学ぶ機会を作るよう要請すべきである。政府及び地方公共団体は、独自に教育ビデオを作成すべきである。

 

2)この点では、米国の報道機関も同じ状況にある。例えば、スティーブ・バノンと郭文貴の討論で、中国共産党政府は、欧米の主要メディアを、寄付などを通じてコントロールしていると言う。それは新型コロナの武漢からの蔓延や、その中国政府による隠蔽などについて、殆ど放映していない。

https://www.youtube.com/watch?v=KMtDZE5BUmI

 

3)最近の東京の100名以上連続する感染者は、6月24日に書いた、カラオケ、ライブハウスの他、蜜な接客を伴う営業を、夫々禁止すれば、明らかに感染者は半分程度になっていた。その補償費用の方が、他県との人の出入りを禁止することによる、被害よりも遥かに小さいだろう。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12606624971.html

2020年7月6日月曜日

民主政治と東京都知事選:民主政治の要諦は投票に行くことではない

昨日の東京都知事選では、現職の小池百合子氏が当選した。その得票数は前回選挙を上回る300万票をこえたという。55%という地方自治体の選挙では非常に高い投票率だった。この結果は、民主主義の本質的欠陥を指摘する際の良い例の一つだと思う。(補足1)その他、既に国政での“新進党騒動”などを、我々は見ている。何れも、中心にいた人物は有能者とは言い難い。それに気づかないのは、有権者がまともに考えていないからである。

 

小池百合子氏の政治家としての無能は、新型コロナ肺炎への対応との関連で、今年5月28日に指摘している。(https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/05/blog-post_28.html)今回選挙で、有権者が切実な問題として勉強していれば、別の人が選ばれただろう。しかし結果は、西部邁(故人)が批判した大衆政治そのものとなった。

 

ただ、世界はインターネットの時代となった。政治に関しても何でも、我々は多少の勉強は出来る。ここで言いたいのは「投票に行こう」ではなく、「近現代史と政治を勉強し、議論しよう」ということである。それが政治を変える鍵だと思うからである。

 

1)小池氏の政界での無駄な大暴れ

 

5月28日の記事で書かなかったのだが、小池氏は都知事の第一期の最初から豊洲問題で、無駄に移転を1年以上先に延ばし、大きな損害を東京都に与えた。その大きなミスについては、ウィキペディアに詳しく書かれている。(https://ja.wikipedia.org/wiki/築地市場移転問題)これも、小池氏のカッコ良く振る舞うことにこだわる無責任から来ている。

 

小池都知事は東京都知事になる前は、衆議院議員だった。そこから、自民党の引き止めを振り切って東京都知事選に無所属で立候補し、カッコよく当選した。この勝利は、自民党という無能な政治家の集団しか、保守勢力を持たない日本人の気持ちを掴んだからだろう。それは、総理の椅子を得たあの小泉純一郎人気と同じ種類のものだった。

 

当選した直後、豊洲市場の地下の僅かな土壌汚染を事件化して、国民の耳目を集める一方、、都民ファーストの会を結成し、都知事選で自分を公認しなかった政府与党の自民党に対し報復した。そのカッコよさに惚れ惚れした国民を扇動し、政治団体「日本ファーストの会」を結成した。この辺りは、政治屋小沢一郎と非常によく似て、焚き火に風を送って大火事にするような技を持つ人である。(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%8C%E6%9C%9B%E3%81%AE%E5%85%9A

 

その後、衆議院の解散が発表されたので、総選挙のために「日本ファーストの会」を国政政党「希望の党」に進化させたのが、2017年9月25日であった。このあたりの小池都知事が引き起こした政界の嵐は、一度見た小沢劇場の安物時代劇のように感じた。そこで、結党の日に小池百合子氏の政治姿勢を批判した。

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2017/09/blog-post_98.html

 

自分は表に出ないで、裏で実権を握る小沢氏のように、10月22日の総選挙には出なかった。両者に共通するのは、自分の政治家としての無能を自覚していることである。民進党からの合流は受けるが、一部排除するという「絞り込み」の発言で、民進党を解体するなどのゴタゴタは、記憶に新しい。

 

これだけの負の成果をあげた第一期だが、最初に引用した5月28日の小池批判の記事に書いたように、今回の新型コロナ肺炎対策でもミスを繰り返している。その原因は、小池氏は現象を見る観察力が著しく低いことである。その低い観察力や事態の変遷に対する感覚の鈍さを誤魔化すのに、カタカナ語を多用しているのである。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/03/blog-post_24.html

 

 

このカタカナ語の多用は、日本の政治全体で見られる現象である。直前に引用した私のブログにも書いたが、他者のものとして河北新報の記事も引用しておく。そこで取り上げられているのは、パンデミック(世界的大流行)クラスター(感染者集団)ロックダウン(都市封鎖)オーバーシュートなどである。オーバーシュートは誤用であることも書かれている。

https://this.kiji.is/618970549935735905

 

2)民主主義の過ち

 

今回、小池氏に高得票を与えた東京都知事選の結果を見て、民主国家の根本的欠陥を再度より印象強く見た思いである。そして、今年11月の米国大統領選挙も同様だろうと思うと、背筋が凍る思いである。

 

心配するのは中国による日本の属国化である。頼みの綱の米国が経済でゆらぎ、中国に世界制覇を許すことになる可能性があるからである。中国は、相当な覚悟で香港の自由を奪い取った。その覚悟とは、昨日書いた「計画経済に戻る覚悟」である。一方の日本を始め、欧米民主主義圏は、一時とは言え、小沢や小池を選ぶ愚鈍な大衆の支配する国々である。(補足2)(追補1)

 

ある有名な女優が、今回の都知事選でも「投票に行こう」とtwitterで呼びかけた:

投票に行っても変わらない?変わります!昔は女性に選挙権なかったけど、今はある。社会は変わるんです」。

 

しかし、政治は投票では変わらない。民主主義が成功するもっとも大事なポイントは、皆が投票に行くことではない。皆に投票を呼びかけるのは、政治を変えるためではなく、政治を変えないためである。それは例えば、ある偏った思想をもった投票率100%の団体がある場合、投票率が低いと政治は激変する。投票率を上げることは、彼らの誘導による政治の激変を防止するためである。

 

民主主義が成功するには、有権者が歴史特に近現代史を勉強し、互いに議論して自分の意見を作り挙げることが必須条件である。大衆にそれが期待出来ないとしたら、民主政治の国は必ず破綻する。それが中国共産党の考え方である。中国文化に、他人を思いやる心が加われば、中国の共産党政権は世界最強の政治制度に変わる。

 

つまり、エリートが政治の実権を握るのが、強力で精巧な政権樹立の上での近道である。米国の政治がそれに幾分近いのは、少数派エリート(ブレジンスキーやキッシンジャーという人たちやあのスカル&ボーンズの人たちなど)が、民主政治の化粧と服装をして、米国の政治を支えたからである。選挙は儀式にすぎない。

 

日本にはエリートを選抜する制度がない。それは議論がない社会だからである。本来エリートであるべき国会議員が、日本では田舎の票田を運営する家業となっている。(補足3)

(9:00、11:00 編集)

 

追補1(16:30):

 

時々紹介している中国人youtuberのMOTOYAMAさんも、その中国の覚悟或いは方針を伝えている。それは元ウクライナ大使で退職した中国の元中央政府官僚による文章で、自分からの発言なのか中央からの指示なのか分からないという前置きで紹介している。要するに、将来米国との関係が悪くなったときの準備をしようという内容である。その主なものは、サプライチェーンと産業の移設である。つまり、自給自足体制への準備だと紹介されている。

 

ただ、それでは中国の経済は1980年代へ戻るとMOTOYAMAさんは指摘する。このMOTOYAMAさんの分析が正しい。中国も日本同様輸出立国なのだ。日本の経済をささえるのは、輸出でなく内需だという誤った把握をする人が多い。日本の中国も輸出により(正確には資本収支も算入する)、自国通貨の価値を保っている。輸出がなければ、自国の通貨安になり、必需品で国内にないものは買えないだろう。その理由は、6月25日と昨日の記事の中に書いた。https://www.youtube.com/watch?v=07D6LT4vZ0c&t=1261s

 

中国の高官(副部長は高官である)が、日本の経済を語る一部のひとのように、「国内の需要は世界第二であり十分大きい。自給自足(或いは計画経済)で、やっていける」と思うのはとんでも無い間違いである。中国の場合は1980年代、日本の場合は1960年代に戻るだろう。

 

追補2(7/7/17:30):この中国の高官の記事は、党の対外連絡部副部長の周力氏という方が環球時報に7月3日発表したものでした。石平氏が7月5日、youtubeで紹介しています。https://www.youtube.com/watch?v=FzP8FX_zAFA

 

補足:

 

1)最も良い例として、頻繁にヒトラーの選出があげられる。しかし、第一次大戦の過大な賠償を背負わされ、不況の中で苦しんだドイツの情況とは、現在の東京は全く違う。それに、ヒトラーはフォルクスワーゲンを創業するなどで、その不況を乗り越える上でおいて大きな成果を出した。つまり、選挙でヒトラーを選んだのは、ドイツ人が無能な人間を選んだのではなく、有能だが危険な人物だったことが見抜けなかったということである。それは、民主主義の欠陥の結果ではなく、人間の知性と感覚が万全ではないことの不幸な結果である。

 

2)そもそも、小沢一郎や小池百合子が前面に出ないで、影で政治を操ろうと考えるのは、鄧小平のモノマネである。否、書記長という「同志」が国家の実権を握るという共産主義国の実態を真似たものである。嘘は付きたい放題、国民に対する責任など皆無の利己主義者たちである。彼らのやり方に強力な権力を追加したのが、共産党独裁の政治である。

 

3)総理大臣、副総理、環境大臣だけではない。自民党には家業を継いだ政治家が多い。中川秀直氏を最近見なくなったと思って調べたら、しっかりと次男の方が家業を継いでいた。経産大臣の方も、自民党大物梶山静六のご子息である。これらの方々の殆どは、有名だが三流大学のご出身である。一流大が良いわけではない。官僚という安定職の最高峰は、他人の指示に従うことが仕事である。それを人生として選択したひとたちを、政治家にする道を大きく開いた吉田学校(吉田茂)が、日本の政治を破壊した戦車であった。

2020年7月5日日曜日

中国習近平政権は、計画経済に戻る覚悟なのだろうか?

香港大紀元新唐人ニュースの7月4日のyoutube動画などによると、中国共産党政府常務委員会は、6月30日に香港に国家安全法(国安法)の適用を可決、その内容を7月1日午前0時に公表し、直ちに施行した。条文は6章66条からなり、その内容は香港の自由と法治の基礎を徹底的に破壊するものであるという。https://www.youtube.com/watch?v=j4zcv-KbqC4

 

ある評論によると、中共の命運を懸けて最後の戦いに出たと解釈される。国安法第38条には、「香港特別行政区の永住権を持っていないものが、香港特別区以外の場所で国安法に違反したものも、この法が適用される」と書かれている。(補足1)

 

従って、中国人以外が中国の外で国安法に違反するような行為や発言、例えば「中国共産党政権は無くなった方が良い」と言う類の発言、をしただけでも、この法により罰せられる。つまり、香港に入ったとたんに逮捕される可能性が高くなる。まるで、世界中の自由と法治を重視する人々に対し、挑戦状を突きつけるような法律である。

 

中国は常々、「内政干渉をすべきでない」と言う言葉を使うが、今回の国安法は世界中の国家の内政に重大な干渉をしていることに気付いていないのだろうか?気が狂ったとしか思えない。

 

また、香港行政長官は、国安法の裁判をする裁判官の指名と認定の権限、更迭の権限を持つことになる。この規定は、司法の独立を完全に無視したものである。大紀元時報のコラムニストは、「国安方は中共に対して不満を持つ人を漏れなく消すために作られたもの」と言っている。

 

ポンペオ国務長官が、「中共が各国に選択を迫っている。その選択とは、米中のどちらかではなく、自由と暴政のどちらかを選ぶかである」と指摘した。

 

米国議会が制裁のために用意した香港自治法案は、既に上下両院を通過しており、トランプ大統領の署名を待つだけとなっている。この法案では、香港自治の抑圧に関係した高官、官僚、組織、金融機関に対して米国が制裁を課すことができる。

 

中国高官の制裁としては、該当個人の資産凍結や米国入国のビザの発給差し止めなどが考えられ、多くの資産を米国に持ち込んだ中国高官にとっては非常に厳しい内容である。この法律にトランプが署名して成立すれば、この香港国安法制定に携わった者たちに対する反感が中国国内でも起こるだろう。

 

それを知っているので、中国はこの香港自治権法が成立した場合、制裁措置を取ると脅かしている。例えば、第一次貿易交渉での700億ドルの取引破棄も考えられるが、もはや問題はそのようなものよりも遥かに大きくなっている。米国の反発は、共和党民主党を問わないだろう。700億ドルの取引のために、香港自治法案に署名しないという選択はトランプにはないだろう。

 

今後、香港の金融センターとしての機能がなくなり、中国は経済的に欧米諸国から離反するだろう。それは巨大な損と世界に新型コロナ以上の強烈なインパクトを与えるだろう。例えば、中国は外貨の殆どを香港の銀行を通して入手してきたと言われる。その香港の銀行は、米国が支配する金融システムSWIFT(補足2)を通して、海外の銀行から国際通貨の米ドルを入手してきた。それが出来なくなると、その影響は甚大である。

 

勿論、輸出で得た米ドルを使っての取引は、あまり迅速(SWIFT)でなくて良いなら、できるだろう。しかし、利便性を失った香港や中国からは、外国企業は脱出する筈で、中国経済は破綻状態になるのではないだろうか。

 

6月25日に、「米中経済隔絶は起こらない:大山鳴動ネズミ一匹?」と題して、中国高官の私的メモらしきものを、youtubeでみて紹介した。そこに書かれていたのは、中国政府が計画経済に戻ることも考えているのではないかという内容である。 

https://www.youtube.com/watch?v=7-fgFfPO67Q

 

そうはならないだろうと思って書いたのだが、安全装置として最後に?をつけた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12606678556.html 今後、そのシナリオに沿って多少(又はかなり)動く可能性が出てきたと思う。

 

 

補足:

 

1)同法の38条は、引用動画の画面では、「不具有香港特別行政區永久性居民分份的人在香港特別行政區以外針對香港特別行政區實施本法規定的犯罪的、適用本法。」と読める。これを“グーグル翻訳”で訳すると、「この法律に基づき、香港特別行政区外の香港特別行政区に対して犯罪を犯した香港特別行政区の永住権を持たない人は、この法律を適用するものとします。」となる。

 

2)日本国内でも銀行間の送金は、日銀当座預金の残高を書き換えることで為される。それと似た考え方で、国際間の銀行間取引も理解されるという。そのシステムをSWIFTと呼び、ベルギーにその運用本部(民間の株式会社)がある。この件、DEEP MAXさんが、解説しています。https://www.youtube.com/watch?v=e3MFg9haNFc

ただ、本質的に外貨の中心は米ドルであり、ニューヨークの連銀の発行する通貨である。従って、そこの口座にアクセス出来なければ、SWIFTであれもっと不便な方法であれ、外国からの資本の導入など不可能になる。勿論、連銀も民間の株式会社なので、金融制裁にはその筋の方の強烈な反対があれば出来ないかもしれない。

2020年7月3日金曜日

東京と諸外国の新型コロナ肺炎による超過死亡

6月29日掲載した記事、間違って削除しましたので、再録します。


実際に新型コロナ関連でどの程度死者が出たか、日本の不完全な検査実施と統計ではわからない。おそらく実際の数字の数倍程度の被害が出ていただろう。それを考える情報として、いわゆる超過死亡という統計がある。数年間の(例えば週間)平均死者数のグラフから今年の死者数の曲線のはみ出た部分が超過死亡数である。下図にフランスの超過死亡の図を示す。点線が5年間の平均死亡数を表す。https://ourworldindata.org/excess-mortality-covid

今年1−3月の平均死亡数より低い死亡者数は、気候の問題や、インフルエンザがあまり流行しなかったなどの理由があったのだろう。(補足1)3月中旬から死亡数が急激に増加している。恐らく新型コロナ関連の死亡者だろう。その中には、別の死因として届けられた死亡者数も入る。赤い部分に相当するのは発表された新型コロナの死者数を上の部分においた結果である。

 

4月中頃から赤い部分が平均値以下のところに食い込んでいるのは、それ以前に老齢の方が多数新型コロナで死亡したので、それ以外の原因で死亡する人が減少したのだろう。このようにわかりやすく表示できたのは、フランスでの新型コロナの被害が大きかったことと、フランスの統計の信頼性が高いことを証明している。

 

東京の場合、

週毎の統計でないので、わかりにくいが、3月と4月の合計で超過死亡は1380名である。つまり、5年間の平均からのズレは3月325名、4月1055名だ。そのうち新型コロナでの死者とされた人数は200人程度だろうから、全く解析にしようがない。尚、2月に相当のマイナスの超過死亡があった。これは下に示す諸外国でも共通している。このことについては、後でもう一度触れる。

 

3月と4月の統計を見る限り、新型コロナでの死亡者は東京都の発表の少なくとも5倍程度あったと考えられる。兎に角、日本のデータは最初から誤魔化しのための数字が並ぶだけで、そこからなにかの情報が得られる類のものではない。

https://www.sankei.com/life/news/200612/lif2006120051-n1.html

 

最下段に示したのは、その他の場所での超過死亡のグラフである。何れも、超過死亡数は発表された新型コロナでの死者数とずれているが、実際のコロナ関連死やそこでの統計と情報公開のあり方など、有用な情報がえられるだろう。例えば、スウェーデンの超過死亡数は、平均死亡数の上に、追加された状況である。これは、他国とことなる集団免疫戦略をとっているためだろう。つまり、5月に新型コロナ以外での死亡数が平年値にほぼ等しいのは、フランスのところで説明したようなメカニズム(余命わずかの人たちが、1−2ヶ月早く新型コロナ肺炎で死亡したため)が、働かなかったからだろう。

 

上の東京を含め、多くの国や市で、今年2月ー3月に死亡数が平年値より減少している。それは、新型コロナの発生を報道で知り、警戒する人が増加したためと思われる。つまり、かなりの割合の人が衛生的な生活に心がけるようになったためだろう。下図では、唯一の例外はNew York 市である。これも、今年のシーズン、米国はインフルエンザが流行したことで、説明がつく。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55312830W0A200C2000000/

 

(最後の節は、6月30日午前5時追加;更に全体の修正)

ロシアの新憲法とプーチン大統領について

ロシアのプーチン政権は、憲法改正案を国民投票にかけ、新憲法案は投票率67.97%、賛成77.92%、反対 21.27%で可決された。(補足1)新聞等の文字での報道もあるが、これらよりも、及川幸久氏のyoutubeでの解説が、最も分かりやすく適確である。改正点200以上の大幅改訂は、プーチンの知性の高さを示しているように思う。他国から見れば、非常に悪賢いということになるかもしれない。

 

https://www.youtube.com/watch?v=H9wZOdvVcdI

 

改正点から帰納的に導いた基本理念は、主権国家体制を基礎にし、神(ロシア正教)と英霊(戦没者)、更に当然ながら論理を大切にすることである。及川氏は3つの項目に分けて、改正点を解説している。その範囲について、多少の新聞の記述を参考にしながら以下解説し、私の考えも示す。

 

1)第一点は、大統領の任期についての改正である。

 

及川氏のスライドでは「大統領任期延長」と書かれているが、正確にはそうではなく、「大統領の任期は、通算で最長二期12年である。但し、憲法改正前の期間は算入しない」である。つまり、改正前の憲法下では、プーチンは最初二期8年、現在二期目の12年の合計20年務めるが、この部分は新憲法の大統領任期に算入しないのだ。

 

そして、新憲法下の2024年の大統領選で新たに大統領になった人は、最長通算で12年間しか大統領の椅子に座れない。その後、選挙に立候補もできない。その代わり、終身上院議員となり不可侵権が与えられる。(補足2)

 

更に、この改正とともに、現在大統領の権限下にある首相、副首相、財務大臣の人事権(承認)を議会(下院)に譲る。財務省を支配する権限を大統領から議会に移す件、非常に面白い。首相が赤字国債を出すことに、財務大臣は許さないという事態も想像される。つまり、首相と財務大臣は横並びということになる。

 

ただ、憲法を新しくしたのだから、ここで大統領選挙をすべきだと思うが、その点はどうなっているのだろうか? また、大統領の弾劾の規定はどうなっているのだろうか?

 

 

2)第二点は、国家の保守化である。

 

主権国家体制を基本とすることは、“憲法と整合性のない国際機関の決定は適用されない”という条項にあらわれている。これは、全ての国家の権威と権力を超える権威と権力を夫々備えた国際機関ができない限り、当然のことである。つまり、国際共産主義革命や国家主権を侵すレベルのグローバリゼーションに対する反対の明確化である。

 

その他、ロシア語を公用語とするという項目、「大統領、首相、閣僚、判事など国家安全保障に関わる人物は、二重国籍を禁止する」項目、「大統領候補は外国の市民権保持を禁止する」項目、などを挙げている。

 

二番目に領土割譲の禁止と国境策定作業は禁止の対象外:この項目、毎日新聞4面の「憲法改正の主なポイント」では、「周辺国との国境策定作業を除く領土割譲やその呼びかけの禁止」と書かれている。

 

「国境策定作業を除く」とあるが、恐らくその場所は明確にしていないだろう。国家の命運を握ると判断したとき、プーチンは歯舞色丹を日本に返還出来る。しかし、それはロシアがよっぽど経済的に困窮したとき、且つ、日本がその状態からの脱却の鍵を握るときしかないだろう。

 

三番目に神への信仰を明記している。ロシア正教の国教化である。

 

四番目に、結婚は男女間のみで成立するとある。つまり同性婚は事実上禁止されている。この件、性転換の禁止項目、或いは「男女は生まれながら普遍であり」とか言う男女の定義文がなければ、同性間でも性転換後に結婚することが可能である。

 

五番目に、祖国防衛者たちの追悼の項目である。毎日新聞の「主なポイント(上記)」では、「祖国防衛に関する国民の偉業を貶めることの禁止」と書かれている。この明記は、主権国家体制維持に不可欠だろう。(補足3)

 

 

3)第三点は、社会保障についての改正である。

 

一番目に、最低賃金は最低生活水準を下廻ってはならない。最低生活水準の定義は、明確ではないが、日本では生活保護に相当するだろう。年金は、インフレに合わせて毎年調整する。これも、妥当な項目であり、及川氏によると、反対勢力がプーチン攻撃の材料にしてきた項目だという。

 

この社会保障に関する改正は、国民を憲法改正に賛成しやすくするためだと、及川氏は解説する。その通りだろうが、至極まともな内容である。

 

4)最後に

 

毎日新聞では、カーネギー国際平和財団のコレスニコフ主任研究員の言葉「投票の形式をとり、国民を共犯者にして、プーチン氏が権力にとどまることを正当化する」を引用して、その背景としている。確かにその通りだろうが、それを払拭する方法は、この憲法下で大統領選挙を直ちに行うことである。

 

このまま現在の任期の2024年まで大統領にとどまるのなら、プーチンは上記の言葉を裏付けることになるだけでなく、憲法の上にプーチンが存在することになり、憲法はプーチンの道具となってしまうだろう。

 

更に、憲法にどのような国民の権利と義務が書かれているのか、気になる。言論の自由、報道の自由、学問の自由など、国民の権利が明記されていなければ、民主国の憲法とは言えない。その点、及川氏或いは別の方(例えば北野幸伯氏)の今後の解説に期待したい。

 

最近、北野幸伯氏は、ロシアではプーチンの政治にたいして悪口を言えないと言っている。日本では、森友問題、加計問題、桜を見る会など、国家の最高指導者に対し、不信感を引き起こすような内容の報道は日常的である。しかし、ロシアでそれに相当する報道をすれば、その報道機関はただでは済まないと、youtubeで解説している。

 

もしそのようなら、プーチンは皇帝であり、大統領とは言えないという類の反論は可能かもしれない。しかし、大衆のいい加減さにウンザリする西部邁さん(故人)の言葉には共感する上、それを利用する悪しき連中或いは外国勢力の存在を、この日本国に強く感じる。その様な場合、少なくとも大統領の任期中に、弾劾とそれに関する項目を報道する場合を除き、三流週刊誌的なゴシップを禁止することは、政権の安定と国家国民の安寧のためには必要かもしれない。

 

 

補足:

 

1) 新憲法の投票結果と内容の概要は、毎日新聞の朝刊にも記載されている。ネットでは、朝日新聞https://www.asahi.com/articles/ASN722PD3N72UHBI001.html 及び時事通信https://www.jiji.com/jc/article?k=2020070200192&g=int 後者にAFPの報道を加えたヤフーニュースがある。https://news.yahoo.co.jp/articles/b2f4a793c64affdc9e48d23248e463494d2fc662

 

2)おせっかいかもしれないが、韓国はこの部分を参考にすべきである。

 

3)大日本帝国憲法には、それに変わるものとして、天皇の統治権があった。(因みに兵役の義務は帝国憲法20条に記載されている。)更に、各地に戦没兵を祀る忠魂碑が建立されていた。一方、日本国憲法には、何も書かれていない。つまり、国家の核についての記述が現憲法には何もない。有るのは国家の核の象徴として、天皇が書かれているだけである。