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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2020年3月30日月曜日

新型コロナ肺炎:日韓での対応の違い

1)新型コロナ肺炎:日本は検査数を増加させている
新型コロナ肺炎の感染者数が世界で増加している。しかし、日本では検査数を抑えているため、感染者数が少ない。これについて、世界は疑惑の目を向けている。その所為か、日本もオリンピック延期がほぼ決まってから、検査数を増やしている。

世界の感染者や死者数などは、WHOなどのデータを基にして、John Hopkins 大の特設ページなどで発表されている。それによれば、各国のデータをほぼ同一の条件で利用できる。(尚、日本のデータには、クルーズ船のデータは含まれていない。)

上の図は、3月中旬から下旬の日本と韓国の死亡者と感染確認数の比である。これは、通常の致死率と定義されている数値である。(本ブログでは、致死率2と定義している。)

韓国では、新規感染確認数が減少気味であり、一方、検査闘病中の感染者の一部が死亡するので、致死率は上昇する。新感染者がなくなり、闘病中の者全員が回復するか、死亡するかした時点で致死率は確定する。韓国の場合は、2%を多少上まった値が致死率となるだろう。

一方、日本のデータを結んだ線は、不思議な屈折を示している。頂上は3月24日である。25日頃何があったのか? オリンピックの延期決定である。日本の致死率の数値が減少を始めたのは、検査数を増やした結果、新規感染確認数が増加しているからである。

2)日韓の間の治療実績の大きな差について:

前セクションでは、日本と韓国の致死率2(通常の致死率)のグラフを示した。ここで、同じく日本と韓国について、致死率1も合わせて図示してみる。

目につくのは、3月中旬における韓国の致死率1の著しい減少である。致死率1は、死亡者/(死亡者+回復者)である。前セクションで、致死率2(死亡者/感染者)だけを拡大して示して説明したように、通常の致死率は一定の上昇を示している。従って、上の定義式から分かるように、韓国では3月中旬、回復者が急増しているのである。

今後、韓国のような急激な回復者が出そうにないのでなら、「韓国で一体どのような治療が行われた結果なのか」について、日本だけでなく、多くの国も調査するべきだと思う。急激に回復者が増加した理由の一つとして、ヒドロキシクロロキン投与が考えられる。これは、元々マラリヤの治療薬であり、現在でもマラリヤの他、全身性エリテマトーデスなどの治療薬として承認されている。 https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12583585817.html

今朝のグッドラック(3月30日、TBS系)で、辛坊治郎氏のゲスト出演し、同じくゲストとして最近継続的に出演している後藤という医師とともに、何度も「治療法がないのだから」という言葉を発していた。かれらは、中国で、この薬が中国新型コロナウイルス診療ガイドライン(第 6 版)の中で推奨されていることを知らないのだろうか?http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200312_5.pdf

とにかく、上記日本で行われた治験の報告を読むべきである。また、アビガンの利用も非常時ゆえ、早期に可能とすべきである。

追補: 3月28日の記事で中国が急激に回復者を増加させた。これは海外プロパガンダのためであることが明白である。しかし、中国はSARS及びSARS-Cov-2(今回のウイルスの正式名)研究の先進国である。捏造の部分もあるが、武漢以外での低い致死率は、概ね正しいのかもしれない。そして、その知識(上に紹介のガイドライン)を韓国の文在寅政権が吸収して、生かしている可能性が高いと思う。(3月31日午前5:30一部編集し、追補を加えた)

2020年3月29日日曜日

日本のコロナ感染者数が「少なすぎる」と疑念を持たれる本当の理由?

Diamond online(ヤフーニュース)3月27日6時5分配信の上記表題の記事について反論をしておきたい。何故なら、このブログ・サイトでは、この記事と全く反対の意見をアップしてきたからである。つまり、日本では感染が既に拡大していたにも拘らず、感染クラスターと関係のある者だけを優先的に検査し、その結果、多くの深刻な発病者を見逃してきたと思うのである。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12585094598.html

 

表題の記事では、日本が感染者の検査数を抑えたことによる、深刻なケースの増加はほとんどなく、もともと重症患者の発生が少なかったという主張である。その原因として、日本の人たちは、マスクの装着、手洗いの励行、学校閉鎖などの適切な措置をして、感染を抑えたと記している。(補足1)

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200327-00232937-diamond-soci

 

日本の感染者数をめぐる 検証すべき「論点」として、以下を挙げている。

 

1)検査数の少なさの影響は多少あるが、実際は日本の感染者は欧米ほど増えてはいない。

 

この点についての筆者の文章のみ、以下議論する。その他に、2つほど論点を挙げているが、それは補足に書いておく(補足2)

 

上記論点について、筆者は、検査漏れの感染者がいるだろうが、欧米のように何万人もいると言うことはないと書いている。その根拠として挙げているのが、以下の二つである。

 

①日本は死者数42人と他国と比較しても一桁以上少ない。そして、②「新型コロナによる死亡者の把握漏れがあって、実際の死者はもっと多い」などということは、起こり得ない。

 

更に、この記事では以下のように書いている:

 

日本では高熱が4日続く症状が出るなど、感染した可能性が高い人しか検査を行わない方針をとってきたことから、把握されていない感染者が一定数いることは、現実問題としてあり得ます。その人数を推論で見積もるならば、「コロナの致死率は実際は低く1%程度だ」という学説に基づき、日本の死亡者数から逆算した場合、把握されていない人を含めた日本の本当の感染者数は4000人程度いる可能性があると考えるべきです。

 

COVID-19の致死率を1%とするいい加減な説を用いての上記議論は、非常にレベルが低い。上記青色の文章で言いたいのは、実際に発見された約1500名以外の感染者(この人の計算では2500名)は全て軽症者で、死亡するほど重篤化する人は殆どいないはずだと言っているのである。これは酷い議論である。

 

私は上記②の成立は、非常に不確かだと思う。その根拠を以下に記す。先ず注目すべきは、この病気が急激に進行することを特徴とすることである。更に、この種の流行性肺炎の場合、死因は普通複数の要素が絡んでいるだろう。老齢の者や基礎疾患を持つ者が、急激に重症化するこの病気から生還するには、早期診断が不可欠であると思う。(補足3)

 

この急激に進行することに関しては、例えば、Bloombergの記事に以下のような記述がある。(COVID-19は)軽度-中等度から重度への進行は“非常に急速に”起こり得ると、合同調査を共同で率いたWHOのブルース・エイルワード事務局長補は指摘した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-03-10/Q6WVA9T0AFB601

 

全く元気な人がこの肺炎に罹って死亡した場合、死因は明確にCOVID-19だと言える。しかし、COVID-19で死亡した人には、高齢者や、基礎疾患のある人が多い。そのような人が、Covid-19の病状が悪化し、それら基礎疾患との相乗作用が原因で死亡した場合、そしてその人がCOVID-19の診断を受けていない場合、通常の肺炎や心不全などが死亡診断書に書かれるだろう。その時、死亡者のPCR検査は絶対にしていないだろう。

 

もしPCR検査をして陽性だったなら、COVID-19肺炎を想定して治療していなかったことが、死亡の大きな原因とも考えられ、医療ミスとなる可能性が高いからである。

 

つまり、Covid-19での死亡者が少ない一つの原因とてし、この肺炎での死亡者を数え落として居る可能性が高いと思う。

 

このような状況が実際に起こっていると思うのは、韓国などに比べて日本の致死率が高いからである。韓国が検査を積極的に行っているからという理由だけではないことを以下に示す。

 

ここで2つの致死率を定義する。(以前は死亡率という言葉を用いたが、致死率に変更します。)

 

致死率1= 死亡者数/(死亡者数+回復した人数)                (1)

致死率2= 死亡者数/確認者数                                           (2)

 

検査件数が非常に多くて、症状の無い人まで検出している場合、致死率2は低くでるだろう。しかし、致死率1、つまり、死亡者数の、死亡か回復かの決着がついた人に対する比率は、検査の早いか遅いかには依存しないと、「検査数をあまり多くしない方が良いのだ」という主張の方は思うだろう。

 

しかし、事実はそうではなさそうである。これら致死率を日本、韓国、台湾で表にしたのが下の図である。データは全て、John-Hopkins 大の29日午前6時のデータからとった。

https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6

 

図で明らかなように、致死率1では、日本は韓国の4倍ほどである。診断をできるだけ多くして、早期隔離と早期治療することが大事であることがわかるだろう。致死率2は、韓国の倍程度である。これは、韓国の検査件数が圧倒的に多いからだという理由で説明可能である。韓国と日本は、人種的にも近く、中国との接触の度合いも最近は殆ど同じぐらいだと思われ、非常に良い対照を為していると思う。

(編集あり、22:00)

 

補足:

 

1)同様の議論が以下のサイトでもなされている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200329-00010000-nishinp-sctch

 

2)残りの論点は:(2)検査数が少ないことについては、その是非について議論すべき論点が存在している。(3)別の問題として、「日本の公的統計は国際的な信頼を一度失っている」ことを憂慮すべきである。

 

3)著効を示す治療法が無いのだから、早期に入院しても、救急車で入院しても、結果は同じであるという意見もあるかもしれない。しかし、そうではない。例えば、フランスとドイツでのこの病気のデータ(同じJohn Hopkinsd大のページからとった)を比較すると、患者発生数は3月始めから同程度であったが、ドイツの方が圧倒的に死者数は少なかった。ドイツでは、基礎疾患があればそれへの配慮を十分にするなど、フランスと比較して、緻密な治療がなされたのだろう。

2020年3月28日土曜日

新型コロナ肺炎:中国での二度目の大流行とその政治利用の可能性

1)「中国でのCOVID-19肺炎の二度目の大流行の可能性」については、既に3月14日の本ブログに書いた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12581994035.html

 

妙佛DEEP MAXさんが、YOUTUBE動画で同じ指摘をする一方、その二度目の大流行を外国の所為にする準備を、中国政府は行っていると言っている。https://www.youtube.com/watch?v=d56Hs4fYogY

 

中国習近平は、最近、新型コロナ肺炎(COVID-19)を完全に征服したと宣言し、その宣言と一見整合性のある感染者数等のデータを発表している。その上で、中国人留学生を中国に呼び戻しているという。その理由を兼ねて、「今や中国は、外国(米国など)よりも、安全だ」と、宣伝しているという。

 

妙佛DEEP MAXさんによれば、中国はCovid-19の完全征服を演出し、海外にプロパガンダとして流しているというのである。更に、米国などの感染者数や死者数と比較して、中国の優れた対策、ひいては、国家としての能力が欧米より優れていると、全世界に(特に一帯一路のルートにある諸国に)宣伝しているというのである。

 

しかし、既に何度か書いたように、中国のCovid-19完全勝利は、闘病中の人たちを完治者として病院から追い出して得た、誤魔化しの勝利である。それは、経済活動を再開するためであり、そうしなければ、国家財政の破綻から、習近平政権の崩壊につながるからである。

 

それは、高い確率で二度目の大流行が起こることも承知の上での決断である。DEEP MAXは、その言い訳も既に用意しているといっている。つまり、海外から入国した人間が持ち込んだということにして、外国に責任転嫁を行うのである。

 

恐らく、民事的には、その責任は海外から従業員を入国させた企業の責任となり、その企業の資産没収の口実となるだろう。また、その所属する国家に対して、適正なCOVID-19対策を怠ったとして責任追求し、アジア・アフリカの一帯一路の仲間の国々にそれを唱和させ、それらの国々が多くの票を持つ国際機関を動かして、主張の正統性を構築する可能性すらある。

 

このような中国の動きを見て、「民主主義の先進国は、中国と経済的デカップリングをすべきだ」と、トランプ政権は主張するだろう。しかし、中国はそれをさせない様に、このCovid-19を利用する戦略を建てているのだろう。つまり、Covid-19すらまともに克服できない共和党トランプ政権というプロパガンダを幅広く展開するのである。

 

デカップリングを政策の中心に置いているトランプ、ペンス、ポンペオの政権を潰し、親中派の民主党の人間が次期大統領に代わる様に、運動しているのではないだろうか。(民主党の議会も今や経済的に中国とデカップルする方針に賛成だと聞くが、本当だろうか?)

 

2)中国におけるCovid-19からの偽りの克服:

 

3月20日の記事で、中国は死亡していない感染者を殆ど完治者として病院から出して、SARS-Cov-2ウイルスとの戦いの勝利を捏造したことについて書いている。そして、それ以降、海外のこのウイルス肺炎との戦いを支援するという姿勢を示している。自国民の命を軽視して、現在の政権の安定と成長にCOVID-19を利用するのである。

 

下の図は、3月11日から28日までの、武漢市を含む湖北省での感染者数、死者数、回復者数の日毎の変化である。全て、28日の値を1.0に規格化している。数値データは全てジョーン・ホプキンス大の特設ページからとった。

 

この図が示すように、中国湖北省ではこの2週間ほど、回復者が急激に増加する一方、死亡者や感染者はほとんど増加していない。この傾向は、他の省も解析したところ同じであった。これは、患者が新たに発生せず、しかも、長期入院中の患者が殆ど回復して退院したことを意味する。特段新しい有力な治療法が発表されていないので、このような結果にはなり得ない。

 

 

更に、武漢を含む湖北省以外の地域での死亡者の比率(死亡率1=死亡者/(死亡者+回復者))が、この肺炎を抑え込む点で非常に優秀だった韓国での数値よりも、遥かに低い点も不思議である。3月28日の時点での湖北省以外での死者は僅か117名である。そして、それら地域の平均の死亡率1は、0.87%である。因みに韓国の死亡率1は、28日午後8時のデータで、2.9%である。

 

それでも、中国のCovid-19を抑える技術が非常に優れているという言い訳は可能である。しかし、香港やマカオのデータでは、上記中国本土のデータとは全くことなった推移を示しているので、その言い訳も難しい。

 

例えば香港の感染者数は、28日夕刻現在、519である。そのうち、死者は4,回復者は110である。殆どの感染者は未だ回復者としてカウントされていない。中国本土では殆ど治療中の人がいないのに、何故、香港では圧倒的に闘病中の人が多いのか?

 

更に、最近中国は43000人の発病しない感染者を統計から外したといっている。(昨日引用)これを同説明するのか?これを上記死亡率に入れれば、もっと小さい死亡率になってしまう。これらを中国はどのように説明するのだろうか?

(終わり)

新型コロナ肺炎:爆発的感染は既に起こっているのでは?

以下は昨日姉妹サイトに掲載したものです。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12585240109.html


厚労省のHPでは、新型コロナウイルス肺炎の国内での発生状況について、一応書いている。それによると、検査件数は2月12日から3月25日までで、46800余りだという。一人で数回の検査を経過観察を含めて行うだろうから、多分述べ1.5万人位が対象となったのだろう。1日あたり数百人である。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html#kokunaihassei

 

その程度なので、日本ではPCR診断をこれまでの感染者と何らかの接点のある人を重点的に許可し、それ以外の検査を保健所が拒否していただろう。ニュースでは、以前に発表された感染者との接触などとともに報道されるケースが多いのはそのためである。クラスターという言葉は、それを誤魔化すための言葉だろう。インフルエンザの流行のとき、クラスターという言葉を聞いた記憶があまりない。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200318/k10012338211000.html

 

仮に3万人程度の感染者が見つかっても、1億3000万人の国民の中にばら撒けば、4000人に一人の感染者ということになり、検査されなければ(従って報道されない)別段危機に感じることもないだろう。現在は当にそのような状況ではないのか?そして、3000人程度が新型コロナ肺炎でなくなったとしても、通常の肺炎だと思いこんでいれば、年間12万人(年間の肺炎死亡者数)のうちの3000人なので、一般には特別な危機感も発生しないだろう。

 

東京都で1日に40人あまりが感染者として増加したと言っているが、それは検査件数が増えただけで、患者数がここ2,3日、急に増加したわけではないだろう。3月26日の東京都のページでは、これまでのクルーズ船以外の検査実施人数は累計で2269人だということである。この累計という意味がわかりにくいが、1人で3回検査した場合、3人として数えるのだろう。https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

 

結果は、陽性者259名、入院中223人(重症15名)、死亡5名、退院31人である。上記検査数からは妥当な数値で、結局感染者数が少ないのは、殆ど検査していないからというのが実態だろう。

 

検査を10倍にすれば、感染者も10倍程になり、これまでの感染者と関係のない感染者の割合が殆どになるだろう。検査数を増加させれば、いつでもオーバーシュートという言葉が使える状況だと思う。これらの数値が更に数倍になれば、流石に隠しきれなくなり騒ぎになるだろう。その日は、一週間後位までに来るだろう。私は、そのように感じている。

2020年3月27日金曜日

新型コロナ肺炎に苦しむ米国経済とトランプ大統領

1)トランプのイースターに経済再開するという宣言:

 

米国では、新型コロナ肺炎の感染者数が急増し、特に酷いニューヨーク州やカリフォルニア州などでは都市封鎖を行っているようである。パリやローマも、このCOVID-19(肺炎)の脅威に殆ど死の街の様相である。それは、ウイルスの蔓延を防ぐには大きな効果があるかもしれないが、経済活動も殆ど完全に止まる。

 

その経済活動低下分は、差し当たり大型の財政出動で補うことは出来る。しかし、国家の体力が減退していくので、都市封鎖に効果が十分なければ、その後の感染拡大を承知の上で、封鎖を解く必要がある。(補足1)

 

3月24日のFOX ニュースで、4月のイースターの時に経済再開を行うとトランプ大統領が宣言したという。この呼びかけは、命令の形をとるのか、単なる呼びかけなのかはわからない。

 

トランプ大統領は、「COVID-19(肺炎)で助かっても、不況の中で大量の自殺者が出るようになっては、何のための都市封鎖なのかわからない。」という趣旨の言葉で国民や各州の知事を説得したという。https://www.youtube.com/watch?v=n9VJeg7N98k 

 

強力な対策を必要とする恐ろしい伝染病の対策と、それにより破綻しそうな経済の立て直しは、独立した問題への対策ではない。一つで満足ある結果を出せば、必ずもう一つが破滅的な結果になる、2つの問題は従属した問題(複数)である。従って、両方において不満足だが、その不満足の合計を最小にしなければならない。

 

トランプが4月12日に経済活動を再開すると宣言したのは、そのような難しいバランス点について、リーダーとして明確に答えを出したと見える。その明確さと、責任を引き受ける姿勢は、日本のリーダーには欠けている。

 

2)ミサイルの飛び交わない戦争:ウイルスとの戦争と国家間の戦争

 

この問題は、既に10日ほど前に一度ブログ記事とした。そこでは世界経済を念頭において書いたので、問題提起の部分は書き換えなければならない。勿論、議論は殆ど同じだが、結論は多少違うだろう。つまり、国際協力の部分が今回の米国の議論では欠けている可能性がある。そこでの問題提起は、次のような文章である。

 

人の移動が禁止されれば、人は消費しない。その消費物資は、従って、生産されない。生産されないのなら、工場は休業であり、小売店もほぼ閉店状態。石油も消費されないから、原油価格は下落する。中国で始まった経済縮小により、産油国の経済はガタガタになるだろう。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12582949871.html

 

ここで、国内経済だけに話しを限れば、もっとシンプルになる。つまり、日常生活の必需品以外の小売店の閉店と、それ以外の生産に携わる工場閉鎖により、更に、旅行業やホテル業、外食産業から各種サービス業などで客が無くなることにより、これら全ての業種が致命的な影響を受ける。

 

イースターまでの経済停滞とそのあと尾を引く後遺症でも、政府ができる手当としてGDPの10%くらいの財政出動が必要だろう。それが2兆ドルの財政増加である。その後、更に経済をストップすれば、例えば1ヶ月毎に2兆ドルが必要だろう。(これは単に筆者の直感により言っているのであり、定量性はありません。)

 

このようなCOVID-19に対する戦争を中心にして戦えば、それは確実に国家破綻への道となる。米国のドルの信用は失われ、元がその代わりの地位を獲得すべく名乗りをあげるだろう。(補足2)

 

中国は、既に経済再開を多くの省で再開しており、一党独裁の強みで多少の人命の犠牲など問題視しないで済む。(補足3)そのようになれば、多くの国は、今回のウイルスは米軍が中国に持ち込んだというプロパガンダに同意し、競ってその宣伝を請け負うだろう。その歴史的敗戦と、覇権の移動という結果になるだろう。

 

トランプの上記政策は正しいと思う。これは戦争である。国民全員が無傷と言うわけにはいかない。日本も米国の同盟国として、この戦争を共に戦うだろう。

 

3)米国の基軸通貨発行国としての地位

 

米国民一般は、自国が基軸通貨の発行国であることを十分自覚すべきだろう。世界で流通する米ドルは、米国の債務としてばら撒かれている。つまり、米国は世界一の借金国である。それでも尚、米ドルは世界一強い通貨である。それが基軸通貨としての地位である。

 

Covid-19との戦い方を間違えば、経済が破綻し、米国債の信用はなくなる。米ドルは、基本的に米国債の切り売りである。その結果、米ドルの信用失墜と世界の基軸通貨としての地位は失われる。

https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20190106-00110053/

 

その米ドルの強さの恩恵を、米国及び米国民は受けている。勿論、世界一の創造性のある産業、世界一の軍事力、世界一の科学力は、世界を睥睨するに十分だろう。しかし、それを可能にしているのは、米ドルの地位であると私は思う。

 

上の図は、世界の対外純資産のランキングである。この傾向は、毎年の経常収支の傾向と殆どかわらない。2019年の経常収支の世界トップはドイツで、2位は日本である。最下位は米国のマイナス490B$(B$は10億ドル)である。

 

基軸通貨の地位を失うことは、この経常赤字が許されないことと等価である。そうなれば、世界の覇権は当然、一党独裁の国に移動するだろう。はっきり言う。それは世界の民主主義国にとっての悪夢である。

 

そのような情況になれば、中国共産党政権は、全世界の中国人に国防動員法を適用し、世界の主な国で傀儡政権樹立のためのクーデターを起こす可能性があると思う。米国も例外ではない。

 

補足:

1)一回の都市封鎖で事態が好転する程、このコロナウイルス肺炎甘くないだろう。多くの首長がそれでも都市封鎖するのは、実効性に期待しているが、それとともに、国民に危機感を持たせるためだと私は思う。その目的を知って、国民は一丸となり協力すべきである。これは戦争なのだから。

 

2)一帯一路構想とアジアインフラ投資銀行(AIIB)構想は、元を国際基軸通過とする構想でもある。

 

3)中国は大躍進運動や文化大革命で其々千万人レベルの死者を出していると言われている。一党独裁の国の非共産党員の命の値段は非常に安い。それに比べて、民主主義の先進国での命の値段は非常に高い。人命が消耗する戦いでは、中国は圧倒的に強いだろう。

新型コロナ肺炎:死亡率の定義とデータ捏造

1)死亡率の定義について:

 

先ず、本ブログで既に定義した死亡率は、以下の式で表される。

死亡率(1)= 死亡者数/(死亡者数+回復者数      (EQ1)

死亡率(2)=死亡者数/発病者数                         (EQ2)

 

これら2つは発病を前提としているが、このほかに、今回新たに死亡率(3)を定義する。

死亡率(3)= 死亡者数/感染者数                          (EQ3)

この場合は、感染者の中には発病しない人も含まれる。

 

ここではデータとして、John Hopkins 大の特設ページの数値を用いる。ここでは、(Confirmed, Deaths, Recovered. Active)の数値がセットであたえられている。今回の様な場合、通常、体の調子が悪いので検査を受けるだろう。その結果、感染が確認された場合をConfirmedと呼んでいる。しかし、クルーズ船での場合のように、一群の人に感染が疑われる場合、体調とは関係なく検査する場合もある。その場合でも、感染が確認された場合、上記Confirmedの中に数えられるだろう。

 

つまり、John Hopkins 大のデータも、性格の違う数字が混ざっているので、注意が必要である。例えば、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは23日、中国政府が新型コロナウイルス検査で陽性反応の出た感染者4万3000人以上(2月末時点)を、発熱やせきなど肺炎でみられる症状を示さなかったことを理由に統計から除外していたと報じた。中国政府の内部資料から判明したという。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20200323-OYT1T50195/

 

更に話が複雑になるのだが、これらの定義は「疫学」という専門分野で定義されている死亡率とも異なる。疫学では一定期間を考え、その間に死亡する人の割合を計算する。分母には観測対象とする総人数が入る。以下の疫学用語の解説が正しいのなら、疫学での死亡率は、時間あたりの死亡比であり、単位は%ではない。

https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=58299?site=nli

(補足1)

 

 

2)新型コロナ肺炎でのデータ捏造:

 

新型コロナ肺炎の疫学データ捏造には二種類ある。虚偽のデータを作り上げての捏造と対象者全員を検査しないタイプの捏造である。前者は、私が推定する中国の捏造であり、後者は日本の捏造である。どちらも同程度に悪質である。

 

日本の捏造はこれまで詳細に書いてきた。クラスターという言葉を用いて、感染者クラスターを13程決めて、それと何らかの関係のある対象者を重点的に検査することで、検査をなるべくしない方法で、日本はCOVID-19肺炎に侵されていない安全な国だという印象を作り上げてきた。これが①オリンピック開催中止を防止するためと、②習近平の中国に対して“武漢肺炎”で迷惑を被っているという印象を与えないためであった。

 

②の動機から、上記のデータ捏造を行っているのが、フィリピンやエジプト、それにWHOのヘッドを輩出しているエチオピアなどだろう。発展途上国の大抵は、PCR検査の能力においても劣っているだろう。

 

中国の三箇所の怪しげなデータを示す。今日早朝のJohn Hopkins大の特設ページ記載のデータから、北京、広東、重慶の其々死亡率を計算してみた。

これらの低い死亡率は、武漢での高い死亡率が4.9% 及び4.7%が医療崩壊によるものであることを強調するために作られたものだろう。尚、上記無症状の感染者4万3000人をJohn Hopkins 大のconfirmedの人数に加算すれば、上記死亡率は更に2/3に減少する。中国の主張は、死亡率(3)を採用すれば、この病気の死亡率はもっと低いという主張か、あるいは、中国でも本当は12万人以上感染していたのだという主張のどちらかである。

 

中国以外で最も国際的に評判の高い形でCovid-19対策を行ったのが、韓国だろう。韓国の死亡率(1)及び死亡率(2)は其々、3.06% と1.42%であり、感染が終息したとき、これら2つの定義による死亡率は近づいて2%程度の値になるだろう。その数値より遥かに小さい上記中国の湖北省以外での死亡率は、信じられない数値である。

 

追補: 更に、Covid-19肺炎の脅威を過少に誤魔化す理屈に、死亡したのは持病が悪化したためであり、健康体であったなら死亡しなかった筈だという考え方がある。この考え方を延長すると、老齢の人間は、既に死にかかっていたのだから、その死亡の原因としてCovid-19肺炎が負うべき割合は100%ではないという理屈もありうる。それは一つの指数(指標)で現象を把握するという行為そのものを否定していることになる。

 

(一部編集と追補は、午前10:40)

 

補足:

1)これまでテレビ等を見ていて、死亡率の定義について聞いたことがない。恐らく、Covid-19肺炎を扱ったブログでも、明確に定義とともに用いた例はほとんどないだろう。テレビで解説する政府寄りの医学関係者は、人々を安心させる数字を言うために、そして真実が明らかになったときの護身のために、死亡率(3)つまり分母に発病しない感染者も入れている人がいるかもしれない。

2020年3月26日木曜日

新型コロナ肺炎の国別発生者数は現実から程遠い

1)日本のケース:

 

日本の感染者数はPCR検査を行わないで、低く抑えられているという批判が海外から何件もあった。そして、日本政府のその様な対応の理由として2つが考えられていたと思う。その一つは、①感染者数の激増が表沙汰になると、オリンピックが開催出来なくなるという見方、そしてもう一つが、②武漢のように医療崩壊になっては逆に被害が大きくなることである。

 

前者を明確に証明したのが、小池都知事の昨日の都民に対する外出を控えるようにという要請であった。つまり、小池氏の心理が「オリンピックが延期になったのだから、次は新型コロナ肺炎(COVID-19肺炎)対策だ」という風に透けて見えるのである。それを指摘したのが、鳩山由紀夫元首相である。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200325-03250336-sph-soci

 

私は、このCOVID-19肺炎で犠牲者が多く出ることや、それによる世界大不況に比べて、オリンピックなどどうでも良い位小さい問題なので、①の動機を全く無視してきた。しかし、昨日の小池都知事の手のひらを返したような対応の変化を見ると、安倍首相や小池氏らを含めて日本の政治家は、上記二つ、オリンピックの中止とCOVID-19肺炎と世界経済危機の大小関係すら峻別できないのだとわかった。それは、有効な対策を立てることができないことを示している。

 

つまり、東京オリンピックは遅くとも今月上旬、トランプ大統領が一年延期した方が良い(3月12日の発言)と発言する以前に、政府は決断すべきだった。そうすれば、東京都も日本全体も、もっと積極的に情報公開し、新型肺炎対策に集中できたと思う。

 

おそらく現在では軽度な症状の人を含めて、一万人程度の人が発症している筈である。それが、一週間で倍程度の時定数で暫く増加を続けるように感じる。しかし、病院のベッド数、人工呼吸器、医師と看護師、検査要員などの、多数の重症患者に対応する能力の確保を、具体的に進めるような命令を政府や東京都は出さないだろう。何故なら、未だ緊急事態宣言など、出す気配がないからである。

 

(追補1:漸く昨夜その気配が感じられるようになった。)

 

2)途上国の感染実態

 

途上国の実態もジョーン・ホプキンス大の頁に現れる数字はあてにならない。北朝鮮だけでなく、インドやパキスタン、それにアフリカ諸国などの感染者数の発表値は、実際の値の数分の1から数十分の1だろう。https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6

 

その根拠の一つが、外国からの帰国者の感染の実態である。下図は、帰国者の在留国

別感染者数を示している。

 

https://www.asahi.com/articles/photo/AS20200325004677.html

 

 

エジプトは、大発生しているイランの近くにあり、且つ、中国との協力関係もイラン同様に深いので、かなりの患者の発生が考えられる。

https://mainichi.jp/articles/20190430/k00/00m/030/195000c

 

(追補2:しかし政府は26日夕刻発表の入国禁止国の対象にエジプトをいれていない)

 

 

3月25日午後更新の外務省ホーム ページでは、在エジプト大使館からの情報として、エジプト(政府発表)の感染者数は402名という数字を掲載している。日本からエジプトに在留する人間の数はフランスなどよりかなり少ないので、上の多数の帰国者の感染から考えて、402名という数字は全くデタラメだろう。

https://www.eg.emb-japan.go.jp/itpr_ja/r_covid19.html

 

フィリピンなども、発表している感染者数は600人程度で諸外国に比べて少ない。在留邦人もフランスの1/3程度で相当多いが、相次いて帰国者の感染が見つかるなどの情況から判断して、相当感染が進んでいる可能性が高い。これらJohn Hopkins 大掲載の途上国データは、中国の発表データ同様、全く信用できない。

 

フィリピンは、早い時期に中国からの渡航を禁止し、立派に対応しているように見えたが、実際には感染が進んでいたのだが、ドゥテルテ大統領は中国に遠慮してデータを隠蔽したのだろう。兎に角、外務省が掲載する感染危険レベルを示した世界地図など、全く頼りにならないことが証明されている。

(図に対する注釈: レベル1は水色、レベル2は紫、レベル3は濃紫色、レベル4はこの図にない)

 

追補3:コンゴがレベル2になっている。ここの発表感染者数は26日夜でも50人程である。ここを担当している外交官には、まともな活動をしていて感染実態を本国に報告したのだろう。

 

これらから、日本の在外公館が、本省への報告と現地在留の日本人への指導を適正に行っていない可能性がたかい。今回の新型コロナ肺炎に関しても、国内外を問わず、自分の身は自分で守るという原点に戻るべきである。

 

(3月27日午前4時、追補追加と編集)

2020年3月25日水曜日

人口呼吸器は足りるのか? 新型コロナ肺炎対策をサボっている?政府

新型コロナ肺炎(COVID-19)の患者が、世界で爆発的に増加している。その一方、日本の患者数は統計上それほど増加していない。しかし、それは検査しないだけであり、厚労省もほぼ把握し恐れている。それを、大阪府知事が厚労省からの非公開文書をテレビ番組で公開することで明らかにした。

 

今日、東京都の新たな感染者数は40名以上であり、そして、小池都知事は今週末の外出をなるべく控えるようにという要請を出した。200名程の感染者数にしては大騒ぎするのは、既に感染者数が千名を超えるレベルであることが分かっているからだろう。日本の行政府は感染テストをサボるだけでなく、公表もしない。本来なら、ネットにリアルタイムで都市別の感染者数を示す特設頁を設ける位のことはするべきである。

 

情報をオープンにすれば、いろんな人がいろんな角度からそのデータを見る。そして、必要な対策を議論し、行政へのフィードバックがあるだろう。これが米国など比較して、根本的に劣ることである。

 

日本の政府や東京都知事とは違って、感染が酷い米国ニューヨーク州の知事は、明確に予測と対策を表明している。Cuomo知事によると、感染のピークが来るのは2−3週間後であり、それまでに人工呼吸器を7000から37000に増加させる必要があると言っている。恐らく、20万人程度の入院治療を考えているのだろう。

 

更にCuomo知事は、知らない間に感染し治癒している人を、抗体の反応で見つけ出して、普通に経済活動に従事してもらうべきだと発言している。この提言は非常に大事である。https://www.youtube.com/watch?v=LqKwAIIy-Mo&t=76s

 

そこで先ず気になるのが、人工呼吸器の設置状況である。その必要性は、厚労省のお役人が何と‼️1月の段階でその重要性に気付いている。そして、全国に調査を依頼した。その結果を、日本呼吸療法医学会が1月22日に発表した。http://square.umin.ac.jp/jrcm/contents/influenza/page01.html

 

それによると、東京にあるのは2500台である。そのうち、現在用いていないのはわずかに1100台程度である。この状況は改善されているのか、都知事は説明すべきである。これまでクラスターを追いかけるだけで誤魔化してきて、今度はオーバーシュートとか言ういい加減な言葉で、住民を脅かす前に、「XXが必要で、YY程度既に準備している。しかし、ZZ程度不足をしている。そこで、政府に要請をしている、或いは予備費で発注している」という風に、ニューヨーク州知事のような解説や指示をすべきである。住民には隠し、噂が広がれば誤魔化し、いよいよ誤魔化し切れなくなったら、今度は脅す。それだけでは、まともな行政ではないだろう。

 

上のRoger Scheult (MD)さんの動画では、スマート体温計で住民の体温を測り、そのビッグデータを地図上に表示して、伝染病の伝搬や指示の有効性などのチエックに使えるという興味ある話がされていた。こんな話はデジタル後進国の日本では、まだ先の話だろう。

2020年3月24日火曜日

「厚労省の非公開文書」で明らかになった国民を誤魔化す日本政府の体質

新型コロナ肺炎(COVID-19)の報道に関連して、最近よく聞く言葉にクラスターとオーバーシュートがある。専門家会議という訳の分からない組織が作られ、それが大威張りでマスコミに登場して、連発している怪しげな英語由来の言葉である。それを怪しげに感じるのは私だけだろうか? (補足1)

 

その議論は補足に譲り、クラスターとオーバーシュートという言葉を用いて、国民を愚弄する政府厚労省の体質について書きたい。先ず言葉の意味だが、クラスターとは、何かが複数個、集団となった状態をいう。例えばある病気が集団(クラスター)で発生するには、いくつかのケースがある。今回の病気の場合、密集した換気の悪い空間、長時間にわたる人のあつまり、ウイルスをばら撒くタイプの保菌者が紛れ込み、近接することである。

 

専門家会議の人たちが、現時点でクラスターを何故重要視するのか、私にはわからない。「密集した換気の悪い空間で長期間の集合はやめよう」というのは、専門家会議が導き出すべき結論ではなく、感染症の疫学の常識である。そして、そのような場が発生すれば、現状どこでもクラスターは発生しうる。(補足2)

 

新型の感染症の場合、しかも国内への入った感染者が数人レベルなら、その数人を見つけ出して隔離するか、その数人から生じたクラスターを見つけて、一網打尽に感染者を隔離なり治療なりすれば、解決する可能性が高い。しかし、保菌者が数百人以上のレベルでどこにいるか分からない状況では、既存のクラスターに関係付けられる患者のみ、PCR検査の対象にして目を光らすことでは、感染者の増加の時定数(増加割合)を減少させる効果はない。

 

厚労省は、そもそも、”クラスター”と見ている把握済みの集団以外に、この病気の蔓延が既に大規模に起こっていることを隠しているだろう。その証拠が、日曜日のテレビ番組で大阪の吉村知事が公開した、厚労省の非公開文書である。(補足3)その文書では、3月28日〜4月3日にこのままでは大阪兵庫地区で、患者数が3374人(内重篤者が227人)になると予想している。しかし、3月20日での各感染者数の和は182人でしかない。https://www.sanspo.com/geino/news/20200321/sot20032116020018-n1.html

 

もし厚労省の発表している、3月20日の両府県の感染者数の和182人がほぼ正しいのなら、上記3/28~4/3の真ん中の3月31日に感染者数が3374人になるには、週に7倍、或いは、日に30%の割合で、患者数が増加することになる。(補足4)

しかし、これまでの発表数の推移を考えると、両府県の患者数の和の増加率は、1日に30%の増加よりはるかに少ない。つまり、3月20現在の発表数値182人は、実際の感染者数から大きく外れていることを、厚労省は承知している筈である。

 

もしそうなら、患者数が現在どんどん増加しており、ある時点で実際の数字を発表せざるを得なくなることを、厚労省は予測しているのだろう。出来ればそのようなことなく、誤魔化し通したい。そこで、秘密裏に地方自治体の知事にこっそりと、予測を打ち明けて、地方自治体の責任で強い規制をしてもらいたかったのだろう。

 

つまり、いよいよ正直に患者の大量発生を発表するときのために、オーバーシュートという言葉を準備したのだろう。オーバーシュートとは、「目標地点を行き過ぎる」という意味の英語、overshootである筈。しかし、どうも専門家会議の人の考えている意味ではない。何故、そのような不思議な言葉を使っているのかについて、語った人はテレビなどではいない。例えば、epidemiology(疫学) & overshootで検索しても、医療費の払い過ぎ位の意味の記述しか出てこない。専門家委員会が、国民を誤魔化すために用いた造語だろうと思う。(補足5)

 

日本では、外来語を用いて、誤魔化す人が多い。インバウンドとか、イノベーションとか、ロードマップとか、本当にバカみたいだ。

 

追補:(3月24日9:50)

現在、米国やヨーロッパ諸国で急激に患者数画増加している。しかし、その増加の速度は国により大きくことなる。下図は、治癒率の函数として示した患者数が倍増する日数である。文化的にも類似しているとすれば、治癒率が上昇するに従って、その日数は長くなる。(John Hopkins大のデータを用いた。治癒率は3月24日のデータ。倍増に要する日数は、今日の半分感染者数だった日付を推定し、計算した。)

観戦数が頂上付近では、おおよそ治癒率も50%程度になっているだろう。従って、この数値が4−5日の間はまだ、感染拡大の序盤戦だとも考えられる。

補足:

1)厚生労働省のホームページに「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」の解説がある。しかし、そこには設置とそこからの情報発信に関して、法的根拠は何もかかれていない。専門家に意見を聞くのは良いことだが、我々が選挙で選んだ人ではないのだから、政府の権威と専門家としての権威の二つを着て、偉そうに直接マスコミに意見を発表するのはおかしい。専門家会議の出した考えは、設置したのが厚労省の大臣なら、厚労大臣の言葉として国民あるいはそのメディアであるマスコミに情報を流すべきである。この件、1月23日のブログ記事にも書いた。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/01/blog-post_23.html

2)疾患クラスターとは、時間と地理の両方の点で、特定の疾患または障害が異常に高い頻度で発生することである。以下のような例文を見れば、その用途がわかる。つまり:イタイイタイと言って苦しむ不思議な病気のクラスターが発見され、調査の結果、ある鉱山から出る鉱毒が原因だと突き止められた。現在のCOVID-19の伝染に関して、専門用語「クラスター」を用いて解明することは、上記のように何もないだろう。歴史的に有名なクラスターは、ウイキペディアによると、1854年のロンドンでのコレラの集団発生がある。

3)もう一つの可能性は、吉村知事に極端な数値を見せて脅し、厳しい対策を知事の責任で取らせるための策略の可能性がある。

4)11日間で、患者数が182人から3374人に増加することから、指数関数を仮定して、簡単に時定数が求められる。

 

 

2020年3月23日月曜日

新型コロナ肺炎を軽視する日本のテレビ放送

今、テレビタックルで「密着:新型コロナで大混乱」という題で、放送している。そこの医者は、「本音を言えば、ほとんどのお医者さん方は、インフルエンザと同じ程度と考えている」と話し、もう一人の老齢の有名な医療評論家N氏は、「インフルエンザより5割程度恐ろしい」と話していた。(テレビタックルは18:30ー20:56)

 

このような勉強不足か、経済界の代弁なのか知らないが、いい加減なことを言う者たちをテレビは起用して、新型コロナ肺炎(COVID-19)を軽視する空気を醸成している。また、後者の評論家は「(COVID-19対策は)そろそろ出口を考えるべきだ」と言い出す始末。日本は未だ対策の入り口にも入っていないことも知らない。

 

現在、日本は世界から非常に評判がわるい。何故なら、日本政府の対応は、検査をしないで感染者数をごまかし、オリンピックの開催を目指していると思われるからである。

 

ここで出演している連中は、何故このようないい加減なことを言うのか、私にはわからない。恐らく外国メディアなど全くみていないのだろう。イタリアの惨状、フランス、スペイン、米国のニューヨークやカリフォルニア、など、その猛威に緊張感に震える位の人たちの様子など、全く耳目に入っていない筈である。

 

インフルエンザの死亡率は0.1%だが、COVID-19の死亡率は、恐らく3−10%の範囲になるだろう。伝染の初期に大きな死亡率が計算されるが、終わったときには小さい値になるのが、新型の伝染病の特徴だと言う人がいる。それは、極初期は当てはまっても、現状のCOVID-19にはあてはまらない。実際、インフルエンザの死亡率は0.1%位だが、一度終息した中国でのCOVID-19の死亡率は5%前後である。ただ、中国では2度目の大流行が懸念される。イタリア、フランス、スペインではもっと酷い数値になるだろう。

 

検査を多数行い、ヒドロキシクロロキンなどを用いる治療法を持っている韓国でも、死亡率は1−3%程度になる。何も勉強しないで、名前だけでテレビ出演する無責任な連中が、日本に多い。

 

チャンネルをNHKにすると、「パンデミックとの戦い」(21時−22時)という番組をやっていた。そこでは、政府の専門家委員会の方が出て、解説をしていた。クラスターと関係のない感染者が、都市部で見つかっており、何時オーバーシュートが起こっても不思議はないと言っている。クラスターとは政府が発表した全国13のクラスター感染者である。

 

その専門家は、「PCR検査はあまりしない方が、医療資源の有効利用の上で大事だ」といっている。しかし、以前書いたように、現場の医者がPCR検査をするべく保健所に申し出ても、クラスターとの関連、外国渡航などの経験などの無い人は、断られている。実際、既に数百人の人が、医者の依頼があったにも拘らず、検査を断られている。https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=68951

 

それらのケースでは、肺炎で死亡した場合、従来の肺炎死亡者として片付けられているのだろう。それらの死亡者は、年間12万人の肺炎死亡者の影に隠れて全く問題にならないだろう。つまり、13のクラスターの中に居る患者はラッキーである。4月になれば、アビガンなどで治療を受けて、助かるだろう。

 

しかし、クラスターの中に入らない人で調子の悪い人は、不幸である。PCR検査をした方良いと医者が言っても、検査すらしてもらえない。恐らく、今年の通常肺炎の死亡者は、例年より多い数字がでるだろう。かれらがオーバーシュートというのは、いよいよ隠し来れなかった時に使う言葉だろう。

 

このNHKの番組では、今世界中でCOVID-19の薬を探しているとして、日本での研究者を紹介している。そこで取り上げられたのはオルベスコという喘息の薬である。しかし、中国や韓国で大きな治療効果を挙げたとされている、そして、米国トランプ大統領も用いるべきだと推薦している、クロロキンやハイドロキシクロロキンには触れていない。(追補)

 

最後に、流行を低いレベルで抑えている日本の対策が、世界で注目されていると、政府専門家委員会の人が自画自賛した。

 

追補1:昨夜は、これを急ぎ書いて、何時ものように10時半に寝た。今朝(6時前)、若干修正し書き忘れたところを追補としたい。NHKテレビで紹介された薬は4つで、喘息の薬の他、アビガン、HIVの薬(New England Journal of Medicineの論文がプラセボ以上の効果なしとしたもの)、4つ目が名前をメモできなかったが、クロロキンではなかった。クロロキンは既に全身性エリテマトーデスなどに使われており(韓国では)処方が確立しているので、現状第一の選択だろう。副作用は網膜に現れるが、それ以外は安全だと薬屋の頁には記述されている。アビガンも副作用がキツイようだが、第二の選択ではないだろうか。

クロロキンを用いたCOVID-19の治療の報告:http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200312_5.pdf

 

追補2:保健所でPCR検査を拒否するケースがおおくあると書いた。現場の声と思しき連絡を掲載している動画サイトがある。https://www.youtube.com/watch?v=ibuRgyAdB-Q

もちろん、信頼性はこれだけではわからない。しかし、日本医師会のPCR検査が現場で必要だと考えて、保健所に連絡したが断られたケースが少なくとも290例あるという記事と合わせ考えると真実だろうと思う。どうも、首相から直接厚労省を通して、隠蔽するようにとの司令が出ているとしか思えない。安倍&菅内閣は、森友問題でも明らかなように、中国の毛沢東的な政権である。(23日午前8:19追加)

2020年3月22日日曜日

森友学園問題で自殺した事務員家族の提訴は、今の日本では失敗するだろう

1)森友問題の背景と本質

 

森友問題の背後には、日本の官僚組織と自民党との癒着がある。その根源には、吉田茂の戦後政治における基本路線がある。それは、日本国を米国政府の一属州とみなし、日本国の政府組織や司法組織の全てを、米国指導部の官僚組織としたことである。それは元官僚の吉田茂が採用した最も安易な考え方であり、それは吉田とその配下にとって心地よい地位を与えることになった。

 

米国が行った公職追放により、日本のまともな政治家は牢獄の住人となり、その席を埋め合わせる為に、“吉田学校”を官僚の政治家としての訓練組織として作った。その優等生たちに、後の長期政権担当総理の佐藤栄作や池田勇人がいた。対米追従と既存路線以外には、何もしない元総理たちである。

 

この官僚と政府与党政治家との関係は、日本に健全な野党の登場を不可能にした。官僚は天下りや政界入りなどの将来の利権を自分の人生設計書に書いて、その実現のために政府自民党に協力した。国会での政府の答弁書は、官僚たちが徹夜してでも作成し、翌日担当大臣たちはその答弁書を国会で読んだ。

 

野党が一時的に政権の座を得ても、本来の官僚業務に専念することで、政権の座から降りるまで待った。野党政治家たちを含め、日本の政治家には政権担当能力など元から無いからである。最近も、歯舞や色丹が読めない人が北方領土担当大臣とかいう席に座った。https://www.huffingtonpost.jp/2016/02/09/aiko-shimajiri-northern-territories_n_9191582.html

 

日本が米国の属州の間、その図式は上手く機能した。ただ、官僚の利権の範囲が徐々に大きくなり、日本は大きな政府の国になった。そして、日本の経済が米国経済の競争相手と見做されるようになってからは、政府債務は大きくなり続けるが、消費税以外の税収は減少を続けることになった。日本は独立国の体裁もない、歪な国となって、現在に至る。(補足1)

 

次第に困難になる日本の経済成長は、官僚にとっても政治家にとっても、当然国民にとっても、分けるパイ全体の減少になった。本来なら、そこで議論が始まり、新しい組織とイノベーションの方向を見つけるのが先進国の姿だろう。しかし、日本は復古主義が台頭したと私は思う。右派の台頭である。

 

日本は日出ずる国、天皇を戴く国というのが、右派の中心思想である。そして、過去の大戦争は、主に米国ルーズベルトが仕組んだものであるという、半分の真実を全部にまで膨らませて、現在の苦境を自分の頭で考える代わりに、他人の責任に押し付けるという安易な方法をとった。そしてできたのが、日本会議であり、安倍総理と森友学園理事長の出会いの場である。

 

籠池泰典氏は、経営する幼稚園で教育勅語を暗唱させ、それを見た安倍総理らはそれに感じ入り、支援を考えた。日本の首相に上手く取り入った籠池氏は、学園の拡張を考え、適地を見つけて、安く手にいれることにしたのである。

 

2)原告赤木俊夫氏夫人の損害と被告佐川宣寿氏の違法行為

 

国有財産であった森友学園の用地を安く手に入れる方法は、地中深く存在するゴミの撤去費用に8億円かかるという見積書を作成して、その分の値引きをするという筋書きで進められた。森友学園は、財務省理財局長とその配下の近畿財務局の全面的協力を得た。

 

その筋書きは、2017年2月に朝日新聞に暴露され、国会で激しい議論の対象となった。そこで、証拠隠滅のためなされた決済書類の改ざんが、国会で取り上げられた。この国有地売却を担当したのが、近畿財務局の赤木俊夫氏であり、その書類改ざんを命令したのが、時の財務省理財局長の佐川宣寿氏である。(補足2)赤木氏は地検の聞き取りを受けた晩、自殺した。

 

そして、自民党議員や右派評論家たちは、取引の法的正当性を主張し、検察も事件化しなかった。赤木氏の自殺の原因はうつ病である。労災とみとめられ、保険金が支払われたが、遺族は当然納得がいかない。そこで、今回の民事による提訴となった。目的は真相解明であると、訴状にも書かれている。https://iwj.co.jp/wj/open/archives/470179#idx-0

 

損害賠償の根拠は、民法709条である。「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と書かれている。

 

この場合、他人の権利とは、原告が自殺した夫である赤木俊夫氏と伴にその後も暮らす権利であり、法律上保障される利益とは、その生活において得られる諸利益である。これらに対する佐川氏の侵害行為とは、夫の赤木俊夫氏をうつ病に追い込んだ異常な佐川氏の命令である。

 

故意または過失とは、赤木氏に大きな心理的負担になる公文書改竄を、それと知りながら(故意)、或いは、気づかないで(過失)命じたことである。赤木氏がうつ病になるほどの心理的負担を与えたのは、公文書改竄という違法行為であり、公文書の校正(訂正)ではないからである。

 

勿論、激務など雇用側の判断ミスなどでうつ病になった人が自殺したような場合、労災保健が支払われることが多い。そのような場合には、雇用側の違法行為として刑事罰を問うことはないだろう。うつ病になる激務の領域としては、誰でも鬱になるレベルの完全な違法行為から精神的に弱い人の一部が鬱になるレベルの迷惑行為までグレイゾーンが広がる。労災で問題になるのは、雇用側の違法行為ではなく、被雇用者のうつ病と仕事の因果関係である。

 

ただ、民法709条をたてに損害賠償訴訟を起こし勝訴するには、労災認定をクリアする事実だけでは不足である。民佐川宣寿氏の公文書書き換えを命令の違法性が、裁判所において認定される必要がある。

 

3)門前払いの可能性について:

 

ここで問題になるのは、「本来、違法な公文書の改竄を命じられたのなら、命令を拒否することは可能である」という論理である。そうすればうつ病になる可能性もないだろう。その結果、もし降格或いは解雇といった処分を受けたのなら、その損害は赤木俊夫氏本人が国を相手取って訴訟すべきであった。

 

つまり、そうしなかったのは、赤木氏が元々うつ病に掛かりやすい性格であり、本件以前に国鉄民営化とともに行われた配置転換の時点からの職場への不適応状態にあり、それが原因でうつ病を発症していた可能性が高いという筋書きである。

 

もし、この論理を取るのなら、佐川氏の公文書書き換えの件は、うつ病の赤木氏には大きな負担になったとしても、事件化するほどの違法性を必須条件としなかった、或いは、もともと関係が薄いとされ、労災認定で全て解決済みという判断がなされる可能性もある。その場合、森友問題の真相解明には、一切役立たないだろう。

 

更に、この件検察が追求を深めることを避けた点に注目すべきだろう。もし、裁判所が佐川氏の違法行為を認定したのなら、検察の顔に泥をぬることになる。裁判所、特に最高裁では、そのようなことを避ける。何故なら、日本の三権は分立していないからである。

 

(午前11時35分:セクション3編集)

 

補足:

 

1)現在の安倍政権も、その延長上にある。というより、その延長上の典型的な政府である。彼らを含めて日本の政治家全ては、国難であり世界の危機にある今、オリンピックという小さい出来事と世界危機という大きな出来事に対する、日本国の対応のあり方さえわからないのである。オリンピック中止も世界大恐慌も、思考のダイナミックレンジの外にあるからである。

思考のダイナミックレンジ:https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2014/12/blog-post_26.html

 

2)何故、問題が朝日に掲載された後、直ぐに佐川氏が理財局長から国税局長に栄転したのか?更に何故、その後処分を受けて辞職させられたのか? https://www.sankei.com/affairs/news/180518/afr1805180030-n1.html

 

財務省はその後の調査で、佐川氏が理財局のトップとして改ざんの事実を認識していたと判断。既に退官し現役の国家公務員ではないため、「懲戒処分相当」と認定した上で、約5千万円の退職金の減額などを検討するとみられる。何故改竄の事実まで財務省は認めたのか?一つのモデルは、財務省が森友への協力を安倍総理の意向にそった行為だと思ったのだが、それは過剰忖度だったというものである。そのモデルは、以下の記事に書いたが、詳細は現在も闇の中である。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2018/03/blog-post_20.html

2020年3月21日土曜日

新型コロナ肺炎の致死率が韓国で低いのは、クロロキン投与の結果か?

副題:亜鉛イオンが新型コロナ肺炎に有効ならば、効果的で副作用の少ない高選択性イオノフォア探しを行うべきでは

 

以前にマラリヤの薬であるクロロキンが新型コロナ肺炎に有効であるという話のyoutube 動画を紹介した。 https://www.youtube.com/watch?v=U7F1cnWup9M それに引き続いて、その療法には、深刻な副作用があることも続いて紹介した。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12581585890.html

 

そのメカニズムは、ウイルスが増殖するために必要な、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RDRP)の活性を亜鉛イオンがブロックすることである。その同じ趣旨の別人による動画を、今日たまたま見た。https://www.youtube.com/watch?v=BIymfznD7YA

 

効果を示す実験を含めて、わかりやすい解説がなされている。それは、ほとんど以前見た動画と同じ内容であり、私にとっては復習だったからだろう。その根拠を示す実験結果もしっかり示されていた。

 

まず、最初に紹介されていたのは、韓国でのCOVID-19肺炎の罹患者の低い致死率である。(補足1)そしてそれとの関連で、韓国の内科医らは、このコロナ肺炎治療のガイドラインを作成していることに言及があった。(既にこれは、上記12日の記事で紹介していた)韓国の対策は、WHOでも高く評価されているので、日本も参考にすべきである。

 

そのガイドラインは、Korea Biomedical Reviewという雑誌に掲載されており、以下のネット頁で見る事が可能である。要するに、HIVの薬であるlopinavir/ritonavirとかいう薬と、マラリヤの薬であるクロロキンの併用である。(補足2) http://www.koreabiomed.com/news/articleView.html?idxno=7428

 

上記のブログ記事でも書いたように、クロロキンの副作用はかなりキツイので、重症者のみを対象にしている。

 

PLOS ONEというジャーナルに2014年10月1日に発表された「Chloroquine is a Zinc Ionophore」と題する論文で、亜鉛イオンの細胞による獲得濃度を、クロロキンの有無で比較している。

 

そこで紹介されていたのは、卵巣がん細胞を用いたクロロキンと亜鉛の投与の効果を示すグラフ等であった。下の図で見る限り、クロロキンはたしかに亜鉛イオンの細胞内への透過を促進する役割をはたしているようである。https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0109180

 

クロロキンは元々マラリヤの薬である。マラリヤ原虫の繁殖を防止する効果が、亜鉛イオンの細胞膜透過と関係ない可能性がある。もしそうなら、COVID-19治療薬として、ゼロからイオノフォア抗生物質を含むイオノフォア剤を探す研究も進めるべきではないだろうか。

 

 

上記論文のデータ(A 右の白い棒グラフ)では、クロロキンが無くても、高濃度の亜鉛剤服用で細胞内亜鉛濃度を増加させることが可能である。クロロキンの副作用がキツイのなら、亜鉛だけの投与でも、COVID-19 肺炎に効果があるのではないだろうか?

 

追補; 日本ではアビガンが厚労省からも宣伝されている。アビガンはZnイオンと同様に、RNA依存性RNAポリメラーゼの活動を阻害するが、機作が異なるようである。クロロキンと同様に副作用がキツイという。日本の一部の臨床医がクロロキンを採用しているようだが、一般的ではない。日本の政府&官僚組織は、有識者会議(恣意的に人選でつくっている)に何かを言わせて、それに沿っているフリをして、自分たちの思う通りに政治を行い、且つ、官僚の利権拡大に大災害も利用している。有識者会議が全くマスコミに報道されず、隠れた存在なら、総理の私設補佐官的で憲法に抵触しない。しかし、政治の方向を民意の誘導とともに決定する道具として用いている実態は、憲法の精神に反する。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/01/blog-post_23.html

 

補足:

 

1)今日朝のJohn Hopkins大のCOVID-19 統計のサイトのデータを用いて計算した、上記私のブログで定義した死亡率1と死亡率2(従来の定義)は、日本では(16.2%; 3.1%)、韓国の場合は(5.6%; 1.1%)である。全世界(中国湖北省を除く)平均では、(31.7%; 4.9%)である。確かに、韓国の致死率は圧倒的に低い。

 

2)このHIVの薬の投与は、それほど或いは誤差の範囲の効果しかないことが、極最近のNew England Journal of Medicineに掲載されたようである。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2001282

2020年3月20日金曜日

新型コロナ肺炎に纏わる米中間「歴史物語の戦争」

この“歴史物語の戦争”は、中国習近平政権が作った「世界を新型コロナ肺炎から救う中国」という話と、「世界に新型コロナ肺炎を持ち込んだのは、中国の失政が原因である」という話のどちらを、世界の正史に組み込むのかという戦争である。その“物語の戦争”のもう一方の当事者である筈の米国トランプ大統領は、普通なら簡単に勝利出来るはずだが、孤立主義に囚われて、巧みな中国の歴史捏造に結果的に協力する可能性がある。副大統領マイク・ペンスや国務長官マイク・ポンペオは、そんなトランプに協力するのだろうか?

 

1)新型コロナ肺炎を世界政治に利用し始めた中国:

 

Foreign Policy誌が、「中国はグローバルな救世主としての地位を固めようとしているが、米国とEUは国内のウイルス(対策)に焦点を当てている」と題する記事を掲載した。https://foreignpolicy.com/2020/03/19/china-us-eu-coronavirus-great-power-competition/?utm_source=PostUp&utm_medium=email&utm_campaign=20381&utm_term=Editor#39;s%20Picks%20OC&?tpcc=20381

 

例として挙げたのが、セルビア大統領の新型コロナ肺炎のパンデミックに関する記者会見でのスピーチである。それは、「今では皆さんは、偉大な国際連帯やヨーロッパの連帯など存在しないことを理解されているでしょう。それは本の中の御伽話でした。」で始まる。

 

それに続いて、彼は次の様に言った。「今日、唯一助けてくれる中国習近平主席に手紙を送った。親愛なる友人として、或いは兄弟として、EUが拒絶した医用品をセルビアに送ってくれる様と、依頼する手紙である。」

 

あまり期待出来ないEU圏の国々に対して感情的になっているのは、愚かな姿かもしれない。しかし、そのレベルの大統領は、民主主義という政治の産物であることは確かである。このセルビアの大統領の姿から、中国現政権が、最初のコロナウイルスへの異常な反応(補足1)を払拭し、中国のイメージを一新するソフトパワー攻勢を再開していることが分かる。

 

中国湖北省で始まった新型コロナウイルス肺炎は、最初強引に隠蔽しようとしたことが原因で、世界に広がった。しかし、その原因を作った中国は、現在では、自国での新たな感染者発生が減少傾向になっただけであるにも拘らず、イタリアとイランを含む世界の国々に対して、必要な医薬品と医師などを送り出している。(補足2)

 

習近平政権の諸外国へのフレンドシップは、国内中国人のかなりの犠牲の下、政権の安定維持、中国の世界的地位の毀損防止、更に、世界覇権獲得へ向けた遠大な計画の一環として、開始された事がわかる。そのことを第一に気づくべきなのは、米国大統領府である。トランプにその感受性と判断力があるか、非常に疑わしい。

 

FP誌の上記記事は、続けて以下のように記述を加えている。ソウル世宗研究所の中国研究センター所長であるイ・ソンヒョン氏は、中国政府は「中国国内外の多くの人々を救う世界的な英雄としての地位を確立しようとしている」と語った。 この世界的な流行を絶好の機会であると正しく認識して、中国はPRで強く出てきている。一方、アメリカは伝統的な同盟国や友人を助けるのに十分な資源を投資しておらず、この“物語の戦争”に十分な投資をしていない。

 

2)物語戦争の本質について:

 

この“物語の戦争”は、ポンペイオの”武漢ウイルス”という言葉を用いた中国の誤った初期対応への言及に対して、中国外務省のスポークスマンによる、「武漢にウイルスを持ち込んだのは米軍だ」という応酬で始まったと、このFPの記事が書いている。

 

注意すべきは、中国側のカウンターパンチが、ポンペイオのパンチへの応酬としては、釣り合いが取れていないことである。「米軍がCOVID-19肺炎ウイルスを武漢に持ち込んだ」というのが応酬が、「新型コロナ肺炎の流行は、中国が開発している生物兵器が漏れ出た結果であった」という攻撃への対応なら、釣り合いがとれている。

 

つまり、中国のスポークスマンの上記発言は、この“物語の戦争”の最終兵器である「新型コロナ肺炎流行の中国細菌兵器起源説」を米国が持つと強く意識した結果だろう。中国の初期の李文亮医師らを弾圧してまで行った隠蔽工作、それが不可能になったときの考えられない程の強力な都市封鎖という対策などを考えると、この“物語戦争”における米国の最終兵器には、実弾が装填されていると予想される。

 

中国に、それを考えての焦りがなければ、あのような“ヤクザの言い掛かり”のような台詞は吐かないだろう。つまり、普通に戦えば、この“物語戦争”は圧倒的に米国有利な筈である。

 

しかし、米国のトランプの対応は、何を目論でいるのか全くわからない。世界経済がグローバルに広がった今、少なくとも経済の面では孤立主義など取れる訳がない。それにも関わらず、アメリカ第一主義を唯我独尊に唱えている。これまで築いたヨーロッパとの同盟関係、日本や韓国との同盟関係などを軽視し、これら全ての国を中国側の覇権域になるように仕向けている。

 

トランプのMake America Great Again は、世界から孤立しての達成は不可能である。これまでの歴史を無視した孤立主義は、米国に信頼できない国としての烙印を、世界中の国々から押されるように仕向けているだけでなく、世界に中国の悪質な御伽噺を広めることに協力し、世界を破滅に向けることになるような気がする。共産党独裁の人類に明るい未来など在る筈がない。李文亮の件を見ればわかる。

 

(FPの記事を元に書いた一素人の考えです。意見、批判等歓迎します。)

 

補足:

 

1)その情報を医者仲間で共有しようとした李文亮医師らを弾圧した。李医師はその後その肺炎で死亡し、中国市民及び世界の英雄となった。しかし、中国に忖度する国々ではその名は報道されることが少なくなり、中国覇権が広がることにより、最終的に隠蔽され大衆から忘れ去られるだろう。

 

2)John Hopkins大の何時もの頁では、3月3日からの半月間、湖北省全体で増加した感染者は500人ほどであるが、中国出身の鳴霞さんの3月18日のyoutube発信によると、武漢に新たに感染者が1700人でたらしい。また、習近平が3月10日武漢を訪問したとき、感染者も病院から追い出して、完治者にカウントしていたという話である。https://www.youtube.com/watch?v=dO5k6TKIP9c

 

これらは、不自然な最近の治癒者数の増加を考えれば、説得力がある。中国国内での対COVID-19ウイルス戦争は、完全勝利には未だ遠いが、それを抱えながら、「COVID-19物語戦争」を、世界を戦場にして(始める羽目に陥って)いるのだろう。

2020年3月19日木曜日

日本は法治国家ではない:森友学園問題で自殺した事務員家族の提訴は成功しないだろう

日本は法治国家ではない:森友学園問題で自殺した公務員家族の提訴

 

一昨年の今頃、森友学園問題や加計学園問題など、安倍総理夫妻と友好関係にあった方々へ便宜を図ったと疑われる事件についての野党の追求が国会を占拠していた。幼稚園児に教育勅語を暗唱させる教育をしていた森友学園が、安倍総理夫妻の知遇を得て、新たに国有地を殆どただ同然で入手し、小学校を建設するという話になったという件である。

 

それに、近畿財務局や財務省理財局が協力し、その候補地の払い下げのために、ゴミが詰まっている土地であり、実質価値が無いという書類を作成した。その書類の為のゴミ撤去作業の見積書作成に協力したのが、田中造園土木という会社だが、そこの社長が昨年春に死亡した。自殺だと言われているが、詳細は私にはわからない。

 

その問題が、2017年2月に朝日新聞に掲載され、国会で激しい議論となった。そこで、その決済書類の改ざん問題が、国会で取り上げられたと記憶する。その改ざんを命令したのが、時の理財局長の佐川宣寿氏である。その土地の売却を担当し、財務書類の改ざんを担当させられた近畿財務局金融監督第三課上席調査官の赤木俊夫と言う方が、その後自殺した。地検の聞き取りを受けた晩のことだったという。

 

これだけの事がありながら、検察は事件化しなかった。この時、赤木氏は遺書をのこしていた。昨日だったか、その遺書が遺族により公開され、そして詳細はわからないが、遺族は国などを相手取り、損害賠償1億円あまりを要求する裁判をおこした。仕事に悩み自殺したとして、労災は認められているが、損害賠償請求は却下されるだろう。

 

何故なら、それが認められるには、国などに落ち度がなければならない。しかし、日本の裁判所、特に最高裁は、行政に忖度をするのが常であり、遺族が期待する論理的な判決にはならないだろう。統治行為論なる訳のわからない言葉を持ち出して、三権分立の原則を無視してきたのが、日本の裁判所である。それが、言語と論理を軽視する政治文化を作ってきた。

 

この事件については、私は何度もブログに書いた。違法なことであっても、総理大臣が絡んでいると、官僚上層部は忖度をして、書類の改ざんでもなんでも行う。実際その功績からか、佐川氏は理財局長から国税局長に昇進し、退官した。どうせ、何処かに天下りを繰り返し、高給と退職金をもらっているのだろう。

 

この8億円値引きのプロセスに、何も違法性はないとして、多くの右翼系評論家などが宣伝したこともあり、結局自殺者(詳細はわからない)2名を出したものの、森友学園の園長が偽証罪にとわれただけで、事件は雲散霧消した。官僚と政治の癒着を示す、最も酷い例の一つである。

 

以下に関係記事のサイトを書く:

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516299.html (森友学園事件再考)

その他、3月12日—3月25日までの間に数件投稿している。

2020年3月18日水曜日

新型コロナ肺炎による世界経済危機と人類の浅知恵

新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界経済に大きな影響が出るだろう。そのことを的確に指摘したのが、何時も引用する及川幸久氏のyoutube動画である。タイトルは「韓国、ロシア、トルコの通貨安」だが、その根本にあるのが、この新型コロナ肺炎(以下COVID-19)とそれによる中国の経済危機である。https://www.youtube.com/watch?v=bpp4imMsDoE

 

新型コロナ肺炎の対策を論じる際、以前から言われているのは、COVID-19を抑え込む最良の方法は、経済にとって最悪の結果を招くことである。つまり、全員が自宅に籠もってしまっては、経済危機が来るのは当然だからである。その点、日本は上手くやっていると言うことも可能である。(補足1)

https://www.youtube.com/watch?v=gjMJHVp55v0

 

COVID-19肺炎には、根本的対策はない。全員の感染、季節要因の好転、ワクチン開発などに、期待するしか本来ないのだろう。(補足2)

 

1)パンデミックとなったCOVID-19肺炎との戦い方について:

 

幸か不幸か、COVID-19はそれほど強烈な感染症ではない。致命的な被害に会うのは、高齢者や持病を抱えている人である。その死亡率3%の恐怖に国民全員が捕われて経済がストップすれば、高齢者や糖尿病、高血圧に罹患している“厄介者たち”が助かって、現在経済を担っている現役世代と次世代を担う子供に被害が大きくでる。それは、国家の破綻の第一章を為すだろう。(因みに、筆者は高齢者である。)

 

日本国家のトップには、大きな権力がないので、右往左往しながら実態を隠蔽する方式をとっている。一昨日批判したクラスター感染中心の「対策」とは、感染蔓延の防止を諦め、論語の精神「(国民は)由らしむべし知らしむべからず」を施政の中心においたものである。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/03/blog-post_16.html

 

それを、現代版「楢山節考」の世界だと呼び批判したのが、2月24日に書いた記事の内容である。それが当に現在の日本の実態である。国或いは民族全体でみれば、正しいとは言えないとしても、差し当たりの被害を最小に抑える方法かもしれない。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/02/covid-19.html

 

しかし、世界はそのようには進行していない。その代表的な姿勢は、中国政府がとった徹底的に力で抑え込む手法であり、韓国の出来るだけ多くの感染者を洗い出し、隔離する手法である。それは、昨日まで私が主張した手法でもある。その大きな細かい網でどんな小さな魚でも掬い取るような方法を、WHOのテドロス事務局長も主張している。それは世界保健の「専門的判断」として、正しい方法だろう。https://jp.reuters.com/article/healthcare-coronavirus-who-idJPKBN2133E9

 

しかし、専門的に見て正しい方法が、総合的観点からの正しい方法に一致するのは、ことが始まった序盤のみである。数学の基礎知識の在る方には、「世界保健という独立変数による偏微分的方法では、独立変数が大きくなると良い対策とはならないのである」が分かりやすいだろう。(補足3)

 

序盤では、伝染病と正面から対決できるが、中盤では二次的効果(ここでは経済効果)が大きくなり、それが一次的効果(つまり伝染病そのものの効果)より重要となってしまうことが往々にして在る。つまり、中盤戦以降は、力で抑え込む手法は全身の生命力の減退に至る可能性があり、禁忌となる場合が多い。

 

2)世界経済への影響

 

上記及川氏の動画を見ると、世界経済は破綻し、もっと大きな被害に向かっているように見える。その中心にあるのは、COVID-19 の発生地の中国である。中国統計局の発表では:史上初の小売売上高の下落で、しかも20.5%という大きな値; 鉱工業生産も中国の高度成長以来の初めての下落で、その値13.5%;固定資産投資、過去30年で最悪の24.5%の下落である。

 

中国経済に大きく頼ってきた国々の経済も傾く。それが、及川氏の動画の表題「通貨危機:韓国、トルコ、ロシア」の内容である。しかも、及川氏の話は、表題にないオーストラリアの株価下落と通貨下落から始まる。米国の緊急利下げにニュージーランドが追随利下げを行ったが、オーストラリアは通貨下落を恐れて、利下げ出来なかったという話である。

 

中国の経済に大きく頼る資源国のオーストラリア。勿論、日本も鉄鉱石や農業製品など輸入している。更に観光産業も大きな経済の柱だという。そのオーストラリアでは、工業製品の多くは輸入に頼っている。通貨安は、金融危機に導く可能性が高く、利下げできないのである。。

 

人の移動が禁止されれば、人は消費しない。その消費物資は、従って、生産されない。生産されないのなら、工場は休業であり、小売店もほぼ閉店状態。石油も消費されないから、原油価格は下落する。中国で始まった経済縮小により、産油国の経済はガタガタになるだろう。

 

産油国、アラブ諸国やロシアの経済は傾き、その通貨は下落するだろう。傾いた会社の社債の価格が下落するのと同じ理由である。国家の発行する通貨は、会社の発行する社債と同様に、本質は国家の債務証書だからである。通貨のこの仕組は、物々交換の経済から通貨を用いる経済に完全移行して以来、絶対的なことである。(補足4)

 

産油国が売った石油の代価で、先進国諸国の生産した工業製品を買うのだから、先進国諸国の経済も傾く。自国の消費物資の売れ行き停滞で疲れた体に、新たなボデイブロー(Body blow)を食らうようなものである。

 

そこからの立ち直りを牽引するのは、差し当たり米国だろう。しかし、日本やオセアニアが本格的に立ち直るには、中国の経済復興が大事だろう。それが元の軌道に戻る最短ルートだろう。中国共産党は、強引な手法を用いることが可能である。これから夏になり、COVID-19 の勢いが収まれば、その軌道への回復に向かい、2,3の国で経済破綻があったとしても、世界経済も元に戻るかもしれない。(補足5)

 

もし、今回の新型パンデミック疫病が、神による試練なら、元の軌道に戻るだけでは、知恵が足りないと神は仰せになるだろう。何故なら、中国による人権の問題、地球環境の問題など、一年前の大問題は未解決であり、解決の方向が見えないからである。

 

 

補足:

 

1)経済評論家の渡邉哲也氏が、広く検診をして感染者を隔離するWHOの主張する方法は日本では駄目だと主張している。(下の動画20分まで)その理由として、医師が検査に手を取られて、医療崩壊の原因になると言っている。そこで、私は反論をコメントした:

渡邉さんの考え方はおかしい。現在の患者数(800人程)では、検査と隔離が基本。陽性で歩き回る人には、障害(または未遂)罪を適用すべき。治療法も、色々かんがえられている。それに、検査は医者でなくてもできる。日本のやり方では、ある時期に爆発的な感染拡大が明らかになり、その時医療崩壊する可能性がある。

 

しかし、今回の記事の内容は、これと真っ向から反するものである。上記は日本政府の発表している感染数が示す序盤戦(COVID-19 との戦いで)の場合正しいが、中盤戦では総合的にみて正しくなく、渡邉氏や日本政府のダラダラ戦術が、結局被害の点では少ないという内容である。

 

2)重症者には、各種の対策がある。アビガン、抗HIV薬、マラリヤの薬などである。しかし、軽症者には副作用を考えると、ワクチン以外は採りにくいだろう。

 

3)偏微分とは、他の独立変数(経済、政治)を一定のままにして、一つの独立変数(保健医療)の変化による従属変数(世界の福祉)の値の変化を得る方法である。保健医療の変化が経済や政治に絡んでくる事態になれば、偏微分だけでは全体の変化(全微分)の近似にならない。

 

4)金を通貨に用いた取引には、物々交換の要素が多少残っていると考えれば、完全移行したのはニクソンショックの時である。1オンス35ドルという約束で、米ドルが金に交換できた時代には、米ドル札による売買は、金との物々交換と見ることも可能だったからである。それ以来、米ドルの値打ちは金価格で換算すれば、現在50分の1以下となっている。

 

5)経済だけで収まらず、政治問題として大きくなれば、人類の危機に発展する可能性すら存在するだろう。その危機は、COVID-19 をばらまいたのは米国だろうとか、いやそれは中国の生物兵器だろうという、批判合戦で世界が真二つに割れた時始まるかもしれない。

2020年3月16日月曜日

新型コロナ肺炎: クラスター感染というモデルに拘るのは危険である

今日11時前のヤフーニュースで配信された共同通信の記事によると、厚生労働省は16日までに、新型コロナウイルスの感染者集団「クラスター」が北海道、愛知県、大阪府など10都道府県の15カ所で発生したと明らかにした。HPで15日正午時点の発生状況を示した全国地図を公表した。https://news.yahoo.co.jp/pickup/6354239

 

この記事を読んで私は、「厚労省が日本国民に、15のクラスター感染で日本の感染ルートの殆どが説明できるという、安易なモデルを押し付けている」と感じた。

 

これまでのPCR検査が、既に感染している人や中国湖北省と何らかの関連付けがされる人を中心に、検査場所と検査数を限ってなされてきたことに対する正当性の主張であり、非常に中国的である。そして、政府のプロパガンダ機関として、政府発表をそのまま何の批判もなく報道するマスコミも、非常に中国的である。

 

今日、スマホでBuzzVideoを見ていたら、興味あるツイッター記事を紹介していた。英国のJames Melvilleという人が、新型コロナ肺炎の感染者数の増加曲線で、日本のみが例外的にダラダラ曲線を描いていることに言及し、もしそれが事実なら、日本に学ぶべきだと言っている。恐らく皮肉をこめて言っているのだろう。(下図)

 

https://twitter.com/JamesMelville/status/1237155394201542656

 

Melville氏が、COVID-19 対策で一貫して評価しているのが、韓国の対応である。つまり、できるだけ検査数を増加させて、感染者を見つけたら隔離するという、単純で当然且つ最良の方法である。その結果、韓国では新規感染者数がこのところ著しく減少している。https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/03/2-190.php

 

一方日本は、検査数を限定して、患者数の爆発的増加の瞬間を待っているかのように見える。感染者数の統計を誤魔化し、当座大衆の目を逸らす手法である。その理論的根拠が、クラスター感染モデルだろう。以下は厚生労働省のHPにある有識者会議の答申内容の一部である。

 

これまでに国内で感染が確認された方のうち重症・軽症に関わらず約80%の方は、他の人に感染させていない。一方で、一定条件を満たす場所において、一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されている。 具体的には、ライブハウス、スポーツジム、屋形船、等です。このことから、屋内のこの種の閉鎖的な空間で、患者集団(クラスター)が発生し、患者集団(クラスター)が次の集団(クラスター)を生むことが、感染の急速な拡大を招くと考えられる。(編集あり)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00011.html

 

このモデルに拘って、感染者よりも感染ルート探しだけに、PCR検査を用いて来た。それは、世界から「日本=新型コロナ肺炎」の風評を消し去る時点まで、日本人の命が多少失われても我慢する戦略なのだろう。

 

アベノミクスとして、辛うじて探し当てた経済対策が、観光立国のモデルである。そのためにはオリンピックは是非開催したい。そして、「日本=新型コロナ肺炎媒介」の風を霧消させたい。海外旅行者を再び日本に呼び込みたい。そのためなら。。。。 愚かである。

 

補足: 日本は島国である。湿度も比較的高い。それが、新型コロナ肺炎患者が急激に増加しない理由かもしれない。しかし、それは単にラッキーなだけであり、政府の愚策を支持する理由にはならない。神風が吹いたとしたら、感謝すべきは日本の神様であり、安倍内閣ではない。

2020年3月15日日曜日

新型コロナ肺炎による死亡率の時間変化と地域性

新型コロナ肺炎(COVID-19)が出現してから3ヶ月以上になる。パンデミックが心配されるようになってから、すでに1ヶ月以上経過して、それが現実となった。このコロナウイルスは、3月に入ってヨーロッパや北米でも猛威をふるい出した。本稿の目的は、この病気は死亡率からみて、インフルエンザより遥かに恐ろしいことを指摘することである。(補足1)

 

一般に新型感染症が世界に広がる時、その見かけの死亡率は最初大きいが、次第に小さくなって、最終的な値に近づくと言われている。その理由は、最初に罹患した人たちが重症化して初めて、その新型感染症に気づくからである。つまり、実際の感染者数を正しく把握するまでにかなりの時間的遅れがあり、それが見かけの死亡率が大きくなる理由である。


世界のこの病気の感染者や死亡者数等を得るには、米国のJohn Hopkins 大の随時更新されるサイトが、最も便利だろう。その10日間ほどのデータを用いて以下の分析をおこなった。通常この病気の診断はRT—PCRという迅速且つ大量処理が難しい方法を用いるので、良く準備された国とそうでない国では、感染者数の中身が大きくことなるだろう。差し当たりそれらを細かく議論しないで、分析後に得られた数値から、それらも議論したいと思う。

 

ここで、二つの死亡率を定義して、それらを比較してみる。1つ目の死亡率は、死亡者数の(死亡者数+回復者数)にたいする比(死亡率1)である。もう一つは、死亡者数の感染者数に対する比である。これら感染者等は全て累積値である。入院して治療中の人は、何れ回復者か死亡者に数えられる。差し当たり”決着がついた人たち”だけで死亡率を計算したのが死亡率1である。一方、グレーゾーンにある人を強引に分母にいれたのが、死亡率2である。しかし、一般に報道される死亡率は後者の方である。

 

これらの3月6日から3月15日までの値を下図に示す。

 

ここで注目されるのは、決着の着いた人だけで死亡率を計算した場合の値は、かなりの勾配で上昇中だということである。中国は最近、闘病中と思われる人まで、治癒者として退院させていると言う話がある。これが本当なら、死亡率1を下降させる筈である。しかしそれでも尚、この死亡率が上昇しているのは、かなりの地域で、死亡後にCOVID-19だったという診断がなされていることの証拠である。当然、死亡率1と死亡率2は、この病気の患者がいなくなった時点で一致する。

 

つまり、現在新型コロナ肺炎は、全世界に急速に広がりつつあることを示している。新たに患者或いは感染者に加わった人は、5日や20日は闘病生活を送るのが普通だろう。1日当たりの診断数を増加させる努力もされているだろう。そのように増加する感染者数を全て分母に入れても、死亡率2は横ばい或いは微増である。非常に恐ろしい事態である。

 

2)各地のデータ:

 

これまでの各地のデータは次の表の通りである。

二つの死亡率の値は、原理的に最後は一致する。従って、これらの間のズレは、疫病蔓延のステージがどこにあるかの目安となるだろう。新しい感染者が全体に比べて小さい比率なので、湖北省(武漢)と北京の、死亡率1と死亡率2が近い値である。西欧諸国で、これらの値が非常に大きくズレているのは、この疫病蔓延のステージが始まったばかりであることを示している。

 

ここで、この9日間の感染者や死亡者の増加数から計算した死亡率1を、各地方毎に表にしたので下に示す。

ここで注目すべきは、中国湖北省のデータと西欧諸国のデータである。湖北省では、最近9日間の死亡者は116名で回復者が9460名であり、それらの比率(上の表中Drate1)は1.2%という小さい値である。湖北省全体の死亡率1と2は、一つ前のテーブルから、其々5.5%と4.5%なので、前々回の記事に書いたように、最近非常に効果の高い治療法を実施しているか、或いは多くの患者を治癒者として退院させたかのどちらかだろう。

 

ヨーロッパでは新しい患者が次々と出ているが、この病気との戦いが終わった患者の多くは、死亡という形で病院を出ている(フランス、イギリス)。イタリアでは、21000人余という大きな感染者数が出ているので、この病気の流行のステージも進んでいるのかと思ったが、この間の”戦いが終わった”2600人余(9日間)のうち半数(46.7%)は死亡して病院を出ている。これは、インフルエンザの20倍程度の死亡率の病気なら、未だ序盤戦の様相である。

 

イタリアの場合、別の可能性として、日本や韓国の新型肺炎とは異なるウイルスを考えるべきかもしれない。S型とL型の2種があるという話が10日ほど前にあったが、詳細に分析してみるべきだろう。

 

(16時に編集しました。最後のテーブルで書いたDrate2は、あまり意味のない指数だったので削除しました。)

 

補足:

 

1)今日のテレビ番組で、橋下徹氏は新型コロナ肺炎に関して、感染者よりも死亡者を減らすことを第一に考えるべきだと発言していた。これは間違いである。私には、「検査数を減らして、死者は通常の肺炎で死亡したことにすれば、国際的評判も高くなり全て良い」という発言に聞こえる。何故なら、ヨーロッパの実態を見ればわかるが、最終的に得られる死亡率も5%以上と高いだろう。橋下氏は、感染者に死亡率を掛けた人数だけ死者がでることを、真剣に復習すべきである。

 

2020年3月14日土曜日

新型コロナウイルス対策で後手に回ったWHOに、何故166億円も寄付するのか?

今朝のJIJICOM(時事通信社)の記事によると、安倍内閣は新型ウイルス対策のために、WHOに対して1億5500万ドルの資金協力をしたという。どういう趣旨なのかさっぱり分からない。ヤフーニュースに記載された速報記事の全文は以下の通り:

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200314-00000009-jij-int

 

【ベルリン時事】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は13日にジュネーブで行った記者会見で、新型コロナウイルスへの日本の対応について「安倍(晋三)首相の主導の下での政府挙げての対策」が、感染の抑制に決定的な役割を果たしていると称賛した。さらに、日本が今週、WHOの同ウイルス対策に1億5500万ドル(約166億円)の資金拠出をしたとして、謝意を表明した。また、中国と韓国、シンガポールについては「積極的な検査、接触者の捕捉」が感染拡大を防げることを示したと評価した。 

 

WHOのテドロス事務局長は、エチオピア出身であり、出身国と中国の深い関係を考えて中国寄りの発言を繰り返してきた。今回の新型コロナ肺炎に関しても、中国習近平政権の初期の隠蔽工作について、何の非難もせず、中国の対策を礼賛した。そのような経緯を考えて、WHOがまともに先頭にたって新型コロナ肺炎対策が出来たとは思えない。https://president.jp/articles/-/32754?page=3

 

安倍内閣の新型コロナ肺炎対策に対しても、WHOという権威から高い評価をもらいたい気持ちは、俗人的な見地に立てば分からないことはない。実際、さっそく希望に沿う言葉をテドロス事務局長よりもらったので、思った通りの効果はあったのだろう。しかし、安倍内閣のこれまでの「目立った対策」は、PCR検査をなるべくしないで感染者数を小さくする方法で、隠蔽してきたことではないのか? 

 

安倍総理は一体WHOのどのような対策を評価し、今後のどのような活動に期待して166億円という多額の寄付を行ったのか。国家の資金であるから、明快に説明してもらいたい。今日午後6時から記者会見があるので、その際何か発言があるかもしれないが、是非そこで言ってもらいたい。

 

2)安倍総理の本音を想像する:

 

エチオピアから出向しているテドロスWHO事務局長は、新型コロナ肺炎を世界にばらまいた中国に非常に気を使った発言をしてきた。それは、エチオピアと中国との緊密な政治経済関係があったからだろうというのが、殆どの人の見方である。実際、エチオピアは中国の一帯一路構想のアフリカでの展開の中心である。https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/05/d17fd454d9dc556f.html

 

新型コロナ肺炎のヨーロッパや中東での爆発的感染拡大は、対中関係が密接な国で起こってきた。それらは、イラン、イタリア、ドイツ、フランス、スペインなどでの国々である。その延長上で考えれば、エチオピアなど中国と関係の深いアフリカの国々では、(補足1)感染が既に広がっているだろう。

 

しかし何故か、アフリカでの感染数(発表値)が少ない。原因は、PCRテストなどの先進医療技術の欠如の他、中国に気をつかっていることかもしれない。後者は、フィリピンでの少ない感染者数発表と同じ現象かと思われる。(補足2)そんな中、エチオピア政府当局は13日、同国初の新型コロナウイルスの感染者が日本人の48歳の男性だったと発表した。中国人の感染者なら何時でも発表できたのではないのか? https://www.asahi.com/articles/ASN3F77BWN3FUHBI02V.html

 

エチオペアでは、中国との関係などから推測して(補足3)、かなりの人が既に感染していた可能性がある。これまで、感染者ゼロというのはあり得ない。第一号感染者を中国以外の関係者にしたい、エチオピアのトップ近辺は、そう考えてきたのではないか。そうこうしているうちに、日本人の感染者が発見された。第一号感染者として発表するのには、好都合だった。

 

どうでも良いように思う人も多いだろうが、人間はメンツを気にする。安倍総理も、日本のイメージをWHOに汚されてはたまらないと考えたのかもしれない。オリンピックの開催地として、世界から人を呼び込むには、その国のイメージが大事であると。

 

日本は核汚染国なので、オリンピックの参加選手用に、食料は自国から持ち込むと言って、日本のイメージを悪くするように努力した人も居た。(補足4)そのような人としてもうひとり、WHOトップのテドロス氏が加わってはたまらない。そう安倍総理は考えた可能性がある。

 

人類の未来を本来担うべき国際連合やその下部組織が、このような低レベルの政治で動いていることは非常に嘆かわしい。この種の政治屋的なことの積み重ねでは、人類の世界に未来はないだろう。しかし、人類とは所詮その程度かもしれない。人類がそれ以上に賢ければ、終末論など「神」は作らなかっただろう。

 

補足:

 

1)中国は、エチオピアに利子の一部免除など、有利な借款を許している他、エチオピアとジブチの港までの鉄道を建設して、海への出口を設けるなど、インフラ建設にも多大の協力をしているという。

 

2)フィリピンはマニラを封鎖する決定をした。しかし、報告されている感染者数は最近まで非常に少なかった。現在でも64名の感染者しか居ないことになっている。それでも、緊急事態宣言を出したのは、遥かに多い感染者数を把握しているからだろう。これまで感染者数を低く報告してきたのは、いうまでもなくフィリピン大統領の巧みな戦術の一環だろう。中国人の渡航をいち早く制限して自国民を守る一方、感染者数を抑えて中国に配慮するのである。

 

3)中国が、インフラ投資などに協力する場合、会社から労働者まで派遣する形で行う。そのため、アフリカに住む中国人は既に100万人以上に登るという。ハワード・W・フレンチ 著 栗原泉 訳『中国第二の大陸アフリカ――100万人の移民が築く新たな帝国――』『アフリカレポート』2017年 No.55、p.112

 

4)韓国の文在寅大統領の考えである。https://jp.reuters.com/article/olympics-2020-radiation-southkorea-idJPKBN1Y8187

 

新型コロナ肺炎の中国での再流行の可能性

WHOが11日、新型コロナ肺炎(COVID-19)のパンデミック宣言を出した。このパンデミック宣言は、WHOがこの病気が南米やアフリカでも猛威を振るうようになることを予測したから出したのだろう。基礎的医療環境が整っていない地域での感染拡大は、大きな人的被害をだすと予想される。現在すでに感染が進んでいる可能性が高い。

 

これから北半球は夏に向かうが、それまで出来るだけ多くの箇所で、隔離政策等を続けることができるかどうかに、今後のこの病気の蔓延の程度が大きく依存すると思う。感染拡大の中心は今やヨーロッパに移ったと見る向きが多いが、果たしてそうだろうか? 私はこの新型肺炎ウイルスが、東アジア全体、日本、韓国、北朝鮮、中国で更に猛威を振るうのではないかと心配している。(補足1)

 

1)10日、習近平主席が武漢を訪問し、「基本的に抑え込んだ」と発言した。中国は、新型コロナ肺炎の終息宣言を出して、経済活動の再開へ向かったようだ。しかし、経済活動再開による人や物の移動により、今後再度の爆発的流行を引き起こす可能性がある。(2月23日の記事参照;補足2)

 

習近平の勝利宣言とは裏腹に、北米に根拠を持つ中国情報を配信するNTDTVが、この新型肺炎は武漢で依然猛威を振るっていると報道している。この情報は、鳴霞さんのyoutube動画でも配信されており、信頼性が高い。https://www.ntdtv.jp/2020/03/42764/ 

 

中国経済は、現在非常に困難な情況にある。中国政府は、経済活動再開にむけて、それが可能なように新型コロナ肺炎関連のデータを改変した可能性があると思う。JOHN HOPKINS大がまとめたCOVID-19発症者の統計を詳細に見ると、中国のデータには疑問点がある。https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6

 

例えば、3月8日6時から、3月13日6時までの5日間に中国湖北省で発生したとされる新しい感染者数は、僅か115人である。(補足3)イタリアでは7000人程度、ドイツでも1300人程度である。このデータだけでは、完全に抑え込んだようにも見える。

 

しかし、更にデータを分析すると、中国は「肺炎との戦いの終盤近く(中国政府の見解)」で、高い治癒率を達成したことになっている。新たな感染が殆ど出ない中、長期療養者ほど治癒率が高いのは普通の感覚ではおかしい。同じ病気に罹患している人で比較した場合、長期に入院している人ほど重症者の筈である。

 

上記データによると、3月3日午後6時までの退院者と死亡者から出した、死亡率=(死亡者/(死亡者+治癒者))は、7.2%である。(補足4)一方、その後10日間(13日夕まで)の同様の比率は、1.46%である。新たな患者がほとんど出ない中、病気が長引いた人ほど治癒率が高いのである。多くの治療中の人を強引に治癒者として数えた可能性が高いと思う。

 

下にその計算の詳細を示した。日本の場合も後の方で死亡率が小さくなっているが、日本では感染が広がりつつあるので、自然なことである。新たな感染者が急激に増加して、分母を大きくするからである。尚、日本で大きな値となっているのは、発病者の中で初期の鼻風邪レベルの患者を多く見逃していることによる。(ここでの流行途中での死亡率の評価方法は、オーソライズされていないかもしれない。)

 

勿論、非常に良い新しい治療法が見つかり、実施しているのなら、上記のようなデータもあり得ると思う。しかし、そのような治療法が見つかれば、何らかの形で西側にも漏れている筈である。治癒した患者から血清をとりそれで治療するとか、一昨日書いたようなマラリヤの薬を用いている話などはあるが、それらが大々的に行われて著しい効果を挙げたという類の話は、中国から発信されていない。

 

2)このようなデータ歪曲があったとしたら、経済活動の再開を目指したものだろう。新型コロナ肺炎が始まる前に、既に米中経済戦争と中国に累積された不良債権により、中国経済の破綻が予測されてきた。その事情はここ3ヶ月ほど、一層悪化しているだろう。

 

これは習近平政権のギリギリの決断だろう。もし、武漢のような都市が人の移動を解禁し、通常の経済活動を再開した場合、再び病気が蔓延する可能性大である。非常に心配だが、上手くいくことを願うしかない。それは、中国だけではなく、世界の問題である。

 

武漢市民は1100万人を超える。そのうち僅かに68000人が感染したというのが事実なら、1100万人の殆どはこのウイルスの抗体を持たない。しかも、感染し隔離されていない人が数千人(既感染者の数%)くらいは居るだろうから、世界の他のどの地域よりも、このウイルス蔓延の条件が揃っているのである。

 

尚、同じ趣旨の政治的側面からの議論は、妙佛 DEEP MAXさんによりなされている。

https://www.youtube.com/watch?v=BzF7nsPlWZE

 

補足:

 

1)これにより、この肺炎が世界で収束したという宣言がなければ、オリンピックは開催不可能だろう。

2)この1ヶ月余りの都市封鎖などで、感染を防ぐための訓練は相当厳しく行われた。それは、幾つかの動画で見せてもらった。その効果に期待したい。https://www.youtube.com/watch?v=3Y-mC0wvonwhttps://www.youtube.com/watch?v=i5afOwgKECg など

3)John Hopkins大のデータを私的に記録したものから計算した。

4)John Hopkins大のデータに繁栄される際に、時間的遅れが無いとして、日時を記述している。

2020年3月12日木曜日

新型コロナ肺炎のクロロキン類による治療(II)

昨日の記事「新型コロナ肺炎の新治療法:クロロキン(マラリヤの薬)と亜鉛イオンの服用」において、薬害に関するコメントを頂いた。重要な内容なので、短い文章にして公表することにした。

 

昨日のブログでは、クロロキンの燐酸塩を用いると書いたが、日本や韓国では、ヒドロキシ基(OH基)で水溶性にしたヒドロキシクロロキンが用いられているようである。ヒロドキシクロロキンの方が吸収も排泄も早いということで、副作用の面からは優れているだろう。

 

現在、この薬(ヒドロキシクロロキンの硫酸塩)は、リュウマチや全身性エリテマトーデスの治療薬として用いられているようだ。1日の投与量は、体の大きさにより、200mgから400mgまでであり、大量或いは長期に用いると、副作用が出る。(ウィキペディア参照)

 

急性毒としての作用は、心臓(心不全)に現れ、クロロキン2−3グラムが成人の致死量だそうである。継続使用による障害は、目の網膜や網膜に現れる。その他、いろんな副作用があり、医師の指導による適量使用が必須である。

 

昨日の記事では、日本ではあまり報じられていないと書いたが、その同じ日の産経新聞の15時36分配信の「The Sankei News」に、既に日本でも試用している病院があると報じられていた。「九州地方にある医療機関の医師らが日本感染症学会のウェブサイトで公表した」と以下のサイトに書かれている。

https://www.sankei.com/life/news/200311/lif2003110023-n1.html

 

記事によると:

患者は糖尿病のため血液透析を行っている69歳の男性で、2月下旬に38度の熱が出て入院。症状が悪化し、新型コロナウイルスへの感染が判明した。今月2日に投与したところ、数日で肺炎の症状が改善。熱も37度程度まで下がり、ウイルス検査で陰性になれば退院できる状態にまで回復した。

 

他の薬も併用したほか、症状が自然に改善した可能性も否定できないとし、症例を増やして慎重に評価する必要があるとした。

 

因みに、生体機能の発現において、金属イオンの分布は非常に重要である。例えば、Na+ イオンとK+イオンの細胞膜を境にした大きな濃度勾配は、神経伝達など生体機能の中心的役割を果たしている。従って、仮に二価イオンに選択的だとしても、クロロキンがイオンの透過孔として働くのなら、強い副作用があっても当然である。

 

上記産経の記事などで気になるのは、亜鉛イオンに関する記述がないことである。亜鉛イオンの投与はされていないのだろうか?。もし、昨日の亜鉛イオンがRNA合成を阻害するというメカニズムが正しければ、亜鉛イオンを同時服用すれば、もっと効果が上がる筈である。

 

尚、抗HIV薬や抗インフルエンザ薬(タミフル)などの利用により効果が出たという報告もかなりあった。この点、昨日のブログで書き忘れたので追記しておく。他に何かわかれば、追記の予定。

2020年3月11日水曜日

新型コロナ肺炎の新治療法:クロロキン(マラリヤの薬)と亜鉛イオンの服用

新型コロナ肺炎(COVID-19)がパンデミックの様相を呈してきた。新型なのでワクチンなどはないし、ウイルスなので抗生物質は効かない。それをどのように抑えるか、切り札がない。そんな中で、阪大の予防用DNAワクチンの開発や、武田製薬の免疫グロブリン製剤の開発、など半年後には何らかの新しいものが出てきそうである。

 

その他、喘息薬で新型肺炎の症状がよくなるという話がある。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200303/k10012310671000.html

インフルエンザの薬のアビガンなども、新型コロナ肺炎の治療方として検討されている。https://www2.ctv.co.jp/news/2020/03/01/83359/

 

ここで紹介するのは、韓国、中国、米国で研究されている細胞内で亜鉛イオン濃度を増加させる方法である。亜鉛イオン(二価)は、ウイルスのRNA合成を妨害する働きがあるという。RNAポリメラーゼという酵素を亜鉛イオンが阻害する働きがあるというのである。

 

中国青島大学の薬学部の研究者(Jianjun Gao, Zhenxue Tian, Xu Yang)の論文(J-stage のBioScience Trendsの最新の論文(2020年2月)では、亜鉛イオン(Zn(2+))にマラリヤの薬であるChloroquine phosphate を併用することで、効果が得られると書いている。ここで、クロロキンは細胞内に亜鉛イオンを導く働きをする。

 

以下のサイトでは、Znイオンの役割を解説している。細胞内に入ったウイルスのRNAが、RNAの複製をする為の酵素:RNA依存型RNA重合酵素(RNA-dependent RNA polymerase)をつくり、RNAの複製を始める。その働きを亜鉛イオン(Zn(2+))が阻害するというのだ。

 

https://www.youtube.com/watch?v=U7F1cnWup9M

 

亜鉛イオンを摂取した場合、体液中の濃度は増加するが、それは細胞内には入らない。それを可能になる為には、イオノフォア(イオン透過孔、ionophore)と呼ばれる箇所が無ければならない。この代わりをするのが、クロロキン(Chloroquine)である。薬剤としては、水溶性の燐酸塩(Chloroquine diphosphate)が用いられる。

 

2010年に試験管内実験(in vitro)で、このクロロキンが亜鉛イオンのイオン透過を助けることが確認されている。2014 の論文で、米国オクラホマと中国の研究者が、癌治療の一環で、クロロキン(Chloroquine)が亜鉛イオンを細胞内に導く働きがあることを見出している。 

 

新型コロナ肺炎の治療への応用が、中国や韓国で始まっている。

韓国の医者たちはこの療法のガイドライン作りを行った。2020年2月13日の論文(Korea Biomedical Review)に掲載されている。それによれば若くて10日以上経過しながら、症状がマイルドな場合はこの方法を用いない。それ以外の場合、500mg/dayのクロロキン投与を10日ほど行う。中国からの似た報告も紹介されている。

 

ただ、本当に効くか効かないかは十分な比較研究がないと明確には言えない。ただ、イタリアと韓国の感染者数や死者数の比較をすると、韓国が圧倒的に死者や重篤者がすくないのは、この療法が効いている可能性があると示唆している。また、中国のNational Center for Biotechnology Development  のZhang Xinmin氏の意見として、「中国で毎日報告される新型コロナウイルス対策の中で、最も有望な3つの薬の内の一つである」を紹介している。

 

以上、日本では殆ど紹介されていないので、素人ですが、紹介します。専門の方のコメント期待します。

新型コロナ肺炎:パニックになるべきではない

 

新型コロナ肺炎COVID-19で世界中がパニックになっている。人々がパニックになれば、それは政治や経済での利用を考える人たちも多くなる。新型肺炎が収束の方向に進むのには恐らく1ヶ月程度の時間が必要だろうが、結局治まるだろう。ここでは、気温上昇に期待出来る理由と、湿度維持と換気の重要性について少し書く。

 

1)初夏になれば治まる可能性が高いと思う:

 

温度の効果については、John Hopkins 大のデータを見ればわかるように、東南アジアで大きく流行していないことで分かる。一つの指標として、回復者の感染者に対する比率がある。勿論、感染が始まった日時に依存するのだが、それが同じ程度である数カ国を比較すると上記温度影響が理解できる。

上の図で、日本、韓国、台湾、タイ、マレーシア、シンガポールなどは、中国との関係や距離などから、流行の始まりが殆ど同じだとして良いだろう。日本や韓国は比較的寒冷であり、その回復率は15%程度とそれほど高くない。しかし、それ以外の台湾や東南アジア諸国では、発症率が低く、しかも回復率が相当高い。 医療技術などの差も比較的小さいと思われるので、これらの差は有意と考えられる。つまり、春から初夏になり、高温になれば病院に居る人の数よりも回復した人の数が、日本でも多くなると思う。

 

同様の差は、同時期に発病者数が大きく増加したイランとイタリアを比較した場合にも見られる。イランでは回復率は33%以上である一方、特に北部で感染が広がっているイタリアでは8%にも満たない。(ここで、中国河北省と香港の治癒率が高いが、発生時期にかなりの差があることと、データに政治的歪みがあり得ると考え、比較の対象にしなかった。)

 

2)換気の重要性

 

新型コロナ肺炎COVID-19が閉鎖空間での感染率が高く予後が悪いことは、武漢やダイヤモンド・プリンセス号での経緯から明らかである。温度が低いところで、感染率が高いのは、暖房により湿度が低くなることと、どうしても換気の頻度が低くなることが原因だろう。

 

ウイルスは自分で動く事が出来ないので、粘液で覆われた箇所では、なかなか細胞内に入り込めないだろう。しかし、乾燥した喉などでは、簡単に細胞に近づくことが出来、その特有のACE2受容体という蛋白を標的にして、そこから細胞内に入る。(補足1)

 

最初、鼻や喉でウイルスが増殖する段階では症状が軽いが、肺に至ると症状が急に重くなるようである。つまり、喉などで増殖したウイルスが、咳などで吐き出された後の深い呼吸により肺に吸い込まれることで、病気が重くなるのだろう。咳の働きは外に異物を出すことであるから、多くの場合、ウイルスも外気中に唾液や痰などの微粒子とともに排出されるだろう。

 

換気がない空間では、それが長期間空気中に漂う間に、呼吸で肺に吸い込まれる危険性が高い。乾燥した空気中では、上記ウイルスを含んだ微粒子から水分の多くが蒸発し、軽くなって空中に浮遊する時間が長くなる。乾燥は、上気道の乾燥と、ウイルスを含んだ微粒子の空中滞在時間を長くする効果、の二つで感染と伝染の確率を高めるだろう。(補足2)

 

以上から、感染や伝染防止には、部屋の湿度を維持することで、喉や鼻の乾燥を防ぐことが大事だろう。そして、暖房代金が多少かかっても、換気を頻繁にすること。更に、呼吸を激しくするようなことは、人が多い場所でしないこと、などが大事だろう。スポーツクラブや何かと熱狂する場所は、禁忌とすべきだと思う。

 

(補足2追加:3月11日午前6時)

 

補足:

 

1)このACE-2受容体へのアクセスを妨害するという方法で、病気の治療をする方法が議論されているようだ。https://note.com/sato_agg/n/nf53d50a9a960 (日本語)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32142651 (英語)

 

2)この空中を漂う微粒子(サブミクロンサイズ)の効果は、殆どこれまで考えられていなかった。しかし、接触感染だけでは説明できないので、中国で最初この効果がエアロゾル感染という言葉で提案された。

 

 

2020年3月9日月曜日

緊急事態宣言を可能にするよりも、PCR検査を開業医の判断で完全に実施することを先ず実現すべき

安倍晋三首相が新型コロナウイルス感染症の対応として、新型インフルエンザ等対策特別措置法を「改正」し、「緊急事態宣言」による私権の制限などの条項を盛り込む見通しだという。今週中に国会提出の動きがあるという。

 

現在、新型コロナウイルス肺炎感染者は、クルーズ船でのケースを除けば、日本国内で500人ほどであり、死者数は10人以下である。この感染者数は、韓国の10分の1に満たず、世界でも8番目位である。死者数もイタリアの50分の1程度である。https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6

 

もし、本当はもっと感染者が多いというのなら、それを明らかにするのが先である。つまり、PCR検査実施を開業医の自由判断に任せ、その病気の感染実態の把握が先である。(補足1)それをしないで、いきなり緊急事態宣言を出すというのは、安倍は、強権発動の喜びを味わいたいだけではないのか。(補足2)

 

この政府の動きに一般市民が賛同するのなら、それは上記新型コロナ肺炎の被害の数字を、正しく把握していないからだろう。例えば、日本で一年間に肺炎で死亡する人数は12万人以上である(下図参照)。それにも関わらず、肺炎球菌などから国民を救わなければならないと大騒ぎする政府の姿を、見たことも聞いたこともない。また、感染力が強いインフルエンザでも、3000人以上死亡している。新型コロナ肺炎の被害も、先ず実態を明らかにし、対策のレベルと程度はそれらとの比較で判断すべきである。

http://www.tokyo-eiken.go.jp/sage/sage2018/

 

勿論、未知の病気に関する恐怖はあり得る。しかし、感染力はインフルエンザより劣り、死亡率も2−3%以下である。水際無策の現政権の下でも、発表された数字通りの被害者数なら、大したことはない。ここで、緊急事態宣言とか非常事態宣言を言い出すのは、安倍内閣の政策に一貫性がない。実態がわからないままに、緊急事態宣言を出して、武漢のように私権の制限をし、わざわざ自分から経済破綻することなどない。

 

それに、緊急事態宣言を出すのは国民が直接選んだ国家元首が出すべきである。従って、憲法に国家元首を明記し、緊急事態条項を明記するように改正すべきである。その必要性を国民に熟知させるように、一般論として議論すべきである。その努力を、戦後75年間やらないで、何をうろたえた振りをしているのか?

 

現行憲法下では、国権の最高機関は国会であるから、もし緊急事態宣言を出すと法令を改正した場合、国会決議としてだすべきである。この件、国会で議論されているが、「いま必要なのは、緊急事態宣言のための法改正ではなく、国民が安心できるような思い切った予算措置だ。こっちの方がよほど急がれる」という、共産党の意見の方がよっぽど正しい。https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2020-03-07/2020030702_05_1.html 

 

(午前11時10分、最終編集、図とそのサイトを追加;補足追加)

 

補足:

 

1)クラスター感染というのもインチキ臭い。何故なら、検査をすでに感染した人と接触があった人に限っている。クラスター的に感染が広がったケースをワザと拡大して見せている。それは政府の陰謀なのか?

 

2)緊急事態宣言は私権を制限する。それなら、非常事態宣言という言葉を使うべきだ。緊急事態という言葉を使って、言葉上は非常事態宣言と区別しながら、私権を制限するというのは非常におかしい。米国やイタリアなどは、非常事態宣言という言葉を用いている。

 

 

政府は積極財政に向かい、今こそインフラ投資を行うべき?

新型コロナ肺炎が益々勢いを増して、主戦場は欧米に移ったような気配がする。イタリアの感染者数が、韓国のそれを追い越して、世界No2になった。イランとイタリアの死者数を足すと、世界の20%にもなる。当にパンデミックである。

 

そんな中、世界中の株価や原油価格などの下落で、世界同時不況になりつつあることが分かる。それで、米国トランプ大統領はFRBに大幅利下げを要求している。そのような情況を及川幸久氏のブログが、要領よく紹介している。

https://www.youtube.com/watch?v=6w4A4PRmF6U&t=564s

 

及川氏の解説によると、FRBが0.5%の利下げをしても、トランプは不足だと言っているようだ。そして、米国の金融界では、余剰資金が株から国債へ移動し、米国10年もの国債の利率が1.0%と史上最低となったという。

 

それでも、株価は下がり続けるだろう。利下げは効果があまりなく、QE(量的拡大)策をとるべきだと言っている。金融のことはあまり知らないのだが、以下のコメントを書かせてもらった。

 

「QEでは駄目で、財政出動のみが株価に効くのでは?需要が”物理的”に減少しているので。お金があっても、実体経済の方には向かわないと思います。」

 

中国の主要都市では、各家庭に二日に一度の割合で、食料品などの買い出しのみを許すという、隔離策をとってきた。それが流行拡大に大きな効果があった。イタリアも流行の激しい北部の隔離策をとり、日本も中国と韓国からの入国制限を始めた。

 

ニューヨーク州やカリフォルニア州では非常事態を宣言している。そのうち、米国の殆どの州も同様の措置をとるだろう。その結果、人々は消費する気分にならないどころか、消費するにも外出できないという情況に追い込まれる。上記コメントに書いた「物理的」な需要の減少である。

 

リーマンショックと今回のコロナ不況の違いは、後者における物理的需要減少にある。このような情況では、財政出動しか需要の増加に寄与しないだろう。量的緩和しても、益々国債に向かうだけだろう。多くの人や会社が、米国債をもっても、景気浮揚には役立たないと思う。

 

日本政府も、積極財政に舵をきり、日本のインフラ整備、防衛装備の他、将来に必要だと視野に入っているもの全てに、満遍なく積極財政の対象とすべきだと思う。バランスシートは拡大することを、IMFは批判するかもしれない。しかし、日本政府のBSは、それほど悪くはないと主張する高橋洋一氏、三橋貴明氏らの専門家の意見を尊重するべきだろう。

 

(表題に?を加えました。素人なので、経済をよく知る方々のコメントを期待します。)

2020年3月4日水曜日

米国では、既に新型コロナ肺炎が大流行しているのではないのか?

新型コロナ肺炎は正に地球規模のパンデミックである。その感染域はアジアだけでなく、欧米にも広がっている。日本のだらしなさは、あのクルーズ船の件ですっかり世界に宣伝された。本当なら、以前書いたように離島に全員収容すべきだっただろうが、それでも、国内への伝染を防いだことには、一定の評価がされて良いだろう。

 

日本が、新型肺炎ウイルスの最も酷い汚染国のように思われているようで、今朝もパレスチナで「コロナ、コロナ」と呼ばれて、暴力を受けた日本人女性のニュースが流れていた。被害者が、NGOの一員として、現地に支援のために出かけていた人たちであったことは、皮肉なことである。

 

このウイルスの世界での広がりを見るには、米国John Hopkins大の頁がWHOのまとめた数字を掲載しているので便利であるが、それも注意して見なければならない。その一つは、各国の事情により、数字が実際の値から大きくズレていることである。https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6

 

例えば、北朝鮮には相当数の感染者や死者が出ている筈だが、隠されている。同じ様に、中国の感染者数や死者数も、大きく操作されている可能性がある。そして、日本では検査が進んでいないので、感染者数は実際よりも小さな値が報告されているのは、事実だろう。

 

そんな中、昨日から、米国のトランプ大統領が、中国、韓国、イタリア、イランと並んで、日本からの渡航に制限を設ける可能性が出てきた。其々の国内での発表された死者数は、今日午前10時現在で、其々3000人弱、28人、79人、77人、そして、日本の6人である。

 

勿論、感染の酷い地域からの入国に制限を設けるのは正しいのだが、そうすべき地域がどこなのか、トランプは分かっていない可能性が大きい。検査がどれだけ進んでいるか、その国がデータを誤魔化していないかなども考慮しないと、実際の感染者数の把握が難しい。

 

上記サイトには、感染者数、死者数、回復者数がセットで発表されているのだから、それら全てを用いた方が実際の情況を把握しやすいとおもう。そう考えて、上記John Hopkins大のデータを見ると、米国での新型肺炎ウイルス汚染は相当進んでおり、日本からの入国制限を設ける意味はないとおもわれる。その点を指摘したい。


米国ワシントン州の新型肺炎による死者数は、日本本土の死者数6人を超えて、合計9人である。そこでの感染者数は僅か27人となっている。1人や2人の感染者だけという州もあるが、その感染は米国全体に広がっている。全体の感染者数は122人だそうである。


ワシントン州の感染者27人の内、死者は9人、完治者は1人だけである。米国の医療技術を念頭に、これらの数字を考えれば、殆どの患者は、非常に悪化して初めてPCR検査を受けていると想像される。恐らく、米国では経費が掛かりすぎ、或いは体制が整っていないために、PCR検査があまりなされていないのだろう。


日本の感染者数は293人であり、死者数は6,完治者数は43である。完治者数43は、症状が軽い人も検査対象にしていることがわかる。この新型肺炎COVID-19の感染は、軽い病状の人からも起こりやすいので、感染者数の方が公衆衛生上大事である。


そのように考えると、米国の感染者数は恐らく、日本の感染者数を上回っているだろう。トランプ大統領がすべきは、新型肺炎を政治の道具にするのではなく、その検査経費の国庫負担を実施し、その早期治療で米国民の被害を最小にすることである。

 

 (12時50分編集あり)